第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、GMO-FHが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 GMO-FHは、「金融サービスをもっとリーズナブルに もっと楽しく自由に」の企業理念のもと、金融及びインターネットビジネスにおける技術力を競争力の源泉として、すべての人にとって本当に価値ある金融サービスを提供する「インターネット総合金融グループ」を目指しております。

 ITの活用とグループシナジーの発揮によって、金融サービスの可能性を広げ、お客様にとって低コストで、使いやすさ、利便性を追求した圧倒的No.1サービスの提供を通じて豊かな社会の実現に貢献してまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

GMO-FHは「強いものをより強くする」の方針のもと、収益の柱である店頭FXのさらなる収益力強化を通じて成長原資を確保するとともに、CFD、暗号資産事業やタイ王国での事業などの成長分野、NFT事業など新規分野に投資することで、事業基盤の強化と収益源の多様化を進め、持続的成長を図ってまいります。

重点的に取り組む各商品・事業とテーマは次のとおりです。課題と施策については、下記「(3) 経営環境及び対処すべき課題」に記載しております。

 

① 収益の柱である店頭FXのさらなる強化

② 成長分野であるCFDの顧客基盤と収益の拡大

③ 暗号資産事業の顧客基盤と収益の拡大

④ 新規事業の開発、海外事業の成長加速

 

 なお、GMO-FHが展開する証券・FX事業、暗号資産事業は、経済情勢や市況環境の影響を強く受けるため、業績予想を行うことが困難な状況にあります。そのため、当社は連結業績予想及び収益計画を開示しておりませんが、経営戦略の進捗状況の参考としていただくため、業績に重要な影響を及ぼす営業指標として、FX取引高、株式委託売買代金、CFD売買代金、暗号資産売買代金、顧客口座数等を月次で開示しております。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 国内の金融業界は、近年、人工知能やビッグデータ解析等の情報技術の発展によって新たな金融サービスを提供するフィンテック企業が台頭する中、異業種からの業界参入が相次ぐなど、大きな変革の時を迎えています。また、証券業界やFX業界においては、業界が成熟する中、手数料無料化やスプレッド縮小の動きが加速し、顧客獲得競争が一段と激化しています。

 このような事業環境の中、GMO-FHは、次の分野における取り組みを加速させ、外部環境の変化をチャンスに変えて新たな価値を創造し、持続的成長と企業価値の向上を図ってまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大がGMO-FHの事業に与える影響については、現時点では僅少と認識しておりますが、今後の市況の変化によっては各商品の取引量が増減するなど影響を受ける可能性があります。

 

① 組織力の強化

 GMO-FHは、金融システムを自ら開発できる高い技術力を武器に、常に最先端のテクノロジーを研究し、最適なテクノロジーを組み合わせることで成長を遂げてまいりました。さらなる成長のためには、最大の強みである技術力を研ぎ澄ますとともに、その技術力を社会に還元する手法を生み出せる、柔軟な思考力を持つ人財の確保・育成が必要であると考えています。個性と多様性、徹底的な議論を大切にすることで、既存の枠組みに囚われない自由な発想やアイデアが生み出されるクリエイティブな組織風土を醸成し、お客様にとって本当に価値のある便利なサービスをスピーディーに、そしてリーズナブルに提供できる組織を目指します。

 

 

証券・FX事業のさらなる強化

 証券・FX事業においては、「強いものをより強くする」の方針のもと、FXやCFDなどの店頭デリバティブ商品の収益力強化と各商品のクロスセルの推進に取り組み、さらなる成長を図ります。

 FX取引については、スプレッド競争が再燃するなど外部環境の厳しさが増す中、GMO-FHは、グループ各社間のシナジーを発揮しながら収益性改善の取り組みを推進し、安定的な収益を確保するとともに価格競争力を高め、持続的成長の実現を図ります。

 CFD取引については、今後も、商品認知度の向上に向けたマーケティング施策や利便性向上の取り組みを通じて市場・顧客基盤の拡大を図るとともに、他商品とのクロスセル施策を推進し、一層の成長を目指します。

 株式取引については、国内証券業界において、フィンテック企業の新規参入や売買手数料無料化の波が押し寄せるなど、これまでにない非常に厳しい環境に置かれています。利便性の高いサービスを提供することで顧客基盤を維持するとともに、貸株サービスの強化や他の金融商品もあわせてお取引していただけるようなマーケティング施策展開や徹底的なコスト削減を進め、収益性の向上を図っていきます。

 

暗号資産事業のさらなる強化

 暗号資産事業においては、GMO-FHがこれまで金融事業で培ってきた高い技術力を活用し、安心して暗号資産を取引できる環境を提供しています。セキュリティ・顧客資産管理の体制強化や金融犯罪の発生等の防止やマネー・ローンダリング、テロ資金供与対策等の高度化に継続して取り組むとともに、銘柄追加やAPI機能の強化など商品・サービスの拡充と利便性向上に向けた取り組みを推進し、国内No.1の取引高シェアの実現とさらなる利益成長を目指します。

 

④ 新規事業の開発、海外事業展開の加速

 GMO-FHは、少子高齢化・人口構成の変化や市場の成熟化の影響を踏まえ、長期的には国内の既存事業の成長余地は限られているとの考えのもと、新規事業の開発と海外事業展開を加速させることで、中長期的な企業価値の向上と持続的成長の実現を目指しています。

