当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
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経営理念 |
時代の変化に適応し、社会に愛され必要とされる企業を目指す |
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長期ビジョン 目指す姿 |
お客様・地域・社会に寄り添い、 あらゆる不動産ニーズを解決する企業集団となる |
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ミッション |
お客様に喜びと感動を生む不動産商品・サービスの提供 |
当社グループは、企業として永続的に存続し、発展していくための普遍的な考え方である「経営理念」を頂点とし、「長期ビジョン」と「ミッション」を加えた、理念体系の構築を行いました。
長期ビジョンには、不動産を生業とする我々が、お客様や地域・社会に提供したい価値創造の姿を掲げ、ミッションには、我々自身の喜びと成長の源泉となる、グループ社員がはたすべき使命を掲げています。
この理念体系に基づき、さらなる成長と持続的な企業価値向上を目指しております。
(2) 中長期的な経営戦略等
当社グループは、「時代の変化に適応し、社会に愛され必要とされる企業を目指す」という経営理念に基づき、長期ビジョンを「お客様・地域・社会に寄り添い、あらゆる不動産ニーズを解決する企業集団となる」と定め、「VISION2030」(目標水準:売上高1,000億円、経常利益60億円、ROE8%以上)を策定しております。「VISION2030」の第1ステップである「中期経営計画2022」が終了し、現在2025年を最終年度とする「中期経営計画2025」(目標水準:売上高820億円、経常利益20億円)を始動しております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としましては、売上高、経常利益及び自己資本利益率(ROE)を重視しております。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループの主要事業である住宅分野においては、少子高齢化や人口・世帯数の減少により、将来的に新築住宅の需要が縮小していくことが見込まれています。また、激甚化・頻発化する自然災害、人口減少及び偏在等による地域社会構造の変化、デジタル革命の加速やグリーン社会の実現に向けた動きなど、持続可能な社会課題解決に対する企業の役割は一層重要になっていくものと考えております。
このような事業環境の変化などのリスクを適切に把握しつつ、長期的かつサステナブルにステークホルダーに対して価値提供を行うために、2019年に策定した「VISION2030」に取り組んでおり、2025年8月期を目標年度とした「中期経営計画2025」が掲げる基本方針に基づき、以下の課題に対処してまいります。
①トップラインの拡大
コア事業である戸建住宅事業では、多様化する住宅需要に対応するため、戸建分譲を中心として注文住宅や土地分譲などに積極的に取り組んでおり、建築コスト削減の取組みと合わせて引き続き注力してまいります。また、中古住宅市場や富裕層、投資家向けの投資用不動産市場は引き続き堅調に推移しており、当社においても首都圏を中心に事業基盤の整備を進め「不動産流通事業」として積極的に投資を行っております。これらの他、リフォーム、不動産仲介等についても引き続き取り組むことにより、従来の戸建住宅事業に依存した業容からの脱却を進め、事業領域拡大による収益機会の拡大を進めてまいります。
また、当社グループの戸建住宅の地域別供給比率は、2019年8月期には98%が中部圏に集中しておりましたが、2022年8月期には67%まで低下し、中部圏以外の地域が33%まで拡大いたしました。今後、首都圏や関西圏などの営業基盤を強化することで、2030年8月期までにはこれらの地域の供給比率を60%程度まで拡大させ、局所的な災害や地域経済の変動リスクの影響を軽減していくことを目指してまいります。
②経営基盤の強化
将来的な利益の最大化を目指し、持続的な事業活動と成長の基盤を強化するために、以下の戦略を推進してまいります。
人財戦略においては、人財の獲得と育成のための人財基盤の強化、人財の定着と自律的な成長を促す組織基盤の整備の両面で、環境整備を強化し人的資本の充実を図ってまいります。また、DX戦略については、各地域の市場データや様々な顧客データを活用したデジタルマーケティングを強化し、新たな商品や事業の創出、事業・経営効率の最大化を追求してまいります。加えて、将来の成長に向けた投資を可能としつつ、安定した財務基盤の維持、拡大に取り組み、IRを含めた一層の企業価値向上に向けた取り組みを強化してまいります。
③サステナビリティへの取組み
住宅の断熱性能や省エネ性能を向上させ、ZEH水準を標準とした「AVANTIA 01」の普及に取り組むことで、住宅が排出する温室効果ガスの削減、環境負荷軽減に取り組んでおります。また、より多くのお客様が高性能な住宅を取得できるよう、コスト削減にも積極的に取り組んでまいります。
加えて、前述の経営基盤の強化を含め、SDGsの達成目標をKPIとして明確にし、これらの取り組みを通じた資金調達(ポジティブ・インパクト・ファイナンス)を実行することにより、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現への貢献と企業価値向上の両立を目指してまいります。
(1)ガバナンス
当社グループは、あらゆるステークホルダーに対して公明・公正かつ迅速で適切な意思決定を行い、事業の継続と持続的な企業価値向上を図っていくために、コーポレート・ガバナンスの強化・充実に努めております。
「マテリアリティ」においては、KPI(指標と目標)を設定しており、今後、取締役会への定期的な進捗報告を行うことによって、当社グループのサステナビリティへの取組み状況に関する評価・管理を行うとともに、経営計画や事業活動に反映させていく方針です。また、経営環境等の変化を見据えながら、「マテリアリティ」の定期的な見直しを図り、サステナビリティ経営を常に的確な方向へと導く取組みに努めてまいります。
(2)戦略
当社グループは、事業活動を通じたサステナビリティへの貢献を基本姿勢とし、重要な課題である「マテリアリティ」を設定し、追求することで、ESG活動を推進しております。これにより、気候変動への対応や人的資本・多様性への取組みなど、喫緊の課題に対処してまいります。
