当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループ(当社及び連結子会社)は、『わがグループは総合レンタル業のパイオニアとして経済社会に貢献する』を社是に掲げ、常にユーザーの立場からレンタル活用のメリットを追求し、商品開発・システム構築に努めております。
そして、安全な商品の提供、ご安心いただけるサービス体制をモットーに、ユーザーから社員一人一人が信頼される企業集団であること。これが当社グループの一貫した方針であり、レンタルの基盤と言えるものであります。
(2)経営環境及び経営戦略
①経営環境
当社グループのコア事業である建機レンタルの中長期的な成長性に対する信頼性を回復するため、建機レンタル事業を新たな成長産業に進化させることを目指してまいります。そのために、事業展開における経営判断をスピードアップする目的で、2023年4月に持株会社体制へ移行しました。また、建機レンタル事業と周辺事業の融合にチャレンジし、成長性を高めるとともに、サステナビリティ経営を推進していくことも必要だと考えております。
②経営戦略
当社グループは中期経営計画“ Next Stage 2026 ”の基、3ヵ年(2024年9月期から2026年9月期まで)において、下記政策を進めてまいります。
中期経営計画“ Next Stage 2026 ”の概要
(数値目標)
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売上高 |
2,200億円 |
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営業利益 |
190億円 |
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EBITDA |
573億円 |
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ROI |
23.2%維持 |
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資本コスト |
7.09%維持 |
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(基本方針)
イ.レンタル事業を新たな成長産業に進化させる
・国内建機レンタル事業と周辺事業の融合へのチャレンジ
『建設ロジスティックス』 ~ 建機レンタル事業+運送物流事業 ~
建設現場内外の資材輸送・運搬の事業化と建設機械のロジスティックス能力を強化する
『仮設のチカラ』 ~ 建機レンタル事業+イベント事業 ~
土地暫定利用や地域の賑わいづくりを仮設でサポートする
それにより、大手建設会社やディベロッパーとの協力関係を強化する
・国内建機レンタル事業の競争力強化
DXを活用して建設産業の生産性向上に貢献する
・成長性の高い海外でのM&Aを推進
ロ.サステナビリティ経営の推進
・木造モジュール事業の確立や建設現場のカーボンニュートラルをサポートする
(3)経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等
2026年9月期を最終年度とする中期経営計画“ Next Stage 2026 ”(2024年9月期から2026年9月期まで)において、当社グループが目標として設定した指標は以下のとおりです。
①成長性を判断する指標・・・売上高成長率、営業利益成長率、EBITDA成長率
②事業規模を示す指標・・・売上高、営業利益、EBITDA
③財務の安全性・健全性を示す指標・・・自己資本比率、有利子負債月商倍率、現預金保有月商倍率
また、投資についてはレンタル資産の占める割合が大きいため、以下の考え方に基づいてレンタル資産の投資を進めてまいります。
①レンタル資産の設備投資総額は、EBITDAの金額を上限とします。
②EBITDAが前年より増加している場合はレンタル資産投資を前年より増加させても問題ないと考えます。
③投資効率の指標として投資回収率(※)を重視し、24~25%を目標とします。
(※投資回収率=レンタル収入÷レンタル資産取得価額相当額)
(4)グループ会社の運営・管理に関する基本方針
①企業グループとしての経営方針、事業展開方針
当社グループの事業展開は、総合レンタル業及びその周辺事業であることを基本に、経営効率の向上を最大の目的とし、グループ会社各社が自社のノウハウや技術を磨き上げることで、グループ全体の持続的な成長と企業価値の向上に努めていくことを事業展開方針としております。
②レンタル資産と資金のグループ内での有効活用
レンタル資産は事業会社にて調達・保有いたします。購入又はリース調達等の調達手段については、投資回収率等資産の特徴によって計画していきます。資金については、グループ内の資金を当社に集約いたします。グループ会社各社はコアとなるノウハウや技術を明確にし、成長が見込める事業への設備投資や技術開発にかかる資金は、当社より積極的に投資を行います。
③子会社の株式保有
当社及び当社グループ会社が100%出資することを原則とします。
(5)財務の安全性に関する基本方針
当社グループのコア事業である建機レンタル業界の特性に配慮し、財務の安全性の観点から次のような指標を定め、効率性とのバランスを考えながら運営しております。
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自己資本比率 |
レンタル業はストックビジネスであり、固定資産のウエイトが高いため、自己資本は50%確保までは必要であると考えています。 |
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有利子負債月商倍率 |
固定資産の取得のために、どうしても借入れが増加する傾向があります。安全性の観点から有利子負債(リース債務含む)は月商の6.5ヶ月までに抑えていきたいと考えています。 |
