文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、社名の由来である「日々新たに、また、日に新たなり」の精神を基本に、自己革新を続けながら、安全・迅速・低コストに高品質な物流・旅行サービスを提供することで、豊かな社会の実現に貢献するとともに、お客様との間に信頼を築き上げながら企業価値を高め、株主をはじめとする全てのステークホルダーのご期待に応えることを経営の基本方針としています。
この基本方針を実現するために、当社グループは、経済・社会の発展に不可欠である物流事業をはじめ旅行業などの関連事業を、企業倫理・法令遵守の徹底及び地球環境保全への積極的な取組みなど企業の社会的責任(CSR)をはたしながら、グローバルに展開していくことを目指しています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2022年3月22日に第7次中期経営計画「Nissin Next 7th」を策定しております。
2023年3月期から2027年3月期までの5年間を対象期間とし、フェーズ1(2023年3月期~2024年3月期)の2年間と、フェーズ2(2025年3月期~2027年3月)の3年間としております。
なお、フェーズ2の開始に際し、2024年5月9日の取締役会において数値目標の修正を決議しております。
第7次中期経営計画における数値目標、経営指標、資本政策に関する方針につきましては、以下の通りです。
①数値目標
②資本政策
a.株主還元方針
安定配当の継続を基本に、株主資本配当率(DOE)4.0%以上を目安とする下限配当の設定と、機動的な自己株式取得の実施により、株主還元の一層の充実化を図ることと致します。
・配当指標 DOE:「4.0%以上」を目安
・自己株式取得 2023年度取得済み約20億円に加え、2024年度に更に140億円程度の自己株式の取得を実施
b.政策保有株式の縮減
2023年度縮減済み約80億円に加え、2026年度までに更に政策保有株式約120億円を縮減予定です。売却資金は成長投資及び株主還元に活用致します。
(3) 経営環境
今後の見通しにつきましては地政学的リスクの高まりや中国経済の停滞、コスト増加や物価上昇による景気減速の懸念など、引き続き不確実性が高い状況が続くことが見込まれます。
このような状況下、当社グループでは、物流事業においては、自動車関連貨物を中心に荷動きが回復し取り扱い物量の増加を見込んでおります。また、旅行事業においては、業務渡航や団体旅行の取り扱い増加により回復基調は継続するものと見込んでおります。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
第7次中期経営計画(2023年3月期~2027年3月期)では、次の新たな姿に変貌していくという観点から、計画を「Nissin Next 7th」(NN7)と名付け、グループ一丸となって、次のステージに進んでまいります。「NN7」は新たな試みとして5年間を二つの期間に分け、フェーズ1の2年間で、強固な経営基盤を確実に構築し、フェーズ2の3年間で大きな飛躍を実現することで、より高い企業価値向上を目指してまいります。
第7次中期経営計画での主要な取り組みは以下のとおりです。
[フェーズ1]2023年3月期~2024年3月期
<次世代に適応する事業基盤・経営基盤の構築>
①事業ポートフォリオ戦略の推進
営業体制を産業別の体制に再編するとともに、3次元(事業別、産業別、地域別)での事業管理体制を整え、更なる事業拡大を目指します。
②DXの推進
営業、現業、管理の3つの領域でDXを加速、強化します。
③新領域事業の創出
新規事業の調査研究・発掘・事業化を推進
④ESG経営の推進
特定したマテリアリティのリスクと機会への取組みを「サステナビリティ委員会」とそれを実践する「サステナビリティ推進室」を設け対応、推進します。
[フェーズ2]2025年3月期~2027年3月期
<施策の確実な実行と更なる成長の実現>
①フェーズ1で構築した事業基盤・経営基盤を活用し、企業価値を高める新しい施策を実行していきます。
②これまで培ってきたサプライチェーン ロジスティクス プロバイダーとしてのサービス提供に加え、産業構造の変化に合わせたサービスを提供します。
③新領域事業として、従来とは異なる発想によって生み出す新たな物流関連事業にも挑戦し、企業価値を高めていきます。
(5) 優先的に対処すべき課題
中長期的な視野で新しい社会に対応していくために、「事業ポートフォリオ戦略の推進」「新領域事業への挑戦」「ESG経営の推進」の3点に重点を置き、各施策を確実に実行することで、事業基盤の拡大、経営基盤の強化を進めてまいります。
①事業ポートフォリオ戦略の推進
コア事業の深耕化や成長分野への投資を進めることで企業価値を高めてまいります。
②新領域事業への挑戦
従来とは異なる視点、発想のもとDXの推進による最先端のデジタル技術を活用した物流商品の開発や環境負荷低減の独自サービスの提供等、新たな物流関連事業を創出してまいります。
③ESG経営の推進
サステナビリティに関わる重要課題(マテリアリティ)を特定し、気候変動への対応として、脱炭素の動きを着実に捉えた営業活動の推進と、再生可能エネルギーの利用促進や環境に配慮した設備の拡充等による計画的なCO2排出量削減を進めてまいります。また、人的資本においては、ダイバーシティや女性の活躍推進により多様な人財の確保、育成にも努めてまいります。
