当社は、2024年11月27日開催の取締役会において、民事再生手続開始の申立てを行うことについて決議し、同日に東京地方裁判所に申立てを行いましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第10号の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
名称 日本電解株式会社
住所 茨城県筑西市下江連1226番地
代表者の氏名 代表取締役社長CEO 中島 英雅
2024年11月27日
当社は、創業以来、一貫して電解銅箔の製造及び販売を行っており、電気自動車市場の拡大や2020年3月31日のDenkai America Inc.(以下「DAI」といいます。)の取得に伴い、2022年3月期までは売上・利益を伸ばし、2022年3月期には、連結で売上高約206億円、営業利益約10億円を計上するに至りました。
しかしながら、世界的な半導体不足や米国インフレ抑制法(IRA法)施行による国内製造バッテリーの輸出減少、スマートフォン需要の減退、新型コロナウイルスの影響や競争環境の激化に伴う2021年3月期以降のDAIの赤字の常態化等により、2023年3月期における連結売上高は約170億円にまで減少し、また、米国オーガスタ工場の建設費用等の負担等もあり、2023年3月期には約18億円の連結経常損失(当社単体:約4億円、DAI:約13億円)を計上するに至りました。
また、2024年3月期においても、引き続き、IRA法の影響による輸出セル用銅箔の需要低迷やDAIにおける整流器故障による回路基板箔の販売減もあり、連結売上高は約166億円、連結経常損失は約13億円(当社単体:約3億円、DAI:約12億円)となり、2期連続で経常赤字を計上するに至りました。
2025年3月期においても、中間期で連結売上高は約88億円(前年同期比2.7%増)となったものの、販売数量減や銅価格急騰による損益悪化、オーガスタ工場関連の減損損失等により、連結経常損失約15億円、連結純損失約50億円を計上することとなりました(通期の業績予想では、連結売上高は190億円、連結経常損失は約17億円、連結純損失約53億円となる見込みです。)。
さらに、2023年3月期以降の業績悪化に加え、当社の負担において、DAIのカムデン工場の製造設備改造や米国におけるオーガスタ工場製箔設備に係る投資を進めたこともあり、当社のキャッシュフローも徐々に悪化することとなりました。
このような中で、当社は、財務状態を改善すべく資金調達等に向けた取組みを進めて参りました。
当社は、2024年1月、LCY Technology Corporation(以下「LCYT」といいます。)の関連会社であるLee Chang Yung Group International Pte. Ltd.(以下「LCY International」といいます。)からDAIを経由して9.5百万米ドルを借り入れるとともに、LCYT及びLCY Internationalとの間で資本業務提携契約を締結し、LCY Internationalに対して第2回新株予約権を発行しました。しかしながら、同社からは、同年3月の権利行使期間までに第2回新株予約権の行使がなされず、同社からの資本性資金の調達は不奏功に終わりました。
また、当社は、当社の筆頭株主であるテックス・テクノロジー株式会社と2024年6月24日付で資本業務提携契約を締結し、同年7月10日に同社から約10億円の出資(資金使途は主として同社に対する長納期設備代金の支払)を受けるに至りました。
さらに、当社は、財務の健全性を改善する喫緊の必要があったことから、2024年5月頃からは、スポンサー探索を行ってまいりましたが、具体的な支援意向を示す先は見つかりませんでした。
上記のとおり、資金調達に向けた各種の取組みにもかかわらず、当社の財務状況を十分に改善するには至らず、当社は、DAIのカムデン工場の設備改造や米国におけるオーガスタ工場の製箔設備に係る投資等のため金融機関から行った約120億円の借入れにつき、返済が見通せない状況にあります。
また、DAIについては、2021年3月期以降赤字が常態化しているところ、当社からの支援がない限り早晩資金に詰まることが見込まれており、直ちに収益が改善する見込みも乏しかったことから、本日開催の当社取締役会において、解散及び清算する方針を決議しております。そのため、当社のDAIに対する貸付金等の大部分は回収困難になることが見込まれ、当社はこれに伴い多額の特別損失を追加計上し簿価債務超過状態に陥ることが予定されているため、現時点においても実態債務超過の状態にあります。
以上のとおり、当社は、資金繰り及び財務状態を改善させるべく様々な施策を検討してまいりましたが、このままでは、近い将来、事業継続に著しい支障が生じることが確実な状況となったため、当社の事業価値の毀損を最小限とし、債権者の弁済の極大化を図りつつ、当社事業の実効的な再建を図るべく、民事再生手続開始の申立をいたしました。
申立日 2024年11月27日
管轄裁判所 東京地方裁判所
事件番号 令和6年(再)第31号
事件名 民事再生手続開始申立事件
申立代理人 東京都千代田区大手町一丁目1番2号 大手門タワー
西村あさひ法律事務所・外国法共同事業
弁護士 築 留 康 夫
同 紺 田 哲 司
同 髙 田 和 貴
同 清 水 亮
同 井ノ上 奈莉子
同 大 橋 賢 龍
監督委員 TF法律事務所
弁護士 小 畑 英 一
負債総額 約14,761百万円(2024年10月31日現在)
以上