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現預金保有月商倍率 |
主要顧客である建設業界では、売上代金の資金化に要する期間が比較的長いため、安全性を考慮して月商の1.5ヶ月分の確保を目途とします。 |
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
経済・社会が大きく変動するなか、働き方や市場の将来性、景気変動への対応等の面で、当社グループのコア事業である建機レンタル事業そのものの転換期にあると認識しております。
このような事業環境の下、「株主・顧客・取引先・従業員等ステークホルダーの方々が等しく重要であり、それぞれの立場から見た企業価値を高めていかなければならない」とする当社のコーポレートガバナンスの基本的な考え方に基づいて、以下に取り組んでまいります。
① 成長性への信頼回復
当社が持続的成長と企業価値向上を実現し、PBRを改善していくためには、国内建機レンタル事業の中長期的な成長性に対する信頼性の回復が急務であると考えております。国内建機レンタル事業を新たな成長産業に進化させるべく、運送物流事業やイベント事業と融合させ、「建設ロジスティックス」・「仮設のチカラ」を確立する他、DXを活用して建設業界の生産性向上をサポートしてまいります。また、成長性を表す指標としてEBITDA、効率性を表す指標としてROIを重視し、M&Aや事業撤退を検討する際は資本コストやその事業の長期的な波及効果等も考慮し、幅広い視点で判断いたします。
② サステナビリティ経営の推進
「わがグループは総合レンタル業のパイオニアとして経済社会に貢献する」という社是を基にサステナブルであるレンタルビジネスを通じて社会課題の解決に貢献いたします。当社が提案する木造モジュールは一般流通材を使用した木造建築であり、CO2排出量の削減につながる他、構造材としてのリユースを想定しており、循環型社会の形成に貢献するだけでなく、林業活性化のサポートも目指しております。また、電動建機の保有拡大や現場での充電設備の増強等、電動建機普及のためのインフラ整備を進め、脱炭素化社会への移行を推進しております。
③ 安全への取り組みと人材育成
危険が伴う建設現場では安全への取り組みは最も重要な課題の一つであり、当社グループでは現場からの要望を元に現場内外の安全対策商品やシステムの開発を行う他、安全衛生委員会の設置や協力企業(修理業、運送業)向けの安全衛生大会・倫理規程研修会の実施、安全と環境を考える広報誌「安全くん」の無償配布等、建設業界全体の安全に対する意識向上に努めております。また、経営環境の変化に柔軟に対応していくためにも、人材育成を重要視しており、自ら主体的・能動的に考え、行動できる人材を育てるために職能資格制度や目標管理制度を導入している他、プロフィット制度を導入し、社員一人ひとりの経営感覚の向上を目指しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、気候変動をはじめとしたサステナビリティに関連する課題を経営課題の1つと捉え、方針や重要事項を審議する体制として、取締役会をトップとし、管理部門担当取締役を担当役員とする体制を構築しております。
担当役員は、サステナビリティに関連する所管部署である総務人事部に対して、社内調査や情報収集を行い、対応方針、目標設定等に関する案の作成を指示し、担当役員を通して取締役会へ報告並びに審議する運用を行っております。
取締役会は、気候変動への対応及び人的資本経営等、サステナビリティに関する取り組みの審議、進捗、目標達成状況等について、1年に1度は報告を受け、必要事項については審議する体制としております。
(2)戦略
①気候変動
レンタル業は、限りある資源を繰り返し利用する点で環境への配慮や省資源化等、社会・環境の「持続性」につながるサービスであり、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る社会課題への解決に貢献する事業であると認識しており、レンタルビジネスの更なる進化による脱炭素化への移行を推進すべく、取り組みを進めてまいります。
当社では、気候変動への取り組みの一環として、TCFD提言に基づき、気候変動関連リスク・機会を特定し、財務的影響を評価しております。短期、中期、長期の時間軸、気温上昇1.5℃/2.0℃、4.0℃のシナリオを用いてシナリオ分析を行い、特定したリスクと機会の項目に対しては、それぞれの対応策の検討・策定まで実施しております。
シナリオ分析の結果として、リスクでは特にレンタル資産において脱炭素社会に向けた各種規制強化に対応するためのコストの影響が大きくなることが予想されますが、当該リスクに関しては、段階的な入れ替えによるインパクトの軽減や脱炭素に対応したエンジンへの載せ替え対応等の対策を進めてまいります。
一方、脱炭素化に向けた建設DX・環境対策等の商品需要や防災減災、国土強靭化のためのインフラ建設や維持・修繕需要の拡大を捉えることによる大きな機会も予測しており、ICT建機やDX関連商品のラインナップ充実やDX人材の育成等に引き続き注力してまいります。
シナリオ分析の結果を踏まえ、次年度以降も継続的に分析の精度を高めてまいります。
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種 類 |
細区分 |
事象 |
対応策 |
時 間 軸 |
影 響 度 |
|
移 行 リ ス ク |
政策・規制 |
脱炭素社会に向けた各種規制強化による調達コストの増大 |
・段階的な入れ替え ・脱炭素に対応したエンジンへの載せ替え ・メンテナンス方法の見直し |
中 長 期 |
大 |
|
技術 |
次世代エネルギーに置き換わることによる調達コストの増加 |
・燃費向上のための改造・改良 |
中 長 期 |
大 |
|
|
市場 |
再エネ導入拡大に伴う電力調達コストの増加 |
・省エネ設備(LED等)導入等省エネの推進 |
