第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、経営理念として「お客様に心から喜んでいただける企業になる」「プロとしての倫理観と実行力を備えたプロフェッショナル集団になる」「お客様に可愛がられること、優れた人材を創出することを通じて社会に貢献できる企業になる」という3つを掲げ、また当社ミッションとして「IT障害をゼロにする」、当社ビジョンとして「信頼と技術で、社会と共に成長する」と定め、これらを実現することを経営方針としております。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度における我が国の経済を取り巻く環境は、10月の衆院選挙や11月の米国大統領選挙、また欧州での政局の変化や中東情勢を中心とする地政学リスク等の影響により、予測することが難しい状況となりました。また、今年の春闘を受け大企業を中心に賃金の伸びは高まっており、物価上昇とのバランスも鑑み日本経済は穏やかではありますが成長していくと信じております。

 企業においては、これまでの少子高齢化に伴う労働人口の減少や働き手ニーズの多様化に加え、働く場所にとら

われない新しい働き方の定着、生成AIの急速な進展等に伴い、業務プロセスの効率化や自動化等の推進によるデジ

タルトランスフォーメーション(DX)や、さらには地球にやさしい環境を追求するグリーン・トランスフォーメーシ

ョン(GX)がますます重要になってきています。

 自動車や鉄道等の交通産業、金融機関、電力、ガス等のインフラ産業、自治体をはじめとする公共機関など、すべての事業体でITを活用したトランスフォーメーションの重要性がさらに高まるとともに、セキュリティ対策が併せて最重要となっております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、今後も「System Answer シリーズ」のライセンス販売による事業拡大を図るとともに、ITシステムのライフサイクルに応じたきめ細かなコンサルティングやソリューションサービスの提供、さらにマーケットの変化に対応したサービスを積極的に展開することで、事業領域の拡大を図ってまいります。

 また、経営の安定化に向けたストックビジネスの拡大により、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。

 持続的成長により中長期的な企業価値の最大化を図るうえで、以下の項目を対処すべき重要な経営課題として考えております。

 

① お客様に寄り添ったITシステム運用課題の把握と的確な運用ソリューションの提供

 ITシステムの規模及び適用業務範囲が拡大し、構成が複雑化する中で、その信頼性・可用性・保守性・完全性・機密性を十分に維持・向上させることがお客様のITシステム運用における課題となっています。当社は、このようなITシステム運用におけるお客様支援の充実を図るため、24時間365日の監視サービス「SAMS」に加え、導入機器の脆弱性対策や、障害時の切分け支援等を行う「IBC Careサービス」、「System Answer G3」のデータを用いた「性能評価レポート」をリリースいたしました。

 今後とも、お客様に有益な運用ソリューションを開発・提供してまいります。

 

② 「System Answer シリーズ」のブランディング強化、認知度向上、提供形態拡充、新機能実装及び次世代開発

 当社が独自に開発し、製造・販売する「System Answer シリーズ」のブランディングを強化し、また認知度を向上させるため、今後も積極的に展示会への出展やセミナーの開催を行うとともに、当社のWEBサイトを充実してまいります。

 また、ITシステムの情報管理に対応した「System Answer G3」の新機能として「CX監視オプション」をリリースしたことで、お客様が体感しているSaaSの通信状況を可視化する事ができるようになりました。

 ITシステムの情報管理において重要な点は、コンピューター・ITシステム運用時に発生する数々の問題を的確に判断するための情報や根拠をいち早く把握することです。「CX監視オプション」によって可視化されたお客様の通信状況と従来から提供している「System Answer G3」の様々な情報を合わせる事で、更なるお客様の通信品質の改善を促進してまいります。

 

 

 

 

 

 

