当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業以来、「住宅産業を通じて、お客様、社会、会社という『三つの人の公』の為に、物質的・精神的・健康的な豊かさの人生を創造する」ことを企業使命感としております。この企業使命感に基づき、お客様第一主義を基本理念とし、社会資本の充実をもたらす住宅のあらゆるニーズに対応すべく、同業他社に先駆けて省エネ住宅及び福祉住宅の普及や商品開発などの事業展開を図ってまいりました。これまでに培った技術力により高断熱・高気密・高耐久で健康的かつ地球にやさしい住宅の提供などの取組みを行っております。
これらの取組みは、2015年に国連サミットで採決された「持続可能な開発目標(SDGs)」にも通ずるものと認識しており、事業活動を通して、SDGsの達成に貢献できるものと考えています。
今後も、この方針は変わることのない企業の哲理として遵守し、継続した実践を行ってまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画(2022年10月期~2024年10月期)において、計画の最終年度となる2024年10月期に売上高380億円、営業利益12億円、ROE6.0%、売上棟数900棟を定量目標として掲げております。主力事業である住宅事業において施工回転率の高い規格住宅「LIZNAS」の売上棟数の伸長を始めとし、各事業における収益性の向上等により、目標達成に向け、業務に取組んでまいります。
(3)経営環境
今後のわが国経済の見通しにつきましては、社会経済活動の正常化により緩やかな回復基調が続くことが期待されますが、物価上昇や世界的な金融引き締めによる影響など、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
北海道経済においては、個人消費に持ち直しの動きがみられ、Rapidus株式会社の半導体工場の建設及び産業集積による経済波及効果への期待や、GX(グリーントランスフォーメーション)投資の積極的な誘致を行う共同事業体の発足による投資機運の高まりなど明るい兆しが見え始めました。
当社グループの属する住宅・不動産業界におきましては、新設住宅着工戸数の貸家は底堅く推移しておりますが、住宅取得価格の上昇による取得マインドの低下や、住宅ローン金利の先高観、働き方改革への対応など事業環境の厳しさは増大するものと思われます。一方で、政府による省エネ住宅の普及の推進や、エネルギー価格高騰に伴う光熱費の上昇などから省エネ住宅へのニーズが高まっております。また、省エネ化等に伴う建築物の重量化に伴い、2025年4月から4号特例の縮小が予定されており、戸建て住宅を始めとした小規模建築物に対しても構造検査を義務付けられ、構造安全性の確保が図られるなど、事業環境が大きく変化しております。
(4)中長期的な経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、これまで主力事業である住宅事業を中心に、培ってきた技術力を活かした商品を数多く開発し、事業領域・事業エリアを広げることで事業拡大を図ってまいりましたが、2018年度より事業構造の転換に着手いたしました。各事業領域での専門性の向上、グループ事業会社間でのシナジー強化を推進するとともに、ビジネスモデルの再構築を図り、「注文住宅」と「規格住宅」の2ブランド制を導入いたしました。また、中部・関西からの撤退による積雪寒冷地域への経営資源の集中など、持続的成長に向けた事業基盤を構築いたしました。
これらの事業基盤を基礎とし、将来の事業環境を踏まえ、2022年10月期から2024年10月期を対象とする中期経営計画を策定いたしました。企業理念のもと、北海道の厳しい気象環境で鍛え上げられた、木の特性を活かした高断熱・高気密・高耐久の住宅建築技術を日本全国に広め、脱炭素社会の実現に貢献するため、段階的に輸入材から国産材への切り替えや提供する住宅の全棟ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)化に向けた取組み等、住宅を通じてCO2を削減することで「豊かさの人生を創造」してまいります。
また、「北海道を中心に積雪寒冷地域でのNo.1住生活総合企業へ」を基本方針として、事業環境の変化に対応し、安定した経営体制の構築に向け、住生活総合企業として、住宅・リフォーム・不動産の各事業の連携を深め、ドミナント戦略により当社グループの強みが活かせる重要地域へ集中的な拠点展開を推進することで、ブランド力の向上及びシェア拡大を図ってまいります。併せて、当社グループとのシナジー効果の期待できる他企業とのアライアンスを推進し、プレゼンスの向上を目指してまいります。
セグメント別の取組みは次のとおりであります。
(住宅事業)
政府の主導による省エネ住宅の普及に向けた各種取組みが推進されており、加えて、光熱費の上昇などから省エネ住宅へのニーズが高まっており、建築物省エネ法改正により厳格化された断熱等性能等級7に対応した、旗艦ブランドである注文住宅「CARDINAL HOUSE」、セカンドブランドである規格住宅「LIZNAS」をデジタルマーケティングの強化により受注拡大を図ってまいります。
また、住宅取得価格の上昇による賃貸住宅の底堅い需要など、市場環境は大きく変化しており、脱炭素社会の実現に貢献すべく、木の快適性、居住性が享受でき、木造により建築コストを低減できる木造4階建てマンション「LAPEACE」の新たなニーズの創出に努め、今後、新しい事業の柱としてさらに成長させるなど、付加価値の高い商品の展開により、市場のニーズに対応してまいります。
(リフォーム事業)
政府によるリフォームに対する税制優遇制度や各種補助金事業により、断熱リフォームを始めとした既存住宅の省エネ化が推進されており、高断熱、高効率換気を中心とした環境型リフォームに加え、マンション、オフィス・店舗などの非住宅分野のリフォームを推進し、省エネ改修へのニーズに対応するとともに、グループシナジーを活かし、グループの既存顧客とのリレーション強化を図ることで、事業機会の育成に努め、受注強化を図ってまいります。
