(1) 会社の経営の基本方針
「食」は人間にとって最も根源的な欲求に根ざしたもので、あらゆるビジネスの中でも永遠に続くテーマであります。近年、人々は健康や心の豊かさなどを「食」を通して求めるようになってきております。
当社は、「食」に携わる企業としていわゆる「食育」を実行し、健康的な子供達や家族全体に食の喜びを与えられるような企業でありたいと考えております。そのためにも、かつて母親が家族の健康を願い、愛情あふれた家庭料理を作る場であった「日本の台所」の役割を果たしていきたいと考えております。
当社は、企業理念として「人類の健康と心の豊かさに奉仕する」を掲げておりますが、店舗に来店されるお客様を家族と思い、愛情あふれる接客サービスや手作り料理の提供により、理念の具現化を図ってまいりたいと考えております。
具体的には、食材については産地とトレーサビリティ(食材の生産履歴)を明確にし、安全・安心、旬で健康的な食材を使用し、店舗には鮮度を保ちながら毎日配送する体制を構築しております。また、品質管理面では、食品衛生に関する2つの専門機関を設けて厳重なチェック体制を構築しております。例えば、「食品衛生研究所」においては、食の安全・安心確保のプロ集団として、ご提供する料理や店舗環境の衛生管理、並びに従業員の衛生教育など、外食企業として欠かすことのできない重要な機能を担っております。もう一つの「大庄総合科学新潟研究所」においては、店舗で使用する農産物・水産物などの食材全般について、独自の使用基準として「大庄基準」を定め、農薬残留分析や重金属・食品添加物、栽培履歴、あるいは放射能汚染チェックなどの安全確認を行い、お客様が安心して飲食して頂けるように日々厳格に検証を行っております。
店舗業態においてはいわゆる居酒屋ではなく、熟練調理人による手作り料理と高級感のある雰囲気やサービスを割安価格で提供する「大衆割烹」をコンセプトとして掲げており、「庄や」「大庄水産」ブランドを中心として日本全国に店舗展開しております。また、一方では最新のお客様の飲食ニーズを取り込み、高品質食材を使用した新しい「専門店」業態の開発にも積極的に取り組んでおります。
当社は、こうした食文化にこだわりをもち、社会貢献を果たしながら、営利企業として収益拡大を図り、企業価値の向上を目指す所存であります。
当社は、「キャッシュ・フロー経営」を基本方針として、安定的な収益体制の確立と強固な財務基盤の構築を目指しております。また、収益性指標として、全ての面で最も重要となる「売上高営業利益率」を掲げており、中長期的には5%の達成を目標として経営革新を図ってまいります。
足許では、経済活動の正常化が進んでいる中、国内の消費活動は堅調に推移するものと思われます。一方で、地政学的な緊張や不安定な為替市場等により国内の物価や各種コストは上昇しており、外食業界におきましても人件費や光熱費等のコスト負担などにより、引き続き厳しい経営環境は続くことが予想されます。
このような状況の中、当社は、「人類の健康と心の豊かさに奉仕する」という企業理念のもと、引き続き「日本の食文化と居酒屋文化の発展に貢献する」という基本方針にこだわって事業運営を行っていくとともに、前期まで取り組んできた各種施策を継続し、着実な事業発展と収益力の強化を図ってまいります。
具体的に対処すべき課題としては、以下の点を重視して実施してまいります。
前期までに構築してきた業態ポートフォリオを踏まえ、強化業態への業態変更や、庄やを中心とした既存店舗の改装によるリニューアルなど、ブランディング強化に注力し売上高と収益力の向上を図ってまいります。前期においては「庄や 本八幡南口店」を2024年4月に全面改装後リニューアルオープンし、幅広いお客様からご好評を頂いております。同様に足許の11月には「庄や 川崎408店」を全面リニューアルオープンしております。
メニュー戦略としては、9月より旬メニューの改定を隔月より毎月に変更し、水産卸売子会社「米川水産」が全国から仕入れる鮮魚などを各メニューで提供する他、宴会集客の強化を図り、回復基調である宴会需要の取込みを年末年始を中心に注力してまいります。またデジタルマーケティングによる販促活動の一環として、大庄公式YouTubeチャンネル「庄Tube」のコンテンツ充実に注力してまいります。各業態のプロモーション動画やレシピ動画、店舗のニュース動画などの動画配信強化により集客力の強化を図ってまいります。
②卸売・ロジスティクス事業の強化
前期よりセグメント分類を見直し、従来の「卸売事業」及び「運送事業」を「卸売・ロジスティクス事業」に統合しております。食材・資材等を販売する卸売に加え、外販・倉庫・運送を一体とした「総合物流サービス」の展開を推進するとともに、業容拡大及び収益性の強化を図ってまいります。また飲食事業を主体とする当社の知見を活かし、外食産業の仲間でもある同業他社に対し、価値の高い商品やサービスの提案型営業を推進してまいります。それにより飲食店経営を行う方々を支えることで、外食産業の活況化にも貢献していきたいと考えております。
③モチベーション向上取組み・健康経営の推進
