当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「高度な信頼性を求められる国内外の社会基盤(パブリック&フィナンシャル)サービスの領域において、専門性の高いIT技能集団による最新テクノロジーがお客様に新たな価値を提供し、未来を創造していく」を経営理念として掲げております。また、この経営理念を実現するため、以下の3項目を経営ビジョンとしております。
①IT業界において商流を押さえた「公共システム開発」を拡充して参ります。
②IT業界における行政デジタル化促進に伴う開発受注側に立った「システム開発要員提案」を確立し、業界シェアを獲得して参ります。
③システム開発については、公共システム開発以外の事業分野を開拓し(テストマーケティング)、「一部分受託開発」から「全部分開発受託」としてメインフレーマー化を図り、特に国内最大手のシステムインテグレーター企業が推進している事業分野において業界シェアを獲得して参ります。
さらに、以下の経営方針のもと、社会に貢献してまいります。
①「公共システム開発事業」の展開
a.公共システム開発人材のグルーピング化を推進し、事業領域の拡大を行うことにより安定的経営を目指します。
b.国内最大手のシステムインテグレーター企業との連携を強化することにより新規開発領域の開拓を行います。
c.重点監視案件を選定のうえ、社全体で管理を行い、客観的な指標による分析を徹底し、適正な工数で契約し、進捗状況のモニタリングを通じて、利益の最適化を図ります。
②「金融・法人系システム開発事業」の拡大
a.メガバンクのインターネットバンキングや市場系やその周辺業務の開発領域の開拓を行います。
b.パートナー企業との連携を強化し、医療関連プロジェクトなどの大規模開発の拡大を図ります。
c.顧客満足度の向上を図り、継続的な取引先の拡大を目指します。
(2) 経営環境
当社の主たる事業は、創業以来、官公庁に向けシステム開発を行う「公共系事業」及び銀行、保険会社、証券会社に向けシステム開発を行う「金融・法人系事業」であります。業務形態としては、大手システムインテグレーターなどから発注される受託ソフトウェア開発業となります。そのため、「システムインテグレーション(SI)業」の市場動向と、「公共系システム」「金融系システム」「法人系システム」の投資動向に注視しながら、事業を展開しております。
経済産業省が発表した「特定サービス産業動態統計調査」によれば、情報サービス業の2022年度の売上高は16兆2,332億円の前年度比6.0%増、システムインテグレーション(SI)業の売上高は6兆2,911億円の前年度比7.3%増となっております。いずれも直近においては、2018年度以降、情報サービス業、システムインテグレーション業のいずれにおいても、一段と市場規模が拡大し、維持しております。
一方、公共系のシステムのIT投資動向をみると、2017年以降、政府が世界最先端の「デジタル国家」の創造を推進し、2021年には、「デジタル社会形成基本法」が施行され、2023年には、「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律」も施行されたことを背景に、公共システムに関するシステム投資は、2023年度の国の予算編成では、総額1兆2,200億規模となっており、過去最大規模の予算となった2022年の1兆2,800億円と比べ、600億円の減少となっているものの、2年連続で1兆円を超える規模で推移しております。
次に、金融システムに関するシステム投資は、IT専門調査会社IDC Japan株式会社が2022年1月に発表した、国内金融IT市場の2022年~2025年の市場予測によると、2022年の国内金融IT市場規模は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は残るものの、大手金融機関を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を目的としたIT支出の拡大が見込まれるため、前年比成長率1.1%の2兆4,597億円と予測されております。
また、一般法人のIT投資においては、国の政策方針やIT業界の変革の流れを受け、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連での投資が顕著であり、もはや一過性のブームではなく、企業活動の根幹を担う存在になりつつあります。
こうした市場動向を背景に情報サービス業は、引き続き増加基調で推移しており、今後も拡大する見通しであります。しかしながら、需要拡大のための資源となるIT人材の確保・供給が追いつかず、市場拡大の障害となる可能性があります。また、それに伴い人材獲得競争の激化や人件費の増加により、収益環境が悪化する懸念もありますが、顧客の課題をヒアリングしながら市場を戦略的に深耕し、当社が公共系事業を通じて培ってきたコンサルティング型のシステム開発により、顧客と一体感を醸成しながら課題解決を目指して参ります。
(3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社は経営上の目標を達成するために、変動比率、システム開発業務に従事する人員数及び売上高経常利益率を重要な指標として認識しております。そのため、質の高い人材の確保を目的とした積極的な採用活動、社内研修の充実、安定的な受注の継続と新規受注の確保に努め、企業価値の向上と株主価値の向上を図って参ります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
国内IT市場は、テクノロジーの進化によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の投資案件が引き続き増加しており、より生産性の高い新たな事業モデルへシフトしていくことが急務となっております。しかしながら、既存システムの問題を解決し、時に業務自体の見直しも求められる中、いかにこれを実行するかが課題となって参ります。既存システムの維持・保守業務から、最先端のデジタル技術分野に資金をシフトさせ、デジタル技術を担う人材の確保をしていく、ユーザーにおける開発サポートにおいては、プロフィットシェアできるパートナーの関係に安定的な事業収益を確保し、真に情報サービス産業の一翼を担うことができる企業規模及び収益性を具備する体制を構築することが最優先課題であると認識しており、以下の課題に対処して参ります。
① 営業力の強化
受託型での受注と共に、AI、アジャイル、マイクロサービス等の最先端技術を駆使したクラウドベースのアプリケーション提供型ビジネスにも適応することにより、事業規模の拡大を可能とするハイブリッドな受注体制を構築して参ります。営業機能を戦略的、人材的に充実させ、「知見を生かしたコンサルティング」と「クラウド環境とソリューション製品、Web-APIなどのインフラ構築」を通じてワンストップサービスの提供により「既存顧客の深耕」と「エンドユーザーの新規提案営業」を実施し、安定的な受注規模を確保しつつ業容の拡大と生産性の向上を図って参ります。
② 優秀人材の確保と育成