上記に加え、資本効率の向上では、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本コストを上回る収益性の確保をはじめ、政策保有株式の縮減による資産効率の改善、自己資本と負債の適正なバランスの維持による資本構成の最適化を進めてまいります。
これらの取り組みを通じて、財務目標の達成と、株主価値・企業価値の向上に努めてまいります。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが合理的であると判断したものであり、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ全般に関する開示
当社グループは、中長期的な企業価値の向上の観点のもと、サステナビリティ基本方針を制定しております。同方針に則り、持続可能な社会の実現に向けて当社グループが果たすべき責任を推進していくため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置致しました。また、第7次中期経営計画「Nissin Next 7th」においても、ESG経営の推進を重点施策の一つと位置付け、取り組みを一層進めるとともに、特定した4つのマテリアリティに基づき、サステナビリティ委員会のもとサステナビリティ推進室が中心となってグループ全体の取り組みを推進してまいります。
当社グループでは、特定したマテリアリティを中心とするサステナビリティに関する様々な課題に対して組織的に対応するため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、年2回開催しております。本委員会は経営会議の諮問機関として、マテリアリティの特定や見直し、サステナビリティに関わるリスク及び機会の識別・評価・管理を行うとともに、目標の設定や施策の計画、立案、進捗管理を行い、経営会議に答申を行います。また、その結果については、経営会議から取締役会へ報告され、重要事項については取締役会での決議を行うなど、実効性のある体制を構築しております。
②リスク管理
当社グループでは、経営に重大な影響を及ぼすリスクを全社的観点で洗い出し適切な対応を行うため、リスクマネジメント規則に基づきリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会の委員長はリスク管理担当の役付執行役員が務め、代表取締役社長がグループのリスクマネジメントの最高責任者を務めております。特に気候変動リスクを含むサステナビリティに関連するリスク及び機会については、サステナビリティ委員会での評価に加え、リスク管理委員会にて全社的観点で評価し、モニタリングを行っております。
なお、リスク管理委員会で重要リスクであると特定されたリスクについては、経営会議、取締役会での議論・承認を経てグループの重要リスクとして認識され、対応策の検討・実施を行っております。
(2)気候変動に関する開示
当社グループでは、マテリアリティの一つとして「脱炭素社会の実現と環境に配慮した循環型社会への貢献」を掲げており、特に気候変動への対応は重要な経営課題の一つと位置付け、これまでも再生可能エネルギーへの転換や、環境対応施設・車両の導入、モーダルシフトの推進等の環境負荷低減化を図るためのサステナビリティ活動に取り組んでおります。
今後も事業を通じた活動を強化・推進していくため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、同提言の枠組みに基づく4項目「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の情報を㈱日新及び全ての連結子会社を対象として開示しております。
なお、特定した気候変動リスク・機会、削減目標等については定期的に見直しを行うとともに、気候変動情報を適宜開示するなど情報開示の充実化に努めます。また温室効果ガス(GHG)排出量削減の対応策を実施することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスについては、サステナビリティ全般におけるガバナンスに含まれております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する開示①ガバナンス」をご参照ください。
気候変動が当社グループの事業活動に中長期的に影響を与えるリスク・機会を特定するとともに、産業革命前の世界の平均からの気温上昇が「1.5℃」「4℃」の場合の世界観を想定し、リスク・機会の対応策の検討と2030年度時点における財務影響度の分析を行いました。
想定するシナリオ別の世界観は図1の通りであり、また、特定されたリスク・機会と財務影響度、対応策は図2の通りです。
図1
図2
■時間軸:
短期:2026年度(第7次中期経営計画終了年度)
中期:2030年度
長期:2050年度
■財務影響度:定性的・定量的な観点に基づく財務影響を 大・中・小 にて評価
※㈱日新及び全ての連結子会社の活動量等を基に評価、一部2℃未満のシナリオも併用
③リスク管理
気候変動に関するリスクについては、サステナビリティ全般のリスクに含めて管理しております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する開示②リスク管理」をご参照ください。
④指標及び目標