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   ③ 次世代新サービスの開発

    これまで培ってきた予兆検知・情報管理・将来予測の機能をさらに進化させ、「IT障害ゼロ」の世界を支える次

   世代製品の開発を進めてまいります。

    昨今のお客様のIT環境においては複数のクラウドを利用する形態が増えることで、障害箇所の特定がさらに困難

   となり、復旧まで多くの時間を要することから、障害発生時には業務への甚大な影響を与えることが予見されま

   す。複雑化するIT環境の見える化、膨大なログからの障害予兆検知等により、圧倒的なスピードでの障害箇所の特

   定、トラブル回避策を提供するため、これまで蓄積してきたノウハウを活かすとともに、AIやデータアナリティク

   ス等により、あらゆるデータを組み合わせたIT障害を未然に防ぎ「IT障害ゼロ」を実現する次世代製品開発に取り

   組んでまいります。

 

   ④ インテグレーション事業の拡大

    働き方改革によるワークスタイルの変化やクラウドシフト/リフトなどによる企業ITインフラの変化への対応な

   ど、お客様のお悩みに寄り添い、現状の課題分析に基づくシステムの構築から “攻めのIT” 提案まで、幅広くご

   支援する必要性が高まっております。そのような要請に応えるため、当社が20年以上に亘り蓄積したインフラ環境

   の分析・解析ノウハウをもとに、小規模から大規模まで、高信頼・高可用なネットワークおよびクラウドを設計・

   構築するサービス「IBC-Integration」の拡大に努めてまいります。

    パートナー企業との連携により、ネットワークやサーバー構築に特化した専門部隊を編成し、さまざまな規模の

   案件に対応できる体制を整備・拡充しており、本事業をトリガーに「System Answerシリーズ」事業のライセンス

   販売や次世代MSPサービス「SAMS」等の他事業への展開による規模拡大を目指して参ります。

 

   ⑤ デジタルマーケティングの導入

    働き方改革によるワークスタイルの変化・リモートワークの増加等を背景に、多様化するお客様の動向や購買活

   動に合わせたwebマーケティング活動が必要となってきました。お客様毎に必要となる情報を抽出するマーケティ

   ングオートメーションツールを使ったデジタルマーケティングにより、お客様に満足いただける情報の提供を展開

   してまいります。

    また、様々なステークホルダーの皆様へ情報を提供する観点から、ITに馴染みのない方にも当社の取り組みを分

   かりやすく伝えるためのブログ発信などの取り組みも進めてまいります。

 

   ⑥ 人材の確保と育成強化

    事業の拡大及び中長期的な成長のためには、より高い専門性を有する人材の確保とともに、既存社員の能力及び

   スキルの底上げが重要な課題となります。この課題に対処するために、有能な人材を採用するとともに、ネットワ

   ークやクラウドの資格取得に向けた育成を積極的に推進してまいります。

 

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、継続的な収益向上の為、売上高・売上総利益・営業利益の成長とともに、ROE(*)を経営指標として重視しております。

 (*)ROE(Return on Equity) 株主資本当期純利益率

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社グループは、環境保全・社会貢献に寄与できるクラウド、セキュリティ、AI等の最新技術を活用した競争力の高い製品開発事業を行っています。当社グループにとってのサステナビリティは、ビジョン「信頼と技術で、社会と共に成長する」のもと、企業や社会課題に対応することで、社会の持続可能な発展に貢献して、事業を展開していくことにあります。

 当社提供の製品を使用することにより、適切なリソース計画・配備が可能となり、ユーザは資金面(コストの削減)のみならず過剰なハード設備をすることが無くなり(物理的なIT資源の削減)環境負荷の低減が図れます。このように、当社の製品は、環境負荷の低減にも寄与しており、環境面でのサステナビリティの一助ともなっています。

 また、自らも社会、自然との共生を目指しております。2023年より脱炭素社会への貢献のために会社で使用する電気を全て再生可能エネルギーに変更するとともに、ペーパーレス化やリモートワークの活用を全社的に推進し、当期は前年比で55tのCO₂削減を図りました。その他、胡蝶蘭の栽培・販売を手掛ける「AlonAlonオーキッドガーデン(一般企業への就労が困難な障碍者への自立支援活動を行うNPO法人)」からの胡蝶蘭購入に切り替えるとともに、出資を行い資金面での支援を図るとともに、社員と障碍者との交流の機会を設けることで、社員がボランティア精神を持つ一人の人間として確立していくことを期待しています。地球環境や人々の暮らしに関する課題に取り組むことで持続的な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指します。