(不動産事業)
不動産市況は堅調に推移しており、個人向け不動産売買・仲介に注力するとともに、分譲住宅の販売、分譲マンションを始めとした開発案件の推進に努め、既存の事業の更なる強化を推進してまいります。
一方で、人口の減少や少子高齢化などの社会構造的な課題など事業環境は大きく変化しており、新たに企業に対してCRE(企業不動産)戦略による企業価値向上に資する提案強化を推進し、事業環境の変化に伴う、新たなニーズへの対応を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、中期経営計画(2022年~2024年)基本計画を以下のとおり定めております。
ミッション
「住まいづくりを通して、お客様、地域、社員を豊かにする(Enrich People by Housing)」
当社グループの独自価値は「信頼性と安定性」、そして提供する価値は「最高級・北海道品質」の商品と、「誠実で誇り高い」社員の対応力であります。
ESG課題
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環境 |
国内トップクラスの 省エネ住宅の提供 |
高断熱・高気密・高耐久住宅の提供 |
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環境配慮型リフォーム |
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環境負荷の低減 |
温室効果ガス排出量の削減 |
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建築副産物の削減 |
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社会 |
労働環境整備と人財育成 |
多様なライフ環境に適応できる就業制度の確立 キャリアプランに即した教育システムの構築 |
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ダイバーシティと人権尊重 |
女性の活躍推進(管理職の登用、職域の拡大等) 多様な人財の活躍支援(障がい者、外国人等) |
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ガバナンス |
経営の透明性の向上 |
コーポレートガバナンスの体制改革と実効性強化 |
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コンプライアンス・リスク管理の徹底 |
法令順守、使命感経営を全てに優先する企業風土 |
3つの価値の向上
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企業価値 |
新ビジネスモデルの確立による持続的成長の実現 |
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組織価値 |
危機に強い経営体制の構築による経営の安定化と社員の豊かさの両立 |
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従業員価値 |
グループキャリアプランによる中堅若手社員の意欲向上とベテラン社員への生涯活躍の場の提供 新人事評価制度による評価の見える化と成長個人目標の共有 DX推進による業務の効率化と付加価値業務の拡充 |
(1)ガバナンス及びリスク管理
上記、ミッション、ESG課題及び3つの価値の向上のリスク及び機会を監視し管理するために5つのグループ横断会議を設置しております。
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会議体 |
ミッション |
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グループ エリア会議 |
同一地域におけるグループ会社拠点長により、グループ間シナジーの最大化を図る |
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グループ 総務会議 |
人事労務・総務分野における共通課題の取組を継続することで、グループ間シナジーの最大化を図る |
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グループ 技術会議 |
技術部門のグループ間シナジー強化による情報共有と統一可能内容の検討を図る |
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グループ 管理経理会議 |
グループ管理・経理全体の最適化、グループ資金管理システムの構築及びグループ資産の最大活用を図る |
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グループ DX会議 |
グループのビジネスやサービスの新たな開拓と価値向上にデジタル技術を活用し貢献する |
また、リスク及び機会を識別し、評価し、管理するために上記のグループ横断会議に加えリスク対策委員会を設置しております。
(2)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・人的資本・多様性
・気候変動
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①人的資本・多様性
「戦略」
当社グループにおいて、人財開発と後継者育成は企業の生命線であり、「企業は人なり」のとおり、会社が人を育成・開発するのは当然のことと考えております。人間には寿命があり優秀な幹部でも社長でも定年があり老齢化してまいります。その時に後継者が育っていなければ会社は存続できません。会社には永遠の生命があり、人財育成と後継者育成をたゆまず進めることで次代に引き継いで行ける体制が整います。このことから当社グループでは、以下のような世代別・役職別・職種別の研修など細部にわたり、義務教育として育成等を行っておりますが、あくまでも基本となるのは個人のやる気「自己啓発」であります。自立した人間としてあるべき姿や充実した人生をどのようにして送るか、自分の人生にとって悔いのない仕事をどのようにしていくか、といった視点からの学びを継続しております。