ビジネス・エコシステムの変化に対し、スピード感を持ち、かつ、柔軟に対応するためには、過去の価値基準に理解を示しながら、急速な環境変化を受容することのできる人材を社内に多数擁していかなければなりません。残業減少、有給休暇取得率向上について、IT業界が向いているとされるテレワークなど、多様な働き方に合わせて従業員満足度の向上を実施して参ります。採用力の強化については、デジタルネイティブ世代の活用促進を実施する上で、教育施策を充実させていきます。また、プロフィットシェアできるパートナーとの関係維持に注力して参ります。
③ プロジェクト管理と品質・生産性向上
主契約者ごと、システム要求事項で異なり、また、プロジェクトマネージャーごとに方向性が変化してしまうプロジェクトマネジメントに対して、知識体系を理解しているだけでは到底無事に顧客要望を満たすことはできません。当社ではこのリスクを事前に評価し、リスクを軽減する仕組みが機能しています。当社のナレッジベースに蓄積された豊富なデータをもとに単なるエンジニアのキャリアと経験だけに依存するだけではなく、どのようなチーム体制、役割、作業品質、許容される事項などが整理され、マネジメントリスクをコントロールしながら開発作業に着手することになります。このようなプロセスを更に強固なものとするため、同業他社に対するコスト競争力を高め、継続的に不採算案件ゼロを維持していくことにより、売上総利益率を向上することが課題であります。
④ 技術革新への対応
経済界全体において情報革命が叫ばれる中、当業界における技術革新のスピードは速く、かつ、その変化は著しい状況にあります。デジタルトランスフォーメーション(DX)の到来に合わせ、高度なITリテラシーを保有するエンジニアが公共・金融インフラ市場においてもデジタル化ビジネスへの対応を適時に行うことが重要な課題と認識しております。これらの変化に対応するため、最新の技術動向や環境変化を常に把握し、新規技術の導入を迅速に実行に移せる意思決定の仕組みなどの体制構築に努めて参ります。
⑤ 内部管理体制の強化
内部統制の整備、見える化、仕組化にやや乏しい現状であり、継続的な企業成長を続けることができる企業体質の確立に向けて、内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。形式的な要件ではなく、本質的にコンプライアンス体制、リスク管理体制並びに情報管理体制が機能することにより、株主価値、資本生産性を向上できる経営を目指しコーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んで参ります。
⑥ 財務基盤の安定
当社は本書提出日現在において、銀行借入により十分な手元現預金を有していることから、優先的に対処すべき課題はないと考えております。
今後も財務上の課題が発生する可能性は低いと考えておりますが、継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上で、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係の構築に努めて参ります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社は、1983年の創業以来40年近くにわたり、「高度な信頼性を求められる国内外の社会基盤サービスの領域において、専門性の高いIT技能集団による最新テクノロジーがお客様に新たな価値を提供し、未来を創造していく」という経営理念の実現に向けて事業展開を推進するにあたり、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、企業価値の継続的な向上と企業の社会的責任を果たし、社会に信頼される会社を目指していくこととしております。
(2) ガバナンス体制及びリスク管理
当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会に対するガバナンス体制を構築しております。ガバナンス体制図については、「
サステナビリティ関連のリスク及び機会については、四半期毎に開催するコンプライアンス委員会及びリスク管理委員会でリスクの早期発見と対応策の検討を行い、取締役会へ報告しております。
(3) 戦略
当社では、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)として「全てのITエンジニアが働きやすい環境を創り出す」「様々な社会と繋がりを持ち、共に成長する」という2つの重要課題を掲げ、具体的なアクションとして3つの領域において持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行っております。
① 人事領域
社員が働きやすい環境を創出するため、「ワーク・ライフ・バランス」や「ジェンダー平等」を意識した社内規約の整備と社内施策を推進しています。「ジェンダー平等」においては、女性管理職を増やしていくことを目標としており、2024年1月に1名、課長代理職に昇格いたしました。今後も計画的かつ戦略的に、対象となる女性社員を増やしてまいります。
社員が健康でありつづけることは、企業の持続的な成長は欠かせない要素であることから、社内健康増進活動にも注力しております。その結果、経済産業省と日本健康会議より優良な健康経営を実践している法人に与えられる「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定を取得いたしました。少子高齢化で働き手不足が社会課題となっている背景において、従業員がより健康的に、より長く働くことのできる職場環境を実現することが会社全体の活気を高めることに繋がると考えております。
また、継続的な雇用創出と持続的な体制維持のため、異業種からITエンジニアを目指して転職活動を行っている業界未経験者の採用にも力を入れ、入社後3ヶ月間の研修を内製化しております。具体的には、プログラム言語の読み書きを教育し、現場で活躍できる人材を確保しております。単に研修を受けたという事実だけでなく、研修を通じて習得した内容について、理解度や定着度を定量的に測定し、モチベーションの高いIT人材を排出しております。当研修中にIT国家資格である「基本情報技術者試験」やJava言語でのプログラミング能力を証明する「Oracle Certified Java Programmer, Silver SE 11」に合格した人材も多く在籍しております。
雇用創出以外にも、将来、IT業界を希望する在学中の学生に対し、資格取得の支援を行いITスキルの定着を促すことを目的とした「CompTIAスカラーシップ・プログラム」を活用し、人材不足と言われるIT業界で活躍する未来のエンジニア育成にも力を入れています。また、年4回、沼津情報・ビジネス専門学校において、ソフトウェア開発工程について講義を行い、実践的な教育に協力しております。
2024年に学研教育総合研究所が実施した調査「中学生白書」によりますと、中学生男子が将来つきたい職業の第一位は「エンジニア・プログラマー」であるという調査結果もあります。次世代を担うエンジニア候補となりうる若者に対し、継続的に接点を持ち、会社としての成長のみならず、業界全体の成長に繋がる施策を実施してまいります。
