名 称 日特建設株式会社
所在地 神奈川県横浜市中区桜木町一丁目1番地
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2024年12月9日開催の取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、2024年12月9日開催の取締役会において、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の全てを取得し、当社を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議したとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者は当社株式を所有していないとのことです。
本公開買付けに際して、公開買付者は、2024年12月9日付けで、(ⅰ)当社の主要株主である筆頭株主かつ親会社である株式会社麻生(以下「麻生」といいます。)(所有株式数:1,420,000株、所有割合(注1):41.60%(注2))、(ⅱ)麻生がその発行済株式の全てを所有する株式会社であり、当社の主要株主かつ第2位株主である株式会社麻生地所(所有株式数:400,000株、所有割合:11.72%、以下「麻生地所」といいます。)及び(ⅲ)麻生がその発行済株式の全てを所有する株式会社であり、当社の第3位株主である麻生商事株式会社(所有株式数:300,000株、所有割合:8.79%、以下「麻生商事」といい、麻生、麻生地所及び麻生商事を総称して「不応募予定株主」といいます。)との間で、公開買付不応募契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結し、(a)不応募予定株主が所有する当社株式2,120,000株(所有割合:62.10%、以下「不応募予定株式」といいます。)の全てについて、本公開買付けに応募しないこと、(b)本公開買付けの決済開始日の翌営業日又は別途公開買付者及び不応募予定株主が合意する日に、不応募予定株主が所有する当社株式の全てを公開買付者に譲渡すること(以下「本株式譲渡」といいます。)、並びに(c)本公開買付けにより公開買付者が当社株式の全て(ただし、不応募予定株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合、当社の株主を公開買付者のみとし、当社を非公開化するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)に関し、不応募予定株主が合理的に可能な範囲で協力することを合意しているとのことです(注3)。なお、不応募予定株主のうち、麻生は、本株式譲渡以前1年以上継続して法第27条の2第7項第1号に定める形式的特別関係者に該当することから、麻生による本株式譲渡は、法第27条の2第1項但し書に定める「適用除外買付け等」に該当することになるとのことです。また、不応募予定株主のうち、麻生地所及び麻生商事は、本株式譲渡以前1年以上継続して令(第6条の2第1項第6号及び府令第2条の4第1項第6号に定める「関係法人等」に該当し、令第6条の2第1項第6号及び府令第2条の4第1項第4号に定める「関係法人等」に該当する麻生と合わせて当社の総株主等の議決権の数の三分の一を超える数の議決権を所有していることから、麻生地所及び麻生商事による本株式譲渡は、法第27条の2第1項但し書に定める「適用除外買付け等」に該当することになるとのことです。本不応募契約の概要については、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。
(注1)「所有割合」とは、当社が2024年11月13日に提出した「第64期半期報告書」(以下「本半期報告書」といいます。)に記載された2024年9月30日現在の当社の発行済株式総数(3,420,000株)から、本半期報告書に記載された2024年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(6,271株)を控除した株式数(3,413,729株、以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合をいいます(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)。
(注2)麻生の所有割合は、麻生地所及び麻生商事を通じた間接保有分を含めると、62.10%であり、当社の親会社に該当します。
(注3)本不応募契約においては、本株式譲渡により公開買付者が不応募予定株主から取得する当社株式の譲渡価格は、不応募予定株式の数(2,120,000株(所有割合:62.10%))に500円を乗じて得られる金額とすることが合意されているとのことです。したがって、不応募予定株式の1株当たり譲渡価格(以下「本株式譲渡価格」といいます。)は500円となり、本公開買付けにおける当社株式の1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)(680円)よりも180円低い価格となるとのことです。なお、本株式譲渡は、本公開買付けの手続外で行われ、かつ、本株式譲渡価格が本公開買付価格より低い価格となっていることから、公開買付価格の均一性(法第27条の2第3項)の規制に抵触するものではないものと判断しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにおいて155,800株(所有割合:4.56%)を買付予定数の下限として設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(155,800株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、上記のとおり、公開買付者は、当社株式の全て(ただし、不応募予定株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としていることから、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(155,800株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(155,800株)については、本基準株式数(3,413,729株)に係る議決権の数である34,137個に3分の2を乗じた数(22,758個)から、不応募予定株式(2,120,000株)に係る議決権の数(21,200個)を控除した議決権数(1,558個)に当社の単元株式数(100株)を乗じた株式数としているとのことです。これは、公開買付者が、本取引において、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者及び不応募予定株主が当社の総株主の総議決権数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるように設定したものとのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、不応募予定株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、本株式譲渡を実施した上で、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者のみとし、当社を非公開化するために、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。






公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程は、以下のとおりとのことです。なお、以下の記載のうち公開買付者に関する記述は、公開買付者から受けた説明及び公開買付者が公表した情報に基づくものです。
公開買付者は、1947年にダムの地質調査と基礎処理工事を事業とする八千代試錐工業所を創業し、1953年には商号を八千代地下工業株式会社としたとのことです。1962年に株式額面金額変更のため、日本特殊土木工業株式会社に吸収合併されたのち、1972年の社名変更(現社名)を契機に業容の拡大をはかり、技術革新時代に対応した山や盛土、切土等の土地を崩れにくいように斜面に整える工事である法面工事及び建物や構造物の基礎を支える地盤の強度を高めるために行われる工事である地盤改良工事等を得意とする総合基礎工事会社へと事業変遷を遂げたとのことです。公開買付者は、その株式を1983年に東京証券取引所第二部に上場し、1985年、東京証券取引所第一部に上場することとなったとのことです。2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所プライム市場へ移行しているとのことです。足元では、公開買付者は2023年5月に「中期経営計画2023」を公表し、事業戦略上の5つの課題として、「人的資本の確保と育成」、「生産性の向上」、「安全衛生・品質管理の強化」、「サステナビリティ経営の推進」、及び「新分野への挑戦」に取り組み、前中期経営計画期間実績の5%成長に当たる連結営業利益(3年間計)161億円を実現するとともに、継続的な投資を行い企業価値の持続的な成長を目指しており、営業面では、法面工事に比べ施工効率のいい地盤改良工事、今後市場が拡大する構造物補修工事の拡大等を目標としているとのことです。
一方、当社は、1961年6月に麻生産業株式会社(現、麻生)の出資比率57%で、建築用気泡コンクリート(注1)製造及び現場施工を目的として、福岡県飯塚市に設立されました。1963年8月には東海道新幹線建設で用宗トンネルグラウト工事(空洞充填工事)に、当社製造の気泡コンクリートが土木用材料として初めて採用され、空洞充填工事の施工を開始しております。2001年4月に日本証券業協会に当社株式を店頭登録し、2004年9月に中国において広東冠粤路橋有限公司とともに合弁会社の広東冠生土木新技術有限公司(現、広東冠生土木工事技術株式有限公司(以下「冠生社」といいます。))を設立した後、2004年にジャスダック証券取引所に当社株式を上場し、東京証券取引所と株式会社大阪証券取引所の統合を経て、2013年東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場し、現在は東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から東京証券取引所スタンダード市場へ移行しております。
当社は、建設業法に基づく土木工事業、建築工事業等において特定建設業の国土交通大臣による許可を受け、気泡コンクリートの現場施工、地盤改良工事の施工、その他工事の施工及び工事用資材(起泡剤等)の商品の販売等を主な内容として事業活動を展開しております。気泡コンクリート工事においては、当社が得意先から工事を受注し、軽量盛土工事、管路中詰工事及び空洞充填工事の施工を行っております。地盤改良工事においては、得意先から工事を受注し、アスコラム工法(注2)、鋼管ソイルセメント杭工法(注3)等で工事の施工を行っております。
中でも当社は気泡コンクリート工事に強みを持っております。昨今のカーボンニュートラルが叫ばれている世の中においてセメントの使用量が1990年度のピークからは6割近く減少している状況ではあるものの、建設業界では気泡コンクリート工事は未だ十分に認知されていないと認識しており、FCB研究会(注4)の集計によればFCB工法(注5)の当社シェアが約7割とあるように当社が高いシェアを誇っていると認識している気泡コンクリートの需要は軽量性、自立性、流動性(施工性)の観点からも数多く存在すると考えております。
また、当社は、2022年度~2024年度の三か年中期経営計画を策定しておりましたが、2022年度の売上高が3,572百万円、営業利益が▲24百万円、当期純利益が▲17百万円となるなど、実績が数値計画(売上高5,200百万円、営業利益150百万円、当期純利益110百万円)に対して大幅な未達成となったことから事業環境を精査し、2023年度及び2024年度の数値計画を見直しました。しかしながら2023年度も未達成となり(計画が売上高4,300百万円、営業利益100百万円、当期純利益70百万円に対して、実績が売上高3,139百万円、営業利益▲182百万円、当期純利益▲386百万円)、今期2024年度も未達成(計画が売上高4,650百万円、営業利益130百万円、当期純利益90百万円に対して、本日公表の「2025年3月期の通期業績予想および期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」に記載のとおり、売上高4,126百万円、営業利益100百万円、当期純利益64百万円となる見込み)となることが見込まれております。内閣官房によって令和2年12月に策定された令和3年度から令和7年度の5か年を対策期間とした「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が進められており、公共投資は底堅く民間建設投資も堅調に推移している一方で、拠点数や営業人員が限られていることに起因する案件の発注情報や工期情報の収集力不足などから上記のとおり当社は厳しい業績となっており、早急な事業の立て直しが課題となっております。特に課題となっているのは、営業力と施工力の強化で、コンサルへの当社工法のPR活動や提案営業・設計折込活動に注力し需要創造をはかるとともに、案件情報収集力を強化していくことと、高い技術力を持った人材の確保と育成が必要と認識しております。
(注1)気泡コンクリートとは、セメント、骨材、水及び起泡剤の材料から構成され、スラリー(泥状物)状のモルタル(セメント・原料土・水を練り混ぜた物)に発泡させた気泡を混入して作られたコンクリートで、作られた気泡コンクリートはエアモルタルと呼ばれています。なお、原料土を使用しない気泡コンクリートはエアミルクといいます。
(注2)アスコラム工法とは、深層の軟弱・粘性等の地盤中にスラリー状のセメント系固化材を注入しながら土と固化材を混合撹拌し、強固で均一な改良コラムを築造する工法です。
(注3)鋼管ソイルセメント杭工法とは、深層の土壌中にセメントミルク、その他の混合液を混合させてソイルセメント柱を築造し、当該箇所に鋼管杭を建込む工法です。
(注4)FCB研究会とは、FCB工法の技術向上を目的として設立された当社を含む民間企業8社からなる業界団体です。