当社グループの特徴の一つに「3KM生涯幸福設計」があります。これは創業者土屋公三がアメリカの心理学者A・マズローの「欲求階層理論」を発展させ開発したものであります。「3KM(スリーケーエム)」は、個人・家庭・会社、MARK・MANEGEMENT・MOTIVATIONの頭文字から名付けたものであり、短期的・中期的・長期的目標を設定して、個人の人生、家庭の幸せ、会社の繁栄を、それぞれ別々なものではなく、一体化して具現化につなげていく教育プログラムであります。個人・家庭の競争の世界ではない人生目標から順に入り、会社の目標であるところのお客様に尽くすための同業者等のライバルとの競争に入って行き自己実現を目指します。
これらの社内環境及び人財の育成方針を通して、お客様・社会・会社に対して、物質的・精神的・健康的な「豊かさの人生を創造する」という当社グループの「使命感」を果たすことが、資本として永続的に活躍する「人」、多様性を踏まえた社会を創る「人」として重要であると考えており、今後も人財育成に努めてまいります。
当社グループの教育・スキルアップ体系の詳細
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区 分 |
名 称 |
対 象 者 |
目的と概要 |
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階 層 別 研 修 |
幹 部 研 修 |
役員基本研修 |
取締役・執行役員 |
変化に即応する経営戦略の策定と、強力なリーダーシップの習得。 |
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経営方針策定会議 |
取締役・執行役員 |
次年度経営戦略及び経営方針策定をテーマに討議・検討し経営者としての資質の向上を図る。 |
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新任支店長研修 |
任命後1年未満支店長 |
役員候補生としての業務内容や心構え、資質及びマネジメントの基礎理論の習得。 |
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支店長研修 |
支店長・所長 |
所属長としての資質及びマネジメント能力の向上。 |
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中 堅 社 員 研 修 |
幹部教室 |
主任職以上より社長選抜 |
幹部候補生としての経営全般にわたる基礎的知識の習得及び幹部としての人間的資質の研鑽。 |
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新任リーダー研修 |
任命後1年未満リーダー |
新任リーダーとしての心構えと実践方法の習得。創業者精神継承・メンバー育成・目標設定・行動管理の基礎を習得。 |
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階 層 別 研 修 |
新 入 社 員 研 修 |
新卒社員入社前 ガイダンス |
新卒採用内定者 |
使命感経営等会社概要説明と全社員セールス体制の理解。同期意識向上及び意思の疎通。 |
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新卒社員集合研修 |
新卒社員 |
社会人としての自覚の高揚と土屋グループの一員としてお客様•社会•会社に対しての責任感と創業者精神、全社員セールス体制を認識。 |
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新卒2年目社員 フォロー研修 |
入社2年目新卒社員 |
2年目社員としての心構えとマナー・営業スキル、技術商品特性等を教育。 |
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3年目社員 フォロー研修 |
入社3年目社員 (新卒・中途) |
リーダー社員を目指す実践力と基本動作、業績推進力の強化。 |
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正社員任用試験 |
試用期間経過社員 |
正社員としての素養、業績、標準行動量を役員面談・筆記試験を基に総合的に判断。 |
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職 種 別 研 修 |
営業系総合研修 |
営業社員 |
使命感経営実践のために営業的スキル、精神力向上を図る。 |
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技術系総合研修 |
技術系社員 |
各種法改正が進む中、情報を早く周知徹底し、施工の平準化、技術者レベルのさらなる向上を図る。 |
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管理社員研修 |
管理社員 |
各種法改正や業務における疑問点等を共有し、スキルアップを目指す。 |
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内勤営業研修 |
内勤社員 |
全社員セールス体制の確立と使命感経営実践のために営業実践スキル、精神力向上を図る。 |
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不動産実務研修 |
宅建有資格者 |
宅建有資格者を対象に業法の確認と実務に関する知識を習得し、共通の認識のもと業務に従事する体制を構築。 |