 新規事業については、強みであるシステム開発力を生かして、社会的ニーズが高く、今後成長が見込まれる新しい事業領域での取り組みを積極的に進めていきます。2021年12月期においては、NFT事業への参入を目的として2021年6月に設立したGMOアダムが、同年8月にNFTが取引できるマーケットプレイス「Adam byGMO」β版、同年12月に正式版の提供を開始しました。NFT市場において、IPホルダーとファンをつなぐ利便性の高いNo.1のプラットフォームの実現を目指します。

 海外事業については、現在、香港・英国を拠点にした店頭FXなどの店頭デリバティブ取引サービスの提供に加えて、タイ王国でインターネット証券取引サービスを提供していますが、今後、新たな地域への進出も検討していきます。国内事業で培った技術・ノウハウをフルに活用し、世界各国のお客様のニーズに応じたサービスを提供するとともにマーケティングを強化することで、事業規模の拡大と収益力の向上を図ります。

 

2 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を与える可能性があると考えられる主なリスク要因は以下のとおりです。なお、下記に記載している将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、GMO-FHが判断しているものであります。

 

(1) 法的規制等に関する事項

① 金融商品取引法について

 GMOクリック証券、株式会社FXプライムbyGMO(以下、「FXプライムbyGMO」といいます。)、GMOコイン株式会社(以下、「GMOコイン」といいます。)及び外貨ex byGMO株式会社(以下、「外貨ex byGMO」といいます。)は金融商品取引業を営むため、金融商品取引法第29条に基づき、金融商品取引業者として内閣総理大臣の登録を受けており、同法及び関係諸法令による各種規制並びに金融庁の監督を受けております。GMOクリック証券は商品先物取引業を営むため、商品先物取引法第190条第1項に基づく許可を受け、同法及び関連諸法令による各種規制並びに監督官庁による監督を受けており、GMOコインは暗号資産交換業を営むため、資金決済に関する法律第63条の2に基づき、暗号資産交換業者として内閣総理大臣の登録を受けており、同法及び関係諸法令による各種規制並びに金融庁の監督を受けております。これらの会社は、法令改正あるいは新法令の施行などにより、期待通りに事業を展開できなくなる可能性があります。加えて、監督官庁の政策動向・規制も事業活動に重大な影響を与える可能性があり、これらの会社の経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

また、GMOクリック証券は日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会及び日本商品先物取引協会に加入するとともに、東京証券取引所、大阪取引所及び東京金融取引所の取引参加者となっており、FXプライムbyGMOは一般社団法人金融先物取引業協会及び一般社団法人日本投資顧問業協会、外貨ex byGMOは日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会及び一般社団法人日本投資顧問業協会、GMOコインは一般社団法人日本暗号資産取引業協会及び一般社団法人日本資金決済業協会に加入しており、これらの協会又は取引所の諸規則にも服しております。

これらの会社は前記の法令及び諸規則に則り事業運営を行なっておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、行政処分や損害賠償の請求等により、各社並びにGMO-FHの風評、事業展開、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、予期しない法令、諸規則、業界の自主規制ルール等の制定又は改定等が行なわれることにより、各社は計画通りに事業を展開できなくなる可能性があり、規制の内容によっては、各社並びにGMO-FHの事業活動及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

a.自己資本規制比率等について

 金融商品取引業者は、金融商品取引法第46条の6に基づき、自己資本規制比率が120%を下回ることがないよう当該比率を維持する必要があります。

 2021年12月末日現在におけるGMOクリック証券、FXプライムbyGMO、GMOコイン及び外貨ex byGMOの自己資本規制比率はそれぞれ上記の基準値を大きく上回っており、120%を下回る可能性は低いものと考えております。自己資本規制比率は、固定化されていない自己資本の額、市場リスク相当額、取引先リスク相当額、基礎的リスク相当額の増減により変動しており、今後の自己資本の額や各リスク相当額の増減度合いによっては大きく低下する可能性があり、その場合には、資本性資金の調達を行わない限り、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 また、GMOクリック証券、FXプライムbyGMO及び外貨ex byGMOは、金融商品取引業に関する内閣府令第123条第1項第21号の4に基づき、2020年1月よりストレステスト(外国為替相場の変動その他の変化があったものとして、当該金融商品取引業者に生ずる最大想定損失額を計算し、経営の健全性に与える影響を分析すること)を毎営業日実施しております。ストレステストの結果、固定化されていない自己資本の額から最大想定損失額を控除して得られる額が負の値となった場合には、リスク量の削減、資本の積増し、又はその他の経営の健全性を確保するための措置を検討・実施することとされており、その措置の内容によっては計画どおりに事業を展開できなくなる可能性があり、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

b.顧客預り資産の分別管理及び区分管理について

金融商品取引業者であるGMOクリック証券、FXプライムbyGMO、GMOコイン及び外貨ex byGMOは、顧客資産が確実に返還されるよう、顧客から預託を受けた金銭、有価証券について、金融商品取引業者の金銭、有価証券とは区別して管理することが義務付けられております。有価証券関連取引に関しては金融商品取引法第43条の2第1項及び同条第2項の規定に基づく分別管理義務、店頭FX取引及び暗号資産関連デリバティブ取引に関しては金融商品取引法第43条の3第1項の規定に基づく区分管理義務があり、これら4社は顧客からの預り資産について金銭信託による保全を行う等、法令に則った管理を行っております。今後、これに違反する事実が発生した場合、又は、法令等の改正により、現在の管理方法が適切でなくなり、速やかに適切な管理方法を整備できなかった場合には、行政処分等を受ける可能性があり、その場合は、GMO-FHの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