従前よりこだわっている調理人を含む従業員の育成の為、各種研修の充実化を継続するとともに、従業員確保・モチベーション向上の観点より、能力のある人材の適正な評価や各種インセンティブの充実を継続してまいります。また当社の企業理念に基づき、従業員の心身の健康を経営上の重要課題であると認識し、健康経営推進の観点より職場環境の改善や健康管理のサポート体制の強化など各種取組みの推進に取り組んでまいります。
④その他各事業の強化
不動産事業につきましては、引き続きリーシングの強化に取り組むと同時に新規開店の為の新規物件の開拓を強化してまいります。フランチャイズ事業においては、ボランタリーチェーン(VC)制度の拡大・進化を図るとともに、改めて「大庄ブランド」の維持・向上と、成長を見据えた制度設計・運用の確立と、当社サポート部門による事務代行や営業指導などの機能拡充により付加価値の向上を図ってまいります。
⑤DXによる業務効率化・経費削減取組み
「生産性向上」をテーマとして、全社ベースでのDX化の推進を継続してまいります。「DX推進委員会」による舵取りの下、研修・教育による意識改革及びインフラなどの環境整備を進めながら、営業部門ではオーダーシステムの導入や発注・勤怠管理などを含む店舗システムのリプレイス等、また管理・物流部門においてはRPA、各利用システムの見直し、EDI化等により業務効率化に向けた取組みを継続してまいります。また売上原価の改善、及び水光熱費や店舗修繕などの店舗コストの削減も図ってまいります。
以上の各課題に取り組むことで、収益力の強化及び企業価値の向上を図ってまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 創業以来の方針に内在するサステナビリティの考え方
当社グループは創業以来、常に「安全・安心・鮮度・旬・健康」を第一に考えた事業展開を行ってまいりました。食を通じて「人類の健康と心の豊かさに奉仕する」という理念を実現するためには当然のことだと考えているからです。これは、社会課題の解決により持続的な成長を図るサステナビリティの考えと軌を一にするものです。この基本方針をもとに、従来から取り組んできた施策及び、今後必要となる施策の中から、マテリアリティ(重要課題)を次項の通り定めました。
そして、マテリアリティ毎に関連性の高い部門員等で構成する「サステナビリティ推進PT(プロジェクトチーム)」を2024年2月に立上げ、実務的な活動に取り組んでおります。その進捗・実績については、既存の「リスク管理委員会・コンプライアンス委員会」にて随時報告され、併せて今後の取組み方針なども同委員会で審議しております。
(2) マテリアリティ(重要課題)
・食の安全・安心の確保
当社グループは、お店でお客様が安心してお食事を楽しんでいただくために、独自の厳しい安全基準(=大庄基準)を設けております。農産物の残留農薬や食品添加物などの管理から従業員の教育、店舗の衛生管理まで徹底して行うために、2つの自社研究所を業界に先駆けて設立・運用しております。各研究所において「大庄基準」に基づく食材の安全性の検証や店舗および自社工場施設の検査を実施するとともに、当社ホームページにおいて大庄基準や各調査結果を公表しております。
・フードロスの低減
当社グループは、食材の購入から店舗での調理、廃棄までのサイクル全体でフードロスを低減することを目指し、サプライヤーや生産者と連携しながら取り組みを進めております。食品リサイクルの推進とともに、メニュー開発・食材仕入管理の観点からもフードロス低減に取り組んでまいります。
・持続可能な食材調達
当社グループは、主に農畜水産物などの自然の恵みを利用してサービスを提供しております。農産物に関しては国内の生産者との密接な関係を築きトレーサビリティを確保するとともに、水産物に関しては近海の鮮魚を積極的に仕入れるなど、地産地消の考えに沿った食材調達を行っております。
・資源循環型社会実現への貢献
当社グループは様々な資源を使いながらサービスを提供しております。限りある資源を効率的に活用するとともに、廃棄物抑制・リサイクルの観点から持続可能な循環型社会の実現への貢献に取り組んでまいります。現状では、ダンボールの古紙回収リサイクル、発泡スチロール容器のインゴット化による再利用、プラスチック資源循環促進法に合わせたプラスチックカトラリー削減、廃油のリサイクルなどに取り組んでおります。
・気候変動への適応とその緩和(次項(3)で詳細を記載)
世界的に重要な課題となっている気候変動は、当社グループにも大きな影響を及ぼします。気候変動により食材の調達不全を始めとした様々なリスクが予想され、その対応は重大な経営レベルと認識しております。そのため、CO2を含む温室効果ガスの排出量をグループ全体で把握し、目標を立てて削減を図ってまいります。
・人材の育成および社内環境整備(次項(4)で詳細を記載)
当社グループは創業以来、企業価値の源泉は従業員にあるとの認識のもと、人的資本への積極的な投資を行ってまいりました。人材に関する環境や働き方の変化などに対応して、今後も人材の育成と社内環境の整備を行ってまいります。
(3) 気候変動への対応
前項マテリアリティの中でも、近年激化する気候変動問題への取組みは非常に重要な課題として捉えており、TCFD提言で推奨される4つの項目に沿って開示を行います。