気候変動リスク・機会への対応とその効果を測定するための指標と、2030年度に向けた削減目標を下記の通り設定しております。2050年度カーボンニュートラルの実現を目指し、更なる排出量削減に取り組んでまいります。
指標:温室効果ガス(GHG)排出量 Scope1、Scope2
目標:GHG排出量を年率2.7%削減(2022年度基準で2030年度までに21.6%削減)
※対象範囲は(株)日新及び全ての連結子会社
<削減実績と目標>
※上記の排出量・削減目標は(株)日新及び全ての連結子会社のScope1・2が対象
<今後の主な削減施策>
Scope1
・EV、FCV等の環境性能の高い車両への更新
・バイオ燃料等への代替
・冷凍・冷蔵設備のフロン冷媒を自然冷媒へ切り替え
・共同輸送、モーダルシフトの推進により自社車両の効率運用
Scope2
・再生可能エネルギー電力導入拠点の拡大
・太陽光発電等の自然由来エネルギーの導入
・施設照明LED化等の省エネ化の促進
・DX導入によるエネルギー使用量削減
・非化石証書の購入
(3)人的資本に関する開示
当社グループのパーパス「世界の人々に感動を運び、地球を笑顔で満たす」及びサステナビリティ基本方針に基づき、持続可能な社会を実現するための4つのテーマとして「地球・品質・人・信頼」を設けております。
そのうち「人」については人的・知的資本として位置づけ、「一人ひとりの尊重と個の能力を最大限に発揮できる環境の整備」をマテリアリティ(重要課題)として特定し、その解決に向けて、働きやすい職場環境の整備や人材育成による社員の能力の最大化、最適な人材配置等を通じて、個人と組織がともに成長できるよう人的資本経営を進めてまいります。
①戦略
a.人材採用・育成方針
当社グループは、社名の由来である「日々新たに、また、日に新たなり」の精神を基本とし、自己革新を続けながら、安全・迅速・低コストかつ高品質な物流・旅行サービスを提供することで、豊かな社会の実現に貢献するとともに、お客様との間に信頼を築き上げながら企業価値を高め、株主をはじめとする全てのステークホルダーのご期待に応えることを経営の基本方針としております。
この経営の基本方針を体現できる社員を採用して育成するため、次の人材採用・育成方針を定めました。
(a)人材採用方針
・新卒採用:「Be a challenger」をスローガンとし「創造性、積極性、協調性、高い向上心を持ち、新しいことに挑戦できる人」を当社が求める人材とし、今後も一定数の新卒採用を継続することで持続可能な企業活動の維持に努めます。
・中途採用:中途採用者が中核人材として活躍することで企業活動の活性化に繋がるよう、異なる経験や技術をもった人材を継続して採用するとともに、中途採用者が中核人材として活躍できる組織風土の醸成に取り組んでおります。今後も、中途採用の強化と管理職への登用をはかり、多様性の確保に努めてまいります。
過去3事業年度における管理職に占める中途採用者の比率は次の通りです。
2021年度: 20.8%、2022年度: 21.0%、2023年度: 17.9%
・多様な人材の確保:当社グループの海外拠点は、世界24ヵ国・地域、36現地法人にわたり、外国人従業員は約3,000名にのぼります。それぞれの国・地域において、既に多くの外国人従業員が中核人材として活躍しており、今後も、グローバルなビジネス環境において、外国人の採用及び管理職への登用を推進していくことで、多様性の拡充をはかってまいります。
(b)人材育成方針
個々の社員が自ら常に高い目標を追求し続け、達成することができるよう、専門スキル習得のための社内研修やリスキリングへの機会提供に向けた投資の拡充に継続して努めます。
・主な社内研修制度
ⅰ階層別研修の拡充(新入社員研修、入社3年目研修、昇格者研修、新任課長研修 他)
ⅱ社内インターン制度(他部店の業務内容を学ぶことで今後のキャリアを考える機会の提供)
ⅲジョブローテーション制度 (若年層を中心に様々な業務を経験することで自己成長の機会を促す)
ⅳグローバル人材育成(早期から国際的な感覚や視点を養うため、語学研修や海外研修員制度を実施)
ⅴ実務関連研修(社員の基礎能力のベースアップを図るため、実務に関連した研修を実施)
ⅵITリテラシー研修(ITリテラシー向上のため、基礎的なIT研修や業務効率化に係る一連の研修を実施)
ⅶダイバーシティ&インクルージョン研修(女性活躍推進、男性の育休取得推進、障がい者雇用、LGBTQ+理解促進など、様々なテーマを取り上げた研修を実施)
ⅷ自己啓発・スキルアップ支援(各種通信教育の提供、社内e-learningなどを通して、社員一人ひとりのスキルアップを支援)
(研修制度の概要)
b.社内環境整備方針
当社グループで働く全社員がやりがいを持って安全・安心に働き続けることができるよう、職場環境の整備及び社内コンプライアンス遵守のための教育・指導に継続して取り組みます。
その結果、生み出された収益・成果に基づいて、「賃金決定の大原則」に則り、当社グループ各社の状況や労使間の真摯な協議を経たうえで、ベースアップを含む社員の処遇向上に継続的に取り組むことで、従業員エンゲージメントの向上に努めております。
社内環境整備に向けた主な社内制度
(a) フレックスタイム勤務制度や時差勤務制度及びテレワーク(在宅、サテライトオフィス、ワーケーシヨン)勤務制度を導入し、多様な働き方を推進しております。
(b) 育児・介護等と両立して働く社員のため、育児・介護休業、短時間勤務、フレックスタイム勤務、時差勤務などの制度拡充により、積極的に支援しております。