 

 (2)ガバナンス

 当社グループは、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本姿勢としています。事業活動を通じてステークホルダー(顧客、ビジネスパートナー、地域社会、株主・投資家、従業員)と良好な関係を築き、その期待に応えて企業価値を高め、持続可能で豊かな社会の実現に向けて貢献することが重要であると認識しています。

 企業価値の向上や持続可能な社会の実現には、事業活動における立ち振る舞いが常に社会的に適正なものでなければならず、コーポレート・ガバナンス体制が最も重要であると認識しています。当社グループでは会社法に基づく機関である株主総会、取締役会及び監査役会を設け、事業運営に対する適切な管理・監督を実行しています。また、高い専門性と豊富な実務経験を有する独立した社外取締役及び社外監査役が取締役会において監督機能を発揮して、的確なアドバイス等を提供しています。

 会社法で定められた機関のほか、当社グループではコンプライアンス委員会及び情報セキュリティ委員会を設けています。また、外部からのリスク等が発生し、全社的に対応が重要である場合は、代表取締役社長を管理統括責任者とする緊急事態対応体制をとることとし、特定の緊急事態が発生または発生が予想される場合は、緊急事態対策室を設置することとしています。サステナビリティの観点で各委員会は次のような役割を果たしています。

 コンプライアンス委員会は、常勤取締役および監査役で構成され、法令・規則及び社内規程・就業規則等をよく認識して、コンプライアンスに関する方針や背策について協議し、全社をあげてコンプライアンス違反等の発生を防止する体制をとっています。

 情報セキュリティ委員会は、担当役員、情報セキュリティ責任者、各部門長で構成され、当社の企業活動の基盤に深く関係している情報セキュリティに関して的確な運用し、当社グループの情報資産を経営活動に適正かつ有効に活用するため、情報セキュリティに関する行動規範を示し、高い情報セキュリティレベルを確保することにより、経営に寄与する体制をとっています。

 以上のような形で、ガバナンスを確保しておりますが、今後も必要な体制を図り、不断の見直しにより、その時々の要請に合致した体制を構築し、実施してまいります。

 

 (3)人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針

 当社グループの人材の育成及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。

 まず、人的資本に関して、当社グループは、持続的な成長のためには中長期的に多様で優秀な人材の採用及び育成が不可欠であると考えています。継続的な成長のためには、高度な技術を保有する優秀な人材を将来にわたって確保する必要があり、加えて、様々な価値観や技術が組織内に存在するようになるよう多様な人材を確保し、新しい事業やサービスを開発する契機としたいと考えています。

 また、人材の育成に関しては、様々な教育・研修の機会を設けています。当社グループのビジョンを実現すべく、一人ひとりがプロとしての倫理観と実行力を備えたプロフェッショナル集団になるべく、個々の能力開発を進め、チーム力を高め、お客様への最大貢献を果たすべく、当社グループの価値基準を有した人材を育成方針として、中長期的に会社の業績に貢献できるようになることを目指しています。

 社内環境整備につきましては、在宅勤務制度、育児・介護休業制度、短時間勤務制度など従業員の状況に応じた、柔軟な働き方が選択できるよう制度の整備を行ってきました。年齢・性別で区別することなく、従業員それぞれが適切な業務機会が得られて能力発揮ができるよう、現状の制度の見直し・改良にも取り組む所存です。その一環として、2024年4月より、家庭に特別事情を抱えながら仕事と家庭を両立している従業員(同居する3歳に達するまでの子を養育する従業員や介護認定を受けた同居の家族を介護する従業員など)に対し、就業支援の目的で「両立支援手当」を支給する制度を制定しました。また、従業員のキャリアアップや将来にむけたライフプランを積極的に支援する目的で給与のベースアップを行うこととしました。