・当面は既存の「リスク管理委員会・コンプライアンス委員会」にて、気候変動対応を含むサステナビリティに関連する重要なリスク・機会を特定し、それらの対応に係る年度計画を策定し、マテリアリティへの取組みの推進、進捗状況のモニタリング、実績の確認を行います。
・特定したリスクへの対応は収益機会の損失を最小限に防ぐための重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値向上の観点も踏まえ、今後、リスクの詳細な分析に基づいた指標及び目標を策定し、取り組んでまいります。
*物理的リスク
・大規模自然災害の発生に伴う店舗の営業停止やサプライチェーン断絶による営業機会損失
・温暖化に伴う水産・農産物の収量減少による食材確保不全及び調達コスト増加
*移行リスク
・再生可能エネルギーへの転換に伴う調達コスト増加
・炭素税の導入など、規制強化に伴う事業運営コストの増加
・環境問題への対応遅れに伴うステークホルダーからの信用失墜
・今後、リスクの詳細な分析に基づき、適切な指標及び目標を策定いたします。
(4) 人材の育成方針及び社内環境整備方針
当社グループは創業以来、企業価値の源泉は従業員にあるとの明確な認識のもと、自社研修センターによる教育訓練、職業調理人養成機関の設立・運営など、永年にわたり多角的な視点から人的資本への積極的な投資を行ってまいりました。
業務知識を習得することにとどまらず、当社の掲げる理念に共感し、かつ実践できる人材を数多く育成することで、当社の事業が幅広く日本の食文化・居酒屋文化の発展や、ひいては「人類の健康と心の豊かさ」に貢献できるものと確信しております。また、そうした従業員一人ひとりの努力が正当に評価、フィードバックされることにより、持続的に自己実現意欲が維持向上する環境を提供することこそ当社の存在意義と考えております。
このような確固たる信念と不断の取り組みの結果、コロナ禍の困難な経済環境下にもかかわらずボランタリー・チェーン(VC)制度を活用した有為の独立経営者を累計50名(2024年8月現在)輩出するなどの成果を実現してまいりました。今後とも人材育成を通じて持続的な経営基盤の拡充に努めてまいります。
①戦略
価値観の多様化や社会情勢の変化が進む中、会社と従業員の間の双方向のコミュニケーションの重要性はますます高まっております。そこで当社は、全社員を対象とした第2回エンゲージメントサーベイを実施し、前回を上回る約80%より回答を得ました。当社は従来から従業員のライフスタイルに対応した柔軟な勤務体系や手当などの制度を取り入れておりましたが、こうした情報共有のもと、今後ともさらに従業員のモチベーション向上に資する取組みを推進してまいります。
53期においては、より柔軟な働き方の推進(休日等選択型勤務制度など)、多様性受入れ体制の強化(全社員コンプライアンス研修、人権・SDGs研修など)、職能の向上や発揮の後押し(寿司職人養成研修など)などの施策を実施したほか、定例給与のベースアップや業績インセンティブ手当の対象者拡大など従業員の処遇改善に取り組みました。将来的な労働人口の減少をふまえ、性別、年齢、国籍や言語などの多様性を認め、個々人の能力が十分に発揮できる環境を提供し、イノベーションや環境の変化へ即応できる体制とするための施策の拡充を図ってまいります。
②指標及び目標
人的資本や多様性についての指標と目標として、2026年8月31日までに、管理職に占める女性労働者の割合を現状の従業員全体における女性労働者の比率並の10%以上とすること、ならびに男性の育児休業取得率を50%以上とすることを目標として掲げており、目標達成に向け各種取組みを実施してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、記載内容のうち、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
外食事業にたずさわる当社グループにとって、最大のリスク要因は食中毒の発生と認識しており、入荷食材の品質検査や従業員への衛生指導等を行う「食品衛生研究所」、及び薬物検査や使用食材の安全性についての分析・研究等を行う「総合科学新潟研究所」の2つの衛生管理機関を設置するなど、様々な衛生管理への対策を講じております。しかしながら万が一、不可抗力的な食中毒が発生した場合、社会的信用を失うことによる売上高の減少、損害賠償による損失の発生、一定期間の営業停止や営業許可の取り消しなどにより、当社グループの経営成績および財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおきましては、トレーサビリティ(生産履歴)の追求や産地仕入の拡大に努めるなど、食材の品質管理を最重要課題として認識しております。当社グループの中心食材である生鮮魚介類において、海の汚染等による品質安全面の不安、漁獲高の減少や海外需要の増加による調達難等が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、穀物や野菜などの農作物の天候不順等による不作や、その他食材市況の大幅な変動が発生した場合、原材料の調達難や仕入れ価格の上昇により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの食品工場では、HACCP(ハサップ:総合的衛生管理システム)に対応した厳格な品質管理体制の基に、グループ店舗向けの加工食材等を製造しておりますが、万が一、当工場にて食品衛生に関する問題が生じた場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