中 長 期 |
大 |
|
|
物 理 リ ス ク |
急性 |
異常気象の甚大化による物的損害や休業損失の発生 |
・BCP策定によるリスクマネジメントの高度化 ・ロジスティックスを活用した商品供給体制の整備 |
短 中 長 期 |
小 |
|
慢性 |
海面上昇に伴う拠点の浸水被害により修繕コストの発生や営業機会の損失 |
・レンタル資産の保管方法の見直し ・ハザードリスクの高いエリアへの出店回避 |
長 期 |
中 |
|
|
機
会 |
資源の効率性 |
鉄道輸送による中・長距離輸送コストの低減 |
・モーダルシフトの推進 |
短 中 長 期 |
小 |
|
エネルギー源 |
省エネルギー・次世代エネルギー技術のニーズ拡大に伴うレンタル需要の増加 |
・省エネルギー機種や次世代エネルギーに対応できる機械のラインナップ充実 |
中 長 期 |
大 |
|
|
製品及びサービス |
建設DXや環境対策をはじめとした建設現場のニーズの変化に伴うレンタル需要の増加 |
・ICT建機、DX関連商品のラインナップ充実及びDX人材の拡充 ・取引先の気候変動対応や関連技術、市場のモニタリング |
短 中 長 期 |
大 |
|
|
市場 |
空調・施設管理等の工事の増加によるレンタル需要の増加 |
・ロジスティックスの整備による機械配置の最適化 |
短 中 長 期 |
中 |
|
|
強靭性(レジリエンス) |
防災減災、国土強靭化のための工事の増加に伴うレンタル需要の増加 |
・インフラ建設や維持修繕工事に対する営業強化 |
短 中 長 期 |
大 |
|
|
災害発生時、設備・資産等の被災やサプライヤーの納期遅延に伴うレンタル需要の増加 |
・災害発生後すぐに対応できるシステムの構築やシステム停止時の対応方法の検討 ・災害協定の締結により公共機関と早急に連携できる体制の構築 |
短 中 長 期 |
小 |
②人的資本
当社グループの育成方針は自ら主体的・能動的に考え経営環境の変化に対し柔軟に対応できる人材を育成することを目的に、人事制度の根幹に職能資格制度を導入しています。そして、職能資格制度を運用し実行するための手段として目標管理制度を導入しています。組織体制においては、プロフィット制度を導入し、社員一人ひとりの経営感覚の向上を目指しております。
また、グループの基本方針として経営理念(心学五則)・社是(総合レンタル業のパイオニアとして経済社会に貢献する)を職務執行の拠り所にするとともに、倫理規程・行動基準に基づき、良識ある企業人の人材育成に注力し、さまざまな教育・研修を展開し、社員の能力向上に取り組んでおります。
多様な視点により生まれる新たな発想や課題発見に繋げるため、性別・国籍に関わらず、多様な人材が活躍できる場・機会を拡大することで更なる人材の育成に繋げてまいります。
③社内環境整備方針
当社グループは、国籍や年齢・性別に関わらず、多様な人材が最大限能力を発揮し、働き続けることができる組織風土と職場環境の整備に取り組んでおります。
(3)リスク管理
2024年に総務人事部を中心としたプロジェクトチームを発足し、気候変動関連リスクに関して、全社横断的に意見や情報を集約してリスクと機会の洗い出しを実施し、気候変動関連のリスクと機会を識別しています。識別したリスクと機会については、事業への影響度を踏まえて評価し、リスクと機会を特定しています。
特定した気候変動関連のリスクと機会については、所管部署である総務人事部にて管理を行っております。各部門及びグループ各社へ対応を指示するとともに、取り組み状況について適宜管理部門担当取締役に報告し、指示を受ける体制としております。重点的な対応が必要と評価されたリスクについては、「優先リスク」と定め、リスクの低減活動状況について進捗状況を確認しております。
最低1年に1度は取り組み状況について、取締役会へ報告する体制としております。
取締役会は、取り組みの進捗状況やリスクの管理状況について監督し、必要に応じて指示を出します。
また、リスク管理所管部署である総務人事部において、全社リスクと気候変動関連リスクを統合して管理しております。今後はグループ全体のリスク管理方針を策定し、実効的かつ継続的な仕組みの構築と運用を目指すことにより、リスク管理体制の強化に努めてまいります。
(4)指標及び目標
①気候変動
事業活動に伴うCO₂排出量(Scope1・2)の削減目標につきましては、2023年9月期を基準年とし2035年までに50%削減と設定し、ハイブリッド車の導入や自社設備の省エネ化・木造化等により、CO2排出量の削減に取り組んでまいります。
(単位:t-CO2)
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対象 |
範囲 |
2023年9月期 |
2024年9月期 |
|
実績 |
実績 |
||
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西尾レントオール株式会社 |
Scope1・2 |
|
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②人的資本
当社グループでは、人材育成方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次の通りとなります。
(単位:
|
指標 |
2024年9月期 |
|
|
実績 |
目標 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の変動要因について
当社グループのコア事業である建設・設備工事用機器レンタル事業は、建設投資動向により収益が大きく左右されます。また、建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。一方、イベント分野は、経済情勢や自然災害の発生等による企業の広告宣伝費の増減が、収益の変動要因になります。
(2)業績の季節変動について