(c) 法令順守や企業倫理向上のため、企業行動指針である「日新企業行動憲章」をはじめ、「コンプライアンス・マニュアル」等の整備や、e-learningをはじめとするコンプライアンス・ハラスメント研修などを行い、従業員の法令順守意識の向上に努めております。
(d) 当社グループでは、業務上の不正行為やハラスメント等の法令・社内規程等の違反やその恐れのある行為の早期発見と是正を行うため内部通報制度を実施しております。また、通報・相談窓口として内部通報用のヘルプデスクに加えて、外部通報受付窓口(顧問法律事務所)を設置し、コンプライアンス体制の強化に努めております。
c.女性活躍の推進
当社グループでは、女性社員一人ひとりが能力を発揮して活躍できるよう、働きやすい職場環境を整備するため、次のような社内制度の導入・拡充に努めてきました。
これらの取り組みを推進することで、当社は「女性活躍推進法」に基づく取り組みが優良である企業として、2022年1月に「えるぼし」認定の最高位(三ツ星)を取得しております。これからも社員の意見や要望を反映した、より良い社内制度を導入・拡充するとともに、当社で導入している各種社内制度を当社グループ内にも周知・導入することで、当社グループ全体で女性の働きやすい職場環境を整備し、ワークライフバランスの向上に努めております。
・各種社内制度の充実
(a) 産前・産後における有給休暇付与
(b) 育児休業制度(最長で子が2歳に達する月の末日まで)
(c) 育児短時間勤務制度(1日の勤務時間を5時間から7時間まで30分単位で選択することが可能)
(d) 結婚・出産・育児・配偶者の転勤を理由とした離職者への再雇用制度(離職後10年)
・女性社員のキャリア形成支援、ダイバーシティ・マネジメント研修等の実施
・海外駐在員・研修員への積極的な女性社員の登用
②指標及び目標
当社グループでは、多様な人材一人ひとりが能力を十分に発揮できるように職場環境や社内制度の整備を進めるとともに、女性活躍の推進を行っております。活動の推進状況とその効果を測る為、当社では女性活躍推進法に基づき、2021年度から2024年度までの間における管理職に占める女性社員の比率10%以上を目標とし、女性の活躍推進企業データベースにて公表しております。また、主要な連結子会社である㈱九州日新では、2022年度から2025年度までの間に管理職に占める女性社員の比率15%以上を目標とし、次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画にて公表しております。
なお、当社グループでは、上記「①戦略」において記載した、「a.人材採用・育成方針」「b.社内環境整備方針」「c.女性活躍の推進」に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、提出会社と一部の連結子会社のものを記載しております。
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、
当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものを想定しています。
本項には、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において、当社グループが判断したものです。
(1)事業環境・経営戦略にかかわるリスク
① 国際情勢によるリスクについて
当社グループは、アジア・中国・米州・欧州の各地域に海外現地法人等の拠点を置き、グローバルな事業を展開していることが強みである一方、国際情勢に対して影響を受けやすい事業環境にあります。この環境下において、ウクライナ戦争の長期化や米中間の貿易摩擦、中国経済の減速など未だ先行きが不透明な状況が続いており、その影響として原材料やエネルギー価格の高騰・高止まりや、為替相場の変動等が生じ、製造業をはじめとする企業では調達国・生産国の変更などサプライチェーンの再構築を進める動きも出ています。このような国際情勢を起因とする変化に対して、当社グループが適切に対応できない場合、取り扱い貨物量の減少、ひいては売上高、利益の減少につながり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、国際情勢の変化への対応として、グローバルネットワークの活用や各拠点の地場営業力の強化を通じ、顧客のサプライチェーンの構築・管理に貢献できるサービスの提供を行っています。
② 競合のリスク
当社グループの主要事業である国際物流事業は、国際複合一貫輸送として提供する海上輸送、航空輸送、鉄道・トラック輸送から、港湾・倉庫、引越、通関業務に至るまで、物流全般において幅広くサービス展開をしております。
しかしながら、国内外での他社の新規参入や同業他社間の競争激化に対して、当社グループのサービス優位性が低下した場合、事業規模の縮小や利益率の悪化につながり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、産業別の営業体制を構築し、それぞれの分野で培った豊富な専門知識・スキル・ノウハウを活かした顧客のニーズに応える高いサービス品質を保つとともに、グローバルネットワーク等の当社の強みを活かした独自のサービスを提供することで、他社との差別化を図っております。
③ ビジネスモデルの変化によるリスク
a.顧客企業が属する業界の産業構造の変化について