② システム開発領域
当社は、公共系のシステム開発を受注する機会が多く、国家や企業のSDGsに向けた取り組みに関与する機会が多くございます。具体的な事例といたしましては、輸出入・港湾関連情報処理システム「NACCS」の開発が挙げられます。
NACCSは国際物流に係る貿易手続等を電子的に処理する国内唯一のインフラシステムです。このため、NACCSの安定運用は、国際物流・国際貿易の発展に直接的に寄与しております。NACCSを通じた適正・迅速な通関の実現により、SDGsのターゲットとされている食品安全保障の実現、福祉の促進、エネルギー効率の改善、生態系の保護等、社会的な課題の解決に貢献しております。
また、間接的な社会貢献ではございますが、弊社が開発保守運用を手掛ける「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」においては、税務署や会計事務所や銀行における業務のペーパレス化に寄与し、森林の伐採量を抑え、地球上の貴重な資源を守ることができます。
法人分野での開発実績では、花王株式会社のECモール「My Kao Mall OUTLET」を事例として紹介いたします。工場や物流拠点で出荷されることなく、やむを得ず廃棄していた日用品・一部の化粧品の滞留在庫をアウトレット品として販売することに貢献しております。
開発案件を受託する際には、目先の利益確保のみならず、社会や環境により良い影響を与える可能性を考慮し、クリーンでエコなシステムを開発する機会が得られるような営業展開を意識しております。
③ 企業活動領域
システム開発を行うためには大量のPCが必要となりますが、案件の特性上やむを得ないケースを除いてはリユースPCを調達し、企業としての費用対効果を上げるだけではなく、パソコンを製造・破棄する工程で排出されるCO2の削減に貢献しております。一般的にパソコン1台のリユースにより、80~120kgのCO2排出削減に貢献できると言われており、今後も「環境にやさしいシステム開発」を遂行するため、継続的にリユースPCの再利用を行ってまいります。
また、世界中に蔓延する飢餓や貧困をなくすため、ユニセフならびに日本赤十字社への支援活動を行っております。
ユニセフが掲げるビジョン「すべての子どもの権利が実現される世界をめざして」に共感し、「通常募金」を通して、世界中のあらゆる国々の子どもたちの命と権利を守る活動を支援しております。ユニセフが行う支援活動は、保健、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取からの保護、HIV/エイズ、緊急支援、アドボカシーなど、内容は多岐にわたり、190の国や地域で活動しております。
日本赤十字社への協力活動を通じても、世界各国の社会課題の解決を継続的に支援しております。日本赤十字社は、「人間の生命は尊重されなければならないし、苦しんでいる者は、敵味方の別なく救われなければならない」という「人道」に基づき、世界中の人々のいのちと健康と尊厳を守るために活動しております。
(4) 指標及び目標
当社では、(3)戦略において記載した、人事領域、システム開発領域及び企業活動領域全体に係る指標について、具体的な取り組みを行っているものの、提出日現在においては、当該指標についての目標を設定しておりません。今後、目標を設定し、その進捗に合わせて開示項目を検討してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
① 経済・市場環境による顧客の投資意欲等の影響について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では、公共系及び金融系のシステム保守・開発を主要な事業として展開しているため、政府及び自治体の関係機関及び国内外の金融関連のプレーヤーによるIT投資動向に一定の影響を受けます。当社は、市場の動向について専門的な機関を通じて的確に情報を把握し、「直接的な対応策」と「予備的対応策」、事態が生じた場合の影響を「最小限に留めるための対応策」といった「三位一体」でのリスク対応を講じるよう努めておりますが、経済情勢の急激な変化及び国内外の著しい景気低迷等により、顧客企業のIT投資意欲が減退した場合は、新規顧客開拓の低迷や既存顧客からの受注減少等により、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では、ユーザーおよびシステムインテグレーターの技術要望を捉え、高品質なソフトウェアやサービスの提供に努めておりますが、経済産業省「情報通信業基本調査」では、当社が属する受託開発ソフトウェア業の企業数は、情報サービス業に属する企業の約5割を占めております。大小多数の事業者が存在しており、また、システム開発の下流工程においては、労働集約的になりやすく、参入障壁も相対的に低くなることで市場において当該事業者との競合が生じております。国内企業のIT化推進等に伴い、業界全体における開発需要は堅調であるものの、オフショア開発等による価格競争、また、開発需要の減少や新規参入増加等による競争が激化した場合、あるいは競合他社の技術力やサービス力の向上により当社のサービス力が相対的に低下した場合には、受注減少、保守・運用契約の解約等により、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社が属する情報サービス産業は、技術革新のスピードが速くかつその変化は著しい状況にあります。デジタルトランスフォーメーション(DX)の到来に合わせ、公共・金融インフラ市場においても新技術、新サービスが次々と生み出されております。当社においては、最新の技術動向や環境変化を常に把握し、経営レベルで新規技術の導入を迅速に実行に移せる意思決定が行えるよう体制構築に努めておりますが、当社の想定を超える技術革新や新サービスの急速な普及等による著しい環境変化等が生じた場合、当該変化に当社が対応することができず、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:大、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は高度な専門性と技術力によるサービスの提供を行う管理者及びエンジニアを安定的に確保し、常に実務能力の向上を目的として人材育成を行うことは非常に重要であります。これに対して人事担当者を増強し、精力的な採用活動を展開しております。人材不足を生じさせないよう魅力的な職場環境と雇用待遇の整備、新卒及び即戦力であるキャリア採用を促進するための対応策を講じ、教育機関と連携し社内研修制度、社外研修制度、資格奨励金制度等を設け、戦力の維持・向上を図っておりますが、労働生産人口減少に対する対策の不備や著しい人材の流動化に伴う人員流出、技術・知識の属人化によるノウハウの流出により当社が必要とする十分な人材を確保することができない場合、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 協力会社の確保について
