第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、

 

ソフトウェア技術を通じて

全社員の幸福および

すべてのお客様の成功を追求し

 

フィックスターズの技術を活かして

全世界のしあわせ向上に貢献すること

 

を経営理念として事業を推進しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、経営の効率化と継続的な事業の拡大を通じて企業価値を向上し続けていくことを経営の目標としております。経営指標としては、売上高、自己資本利益率、営業利益、フリーキャッシュ・フローを重視しております。なお、当社グループは、2024年9月期を初年度とする中期経営ビジョンを策定しており、特に営業利益を重要な経営指標として経営を推進しております。

 

(3)経営環境及び経営戦略

 当社グループの属するソフトウェア産業においては、クラウドやAI技術の実用化が進む中で、「Winner takes all」と言うべきビッグトレンドが進行しております。一定分野における世界トップシェアを獲得したプレイヤーにデータ、コスト競争力、顧客、人材が集約され、それらがまた競争力向上の源泉となり、世界シェアの維持・拡大につながっております。

 一方、技術動向に目を向けると、マルチコアプロセッサや専用チップ、次世代コンピュータのようなハードウェア技術のパラダイムシフト、AI・機械学習に代表されるアルゴリズムの高度化、日々複雑化する開発プロジェクトといった動きがみられ、最新ハードウェアとアルゴリズムの知識、高度なソフトウェア技術が求められる時代が到来しております。これはまさに、創業来当社グループが培ってきた、各ハードウェアの性能を最大限に引き出すことのできる低レイヤソフトウェア技術、日々高度化するアルゴリズムを改良・実装する力、各産業・研究分野の知見に裏付けられたソフトウェア高速化技術の果たす役割が増大している状況と言えます。

 上記のような外部環境に吹く強い追い風を背景に、ソフトウェア開発・高速化サービスを中心とした安定成長の実現に努めてまいります。加えて、一定分野における世界トップシェアを獲得し、「Winner takes all」という脅威を更なる成長実現のためのチャンスに変えられるよう、新規事業開発を推進してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題並びに具体的な取組状況等

 当社グループでは、中長期的な成長を図るため、以下6点を主な経営課題として認識し、対応に努めております。

 

①新製品の開発と研究開発

 新規自社プロダクトの開発や新規技術領域の探索は、当社グループの今後の事業展開において重要な役割を担っております。当連結会計年度においては、研究開発活動に168,031千円を投資しており、今後も継続して研究開発投資を行う予定であります。

 

②継続型ビジネスの拡大

 当社グループの事業の大半においては、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績がほぼ対応しております。継続型ビジネスによる新たな収益モデルを確立すべく、量子コンピューティングクラウド「Fixstars Amplify」をはじめとしたSaaS型自社プロダクト等の展開に取り組んでおります。

 

③優秀な人材の確保と育成

 当社グループの競争力の源泉は優秀なエンジニアであり、2024年9月末日現在、社員数320名中、9割以上をエンジニアが占めています。優秀なエンジニアを採用することは、当社グループの持続的な成長に必要不可欠であり、積極的な採用活動を行っております。

 また、これまで培った豊富なソフトウェア高速化技術に関する社内ナレッジを共有する仕組みを、社内研修・教育制度として整備し、人材の育成を図っております。人事制度としましては、プロフェッショナル職制度を設けエンジニアとしてのキャリアパスを築けるよう支援を行っております。

 

④知名度の向上、ブランド価値向上

 知名度の向上とブランド価値向上は、お客様のリテンション拡大と、優秀なエンジニアの採用活動の両面において重要であり、企業イメージの確立に積極的に取り組んでおります。また、当社グループが提供するソフトウェアの高い開発力及び性能を通じて、当社グループのブランド価値が作られると考えており、その高い開発力を維持しながら、さらなる品質向上及び技術力の向上に取り組んでおります。

 

⑤セキュリティの強化

 セキュリティ対策は、ソフトウェア会社として、また当社グループのブランド価値向上のためにも重要であると考え、セキュリティ方針とセキュリティガイドを定め、その遵守を図るとともに、セキュリティ教育に継続して取り組んでおります。

 

⑥内部管理体制の強化

 当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、事業拡大に応じたグループ企業管理体制の強化を図り、経営の公正性・透明性を確保するとともに、コンプライアンス及びリスク管理体制を強化し、コーポレート・ガバナンスのより一層の向上に取り組んでおります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティ経営を推進するための体制として、サステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会は、サステナビリティ基本方針の実現に向けた事項の整備・運用等に関する審議及び意思決定を行っています。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長が議長を務め、活動内容については定期的に取締役会へ報告を行っております。

 

(2) 戦略

  当社は、「ソフトウェア技術を通じて、全社員の幸福および全てのお客様の成功を追求し、フィックスターズの技術を活かして、全世界のしあわせ向上に貢献すること」を企業理念としております。