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モデルハウス スタッフ研修 |
モデルハウススタッフ |
モデルハウス来場者に対する万全な商品説明と営業活動を補佐する行動力の習得及び対応マナー、話法の習得。 |
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全 社 員 研 修 |
全社員 セールス体制研修 |
全社員 |
全社員セールス体制の確立と使命感経営実践のために営業的スキル、手法の向上。 |
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大いなる生き方 3KM研修 |
全社員 |
企業使命感達成の一環として、社員一人ひとりが個人・家庭・会社の3分野にわたり生涯幸福設計を行う。 |
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社内木鶏会 |
全社員 |
月刊『致知』を使った支店内勉強会を実施し、人間力の向上を図る。 |
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ホーム アドバイザー研修 |
全社員 |
商品知識・技術特性・資金管理等会社全般の業務内容を習得。 |
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「指標及び目標」
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、指標に関する目標及び実績(連結)は、次のとおりであります。
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指標 |
連結目標 |
連結実績(当連結会計年度) |
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管理職に占める女性労働者の割合 |
2030年10月期までに30%以上 |
8% |
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営業職に占める女性労働者の割合 |
2030年10月期までに30%以上 |
16% |
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労働者の男女の賃金の差異(注) |
2030年10月期までに66%以上 |
48% |
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中途採用者の管理職比率 |
2030年10月期も同水準の維持 |
60% |
(注)
②気候変動
「戦略」
当社グループは「豊かさの人生を創造する」ことを不変の理念とし、お客様が永く安心して過ごすことのできる、高性能・高品質な住宅づくりを行うことが社会課題の解決に資するという考えのもと、省エネ住宅の普及・促進することを目標としてまいりました。地球温暖化を始めとする環境問題への認識が高まるなか、建築物省エネ法改正により、断熱等性能等級の厳格化、2025年度以降に建築する建築物について省エネ基準への適合義務化など、政府による省エネ住宅の普及が推進されており、脱炭素社会実現に貢献することで、カーボンニュートラルのリーディングカンパニーを目指しております。
また、住宅建築の主な使用材料である木材の輸入には多くの温室効果ガスが排出されるため、環境に配慮した木材の調達を通じ、住宅建築の過程で排出される温室効果ガスの削減に取組むとともに、非住宅分野の木造化を推進し、CO2の固定化を図ることで企業活動における環境負荷の低減を積極的に行ってまいります。
環境問題への対応をビジネス機会として捉え、省エネ化・木造化による環境への貢献は当社ならではの取組みとして、差別化を図れる分野と考えており、重要課題として、「国内トップクラスの省エネ住宅の提供」及び「環境負荷の低減」の2つを抽出し、以下の取組みを進めてまいります。
「国内トップクラスの省エネ住宅の提供」
建築物省エネ法において、全国の気象条件に応じた断熱性能基準が設けられており、最も厳しい基準が定められている北海道で、国が定める省エネ住宅の基準よりも、暖房に用いる一次エネルギー使用量を51%削減することを可能にした住宅の提供。
「環境負荷の低減」
輸入木材の輸送に係るCO2の排出量は国産材の輸送に係るCO2排出量の10倍以上となっていることから、CO2排出量削減に向け、新築住宅の建築に使用する木材を輸入材から国産材100%へ切替えの取組み。
(2022年10月期実績20% 2023年10月期実績57%)
「指標及び目標」
当社グループは、環境課題と事業を一体的に推進することとし、抽出した2つの重要課題について、それぞれの目標・KPIを以下に定めております。
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重要課題 |
目標・KPI |
目標・KPI達成による効果 |
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国内トップクラスの 省エネ住宅の提供 |
ZEH割合(2025年度) 道内:95% 道外:70% |
国が定める省エネ住宅の基準よりも、暖房に用いる一次エネルギー使用量57%の削減効果 |
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環境負荷の低減 |
国産材使用率 2024年10月期:75% 2027年10月期:100% |
輸入木材の輸送に係るCO2の排出量 2024年10月期で69%、2027年10月期で92%の削減効果 |
今後、設置予定のサステナビリティ委員会において、全社横断的な統括を行い、測定したCO2排出量(スコープ1,2)の分析・調査を行い、具体的な施策や目標設定をし、サステナビリティの促進に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法的規制について