② 資金決済に関する法律(資金決済法)について

 GMOコインは暗号資産交換業を営むため、資金決済法第63条の2に基づき、暗号資産交換業者として内閣総理大臣の登録を受け、同法及び関係諸法令による各種規制並びに金融庁の監督を受けておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、登録その他認可業務の取消、業務の全部又は一部の停止等の行政処分を受ける可能性があります。また、同社は、自主規制機関である一般社団法人暗号資産取引業協会及び一般社団法人日本資金決済業協会に加入しており、これらの協会の諸規則にも服しております。同社はこれらの法令及び諸規則に則り事業運営を行っており、現時点において法令違反等による行政処分に該当するような事実はないと認識しておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、行政処分等により、GMO-FHの事業展開、経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

 同社は、顧客から預託を受けた金銭、暗号資産について、資金決済法第63条の11第1項及び第2項に基づく分別管理が義務付けられております。同社は顧客からの預り資産を暗号資産交換業者の金銭、暗号資産とは分別して管理し、法令に則った管理を行っておりますが、今後、これに違反する事実が発生した場合、又は、法令等の改正により、現在の管理方法が適切でなくなり、速やかに適切な管理方法を整備できなかった場合には、行政処分等を受ける可能性があります。

 

③ 金融サービスの提供に関する法律及び消費者契約法について

 金融サービスの提供に関する法律は、顧客の保護を図るため、金融商品販売業者等の販売商品のリスクに関する説明義務、説明義務に違反したことにより顧客に生じた損害の賠償責任、並びに金融商品販売業者が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正性確保のための措置について定めております。

 また、消費者契約法は、消費者契約において、事業者に情報提供義務を定めており、消費者に誤認や困惑があった場合等、一定の条件下において、消費者が契約の取消を行うことができる旨を定めております。

 GMOクリック証券、FXプライムbyGMO、GMOコイン及び外貨ex byGMOは、金融サービスの提供に関する法律及び消費者契約法を遵守した事業運営を行っているものと認識しておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、行政処分等によりGMO-FHの事業展開、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

④ 商品先物取引法について

 GMOクリック証券は、商品先物取引業を営んでおり、商品先物取引法第190条第1項に基づく許可を受け、商品先物取引法、関連政令、省令等の諸法令に服して事業活動を行っております。また、同社は日本商品先物取引協会に加入しているため、同協会の諸規則にも服しております。商品先物取引業については、商品先物取引法第235条第3項もしくは同法第236条第1項に許可の取消となる要件が定められており、これらに該当した場合には、許可が取消となる可能性があります。

 GMOクリック証券は、社内体制の整備等により法令遵守の徹底を図っており、現時点において法令違反等に該当するような事実はないと認識しておりますが、今後これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、監督官庁による行政処分が行われることがあり、その場合は、GMO-FHの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 
⑤ 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)について

 GMO-FHは、顧客情報を含む個人情報の改竄、漏洩等の未然防止を事業運営上の重要事項の一つとして認識しており、個人情報保護法及び関係法令に則った社内規程を制定して個人情報保護体制を整備し、従業員の教育並びに業務委託先の監督を徹底するとともに、万全のセキュリティ対策を講じております。しかしながら、万が一、不正アクセスや内部管理体制の瑕疵等により個人情報の漏洩等が発生した場合には、社会的信頼が著しく損なわれる他、損害賠償請求等の責任を問われる可能性があり、GMO-FHの経営成績及び事業運営に重大な影響を与える可能性があります。

 

⑥ 犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)について

 犯罪収益移転防止法は、犯罪収益の移転とテロリズムに対する資金供与の防止をし、国民生活の安全と経済活動の健全な発展に寄与することを目的としており、金融機関に対し顧客の本人確認及び記録の保存等を義務付けております。

 GMOクリック証券、FXプライムbyGMO、GMOコイン及び外貨ex byGMOは、同法の定めに基づき本人確認を実施するとともに、本人確認記録及び取引記録を保存しております。しかしながら、これら4社の業務方法が同法に適合しない事実が発生した場合には、監督官庁による行政処分や刑事罰等を受けることがあり、その場合は、GMO-FHの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

⑦ 暴力団排除条例について

 暴力団を排除することを目的に、各自治体において暴力団排除条例が施行されております。これらの条例には、事業者が事業に関して締結する契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認められる場合等において、契約の相手方が暴力団関係者でないかを確認するよう努めること、事業者がその行う事業に係る契約を書面により締結する場合には特約条項を書面に定めるよう努めることなどが規定されております。

 GMO-FHでは、金融商品取引に係る一般顧客も含め、契約の相手方についての審査を実施し、暴力団等反社会的勢力ではないことの誓約書の提出あるいは契約書面における特約条項の整備等を行っております。

 しかしながら、審査体制の不備等により意図せず暴力団等との取引が行われた場合は、重要な契約の解除や補償問題等が発生することがあり、その場合には、GMO-FHの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2) 事業環境に関する事項