 当社グループの属するソフトウェア産業においては、情報化社会が進む中でコンピュータによる計算量も増加し、それに伴い消費電力も増加し続けています。その中で、当社は、多様な産業分野に対して高速化ソリューションを提供することにより、電力消費を大幅に抑え、環境負荷低減に貢献しています。したがいまして、当社の事業の拡大そのものが、電力消費を削減し、環境負荷を低減し、持続可能な社会を実現するための重要な手段であると認識しております。

 人材の育成に関しましては、当社グループの競争力の源泉は優秀なエンジニアであり、これまで培った豊富なソフトウェア高速化技術に関する社内ナレッジを共有する仕組みを、社内研修・教育制度として整備し、人材の育成を図っております。

 また、当社グループは、性別・国籍・年齢・障がい・入社経路に関係なく必要な人材を採用しており、多様な人材の活躍が重要であると考えております。今後も継続して性別・国籍・年齢・障がい・入社経路を問わない多様な人材の採用・育成・登用を行ってまいります。

 

(3) リスク管理

 当社グループは事業活動上の重大な危険、損害の恐れ(リスク)については、「リスクマネジメント規程」に基づく対応によって、リスクの発生に関する未然防止や、リスクが発生した際は管理本部長指揮下のリスク管理委員会において、迅速かつ的確な対応を行うとともに、損失・被害等を最小限にとどめる体制を整えております。

 サステナビリティに関連するリスクについては、リスク管理委員会により、リスクの特定とモニタリングを行い、定期的に取締役会へ報告を行っております。

 

(4) 指標及び目標

 当社グループにおけるCO2排出量は、事業活動を通じて直接排出するScope1は現時点では排出量ゼロとなっております。2025年9月期においてデータセンター事業を開始するにあたり、Scope1の排出量を継続的に把握し、戦略に基づく指標及び目標の設定を行います。一方、事業活動を通じて間接排出するScope2排出量は、コロナ禍を経て、2024年9月期においてリモートワーク制度の変更を行い、オフィスにおける電力消費量は増加しております。2025年9月期を基準として、2030年9月期において20%削減を目指し、取り組みを推進して参ります。

 当社が「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号の規定に基づき算出し、目標として設定している指標は次のとおりであります。

指標

2024年9月期実績

目標

管理職に占める女性労働者の割合

10.9

2027年9月期 20

男性労働者の育児休業取得率

71.4

2027年9月期 100

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

 当社グループはこれらのリスク発生の可能性を十分認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 また、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

 以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)事業内容に関するリスクについて

①市場の動向について

 当社グループは、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア開発・高速化サービスと、その周辺事業に特化して取り組んでおります。ソフトウェア開発市場の中において急速に重要性が高まっている高速化分野で、これらの分野における先駆けとなるべく事業を拡大してまいりました。当社グループは、本事業分野は今後も順調に成長すると予測しており、引き続き同分野に特化して事業を推進する計画です。

 しかしながら、今後何らかの事情により当社グループの予測通りに市場が成長しない場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②技術革新への対応について

 当社グループは、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア開発・高速化サービスと、その周辺事業に経営資源を集中的に投下していることに加え、最先端技術にも対応すべく努めており、それにより当社グループの差別化要因がもたらされていると認識しております。

 しかしながら、これらの技術を含むIT技術の革新スピードにはめざましいものがあり、かつ当社グループの成果物である商品及びサービスはお客様企業を通じて世界的な競争に晒されていることから、当社グループには常に世界最先端レベルの技術力が期待されております。今後当社グループが最先端のIT技術に迅速かつ十分な対応をすることができなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③特定販売先への依存について

 当社グループはキオクシア㈱に対する売上割合が高く、当連結会計年度においては、全売上高の20.2%を占めております。今後も同社との取引量は継続し、同社に対する売上割合は引き続き高い水準で推移する見込みであります。 当社グループといたしましては、同社業務において欠かすことのできない存在となるべくこれまで以上に技術力の向上に努めるとともに、当社グループの技術力を活かせる新たな分野、新たな販売先への売上拡大にも積極的に取り組んでいく方針です。

 しかしながら、キオクシア㈱向けのプロジェクトが変更もしくは中止となり、同社向け売上が大きく減少した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)会社組織のリスクについて

①特定人物への依存について

 当社の代表取締役社長である三木聡は、当社の創業者であり、創業以来当社の最高経営責任者として、当社グループの経営方針及び事業戦略を決定するとともに、新規ビジネスの開拓及びビジネスモデルの構築から事業化に至るまでの過程において重要な役割を果たしております。

 当社グループは、権限の委譲や人材の育成、取締役会や経営会議等において役員及び幹部従業員の情報共有を図ることで、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②人材の確保及び育成並びにエンジニア等の退職に関連するリスクについて