①気候変動への対応
「AVANTIA 01」を中心とした住宅づくりを通じて、「低炭素の推進」「環境住宅の展開」「温室効果ガス排出の削減」など、気候変動への対応を重要視し取り組んでおります。
また、当社のScope1及びScope2における二酸化炭素排出量については、定期的なモニタリングと削減に資する取り組みを続けております。
②人的資本・多様性への取組み
「従業員の能力向上」「女性活躍推進」「働き方改革」など、人的資本と多様性に焦点を当て、取り組んでおります。
また、当社グループは、長期ビジョン(社会性ビジョン)である「お客様・地域・社会に寄り添いあらゆる不動産ニーズを解決する企業集団となる」を実現するために、その原動力となる多様な人財の採用・育成を重視し、人的資本の強化を図ります。このために「人財育成方針」「社内環境整備方針」「健康経営方針」を策定し、その追求を推し進めてまいります。
(人財育成方針)
当社グループは、「時代の変化に適応し、社会に愛され必要とされる企業を目指す」という経営理念の実現に向け、社員一人ひとりがお客さま・地域・社会に寄り添い、それぞれが抱える課題の解決やニーズにお応えする提案力を身につけた人財を育成します。そのために、全社員が働きがいを感じながら多様な活躍機会を捉え、それぞれが持つ能力を十分に発揮できるよう、スキルに応じた階層別研修、OJTプログラム、自己啓発的研修などを複合的に組み合わせた、当社独自の人財育成体制の持続的強化を図ります。
(社内環境整備方針)
当社グループは、社員一人ひとりが能力を十分に発揮でき、性別や年齢などに関係なく様々な人財が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人財が意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を目指して、ダイバーシティと働き方改革を継続的に推進していきます。また、「働き方改革」の中で、健康増進への取り組み、メンタルヘルスケアの推進、長時間労働の抑止や仕事と家庭の両立を支援する仕組み等のワーク・ライフ・バランスを推進しております。今後も様々な施策を実践し、より働きがいのある職場を作っていくことで、社員の更なる定着化も進めていきます。
(健康経営方針)
・基本理念
AVANTIAグループは、社員一人ひとりの健康こそが会社の重要な基盤であるという認識のもと、社員が心身ともに健康で、安心して働くことができる環境を提供し、経営理念である「時代の変化に適応し、社会に愛され必要とされる企業」の実現を目指します。
・行動指針
イ.健康増進への取り組み
定期健康診断の受診を徹底し、健康診断の再検査など健康指導が必要な社員には産業医と連携し、不調の早期発見や生活習慣の改善などにつなげます。
ロ.メンタルヘルスケアの推進
同僚、先輩、上司に相談しやすい活気のある職場環境を作り、また、メンタルヘルスケアのフォロー体制を充実し、メンタルヘルス不調者の発生を防ぎます。
ハ.長時間労働の抑止
業務効率化を推進し、ノー残業デーの定着、長時間労働の縮減を推進します。
ニ.ワーク・ライフ・バランスの推進
有給休暇の取得の促進、育児・介護の支援など仕事と家庭の両立への取り組みを推進します。
(3)リスク管理
当社グループでは、全社的なリスク管理に係る体制等の整備・強化のため、「コンプライアンス・リスク管理室」を設置するとともに、代表取締役社長を委員長とする「コンプライアンス・リスク管理委員会」を定期開催しております。両組織は、コンプライアンス(法令遵守)の徹底や、先を見越したリスク管理等について、課題の調査、分析・対応を行っており、今後は、サステナビリティ経営の本格化に伴い、サステナビリティ関連リスクについても、管理の評価・分析、対応策の審議を行い、必要に応じて対応方針等を取締役会へ報告することで、的確なリスクの把握と管理を進めてまいります。
(4)指標及び目標
当社グループでは、3つのテーマ(E・S・G)ごとに計8つのマテリアリティを特定し、各マテリアリティにはそれぞれ1~3つのKPI(指標と目標)を設定し、取り組みを進めております。
<当社グループのマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)と主なKPI>
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テーマ |
マテリアリティ |
主なKPI |
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E 「AVANTIA 01」を核 とした住宅づくりによる「環境」への 取組み |
低酸素への貢献 |
■「AVANTIA 01」で供給100%を目指す基準 ・2025年の低炭素住宅の認定基準の省エネ基準と同等以上の断熱性能確保 ・省エネ基準に比べて一次エネルギー消費量がマイナス20%以上 |
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環境住宅の展開 |
■2030年における節水節湯設備の設置率 (対住宅供給数)100% ■2030年におけるエネルギー高効率設備の設置率 (対住宅供給数)100% ■地表面被覆の環境舗装化(ヒートアイランド対策) |
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温室効果ガス 排出削減 |
■2030年における売上高あたりのScope1、Scope2 排出量を25%削減(2021年比) ■SBT目標を設定している企業をサプライヤーとして 選定することにより、Scope3削減に取り組む ■2030年における太陽光パネル等を搭載した住宅の供給率 50% |
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S 「社会」への取組み |
従業員の能力発揮 |
■ ※毎年実施率を維持 |
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女性活躍推進に 向けた取組み |
■ |
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働き方改革 |
■ |