 GMO-FHは、株式の現物取引及び信用取引、FX取引、株価指数先物・オプション取引、店頭CFD取引、貸付型クラウドファンディング取引等の金融商品取引に関するサービス並びに暗号資産の現物取引及び証拠金取引に関するサービスを提供しております。そのため、GMO-FHの収益は、株式市場や外国為替市場、暗号資産市場等の相場環境の影響を受けており、これらの市場において、経済情勢、政治情勢、規制の動向、税制の改正等により投資環境が悪化し、顧客の投資意欲が減退した場合には、GMO-FHにおける金融商品取引、暗号資産取引等の取引高が減少し、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 また、今後、競合他社との間で手数料等の値下げ競争が激化して値下げを実施した場合、その実施に伴う収益の減少を補うだけの取引量の拡大が達成出来ない場合や収益性の向上を図れない場合には、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 その他、新たな技術革新や異業種からの新規参入者等の登場により、GMO-FHを取り巻く事業環境は変化します。GMO-FHは、顧客ニーズや技術動向を捉え、価値ある金融サービスの創造に努めておりますが、その対応が遅れた場合には、業界内での競争力の低下を招き、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(3) 市場リスクについて

 GMO-FHが提供する店頭FX取引、店頭CFD取引、暗号資産取引等においては、顧客との間で各社が取引の相手方となって取引を行うため、取引の都度、外国為替、証券、商品、暗号資産等の自己ポジションが発生しますが、これらのポジションについては、各社とも他の顧客との売買で相殺するか、カウンターパーティーとの間でカバー取引を行うことにより、相場変動リスクを回避しております。しかしながら、システムトラブル等により、自己ポジションの適切な解消が行われない場合、あるいは、相場の急激な変動やカウンターパーティーとの間でのシステムトラブルの発生等により、カバー取引が適切に行われない場合には、ポジション状況によっては損失が発生し、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 信用リスクについて

 GMO-FHが提供する株式信用取引、株価指数先物・オプション取引、FX取引、店頭CFD取引及び暗号資産の証拠金取引では、顧客より取引額の一定割合の保証金又は証拠金の差し入れを受けたうえで取引を行っております。こうした取引については、顧客に信用を供与する形となるため取引開始時の審査及び日常的な口座状況のモニタリングを通じたリスク把握や担保管理等の与信管理を徹底しており、取引開始後、相場変動により顧客の評価損失が拡大したり、あるいは代用有価証券の価値が下落して顧客の保証金又は証拠金が必要額を下回った場合には、顧客に対して追加の保証金又は証拠金の差し入れを求めております。顧客がそれに応じない場合は、顧客の取引を強制的に決済することで取引を解消しますが、強制決済による決済損失が保証金又は証拠金を上回る場合には、その不足額を顧客に請求します。しかしながら、顧客がその支払に応じない場合には、その不足額の全部又は一部に対して貸倒損失を負う可能性があり、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 また、カウンターパーティーとの間で行うカバー取引では、取引額に対して一定の証拠金を差し入れて取引を行っております。そうしたカウンターパーティーについては、取引開始時の審査及び事後のモニタリングを行うことで財政状態等の把握に努めておりますが、財政状態の悪化や法的整理などの事態が発生した場合は、カウンターパーティーに対して未決済ポジションの解消と証拠金の返還、未受取金額の支払等を請求します。しかしながら、カウンターパーティーがその支払に応じない場合には、その不足額の全部又は一部に対して貸倒損失を負う可能性があり、GMO-FHの事業活動及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(5) 資金調達リスクについて

 GMO-FHは、銀行等の借入枠を設定して資金調達手段を確保し、取引先金融機関と良好な関係を構築、維持して安定的な資金の確保に万全を期しておりますが、万が一、GMO-FHの信用状況が悪化した場合や財務制限条項に抵触した場合には、必要な資金の調達・維持が困難になる可能性やGMO-FHの希望する条件での資金調達を適切に行うことができないリスクがあり、GMO-FHの事業運営、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、急激な相場変動等により、資金借入枠を超過する資金需要が発生し、適切な資金調達手段を講じることができなかった場合には、GMO-FHの事業運営、経営成績及び財務状態に重大な影響を与える可能性があります。

 

(6) 特定の事業への依存度が高いことについて

 GMOクリック証券は、株式市況や株式取引サービスに係る競合他社の手数料競争の状況に鑑み、設立当初より株価指数先物・オプション取引や店頭FX取引等の株式取引以外のサービス提供に積極的に取り組んできた結果、特に店頭FX事業においては、市場規模の拡大に加え、同社の価格戦略が多くの顧客から支持され、収益が大きく拡大し、GMO-FHの収益に占める比率が高くなっております。

 GMO-FHでは、店頭FX事業の収益性向上を図るとともに同事業への依存度を下げるため、新たな収益の柱へと育てるべく注力する店頭CFD、暗号資産事業や海外事業への投資を行い収益源の多様化を図っておりますが、今後、外国為替市場の急激な変動や競合各社とのスプレッド競争の激化等、店頭FX事業を取り巻く環境が急激に変化した場合には、GMO-FHの事業展開及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(7) コンピュータシステムについて

 GMO-FHの取り扱う取引は、そのほとんどがシステムを介して行われているため、システムの安定的な稼働は重要な経営課題であると認識しております。

 GMO-FHは、アプリケーションの改善やハードウェア及びネットワークインフラの増強等、システムの継続的なメンテナンスを実施しておりますが、不測の要因によりシステム障害が発生した場合は、顧客の売買機会の喪失による機会損失の発生や社会的信用の低下による顧客の離反、システム障害により顧客に発生した損害に係る賠償請求等により、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、システム障害の程度によっては、GMO-FHの事業継続に支障をきたす可能性があります。