当社グループのコア商品である建設・設備工事用機器が用いられる建設投資のうち、公共投資については予算決定から実際の工事着工まで、概ね5~6ヶ月のタイムラグが生じます。従いまして、毎年4月からの新年度の予算執行は、その年の9月ないし10月頃から始まり、翌年3月まで断続的に実施され、この期間において建設工事は最盛期を迎え、建設機械レンタルの需要が最も大きくなります。
このため貸与資産の稼働率は第2四半期連結累計期間の方が高く、当社グループの売上高及び利益は第2四半期連結累計期間に偏重する傾向があります。
直近期における当社グループの第2四半期連結累計期間及び通期の連結業績は下表のとおりであります。
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(単位:百万円) |
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第2四半期連結累計期間 自 2023年10月1日 至 2024年3月31日 |
当連結会計年度 自 2023年10月1日 至 2024年9月30日 |
第2四半期連結累計期間の 通期に対する比率 (%) |
|
売上高 |
101,464 |
198,995 |
51.0 |
|
営業利益 |
10,283 |
18,044 |
57.0 |
|
経常利益 |
9,954 |
17,400 |
57.2 |
上記2点の対応策として、M&Aによる海外売上の拡大や非建機部門であるイベント分野の拡大等、異業種の開拓や多様化を進めることで、リスク分散を図っております。
(3)固定資産の減損会計について
当社グループが保有する不動産のほとんどは、事業用の事務所・整備工場及び賃貸用機械置場として使用されております。そのため、経営環境の著しい悪化等により、保有資産の投資利回りが悪化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)貸与資産の法規制について
当社グループのコア商品である建設機械や車両は、排ガス規制を始め、環境や安全に関する法規制に対応する必要がありますが、今後これらの規制が厳しくなった場合、新規調達コストが増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、現在保有している機械のメンテナンスに注力し長寿命化を進めることで、影響を最小限に抑えられるよう努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善が続くなか、設備投資も底堅く推移しましたが、資源価格の高騰や運送業界の2024年問題、為替の不安定な動き等の懸念材料もあり、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
建設業界においては、都市部の再開発を中心とした民間建築需要に伴い設備工事が活況であった他、高速道路の補修・メンテナンス工事、鉄道の新設・改良工事等が引き続き堅調でした。大阪・関西万博関連では、大屋根リングが完成し、会場や交通インフラ等の土木工事も順調に進むなか、遅れが問題となっている海外パビリオンも順次着工しております。
このような状況下、当社グループ(当社及び連結子会社)は、中期経営計画 “Next Stage 2026” の初年度においては、建設ロジスティックスの実証実験や仮設のチカラのノウハウ蓄積等、事業化のための基盤づくりに取り組んでおります。
その結果、連結売上高は198,995百万円(前年同期比107.2%)、営業利益18,044百万円(同110.4%)、経常利益17,400百万円(同111.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益11,599百万円(同112.8%)となりました。また、EBITDAは56,460百万円(同106.2%)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
イ.レンタル関連事業
道路・土木関連分野では、i-Constructionの取組みが浸透したことにより、ICTを活用した舗装修繕工事が数多く行われただけでなく、施工時期の平準化は年間を通して安定的な売上につながりました。また、駅改良、路線延伸等の鉄道関連工事が堅調な他、エレクター付吹付機が差別化商品となり、山岳トンネル工事の受注を伸ばしました。
建築・設備関連分野では、都市部の再開発や各地の工場、物流倉庫建設が活況ななか、現場の大型化や人手不足等の対策として、自動墨出しロボットシステムをはじめとしたDX商品による効率化の提案が受注拡大に貢献しました。また、交通インフラの補修・メンテナンス工事や既存プラント設備の点検・定期修繕の需要が堅調で、安全対策商品や汎用機の売上を伸ばしました。
イベント分野では、音楽やスポーツイベント、展示会等を数多く対応する一方で、都市再開発時の暫定利用地における賑わいづくりのサポートが、ノウハウの蓄積やユーザー層の拡大につながった他、安定した売上確保のため、各地のアリーナの施設管理をレンタルでサポートする取組みにも注力しております。
大阪・関西万博関連では、企業・海外パビリオン建設で高所作業機や汎用機等が活躍している他、木造モジュールを活用したパビリオンの工事も進捗しております。
その結果、売上高は191,440百万円(前年同期比107.2%)、営業利益17,205百万円(同112.0%)となりました。
ロ.その他
海外製建機の販売が引き続き売上を牽引し、売上高は7,555百万円(前年同期比107.5%)となったものの、営業利益は458百万円(同80.5%)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、290,682百万円と対前年同期比で106.6%、18,113百万円の増加となりました。主な要因は現金及び預金の増加6,783百万円、商品及び製品の増加1,018百万円、貸与資産の増加3,856百万円及び建 物及び構築物の増加6,466百万円、並びに建設仮勘定の減少2,382百万円であります。