(注5)FCB工法とは、軽量性・流動性・自立性など気泡混合軽量土(エアモルタル・エアミルク)の特徴を活かし、通常の土では施工が困難な場所での盛土を可能にする軽量盛土工法です。
公開買付者と当社の関係は、いずれも特殊工事を主軸とする基礎工事会社として、当社が保有する気泡コンクリート技術に関する受注に関しては、公開買付者と共に協力しながらお互いの成長のために関係を築いてきました。公開買付者が麻生の完全子会社であるエーエヌホールディングスによる公開買付者の株式取得により麻生と資本関係を有した2013年11月8日から、エーエヌホールディングスが2015年及び2018年に実施した公開買付けを通じて公開買付者が麻生の連結子会社となってからも、引き続き気泡コンクリート技術に関する受注に関して相互に協力し、また、公開買付者から当社に対して、同技術に関する発注を積極的に行うなど、当社は麻生を共通の親会社として、長期間にわたり事業面での良好な関係を維持してまいりました。なお、麻生は本書提出日現在、エーエヌホールディングスを通じて公開買付者株式24,155,000株(公開買付者株式所有割合:57.86%)(注6)を間接所有しており、また、当社株式1,420,000株(所有割合:41.60%)を直接所有しております。
(注6)「公開買付者株式所有割合」とは、公開買付者が2024年11月11日に提出した「第78期半期報告書」に記載された2024年9月30日現在の公開買付者の発行済株式総数(41,753,765株)から、2024年9月30日現在の公開買付者が所有する自己株式数(4,296株)を控除した株式数(41,749,469株)に対する割合とのことです(小数点以下第三位を四捨五入しております。)。
公開買付者及び当社を含む国内建設業界を取り巻く環境は、気候変動による台風、豪雨災害の激甚化や今後予想される地震対策等に対する、「防災・減災・国土強靭化」政策のもと震災・災害復興工事、防災・減災対策工事や国内インフラの老朽化対策を目的とした維持・修繕工事等により公共工事の発注継続が見込まれていると認識しております。一方で、資機材価格高止まりによる工事コストや賃金上昇による収益確保におけるリスク懸念、少子高齢化を背景とした構造的な技能労働者不足や政府主導の働き方改革による労働時間短縮・待遇改善の取組みの加速に伴う技術承継等の課題が顕在化するなど国内建設業界の取り巻く環境は大きく変化していると認識しております。
加えて、日本国内の上場企業を取り巻く資本市場も変化を続けており、コーポレートガバナンス・コード及びスチュワードシップ・コード導入以降、断続的にコーポレートガバナンスの高度化が求められるとともに、中長期的な企業価値や資本収益性の向上の意識が高まっています。東京証券取引所スタンダード市場の上場企業である当社においても、東京証券取引所による市場区分の見直しにより、流通株式時価総額がスタンダード市場の基準を満たしておらず、東京証券取引所及び資本市場から上場維持基準の充足を求められているものと認識しております。
公開買付者はこれまでの当社との取引を通じて、1963年の東海道新幹線建設において当社製造の気泡コンクリートが日本で初めて土木材料として採用され、それ以降、土木工事に関する気泡コンクリートのパイオニアとして多数の施工実績を通じた豊富な経験を持つ優秀な技術者を有した魅力的な会社であると考えていたとのことです。公開買付者が2023年5月に公表した「中期経営計画2023」を検討する過程において、上記のような足元の業界環境及び当社の抱える課題を踏まえて検討した結果、公開買付者は2023年6月、本取引を通じて当社が公開買付者グループの持つ経営資源を活用する事で、シナジー効果が創出され、当社の持つ高い競争力と潜在的な成長余地が最大限引き出す事が可能であると考えるに至ったとのことです。また、本取引の実施は、公開買付者グループにとっても「中期経営計画2023」に沿った形で事業戦略を補完し、強化することに繋がるため、双方の企業価値向上に資すると考えているとのことです。公開買付者としては、具体的に以下のようなシナジーを考えているとのことです。
(i) 営業力強化に伴う新規案件・取引先の獲得
公開買付者は全国に営業網を保有しているため、当社が公開買付者グループに入ることで営業力の強化を通じて、当社は案件規模の拡大や新規取引先からの案件獲得が可能になると考えているとのことです。一方、当社は公開買付者が保有していない気泡コンクリート事業という特殊工法を保有しており、公開買付者が進出していなかった新たな市場の開拓なども可能になると考えているとのことです。また、公開買付者及び当社が保有する情報収集網や採算性試算などのノウハウを共有することで、より効率的に案件情報を獲得することができると考えているとのことです。
(ii)技能労働者の確保・スキルアップ
上記のとおり、技能労働者不足が建設業界を取り巻く喫緊の課題である中、本取引を通じて公開買付者の求人・採用活動におけるノウハウを共有し、当社の採用力を向上させることができると考えているとのことです。育成においても、公開買付者及び当社の人材教育・育成ノウハウを共有することで、両者において、より技術力の高い人材の育成も実現できると考えているとのことです。また、公開買付者及び当社の技術者交流を通じて、相互の施工への理解度向上や技術レベルの向上、技術部門の交流を通じた工法の改良・新工法の開発などのスキルアップも実現できると考えているとのことです。
一方で、公開買付者は、上記のとおり、厳しい業界環境を迎えていると認識している国内建設業界におかれた公開買付者及び当社が更なる成長を実現していくためには、業界環境の変化に柔軟に対応できるような経営体制を構築し成長施策を積極的に推進していくことが不可欠であり、また当社が短期的な株式市場からの評価にとらわれない中長期的視点に立ち、公開買付者との連携の下でスピーディーかつ柔軟な経営判断を行っていくことが必要であると考えているとのことです。
さらに、上記のとおり、公開買付者及び当社ともに麻生が親会社であり、公開買付者と当社との間で既に協力関係がある中では、双方のステークホルダーにそれぞれ留意しながら事業を進めるよりも、両者の連携をさらに強化し、より柔軟かつ迅速な施策により上記シナジーを最大限発揮していくことが双方にとって有益であると考えられるとのことです。以上の検討を踏まえ、公開買付者は、当社株式の全てを取得することにより当社を非公開化し、公開買付者の完全子会社とすることが、双方の企業価値の更なる向上に資すると判断するに至ったとのことです。
なお、公開買付者としては、当社と既に共通の親会社たる麻生のもとで築きあげた協力関係もあるため、本取引の実施に伴う具体的なディスシナジーは想定していないとのことです。
上記のような検討の結果、公開買付者は、当社との連携を深めることで上記のシナジーが実現可能であるとの考えに至ったことから、2023年7月24日に公開買付者の親会社であり、当社の親会社でもある麻生へ本取引に関する協議を開始したい旨の申し入れを行ったとのことです。同年11月16日に、当社が同席する場にて当社株式を非公開化し、当社を公開買付者の完全子会社とすることについて具体的な検討を進めることについて麻生より両社の企業価値向上に資する提案との判断から本取引について賛同いただき、当社との対話を開始したとのことです。
上記を踏まえ、公開買付者は、当社を完全子会社化するための具体的な手法及び条件等の具体的な方針及び内容等について検討するために、2023年12月初旬に、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして祝田法律事務所をそれぞれ選任の上、2023年12月13日に、両社の実務者間で具体的なプロセスの協議を開始したとのことです。その後、2024年1月26日には、当社に対し、当社を完全子会社化することを目的として、当社株式に対して公開買付けを実施したい旨の提案を行うとともに、本取引について本格的に検討するため、当社に対してデュー・ディリジェンスを実施したい旨の申し入れを行ったとのことです。その後、公開買付者は、当社の了承を得て、デュー・ディリジェンスを2024年2月初旬から同年5月初旬までに実施するとともに、並行して本取引に係る取引条件の具体的な検討を進めていたとのことです。そして、デュー・ディリジェンスにおいて、当社の関連会社である冠生社について、同社の業績が良好ではない中で、中国法等に照らして同社の株主である当社が、同社の負担する債務について責任を負う潜在的なリスクが否定できず、このリスクを排除する手段として、資本関係解消の手続が必要となることが判明したため、当社の対応状況を確認していたとのことです。その後、同年10月中旬に、当社において、当該資本関係解消のための手続を取ることが確認されたことから、公開買付者は、本取引に係る取引条件の具体的な検討をさらに進めていくこととしたとのことです(なお、同月下旬頃に、当社が他の合弁株主(広東冠粤路橋有限公司及び広州合立科技技術有限公司)との間で、当該資本関係解消に関する合意書面を締結していることを確認しております。)。なお、当初実施したデュー・ディリジェンスから一定期間が経過していたことから、同年9月中旬から同年10月下旬に追加のデュー・ディリジェンスを実施したとのことです。
以上のような本取引に関する検討の結果、公開買付者は、当社との連携を深めることで上記のシナジーが実現可能であるとの考えに至ったことから、2024年11月11日、当社に対して、本公開買付け、本不応募契約、本スクイーズアウト手続の概要と本公開買付価格を550円(以下「初回提案価格」といいます。)(提案実施日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値538円に対して2.23%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)プレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値545円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して0.92%プレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値568円に対して3.17%ディスカウントした金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値596円に対して7.72%ディスカウントした金額となります。)とする旨の初回の提案を行ったとのことです。なお、公開買付者が初回提案価格を検討するにあたっては、デュー・ディリジェンスを通じて本件の実現可能性が確認できたこと及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券による当社株式の初期的なディスカウンテッド・キャッシュ・フロー分析(以下「DCF分析」といいます。)に基づいて実施した当社株式の初期的な価値評価分析結果の算定レンジの範囲に着目したとのことです。また、当社は過去3期(2022年3月期から2024年3月期まで)に亘り、連続して営業損失を計上していることから、本件と同様に非公開化を目的としていることのみをもって公開買付け事例における平均的なプレミアム水準を参照することは公開買付者として合理的ではなく、上記のDCF分析に基づいて実施した価値評価分析結果のレンジの範囲内である550円が公開買付者として合理的な初回価格提案の水準であると判断したとのことです。これに対して、公開買付者は、2024年11月15日に、当社から、当社が設置した本特別委員会(下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」において定義します。以下同じです。)において慎重に議論した結果、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果や、初回の価格提案のプレミアム水準等に照らすと、本特別委員会において更なる検討を進めるに値する水準に至っていないとの判断に至ったとして、改めて本公開買付価格の再提案を要請する旨の回答を受けたとのことです。当社からの要請を受け、公開買付者は、本公開買付価格について、再度真摯に検討を進め、2024年11月19日に、本公開買付価格を600円(提案実施日の前営業日である2024年11月18日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値540円に対して11.11%プレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値541円に対して10.91%プレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値565円に対して6.19%プレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値593円に対して1.18%プレミアムを加えた金額となります。)とする旨の2回目の提案を行ったとのことです。
これに対して、公開買付者は、2024年11月22日に、当社から、当社が設置した本特別委員会において慎重に議論した結果、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果や、2回目の提案のプレミアム水準等に照らすと、依然として、当社の少数株主の利益が確保される水準に至っていないとの判断に至ったとして、改めて本公開買付価格の再提案を要請する旨、及び、不応募予定株主の所有する当社株式について、本公開買付けへの応募ではなく、本株式譲渡による場合は、本公開買付価格と本株式譲渡価格との関係に関する考え方につき説明されたい旨の回答を受けたとのことです。当社からの要請を受け、公開買付者は、本公開買付価格について、再度真摯に検討を進め、2024年11月26日に、本公開買付価格を615円(提案実施日の前営業日である2024年11月25日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値543円に対して13.26%プレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値539円に対して14.10%プレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値562円に対して9.43%プレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値587円に対して4.77%プレミアムを加えた金額となります。)とする旨の3回目の提案を行ったとのことです。また、公開買付者は、当該提案と併せて、本株式譲渡に関し、不応募予定株主は、本取引後も公開買付者の株主であり続けるため、当社の少数株主とは異なる立場であるとの前提を踏まえ、当社の少数株主に対する本公開買付価格より低い価格にて本株式譲渡を実施することで、当社少数株主に対して一定のプレミアムを付した価格での売却機会を提供するために本株式譲渡を実施する意向である旨の説明を行ったとのことです。