当社グループの行う事業については、建築基準法、製造物責任法、住宅品質確保促進法、宅地建物取引業法、都市計画法、国土利用計画法等の法的規制を受けており、これらの関係法令の規制が強化された場合は、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。当社グループの主たる事業におきましては、建設業法の許可・建築士法による事務所登録・宅地建物取引業法の免許等の許認可に基づき事業を行い、建築基準法・都市計画法・国土利用計画法・住宅品質確保促進法・PL法・下請法等様々な関係法令の規制を受けております。
今後、これら法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられた場合、また、何らかの理由により免許及び登録の取消・更新欠格による失効等があった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおきましては、リスク管理委員会及びリスク対策委員会という二段階のリスクマネジメント体制により、事業活動を行ううえで必須の諸法令の遵守に対応しております。今後これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられた場合にも当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすことがないような体制の構築に努めてまいります。
(2)政府の政策や市場状況について
当社グループの主要事業である住宅事業の主たるお客様は、個人のお客様であることから、雇用状況や所得の動向に影響を受けやすく、政府による住宅関連の政策、消費税等の動向、今後の金利の上昇または景気の回復の状況によっては、受注及び売上高が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対策としまして、毎月の取締役会において政府の政策や市場状況等に関してモニタリングを行い、リスクの軽減に努めております。
(3)原材料及び資材価格の変動について
当社グループの住宅事業及びリフォーム事業における資材等の調達は、各購買部署において安定的な調達価格を維持すべく交渉管理を行っておりますが、主要材料の木材、その他原材料及び資材価格等が為替その他の要因にて急激に上昇し、販売価格に転嫁が困難な場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)住宅の品質管理及び保証について
住宅事業、リフォーム事業におきまして、法定の10年保証に加え有料含め最長20年の保証があり、お得意様向けに「お客様相談室」を設置し広くお客様の相談に対応するなど、品質管理には万全を期しておりますが、販売した物件に重大な瑕疵があるとされた場合には、直接的な原因が当社以外の責任によるものであったとしても、売主として瑕疵担保責任を負う可能性があります。その結果、保証工事費の増加や、当社の信用の毀損等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)季節変動について
当社グループは、冬期間をカバーするための平準化を目指して対策を講じておりますが、北海道及び東北地区での売上が全体の7~8割を占めており、冬期間に販売及び施工が落ち込む傾向にあり、売上高が上半期に比べ下半期に集中するという傾向があります。
また、特異な気象条件等にも影響を受けることから、季節要因などにより業績に変動が生じる可能性があります。当連結会計年度の売上高及び営業損益の季節変動は、次のとおりであります。
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第1四半期 (千円) |
第2四半期 (千円) |
上半期 (千円) |
第3四半期 (千円) |
第4四半期 (千円) |
下半期 (千円) |
通期 (千円) |
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売上高 |
5,478,212 |
8,026,066 |
13,504,279 |
7,168,745 |
13,730,739 |
20,899,484 |
34,403,763 |
|
通期比率 (売上高) |
16.0% |
23.3% |
39.3% |
20.8% |
39.9% |
60.7% |
100.0% |
|
営業損益 |
△ 805,429 |
18,842 |
△ 786,587 |
△ 130,947 |
1,310,702 |
1,179,754 |
393,166 |
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通期比率 (営業損益) |
△ 204.9% |
4.8% |
△ 200.1% |
△ 33.3% |
333.3% |
300.1% |
100.0% |
(6)自然災害について
大規模な自然災害が発生した場合、工場や支店などの施設の回復費用や事業活動の中断による損失、顧客住宅の点検費用、原材料の供給不足、その他不測の事態に対する費用等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。しかしこれらは自然災害であるため、リスクが顕在化する可能性の程度や業績への影響の程度を見積もることは困難ですが、当社グループでは、「土屋グループ事業継続計画書(BCP)(防災計画書)」、「土屋グループ防災マニュアル」を策定しており、安否確認システムの導入、防災訓練の実施、必要物資の備蓄、また大規模停電による本社機能喪失を想定したデータ保存の二重化等の対策を行っております。
(7)コンプライアンスについて