負債合計は156,370百万円と、対前年同期比で105.5%、8,198百万円の増加となりました。主な要因は支払手形 及び買掛金の増加2,496百万円、未払法人税等の増加1,160百万円、流動負債・その他に含まれる未払消費税等の増 加1,231百万円及び長期借入金の増加3,484百万円であります。
純資産合計は134,311百万円と、対前年同期比で108.0%、9,914百万円の増加となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6,783百万円増加して49,612百万円(前年同期比115.8%)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、29,552百万円の収入(前年同期は24,406百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益17,572百万円の他、減価償却費33,418百万円、賃貸資産の取得による支出23,344百万円及び法人税等の支払額5,585百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、9,392百万円の支出(前年同期は11,787百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出8,081百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、13,502百万円の支出(前年同期は17,695百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入11,128百万円に対し、有利子負債の返済による支出21,627百万円及び配当金の支払額3,109百万円が上回ったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
イ.貸与能力
当社グループの営業の主力を占める貸与資産の保有高(取得価額)は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (2024年9月30日現在) |
前年同期比(%) |
|
レンタル関連事業(百万円) |
260,814 |
104.1 |
(注)その他については、レンタルに関連する事業を行っておらず、貸与能力を金額で示すことに適しておりませんの
で、記載を省略しております。
ロ.貸与資産の購入実績
当社グループの営業の主力を占める貸与資産の当連結会計年度の購入実績(取得価額)は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比(%) |
|
レンタル関連事業(百万円) |
34,675 |
104.1 |
(注)その他については、レンタルに関連する事業を行っておらず、貸与資産の購入実績を金額で示すことに適してお
りませんので、記載を省略しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比(%) |
|
レンタル関連事業(百万円) |
191,440 |
107.2 |
|
その他(百万円) |
7,555 |
107.5 |
|
合計(百万円) |
198,995 |
107.2 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績
当連結会計年度の経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照願います。
ロ.資産、負債及び純資産
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照願います。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照願います。
ロ.キャッシュ・フロー指標のトレンド
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|
第63期 |
第64期 |
第65期 |
第66期 |
|
2021年9月期 |
2022年9月期 |
2023年9月期 |
2024年9月期 |
|
|
自己資本比率(%) |
43.1 |
43.8 |
44.8 |
45.5 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
32.9 |
30.3 |
36.0 |
38.3 |
|
債務償還年数(年) |
4.1 |
4.4 |
3.8 |
3.2 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
19.5 |
20.6 |
16.7 |
19.1 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
なお、期末発行済株式数から自己株式及び連結子会社が保有する自己株式(当社株式)のうち当社帰属分を除いております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
※利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