食材の受発注、店舗における売上日報管理、勤怠管理などの店舗管理システムの運営管理は、信頼できる外部業者に委託しており、万全の体制を整えておりますが、万が一、災害、停電、ソフトウェアまたはハードウェアの欠陥、コンピュータウイルスなど不測の事態によりシステム障害が発生した場合、食材調達、勤怠管理など店舗運営に支障をきたすことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが属する外食産業市場は成熟段階に入っており、想定以上の市場規模の縮小、企業間競争の激化が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
新規出店につきましては、立地条件や賃貸条件などを総合的に勘案して決定しているため、条件に合致する物件が確保できない場合、計画通りの新規出店が進行せず、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、優秀な人材の確保・育成には特に注力しておりますが、採用環境の悪化や人材育成が順調に進まない場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、店舗が集中している関東地方や主要な都心部で大規模な自然災害や伝染病などの蔓延が発生した場合、来店客数の減少や正常な事業活動が困難となる恐れがあり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの飲食事業における店舗については、賃借による出店が中心であり、賃貸人に対し賃貸借契約を締結する際、保証金および敷金の差入れを行っており、賃貸人は小口かつ分散されておりますが、破産などにより保証金・敷金の回収が不能となった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する店舗や土地・不動産等の固定資産は、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後に向けて新しく会計制度の変更があった場合、その適用によっても当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、会社法をはじめとする一般法令に加え、食品衛生法、労働基準法などの様々な法規制や制度の制限を受けております。これらの法的規制が変更・強化された場合に、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「庄や」を主体に、フランチャイズ(FC)加盟店との間で「大庄グループフランチャイズチェーン加盟契約」を締結し、フランチャイズ展開を行っております。また当社グループでは、「ボランタリーチェーン(VC)制度」によるVC加盟者との「大庄グループボランタリーチェーン加盟契約」の締結を推進しております。(2024年8月現在 合計87店舗)。
フランチャイズ店舗には、安全な食材の供給、衛生管理、経営指導を行うなど、親密な取引関係を維持しておりますが、万が一、フランチャイズ店舗での食中毒等の不測の事故が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、イベント案内や宴会需要の掘り起し等を目的に顧客の個人情報を取り扱っております。万が一、情報の漏洩があった場合、社会的信用の失墜や損害賠償問題につながり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の書き込みや、それを要因とするマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大については、感染症法上の位置づけが5類感染症となり日常生活の行動制限が撤廃されるなど一定の収束はみられたものの、新たな感染症等の拡大が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類感染症に移行し経済活動の正常化が進む中で、景気は一部に足踏みが残るものの緩やかに回復しつつあります。一方でロシア・ウクライナ等の国際情勢の悪化、不安定な為替変動、物価の上昇等により依然として先行き不透明な状況が続いております。
外食業界におきましては、人流の改善やインバウンド消費の拡大等により需要は回復基調にあるものの、原材料価格・光熱費等の上昇や、物価高による節約志向の高まり、人手不足の影響等により、引き続き厳しい経営環境が続いております。