 また、当社は今後の取り組みとして以下2点を重点的に取り組んでまいります

①子育てサポート企業「くるみん認定」取得に向けた行動計画の推進

 従業員へのヒアリング/要望/アンケートの実施、ノー残業デーの設置検討、学校行事休暇等の設置検討、

 男性の育児に関する休暇取得推進等

②従業員エンゲージメント向上に向けた調査、分析、行動

 ・エンゲージメント診断(アンケートから組織の状態、従業員の状況を数値化)

 ・管理職へエンゲージメント結果のフィードバック

 ・マネジメント研修(施策立案含)

 ・施策実行

 

(4)リスク管理

 当社グループは、経営上および事業上のリスクについて、リスクが発生した場合、またはその発生が予想される場合は、代表取締役を中心とした対策室を設置して対応することとしています。また、法令・規則等の違反等に関するりすくに関しましては「コンプライアンス委員会」がその任を担っており、情報セキュリティ関連のリスクに関しましては「情報セキュリティ委員会」が中心となってリスク対策を検討し実施しています。

 

(5)指標及び目標

 当社グループは、事業を通じて社会に貢献し、常に期待される企業を目指すことを第一の目標としています。今後もこうした理念の具体化に向けた事業活動を続け、サステナビリティに係る課題解決に努めてまいります。企業価値向上に向けて当社グループの戦略は、サステナビリティにおける重要課題について指標とリスクを明確化し対応を推進しております。

 

 

重要課題

指標

リスク

対策

企業価値向上

ユーザの物理的

IT資源の削減

System Answer

売上

お客様IT資源の膨張に伴うCO2増大

ITシステムの運用監視状態から最適な構成を提案、導入

環境負荷の低減

CO₂削減施策数

投資コストの増加、

規制の変化への対応

予防、対策および予見の共有

社内環境整備の充実

施策対応件数

従業員の流出、学生から選ばれない企業

経営・従業員視点及び他社事例から施策立案・規定化・実行

従業員エンゲージメント向上

 エンゲージメントスコア

モチベーション低下、従業員の流出、マネジメントの低下

エンゲージメント診断結果およびES委員会から施策を支援、実行

 

 

 2024年9月期においては、環境負荷の低減からペーパーレス化の推進、また、社会的な課題である子育てサポートや従業員のエンゲージメントの向上をテーマに活動を行いました。ペーパーレス化の推進では、コピー用紙の購入枚数を抑制し、従業員への意識づけを行っています。社内環境整備の充実の推進では、経営・従業員視点及び他社事例から施策を立案して実行いたしました。このほか、柔軟な働き方が可能となるような制度を立案して、社内環境を整備してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)事業環境及び事業活動等に関するリスクについて

   ① 特定の製品への依存について

 2024年9月期において、当社グループの売上高のうち、主力製品であり、かつ利益率の高い「System Answer G3」等のライセンス販売による売上高の割合が47.4%となっており、これらの製品において有力な競合が出現すること等により売上高が減少し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② ライセンス契約の更新率について

 当社は、「System Answer G3」等をライセンス販売しており、機能追加等によるバージョンアップを適宜実施し顧客に安心して継続的にご利用いただける環境構築に努めております。その結果、直近のライセンス更新率は高い水準で推移しておりますが、今後、契約更新率が急激に低下するような場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ 業績の季節偏重について

 当社は、案件進捗管理を行うことで売上計上時期が平準化するように努めておりますが、顧客の検収時期の影響を受けて、第1四半期連結会計期間において低くなる傾向があります。また、販売費及び一般管理費は会計年度末以外は、ほぼ一定額の発生であることから、営業利益につきましても第1四半期連結会計期間において低くなる傾向があります。なお、当連結会計年度における各四半期連結会計期間の売上高及び営業損益は以下のとおりであります。

 

当連結会計年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)

 

第1四半期

連結会計期間

第2四半期

連結会計期間

第3四半期

連結会計期間

第4四半期

連結会計期間

通期

 

金額

(千円)

比率

(%)

金額

(千円)

比率

(%)

金額

(千円)

比率

(%)

金額

(千円)

比率

(%)

金額

(千円)

比率

(%)