これに対して、公開買付者は、2024年11月27日に、当社から、当社が設置した本特別委員会において慎重に議論した結果、当社の第三者算定機関による当社株式の本源的価値を示すディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の試算結果や、3回目の提案のプレミアム水準と同種事例のプレミアム水準との関係、当社株式の市場株価の推移等に照らすと、依然として、当社の少数株主の利益が確保される水準からは相当の乖離があるとの判断に至ったとして、改めて本公開買付価格の再提案を要請する旨の回答を受けたとのことです。当社からの要請を受け、公開買付者は、本公開買付価格について、再度真摯に検討を進め、2024年11月29日に、本公開買付価格を630円(提案実施日の前営業日である2024年11月28日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値540円に対して16.67%プレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値539円に対して16.88%プレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値554円に対して13.72%プレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値584円に対して7.88%プレミアムを加えた金額となります。)とする旨の4回目の提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2024年11月29日に、当社から、当社が設置した本特別委員会において、慎重に議論した結果、当社の第三者算定機関による当社株式の本源的価値を示すDCF法の試算結果や、4回目の提案のプレミアム水準と同種事例のプレミアム水準との関係、当社株式の市場株価の推移等に照らすと、依然として、当社の少数株主の利益が確保される水準からは相当の乖離があるとの判断に至ったとして、本公開買付価格を730円とすることを提案する旨の回答を受けたとのことです。当社からの要請を受け、公開買付者は、本公開買付価格について、再度真摯に検討を進め、2024年12月3日に、本公開買付価格を650円(提案実施日の前営業日である2024年12月2日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値544円に対して19.49%プレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値541円に対して20.15%プレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値551円に対して17.97%プレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値583円に対して11.49%プレミアムを加えた金額となります。)とする旨の5回目の提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2024年12月3日に、当社から、当社が設置した本特別委員会において、慎重に議論した結果、当社の第三者算定機関による当社株式の本源的価値を示すDCF法の試算結果や、5回目の提案のプレミアム水準と同種事例のプレミアム水準との関係、当社株式の市場株価の推移等に照らすと、依然として、当社の少数株主の利益が十分には確保される水準に至っていないと判断したとして、本公開買付価格を690円とすることを提案する旨の回答を受けたとのことです。当社からの要請を受け、公開買付者は、本公開買付価格について、再度真摯に検討を進め、2024年12月4日に、本公開買付価格を680円(提案実施日の前営業日である2024年12月3日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値545円に対して24.77%プレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値541円に対して25.69%プレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値550円に対して23.64%プレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値582円に対して16.84%プレミアムを加えた金額となります。)とする旨の最終の提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2024年12月6日に、当社から、公開買付者の最終の提案に応諾する旨の回答を受けたとのことです。
他方で、公開買付者は、同年10月下旬から、麻生との間で、麻生、麻生商事及び麻生地所各々の所有する当社株式の譲渡を前提として、株式取得後の当社の事業運営の方針等について協議を行ったとのことです。当社の業績及び財政状態等を勘案した上で、本株式譲渡に係る経済的諸条件の大枠についても協議を行い、認識を共有したとのことです。その後、同年11月26日に、公開買付者は、並行して検討している本公開買付価格の検討状況も踏まえて、麻生との間で具体的な交渉を行い、公開買付者が、当社の少数株主に対して一定のプレミアムが付された価格での売却機会を提供することを企図して、公開買付者による当社の少数株主の皆様からの応募を想定している本公開買付価格より低い価格である500円にて本株式譲渡を実施したい旨の意向を麻生に伝達したところ、麻生は、当社の少数株主の本公開買付けへの応募株式数の増加が期待され、結果として本取引の実行確実性を高めることができるのは麻生としても望ましいことから、本株式譲渡について、本公開買付価格及び当社の足元の市場株価に比して一定のディスカウントを付した500円を本株式譲渡価格とすることに同意し、本株式譲渡価格が決定したとのことです。
なお、本株式譲渡価格に不応募予定株式の数(2,120,000株(所有割合:62.10%))を乗じた金額と本公開買付価格に買付予定数(1,293,729株)を乗じた金額とを合算して得られる公開買付者としての買収総額は、公開買付者が取得した買付者株式価値算定書(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」において定義します。)におけるDCF分析による当社株式の株式価値総額の算定結果レンジの範囲内とのことです。
以上の協議・交渉を踏まえ、公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、2024年12月9日開催の取締役会において、本取引の一環として、本公開買付価格を680円として、本公開買付けを実施すること、不応募予定株主との間で本不応募契約を締結すること、及び、本株式譲渡価格を500円として本株式譲渡を実施することを決議したとのことです。本不応募契約の概要については、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。
公開買付者は、本公開買付け後の経営方針について、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の本取引のシナジーを着実に創出していくため、当社の経営理念、人材やブランド、顧客からの信用等を最大限尊重しながら、公開買付者グループの保有する経営資源とのシナジーを最大化すべく、公開買付者グループとして一体の経営を追求していく方針とのことです。また、当社の役員構成を含む経営体制の詳細については、現状では未定とのことです。
公開買付者は、当社グループの従業員については、本取引後も雇用を維持し、雇用条件を不利益に変更しないことを基本方針としているとのことです。また、公開買付者は、本取引後の当社の経営方針として、当社の経営の自主性を維持・尊重することを基本としつつ、本取引後の当社の経営方針の詳細については、本公開買付け成立後、当社と協議の上で決定していくことを予定しているとのことです。
なお、公開買付者は、現時点において、公開買付者と当社の合併は予定していないとのことです。
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2024年1月26日付で公開買付者から本取引に係る意向表明を受けた後、公開買付者が当社の支配株主(親会社)である麻生を支配株主にもち、本取引が構造的な利益相反の問題を内包することに鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2024年1月31日付の当社取締役会決議により、本取引に関して公開買付者、麻生及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、公開買付者、麻生及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任しました。
その後、公開買付者が当社の支配株主(親会社)の子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題を内包することに鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2024年2月14日付けの取締役会決議により、公開買付者、麻生及び当社から独立した、外部の有識者を含む委員(当社の社外取締役兼独立役員である村関不三夫氏、当社の社外取締役兼独立役員である朝倉俊弘氏、当社の社外監査役兼独立役員である沼田紳介氏、当社の社外監査役兼独立役員である大木章史氏(弁護士)、及び外部の有識者である岡裕信氏(税理士、クライム・ヒル株式会社)の5名)によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本取引に係る提案を検討するための体制を構築いたしました(なお、外部の有識者である岡裕信氏を選定した理由は、本取引と同種の取引に関して、税理士として高度の知見を有すると考えたためであり、特別委員への選定に先立ち、公開買付者、麻生及び当社との間で利害関係は有していないことを確認しております。)。
上記の体制のもと、当社は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、公開買付者から受けた本公開買付価格の提案内容を適時に本特別委員会に共有し、当社の少数株主の利益に配慮する観点から、当社としての交渉方針に係る本特別委員会からの意見、指示、要請等に基づいた上で、みずほ証券及びTMI総合法律事務所の助言を受けながら、以下のとおり、公開買付者との間で、2024年12月上旬まで複数回に亘る協議・交渉を行いました。
具体的には、当社は、2024年3月7日に、本特別委員会を通じて公開買付者に対するインタビューを実施し、本取引を実施する背景・目的、当社及び当社の事業環境に対する公開買付者の評価、本取引後の当社事業の展望、本取引後に想定している施策の内容、本取引後の当社の経営体制、並びに本取引のスキーム等について質疑応答を行いました。その後、2024年11月上旬から、本公開買付価格について公開買付者との協議・交渉を開始いたしました。本公開買付価格については、当社は、公開買付者より、2024年11月11日に、本公開買付価格を550円とする旨の初回の提案を受けたものの、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果や、初回の価格提案のプレミアム水準等に照らすと、本特別委員会において更なる検討を進めるに値する水準に至っていないとの判断に至り、同月15日に、改めて本公開買付価格の再提案を要請いたしました。その後、当社は、公開買付者より、同月19日に、本公開買付価格を600円とする2回目の提案を受けたものの、上記と同様の理由から、依然として、当社の少数株主の利益が確保される水準に至っていないとの判断に至り、同月22日に、改めて本公開買付価格の再提案を要請する旨、及び、不応募予定株主の所有する当社株式について、本公開買付けへの応募ではなく、本株式譲渡による場合は、本公開買付価格と本株式譲渡価格との関係に関する考え方につき説明されたい旨の回答をしました。その後、当社は、公開買付者より、同月26日に、本公開買付価格を615円とする旨の3回目の提案と併せて、本株式譲渡に関し、不応募予定株主は、本取引後も公開買付者の株主であり続けるため、当社の少数株主とは異なる立場であるとの前提を踏まえ、当社の少数株主に対する本公開買付価格より低い価格にて本株式譲渡を実施することで、当社少数株主に対して一定のプレミアムを付した価格での売却機会を提供するために本株式譲渡を実施する意向である旨の説明を受けました。当社は、当社の第三者算定機関による当社株式の本源的価値を示すDCF法の試算結果や、3回目の提案のプレミアム水準と同種事例のプレミアム水準との関係、当社株式の市場株価の推移等に照らすと、依然として、当社の少数株主の利益が確保される水準からは相当の乖離があるとの判断に至り、同月27日に、改めて本公開買付価格の再提案を要請しました。その後、当社は、公開買付者より、同月29日に、本公開買付価格を630円とする4回目の提案を受けたものの、上記と同様の理由から、依然として、当社の少数株主の利益が確保される水準からは相当の乖離があるとの判断に至り、同日に、本公開買付価格を730円とする旨の対案を提示いたしました。その後、当社は、公開買付者より、同年12月3日に、本公開買付価格を650円とする旨の5回目の提案を受けたものの、上記と同様の理由から、依然として、当社の少数株主の利益が十分には確保される水準に至っていないと判断し、同日に、本公開買付価格を690円とすることを提案いたしました。その後、当社は、公開買付者より、同月4日に、本公開買付価格を680円とする最終の提案を受け、当社の第三者算定機関による当社株式の算定結果や市場株価に対するプレミアム割合等を踏まえて総合的に検討した結果、同月6日、公開買付者に対し、最終的な意思決定は2024年12月9日に開催される当社取締役会での決議によることを前提として、当該提案を応諾し、本公開買付価格を680円とすることに内諾する旨を回答いたしました。