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社におけるシステム開発業務等については、開発業務の効率化、顧客要請への迅速な対応、外部企業の持つ専門性の高いノウハウ活用等を目的として、業務の一部について当社社員の管理統括のもと、パートナーと位置づける協力会社への外部委託を活用しております。現時点では優秀な協力会社との良好な連携体制を維持しており、今後も協力会社の確保及びその連携体制の強化を積極的に推進していく方針ではありますが、協力会社から十分な人材を確保できない場合には、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、外部の技術力やノウハウ等を活用するため、システム開発業務の一部を当社外の企業に委託するなど外部発注を行っております。しかしながら、IT需要の高まりによる発注コストの増大、外部発注先に起因する納期遅延や品質低下に加え、ヒューマンエラー等による情報漏えい事故の発生、同業他社との競合により優秀な外部発注先が確保できない場合、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
それに対し、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の法令遵守はもちろんのこと、外部発注先の技術力やコスト、財務状況等の信頼性などを総合的に勘案した選定等協力会社との取引に関するリスクの低減に努めております。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社が開発し、納品したシステムに予期せぬ欠陥が発生した場合には、社会的信用の低下やその後の受注減少等に繋がり、更に訴訟が提起される事態に発展することも想定されます。このような場合には、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社のシステム開発に関しては、納期内にシステムを完成する責任を負っており、開発工程管理や品質管理を徹底しております。しかしながら想定外の仕様取り込み、問題発生により納期遅延等の損害賠償や想定を超える原価発生により、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。一方、顧客の計画変更により、当初予定していた契約が翌期以降に延期されることによる期ずれにより、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社ではプロジェクトが不採算に陥る可能性について、リスクを事前に評価し、軽減する仕組みが機能しています。当社のナレッジベースに蓄積された豊富なデータをもとに単なるエンジニアのキャリアと経験だけに依存するだけではなく、どのようなチーム体制、役割、作業品質、許容される事項などが整理され、マネジメントリスクをコントロールしながら開発作業に着手することになります。このようなプロセスを更に強固なものとするために専門の品質保証担当を創設し、同業他社に対するコスト競争力を高め、継続的に不採算案件ゼロを維持して参りますが、予測できない要因により開発工程での品質問題や工期問題の発生及び納品後のシステム運用段階での不具合等が発見される場合があります。このような状況により不採算プロジェクトが発生した場合は、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の当事業年度の売上高は、84.1%が株式会社NTTデータ・アイを中心とするNTTデータグループであり、公共系事業の売上のほとんどがNTTデータグループからの受注によるものであります。この傾向は当社の創業時から変わっておらず、日本電信電話公社が民営化されました1985年に、株式会社NTTデータの前身であります日本電信電話株式会社データ通信事業本部の業務委託を受けた日本電気株式会社からの再委託により、旧大蔵省(現財務省)の輸出入・港湾関連情報処理システムの開発業務を受注して以降、現在に至るまで、官公庁、政府機関のほか、一般法人等のシステム開発業務の委託を継続して受注してまいりました。
こうした特定業種、取引先との強い関係は当社の強みである反面、経済情勢の変化によりNTTデータグループの事業運営が影響を受け、方針、開発計画等が変更を余儀なくされた場合、当該取引先への売上依存は、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社としては、現在の公共系事業のシステム開発の基盤をより一層強化していく方針です。具体的には、各省庁や地方自治体の入札情報を細かく収集して可能な限り応札することで、受託実績のない官公庁、政府機関、地方自治体のシステム開発を開拓していき、公共系事業のすそ野を広げてまいります。
また、金融・法人系事業においても、NTTデータグループ以外の取引先との取引拡大、強化を図ってまいります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社では、業務に関連して顧客や取引先等の個人情報及び機密情報を取り扱う場合があります。当社では、情報管理に関する全社的な取り組みを講じております。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)やプライバシーマークの認定取得を行い、各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育、各種ソフトウェアの監視、情報資産へのアクセス証跡の記録等各種の情報セキュリティ対策を講じ、個人情報を含む重要な情報資産の管理を実施し、情報漏洩のリスクの回避を図っております。しかしながら、当社又は協力会社より情報の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社の信用失墜等により、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社では、事業の特性上、多数のコンピュータ機器を利用しており、専門業者であるデータセンターの利用等により、データの保全、電源確保、対不正アクセス等の対策を講じています。しかしながら、大規模な災害・停電、システムやネットワーク障害、不正アクセスやコンピュータ・ウイルス等による被害が発生した場合、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
システム開発プロジェクトにおいては、当初計画にない想定外の事象が発生し、品質や納期を厳守するために長時間労働が発生することがあります。特に、当社が推進している一括請負の案件は、品質確保や納期の責任を負担することから、こうした事象が発生するリスクが高まります。当社では、日頃より適切な労務管理に努めるとともに、このような事象の発生を撲滅すべくプロジェクト監視をしております。しかしながら、やむを得ない要因によりこのような事象が発生した場合は、従業員の健康問題や労務問題に発展し、システム開発での労働生産性が低下する等により当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では、企業価値の持続的な増大を図るためにコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の業績及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しており、組織規模や環境に応じた管理部門の人数増員を図り、業務の自動化、効率化、各種研修などの教育により、管理体制の充実に努めております。