 当社グループの事業は、その大半がエンジニア等のヒューマンリソースに依存しております。当社グループにおける今後の事業拡大に伴い、その業務においてますますエンジニア等の専門化及び高度化が進むことが想定されることから、様々な採用活動等を通じて、優秀なスキルをもった人材の確保に加え、OJTや社内教育による能力向上を図っております。

 また、当社グループは、ストック・オプション制度及び従業員持株会制度を導入するほか、魅力的な職場環境を提供し役職員の士気や意欲を高めることにより、人材の確保を図っております。

 しかしながら、いずれも継続的な人材の確保を保証するものではなく、適切な人材を十分確保できなかった場合には、当社グループの事業拡大が制約を受ける可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。加えてエンジニア等の退職者が一時的に多数発生した場合、当社グループの技術力や開発力が低下し、当社グループの事業拡大が制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③パートナー企業の活用について

 当社グループは、業容の拡大に伴い、事業運営に際して協力会社等のさまざまなパートナーとの連携体制を構築しプロジェクトを遂行しております。優秀なパートナーを適宜、適正に確保できない場合、当社グループの開発力が低下し、当社グループの事業拡大が制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他

①法的規制について

 当社グループでは、当社グループの事業の継続を困難にさせるような法的規制は存在していないと認識しております。しかしながら、今後法制度の改正により当社グループの事業分野に関連する何らかの規制がなされた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②不採算プロジェクトの発生について

当社グループは、想定される工数や難易度等を基に見積りを作成しプロジェクトを受注しております。当社グループはお客様との認識や開発想定工数が大幅に乖離することが無いように、開発工数の算定とプロジェクトの進捗管理を行っておりますが、事前に開発工数やその成果を完全に見込むことは困難であります。

従って、不測の事態等により、開発工数が増大しプロジェクトの収支が悪化した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③知的財産権について

・当社グループ保有の知的財産権について

 当社グループでは、知的財産権が重要な経営資源の一つであるという認識のもと、知的財産権の保全に積極的に取り組んでおります。職務発明規程を制定し、職務発明審査会において審議のうえ知的財産権の取得を行っております。しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかる等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループによる第三者の知的財産権の侵害について

 当社グループによる第三者の知的財産権の侵害の可能性については、顧問弁護士及び弁理士事務所と連携し、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、特に新商品に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識することなく他社の特許等を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、ロイヤリティの支払いや損害賠償請求等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④災害・感染症の拡大・事故等について

 当社グループは、首都圏を中心に事業活動を行っております。首都圏における地震・火災等の大規模災害や重大な感染症が発生した場合に備え、体制の整備を行っておりますが、通信・交通機関等の社会インフラや、当社グループの事業拠点・従業員等に被害が生じた場合、業務の全部又は一部が停止し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

①業績

 当連結会計年度における我が国経済は、一部に足踏みが見られるものの緩やかに回復しております。一方で、欧米における高い金利水準の継続、中国経済の先行き懸念、中東の不安定な情勢等による世界経済の下振れが国内景気の下振れリスクとして存在し、不透明な状況も続いております。

 このような経営環境下、当社のソフトウェア開発技術を活用し未来社会の構築に貢献すべく「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア及びハードウェア等を提供するとともに、これらの知見がより広く社会に活用されることを目指し、新規SaaS事業の展開を行っております。

 主力のSolution事業では、自動運転を対象としたアルゴリズム開発や高速化案件、半導体メーカー向けソフトウェア開発案件が長期安定して継続しております。その他においても、高速化サービスに対する旺盛な需要を背景に、日本国内の製造業向け案件を中心として安定的な収益を獲得しております。

 SaaS事業においては、量子コンピューティングクラウド「Fixstars Amplify」、乳がんAI画像診断支援プログラム「METIS Eye」、LLM(大規模言語モデル)の開発プロセス高速化基盤「Fixstars K4」等の開発を進めております。

 また、海外事業では、米国子会社のFixstars Solutions, Inc.が日本のお客様の米国業務の一翼を担う一方、研究機関等を対象とした高速化案件の拡大に取り組んでおります。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は7,995,406千円(前連結会計年度比13.6%増)、営業利益2,304,095千円(前連結会計年度比10.4%増)、経常利益2,305,635千円(前連結会計年度比11.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,494,133千円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、以下の数値はセグメント間の取引消去後となっております。

 

(Solution事業)

 Semiconductorの分野では、モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNANDフラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発等を行っております。Mobilityの分野では、自動運転を対象としたアルゴリズム開発及び高速化案件や、次世代モビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。LifeScienceの分野では医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理やゲノム解析、Financeの分野ではリスク計算やHFTの高速化支援、Industrialの分野では産業機器等におけるマシンビジョンシステムの高速化支援等を提供しております。