 

(8) 情報セキュリティリスクについて

 GMO-FHは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報等を入手することがあります。そのため、情報セキュリティの強化は重要な経営課題であると認識しており、これらの情報の取扱いに関する社内体制の強化と社員教育の徹底を図り、情報システムのハード面・ソフト面を含めて金融事業を営む場合に求められる高い水準のセキュリティ対策を講じております。しかしながら、サイバー攻撃や不正アクセス、コンピューターウィルスへの感染、その他不測の事態等の発生により、個人情報の漏洩や滅失、暗号資産の盗難、重要データの破壊や改ざん、システム停止等が発生した場合には、GMO-FHに対する信頼低下による顧客の離反、行政処分や損害賠償の請求等により、GMO-FHの事業活動及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(9) 外部取引先との関係について

 店頭FX取引においては、「(3) 市場リスクについて」に記載のとおり、相場変動リスクを回避するためにカウンターパーティーとの間でカバー取引を行っております。GMO-FHでは、カバー取引において、プライムブローカレッジサービスを提供する金融機関とプライムブローカレッジ契約を締結しており、カウンターパーティーとのカバー取引の資金決済を個別に行うのではなく、プライムブローカーに取引を集約して資金決済を行っております。これにより、カウンターパーティーとの資金決済リスクの低減を図るとともに、資金決済コスト及び取引先管理等の負担を軽減しております。また、店頭FX取引サービスの安定的な提供のために、複数の金融機関とプライムブローカレッジ契約を締結して十分な取引枠の確保に努めるとともに、特定のプライムブローカーに取引が集中することがないよう管理を徹底しております。しかしながら、取引先金融機関がプライムブローカレッジ業務の規模を縮小又は撤退した場合、又は、GMO-FHの信用状況が悪化した場合には、カバー取引を適時適切に行えなくなる可能性があります。このような事態が発生した場合には、店頭FX事業の規模縮小又は事業継続が困難となり、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(10) 海外での事業活動に係るリスクについて

 GMO-FHは、中国(香港)、英国、タイ王国において、主に海外の投資家をターゲットとした店頭FX取引、店頭CFD取引又は株式取引に関するサービスを提供しております。海外での事業活動においては、現地国の法令及び諸規則を遵守し、顧客のニーズを調査した上で、マーケティングを行っております。しかしながら、現地国の法令・諸規則の予期せぬ変更等により当社子会社の事業活動が制限された場合、当社のブランドが浸透せず顧客基盤及び取引規模を拡大できなかった場合、現地国の政治経済情勢の急変等が当社子会社の事業継続や収益性に影響を与えた場合などには、GMO-FHの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(11) 親会社グループとの関係について

① GMOインターネットグループにおけるGMO-FHの位置づけについて

 GMO-FHは、GMOインターネットグループに属しており、親会社であるGMOインターネットは、2021年12月31日現在、当社発行済株式の65.38%を所有しております。GMOインターネットは「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチのもと、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業等を行っております。GMO-FHは、GMOインターネットグループの事業のうち、インターネット金融事業と暗号資産事業のうち暗号資産交換事業を担う会社として位置付けられております。

 

GMOインターネットグループとの取引について

 当連結会計年度におけるGMO-FHとGMOインターネットグループとの収益に係る取引総額※は157,729百万円、費用に係る取引総額は1,845百万円であります。主要な取引内容は、連結財務諸表の関連当事者取引注記に記載されますが、2021年12月期においては重要な取引が存在していないため記載を省略しております

※収益に係る取引総額には、暗号資産の売買代金が含まれますが、これらは一般顧客と同じ条件での取引であります。また、連結損益計算書上はトレーディング損益として純額で計上されるため、同取引総額は連結損益計算書上に収益として計上される額とは異なります。

 

 

③ 当社役員の親会社等の役員兼務の状況について
a. 親会社役員の兼務状況

 2021年12月31日現在における当社取締役9名のうち、親会社であるGMOインターネットの役員を兼ねる者は2名であり、氏名、当社における役職、親会社における役職は以下のとおりです。なお、執行役に親会社の役員を兼ねる者はおりません。

氏名

当社における役職

親会社における役職

安田 昌史

取締役

取締役副社長 グループ代表補佐 グループ管理部門統括

金子 岳人

取締役

取締役

 

 
b. 兄弟会社との役員の兼務状況

  2021年12月31日現在、当社取締役である安田昌史は、GMOメディア株式会社取締役、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社取締役、GMOリサーチ株式会社取締役、GMOアドパートナーズ株式会社取締役、GMO TECH株式会社取締役、GMOペイメントゲートウェイ株式会社取締役を兼務しております。

 

④ 親会社等からの独立性の確保について

 GMO-FHは、非支配株主保護の観点から、親会社等の指示や事前承認によらず、独自に経営の意思決定を行っており、事業を展開するうえで特段の制約はなく、経営の独立性は確保されております。また、GMO-FHの営業取引におけるGMOインターネットグループへの依存度は極めて低く、殆どがGMO-FHと資本関係を有しない一般投資家(個人顧客及び法人顧客)との取引となっております。