② 経営者依存リスクについて
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の代表取締役である奥山宏昭は、当社の創業メンバーであり、設立以来当社の経営方針、経営戦略、資金調達等、事業活動の推進にあたり重要な役割を担ってまいりました。
当社は、2022年12月21日付で東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場するにあたり、監査役会の設置、社外取締役1名、社外監査役2名の配置等ガバナンス体制を強化、役員の職務執行責任の強化や職務権限の明確化、権限移譲を進め、創業者に過度に依存しない経営体制の整備に努めて参りましたが、体制の整備の過程において、同氏が職務を遂行できなくなるような不測の事態が生じた場合、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制について
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」を遵守し、労働者派遣事業者として監督官庁への必要な届出を行っております。法令順守を徹底し、当該法的規制等に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により派遣元事業主としての欠格事由及び当該許可の取消事由に該当し、業務の全部もしくは一部の停止処分を受けた場合、若しくは新たな許可を取得することができなくなった場合、又は法的な規制が変更になった場合等には、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社が行うシステム開発等において、他社の所有する著作権及び特許権を侵害しないように十分に啓蒙活動を行い、常に注意を払って事業展開しておりますが、当社の認識の範囲外で他社の所有する著作権及び特許権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、当社への損害賠償請求、信用の低下により、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中~大
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、当社の主要な事業拠点である首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社では、自然災害等が発生した場合に備え、体制を整備しておりますが、自然災害等による人的、物的損害が甚大である場合は、事業の継続そのものが不可能になる可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
第42期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比較して83,137千円増加し、1,226,646千円になりました。その主な変動要因は運転資金の借入等により現金及び預金が110,184千円増加した一方、売掛金の回収により売掛金が29,215千円減少したことによるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比較して52,018千円増加し、160,909千円になりました。その主な変動要因は本社移転により有形固定資産が18,801千円、その他に含まれている敷金が25,307千円増加するとともに、繰延税金資産が4,612千円増加したことによるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比較して41,846千円増加し、496,214千円になりました。その主な変動要因は外注費の増加により買掛金が16,521千円増加するとともに、新規の借入により1年内返済予定の長期借入金が25,408千円増加したことによるものです。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末と比較して73,981千円増加し、334,000千円になりました。その主な変動要因は新規の借入により長期借入金が74,548千円増加したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して19,328千円増加し、557,341千円になりました。その主な変動要因は、当期純利益により利益剰余金が26,895千円増加した一方、配当金支払により利益剰余金が8,892千円減少したことによるものであります。
第43期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
(流動資産)
当中間会計期間末における流動資産の残高は、前事業年度末と比較して48,272千円減少し、1,178,373千円となりました。その主な変動要因は、契約資産が35,540千円、及び仕掛品が19,417千円増加した一方、売掛金の回収により売掛金が24,603千円、及び借入金の返済、外注加工費等の支払いに伴い現金及び預金が69,703千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当中間会計期間末における固定資産の残高は、前事業年度末と比較して1,176千円増加し、162,086千円となりました。その主な変動要因は、投資有価証券の評価額が1,760千円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当中間会計期間末における流動負債の残高は、前事業年度末と比較して2,989千円増加し、499,203千円となりました。その主な変動要因は、外注加工費の増加により買掛金が3,256千円、未払賞与計上により未払費用が94,484千円、及び未払法人税等が11,782千円増加した一方、借入金の返済により短期借入金が66,000千円、1年内返済予定の長期借入金が14,380千円、及び未払金が28,833千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当中間会計期間末における固定負債の残高は、前事業年度末と比較して84,000千円減少し、250,000千円となりました。その主な変動要因は、借入金の返済により長期借入金が84,000千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して33,914千円増加し、591,256千円となりました。その主な変動要因は、中間純利益により利益剰余金が41,654千円増加した一方、配当金支払により利益剰余金が8,892千円減少したことによるものであります。