さらに、当社は、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2024年12月9日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた法的助言及び第三者算定機関であるみずほ証券から2024年12月6日付で取得した株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
その結果、当社は2024年12月9日開催の当社取締役会において、以下の点等を踏まえると、本取引を通じて当社株式を非公開化し、公開買付者の完全子会社となることが、当社の企業価値の向上に資するものであるとの判断に至りました。
(ⅰ)公開買付者との連携強化による事業拡大及び人材育成・確保の推進
上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」にも記載しておりますが、当社の現状の課題として、情報収集力を含む営業力の弱さや、離職による技術者不足、下請業者の不足等の施工体制による課題が挙げられ、これらを解決するためには、営業人員を含む人的資源の確保が重要になってくると考えております。その点で公開買付者が保有する全国の営業網を活用することで、営業力の強化が可能となり、施工体制に関しても双方向の人材交流を通して技術レベル向上やモチベーションを維持しつつ、売上増加による業績拡大を通して、従業員の処遇の改善に努めることで人材の育成・確保も可能になってくるものと考えております。
また、公開買付者が労働災害の防止や互いの企業価値向上のために下請業者と組成している日進会に所属している下請業者を当社に紹介することで、下請業者不足によって施工が遅れている課題の解決にもつながることが想定されます。
なお、当社は当社の技術レベルやこれまでの取引関係を評価いただいた上で取引先から発注をいただいていると理解しており、公開買付者の完全子会社になることによる事業上のデメリットはないと認識しております。
(ⅱ)上場維持コストの負担軽減
当社が公開買付者の完全子会社となり、当社株式が上場廃止となることで、監査費用のほか、株主総会の運営に関する費用や株主名簿管理人への事務委託に関する費用等の固定的なコストを削減することが可能となります。また、近年の新市場区分における上場維持基準への適合対応及び改訂されたコーポレートガバナンス・コードに対応するために、上場維持するための体制や業務負担は年々増大しておりますが、当社が公開買付者の完全子会社となり、当社株式が上場廃止となることで、これらのコスト及び業務負担を軽減でき、同時に上場維持のために投下してきた経営資源を事業に用いることが可能となると考えております。
なお、上場廃止に伴うデメリットとしては、資本市場から資金調達を行うことができなくなることのほか、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを享受できなくなることが一般的に挙げられますが、直近10年間で株式市場を介した資金調達は行っていないのに加えて、当面の間エクイティ・ファイナンスの必要性も高くないと考えております。また、取引先については当社の技術レベルやこれまでの取引関係を評価いただいた上で発注いただいていると理解をしております。これらを踏まえると、当社株式の上場廃止によるデメリットは限定的と考えております。
また、当社は、2024年12月9日開催の当社取締役会において、以下の点等を踏まえると、本公開買付価格(680円)及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(a)本公開買付価格が、下記「(3)算定に関する事項」に記載されているみずほ証券による当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価基準法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回っており、類似企業比較法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回っており、かつ、DCF法に基づく算定結果のレンジの中央値を超える金額であること。
(b)本公開買付価格が、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年12月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値546円に対して24.54%、2024年12月6日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値542円に対して25.46%、直近3ヶ月間の終値単純平均値549円に対して23.86%、直近6ヶ月間の終値単純平均値580円に対して17.24%のプレミアムがそれぞれ加えられた価格であって、当該プレミアム水準は、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」が公表された2019年6月28日以降、2024年11月20日までに公表された親会社による上場子会社の完全子会社化を目的とした他の公開買付けの事例(いわゆるディスカウントの事例、公開買付期間中及び公開買付不成立の事例、及び憶測報道により発表直前に株価が高騰した案件を除く。)におけるプレミアムの実例63件(プレミアム水準の平均値は、公表日前日が44.20%、直近1ヶ月間が45.65%、直近3ヶ月間が43.72%、直近6ヶ月間が41.13%であり、プレミアム水準の中央値は、公表日前日が43.51%、直近1ヶ月間が43.48%、直近3ヶ月間が40.32%、直近6ヶ月間が40.87%。)と比較すると、同種案件のプレミアム水準に満たないものの、プレミアム水準は個別案件の多様な要因によって変動するため、同種案件との単純比較のみに依拠して当否を評価することは適切ではないと考えられること。
(c)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を回避するための措置が採られていること等、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること。
(d)本公開買付価格が、上記利益相反を回避するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること。
(e)本特別委員会が、当社から適時に交渉状況の報告を受け、当社の交渉方針に関して意見、指示、要請等を行うこと等により、取引条件に係る交渉過程に実質的に関与した上で、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本答申書において、本公開買付価格を含む本取引の条件には公正性が確保されていると考えられる旨の意見が示されていること。
以上より、当社は、2024年12月9日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。当該取締役会における決議の方法につきましては、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者、麻生及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券に対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年12月6日付で当社株式価値算定書を取得いたしました。
みずほ証券は、公開買付者、麻生及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、みずほ証券のグループ企業である株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)は当社に対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を実施しており、また、当社はみずほ証券の親会社であるみずほフィナンシャルグループの株主でありますが、本公開買付けに関し利益相反に係る重要な利害関係を有しておりません。みずほ証券は金融商品取引法(第36条第2項)及び金融商品取引業等に関する内閣府令(第70条の4)の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行との間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で当社の株式価値算定を行っております。当社は、みずほ証券の算定機関としての実績に加え、みずほ証券とみずほ銀行との間において適切な弊害防止措置が講じられていること等を鑑み、本取引におけるファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として職務を行うにあたり十分な独立性が確保されており、当社がみずほ証券に対して当社株式の株式価値算定を依頼することに関し、特段の問題はないと判断しております。また、本取引に係るみずほ証券の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2024年2月15日開催の第1回の会合において、みずほ証券の独立性及び専門性に特段の問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任することを承認しております。
みずほ証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提のもと、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価基準法を、当社と比較的類似する事業を営む上場会社が複数存在し、類似企業との比較による株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用し、当社株式の株式価値の算定を行いました。なお、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付けの公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施しており、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
みずほ証券によれば、上記の各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価基準法 :542円から580円
類似企業比較法 :47円から151円
DCF法 :396円から828円
市場株価基準法では、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2024年12月6日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値546円、直近1ヶ月間の終値単純平均値542円、直近3ヶ月間の終値単純平均値549円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値580円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を542円から580円までと算定しております。
類似企業比較法では、完全に類似していないものの、当社と比較的類似する事業を営むと想定される上場会社として、ライト工業株式会社、日特建設株式会社、株式会社不動テトラ及び株式会社三東工業社を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて当社株式の株式価値を計算し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を47円から151円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した2025年3月期から2030年3月期までの6期分の事業計画における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を396円から828円までと算定しております。割引率は加重平均資本コストとし、6.1%~7.1%を採用しております。また、継続価値の算定にあたっては、永久成長法及びEXITマルチプル法を採用し、永久成長法では永久成長率を-0.5%~0.5%、EXITマルチプル法では企業価値に対するEBITDAの倍率を2.5倍~4.5倍としております。
みずほ証券がDCF法の算定の前提とした当社作成の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、2025年3月期については当社が本日公表した「2025年3月期の通期業績予想および期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」のとおり、上半期に見込んでいた工事の発注時期の遅れや前工程の遅れにより、期間内に施工を見込んでいた一部大型工事の工期のずれ込み等や下半期の当社の施工能力から売上高及び各段階の損益が予想より減少する見込みであるため、通期業績予想の修正を行っております。2025年3月期(6ヶ月)の財務予測は当該修正内容を織り込んだ数値となります。当該財務予測には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、受注案件の増加による売上高の増加及び上場維持コストの削減等による販管費の抑制に伴い、売上高は2025年3月期に4,126百万円(前年対比31.4%増加)営業利益は2025年3月期に100百万円(前年実績▲182百万円)、2027年3月期に121百万円(前年対比48.4%増加)、2028年3月期に162百万円(前年対比33.5%増加)に、フリー・キャッシュ・フローは2025年3月期に1,270百万円、2026年3月期に▲514百万円、2027年3月期に252百万円、2028年3月期に98百万円(前年対比61.2%減少)、2029年3月期に128百万円(前年対比30.4%増加)となります。当該フリー・キャッシュ・フローの増減には2025年3月期の本社売却による影響を考慮しております。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、上場維持コストの削減効果を除き、当該財務予測には加味されておらず、これを算定の基礎としたみずほ証券による算定にも盛り込まれておりません。なお、当該財務予測については、本特別委員会が、その内容及び作成経緯等について当社との間で質疑応答を行い、当社の少数株主の利益に照らして不合理な点がないことを確認しております。
