第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、産業防災保安機器メーカーとして、「人々が安心して働ける環境づくり」を永久のテーマとして社会の発展に貢献することを経営理念とし、良き企業市民として、法令遵守と環境保全に努め社会的責任を果たすため、以下の5つの経営方針を掲げております。

 

・技術の開発と経営の合理性から、適正な利益を追求し、持続的な発展を目指す

・お客様には、高品質の製品と充実したサービスを提供し、安全な環境づくりに貢献する

・株主には、長期的視点に立った企業価値の向上をもって報いる

・取引先とは、安定した取引を目指し、共存共栄を図る

・従業員には、生活の安定と労働環境の向上をもって報いる

 

(2)目標とする経営指標

 事業活動における収益性の向上と同時に、資本効率の向上を図るため、営業利益及び自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

 当社グループは、中長期的な目標として産業用ガス検知警報器分野で国内のトップメーカーから、世界のトップメーカーを目指し、①競争力(価格・技術・品質)の強化、②販売サービス体制の最適化を積極的に推進しております。

 競争力強化の具体策としては、自社独自の技術による新製品の開発により、「多機能化」、「小型化」、「高信頼性」を実現する製品差別化戦略で、価格・技術・品質面での競争力の強化を目指します。

 販売サービス体制の最適化につきましては、ユーザーの工場の新設・移転等の事業環境の変化に対応するため、拠点の新設・統合等を含む柔軟かつ機動的な再配置、最適なサービス体制を目指し、運用面での技術指導から保守点検に至るまで万全なサービスネットを構築し、ユーザーニーズを素早くキャッチアップする体制づくりを推進しております。この結果、主力製品である産業用ガス検知警報機器は、半導体・液晶、石油化学、建設、電気・ガス、鉄鋼、造船等の幅広い業種にてご利用いただいております。

 今後は、海外市場シェア拡大の経営方針のもと、海外進出を加速させ、世界市場における当社シェアの拡大を目指します。

 

(4)優先的に対処すべき課題の内容

 今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルスの新たな変異株出現による感染の再拡大の可能性がありますが、ワクチンの接種が進んでいるため、経済活動への影響はこれまでと比べ限定的であると予想されます。一方で、半導体等の材料供給遅延、サプライチェーンの混乱、地政学的な問題など、予断を許さない状況は続くと思われます。

 当社グループを取り巻く経営環境においては、主要顧客である半導体業界はリモートワークの定着化のほか、5G関連、DX、自動運転、メタバースなどの進展に伴い、旺盛な半導体需要は引き続き継続することが予想されます。また、脱炭素化の加速によりエネルギー関連・自動車関連・鉄鋼関連業界も設備投資の拡大が見込まれます。

 このような状況のもと、当社グループは、産業用ガス検知警報機器開発のフロントランナーとして、世界の人々が安心して働ける環境づくりに引き続き貢献すべく、次の課題に取組んでおります。

 

1.海外市場シェア拡大を中心とした、国内外での販売・メンテナンスネットワークの拡大強化、サービス体制の更なる充実

・海外関連会社の子会社化による海外拠点の整備、展開

・営業支援ツール導入によるDX化の取り組み

・海外販売店のメンテナンス能力向上に向け教育支援体制の強化

 

2.多様化するマーケットニーズに対応した製品のラインナップの充実

・多様な市場、顧客の要望に対応した多品種製品開発の継続

・脱炭素社会の実現に向けた新規製品開発の強化

・技術開発力強化のための積極的投資

 

3.品質・生産性の向上及び徹底したコストの低減

・開発センター及び生産センターへ技術開発部門と生産部門を集約したことによる技術開発力の向上や製品開発の早期化

・変化する市場環境に対応可能なQMS・EMSへの強化、運用の安定化

 

4.社会の一員としてESG、SDGs課題への積極的な参加

・事業領域を通じたSDGs目標達成への貢献

・再生可能エネルギー導入等によるCO排出量削減推進

 

 『見えない危険を、見える安心に』をスローガンに、更なる変化・進化・強化を重ね、当社グループに課せられたミッションをクリアすべく、グループ一丸となって取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)法的規制について

 当社グループが取り扱うガス検知警報機器類の設置義務及び保守点検については、主に以下の法的規制があります。新たな法規制や改廃は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 上記の法的規制に関するリスクが顕在化する可能性を推測することは困難ですが、当社は業界内外からの情報収集に努め、あらかじめ備えることにより当社グループの業績への影響を抑えてまいります。

 

0102010_001.png

 

(2)製品の欠陥について

 当社グループは、品質管理の国際規格に基づく製品製造並びに内部基準による保守・点検業務を行っておりますが、製品の欠陥や製品設置時の調整ミス等に起因する誤作動により、ユーザーに物的・人的損害を与える可能性があります。