 この結果、売上高は7,680,311千円(前連結会計年度比12.1%増)、セグメント利益(営業利益)は2,457,700千円(前連結会計年度10.6%増比)となりました。

 

(SaaS事業)

各SaaS事業において、将来の収益獲得に向けて積極的な投資・開発を行っております。

 この結果、売上高は315,095千円(前連結会計年度比66.2%増)、セグメント損失(営業損失)は151,101千円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)135,251千円)となりました。

 

 

②キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ227,367千円増加し、当連結会計年度末には、4,856,480千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果得た資金は1,656,074千円(前連結会計年度比130.2%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(2,289,873千円)、営業投資有価証券の取得(△282,559千円)、法人税等の支払額(△572,376千円)等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は167,222千円(前連結会計年度比497.4%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(△165,238千円)等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は1,240,826千円(前連結会計年度比10.4%増)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出(△804,329千円)、配当金の支払額(△418,465千円)等によるものであります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 生産に該当する事項がないため、記載する事項はありません。

 

②受注実績

 当社グループの事業は、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

 

③販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

前年同期比(%)

Solution事業     (千円)

7,680,311

12.1

SaaS事業       (千円)

315,095

66.2

合計         (千円)

7,995,406

13.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

キオクシア㈱

1,904,443

27.1

1,613,107

20.2

ルネサスエレクトロニクス㈱

1,549,000

22.0

1,275,461

16.0

㈱ネクスティエレクトロニクス

727,454

10.3

807,497

10.1

 

(3)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

②財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて547,095千円増加し、8,729,668千円となりました。これは現金及び預金が227,367千円増加したこと、営業投資有価証券が282,559千円増加したこと等が主な要因であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて570,920千円減少し、1,786,561千円となりました。これは、借入金の返済等に伴い長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が804,329千円減少した一方、未払法人税等が227,056千円増加したこと等が主な要因であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,118,015千円増加し、6,943,107千円となりました。これは、利益剰余金が1,075,826千円増加したこと等が主な要因であります。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は7,995,406千円(前連結会計年度比13.6%増)となりました。当社の主力であるSolution事業において、高速化サービスに対する旺盛な引き合いが継続し、増収となりました。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、4,178,026千円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。これは主に増収によるものであります。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,873,930千円(前連結会計年度比25.9%増)となりました。主に新規事業に対する投資や事業規模の拡大に伴うものであります。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は、2,304,095千円(前連結会計年度比10.4%増)となり、営業利益率は28.8%と、前連結会計年度に比べて0.8ポイント減少致しました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は、2,305,635千円(前連結会計年度比11.0%増)となり、経常利益率は28.8%と、前連結会計年度に比べて0.7ポイント減少致しました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,494,133千円(前連結会計年度比3.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益率は18.7%となり、前連結会計年度に比べて1.9ポイント減少致しました。

 

④資本の財源及び資金の流動性

(キャッシュ・フロー)

 キャッシュ・フローの状況については、「(1)業績等の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

(資金需要)

 当社グループの資金需要のうち主なものは、各事業におけるエンジニアを中心とした人件費、ハードウェア販売案件におけるハードウェアの仕入れ等の運転資金及び新規事業向け研究開発費や事業拡大に伴う設備投資資金等であります。

 

(資金の源泉)

 運転資金や研究開発費、事業拡大に伴う設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を財源としております。当連結会計年度末において4,856,480千円の現金及び現金同等物の残高があり、当面の資金需要に充当し得る十分な資金を保有しております。

 

⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「Speed up your Business」のスローガンの下、経営の効率化と継続的な事業の拡大を通じて企業価値を向上し続けていくことを経営の目標としております。

 具体的な経営指標としては、売上高の成長を第一にとらえ、自己資本利益率、営業利益、フリーキャッシュ・フローを高水準で維持していくことを目標としております。

 当連結会計年度を含む、直近3連結会計年度の推移は以下のとおりであります。

 

2022年9月期

2023年9月期

2024年9月期

売上高(千円)

6,310,732

7,038,276

7,995,406

自己資本利益率(%)

27.2

28.8

24.2

営業利益(千円)

1,624,068

2,086,357

2,304,095

フリーキャッシュ・フロー(千円)

1,411,829

691,458

1,488,852

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、当社技術を活用したSaaS等の研究開発を、自己資金の範囲内で行っており、当連結会計年度における研究開発費の総額は168,031千円となっております。

 主な研究開発の内容としては、量子コンピュータ向け共通ミドルウェアや乳がんの診断支援システム、LLM(大規模言語モデル)を高効率で開発・運用できる基盤等の研究開発を行っております。

 なお、研究開発活動は事業セグメントを横断する内容となっているため、全社として研究開発活動の概要を開示しております。