 当社がGMOインターネットグループとの取引を行う場合については、非支配株主保護の観点から、取引条件の経済的合理性を保つために定期的に契約の見直しを行っております。新規取引につきましても、市場原理に基づき、その他第三者との取引条件との比較などからその取引の是非を慎重に検討し、判断しております。また、当社がGMOインターネットと共同で出資を行うケースがありますが、この場合においても、当社は出資する意義を慎重に検討し、また、その引受価額においても独立した第三者算定機関が作成する評価書を用いて決定するなどして、独自の判断のもと、決定しております。

 

(12) 自然災害等における事業継続について

 GMO-FHは、大規模な自然災害やパンデミック等、あらゆる有事が発生した場合においても重要業務を継続できるよう、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定しており、定期的な教育、訓練等を実施しております。また、本社とは別に、自家発電装置を備えたデータセンター内において主要業務を継続できるオフィスを用意しており、不測の事態に備えております。しかしながら、万が一、想定を超える災害等が発生した場合には、GMO-FHのサービス提供等を継続することができない事態が生じる可能性があり、その場合には、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(新型コロナウイルス感染症について)

 GMO-FHは、国や地方自治体が示す指針並びにGMOインターネットグループが作成した「パンデミック時における対策発令・対応レベル」、「新型コロナウイルス感染症対策に関するガイドライン」に従い、新型コロナウイルスの感染予防並びに感染拡大の防止に取り組んでおります。具体的には、時差出勤や在宅勤務を導入し、感染拡大の状況に応じた出社人数の制限をはじめ、オフィスビル内における物理的な距離の確保やマスクの着用、換気と指先消毒の徹底等の対策を講じることで、従業員の安全の確保と安定した事業活動の両立を図っております。また、不要な押印手続きの撤廃やペーパーレス化等を推進し、業務効率化と生産性向上を図るとともに、在宅勤務下においても従業員同士の対話や議論を活発におこなえるよう、オンライン会議システムの活用による円滑なコミュニケーションを促進しております。しかしながら、今後、これまで以上に感染力の高い新たな変異株が出現し、GMO-FH及び業務委託先、外部取引先において感染者が爆発的に増加するなどの状況が発生した場合には、サービス水準の低下や業務の遅延・停止という事態が生じる可能性があり、その場合には、GMO-FHの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における国内株式市場においては、年初から日経平均株価が上昇して推移し、2月中旬には1990年以来の3万円台を回復したものの、新型コロナウイルスの感染再拡大による景気悪化の懸念など投資家心理が悪化し、その後は一進一退しながらも下落基調で推移しました。9月に入り日本国内におけるワクチン接種の進展や自民党総裁選を前にした財政・金融政策への期待の高まりを受けて日経平均株価は大きく上昇し、9月14日には終値で30,670円10銭と約31年ぶりの高値を記録しました。その後、中国の不動産開発大手「恒大集団」の資金繰り悪化を発端とする中国市場の動揺や、新型コロナウイルスの新たな変異株に対する懸念から大きく値を下げる場面もありましたが、日経平均株価は総じて堅調に推移し、前連結会計年度末の27,444円17銭から4.9%上昇して、大納会としては32年ぶりの高値水準となる28,791円71銭で当連結会計年度末の取引を終えました。このような相場展開を受けて、個人投資家の株式等委託売買代金は前期と比較して14.6%増加しました。

外国為替市場においては、年初に一時1ドル=103円台で始まったドル円相場は、米長期金利の上昇を受けて円安基調で推移しました。3月に1ドル=110円台をつけるまでに円安が進行して以降は、9月中旬まで110円を挟んだもみ合いが続きました。9月下旬以降は米国の物価上昇による利上げや原油価格上昇の影響で再び円安が進行し、新型コロナウイルスの新たな変異株に対する懸念から12月に一時急落する場面もあったものの、当連結会計年度末は1ドル=115円台の高値水準で取引を終えました。このような市場環境の中、国内店頭FXの取引金額は前期比で5.5%減少しました。

暗号資産市場においては、代表的な暗号資産であるビットコインの価格は、年初の1BTC=300万円台から上昇傾向で推移し、4月中旬には一時700万円台の高値を記録しました。5月に入ると一気に軟調な展開となり、7月下旬には300万円台前半にまで下落しましたが、その後は再び上昇基調へと転じ、11月には700万円を超え史上最高値を更新しました。日本国内の暗号資産業界においては、暗号資産関連事業への新規参入が増えたほか、年間の暗号資産取引高が前期比で29.9%増加するなど、マーケット全体が拡大しました。このような外部環境の中、GMO-FHは、「強いものをより強くする」の方針のもと、証券・FX事業において、強みである店頭FXの収益性の改善を推し進めるとともに、さらなる収益力強化とシェア拡大に向けて、外貨ex byGMOの全株式を2021年9月27日付で取得し、子会社化しました。新たな収益の柱とすべく注力するCFDについては、認知度向上に向けたプロモーション施策の展開に加えて、スマートフォンアプリの改善や取り扱い銘柄の追加などサービスの利便性向上に取り組み、顧客基盤の拡大を図りました。また、クロスセル施策も推進し、売買代金・収益はともに高水準で推移しました。

暗号資産事業においては、顧客のすそ野拡大に向けたスマートフォンアプリの改善や複数のアルトコイン銘柄の追加など、サービスの充実と利便性の向上に向けた取り組みを推進しました。また、2021年6月より新テレビCMの放送を開始するなど、認知度向上と取引高シェア拡大を目指して積極的なマーケティング活動を展開しました。2021年の暗号資産取引高は29.7兆円(前期比141.7%増)、当連結会計年度末の口座数は47.4万口座(前期末比39.2%増)となり顧客基盤が堅調に拡大し、収益・利益はとも大幅に伸長しました。