 また、製造物及び完成作業リスクを対象とした総合賠償責任保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。

 製造物責任賠償につながるような重大な製品の欠陥や調整作業ミスは、多額の費用や当社グループの評価に重大な影響を与え、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)研究開発について

 当社グループは、電気・物理・化学など幅広い技術力をベースに、ガスセンサーの研究開発から、最先端技術を駆使した新製品の開発を最も重要な経営課題としております。

 製品の開発には、ユーザーニーズにそった使用目的・使用場所に応じた新技術開発を行っておりますが、当社グループの経営成績に寄与する保証はありません。

 

(4)設備投資動向の変動について

 当社グループが取り扱うガス検知警報機器の需要は、主にエレクトロニクス・石油化学・船舶業界等の民間設備投資、電力・ガスを含む公共設備投資の動向に左右されます。

 よって、経済環境の変化による設備投資の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)海外事業展開について

 当社グループでは、日本における事業活動に加え、製品の輸出をはじめとする事業活動を海外にも展開しております。これらグローバルな事業展開に関するリスクとして、事業を展開している国及び地域における、政治経済情勢の悪化、輸出入・外資の規制、予期せぬ法令の改変、治安の悪化、国家間の経済制裁、テロ・戦争・感染症の発生その他の要因による社会的混乱等が考えられます。当社グループとしては、当該政治経済情勢や、各国・地域の規制動向に注視し、状況に応じた対応がとれるよう努めていますが、これらの事象の発生により、海外における当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)資材等の調達について

 当社グループの生産活動において調達先が限られる特殊な材料、資材等を一部使用しており、代替材料の検討並びに該当材料・資材等の複数購買の推進に努めております。しかしながら、これらの供給の逼迫や遅延、価格変動等が生じた場合には、購入費用の増加、生産の遅延等により当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)新型コロナウイルスに関するリスクについて

 新型コロナウイルス等の感染症拡大により、当社グループの生産体制、物流体制、営業活動等の事業活動の継続に支障が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは2020年4月7日の緊急事態宣言の発令以降、全事業所にて在宅勤務、時差出勤、Web会議システムの活用等、新型コロナウイルス感染予防対策を強化し、継続的にお客様、お取引先様、従業員とその家族の感染防止に努めております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の売上高は、5G関連やDXの進展に伴い半導体の需要が高まったことから、主要顧客である半導体業界に設備投資の活発な動きがみられたこと、また、脱炭素社会への加速を背景に自動車関連や二次電池関連業界も堅調に推移したことから、373億6千3百万円(前連結会計年度比16.0%増)となりました。

 営業利益は、全社をあげてのコスト削減推進の結果、売上原価率が前連結会計年度52.2%から当連結会計年度50.7%に改善したこと等により、84億2百万円(前連結会計年度比27.4%増)となりました。

 営業外損益は、主として補助金収入1億円を新規に計上したこと等により、前連結会計年度3億2千5百万円の利益(純額)から当連結会計年度4億1千6百万円の利益(純額)となり、経常利益は88億1千9百万円(前連結会計年度比27.4%増)となりました。

 特別損益は、主として前連結会計年度発生の減損損失2億5千9百万円が当期は発生しなかったことから、前連結会計年度2億6千3百万円の損失(純額)から当連結会計年度7百万円の利益(純額)となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は88億2千7百万円(前連結会計年度比32.5%増)となりました。

 「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を合わせた税金費用は、前連結会計年度の18億8千5百万円から当連結会計年度は27億7千3百万円と、8億8千8百万円増加しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は59億6千3百万円(前連結会計年度比27.1%増)となりました。

 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末と比較して72億8千万円増加し、716億6百万円(前連結会計年度末比11.3%増)となりました。

 流動資産につきましては、有価証券が36億5千7百万円増加、現金及び預金が19億1千9百万円増加、仕掛品が14億3千8百万円増加、原材料及び貯蔵品が13億9千3百万円増加した一方、流動資産その他に含まれる未収入金が9億3千1百万円減少、受取手形及び売掛金が6億9千5百万円減少しております。

 固定資産につきましては、投資有価証券が3億6千6百万円増加した一方、建物及び構築物が3億3千6百万円減少、リース資産が2億3千万円減少しております。

 負債につきましては、支払手形及び買掛金が14億1千9百万円増加、未払法人税等が9億8百万円増加、流動負債その他に含まれる未払消費税等が4億9千8百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して30億3千7百万円増加し、147億4千7百万円(前連結会計年度末比25.9%増)となりました。

 純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して42億4千3百万円増加し、568億5千8百万円(前連結会計年度末比8.1%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、40億5千6百万円増加し、179億8千9百万円(前連結会計年度末比29.1%増)となりました。