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G 「ガバナンス」への取組み |
コーポレートガバ ナンス体制の強化 |
■取締役会の実効性向上に向けた課題の抽出と対応方針の明確化 ■「グループ経営会議」の定例化によるグループガバナンス体制の強化 |
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コンプライアンス (法令遵守)の徹底 |
■ 毎年 |
これらのうち、当事業年度において報告可能なKPIは、次のとおりです。
<当事業年度において報告可能なKPIと進捗(単体)>
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テーマ |
マテリアリティ |
主なKPI |
実績 (当事業年度) |
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E 「環境」への 取組み |
低酸素への貢献 |
以下の基準を充たす住宅(AVANTIA 01)の供給率 |
100% |
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・低炭素住宅認定基準の省エネ基準と同等以上の断熱性能確保 |
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・省エネ基準に比べて一次エネルギー消費量がマイナス20%以上 |
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2025年度目標:100% |
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環境住宅の展開 |
節水節湯設備の設置率(対住宅供給数) |
100% |
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2025年度目標:100% |
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エネルギー高効率設備の設置率(対住宅供給数) |
100% |
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2025年度目標:100% |
|||
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「ZEH基準UA値0.6以下」を充たした住宅の供給率 |
100% |
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2025年度目標:100% |
|||
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温室効果ガス 排出削減 |
2030年における売上高あたりのScope1、Scope2 排出量削減率(2021年度比) 目標:25%削減 |
23.0%削減 |
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太陽光パネル等を搭載した住宅の供給率 |
39.5% |
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2030年目標:50%以上 |
|||
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S 「社会」への 取組み |
従業員の能力発揮 |
管理者向け研修実施率 ※毎年実施率を維持 |
100% |
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目標:毎年100% |
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女性活躍推進に 向けた取組み |
女性管理職比率 |
13.5% |
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2025年度目標:20%以上 |
|||
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働き方改革 |
重大労災発生件数 |
0件 |
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目標:毎年0件 |
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G 「ガバナンス」 への取組み |
コーポレートガバナンス体制の強化 |
取締役会の実効性向上に向けた課題の抽出と対応方針の明確化 「グループ経営会議」の定例化によるグループガバナンス体制の強化 |
- |
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コンプライアンス (法令遵守)の徹底 |
腐敗に関連した罰金・課徴金・和解金等の発生 |
0件 |
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目標:毎年0件 |
なお、これらのKPIについては、今後の活動状況や結果を踏まえ、また、経営環境の変化に柔軟に対応し、必要に応じて指標の内容や目標の見直しを行ってまいります。
その他、「多様性」に関する重要な指標(単体)につきましては、
当社グループの事業及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクを充分認識し、発生を回避するとともにリスクの最小化に向けて努力していく所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 販売用不動産の仕入について
土地仕入については、社内調査・検討・選別を行なった上で、当社基準に合致した物件を取得しておりますが、常に円滑な土地仕入が行なわれる保証はなく、土地仕入に支障が生じた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(2) 金利動向等について
当社グループの住宅事業については不動産市況や金融機関の貸出金利水準の変動による消費者の購買意欲の動向、市中金利の変動、住宅税制等の変化や消費税等の税率の変更による影響を受ける可能性があります。