海外事業においては、タイ王国でインターネット証券取引サービスを提供するGMO-Z com Securities (Thailand) Limitedの信用取引残高、金融収支がともに堅調に推移し、2期連続の通期黒字を達成しました。

新たな取り組みとしては、NFT事業参入を目的に2021年6月にGMOアダムを設立し、同年8月よりNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版、同年12月に正式版の提供を開始しました。

以上の結果、当連結会計年度の営業収益は45,924百万円(前期比27.6%増)、純営業収益は43,821百万円(同29.0%増)、営業利益は15,396百万円(同25.5%増)、経常利益は16,037百万円(同35.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,858百万円(同35.1%増)となりました。

 

当連結会計年度における、主な収益、費用、利益の状況は次のとおりです。

 

                                            (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

営業収益

35,988

45,924

9,936

27.6%

受入手数料

4,555

5,276

720

15.8%

トレーディング損益

26,943

34,890

7,946

29.5%

金融収益

3,834

5,132

1,298

33.8%

その他の営業収益

100

61

△39

△39.3%

その他の売上高

553

563

10

1.9%

金融費用

1,595

1,700

105

6.6%

売上原価

424

402

△22

△5.2%

純営業収益

33,968

43,821

9,853

29.0%

販売費及び一般管理費

21,700

28,424

6,724

31.0%

営業利益

12,268

15,396

3,128

25.5%

経常利益

11,806

16,037

4,231

35.8%

親会社株主に帰属する当期純利益

7,298

9,858

2,559

35.1%

 

 

当連結会計年度におけるセグメント別の状況は次のとおりです。

 

[参考]営業収益内訳(セグメント別/商品別)                       (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

証券・FX事業

30,260

33,282

3,021

10.0%

株式・ETF等 ※

2,047

1,821

△225

△11.0%

先物・オプション

227

153

△74

△32.6%

取引所FX

533

488

△44

△8.4%

通貨関連店頭デリバティブ

17,163

19,929

2,765

16.1%

CFD・株BO

6,381

5,700

△681

△10.7%

金融収益

3,834

5,132

1,297

33.8%

その他

72

57

△15

△20.8%

暗号資産事業

5,164

12,067

6,903

133.7%

暗号資産

5,164

12,067

6,903

133.7%

その他

563

574

10

1.9%

その他

563

574

10

1.9%

調整額

△0

0

営業収益合計

35,988

45,924

9,936

27.6%

 

※ 株式・ETF等の取引に係る委託手数料及びその他の受入手数料、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等

  の取扱手数料、投資信託に係るその他の受入手数料が含まれています。

 

 (証券・FX事業)

証券・FX事業においては、店頭FXの収益性改善、CFDの認知度向上や取引活性化など店頭デリバティブ取引の強化に向けた取り組みを推進しました。店頭FXについては、上半期に相場が大きく動いた前期との比較では取引高が減少したものの、外貨ex byGMOのグループジョインにより収益は増加しました。CFDについては、売買代金は前期比で増加した一方、収益は減少しました。株式関連取引については、株式等委託売買代金の減少や株式取引手数料の引き下げ実施等によって受入手数料が前期比で減少した一方、タイ王国での証券事業が堅調に推移し、金融収益は伸長しました。

また、当第4四半期連結会計期間より、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおり、2021年9月27日付で株式の取得を完了した外貨ex byGMO及びその連結子会社の業績を含めております。

これらの結果、当連結会計年度における当セグメントの営業収益は33,282百万円(前期比10.0%増)、営業利益は11,357百万円(同8.2%増)となりました。

 

(暗号資産事業)

暗号資産事業においては、顧客のすそ野拡大に向けたスマートフォンアプリの改善やアルトコイン銘柄の追加など、サービスの充実と利便性の向上に向けた取り組みを推進しました。また、2021年6月より新テレビCMの放送を開始するなど、認知度向上と取引高シェア拡大を目指して積極的なマーケティング活動を展開しました。当連結会計年度の取引高は前期比141.7%増、当連結会計期間末の口座数は47.4万口座(前期末比39.2%増)となり、顧客基盤は堅調に拡大しました。

これらの結果、当連結会計年度における当セグメントの営業収益は12,067百万円(前期比133.7%増)、営業利益は4,056百万円(同147.8%増)と大幅な増収増益となりました。

 

② 財政状態の状況

 (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減額

総資産

725,367

996,049

270,682

負債

688,035

953,218

265,182

純資産

37,331

42,830

5,499

 

 

 (総資産)

当連結会計年度末における資産合計は996,049百万円(前期末比270,682百万円の増加)となりました。これは主に、外貨ex byGMOの連結子会社化を主要因とした預託金の増加106,325百万円、利用者暗号資産の増加72,765百万円、信用取引資産の増加34,008百万円、支払差金勘定の増加20,414百万円外貨ex byGMOの連結子会社化を主要因としたのれん等無形固定資産の増加19,550百万円があったことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は953,218百万円(前期末比265,182百万円の増加)となりました。これは主に、預り暗号資産の増加72,954百万円、外貨ex byGMOの連結子会社化を主要因とした受入保証金の増加116,206百万円、外貨ex byGMOの株式取得及び海外における信用取引の買付資金の借入を主要因とした短期借入金の増加48,725百万円があったことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は42,830百万円(前期末比5,499百万円の増加)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払いにより利益剰余金が4,512百万円増加したことなどによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による支出が32,493百万円、投資活動による支出が18,604百万円、財務活動による収入が54,547百万円となった結果、当連結会計年度末には63,597百万円となりました。