当社グループ役職員には、コンプライアンス意識の徹底のために、役員幹部に対しては、コンプライアンス研修を開催しております。社員につきましてもeラーニングを利用した研修を行うとともに、コンプライアンスカードを配布し、コンプライアンス相談窓口(外部窓口、内部窓口)の周知を図っております。しかしながら、コンプライアンス違反が発生した場合には、損害賠償訴訟などの法的責任や、信用失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)顧客情報の機密保持について
当社グループは、顧客に関する個人情報や機密情報を保有しており、コンピューターウイルスの侵入やサイバー攻撃による個人情報・機密情報の漏洩・改竄を防止するために、社内外からのアクセス制御システムを強化するとともに、当社グループ役職員に対してeラーニング等によりITリテラシーの向上を図っております。
しかしながら、万一情報漏洩が発生した場合は、お客様・取引先からの損害賠償請求や、当社グループの信用を大きく毀損し、今後の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)減損会計について
当社グループの固定資産に、将来において経営環境の著しい悪化等により重要な減損損失を認識した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
この対策としまして、「土屋グループ減損会計マニュアル」に基づき毎年定期的にモニタリングし、資産価値の適正評価に努めております。
(10)販売用不動産・投資有価証券等の価格変動について
販売用不動産・投資有価証券等の保有資産の時価が著しく下落した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
この対策としまして、販売用不動産に関しては「土屋グループ棚卸資産の評価基準」に基づき毎年定期的にモニタリングしており、投資有価証券に関しては、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」に記載のとおり対応しております。
(11)感染症による影響について
当社グループは、新たな感染症の発生及び拡大が発生した場合、速やかに対応が可能な体制を整備しており、テレワーク等の安全対策を施しています。また、感染者又は濃厚接触者になった場合の対処方法をグループ全体に発信し、職場内のクラスター発生の抑止に努めるとともに、営業活動に関しましても状況に応じて、WEBを活用した非対面型の実施による事業への影響を最小限に抑えるよう対策を講じてまいります。
現時点では、当社グループの事業に与える大きな影響はございませんが、感染症の影響から、受注の大幅な減少や、工事の進捗遅延が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
正常化による回復傾向が続いておりますが、ウクライナ情勢の長期化や円安の進行に起因した原材料・エネルギー価格の高騰による物価上昇、世界的な金融引き締めによる国内景気の下振れリスクなど、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する住宅・不動産業界におきましては、建材・住設機器の価格上昇に伴う住宅取得価格の上昇から取得マインドが低下し、新設住宅着工戸数の持家及び分譲住宅の一戸建て住宅は前年同月割れが続くなど、厳しい事業環境が続いております。また、住宅ローン金利は低水準を維持しているものの、今後の動向については引き続き注視していく必要があります。一方で、脱炭素社会の実現を背景に、建築物省エネ法改正により、断熱等性能等級の厳格化、2025年度以降に建築する建築物について省エネ基準への適合義務化など、政府による省エネ住宅の普及が推進されております。併せて、エネルギー価格高騰に伴う光熱費の上昇などから省エネ住宅へのニーズが高まっております。また、省エネ化等に伴う建築物の重量化に伴い、2025年4月から4号特例の縮小が予定されており、戸建て住宅を始めとした小規模建築物に対しても構造検査を義務付けられ、構造安全性の確保が図られるなど、事業環境が大きく変化しております。
このような状況において、当社グループは、「豊かさの人生を創造する」という企業使命感を経営の軸に据え、2024年10月期を最終年度とする中期経営計画の方針に沿って、北海道中心に積雪寒冷地での「NO.1住生活総合企業」へ向け、環境課題と事業を一体的に推進することで、脱炭素社会の実現に貢献し、カーボンニュートラルのリーディングカンパニーとなるべく、各種施策に取組み、2022年12月に2022年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)最高賞「経済産業大臣賞(ZEB・ZEH分野)」を受賞いたしました。これまでの省エネ住宅供給や一貫施工管理体制、自社大工育成への取組み、断熱性能基準において最高基準の新製品「CARDINAL HOUSE BES-T019」の開発などが評価されました。また、2023年10月に、住宅づくりの楽しさと高い住宅性能が共存した規格住宅を開発した取組みが高く評価され、規格住宅「LIZNAS AND SELECT」が2023年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。事業環境の変化に先行した、省エネ住宅の普及、全棟構造計算実施による耐震強度の確保など、付加価値の高い商品の展開及び商品価値に基づいた適正価格での受注に努めております。
また、当社グループは2023年3月に「サステナビリティ経営方針」を策定し、事業活動を通じた社会課題解決への取組みについて第三者機関及び金融機関において評価を受け、ポジティブ・インパクト・ファイナンスによる融資を受けることができました。激甚化する環境問題、変動する社会課題や企業の社会的責任の重要性の高まりに対応すべく、サステナビリティへの取組みを一層強化しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の財政状態のうち、総資産は、流動資産の増加(主に分譲マンション用地取得などによる販売用不動産の増加)により、249億68百万円となり、前連結会計年度末と比較して33億22百万円の増加となりました。