売上高

393,201

18.0

581,071

26.6

575,872

26.4

634,513

29.0

2,184,658

100.0

営業利益

▲17,376

▲4.5

152,145

39.8

146,542

38.3

100,964

26.4

382,276

100.0

(注)1.比率は、通期に対する四半期連結会計期間の割合です。

2.四半期連結会計期間の数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく四半期レビューは受けておりません。

 

 ④ 長期売上債権の与信リスクについて

 当社のライセンス販売の一部の取引については、契約期間に基づき長期にわたり代金を回収する取引があります。当社では、与信リスクの低減を図るために与信管理関係の規程整備や債権管理システムを導入する等施策を講じておりますが、取引先の信用状況の悪化や経営破綻等が発生した場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2024年9月30日現在において回収予定日が1年超の当社グループの売上債権残高は19,923千円あり、売掛債権全体の3.0%を占めております。

 

 ⑤ 景気変動、業界動向による顧客のシステム投資環境の変化について

 セキュリティ強化、「働き方改革」の進展及びデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進・展開等の社会的な要因によるITインフラ投資の加速やクラウド利用の拡大を背景にIT業界は継続的に成長しており、当社の「System Answer シリーズ」の今後の販売も順調に推移するものと見込んでおります。また、サービスの提供(ネットワークコンサルティング等)についても堅調に推移するものと見込んでおります。

 但し、景気変動や業界動向の急激な変化により、顧客のシステム投資の環境が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑥ 製品の不具合(バグ等)の発生可能性について

 当社グループは、顧客から喜ばれる製品やシステムの性能/情報分析に係るサービスを念頭に置いて製品の開発及び改良を行っており、不具合等の発生防止に日頃から努めておりますが、一般的にソフトウエア製品は高度化、複雑化すると、不具合を完全に解消することは不可能と言われており、当社グループの製品においても、各種不具合が発生する可能性は否定できません。現時点まで当社グループの責任による不具合の発生により、業績に多大な影響を与えたことはありませんが、製品や提供サービスに致命的な不具合が発生し、その不具合を適切に解決できない場合、当社グループの信用力が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑦ 知的財産権について

 当社グループは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に細心の注意を払って事業活動を行っておりますが、IT分野における急速な技術進歩やグローバル化により、当社グループの事業領域における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であります。現在までのところ、当社グループの認識する限り、第三者の知的財産権を侵害したこと、及び侵害を理由とした損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後当社グループの調査・確認漏れ、不測の事態が生じる等により、第三者の知的財産権に抵触する等の理由から、損害賠償請求や使用差止請求等を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑧ 情報の取扱いについて

 当社グループは、情報セキュリティ及び情報保護を経営の最重要課題の一つとして捉え、情報セキュリティ基本規程を定め、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしております。しかし、万一情報漏洩などの事故が発生した場合には、損害賠償等による予期せぬ費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑨ 技術革新について

 ネットワーク関連機器の技術革新は日進月歩で進化しており、当社グループでは、顧客ニーズに適時に応えることができる技術力の保持と迅速なサービス提供を目指しておりますが、対応の遅れによっては当社のライセンス製品の更新率やサービスの提供率が低下する等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑩ 災害等について

 当社グループでは、地震を含めた防災対策を徹底しており、当社の最重要資産であるソースコード等のデータは、本社から離れた場所にファイルサーバーを設置しバックアップを取得することで、地震により本社が被災した場合でも通常営業ができるように備えております。しかし、予想を超える大規模な災害が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑪ 半導体サプライチェーン等について

 当社の事業領域はネットワーク等を中心としたITインフラであり、当該ITインフラは半導体を多数利用したハードウェアにより構成されております。これらのITインフラのハードウェアは一定の耐用年数を経過すると劣化するため、常時ハードウェアのリプレース等にITインフラが支えられております。

 しかしながら、今後サプライチェーンの停滞や分断等により、ハードウェアの供給に支障が生じて取引先のITインフラが整わない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

  (2) 事業の運営体制に関するリスクについて

 ① 特定人物への依存について

 当社の創業者であり、創業以来の事業推進者である代表取締役社長CEO加藤裕之は、当社グループ事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定など、当社グループの事業活動全般において、極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは、幹部職員の拡充、育成などに取り組んでおりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 ② 内部管理体制の強化・充実について