また、土地仕入資金は主に金融機関からの借入によって調達しており、総資産に占める有利子負債の割合は2024年8月期末において49.9%となっております。資金調達は金利情勢など外部要因に左右されるため、これにより当社の財政状態などに影響を受ける可能性があります。
(3) 新規出店について
店舗の出店については総合的な見地から時期・場所・規模等を適宜検討してまいりますが、出店条件・採算性などから、当社の出店条件に合わない場合には出店地域や時期を変更することもあります。新規出店が計画どおりに行えない場合には、業績見通しに影響を与える可能性があります。
(4) 法的規制について
当社グループの属する不動産業界は、国土利用計画法、宅地建物取引業法、都市計画法、建築基準法、建設業法、住宅品質確保促進法等により法的規制を受けております。今後これらの規制の改正や新設が行なわれた場合には業績に影響を与える可能性があります。
(5) 個人情報について
当社グループは多くの個人情報を扱っており、個人情報保護法に対応して個人情報の保護のための体制整備を図っておりますが、個人情報が漏洩した場合には業績に影響を与える可能性があります。
(6) 訴訟等について
当社グループが開発・建設又は販売する不動産については、当該不動産の瑕疵などに起因して訴訟を提起される可能性があり、これらの訴訟等の内容及び結果によっては業績に影響を与える可能性があります。
(7) 販売地域の集中について
当社グループの販売地域は、愛知県を中心とする東海圏(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)に集中しております。今後も東海圏における更なる深耕を図るとともに、関西圏の体制強化、他の地域への展開にも努めてまいりますが、東海圏における地価の動向、景気の動向等が業績に影響を与える可能性があります。
(8) 業績の季節変動について
当社グループの住宅購入者においては、家庭の就学者等の都合により、夏休みなどの長期休暇や年末に引渡を希望する傾向があるため、当社グループの売上高・利益は第2四半期及び第4四半期に偏る傾向にあります。
(9) 感染症の影響について(新型コロナウイルス感染症)
当社グループの役員・従業員等に感染者が発生した場合に、感染拡大の規模や範囲によっては事業活動を停止もしくは休止せざるを得なくなる可能性があります。また、受注活動の制限や顧客の購買意欲の低下、建築資材や住宅設備機器の欠品や納期遅延による工事の完成時期や引渡の遅延などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)自然災害等について
大規模地震や台風などの自然災害、その他予測し得ない要因等の不測の事態が発生した場合に、不動産価値の棄損や引渡時期の遅延など当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善やインバウンド需要の回復などに加え、輸出関連企業を中心とした好業績の持続等を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、地政学リスクなどによる不安定な国際情勢、円安の長期化や物価上昇により個人消費には足踏みが見られはじめるなど、依然として先行きには不透明な状況が続いております。
当住宅・不動産業界におきましては、コロナ禍で高まった戸建住宅需要が一巡する中、物件価格の上昇、高止まりが続いており、需要の多くを占めている第一次取得者層の住宅投資意欲は低迷が続いております。また、一部の地域においては市場在庫過多の状況が長く続いたことで、在庫処分の動きが強まり、市場価格の不透明感が強まることとなりました。
このような状況の中、当社グループは「中期経営計画2025」を推進する中、売上高の「トップライン拡大」と将来の利益増大に向けた「経営基盤の強化」を基本方針として、コア事業である戸建住宅事業によるトップラインの確保と長期ビジョンで目指す「総合不動産サービス」の充実に向け、従来のメインターゲットである「実需層」以外の市場獲得に向けた、新たな事業確立を加速させてまいりました。
当社グループの各セグメントの状況は次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、以下の前年比較につきましては、前連結会計年度の数値を、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(戸建住宅事業)
戸建住宅事業は、当社グループにおけるコア事業として、新築の戸建住宅、分譲用地の販売に加え、注文住宅の請負等を行っております。当連結会計年度におきましては、物件価格の上昇、高止まりが続く中、実需層である第一次取得者層の需要低迷が想定以上に長期化し、また市場在庫過多を背景として競合物件との販売競争が激しくなっており、当社においても消極的な顧客の購買意欲を刺激するべく、販売価格の調整等を行い、商品在庫の滞留を回避するとともに物件の入替促進に注力してまいりました。これらの取組みにより、当社グループ全体での戸建住宅事業の販売件数は1,394件(前年同期比19.0%増)と過去最高となり、当連結会計年度の売上高は544億45百万円(前年同期比19.9%増)と、販売件数、売上高ともに過去最高を更新いたしました。一方で、販売価格の調整等により1件当たりの利益が低下したことで、営業利益は2億35百万円(前年同期比70.4%減)となりました。
(マンション事業)
マンション事業は、名古屋市を中心とする利便性の高いエリアに限定した新築の分譲マンションの企画、販売を行い、好立地物件に対する顧客の反響には底堅さが続いておりましたが、物価高や建築コストの上昇に伴う物件価格の高騰を背景として、販売状況の濃淡が激しくなりました。当連結会計年度におきましては、自社営業部隊による販売活動を続けることにより、獲得した反響を着実に受注に繋げる活動に注力するとともに、販売苦戦が続いた物件に関しては、投資家に対して全戸一括での販売を行うことで在庫の長期化を抑制いたしました。これらの取組みにより、販売戸数は80戸(前年同期比17戸増)となり、当連結会計年度の売上高は29億96百万円(前年同期比4.2%増)となりましたが、一戸当たりの利益が低下したことにより営業利益は11百万円(前年同期比89.9%減)となりました。
(一般請負工事事業)