(単位:百万円)
みずほ証券は、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。みずほ証券の算定は、2024年12月6日までの上記情報を反映したものであります。
公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社株式の全て(ただし、不応募予定株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下のいずれかの方法により、当社株式の全て(公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的とした本スクイーズアウト手続を実施する予定とのことです。
本公開買付けの成立により、公開買付者及び不応募予定株主の所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となった場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、不応募予定株主の所有する当社の株式を全て取得した上で、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全てを売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。
株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を、当社に通知し、当社に対し、株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主が所有する当社株式の全てを取得するとのことです。公開買付者は、売渡株主の所有していた当社株式の対価として、各売渡株主に対し、当社株式1株当たり本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。なお、当社は、公開買付者より会社法第179条の2第1項各号に定める事項を記載した株式売渡請求の通知を受けた場合には、当社の取締役会において、公開買付者による株式売渡請求を承認する予定です。
上記手続に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、会社法第179条の8その他関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、上記申立てがなされた場合の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
本公開買付けが成立したものの、公開買付者及び不応募予定株主の所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、不応募予定株主の所有する当社の株式を全て取得した上で、会社法第180条に基づき、当社株式の併合を行うこと(以下「株式併合」といいます。)及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを当社に要請する予定とのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。また、本書提出日現在においては、本臨時株主総会の開催日は、2025年3月下旬頃を目途に予定しているとのことです。
本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることとなるとのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社に対して、公開買付者が当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定とのことです。当社は本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
株式併合に関連す生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、株式併合に反対する当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
上記①及び②の各手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があります。ただし、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ないとのことです。また、本公開買付けへの応募又は上記の手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続が実行された場合には、東京証券取引所の上場廃止基準に該当し、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。
本書提出日現在において、当社は公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは、当社の支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)取引にも該当いたしません。もっとも、公開買付者が当社の支配株主である麻生の子会社であり、また、公開買付者が麻生を含む不応募予定株主(所有株式数:2,120,000株、所有割合:62.10%)との間で本不応募契約を締結していること、本公開買付けは当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的の一環として実施されることから、本取引が構造的な利益相反の問題を内包し、不応募予定株主とそれ以外の当社の株主の皆様との利益が一致しない可能性があることを考慮し、公開買付者及び当社は、本公開買付価格の公正性を担保するとともに、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性及び透明性を担保するため、それぞれ以下の措置を講じております。
また、公開買付者は、本公開買付けにおいて、不応募予定株主との間で不応募予定株式2,120,000株(所有割合:62.10%)について本不応募契約を締結しているため、少数株主、すなわち公開買付者と重要な利害関係を共通にしない株主が所有する株式の過半数の応募を下限とする、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)(以下「MoM」といいます。)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいてMoMの買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者としては、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するため並びに利益相反を回避するための措置として、以下の措置を講じていることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。
なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記述は、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者、当社及び不応募予定株主から独立した第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、公開買付者、当社及び不応募予定株主の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)と同一の親会社をもつ会社であり、三菱UFJ銀行は公開買付者に対して通常の銀行取引の一環として融資取引を行っておりますが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によれば、金融商品取引法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、ファイナンシャル・アドバイザーである三菱UFJモルガン・スタンレー証券と三菱UFJ銀行の間及び両社それぞれの社内において、弊害防止措置として、公開買付者に関する情報について厳格に管理する情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ、実施していることから、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJ銀行の判断に影響を受けることなくファイナンシャル・アドバイザーとしての役務を提供しており、三菱UFJ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で当社の株式価値の算定を行っているとのことです。公開買付者は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券と三菱UFJ銀行の間及び両社それぞれの社内における情報管理において厳格な情報管理体制が構築されていること、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が過去の同種取引の第三者算定機関としての実績を有していること、本取引に係る三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれていますが、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に公開買付者に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案の上、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないこと等を踏まえ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任したとのことです。
また、公開買付者が設置した、当社、公開買付者及び不応募予定株主から独立した委員(委員としては、渡邉雅之氏(委員長、独立社外取締役)、中村克夫氏(独立社外取締役)、岡田直子氏(独立社外取締役)、河相誠氏(独立社外監査役)、小野淳史氏(独立社外監査役))によって構成される特別委員会(以下「本公開買付者特別委員会」といいます。は、第1回の特別委員会において、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の独立性及び専門性に問題がないことから、公開買付者の第三者算定機関として承認した上で、本公開買付者特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認しているとのことです。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、市場株価分析及びDCF分析の各手法を用いて当社の株式価値評価分析を行い、公開買付者は三菱UFJモルガン・スタンレー証券から2024年12月6日付で株式価値算定書(以下「買付者株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の諸要素を総合的に考慮し、かつ当社との協議・交渉を経て本公開買付価格を判断・決定しているため、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券による当社株式の株式価値の総額及び1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。
(株式価値の総額)
市場株価分析 :1,850百万円から1,980百万円
DCF分析 :1,822百万円から2,509百万円
(1株あたりの株式価値)
市場株価分析 :542円から580円
DCF分析 :534円から735円
市場株価分析では、基準日を2024年12月6日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値(546円)、直近1ヶ月間(2024年11月7日から2024年12月6日まで)の終値の単純平均値(542円)、直近3ヶ月間(2024年9月9日から2024年12月6日まで)の終値の単純平均値(549円)及び直近6ヶ月間(2024年6月7日から2024年12月6日まで)の終値の単純平均値(580円)を基に、当社株式の株式価値の総額の範囲を1,850百万円から1,980百万円まで、1株当たりの株式価値の範囲を542円から580円までと分析しているとのことです。
DCF分析では、当社が作成した当社の2025年3月期から2030年3月期までの6期分の事業計画、当社に対して2024年2月初旬から同年5月初旬までに実施したデュー・ディリジェンス及び同年9月中旬から同年10月下旬に実施した追加のデュー・ディリジェンスの結果、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮した公開買付者による2025年3月期以降の当社の将来の収益予想や投資計画に関する財務予測に基づき、当社が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の株式価値を算定し、当社株式の株式価値の総額の範囲を1,822百万円から2,509百万円まで、1株当たり株式価値の範囲を534円から735円までと分析しているとのことです。なお、三菱UFJモルガン・スタンレー証券がDCF分析に用いた財務予測においては、2025年3月期において売上の増加による大幅な増益を見込んでいる一方で、機材の保管・整備に関する設備の更新に伴う設備投資が見込まれていることから、同事業年度のフリー・キャッシュ・フローは大幅に減少することが見込まれているとのことです。他方、2026年3月期以降は、2025年3月期ほどの設備投資額は見込まれていないため、フリー・キャッシュ・フローは再び従来の水準に戻ることが見込まれているとのことです。なお、DCF分析の前提とした当社の事業計画に基づく財務予測については、当社作成の事業計画の実現可能性を考慮して一定の下方修正を行う一方で、本取引を通じて当社が公開買付者グループの持つ経営資源を活用する事で実現することが期待される成長の相乗効果を一定織り込んでいるとのことです。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、当社普通株式の株式価値の算定に際し、公開買付者及び当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて公開買付者及び当社の財務予測に関する情報については、公開買付者及び当社による2024年12月6日時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の算定は、2024年12月6日までの上記情報を反映したものであります。