 2024年9月30日現在における当社の組織は、取締役7名、監査役3名、従業員80名と比較的小規模であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。今後の持続的な成長を実現させるために人員増強を図るとともに人材育成に注力し、内部管理体制の一層の強化、充実を図っていく方針ではありますが、これらの施策が適時適切に行えなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績等の状況の概要

① 当連結会計年度の経営成績の概況

 当連結会計年度の業績は、売上高は2,184,658千円(前期比14.9%増)、営業利益は382,276千円(前期比80.1%増)、経常利益は411,412千円(前期比75.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は251,575千円(前期比257.5%増)と増収増益となりました。

 事業別では、主力のライセンス売上(自社開発運用管理ソフトウェアSystem Answerシリーズ)は、1,035,059千円(前期比22.6%増)となり大幅伸長をする事が出来ました。自治体や製造業を中心に新規ユーザが増加した事や、既存ユーザの更新も96%のお客様から契約更新を頂いた結果です。次に、サービス売上(運用管理のクラウドサービス、セキュリティサービス、ネットワークサービス他)は、663,867千円(前期比6.8%増)、物販事業売上は392,099千円(前期比37.6%増)となりました。

 私達アイビーシーは「IT障害をゼロにする」をミッションとして豊かな安定した社会の実現に貢献すべく、クラウド、セキュリティ、AI等の最新技術を活用した競争力の高い製品開発に継続して努めております。SDGsの一環として、2023年より脱炭素社会への貢献のために会社で使用する電気を全て再生可能エネルギーに変更するとともに、ペーパーレス化やリモートワークの活用を全社的に推進し、当期は前年比で55tのCO₂削減を図りました。また、胡蝶蘭の栽培・販売を手掛ける「AlonAlonオーキッドガーデン(一般企業への就労が困難な障碍者への自立支援活動を行うNPO法人)」からの胡蝶蘭購入に切り替えるとともに、出資を行い資金面での支援を図るとともに、社員と障碍者との交流の機会を設けることで、社員がボランティア精神を持つ一人の人間として確立していくことを期待しています。

 事業環境は先述の世界情勢の影響で不透明な状況はありますが、本会計年度の勢いを継続させ、翌会計年度においても増収増益を目指し推進してまいります。

 

② 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、3,329,495千円(前連結会計年度末は3,264,088千円)となり、65,406千円増加しました。これは主に、現金及び預金が352,979千円、繰延税金資産が27,781千円、その他流動資産が21,656千円、それぞれ増加した一方で、投資有価証券が254,234千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、1,337,708千円(前連結会計年度末は1,436,894千円)となり、99,185千円減少しました。これは主に、契約負債が28,356千円、買掛金が15,867千円、それぞれ増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が59,978千円、長期借入金が50,018千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、1,991,786千円(前連結会計年度末は1,827,194千円)となり、164,592千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い、利益剰余金が196,280千円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が31,688千円(前連結会計年度末は54,446千円)減少したことによるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,974,717千円となり、前連結会計年度末に比べ352,979千円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは354,419千円の収入(前連結会計年度は431,645千円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益293,290千円、投資有価証券売却損131,641千円により資金が増加した一方で、売上債権の増加20,162千円、持分法による投資損益18,184千円により資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは164,523千円の収入(前連結会計年度は76,363千円の支出)となりました。この主な要因は、保険積立金の解約による収入187,796千円、投資有価証券の売却による収入115,103千円により資金が増加した一方で、保険積立金の積立による支出72,833千円、無形固定資産の取得による支出40,643千円により資金が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは165,963千円の支出(前連結会計年度は139,860千円の支出)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出109,996千円、配当金の支払55,049千円により資金が減少したことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

イ 生産実績

 当社グループは、生産活動は行っていないため該当事項はありません。

 

ロ 受注実績

 当社グループの事業は、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であります。したがって、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

 

ハ 販売実績

 当社グループはソフトウエア・サービス関連事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、当社グループの売上高の大半を占める当社におけるネットワークシステム監視関連事業に係る販売実績を提供区分別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ライセンスの販売