一般請負工事事業は、当社連結子会社である、ジェイテクノ株式会社、株式会社巨勢工務店、株式会社宇戸平工務店の3社がそれぞれの地域の老舗工務店として、高い技術力と豊富な建築実績を活かし、建築工事や土木工事等を展開しております。また、これらの会社は当社グループの戸建住宅事業に関する造成工事や建築工事の内製化を進めることでグループ間のシナジー創出にも貢献しております。当連結会計年度におきましては、民間工事を中心として受注獲得に努め、適切な工事監理のもと概ね前期並みの業績を確保し、当連結会計年度の売上高は55億87百万円(前年同期比3.0%減)、営業利益は2億2百万円(前年同期比39.0%減)となりました。
(不動産流通事業)
従前、その他の事業に含めておりました、中古流通(リノベーション)事業、事業用不動産事業を当連結会計年度より報告セグメントとして表示しております。
不動産流通事業は、主に実需向けの中古戸建住宅、中古区分マンション及び富裕層や投資家を対象とした希少性の高い中古区分マンション等を扱い、リフォームやリノベーションを行うことにより付加価値を高めた物件として販売しております。また、投資や事業活動を目的とした事業用物件として、収益物件やオフィスビル、事業用地等の売買をしております。不動産流通事業は、今後当社グループにおける重要な収益基盤と認識しており、現在積極的な経営資源の投下と育成に努めております。
当連結会計年度におきましては、新築戸建住宅、新築分譲マンションの物件価格の上昇、高止まりを背景として、比較的割安な中古住宅に対する実需層の関心が高まり、首都圏を中心に展開する中古区分マンションの販売は堅調に推移しました。また、富裕層、投資家向け物件として東京23区中心部で展開する高額物件の売買もおおよそ想定規模の実績となり、当連結会計年度の売上高は64億円(前年同期比162.5%増)、営業利益は3億82百万円(前年同期比36.4%増)となりました。
(その他の事業)
その他の事業では、当社が長期ビジョンで目指す「総合不動産サービス」の展開に向け、主にリフォーム工事や不動産仲介等、戸建住宅事業等の周辺分野の開拓、育成を進めております。当連結会計年度の売上高は15億92百万円(前年同期比4.1%減)、営業利益は1億76百万円(前年同期比56.9%減)となりました。
以上の結果、売上高は710億21百万円(前年同期比22.1%増)、営業利益は9億46百万円(前年同期比50.7%減)、経常利益は9億19百万円(前年同期比53.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億89百万円(前年同期比52.3%減)となりました。
当期の財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ34億87百万円減少し673億75百万円となりました。主な要因は、棚卸資産の減少68億22百万円、のれんの減少1億49百万円、土地の増加16億70百万円、現金預金の増加10億31百万円、建物・構築物の増加5億72百万円等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ36億14百万円減少し396億25百万円となりました。主な要因は、短期借入金の減少52億16百万円、契約負債の減少9億65百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)の増加23億79百万円、支払手形・工事未払金等の増加2億39百万円、社債(1年内償還予定を含む)の増加2億20百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億26百万円増加し277億50百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益5億89百万円の計上、配当金の支払5億44百万円、自己株式の処分37百万円等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と言う。)は、前連結会計年度末に比べ9億95百万円増加し、140億38百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は38億69百万円の増加(前年同期は41億25百万円の資金の減少)となりました。主な増加要因は、棚卸資産の減少額33億74百万円、税金等調整前当期純利益9億52百万円、固定資産から棚卸資産への振替7億75百万円、仕入債務の増加額2億39百万円であり、主な減少要因は、契約負債の減少額9億65百万円、法人税等の支払額4億88百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は2億86百万円の増加(前年同期は7億8百万円の資金の減少)となりました。主な増加要因は、有形固定資産の売却による収入4億18百万円、投資有価証券の償還による収入45百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出2億19百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は31億60百万円の減少(前年同期は42億37百万円の資金の増加)となりました。主な減少要因は、借入金の純減少額28億36百万円、配当金の支払額5億44百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a 生産実績(建設実績)
当連結会計年度における生産実績を建設実績として、セグメントごとに示すと次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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戸建住宅事業 |
32,787,175 |
68.4 |
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マンション事業 |
2,974,862 |
105.1 |
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一般請負工事事業 |
6,449,780 |
94.7 |
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不動産流通事業 |
12,896,307 |
650.4 |