当社グループは国際物流事業を軸として、多種多様な業界に属する企業を顧客としておりますが、自動車産業に関連する顧客の取り扱い貨物の割合が比較的高く、当社グループの業績は少なからず自動車の生産・販売動向の影響を受けます。今後、脱炭素社会の実現に向け、従来のガソリン車から電気自動車(EV)をはじめとする次世代環境対応車両等への転換による産業構造の変化が進んだ場合、自動車部品の種類の変更や品目数の減少により、取り扱い物量が減少し、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、EV等で使用される部品の輸送や保管専用施設の拡充、専用物流容器の開発等の新たな物流の提案を行い、産業構造の変化にも対応するサービスの優位性の確立に努めています。
b.テクノロジーの進化について
当社グループが事業を展開している物流業界では、AIやIoTを活用した倉庫の自動化や貨物のリアルタイムトラッキング、デジタルフォワーダーの出現等、ビジネスモデルの多様化や物流業務の電子化が進んでいます。このような業界構造の変化や新しいビジネスモデルの出現に対して、適切な対応を取れない場合、取り扱い物量が減少し、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、デジタルフォワーディングサービスの「Forward One」によるオンラインでのサービス提供等、輸出入手配の効率化を図っております。ほかにも物流容器に着目したサービス「ハコラボ」等のIoTを活用した革新的な物流サービスを提供することで、物流DX化に対応しております。
④ 人口減少のリスク
当社グループは最大の事業基盤である日本を中心にグローバルな事業を展開しておりますが、日本を始めとする世界の先進国では人口減少と少子高齢化が顕著になっており、今後も中長期に渡って進行していくことが予想されます。このような人口減少等による経済活動の縮小に対して、当社グループが適切に対応できない場合、取り扱い貨物量の減少、ひいては売上高、利益の減少につながり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、人口増加国での取り扱い拡大・強化を進めるとともに、IT等の省人化、効率化により高い収益性の確保に努めています。
⑤ 人材確保のリスク
当社グループの主要事業である物流事業及び旅行事業は、質の高い人材の確保や適正な人員配置が重要であり、人材を継続的に採用し、労働環境の整備や教育体制の充実等を図っております。しかしながら、労働需給が逼迫し採用計画に基づく人材を複数年に渡り十分に確保できない場合、従業員の離職が著しく増加した場合、また2024年問題をはじめとする運転手不足に直面した場合、事業運営の遂行に困難が生じ、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、賃金制度や評価制度の拡充、採用計画に基づく新卒の定期採用、中途採用の適宜実施、2024年問題については労働環境の整備、輸送効率の見直しや省力化への対応などにより、必要な人材の確保と人手不足の解消に尽力し、事業運営が遅滞なく遂行できるように努めております。また、サステナビリティに関わる重要課題として「一人ひとりの尊重と個の能力を最大限に発揮できる環境の整備」を掲げており、従業員エンゲージメント向上のための教育・研修制度、適切な人材配置、育児・介護休業規則の拡充及びテレワーク勤務規程の導入等の労働環境の整備により、必要な人材確保に努めています。
⑥ 気候変動等によるリスク
当社グループは、世界24ヵ国/地域でグローバルな事業を展開しておりますが、地球温暖化対策の国際的な枠組みを定めた協定の採択や各国でのSDGs達成に向けた取り組み等により、気候変動対策のための様々な環境規制が実施された場合、それに伴う顧客の事業活動の変化による物流需要の減少・受注機会の逸失、及び新たな設備投資等による費用負担が増加し、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、サステナビリティに関わる重要課題として「脱炭素社会の実現と環境に配慮した循環型社会への貢献」を掲げており、具体的な施策として、温室効果ガス(GHG)排出量削減目標を設定し、再生可能エネルギーへの電力契約見直し、太陽光パネル設置、各施設におけるLED照明導入による省エネ対策の強化、環境負荷の少ない車両・機器設備の導入等により排出量の削減に取り組んでおります。
なお、気候変動に関するリスクについては、TCFDの提言に基づきリスク・機会をより詳細に特定しており、2.サステナビリティに関する考え方及び取組で詳細に記載しています。
⑦ 固定資産の減損リスク
当社グループでは、土地、建物等をはじめとする有形固定資産を保有し、また他社の買収や投資時にはのれん等の無形固定資産が発生することがあります。土地、建物等については時価の著しい下落や事業環境の悪化により収益性が低下した場合、のれんについては投資先の収益が買収時の想定を大幅に下回り、かつ将来の回復が見込めず投資額の回収可能性が低いと判断される場合には、固定資産の減損損失の計上が必要となり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、金額的に重要性の高い新規投資の際には投資額の適正性や将来の収益性を十分に評価・検討した上で、経営会議、取締役会において厳正な投資判断を行っております。
(2)ハザードリスク
① 自然災害によるリスク