このような状況下において、当社グループは、「人類の健康と心の豊かさに奉仕する」という企業理念のもと、「日本の台所」の役割を果たすとともに、日本の食文化と居酒屋文化の発展に貢献するなどの基本方針にこだわり事業運営を行ってまいりました。また、企業価値の向上を目指し早急な業績の改善を図るため、強化業態を中心とした新規出店及び業態変更の推進、「旬メニュー」の提供などのメニュー戦略及びデジタルマーケティングによる集客力強化、卸売・ロジスティクス事業の拡大、不動産事業・フランチャイズ事業等の収益力強化、研修制度の充実や賃上げの実施、DX(デジタル・トランスフォーメーション)による業務効率化推進等の施策に取り組んでおります。
店舗展開におきましては、新規出店を7店舗、店舗改装を21店舗、店舗閉鎖を8店舗(うちVC(ボランタリーチェーン)への移行を1店舗)行った結果、当連結会計年度末における当社グループ店舗数は330店舗(直営243店舗、フランチャイズ37店舗、VC50店舗)となりました。
この結果、当期の連結売上高は、前年同期に比べ11.2%増加の50,586百万円となりました。
利益面につきましては、営業利益は1,000百万円(前年同期は営業損失461百万円)、経常利益は1,157百万円(前年同期は経常損失486百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,333百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失769百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績の状況につきましては、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、卸売と運送を一体化した総合物流サービスの展開を推進していくことを踏まえ、従来の「卸売事業」及び「運送事業」を統合し「卸売・ロジスティクス事業」とする報告セグメントの区分変更をしております。
セグメントの前年同期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(飲食事業)
飲食事業につきましては、足許の飲食需要の回復や各種営業施策への取組み等により、売上高は前年同期に比べ4.3%増加の23,499百万円となりました。
(卸売・ロジスティクス事業)
卸売・ロジスティクス事業につきましては、卸売含む総合物流サービスによる外部売上高が増加したこと等により、売上高は前年同期に比べ19.9%増加の24,213百万円となりました。
(不動産事業)
不動産事業につきましては、一部自社不動産物件の売却もあり、売上高は前年同期に比べほぼ横ばいの1,630百万円となりました。
(フランチャイズ事業)
フランチャイズ事業につきましては、VC店舗の増加に伴い営業権利用料収入が増加したこと等により、売上高は前年同期に比べ5.0%増加の914百万円となりました。
(その他事業)
その他事業につきましては、売上高は前年同期に比べ14.4%増加の327百万円となりました。
財政状態の状況につきましては、次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産合計は33,524百万円となり、前連結会計年度末に比べ336百万円増加となりました。また、負債合計は23,121百万円となり、前連結会計年度末に比べ580百万円減少となりました。純資産合計は10,402百万円となり、前連結会計年度末に比べ916百万円増加となりました。
(単位:百万円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,536百万円の資金収入(前年同期は784百万円の資金収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,248百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、370百万円の資金収入(前年同期は372百万円の資金支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出822百万円に対し、投資有価証券の売却による収入768百万円、有形固定資産の売却による収入664百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,041百万円の資金支出(前年同期は544百万円の資金支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出4,075百万円に対し、長期借入れによる収入3,540百万円等によるものであります。
以上の結果により、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ872百万円増加の9,001百万円となりました。
a.生産実績
当社グループは、主に一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っており、生産実績の記載になじまない為、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは、主に一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので、記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 その他事業はミヤビパンの製造・販売、食器・調理備品類の販売事業等であります。