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その他の事業 |
676,624 |
93.4 |
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合計 |
55,784,750 |
92.5 |
(注)1 上記金額はすべて原価により表示しております。
2 上記金額には土地仕入高を含めて表示しております。
b 受注実績
当連結会計年度における受注高及び受注残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
受注高
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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戸建住宅事業 |
55,465,778 |
125.0 |
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マンション事業 |
2,276,947 |
63.5 |
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一般請負工事事業 |
7,530,580 |
136.0 |
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不動産流通事業 |
6,934,482 |
221.7 |
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その他の事業 |
1,561,623 |
97.6 |
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合計 |
73,769,413 |
126.7 |
受注残
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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戸建住宅事業 |
10,491,438 |
110.8 |
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マンション事業 |
27,725 |
3.7 |
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一般請負工事事業 |
4,398,125 |
179.2 |
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不動産流通事業 |
1,468,123 |
157.2 |
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その他の事業 |
191,492 |
86.1 |
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合計 |
16,576,905 |
119.9 |
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
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戸建住宅事業 |
54,445,452 |
119.9 |
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マンション事業 |
2,996,405 |
104.2 |
|
一般請負工事事業 |
5,587,117 |
97.0 |
|
不動産流通事業 |
6,400,087 |
262.5 |
|
その他の事業 |
1,592,436 |
95.9 |
|
合計 |
71,021,500 |
122.1 |
(注) 相手先別の総売上実績に対する割合で、10%以上を占める相手先はありません。
d 支店及び子会社の販売実績
当連結会計年度における支店別及び子会社の販売実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
中部エリア |
関東エリア |
関西エリア |
九州エリア |
㈱AVANTIA 合計 |
|||||
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金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
|
戸建住宅事業 |
23,109,435 |
101.2 |
4,435,491 |
137.1 |
2,924,665 |
162.8 |
2,877,375 |
95.4 |
33,346,968 |
107.9 |
|
マンション事業 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
一般請負工事事業 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
不動産流通事業 |
1,428,977 |
- |
1,296,472 |
449.7 |
- |
- |
- |
- |
2,725,450 |
945.4 |
|
その他の事業 |
696,689 |
117.8 |
2,885 |
31.9 |
449 |
14.1 |
252 |
106.2 |
700,275 |
115.9 |
|
合計 |
25,235,102 |
107.7 |
5,734,849 |
162.4 |
2,925,114 |
162.6 |
2,877,627 |
95.4 |
36,772,694 |
115.7 |
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セグメントの名称 |
ドリ-ムホ-ム グル-プ |
五朋建設㈱ |
㈱サンヨ-不動産 |
㈱プラスワン |
㈱アバンティア 不動産 |
|||||
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金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
|
戸建住宅事業 |
10,113,339 |
99.0 |
2,301,312 |