公開買付者は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から取得した買付者株式価値算定書記載の各手法の算定結果に加え、当社に対して2024年2月初旬から同年5月初旬まで実施したデュー・ディリジェンス及び同年9月中旬から同年10月下旬に実施した追加のデュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向、及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、かつ、当社との協議・交渉の結果等を踏まえ、最終的に2024年12月9日開催の取締役会において本公開買付価格を1株当たり680円とすることを決定したとのことです。
なお、本公開買付価格である1株当たり680円は、公開買付者による本公開買付けの公表日の前営業日である2024年12月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値546円に対して25.54%、過去1ヶ月間(2024年11月7日から2024年12月6日まで)の終値の単純平均値542円に対して25.46%、過去3ヶ月間(2024年9月9日から2024年12月6日まで)の終値の単純平均値549円に対して23.86%、過去6ヶ月間(2024年6月7日から2024年12月6日まで)の終値の単純平均値580円に対して17.24%のプレミアムを加えた価格となるとのことです。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者、麻生及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券に対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年12月6日付で当社株式価値算定書を取得いたしました。当社及びみずほ証券との関係並びに算定の概要については、上記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、公開買付者、麻生及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。
TMI総合法律事務所は、公開買付者、麻生及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るTMI総合法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2024年2月15日開催の第1回の会合において、TMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして選任することを承認しております。
当社は、2024年1月26日、公開買付者から本取引に係る意向表明を受け、公開買付者が当社の支配株主(親会社)の子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題を内包することに鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2024年2月14日付の当社取締役会決議により、公開買付者、麻生及び当社から独立した、外部の有識者を含む委員(当社の社外取締役兼独立役員である村関不三夫氏、当社の社外取締役兼独立役員である朝倉俊弘氏、当社の社外監査役兼独立役員である沼田紳介氏、当社の社外監査役兼独立役員である大木章史氏(弁護士)、及び外部の有識者である岡裕信氏(税理士、クライム・ヒル株式会社)の5名)によって構成される本特別委員会を設置しました。なお、公開買付者、麻生及び当社からの独立性を考慮した上で、村関不三夫氏及び朝倉俊弘氏は当社の社外取締役兼独立役員、沼田紳介氏及び大木章史氏は当社の社外監査役兼独立役員で、当社の事業に一定の知見を有しており、大木章史氏は弁護士資格、岡裕信氏は税理士資格を有していることから、各分野の専門性を活かして適切に諮問事項の検討等を行うことが可能であると判断し、特別委員会の委員として適切であると判断しました。当社は、当初から上記5名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の委員の互選により、当社の社外取締役兼独立役員である村関不三夫氏が本特別委員会の委員長に就任しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)、(ⅱ)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)、(ⅲ)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)、(ⅳ)上記(ⅰ)及至(ⅲ)その他の事項を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する当社の意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否か(以下、(ⅰ)から(ⅳ)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申書を当社取締役会に提出することを委嘱しました。
また、当社は、上記取締役会決議において、本公開買付けに対する意見表明の内容を審議する当社取締役会においては、本特別委員会の設置の趣旨に鑑み、本諮問事項に対する本特別委員会の答申内容を最大限尊重するものとし、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本取引を行う旨の意思決定を行わないこととする旨を決議しております。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本特別委員会が自ら公開買付者と交渉を行うことができる権限のほか、公開買付者との交渉を当社の社内者やアドバイザー等が行う場合でも、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与えることができる権限、(b)必要に応じて本特別委員会独自の外部アドバイザー等を選任する権限(この場合の費用は当社が負担するものとしております。)のほか、当社が選任する外部アドバイザー等について指名又は承認(事後承認を含む。)、変更する権限、さらに、(c)答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社の役員及び従業員並びに外部アドバイザー等に対して求めることができる権限をそれぞれ付与しております。上記(b)の権限付与を受けて、本特別委員会は、2024年2月15日に開催された第1回の会合において、当社が選任する外部アドバイザー等について、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任することを承認いたしました。
本特別委員会は、2024年2月15日から2024年12月6日までに、会合を合計12回開催したほか、会合外においても電子メール等を通じて、意見表明や情報交換、情報収集等を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から、当社の事業内容・業績推移、主要な経営課題、本取引により当社の事業に対して想定されるメリット・デメリット、本取引の条件の検討の際に基礎とされる当社の事業計画の内容及び策定手続等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、公開買付者から、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。さらに、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券から、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、その算定過程に関して質疑応答を行った上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました。以上の検討に際して、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から、特別委員会の意義・役割等を含む本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容について適宜助言を受けております。
そして、本特別委員会は、当社から、当社と公開買付者との間における本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、当社に対して計5回にわたり、公開買付者に対して本公開買付価格の増額を要請すべき旨を意見し、当社が当該意見に従って公開買付者と交渉を行ったことにより、公開買付者との交渉過程に実質的に関与いたしました。
本特別委員会は、以上の経緯のもと、本諮問事項について慎重に審議及び検討を重ねた結果、2024年12月9日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
(a)答申内容
① 本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的である。
② 本取引の実施方法や対価の種類を含む本取引の取引条件は妥当である。
③ 本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引の手続は公正である。
④ 上記①乃至③を踏まえ、当社の取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含む。)を決定することは、当社の少数株主にとって不利益なものではない。
上記意見には、当社の取締役会が、本公開買付け後に株式売渡請求又は株式併合の方法を用いた本スクイーズアウト手続を実施することを決定することについても、当社の少数株主にとって不利益なものではないことを含む。
(b)答申理由
1. 本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項について
(1) 本取引の目的等
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社の企業価値の具体的内容等について、当社及び公開買付者に対して質疑を行い、当社及び公開買付者から回答を得た。それらの内容をまとめると、概要は以下のとおりである。
・ 公開買付者は、法面工事及び地盤改良工事等を得意とする総合基礎工事会社である。公開買付者は、2023年5月に「中期経営計画2023」を公表し、事業戦略上の5つの課題として、「人的資本の確保と育成」、「生産性の向上」、「安全衛生・品質管理の強化」、「サステナビリティ経営の推進」、及び「新分野への挑戦」に取り組み、前中期経営計画期間実績の5%成長に当たる連結営業利益(3年間計)161億円を実現するとともに、継続的な投資を行い企業価値の持続的な成長を目指しており、営業面では、法面工事に比べ施工効率のいい地盤改良工事、今後市場が拡大する構造物補修工事の拡大等を目標としている。
・ 当社は、建設業法に基づく土木工事業、建築工事業等において特定建設業の国土交通大臣による許可を受け、気泡コンクリートの現場施工、地盤改良工事の施工、その他工事の施工及び工事用資材(起泡剤等)の商品の販売等を主な内容として事業活動を展開している。気泡コンクリート工事においては、当社が得意先から工事を受注し、軽量盛土工事、管路中詰工事及び空洞充填工事の施工を行っている。地盤改良工事においては、得意先から工事を受注し、アスコラム工法、鋼管ソイルセメント杭工法等で工事の施工を行っている。中でも気泡コンクリート工事に強みを持っている。昨今のカーボンニュートラルが叫ばれている世の中においてセメントの使用量が減少している状況ではあるものの、建設業界では気泡コンクリート工事は未だ十分に認知されていないと認識しており、軽量性、自立性、流動性(施工性)の観点から、当社が高いシェアを誇っている気泡コンクリートの需要は数多く存在すると考えられる。
・ 当社は、2022年度~2024年度の三か年中期経営計画を策定しているが、2022年度の売上高が3,572百万円、営業利益が▲24百万円、当期純利益が▲17百万円となるなど、実績が数値計画に対して大幅な未達成となったことから事業環境を精査し、2023年度及び2024年度の数値計画を見直した。しかしながら、2023年度も未達成となり(計画が売上高4,300百万円、営業利益100百万円、当期純利益70百万円に対して、実績が売上高3,139百万円、営業利益▲182百万円、当期純利益▲386百万円)、今期2024年度も未達成(計画が売上高4,650百万円、営業利益130百万円、当期純利益90百万円に対して、売上高4,126百万円、営業利益100百万円、当期純利益64百万円となる見込み)となることが見込まれている。内閣官房によって令和2年12月に策定された令和3年度から令和7年度の5か年を対策期間とした「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が進められており、公共投資は底堅く民間建設投資も堅調に推移している一方で、拠点数や営業人員が限られていることに起因する案件の発注情報や工期情報の収集力不足などから上記のとおり当社は厳しい業績となっており、早急な事業の立て直しが課題となっている。当社は、特に課題となっているのは、営業力と施工力の強化であり、コンサルへの当社工法のPR活動や提案営業・設計折込活動に注力し需要創造をはかるとともに、案件情報収集力を強化していくことと、高い技術力を持った人材の確保と育成が必要と認識している。