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益88億2千7百万円、減価償却費17億2百万円、仕入債務の増加13億1百万円があった一方で、棚卸資産の増加29億6千2百万円、法人税等の支払額18億7千7百万円があったこと等により、前連結会計年度と比べ収入が49億4千8百万円(121.1%)増加し、90億3千4百万円となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入8億6千3百万円があった一方で、有価証券の取得による支出16億9千7百万円、定期預金の預入による支出9億3千6百万円、有形固定資産の取得による支出7億7千3百万円があったこと等により、前連結会計年度と比べ支出が1億9千万円(△6.9%)減少し、△25億6千5百万円となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出14億8千1百万円、配当金の支払額10億円があったこと等により、前連結会計年度と比べ支出が4億8千万円(19.4%)増加し、△29億5千3百万円となりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

78.3

77.6

78.8

79.3

78.4

時価ベースの自己資本比率

(%)

101.9

87.3

78.8

99.6

159.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.8

0.6

0.5

0.9

0.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

115.0

147.7

187.6

120.5

190.6

 

自己資本比率           :自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い

 

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

(注3)営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業は、各種産業用測定機器の製造・販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、機種別の情報を記載しております。

a.生産実績

機種別

生産高(千円)

前連結会計年度比(%)

定置型ガス検知警報機器

16,216,644

117.9

可搬型ガス検知警報機器

6,317,199

98.4

その他測定機器

1,035,342

118.9

合計

23,569,187

112.0

(注)1.金額の表示は、販売価格換算で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

機種別

受注高

(千円)

前連結会計年度比

(%)

受注残高

(千円)

前連結会計年度比

(%)

定置型ガス検知警報機器

29,966,187

126.4

7,872,127

189.1

可搬型ガス検知警報機器

10,824,768

122.9

2,350,839

164.4

その他測定機器

1,323,320

142.6

356,565

151.5

合計

42,114,277

125.9

10,579,533

181.5

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

機種別

販売高(千円)

前連結会計年度比(%)

定置型ガス検知警報機器

26,257,981

116.9

可搬型ガス検知警報機器

9,903,865

112.5

その他測定機器

1,202,105

127.6

合計

37,363,952

116.0

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

キオクシア株式会社

3,624,062

11.3

3,878,721

10.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における経済情勢は、各国の経済対策や新型コロナウイルスのワクチン接種率の上昇により、行動制限が徐々に緩和されると、経済対策も後押しし経済活動が再開され景気の回復が進みました。一方で、断続的な感染拡大によるサプライチェーンの混乱や半導体をはじめとする部材不足及び地政学的リスク等による供給面の制約により、持ち直しの動きに足踏みが見られるなど、先行きは不透明な状況が続いており、経済、物価、金融情勢への影響を注視する必要があります。

 当社グループを取り巻く経営環境としては、主要顧客である半導体業界は5G関連やDXの進展に伴い半導体の需要が高まったことから設備投資に活発な動きがみられました。また、脱炭素社会への加速を背景に自動車関連や二次電池関連業界も堅調に推移しました。

 このような情勢のなか、当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に到来していることによる地域的な経済封鎖の影響並びに半導体不足等により生産及び販売活動の先行きに懸念はあったものの、人々が安心して働ける環境づくりを目指し、ガスという見えない危険を見える安心にすべく、新型コロナウイルス感染症の感染防止策を徹底し、開発・生産・販売活動を進めてまいりました。

 2020年7月に竣工した「生産センター」(埼玉県春日部市)は、2021年4月より本格稼働しました。函館工場から免振構造の生産センターへ設備の一部を移設し、安定したセンサーの供給体制の整備並びに製品の安定供給に努めてまいりました。また、中長期的な企業価値の向上の観点から、サスティナビリティを巡る課題にも積極的に取り組み、SDGs、脱炭素化を意識した開発、生産、販売、アフターメンテナンスサービス活動に努めてまいりました。

 これらの諸施策の結果、当連結会計年度の売上高は373億6千3百万円(前連結会計年度比16.0%増)、営業利益は84億2百万円(前連結会計年度比27.4%増)、経常利益は88億1千9百万円(前連結会計年度比27.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億6千3百万円(前連結会計年度比27.1%増)となりました。

 

 当社グループの事業は、各種産業用測定機器の製造・販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容に代えて、以下に機種別の売上の概況を記載いたします。

 