100.2 |
1,312,937 |
71.9 |
592,525 |
83.4 |
249,060 |
- |
|
マンション事業 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
一般請負工事事業 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
不動産流通事業 |
1,963,217 |
96.2 |
- |
- |
514,036 |
565.6 |
- |
- |
- |
- |
|
その他の事業 |
344,584 |
75.8 |
55,682 |
123.6 |
47,757 |
69.2 |
428,183 |
85.6 |
308,618 |
223.1 |
|
合計 |
12,421,141 |
97.7 |
2,356,995 |
100.7 |
1,874,731 |
94.4 |
1,020,708 |
83.1 |
557,679 |
356.8 |
|
セグメントの名称 |
サンヨーベストホーム㈱ |
㈱巨勢工務店 |
ジェイテクノ㈱ |
㈱宇戸平工務店 |
㈱ネクスト-ライフ-デザイン |
|||||
|
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
|
戸建住宅事業 |
- |
- |
12,747 |
- |
- |
- |
- |
- |
3,316,132 |
- |
|
マンション事業 |
2,996,405 |
104.2 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
一般請負工事事業 |
- |
- |
1,238,359 |
71.2 |
4,726,231 |
104.8 |
1,085,451 |
76.9 |
- |
- |
|
不動産流通事業 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
その他の事業 |
10,031 |
93.8 |
19,459 |
127.3 |
6,932 |
91.6 |
- |
- |
636 |
- |
|
合計 |
3,006,437 |
104.2 |
1,270,565 |
72.4 |
4,733,164 |
104.7 |
1,085,451 |
76.9 |
3,316,768 |
- |
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セグメントの名称 |
㈱プロバンク ホ-ム |
子会社合計 |
消去 |
連結合計 |
|||
|
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
金額 (千円) |
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
|
戸建住宅事業 |
3,461,791 |
- |
21,359,848 |
141.8 |
△261,364 |
54,445,452 |
119.9 |
|
マンション事業 |
- |
- |
2,996,405 |
104.2 |
- |
2,996,405 |
104.2 |
|
一般請負工事事業 |
- |
- |
7,050,042 |
92.0 |
△1,462,926 |
5,587,117 |
97.0 |
|
不動産流通事業 |
1,197,383 |
- |
3,674,637 |
170.9 |
- |
6,400,087 |
262.5 |
|
その他の事業 |
28,015 |
- |
1,249,901 |
100.7 |
△357,741 |
1,592,436 |
95.9 |
|
合計 |
4,687,191 |
- |
36,330,835 |
125.3 |
△2,082,030 |
71,021,500 |
122.1 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グル-プの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グル-プの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グル-プは重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。重要な会計方針は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであり、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の
状況」に記載のとおりであります。
b 経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の
状況」に記載のとおりであります。
c キャッシュ・フロ-の状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フロ-の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロ-の状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グル-プの運転資金需要のうち主なものは、戸建住宅及びマンション用地の仕入資金、建設資金、土木工事や公共工事などの請負工事資金であります。運転資金につきましては、自己資金や金融機関からの借入を基本としております。
④経営方針等、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グル-プは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、自己資本利益率(ROE)を重視した経営を行ってまいります。
そのために積極的な投資により、さらなる事業の拡大を図るとともに、地域に応じた商品の投入や店舗展開・人員配置の最適化を進め、より効率的な運営を指向することで収益性を高めていきたいと考えております。また、自己資本を適切な水準に維持しつつ、資産と負債のバランスの最適化を図ってまいります。
当連結会計年度におけるROEは2.1%となり、前連結会計年度より2.4ポイント減少しました。
該当事項はありません。
該当事項はありません。