・ 公開買付者と当社は、いずれも特殊工事を主軸とする基礎工事会社として、当社が保有する気泡コンクリート技術に関する受注に関しては、共に協力しながらお互いの成長のために関係を築いてきた。公開買付者が麻生と資本関係を有した2013年11月8日から、公開買付者が麻生の連結子会社となってからも、引き続き気泡コンクリート技術に関する受注に関して相互に協力し、また、公開買付者から当社に対して、同技術に関する発注を積極的に行うなど、当社は麻生を共通の親会社として、長期間にわたり事業面での良好な関係を維持している。
・ 公開買付者及び当社を含む国内建設業界を取り巻く環境は、気候変動による台風、豪雨災害の激甚化や今後予想される地震対策等に対する、「防災・減災・国土強靭化」政策のもと震災・災害復興工事、防災・減災対策工事や国内インフラの老朽化対策を目的とした維持・修繕工事等により公共工事の発注継続が見込まれていると認識している。一方で、資機材価格高止まりによる工事コストや賃金上昇による収益確保におけるリスク懸念、少子高齢化を背景とした構造的な技能労働者不足や政府主導の働き方改革による労働時間短縮・待遇改善の取組みの加速に伴う技術承継等の課題が顕在化するなど国内建設業界の取り巻く環境は大きく変化していると認識している。加えて、日本国内の上場企業を取り巻く資本市場も変化を続けており、コーポレートガバナンス・コード及びスチュワードシップ・コード導入以降、断続的にコーポレートガバナンスの高度化が求められるとともに、中長期的な企業価値や資本収益性の向上の意識が高まっている。東京証券取引所スタンダード市場の上場企業である当社においても、東京証券取引所による市場区分の見直しにより、流通株式時価総額がスタンダード市場の基準を満たしておらず、東京証券取引所及び資本市場から上場維持基準の充足を求められているものと認識している。
・ 公開買付者は、これまでの当社との取引を通じて、当社を多数の施工実績を通じた豊富な経験を持つ優秀な技術者を有した魅力的な会社であると考えており、本取引を通じて、以下のようなシナジー効果を期待できると想定している。
① 営業力強化に伴う新規案件・取引先の獲得
② 技能労働者の確保・スキルアップ
・ 一方で、当社は、以下の点等を踏まえると、本取引を通じて当社株式を非公開化し、当社が公開買付者の完全子会社となることが、当社の企業価値の向上に資するものであると考えている。
① 公開買付者との連携強化による事業拡大及び人材育成・確保の推進
② 上場維持コストの負担軽減
・ なお、上場廃止に伴うデメリットとしては、資本市場から資金調達を行うことができなくなることのほか、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを享受できなくなることが一般的に挙げられるが、直近10年間で株式市場を介した資金調達は行っていないのに加えて、当面の間エクイティ・ファイナンスの必要性も高くないと考えている。また、取引先については当社の技術レベルやこれまでの取引関係を評価の上で発注されていると考えられる。これらを踏まえると、当社株式の上場廃止によるデメリットは限定的と考えられる。
(2) 検討
本特別委員会は、上記の当社を巡る経営環境その他の事項を踏まえた本取引の目的の具体的な内容の当否・合理性、本取引が当社の取引先等に与える影響、及びこれらを踏まえた当社の企業価値向上の可能性等について、詳細な検討を実施した。すなわち、現在当社の置かれた経営環境の中、公開買付者がいかなる企業価値向上の施策案を構想し、それがどの程度具体的で実践的か、それを実行に移すために本取引を実施する必要性はあるのか、本取引の実施が当社の事業上どのようなメリットをもたらし、他方でデメリットの有無、程度はどのように想定されるか等を含めて、総合的に検証を行った。
その結果、上記(1)「本取引の目的等」に記載の当社及び公開買付者が想定している本公開買付けを含む本取引の意義及び目的には、著しく不合理な点はなく、合理的な検討の結果と認められることから、本取引は当社の企業価値向上を目的として行われるものといえ、当社が想定している各施策を実現する必要があるとの当社の判断に特段不合理な点は認められないと判断するに至った。
一方で、本取引によって当社株式は非上場化されるところ、当社においては現時点でエクイティ・ファイナンスの必要性は高くないと考えられ、また、当社の取引先は、当社の技術レベルやこれまでの取引関係を評価の上で当社に発注しているため、上場廃止による当社の事業への影響は限定的と考えられる。これらを踏まえると、当社株式の上場廃止によるデメリットは限定的と考えられる。
(3) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は当社の企業価値の向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的であると判断するに至った。
2. 本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項について
(1) みずほ証券による株式価値算定書
当社が、公開買付者、麻生及び当社から独立した第三者算定機関であるみずほ証券から取得した株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価基準法によると542円から580円、類似企業比較法によると47円から151円、DCF法によると396円から828円、とされているところ、本公開買付価格である680円は、市場株価基準法及び類似企業比較法による算定結果の上限値を上回るとともに、DCF法による算定結果の中央値を超える金額である。
そして、本特別委員会は、みずほ証券から株式価値算定に用いられた算定方法等について、みずほ証券から詳細な説明を受けるとともに、質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な算定実務に照らして不合理な点は認められなかった。
(2) 本公開買付価格の市場株価に対するプレミアム水準
本公開買付価格である680円は、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年12月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値546円に対して24.54%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値542円に対して25.46%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値549円に対して23.86%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値580円に対して17.24%のプレミアムをそれぞれ加えた価格である。
(3) 交渉過程の手続の公正性
下記3「本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項について」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本公開買付価格は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認められる。
また、実際に、交渉の結果として、当社株式1株当たり550円とする公開買付者の当初の提案より、130円の価格引上げを引き出しており、本公開買付価格は、そのような交渉を経て決定されたものであると認められる。
(4) 本公開買付け後の手続において交付される対価
本スクイーズアウト手続としては、株式売渡請求又は株式併合が予定されているところ、いずれの場合でも、法令上、本公開買付けに応募しなかった株主に対して株式買取請求権又は価格決定申立権が確保されている。
また、公開買付者によれば、本スクイーズアウト手続は、本公開買付けの決済の完了後速やかに進めていく予定とのことであり、さらに、①株式売渡請求の場合は、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することが予定されており、②株式併合の場合は、併合の結果生じた端数の合計数に相当する当社株式の売却価格について、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことが予定されている。
以上のとおり、本公開買付けを含む本取引においては、いわゆる強圧性の問題に対応すべく、本公開買付けに応募しなかった少数株主の利益に配慮がなされているといえ、一定の合理的があると考えられる。
(5) 本取引の対価の種類の妥当性
本取引の対価は、本公開買付け及び本スクイーズアウト手続を通じて、現金であることが予定されているところ、公開買付者の株式を対価とする取引と比較して、当社の株主においては、公開買付者の株式の市場株価の変動リスクに晒されることなく、確実に、上記のプレミアムを享受することができる。また、公開買付者の株式を対価として取得したいと考える当社の株主においても、公開買付者の株式は市場において相当の流動性を有することから、本取引の対価として得た金銭を原資として公開買付者の株式を市場で取得することにより、事実上、公開買付者の株式を対価として取得するのと同様の状況を確保することができる。
したがって、本取引の対価の種類は妥当であるといえる。
(6) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
なお、公開買付者は、本公開買付けの決済開始日の翌営業日又は別途不応募予定株主が合意する日に、本株式譲渡を予定しているが、本株式譲渡における当社株式1株当たりの譲渡価格は500円であり、本公開買付価格よりも180円低いことを踏まえると、本株式譲渡が実施されることは、不応募予定株主以外の当社の株主の利益を害するものではないと判断している。
3. 本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項について
(1) 本特別委員会の設置
当社は、2024年1月26日、公開買付者から本取引に係る意向表明を受け、公開買付者が当社の支配株主(親会社)の子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題を内包すること等に鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2024年2月14日付の当社取締役会決議により本特別委員会を設置した。本特別委員会は、公開買付者、麻生及び当社から独立した、外部の有識者を含む5名の委員(当社の社外取締役兼独立役員である村関不三夫、当社の社外取締役兼独立役員である朝倉俊弘、当社の社外監査役兼独立役員である沼田紳介、当社の社外監査役兼独立役員である大木章史(弁護士)、及び外部の有識者である岡裕信(税理士、クライム・ヒル株式会社))によって構成され、村関不三夫及び朝倉俊弘は当社の社外取締役兼独立役員、沼田紳介及び大木章史は当社の社外監査役兼独立役員として、当社の事業に一定の知見を有しており、大木章史は弁護士資格、岡裕信は税理士資格を有していることから、各分野の専門性を活かして適切に諮問事項の検討等を行うことが可能である。また、当社は、本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定を行わないこととしている。なお、本特別委員会の委員は、設置当初から変更されていない。
(2) 当社による検討方法
当社が本取引について検討するにあたっては、公開買付者、麻生及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券並びにリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、当社の企業価値向上及び株主共同の利益の観点から、本公開買付価格をはじめとする本公開買付けの買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。
なお、本特別委員会は、みずほ証券及びTMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関並びにリーガル・アドバイザーとして承認している。
(3) 当社による協議・交渉
当社は、本特別委員会から事前に助言を受けた交渉方針に従い、本公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。具体的には、当社はみずほ証券を通じて、複数回にわたり本特別委員会での質疑応答及び意見交換の内容を尊重した上で、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社を介して価格交渉を実施した。当社が協議・交渉を行うにあたっては、公開買付価格の妥当性についての考え方や公開買付者に対する回答の仕方についても、同様に、本特別委員会での質疑応答及び意見交換の内容を尊重している。
そして、その交渉の結果として、1株当たり680円という本公開買付価格の決定に至るまでには、当社株式1株当たり550円とする公開買付者の当初の提案より、130円の価格引上げを引き出している。
(4) 本取引の交渉過程及び意思決定過程における特別利害関係人の不関与
当社を代表して本取引を検討・交渉する取締役には、本取引に特別な利害関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者その他の本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は存在しない。なお、当社の取締役7名のうち、杉山嘉則氏は麻生の取締役を兼任しており、また、嘉村隆浩氏は麻生の従業員としての地位を有しているため、利益相反の疑義を回避する観点から、上記の計2名の取締役は、本取引に関し、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておらず、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議に参加しないことが想定されている。また、麻生の執行役員を兼任する大濵理氏は、利益相反の疑義を回避する観点から、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議に参加せず、上記決議に際して意見を述べることも差し控えることが想定されている。
(5) 取引保護条項の不存在
