当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社の経営理念は次のとおりであります。
① 顧客には誠実をむねとし、優秀な製品とゆき届いたサービスを提供し、好意にむくいることを目標とします。
② 取引先には信頼をむねとし、相互の連結を密にし、共存共栄をはかることを目標とします。
③ 社員には調和をむねとし、協力の精神をもととして企業の繁栄につとめ、物心両面より生活の向上をはかることを目標とします。
④ 株主には誠意をむねとし、最善な運営を行い、公正適正な利益還元を行うことを目標とします。
この理念の実現のために、ものづくりの技術とそれをベースにしたサービスの提供を通じて、産業の進歩発展と人々の安全で快適な暮らしの維持向上に貢献する企業として成長していくことを基本方針としております。
(2) 経営環境
経営環境につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(3) 優先的に対処すべき課題等
エネルギー分野において、電力需要の増大及びカーボンニュートラルの観点からGX(グリーントランスフォーメーション)関連による原子力研究関係への期待が大きくなると考えております。また、核融合関係については、日本の研究炉であるJT-60SA増強作業の継続と核融合反応時における熱の取り出しのひとつの方法である液体金属を使用した試験装置の期待が高まっております。
従って今後とも生活の基盤となるエネルギー研究開発関係に注力してまいります。
産業システムにおいては、半導体製造装置関連について当社コア製品であるシース熱電対及びシーズヒーターは調整段階から出て戻りつつあります。またパワー半導体向けの高温熱処理炉についても増加傾向が期待できます。アルミ用電磁ポンプについては、新型電磁ポンプの他、浸漬用のヒーター及び熱電対もラインナップ化し販売強化を図ってまいります。
この激しい時代の変化、経済の変動の中にあっても、着実に業績を維持し、安定した利益還元を継続できるよう「人材育成」、そして全社のベクトルを合わせて経営体質の強化と収益性の向上に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
(1)ガバナンス
当社は経営理念達成のために、市場・環境等の変化を的確に捉えると共に、モノ作りに関して品質・環境管理体系を基本として行動し、組織の永続的な成長、発展を図り、社会の持続可能な発展を目指してまいります。
なお、経営理念及び体系の概容は以下のとおりであります。
経理理念
・顧客には誠実をむねとし、優秀な製品とゆき届いたサービスを提供し、行為にむくいることを目標とします。
・取引先には信頼をむねとし、相互の連結を密にし、共存共栄をはかることを目標とします。
・社員には調和をむねとし、協力の精神をもととして企業の繁栄 につとめ、物心両面より生活の向上をはかることを目標とします。
・株主には誠意をむねとし、最善な運営を行い、公正適正な配当を行うことを目標とします。
体系
経営理念 |
― |
品質・環境 管理体系 |
|
|
|
社会の持続可能な発展 |
|
(要旨) |
経営効率の向上 有害な環境影響の低減 資源及びエネルギーの有効利用 |
||||||
|
(2)戦略
当社主担当の目的及び戦略的な方向性は以下のとおりであります。
なお、課題等に関しては、その有効性を評価・確認してまいります。
担 当 |
目 的 |
方向性 |
課 題 |
確 認 |
管 理 |
職場等の活性化 |
環境管理 |
5S推進 法令順守 |
管理評価表 |
生 管 |
顧客満足度等 |
生産計画 |
取引先管理 開拓等 |
納期状況等 |
技・製 |
顧客満足度等 |
稼働管理 |
作番管理表 要求仕様把握等 |
不適合状況等 |
(3)リスク管理
当社は、上記(2)戦略における課題等を評価しその有効性を確認することにより、リスクを管理してまいります。
担 当 |
リスク |
取り組み |
確 認 |
管 理 |
環境悪化等 |
5S 法令順守等 |
管理評価表等 |
生 管 |
稼働効率悪化 購入品不適合等 |
生産計画 取引先調査等 |
納期状況 不適合状況等 |
技・製 |
不適合品 信頼喪失等 |
稼働管理 作番管理表等 |
仕様把握 不適合状況等 |
(4)指標及び目標
当社は、上記(2)戦略に関し人材の育成を基本として行動していくことにより、経営理念の達成そして社会の持続可能な発展を目指してまいります。
人材の育成
目的等を達成していくために、各項目に影響を及ぼす仕事の従事者に対しましては必要な知識・力量を明確にして教育訓練を実施してまいります。
環境整備
管理評価表等において必要な知識・力量を明確にして教育訓練を実施するとともに、その有効性を評価して職場等の活性化を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、本項における将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。
(1)原子力産業分野への依存
当社は、福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電の縮小・凍結等が長期化しているなか、他の産業分野での受注、売上の拡大に力を注いでまいりましたが、現状でも原子力産業分野の売上高が、全売上高の約30%を占めております。今後さらに原子力産業分野の需要が減少した場合には、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)半導体及びFPD製造装置関連製品の需要
当社は、原子力産業分野の動向等を踏まえて、産業システム関連分野での受注、売上増に重点を置いた営業展開を進めております。特に半導体及びFPD製造装置に使用される加熱装置、温度センサー等について、当社の固有技術であります加熱技術、温度計測制御技術等を応用した差別化製品や新製品を、個々の顧客のニーズに合わせて提案提供することに注力した結果、当分野の売上高が、全売上高の約45%を占めております。従いまして、半導体及びFPD等の最終製品の需要の変動等により、同製造装置及び関連設備等の需要が大幅に下落した場合には、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)技術及びコスト不確定性