3 総販売実績のうち、10%以上を占める販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、記載内容のうち、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて行っております。
なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は14,615百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,660百万円増加となりました。これは、現金及び預金が842百万円、売掛金及び契約資産が807百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は18,903百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,322百万円減少となりました。これは、投資有価証券が502百万円、建物及び構築物(純額)が438百万円、土地が360百万円減少したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は12,922百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,396百万円増加となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金が3,254百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は10,199百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,976百万円減少となりました。これは、長期借入金が3,790百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は10,402百万円となり、前連結会計年度末に比べ916百万円増加となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益1,333百万円を計上したこと等によるものであります。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しておりますが、その主な要因は次のとおりであります。
(売上高)
飲食事業において、需要の回復や各種施策により当社グループの既存店売上高が対前年比110.4%と増加したことや、卸売・ロジスティクス事業において、卸売含む総合物流サービスによる外部売上が増加したこと等により、売上高は前年同期に比べ11.2%増加の50,586百万円となりました。
(営業損益)
上記売上高の増加に伴い売上総利益が増加したことや、販管費及び一般管理費において、売上高増に伴い人件費、及び消耗備品費などの変動要素のある科目中心に増加したものの、水光熱費や、地代家賃他固定費科目を中心に減少したこと等により、営業利益は1,000百万円(前年同期は営業損失461百万円)、売上高営業利益率は2.0%となりました。
(経常損益)
営業外収益は、投資有価証券売却益を235百万円計上したこと等により、406百万円(前年同期比186百万円増加)となりました。
営業外費用は、249百万円(前年同期比3百万円増加)となりました。
以上の結果、経常利益は1,157百万円(前年同期は経常損失486百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
特別利益は、受取補償金を178百万円計上したこと等により、264百万円(前年同期比117百万円増加)となりました。
特別損失は、173百万円(前年同期比593百万円減少)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,333百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失769百万円)となりました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料費、人件費及び店舗支払家賃他の販売費及び一般管理費であり、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店及び既存店の改装等であります。
従いまして、運転資金と設備投資資金については営業キャッシュ・フローで充当するとともに、必要に応じて金融機関からの借入れ及び社債の発行による資金調達を実施し充当しております。また資金調達においては、安定的な経営を続けるために必要な流動性を確保しながら金融情勢を勘案し、長期資金を中心とした安定資金を重点的に調達しております。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。