負債につきましては、固定負債の増加(主に長期借入金の増加)により126億29百万円となり、前連結会計年度末と比較して30億77百万円の増加となりました。
純資産につきましては、利益剰余金の増加等により123億39百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億45百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の経営成績は、売上高は344億3百万円(前連結会計年度比0.9%減)売上総利益率の改善により、営業利益3億93百万円(前連結会計年度比165.2%増)、経常利益4億28百万円(前連結会計年度比87.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期において固定資産の譲渡に伴う特別利益を計上した反動減及び法人税等調整額49百万円を計上したことから、2億33百万円(前連結会計年度比1.3%増)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(住宅事業)
住宅事業においては、受注棟数が前年同期を下回ったことから売上高は218億29百万円(前年同期比2.3%減)、利益面では、戸建て注文住宅の1棟当たり販売単価の上昇、売上総利益率の改善による売上総利益の増加及び販管費の抑制に努めたことから営業利益は2億94百万円(前年同期は営業損失2億71百万円)となりました。
(リフォーム事業)
リフォーム事業においては、受注高が下期以降低調に推移し、前年同期を下回ったことから売上高は42億28百万円(前年同期比3.7%減)、利益面では、売上高の減少に伴う売上総利益の減少に加え、業容拡大に向けた人材投資による販管費の増加から営業利益は24百万円(前年同期比59.1%減)となりました。
(不動産事業)
不動産事業においては、第4四半期に予定しておりました分譲マンションの引渡は順調に進みましたが、仲介事業が低調だったことから売上高は84億71百万円(前年同期比1.2%減)、利益面では、仲介手数料収入の減少に伴う売上総利益の減少から営業利益は2億15百万円(前年同期比59.7%減)となりました。
(賃貸事業)
賃貸事業においては、売上高は5億39百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は1億34百万円(前年同期比5.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億86百万円増加し、31億30百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、18億58百万円(前連結会計年度は22億41百万円の使用)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益4億16百万円及び販売用不動産の増加額25億89百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、2億82百万円(前連結会計年度は4億43百万円の使用)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出1億88百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により取得した資金は、27億27百万円(前連結会計年度は1億71百万円の使用)となりました。
これは主に、長期借入金による収入29億円及び配当金の支払額1億50百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
建設業における生産実績は、施工監理、施工技術、機械力、資金力及び資材調達力等の総合によるものであり、工事内容が多様化しており、当社グループは外注に依存している割合が高く、具体的に表示することが困難であるため、記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
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住宅事業 |
20,807,453 |
91.7% |
6,770,052 |
86.9% |
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リフォーム事業 |
4,166,636 |
95.4% |
1,045,812 |
94.4% |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
前年同期比(%) |
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住宅事業(千円) |
21,829,316 |
97.7% |
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リフォーム事業(千円) |
4,228,373 |
96.3% |
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不動産事業(千円) |
8,471,629 |
98.8% |
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賃貸事業(千円) |
539,282 |
98.6% |
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合計(千円) |
35,068,603 |
