第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、創業以来「豊かな未来に向けて-総合生活産業へ」を合言葉に、お客様が毎日寄ってみたくなる楽しい書店づくりを目指しております。また、本の専門店としてはもちろんのこと、様々なソフトを取り扱うメディアコンプレックス店としても、皆様に満足していただける品揃えを心がけており、地域の文化の向上に貢献できればと考えております。グループ挙げて皆様が良書をはじめ、私どもがご提供させていただける情報に数多く接していただき、出版界はじめ、我が国の文化向上に大きく寄与していきたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、収益力の向上と財務体質の強化を経営目標の中心として重視しております。きめ細かい店舗運営を通して効率経営を追求し、売上高経常利益率を高め、自己資本利益率(ROE)10%以上を安定的に実現することを目標として取り組んでまいります。

 

(3) 経営戦略等

 当社グループは、2019年9月27日に成立した産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(以下「事業再生ADR手続」という)において同意を得た事業再生計画に基づき、今後の事業の再生・発展を目指す上で、既存店の収益力の拡大及び財務体質の強化を重要視しております。出版流通業界は、昨今の電子化の流れを受け、販売の低迷が続き、依然として改善の兆しがなかなか見えない状況ではありますが、魅力のある店舗づくりを推進し、主たる事業である書籍・雑誌の販売強化を柱として、教育プラットフォーム事業を融合した新しい書店パッケージにて新たな収益獲得、両事業の連動したシナジー効果の創出に注力し、店舗の収益力の向上に努めてまいります。

 

(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、個人消費・企業活動が停滞し、経済活動再開の動きがみられるものの景気は急速に悪化しており、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。

 今後の出版流通業界におきましては、定期刊行雑誌を中心に売上低迷の改善に兆しが見えない中、市場の縮小傾向は続くものと思われます。

 このような状況の中、当社グループといたしましては、事業再生ADR手続において同意を得た事業再生計画を着実に実行し、事業構造改革に取り組んでまいります。

 収益改善につきましては、本社管理費を中心に業務の効率化による経費の削減を進めてまいります。店舗収益につきましては、エリアマネージャー制度によって組織力を強化し、顧客対応及び店舗オペレーションを見直すことによって売上高の増加及び店舗運営コストの削減に努めてまいります。また、不採算店舗の閉店を進めるとともに、新規事業として従来の書店に教育プラットフォーム事業を融合した新しい書店パッケージを開発し、今後は両事業を連動したシナジー効果の創出により、収益の拡大を図ってまいります。

 財務体質の改善につきましては、不採算店舗の閉店等により在庫の削減を引き続き進めてまいります。

 ロシア・ウクライナ情勢や円安などに起因した資源価格の高騰等の影響により、経済の先行きは不透明な状況が続いており、感染防止のための行動制限が長期化する中、これを契機として消費者の意識や行動は大きく変容しています。当社グループといたしましては、消費者の動向を見極めつつ、不採算店舗の閉店を進めるとともに、生活様式の変化に対応した品揃えや新たなサービスの提案に取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 同業種内における競争激化及び消費低迷等による影響(発生可能性:高、影響度:大)

 出版流通業界では、長引く個人消費の低迷によって売上高の減少が進む中で、競合他社店舗の濫立により業界内での企業間競争が激しさを増し、依然として厳しい環境が続いており、当社グループの経営成績及び財務状況が同業種内の競争激化及び消費低迷等により悪影響を受ける可能性があります。

 当社グループはこのような状況下、主要取引先である日本出版販売株式会社の協力を得ながら、部分的に導入していたエリアマネージャー制度を全国展開するとともに、顧客対応や店舗オペレーションの見直しを含め、店舗運営の改善に向けたアクションプランを実行しております。

 

(2) 店舗における万引き行為による影響(発生可能性:高、影響度:中)

 最近はメディアでも数多く取り上げられております書店における万引き行為が増加することにより、当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。

 現在当社グループをはじめ業界全体でこの問題に取り組んでおり、出版社に製本段階での盗難防止も兼ねたICタグの取り付け、また若年層の万引きを誘発しているとされる新古書店の買取に関しましても対策支援を要請しております。当社グループ内でも、警備員の増員・各従業員の万引きに対する危機管理の徹底を行っておりますが、万引き行為が増加することにより当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 店舗管理システムの不具合による影響(発生可能性:中、影響度:中)