当社グループでは、世界24ヵ国/地域に事業を展開し、それぞれの地域において港湾施設や倉庫など、事業を行う上で必要な施設を保有しております。万が一、地震、津波、高潮、洪水、台風、集中豪雨等の大規模自然災害によりそれらの施設に甚大な被害が発生した場合、事業運営に大きな影響を及ぼすとともに、その機会喪失による売上高の減少や施設の損害額等により、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、自然災害保険の加入や高潮、台風などに対する施設の防災機能を強化、また災害発生時のシステム停止を想定したデータセンターの分散運用により、自然災害発生時の損失を最小限にとどめるように努めております。また、事業継続計画(BCP)の策定や定期的な机上訓練を実施しており、自然災害により指揮命令系統に支障が発生した場合でも事業継続やサービス提供が可能な体制を構築しております。
② 情報関連のリスク
当社グループでは、物流事業、旅行事業、不動産事業の業務受託に際し顧客情報をはじめとする重要情報を取り扱っております。万が一、情報の外部漏洩やデータ喪失などの事態が生じた場合や、コンピュータウイルスやサイバー攻撃等により長期間情報システムに重大な障害が発生するような事態が生じた場合、事業活動の停滞や顧客への損害を与えることとなり、当社グループの社会的信用の低下、それに伴う売上高の減少や損害賠償費用等により、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、情報保護に関してはその重要性を十分認識しており「コンプライアンス・マニュアル」、「情報システム管理規程」、「情報セキュリティ規程」等に基づく情報管理を徹底し、また最新セキュリティソフトの導入や定期的なデータバックアップ、標的型攻撃に対する訓練など従業員への教育・啓蒙を定期的に実施し、リスクの低減化に努めております。
③ 感染症・伝染病によるリスク
当社グループは、世界24ヵ国/地域でグローバルな事業を展開しておりますが、新型ウイルス等感染症の拡大や新たな伝染病が発生した場合、従業員の健康と安全の確保を最優先とした感染防止のための営業活動の制限、顧客の事業活動の縮小・停止などによる物流需要の減少や、出張などの旅客需要の落ち込みによる売上高の減少等により、当社グループの財政状態や経営成績、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、危機管理規程に基づく事業継続計画(BCP)の整備をはじめ、テレワークやWEB会議の実施、ペーパーレスの推進による業務効率化、医薬品衛生用品の備蓄、及び感染症対策マニュアルに基づく有効な感染予防策を講じ、事業継続とサービス提供が可能な体制を構築しております。
(3)業務運営に関わるリスク
① 法的規制等によるリスク
a.事業免許等について
当社グループでは、物流事業、旅行事業、不動産事業において国内外の各種法規制に基づく事業免許等を取得しております。万が一、法的要件不備のまま事業を行った場合、営業停止、免許の取消等の様々な行政罰や課徴金の発生等により、当社グループの社会的信用の低下、それに伴う売上高の減少や損害賠償費用等、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b.輸出入業務関連法令について
当社グループでは、国内事業においては、通関業法をはじめ港湾運送事業法、貨物利用運送事業法等の物流及び輸出入業務に関係する様々な法規制の対象となっており、同様に海外事業においても進出先・輸出先国の法規制等の対象となっております。万が一、法令違反が発生した場合、営業停止等の制裁による日常業務の制限や課徴金の発生等により、当社グループの社会的信用の低下、それに伴う売上高の減少や損害賠償費用等、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
c.その他事業関連法令について
当社グループでは、前出の事業免許等や輸出入業務関連法令のみならず、国内外の各事業において様々な法規制を受けております。万が一、違反行為等による不祥事が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下、それに伴う売上高の減少や損害賠償費用等により、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、事業免許等の要件の維持、法令改正への対応、法令遵守のため、業務マニュアル・業務手順書等の作成・更新、報告管理体制の整備、企業倫理向上のための企業行動指針である「日新企業行動憲章」や「コンプライアンス・マニュアル」をはじめとする各種社内関連諸規程等を定め、研修等による定期的な教育を通じて従業員への周知徹底を図っております。また、コンプライアンス委員会によるコンプライアンス活動の実践に努めるとともに内部通報制度の整備等とあわせて、法令遵守を推進する体制を構築しております。
② 事故によるリスク
当社グループでは、日々の業務に対する「安全・安心への取り組み」への強い意識が事業の根幹を支えておりますが、それが遵守されず、労働災害、物損事故、火災等の不測の事故が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下、それに伴う売上高の減少や損害賠償費用等により、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、未然に事故を防止するために、労働安全衛生法等に則った安全衛生管理体制の整備、安全パトロールの実施や従業員向けの安全啓発教育の実施及び事故情報の水平展開等を行い、事故発生ゼロを目指しております。更に、事故発生時の初期対応や迅速な報告体制の整備も進めるとともに、倉庫などの保有施設に対しては、各社が個別に付保する保険や、グループ会社を包括する包括賠償責任保険の付保を一部実施し、万が一事故が発生した場合においても、当社グループが被る影響が最小限になるように努めております。