定置型ガス検知警報機器

 「スマートタイプガス検知部 GD-70D」は、国内及び東アジア地域の半導体工場、並びに国内の半導体製造装置メーカー向けに売上を伸ばしました。

 また、「炉内セフティモニター SD-2500」は、中国におけるリチウム電池製造設備投資の拡大により、国内のリチウム電池製造装置メーカー、及び中国の同生産工場向けに売上を伸ばし、「スマートタイプガス検知部SD-1」は、造船、石油化学・半導体業界向けの他、リチウム電池生産工場向けに売上を伸ばしました。

 アフターメンテナンスサービスも好調に推移したことから、売上高は262億5千7百万円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。

 

可搬型ガス検知警報機器

 主力ポータブルガスモニター「GX-3Rシリーズ」は、欧米における経済活動が回復基調となったこと、及び国内において更新需要時期が到来したことにより、国内・海外の石油及び石油化学業界、官公庁向けを主体に売上を伸ばしました。

 東南アジア地域の海外市場において新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことにより売上が減少しましたが、アフターメンテナンスサービスが好調に推移したことから、売上高は99億3百万円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。

 

その他測定機器

 「防爆型熱量計OHC-800」は、「OHC-800」をキーデバイスとし他のガス検知器と組合せるソリューションが評価され、今年度は大幅に売上を伸ばしました。

 また、各国の大学や研究機関に需要のある「大気中光電子分光装置ACシリーズ」は、新製品「AC-2S」の市場浸透までには至りませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響があったにも関わらず、昨年同等の売上を保つことができました。

 この結果、売上高は12億2百万円(前連結会計年度比27.6%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、借入金の返済、配当金の支払い等であり、財源は主として自己資金(営業活動によるキャッシュ・フロー)または金融機関からの借入によっております。財務政策といたしましては、常に最適な財務比率と資金効率をバランスよく維持し、財務体質のより一層の健全化を図ることとしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(a)繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。

 

(b)固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、創立以来「人々が安心して働ける環境づくり」を永久のテーマとし、電気・物理・化学など幅広い技術力をベースに、センサの研究開発から、最先端技術を駆使した新製品の開発を最も重要な経営課題としております。

 製品の開発では、ユーザーニーズにそった使用目的・使用場所に応じた新技術開発を行っており、世界で最も信頼されるトップブランドとしての地位を維持し続けるように、積極的な研究開発活動を行っております。

 

(1)研究開発目的

・ガスセンサの高機能化(高感度化・対象ガス選択性向上・インテリジェント化)の研究開発

・産業災害(ガス爆発・ガス中毒・酸欠)を防止する製品・システムの開発

・環境汚染・公害を防止する製品・システムの開発

・各種センサを応用した新市場向けの製品開発

・新技術・各種ソフトを取り入れた新分野向けの製品開発

 

(2)主要課題

・高信頼性センサの確立

・製品の小型化・多機能化の追求、操作性・メンテナンス性の向上

・新技術・新ソフト・各種通信技術の導入

 

(3)研究開発体制

 当社グループの研究開発は、当社の技術開発本部が担い、研究開発に係わるスタッフは総従業員数の15.8%に当たり、当連結会計年度における研究開発費は、2,135百万円(対売上高比5.7%)であります。

 基礎研究については、理化学研究所をはじめ、大学等の研究機関との交流を積極的に行い、基礎技術の向上と先端技術の導入を図っております。

 なお、ガスセンサ及びその他のセンサの研究開発は当社研究部が担当し、製品・部品の研究開発は当社技術部が担当し、システムの研究開発は当社カスタムエンジニアリング部が担当し、新製品の開発についてはプロジェクト体制により行っております。

 

(4)研究開発成果

 当連結会計年度における機種別の主な研究成果は、次のとおりであります。

① 定置型ガス検知警報機器

・新型コロナウイルス感染防止対策として人の呼気から発生するCO2を監視することでオフィス、病院、飲食店等での3密(密閉、密室、密集)状態を監視するためのCO2モニター(型式:CO2RK-Lite)を開発しました。本製品は経済産業省が策定したガイドラインに準拠しています。

・物質の表面状態を大気中で分析できる光電子収量分光装置(型式:AC-2S)を開発しました。アカデミック向けに基本性能に絞って価格を抑えたBasicモデルと機能を強化したハイエンドのProモデルをラインナップしました。用途としては有機ELやコピー用感光体材料のイオン化ポテンシャルの測定、半導体やリードフレームの表面酸化状態の測定などとなります。

 

② ガスセンサ

・ポータブル検知器用センサ

 SC-04に搭載するNH3センサ(ESR-B134)、CL2センサ(ESR-B136)を開発しました。

・定置型検知器用センサ

 GD-84D、SD-3に搭載するFセンサシリーズを開発しました。

 接触燃焼式(NCF)、半導体式(SGF)、熱線型半導体式(SHF)、赤外線式(IRF)、定電位電解式(ESF)の5原理をラインナップしました。