ハ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、より一層の事業基盤拡充のためのレンタル資産の増強及びM&A等の積極的な投資を行っており、これには主に営業活動で得た資金を充当するとともに、金融機関からの借入金等を充当しております。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務等を含む有利子負債の残高は95,270百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は49,612百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債及び収益・費用の報告及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。その見積りは、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づく合理的と考えられる様々な要因を考慮して行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営上の目標の達成状況
当社グループは、建機レンタル事業を新たな成長産業に進化させ、もう一段の成長を示していくことが重要であると考えており、中期経営計画“Next Stage 2026”(2024年9月期から2026年9月期まで)に基づいて、建機レンタル事業と運送物流事業を融合させた建設ロジスティックス、建機レンタル事業とイベント事業を融合させた仮設のチカラを具体的に事業化すべく、実証実験やノウハウ蓄積等により基盤づくりに取り組んでおります。
中期経営計画上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の実績は以下のとおりです。
a.成長性を判断する指標
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2024年9月期 実績 |
2025年9月期 計画 |
2026年9月期 目標 |
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売上高成長率(%) |
7.2 |
4.5 |
5.8 |
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営業利益成長率(%) |
10.4 |
2.8 |
2.4 |
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EBITDA成長率(%) |
6.2 |
1.6 |
△0.1 |
b.事業規模を示す指標
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2024年9月期 実績 |
2025年9月期 計画 |
2026年9月期 目標 |
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売上高(百万円) |
198,995 |
208,000 |
220,000 |
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営業利益(百万円) |
18,044 |
18,550 |
19,000 |
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EBITDA(百万円) |
56,460 |
57,350 |
57,300 |
(注)EBITDA:営業利益+減価償却費(一時償却資産を含む)+リース料
成長性及び事業規模については、売上高及び営業利益が増収増益であることに加え、レンタル資産投資による減価償却費の増加によりEBITDAも前年を上回っており、順調に推移しました。詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照願います。
c.財務の安全性・健全性を示す指標
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2024年9月期 実績 |
2025年9月期 計画 |
2026年9月期 目標 |
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自己資本比率(%) |
45.5 |
43.4 |
50.0以上 |
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有利子負債月商倍率(ヶ月) |
5.7 |
6.4 |
6.5以下 |
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現預金保有月商倍率(ヶ月) |
3.0 |
2.6 |
1.5以上 |
(注)有利子負債月商倍率:有利子負債/(売上高/12ヶ月)
現預金保有月商倍率:現預金/(売上高/12ヶ月)
自己資本比率は、目標値である50%を下回っているものの、目標に近い水準で推移しております。有利子負債月商倍率は6.5ヶ月以下、現預金保有月商倍率は1.5ヶ月以上を目標としており、どちらも目標を達成しました。
d.レンタル資産の設備投資
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2024年9月期 実績 |
2025年9月期 計画 |
2026年9月期 目標 |
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レンタル資産の設備投資額(百万円) |
38,506 |
42,600 |
41,670 |
(注)レンタル資産設備投資額=通常購入+ファイナンス・リース調達+一時償却資産
レンタル資産の設備投資額は、EBITDAの金額を上限としておりますが、その範囲内で推移しました。
当社は、2024年10月1日開催の取締役会において、連結子会社であるサコス株式会社の建設機械レンタル事業を、同じく連結子会社である西尾レントオール株式会社に会社分割により移管する決議を行い、同日付でサコス株式会社と西尾レントオール株式会社との間で吸収分割契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象等)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。