③ コンプライアンス・内部統制のリスク
当社グループの従業員及び取締役は、企業理念に掲げる「高い倫理観を堅持しつつ、グローバルに、自由で公正な企業活動を遂行する」精神のもと、法令遵守はもとより社会規範に則した公明正大な企業活動に取り組んでおります。しかしながら、万が一、従業員及び取締役による重大な法令違反や不正行為等が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下、それに伴う売上高の減少や損害賠償費用等により、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、法令遵守や企業倫理向上のため、企業行動指針である「日新企業行動憲章」をはじめ、「コンプライアンス・マニュアル」等の整備や従業員向けのコンプライアンス教育・研修の充実を図るとともに、コンプライアンス委員会の開催、内部通報制度の導入や、内部統制システムの整備、及び内部統制評価委員会の設置等、実効性の高いコンプライアンス体制の構築と内部統制機能の強化を図っております。
④ 過重労働のリスク
当社グループにおいて、過重労働や不適切な労務管理、またそれらを主因とする労働災害等が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下、それに伴う売上高の減少や損害賠償費用等により、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループにおいては、36協定をはじめとする労務管理関連法令の遵守のみならず、職場における労働時間の適正化、e-learning等を利用した従業員への労務管理教育を図り、安全安心な労働環境の整備に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、
売上高は、169,934百万円(前連結会計年度比87.5%)
営業利益は、8,073百万円(前連結会計年度比63.9%)
経常利益は、9,463百万円(前連結会計年度比69.4%)
親会社株主に帰属する当期純利益は8,649百万円(前連結会計年度比82.1%)となりました。
(単位:百万円)
セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりです。
① 物流事業
[日本]
日本では、取り扱い物量は航空貨物が総じて低調となり海上貨物も伸び悩みましたが、倉庫業務は堅調に推移しました。航空貨物の取り扱いは、在庫調整の影響等もあり輸出入とも減少が続きましたが、医薬品等の取り扱いが堅調に推移しました。海上輸出では、機械設備等の取り扱いが堅調となり、輸入は機械、雑貨等が好調に推移しました。
[アジア]
アジアでは、全体的に自動車関連貨物の取り扱いの回復が遅れるなど低調に推移しました。国別で見ますと、タイにおいて航空貨物の取り扱い物量減少などが収益に影響し、前期比で大きく減少しました。一方で、ベトナムでは雑貨等の取り扱いが堅調に推移し、インドにおいて国内配送業務が好調となるなど、アジア地域の収益を下支えしました。
[中国]
中国では、景気回復の遅れの影響等により海上・航空貨物の取り扱いが低調となり、価格競争激化等の影響により収益性が低下しました。地域別では、常熟において海上輸出コンテナの取り扱い等が堅調に推移し、第4四半期から連結子会社化した中外運-日新国際貨運有限公司が収支に貢献しました。
[米州]
米州では、各国とも自動車関連貨物の取り扱いが堅調に推移しました。国別では、米国において食品、大型蓄電関連貨物の取り扱いが収益に寄与しました。また、メキシコでも下期に入り自動車完成車の取り扱いが回復傾向で推移しました。
[欧州]
欧州では、総じて荷動きの低調が続き収益は伸び悩みました。国別では、ポーランドにおいて、倉庫事業が堅調に推移しましたが、ドイツで家電製品や自動車関連貨物の取り扱いが低調となるなど、全体的に勢いにかける動きでした。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ13.9%減の161,541百万円、セグメント利益(営業利益)は前連結会計年度に比べ43.4%減の6,698百万円となりました。
② 旅行事業
主力業務である業務渡航の取り扱いが緩やかながら回復基調が継続し、団体旅行の取り扱いが収益に貢献するなど通期で黒字化しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ34.4%増の7,215百万円、セグメント利益(営業利益)は509百万円(前連結会計年度 セグメント損失(営業損失)14百万円)となりました。
③ 不動産事業
京浜地区等における賃貸不動産が前年並みに推移しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べ4.6%増の1,590百万円、セグメント利益(営業利益)は前連結会計年度に比べ4.3%増の851百万円となりました。