第43期第3四半期累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年9月30日)
(流動資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産の残高は、前事業年度末と比較して115,554千円減少し、1,111,091千円となりました。その主な変動要因は、売上の増加により契約資産が42,529千円、及び仕掛品が12,822千円増加した一方、売掛金の回収により売掛金が70,052千円、及び借入金の返済、外注加工費等の支払いに伴い現金及び預金が106,306千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当第3四半期会計期間末における固定資産の残高は、前事業年度末と比較して904千円増加し、161,814千円となりました。その主な変動要因は、投資有価証券の評価額が1,875千円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債の残高は、前事業年度末と比較して61,026千円減少し、435,188千円となりました。その主な変動要因は、外注加工費の増加により買掛金が9,424千円、未払賞与計上により未払費用が44,158千円、及び未払法人税等が18,459千円増加した一方、借入金の返済により短期借入金が66,000千円、1年内返済予定の長期借入金が39,452千円、及び未払金が25,542千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当第3四半期会計期間末における固定負債の残高は、前事業年度末と比較して114,000千円減少し、220,000千円となりました。その主な変動要因は、借入金の返済により長期借入金が114,000千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して60,375千円増加し、617,717千円となりました。その主な変動要因は、四半期純利益により利益剰余金が68,040千円増加した一方、配当金支払により利益剰余金が8,892千円減少したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第42期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の第5類への移行もあり、行動制限の撤廃に伴い国内外への人流が増加し、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかながら回復基調で推移いたしました。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、中東情勢の緊迫化等の地政学的リスクや円安等による資源価格の高騰、それに伴う物価上昇などの経済的リスクは依然として高く、更には自然災害等の影響もあり、先行き不透明な状況が続いております。
当社が事業を展開する情報サービス産業におきましては、企業の抱える課題を解決するためのデジタルトランスフォーメーション(DX)、クラウドサービス、及びChatGPTに代表されるAI技術のビジネスへの活用に対する企業ニーズは依然として高く、引き続き高い関心と強い期待が寄せられております。
このような当社を取り巻く環境の中、当事業年度は、主力の官公庁に向けた「公共系事業」の関税関連システム、及び国税関連システムにおいて新たな開発が始まり開発量が大きく増加いたしました。「金融・法人系事業」におきましては堅調に契約を確保したものの、売上は前事業年度を下回る結果となりました。一方で、契約件数は増加したものの、人員の採用が進まず慢性的な人員不足のなか、ビジネスパートナーの要員確保を行った結果、外注加工費が大きく増加したため売上原価は増加し、売上総利益率は悪化いたしました。また、販売費及び一般管理費においては、内部管理体制強化に伴う管理部門の人員の採用が進んだことにより人件費が増加したことに加え、2023年7月に本社を移転し、これに伴う移転関連費用等が増加したことにより、前事業年度に比べ大きく増加いたしました。
この結果、当事業年度の売上高は2,731,001千円(前年同期比13.6%増)、営業利益は41,466千円(同35.2%減)、経常利益は37,411千円(同34.9%減)、当期純利益は26,895千円(同32.1%減)となりました。
当社はシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
第43期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
当中間会計期間におけるわが国経済は、社会経済活動が活発になり、加えて雇用・所得環境の改善、またインバウンド需要の回復のなかで、景気は緩やかながら回復基調にあるものの、円安進行に起因する資源・原材料価格高騰に伴う物価上昇、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化及び中東情勢の緊迫化等の地政学的リスク、更には自然災害等の影響もあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社が事業を展開する情報サービス産業におきましては、人手不足を背景に企業の抱える課題を解決するための生成AIなどの新しいIT技術、デジタルトランスフォーメーション(DX)やクラウドサービスを用いた既存システムの再構築等の需要を受けて、引き続き高い関心と強い期待が寄せられており、今後も拡大する見通しであります。しかしながら、需要拡大のための資源となるIT人材の確保・供給が追いつかず、市場拡大の障害となる可能性があります。また、これに伴う人材獲得競争の激化や人件費の増加により、収益環境が悪化する可能性もあります。
このような当社を取り巻く環境の中、当中間会計期間は、主力の官公庁に向けた「公共系事業」は、関税関連システム、及び国税関連システムにおいて、前事業年度より開始された次世代システム開発が佳境を迎え、開発量が大きく増加しました。一方、「金融・法人系事業」は、「公共系事業」において佳境を迎える案件へ人材確保する必要性があることから、売上を抑えざるを得ない結果となりました。売上原価については、慢性的な人員不足のなか、「公共系事業」の契約増加に伴い技術力がある即戦力の人材を確保するため、ビジネスパートナーの要員確保を行った結果、外注加工費が増加したため売上原価は大きく増加しました。また、販売費および一般管理費は、前事業年度の本社移転や内部管理体制強化に伴う管理部門の人員採用が一巡し、必要以上の出費を抑えております。
これらの結果、当中間会計期間の売上高は1,416,706千円、営業利益は67,313千円、経常利益は63,090千円、中間純利益は41,654千円となりました。
当社はシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