当社及び公開買付者は、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」という。)と接触することを禁止するような取引保護条項等を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮している。
(6) マジョリティ・オブ・マイノリティ条件
本公開買付けにおいて、公開買付者は、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定していないものの、マジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあること、及び本公開買付けにおいては、適切な公正性担保措置が実施されており、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えられることから、マジョリティ・オブ・マイノリティに相当する下限が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる。
(7) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。
4. 上記を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)を決定することが少数株主に不利益でないことについて
上記1乃至3までにおいて検討した諸事項以外の点に関して、本特別委員会において、本公開買付けを含む本取引が当社の少数株主にとって不利益なものであると考える事情は特段見当たらず、したがって当社の取締役会が、本公開買付けへの賛同意見の表明及び当社の株主に対して応募推奨することを含め、本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益なものではないと判断するに至った。
当社は、みずほ証券から取得した当社株式価値算定書、TMI総合法律事務所からの法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値の向上が見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2024年12月9日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社取締役(杉山嘉則氏及び嘉村隆浩氏を除く5名)の全員一致で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
なお、当社の取締役7名のうち、杉山嘉則氏は麻生の取締役を兼任しており、また、嘉村隆浩氏は麻生の従業員としての地位を有しているため、利益相反の疑義を回避する観点から、上記の計2名の取締役は、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議に参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
また、上記2024年12月9日開催の当社取締役会においては、大濵理氏を除いた当社監査役3名が出席し、いずれも上記決議に異議が無い旨の意見を述べております。なお、麻生の執行役員を兼任する大濵理氏は、利益相反の疑義を回避する観点から、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議に参加しておらず、上記決議に際して意見を述べることも差し控えております。
当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討及び交渉を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2024年1月26日付で公開買付者から本取引に係る意向表明を受けて以降、利益相反の疑義を回避する観点から、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉及び当社内部における検討過程において、公開買付者及び麻生と特別な利害関係を有する役職員を関与させないことといたしました。
以上の取扱いを含めて、当社における本取引の検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会における確認を受けております
公開買付者は、本公開買付けにおける公開買付期間を、法令に定められた最短期間である20営業日よりも長い30営業日に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断の機会を確保しているとのことです。また、公開買付者と当社は、対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会等が確保されていることを確認しており、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」で述べる株式売渡請求又は株式併合を行うことを予定しており、当社の株主に対して価格決定請求権が確保されない手法は採用しない予定とのことです。また、公開買付者は、株式売渡請求又は株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。このように、本公開買付けにおいては、当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、強圧性が生じないように配慮がなされているとのことです。
「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」及び「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、2024年12月9日付で、(ⅰ)当社の主要株主である筆頭株主かつ親会社である麻生(所有株式数:1,420,000株、所有割合:41.60%(麻生地所及び麻生商事を通じた間接保有分を含む所有割合は62.10%))、(ⅱ)麻生がその発行済株式の全てを所有する株式会社であり、当社の主要株主かつ第2位株主である麻生地所(所有株式数:400,000株、所有割合:11.72%)及び(ⅲ)麻生がその発行済株式の全てを所有する株式会社であり、当社の第3位株主である麻生商事(所有株式数:300,000株、所有割合:8.79%)との間で、それぞれ本不応募契約を締結し、(a) 不応募予定株主が所有する当社株式の全てについて、本公開買付けに応募しないこと、(b) 本公開買付けの決済開始日の翌営業日又は別途公開買付者及び不応募予定株主が合意する日に、本株式譲渡を実施すること、(c) 本公開買付け成立により公開買付者が当社株式の全て(ただし、不応募予定株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合、本スクイーズアウト手続に関し、不応募予定株主が合理的に可能な範囲で協力すること、(d) 不応募予定株主が当社の株主として合理的に可能な範囲で、当社をして、不応募契約締結日以前に行われていたのと実質的に同一かつ通常の業務の範囲内で、その業務の執行等を行わせること、(e) 不応募予定株主及び公開買付者による本株式譲渡の義務履行の前提条件、(f) 不応募予定株主及び公開買付者の表明保証、(g) 補償及び解除に関する事項を合意しているとのことです。本不応募契約の概要は以下のとおりとのことです。
不応募予定株主は、本不応募契約において、(a)不応募予定株主が所有する当社株式の全てについて本公開買付けに応募しないこと、(b)本不応募契約締結後、当社株式の追加取得をしないこと、(c)不応募予定株主が所有する当社株式の全部又は一部について、譲渡、担保設定その他の処分を行わないこと及び当社株式又は当社株式に係る権利の取得を行わないこと、並びに(d)直接又は間接に、第三者に対して本取引と競合、矛盾若しくは抵触し、又はそのおそれのある一切の行為に関する合意に向けた申込み、申込みの誘引、勧誘又は情報提供(当社に関する情報提供を含む。以下「申込み等」といいます。)を行わず、不応募予定株主が第三者から申込み等を受けた場合は、直ちにその内容を公開買付者に対して通知し、その対応について、公開買付者と協議することに合意しているとのことです。
公開買付者と不応募予定株主は、本不応募契約において、本公開買付けの決済開始日の翌営業日又は別途公開買付者及び不応募予定株主が合意する日に、不応募予定株主が所有する当社株式の全てを、不応募予定株主が所有する当社株式の数に500円を乗じて得られる金額で、各不応募予定株主の所有する当社株式を同時に、公開買付者に対して譲渡することを合意しているとのことです。
(a)不応募予定株主及び公開買付者は、本不応募契約において、本公開買付けの完了後、本臨時株主総会の開催を当社に要請する場合において、不応募予定株主が、本臨時株主総会の基準日時点における当社の株主である場合は、当社の株主として、本臨時株主総会において、当該時点で所有する全ての当社株式に係る議決権の行使として、株式併合に関連する議案を含む全ての議案に賛成すること、(b)当社をして、株式併合の効力発生のために必要な協力を行わせるよう当該基準日時点の当社の株主として合理的に可能な範囲で協力すること、(c)その他、本株式譲渡の実行より前の日を権利行使の基準日とする当社の株主総会が開催される場合、不応募予定株主が保有する株式について、法令等に基づき可能な範囲で、公開買付者の選択に従い、①公開買付者若しくは公開買付者の指定する者に対して包括的な代理権を授与するか、又は②公開買付者の指示に従って議決権その他一切の権利を行使すること、を合意しているとのことです。
d. 当社の運営に関する合意
公開買付者と不応募予定株主は、本不応募契約において、不応募予定株主が、本不応募契約締結日から本株式譲渡の実行までの間、当社の株主として合理的に可能な範囲で、当社をして、本不応募契約締結日以前に行われていたのと実質的に同一かつ通常の業務の範囲内で、その業務の執行並びに財産の管理及び運営を行わせること、を合意しているとのことです。
公開買付者と不応募予定株主は、本不応募契約において、不応募予定株主が、本不応募契約締結日から本株式譲渡の実行までの間、当社の株主として合理的に可能な範囲で、当社をして、本不応募契約締結日以前に行われていたのと実質的に同一かつ通常の業務の範囲内で、その業務の執行並びに財産の管理及び運営を行わせること、を合意しているとのことです。
不応募予定株主による上記b.義務の履行は、以下の各号の事由が全て充足されていることを前提条件としているとのことです。なお、不応募予定株主は、その任意の裁量により、かかる条件の全部又は一部を放棄して義務を履行することができるとのことです。
(ア) 本不応募契約締結日、本公開買付けの開始日、決済日及び本株式譲渡の実行日において(ただし、時期を明記しているものについては当該時点において)、下記g.に記載の全ての公開買付者の表明及び保証が重要な点において真実かつ正確であること。
(イ) 公開買付者が、本不応募契約に基づき本株式譲渡の実行までに履行又は遵守すべき事項を重要な点において履行又は遵守していること。
(ウ) 本公開買付けの決済が完了していること。
(エ) 公開買付者と他の不応募予定株主が、本不応募契約を、それぞれ、適法かつ有効に締結しており、かつ、当該契約に係る株式譲渡が、自らの所有する当社株式の譲渡と同時に実行できることが確実と見込まれること。
公開買付者による上記b.義務の履行は、以下の各号の事由が全て充足されていることを前提条件としているとのことです。なお、公開買付者は、その任意の裁量により、かかる条件の全部又は一部を放棄して義務を履行することができるとのことです。
(ア) 本不応募契約締結日、本公開買付けの開始日、決済日及び本株式譲渡の実行日において(ただし、時期を明記しているものについては当該時点において)、下記f.に記載の全ての不応募予定株主の表明及び保証が重要な点において真実かつ正確であること。
(イ) 不応募予定株主が、本不応募契約に基づき本株式譲渡の実行までに履行又は遵守すべき事項を重要な点において履行又は遵守していること。
(ウ) 本公開買付けの決済が完了していること。
(エ) 公開買付者と他の不応募予定株主が、本不応募契約を、それぞれ、適法かつ有効に締結しており、かつ、当該契約に係る当社株式譲渡が、いずれも同時に実行できることが確実と見込まれること。
不応募予定株主は、本不応募契約に基づき、本不応募契約締結日、本公開買付けの開始日、決済日及び本株式譲渡の実行日において、不応募予定株主に関して、(ア)適法かつ有効な設立及び存続、事業に必要な権限及び権能、(イ)本不応募契約の有効な締結、(ウ)強制執行可能性、(エ)法令等との抵触の不存在、(オ)許認可等の適正な取得、(カ)倒産手続等の不存在、(キ)反社会的勢力との関係の不存在、(ク)当社株式の適法かつ有効な保有について、当社に関して、(ケ)適法かつ有効な設立及び存続、事業に必要な権限及び権能、(コ)当社株式の発行可能株式総数・発行済株式の適法かつ有効な発行、(サ)子会社及び関連会社の不存在、並びに、冠生社について、中国法等に照らして株主である当社が責任を負わないこと、(シ)法令等及び司法・行政機関等の判断等の遵守、(ス)有価証券報告書等の正確性、(セ)計算書類の正確性、(ソ)公租公課の適正かつ適法な納付、(タ)未公表の重要事実等の不存在、(チ)反社会的勢力との取引の不存在、(ツ)訴訟等の不存在について表明及び保証しているとのことです。
公開買付者は、本不応募契約に基づき、本不応募契約の締結日、本公開買付けの開始日、決済日及びクロージング日において、(ア)適法かつ有効な設立及び存続、事業に必要な権限及び権能、(イ)本不応募契約の有効な締結、(ウ)強制執行可能性、(エ)法令等との抵触の不存在、(オ)許認可等の適正な取得、(カ)反社会的勢力との関係の不存在、(キ)本株式譲渡を完了するに足る十分な資金の保有について表明及び保証しているとのことです。
各当事者は、相手方の本不応募契約に基づく義務の違反又は表明保証違反に起因又は関連して自らが被った損害等については、相手方に対し賠償又は補償を求めることができるとのことです。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権数は、本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役村関不三夫及び朝倉俊弘は、社外取締役であります。
(注3) 監査役沼田紳介及び大木章史は、社外監査役であります。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
7 【公開買付者に対する質問】
8 【公開買付期間の延長請求】
以 上