97.8% |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、150億27百万円(前連結会計年度比26.7%増)となり、31億65百万円の増加となりました。これは主に販売用不動産の増加(前連結会計年度59億44百万円から当連結会計年度85億33百万円へ25億89百万円の増加)等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、99億39百万円(前連結会計年度比1.6%増)となり、1億57百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券の増加(前連結会計年度5億64百万円から当連結会計年度7億40百万円1億76百万円の増加)等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、80億23百万円(前連結会計年度比1.0%増)となり、81百万円の増加となりました。これは主に工事未払金等の減少(前連結会計年度32億39百万円から当連結会計年度26億78百万円へ5億61百万円の減少)及びその他流動負債の増加(前連結会計年度14億20百万円から当連結会計年度21億30百万円へ7億9百万円の増加)等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、46億5百万円(前連結会計年度比186.0%増)となり、29億95百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加(前連結会計年度0円から当連結会計年度29億円へ29億円の増加)等によるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高につきましては、住宅事業は、218億29百万円(前連結会計年度比2.3%減)、リフォーム事業は、42億28百万円(前連結会計年度比3.7%減)、不動産事業は、84億71百万円(前連結会計年度比1.2%減)、賃貸事業は、5億39百万円(前連結会計年度比1.4%減)となり、その結果、344億3百万円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価につきましては、住宅事業は、168億6百万円(前連結会計年度比4.8%減)、リフォーム事業は、27億68百万円(前連結会計年度比4.8%減)、不動産事業は、64億9百万円(前連結会計年度比4.6%増)、賃貸事業は、5百万円(前連結会計年度比3.5%減)となり、調整額△4億31百万円を加味した結果、255億57百万円(前連結会計年度比1.2%減)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、主に広告宣伝費の減少により、84億53百万円(前連結会計年度比3.0%減)となりました。
(営業損益、経常損益、親会社株主に帰属する当期純損益)
営業損益、経常損益、親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、営業利益は3億93百万円(前連結会計年度比165.2%増)、経常利益は4億28百万円(前連結会計年度比87.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億33百万円(前連結会計年度比1.3%増)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)中長期的な経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本方針としております。
当社グループの資本の財源及び流動性につきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は31億円保有しており、運転資金を機動的に調達するため金融機関と当座貸越の約定を締結していることから、十分な財源及び流動性を確保していると考えております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「売上高営業利益率5%以上」を中期的な当面の目標として掲げておりましたが、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、中期経営計画(2022年10月期~2024年10月期)において、計画の最終年度となる2024年10月期に売上高380億円、営業利益12億円、ROE6.0%、売上棟数900棟を定量目標として掲げております。達成状況に関しては、2022年度10月期からの記載となります。
なお、当連結会計年度の売上高は344億3百万円、営業利益3億93百万円となり、売上高営業利益率は1.1%となりました。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当連結会計年度においては、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社グループでは、「お客様の豊かさの人生を創造する」ことを不変の理念とし、お客様が永く安心して過ごすことのできる、高性能・高品質な住宅づくりを行うことが社会課題の解決に資すると考えております。お客様の財産はもとより社会資本の充実をもたらすため、省エネ住宅や福祉住宅を普及、促進することを目標とし、常時、技術開発を推進しており、「脱炭素化」へ向けた動きが加速しているなか、当社グループにおいても、環境課題と事業を一体的に推進することで「脱炭素化」社会の実現に貢献し、カーボンニュートラルのリーディングカンパニーとなるべく、更なる技術力の向上のため、研究開発活動に取組んでおります。2022年12月に、省エネ性能・耐震性能にさらに磨きをかけた新構法「BES-T019」を開発し、断熱性能基準において最高基準である性能の新商品「CARDINAL HOUSE BES-T019」が2022年度省エネ大賞(製品・ビジネス部門)において経済産業大臣賞を受賞いたしました。
また、非住宅分野での木材利用の機運が高まりつつあり、木造建築による大型物件の建築に対応すべく新技術の開発に取組み、当連結会計年度において、木造4階建てマンション「LAPEACE」の販売を開始するなど、新たな事業への展開を図っております。
なお、当社グループにおける当連結会計年度の研究開発活動の総額