第43期第3四半期累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年9月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、社会経済活動が活発になり、加えて雇用・所得環境の改善、またインバウンド需要の回復のなかで、国内景気は緩やかな回復基調を維持いたしました。一方で、物価上昇や円安の継続するなか、日米の金融政策動向に起因した株式市場の乱高下が企業業績への先行き不安をもたらしました。また、中国経済の減速や東欧、中東の長期化する地政学的リスク、更には自然災害等の影響もあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社が事業を展開する情報サービス産業におきましては、人手不足を背景に企業の抱える課題を解決するための生成AIなどの新しいIT技術、デジタルトランスフォーメーション(DX)やクラウドサービスを用いた既存システムの再構築等の需要を受けて、引き続き高い関心と強い期待が寄せられており、今後も拡大する見通しであります。しかしながら、需要拡大のための資源となるIT人材の確保・供給が追いつかず、市場拡大の障害となる可能性があります。また、これに伴う人材獲得競争の激化や人件費の増加により、収益環境が悪化する可能性もあります。
このような当社を取り巻く環境の中、当第3四半期累計期間は、主力の官公庁に向けた「公共系事業」は、関税関連システム、及び国税関連システムにおいて、前事業年度より開始された次世代システム開発が佳境を迎え、開発量が大きく増加しました。一方、「金融・法人系事業」は、「公共系事業」において佳境を迎える案件へ人材確保する必要性があることから、売上を抑制せざるを得ない結果となりました。売上原価については、慢性的な人員不足のなか、「公共系事業」の契約増加に伴い技術力がある即戦力の人材を確保するため、ビジネスパートナーの要員確保を行った結果、外注加工費が増加したため売上原価は大きく増加しました。また、販売費および一般管理費は、前事業年度の本社移転や内部管理体制強化に伴う管理部門の人員採用が一巡した結果、必要最低限の使用にとどまりました。
これらの結果、当第3四半期累計期間の売上高は2,171,232千円、営業利益は109,272千円、経常利益は103,193千円、四半期純利益は68,040千円となりました。
当社はシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
第42期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ110,184千円増加し、745,042千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は94,181千円となりました。その主な要因は、税引前当期純利益37,411千円、売上債権の減少額29,215千円、仕入債務の増加額16,521千円、減価償却費6,733千円及び未払消費税等の増加額6,520千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は52,060千円となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出23,310千円、保険積立金の積立による支出7,655千円、敷金及び保証金の差入による支出41,415千円、敷金及び保証金の回収による収入14,538千円及び保険積立金の解約による収入8,000千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の増加は68,064千円となりました。その主な要因は、短期借入金の借入による収入126,000千円、長期借入金の借入による収入280,000千円、短期借入金の返済による支出140,000千円、長期借入金の返済による支出180,044千円等があったことによるものであります。
第43期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
当中間会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ69,703千円減少し、675,338千円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における営業活動による資金の増加は、107,929千円となりました。その主な増加要因は、税引前中間純利益の計上63,090千円、未払消費税等の増加額14,715千円、及びその他63,452千円であり、主な減少要因は、売上高の増加による売上債権及び契約資産の増加額10,937千円、棚卸資産の増加額19,417千円、法人税等の支払額9,274千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における投資活動による資金の減少は、4,360千円となりました。その主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出が792千円、無形固定資産の取得による支出が1,200千円、及び保険積立金の積立による支出2,456千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間における財務活動による資金の減少は、173,272千円となりました。その主な減少要因は、短期借入金の返済による支出66,000千円、長期借入金の返済による支出98,380千円、及び配当金の支払額8,892千円があったことによるものであります。
第42期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当事業年度における販売実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
第43期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当中間会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
第43期第3四半期累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年9月30日)
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当中間会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第42期事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(売上高)
前事業年度振るわなかった主力の官公庁に向けた「公共系事業」の関税関連システム、及び国税関連システムにおいて新たな開発が始まり開発量が大きく増加し対前年比20%増の2,097,922千円、一方の「金融・法人系事業」におきましては堅調に契約を確保したものの前年比3.6%減の633,079千円となり、全体として前事業年度を13.6%上回る2,731,001千円の売上高を確保しました。