当社は、エネルギー関連分野及び産業システム関連分野で受注生産の形態をとっていますが、中にはこれまでに製作経験のない、技術的難度が高くかつ受注金額の大きい製品を受注する場合もあります。その結果として、受注時の技術的不透明性等により、想定外の多大な設計及び製作コストが発生した場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)生産拠点の集中
当社は、生産効率の向上、品質の一元管理等により、全売上高の約9割の生産を高萩工場に集中しております。従いまして、地震、火災等の災害及び工場内の事故等により、当工場での生産能力に重大な支障が発生した場合には、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報管理に関するリスク
当社は、取引先を含め、販売取引・仕入取引に係る顧客情報、技術情報、経営情報等の機密情報及び個人情報を取り扱い、これらに対してセキュリティ対策を講じておりますが、さまざまなリスクが存在しております。
具体的なリスクとして、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス感染、社内設備の故障、災害等による機密情報及び個人情報の流出、消失又は基幹システムの大規模な障害の発生のほか、持ち出しによる機密情報及び個人情報の紛失・盗難等が想定され、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度の売上高は、49億6千4百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益は9億1千6百万円(同55.4%増)、経常利益は9億1千6百万円(同53.6%増)、当期純利益は6億3千7百万円(同60.4%増)となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
エネルギー関連事業におきましては、原子力関係において原子力発電所の再稼働に向けた関連製品や研究機関向け製品、核融合関連製品についてはリチウム鉛ループ等の研究機関向け核融合関連が増加したことにより、売上高は22億2千7百万円(同34.2%増)、セグメント利益(営業利益)は7億5百万円(同97.4%増)となりました。
産業システム関連事業におきましては、アルミ用電磁ポンプが大型生産設備に採用されたことや高温対応用の半導体用熱処理炉の増加がありましたが、温度センサー等の半導体製造装置関連製品及びFPD製造装置関連製品が減少したことにより、売上高は26億4千4百万円(同4.1%減)となりました。利益面におきましては、人員配置最適化等による生産効率向上によりセグメント利益(営業利益)は6億2千4百万円(同5.6%増)となりました。
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ6億8千6百万円増加し、70億3千8百万円となりました。
負債は、前事業年度末に比べ1千万円減少し、28億1千9百万円となりました。
純資産は、前事業年度末に比べ6億9千7百万円増加し、42億1千9百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前事業年度末に比べ2億2千3百万円減少し、2億2千9百万円となりました。
なお、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2億2百万円(前年同期比208.4%増)となりました。これは主に、売上債権の増加8億8千1百万円、法人税等の支払額1億5百万円がありましたが、税引前当期純利益の計上8億9千2百万円、減価償却費1億7千8百万円及び棚卸資産の減少7千6百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は8千1百万円(同140.0%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7千9百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3億4千4百万円(同54.1%減)となりました。これは主に、短期借入れによる収入7億5千万円、社債の発行による収入3億円がありましたが、短期借入金の返済による支出11億5千万円、配当金の支払額1億6千9百万円、社債の償還による支出6千8百万円等によるものであります。
③ 生産、受注及び売上の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
エネルギー関連 |
2,243,529 |
131.7 |
産業システム関連 |
2,497,605 |
82.7 |
その他 |
1,422 |
59.3 |
合計 |
4,742,558 |
100.3 |
(注)1 その他のうち飲食店は記載しておりません。
2 金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前期比(%) |
受注残高 (千円) |
前期比(%) |
エネルギー関連 |
2,215,555 |
141.9 |
2,164,025 |
109.3 |
産業システム関連 |
2,477,543 |
99.7 |
1,303,361 |
80.3 |
その他 |
1,422 |
59.3 |
- |
- |
合計 |
4,694,522 |
116.0 |
3,467,386 |
96.2 |
(注)その他のうち飲食店は、一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので、受注高には記載しておりません。
c.売上実績
当事業年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
売上高(千円) |
前期比(%) |
エネルギー関連 |
2,227,134 |
134.2 |
産業システム関連 |
2,644,010 |
95.9 |
その他 |
93,794 |
58.8 |
合計 |
4,964,940 |
108.5 |
(注)主な相手先別の売上実績及び当該売上実績に対する割合