 

 

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、32,493百万円のマイナスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上16,262百万円、預り暗号資産の増加による収入72,954百万円があった一方で、預託金の増加による支出12,463百万円、利用者暗号資産の増加による支出72,765百万円、信用取引資産の増加による支出33,638百万円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、18,604百万円のマイナスとなりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出1,408百万円、外貨ex byGMO株式会社の株式取得による連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出16,066百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、54,547百万円のプラスとなりました。これは主に、短期借入金の純増加額48,422百万円、長期借入れによる収入17,763百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出6,786百万円、配当金の支払による支出5,346百万円があったことによるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

GMO-FHは、証券・FX事業、暗号資産事業を主要な事業としており、「生産、受注及び販売の状況」は該当する情報が存在しないことから、記載しておりません。

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるGMO-FHの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。具体的には、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号) 並びに同規則第46条及び第68条の規定に基づき、「金融商品取引業等に関する内閣府令」(平成19年内閣府令第52号)及び「有価証券関連業経理の統一に関する規則」(昭和49年日本証券業協会自主規制規則)に準拠して作成しております。

 連結財務諸表の作成に際しては、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産の計上等について重要な判断や見積りを行っておりますが、前提となる条件、仮定等に変化があった場合などにはこれらの見積りが実際の結果と異なる場合があります。なお、当連結会計年度において新型コロナウイルスの感染拡大に伴うこれらの見積りへの重要な影響はありません。

 当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

GMO-FHは、「強いものをより強くする」という方針のもと、収益の柱である店頭FXの強化により事業基盤のさらなる拡大を図るとともに、その他国内外の既存事業、新規事業に投資することで持続的成長を図っております。当連結会計年度においては、店頭FXの収益性改善の推進や外貨ex byGMOの子会社化、タイ王国での証券事業の着実な成長によって、証券・FX事業の収益基盤を強化したことに加え、好調なマーケット環境の後押しを受けた暗号資産事業の急成長やNFT事業への新規参入により事業規模・領域を拡大しました。当連結会計年度の業績は、暗号資産市場の活況を背景に大幅に伸長した暗号資産事業が全体を大きく牽引し、過去最高となりました。

 証券・FX事業においては、スプレッド競争が続く厳しい環境下において、店頭FXの収益性改善施策を着実に進め、スマートフォンアプリの改善などお客様の取引環境向上に向けた取り組みを推進しました。GMOクリック証券の2021年のFX取引高は2020年に続いて世界第1位、10年連続で国内第1位となりました。新たな収益の柱として注力するCFDについては、認知度向上に向けたプロモーション施策の展開とともに取扱銘柄の追加などの利便性向上施策に取り組み、売買代金・収益ともに高水準で推移しました。

 暗号資産事業においては、代表的な暗号資産であるビットコインの価格が大きく上昇し、暗号資産取引が注目される中、積極的なマーケティング施策を展開し認知度向上を図りました。また、新たな銘柄の追加やスマートフォンアプリの改善などの取り組みも奏功し、顧客基盤が拡大しました。取引量も大きく増加し、収益、利益は大幅に伸長しました。

海外事業においては、タイ王国でインターネット証券取引サービスを提供するGMO-Z com Securities (Thailand) Limitedが引き続き堅調に推移し、信用取引残高が過去最高を記録するとともに、2年連続での通期黒字を達成しました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(資金需要及び資金の流動性)

GMO-FHの資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付、店頭デリバティブ取引等におけるカウンターパーティーとのカバー取引に係る差入保証金等、顧客からの預り金や信用取引、FX取引等に係る保証金の入出金と顧客分別金信託及び顧客区分管理信託への入出金との差による一時的な立替などが挙げられます。これらの資金需要には、自己資金のほか、金融機関等とのコミットメントライン契約及び当座貸越契約に基づく短期借入金、差入保証金の代替として支払承諾契約に基づく保証状のカウンターパーティーへの差し入れ等にて対応しており、十分な流動性を確保しております。当座貸越契約及びコミットメントライン契約を総額134,363百万円設定しており、当連結会計年度末の借入実行額は99,865百万円であります。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う資金調達への重要な影響はありません。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析)

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)ボンド・ファシリティ契約

 

契約会社

GMOクリック証券株式会社

 

契約相手先

アレンジャー:株式会社三井住友銀行

 

保証期間

2021年3月31日から2022年3月30日

 

主な内容

GMOクリック証券株式会社の店頭外国為証拠金取引及び商品(貴金属)CFDにおいて、カバー取引先に差入れる取引証拠金に代用する銀行保証状の発行。

 

 

(2)株式譲渡契約

当社は、2021年5月25日開催の取締役会において、ヤフー株式会社の子会社であるワイジェイFX株式会社の全株式を取得し子会社化することを決議し、2021年5月28日付で、ヤフー株式会社との間で株式譲渡契約を締結しました。

当該契約に基づき、当社は2021年9月27日付で同社の全株式を取得し、同社は同日付でその商号を「外貨ex byGMO株式会社」に変更しました。

 

5 【研究開発活動】

 該当事項はありません。