1,035,059

22.6

サービスの提供

663,867

6.8

その他物販等

392,099

37.6

合計

2,091,026

19.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 財政状態の分析

当社グループの財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成

績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載のとおりであり

ます。

 

ロ 経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度において、売上高2,184,658千円の主な内容は、アイビーシー株式会社におけるネットワークシステム監視関連に係る業績であります。なお、当社グループの当連結会計年度における売上高の詳細は次のとおりであります。

 ライセンスの販売については、ライセンス更新時期のお客様の96%がSystem Answerをそのまま更新していただけたとともに、パートナー様経由での新規案件の獲得により伸長しました。また、System Answerから抽出した既存ITインフラの課題からネットワークの見直しやセキュリティ対策等のビジネス案件を数多く頂くことができ、その結果、ライセンス販売については売上高1,035,059千円(前期比22.6%増加)、サービスの提供については売上高663,867千円(前年比6.8%増加)、その他物販等については売上高392,099千円(前期比37.6%増加)となりました。

 

(売上原価)

 当連結会計年度において、売上原価は598,319千円(前期比33,434千円の増加)となりました。主に、アイビーシー株式会社におけるライセンスおよびサービスの前期比売上増にともなう売上原価の増によるものです。その結果、売上総利益は1,586,339千円(前期比250,338千円の増加)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は1,204,063千円(前期比80,274千円の増加)となりました。販売費及び一般管理費について主なものとして、給与手当及び賞与が458,172千円(前期比36,944千円の増加)、派遣社員費73,876千円(前期比12,306千円の増加)社内システム費59,982千円(前期比16,536千円の増加)及び賃借料18,299千円(前期比7,818千円の増加)によるものであります。その結果、営業利益は382,276千円(前期比170,063千円の増加)となりました。

 

(営業外収益及び営業外費用)

 当連結会計年度において、営業外収益は51,630千円(前期比26,101千円の増加)、営業外費用は22,493千円(前期比18,897千円の増加)となりました。営業外収益及び営業外費用について主なものとして、保険解約返戻金31,890千円、持分法による投資利益が18,184千円(前期比6,278千円の増加)によるものであります。

 その結果、経常利益は411,412千円(前期比177,267千円の増加)となりました。

 

(特別利益及び特別損失)

 当連結会計年度において、特別利益は13,519千円(前期比13,519千円の増加)、特別損失は131,641千円(前期比37,094千円の増加)となりました。特別利益及び特別損失について主なものとして、投資有価証券売却損131,641千円を計上した結果によるものであります。その結果、税金等調整前当期純利益は293,290千円(前期比153,692千円の増加)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は41,715千円(前期比27,512千円の減少)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は251,575千円(前期比181,205の増加)となりました。

 

 ハ 経営戦略の現状と見通し

 当社は自社開発の情報管理/性能監視ソフトウエア「System Answer シリーズ」の機能拡張やサポート強化によるITインフラ性能支援に加え、顧客のITインフラ環境へのセキュリティ診断や各種ソリューション提供を強化し、総合的なITインフラ運用支援により事業の顧客提供価値を一層高めてまいります。また、次世代に対応する開発製品への投資および人財への投資をより一層強化し、中長期的な成長の実現を目指します。

 2025年9月期の個別業績予想といたしましては、売上高2,400百万円(当期比9.9%増加)、営業利益450百万円(当期比17.7%増加)、経常利益482百万円(当期比17.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は358百万円(当期比42.3%増加)を見込んでおります。

 翌期において連結対象子会社の重要性が低下するため、従来の連結業績予想に代わり個別業績予想を記載しております。

 

 なお、上記に記載した予想数値は、現時点で入手可能な情報に基づいており、実際の業績等は、今後様々な不確定要素により大きく異なる可能性があります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社は、中長期的に持続的な成長を図るため、従業員等の採用に係る費用、人件費、その他営業費用への資金需要があります。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、経常的な運転資金や事業規模拡大による設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により調達された資金を財源としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。