当社グループは、2027年3月期を最終年度とする第7次中期経営計画(2023年3月期~2027年3月期)をフェーズ1とフェーズ2に分け、「サプライチェーン ロジスティクス プロバイダーとして、新領域事業への挑戦とコア事業の深耕化を図るとともに、ESG経営に取組む」の基本方針のもと、財務目標と資本政策に関する方針を定め、事業基盤・経営基盤の強化を進めております。
フェーズ1の最終年度である当連結会計年度は、物流事業においては、前期の海上、航空運賃高騰の反動減による影響が大きく、取り扱い物量も伸び悩みましたが、倉庫業務は堅調に推移しました。旅行事業では業務渡航取り扱いの回復基調が継続し、団体関係の取り扱いも堅調となりました。この結果、前年比では減収減益となりましたが、物流事業における成長投資や産業別営業体制の確立を進めるなど、計画は予定通りに進捗しております。
2024年4月からはフェーズ2の期間に入り、基本方針である「サプライチェーン ロジスティクス プロバイダーとして、新領域事業への挑戦とコア事業の深耕化を図るとともに、ESG経営に取組む」のもと、引き続き成長投資と新規事業の拡大、収益力と資本効率の向上を進めてまいります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ21,083百万円増加の174,346百万円となりました。主な要因と致しましては、神奈川埠頭危険物倉庫の竣工等により建物及び構築物(純額)が4,359百万円増加したほか、神戸市における危険物倉庫建設用地の取得等により土地が3,464百万円増加しております。
負債は前連結会計年度末に比べ4,125百万円増加の72,125百万円となりました。主な要因と致しましては、支払手形及び買掛金が2,121百万円、短期借入金が2,171百万円増加しております。
純資産は前連結会計年度末に比べ16,957百万円増加の102,220百万円となりました。主な要因と致しましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が6,685百万円増加したほか、その他有価証券評価差額金が3,386百万円、為替換算調整勘定が2,764百万円、退職給付に係る調整累計額が3,417百万円増加しております。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末より1.8ポイント増の55.4%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
<キャッシュ・フローの状況>
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は26,359百万円で、前連結会計年度末に比べ3,893百万円の資金の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは13,593百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ4,329百万円収入が減少しました。その主な要因は、売上債権の増減額が減少したことや、税金等調整前当期純利益が減少したこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,922百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ3,635百万円支出が減少しました。その主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が増加したこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは9,600百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ984百万円支出が増加しました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出が増加したこと等によるものです。
(単位:百万円)
キャッシュ・フロー指標の状況
自己資本比率及び時価ベースの自己資本比率、債務償還年数、インタレスト・カバレッジ・レシオは次のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
<資金需要について>
当社グループの主な運転資金需要は、貨物輸送運賃や旅客運賃、倉庫や港湾施設等の賃借料、及び人件費経費等であります。主な設備投資資金需要は、新倉庫の建設や施設増強工事、車両及びシステム投資等に関するものであります。また、第7次中期経営計画における設備投資は、海外・国内の物流施設への拡充を中心に順調に推移し、当連結会計年度は総額15,025百万円の設備投資を実施しました。
<資金の流動性について>
当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しております。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っております。
<資金の調達>
現在そして将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めております。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローの他、金融機関等からの借り入れ及び社債発行によって調達しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。