相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
売上高(千円) |
割合(%) |
売上高(千円) |
割合(%) |
|
㈱シンワバネス |
927,056 |
20.3 |
685,688 |
13.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、景気は緩やかな持ち直しの動きがみられるものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東をめぐる情勢の悪化、円安等を起因とするエネルギー・資源・原材料価格の高騰、物価の上昇、世界的な金融市場の変動等により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当事業年度は、当社のコア技術を生かし、シース型の熱電対・ヒーター・信号ケーブル等の製品を、半導体製造装置、液晶・有機EL等のFPD製造装置及び各種プラント向け製品等広範囲にわたり拡販すること、並びに電磁ポンプを軸とする各種溶融金属機器の充実を図り、エネルギー関連事業においては核融合関連製品等、産業システム関連事業においてはアルミ給湯・鋳造用電磁ポンプの受注確保に注力してまいりました。
この結果、産業システム関連事業において半導体・FPD製造装置関連が、まだ調整段階から抜け出せない状況が続きましたが、エネルギー関連事業は、受注・売上とも順調に推移したことにより売上高は、49億6千4百万円(前年同期比8.5%増)となりました。利益面におきましては、人員配置最適化等による生産効率向上そして予算の未消化等もあり、営業利益は9億1千6百万円(同55.4%増)、経常利益は9億1千6百万円(同53.6%増)、当期純利益は6億3千7百万円(同60.4%増)となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
エネルギー関連事業におきましては、原子力関係において原子力発電所の再稼働に向けた関連製品や研究機関向け製品、核融合関連製品についてはリチウム鉛ループ等の研究機関向け核融合関連が増加したことにより、売上高は22億2千7百万円(同34.2%増)、セグメント利益(営業利益)は7億5百万円(同97.4%増)となりました。
産業システム関連事業におきましては、アルミ用電磁ポンプが大型生産設備に採用されたことや高温対応用の半導体用熱処理炉の増加がありましたが、温度センサー等の半導体製造装置関連製品及びFPD製造装置関連製品が減少したことにより、売上高は26億4千4百万円(同4.1%減)となりました。利益面におきましては、人員配置最適化等による生産効率向上によりセグメント利益(営業利益)は6億2千4百万円(同5.6%増)となりました。
当事業年度末における財政状態に関する分析は以下のとおりであります。
(資産)
当事業年度末における流動資産は44億1千2百万円となり、前事業年度末に比べ5億7千8百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が2億2千3百万円、売掛金が6千2百万円減少しましたが、進行基準売上に伴う契約資産が9億4千7百万円増加したことによるものであります。固定資産は26億2千6百万円となり、前事業年度末に比べ1億8百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が1億1千9百万円、繰延税金資産が9千3百万円減少しましたが、投資有価証券が3億3千1百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、70億3千8百万円となり、前事業年度に比べ6億8千6百万円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は16億1千万円となり、前事業年度末に比べ1億6千2百万円減少いたしました。これは主に未払法人税等が1億6千1百万円、1年内償還予定の社債が6千万円増加しましたが、短期借入金が4億円減少したことによるものであります。固定負債は12億9百万円となり、前事業年度末に比べ1億5千1百万円増加いたしました。これは主に社債が1億7千2百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、28億1千9百万円となり、前事業年度に比べ1千万円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は42億1千9百万円となり、前事業年度末に比べ6億9千7百万円増加いたしました。これは主に、当期純利益6億3千7百万円及びその他有価証券評価差額金の増加2億3千万円、剰余金の配当1億7千万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は59.9%(前事業年度は55.4%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因については、(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載しております。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金需要のうち主なものは、材料仕入のほか、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資目的の資金需要は、設備投資等によるものであります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入金等で対応していくこととしております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上、及び開示に関する経営者の見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当事業年度において、経営上の重要な契約等はありません。
当社の研究開発の目標は、高度な技術開発力を必要とする製品に主眼をおいております。また、新製品、新技術及び既存製品の改良のための各種検討について、技術本部が担当しております。
なお、当事業年度は、溶融金属機器関連を中心に、研究開発費として