(売上原価、売上総利益)
案件増加に伴い、経験者採用を継続して行ってはおりますが入社に至らず慢性的な人員不足のなか、ビジネスパートナーの要員確保を行った結果、外注加工費が前年比34.9%増の1,070,673千円となり、売上原価も前年比13.8%増の2,291,174千円となりました。この結果、売上総利益は、439,827千円(前年同期比12.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費の主な増加要因は、管理部門の人員補充等により従業員給料手当の増加が33,585千円、また、2023年7月1日の本社移転による地代家賃の増加10,373千円、減価償却費の増加3,590千円を含む本社移転関連費用の増加13,963千円が主な増加要因であります。この結果、営業利益は、41,466千円(前年同期比35.2%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益においては、大きな変動要因はございませんでした。営業外費用は支払利息が8,033千円であり、営業外収益と同様に特に大きな変動要因はございませんでした。この結果、経常利益は、37,411千円(前年同期比34.9%減)となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純利益)
特別利益、特別損失の計上はありませんでしたので、税引前当期純利益は37,411千円(前年同期比34.9%減)となりました。また、法人税等合計は10,516千円となり、前事業年度に比べ7,348千円減少いたしました。
以上の結果、当期純利益は26,895千円(前年同期比32.1%減)となり、前事業年度に比べ12,733千円減少しました。
第43期中間会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
(売上高)
当中間会計期間は、主力の官公庁に向けた「公共系事業」は、関税関連システム、及び国税関連システムにおいて、前事業年度より開始された次世代システム開発が佳境を迎え、売上は1,164,988千円となりました。一方、「金融・法人系事業」は、「公共系事業」の開発量の増加に伴い、開発案件へ人材を投入する必要性があることから、売上は251,717千円に留まりましたが、全体として、1,416,706千円の売上高を確保しました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価については、慢性的な人員不足のなか、「公共系事業」の契約増加に伴い技術力がある即戦力の人材を確保するため、ビジネスパートナーの要員確保を行った結果、外注加工費が559,414千円となり、売上原価も1,159,059千円となりました。この結果、売上総利益は、257,647千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費については、前事業年度の本社移転や内部管理体制強化に伴う管理部門の人員採用が一巡し、190,333千円となりました。この結果、営業利益は、67,313千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は、特に大きな変動はありませんでした。また、営業外費用については、支払利息が4,732千円となりました。この結果、経常利益は、63,090千円となりました。
(特別利益、特別損失及び中間純利益)
特別利益、特別損失の計上はありませんでしたので、税引前中間純利益は63,090千円となりました。また、法人税等合計は21,435千円となりました。
以上の結果、中間純利益は41,654千円となりました。
第43期第3四半期累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年9月30日)
(売上高)
当第3四半期累計期間は、主力の官公庁に向けた「公共系事業」は、関税関連システム、及び国税関連システムにおいて、前事業年度より開始された次世代システム開発が佳境を迎え、1,797,300千円となりました。一方、「金融・法人系事業」は、「公共系事業」の開発量の増加に伴い、開発案件へ人材を投入する必要性があることから、売上は373,932千円になりましたが、全体として2,171,232千円の売上高を確保しました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価については、慢性的な人員不足のなか、「公共系事業」の契約増加に伴い技術力がある即戦力の人材を確保するため、ビジネスパートナーの要員確保を行った結果、外注加工費が増加し862,741千円となり、売上原価も同様に増加し、1,784,780千円となりました。この結果、売上総利益は、386,451千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費については、前事業年度の本社移転や内部管理体制強化に伴う管理部門の人員採用が一巡し、277,178千円となりました。この結果、営業利益は、109,272千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は特に大きな変動はありませんでした。また、営業外費用については、短期プライムレートの上昇により支払利息が6,747千円となりました。この結果、経常利益は、103,193千円となりました。
(特別利益、特別損失及び四半期純利益)
特別利益、特別損失の計上はありませんでしたので、税引前四半期純利益は103,193千円となりました。また、法人税等合計は35,152千円となりました。
以上の結果、四半期純利益は68,040千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況・検討内容
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、受注拡大のための人件費及びビジネスパートナーに支払う外注費や、人員獲得のための採用募集費であります。
当社は、この資金需要を満たすための資金は、原則、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としておりますが、円滑な事業運営上必要な運転資金を安定的に確保するため、また、財務の健全性・安定性を維持するため、金融機関からの借入により資金調達を行っております。資金調達を行う際には、期間、国内外の金利動向等、また、自己資本比率やROEといった財務指標への影響など財務健全性の維持を図りながら、安定した資金調達を実施します。
なお、当事業年度末における有利子負債の残高は589,452千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は745,042千円となっております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計上の見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
該当事項はありません。