 当社グループでは、全店舗にPOSシステムを導入しており、このシステムによって販売状況・在庫状況をリアルタイムで把握することが可能となり、販売活動を効率的かつ迅速に行うことが可能となっております。しかし、システムの故障・停止等何らかの不具合により当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。

 そのため、当社グループは、販売管理システムの運用管理を外部に委託し、データの消失に備えバックアップを行っております。また、アクセス権限の設定、パスワード管理によりデータ漏洩の防止に努めております。

 

(4) 再販売価格維持制度について(発生可能性:中、影響度:小)

 当社グループが販売する出版物については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)第24条の2の規定により、再販売価格維持制度(再販制度)が適用されております。これは、出版物が我が国の文化の振興と普及に重要な役割を果たしていることから、同法の適用除外規定により例外的に認められているものであります。したがって出版物は書店においては定価販売が行われております。

 この再販制度について、2001年3月23日公正取引委員会は、当該制度の廃止も視野に制度見直しを検討していた結果、文化、公共的な観点から存続を求める意見が優勢で「廃止には国民的な合意が得られていない」と判断し、新聞、書籍などの販売価格を新聞社や出版社が取り決める「再販売価格維持制度」を当面存続させると発表しております。

 当面は制度維持の方向で進むものと思われますが、公正取引委員会は、再販制度を維持しながら、今後も消費者利益のため、現行制度の弾力的運用を業界に求めていく方針を発表しておりますので、当該制度が廃止された場合、商品調達力と収益性に優位に立っていると思われる当社グループにとってはさらに有利な環境になると想定されます。しかし、廃止の時期については未定であり、また、廃止されない可能性もあります。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症拡大による影響(発生可能性:大、影響度:中)

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大の状況、政府及び自治体からの各種要請に基づき、従業員の健康管理を徹底し、店舗の営業時間の短縮及び臨時休業等を行ってまいりましたが、現時点においては当社グループの財政状態及び経営成績に対して重要な影響はありません。

 当社グループ店舗においては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、従業員のマスクの着用、出勤前の検温による体調管理、アルコール消毒の実施、定期的な換気等により対策を行っておりますが、世界的に感染拡大は続いており、現時点では収束時期の見通しは立っておらず、感染拡大の状況によっては当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) フランチャイズ契約について(発生可能性:小、影響度:大)

 教育プラットフォーム事業の一環として運営しているプログラミング教室は、株式会社YPスイッチとのフランチャイズ契約を締結して行っておりますが、フランチャイジーである当社はその運営方針をフランチャイザーの経営方針に委ねており、フランチャイザーの経営政策や経営状況等により、当社グループのプログラミング教室運営に重大な支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 競合について(発生可能性:中、影響度:中)

 プログラミング教室へ参入する会社が増加し、品質・価格・サービス競争が激化する可能性があり、当社グループのサービス等が競合企業と比べ優位性を維持できない場合や、品質・価格・サービス競争に適切に対応できない場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性があります。

 

(8) 重要事象等について

 当社グループは、2018年8月期に重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、債務超過となったことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると判断しておりました。

 その後、当社グループは、当該状況を早急に解消し、今後の事業再生と事業継続に向け、財務体質の抜本的な改善を図るため、2019年6月28日付で事業再生ADR手続の利用申請を行い、事業再生計画案に対して事業再生ADR手続の対象債権者となるすべてのお取引金融機関からご同意をいただき、2019年9月27日付で事業再生ADR手続が成立いたしました。また、本事業再生計画に基づき以下の施策を着実に実施してまいりました。

 事業上の施策といたしましては、①エリアマネージャー制の導入等、②返品率の減少、③文具販売の強化、④不採算店舗の閉鎖、⑤本部コスト等の削減、⑥組織再編等に取り組み、収益力の改善を実現してまいりました。

 財務面につきましては、お取引金融機関により、①債務の株式化、②債務の返済条件の変更によるご支援をいただきました。

 また、主要株主である日販グループからは、①店舗の競争力を維持・強化するため、500百万円の出資、②既存債務の一部支払いの条件変更、③その他事業面、人事面でのご支援をいただき、財務状態の安定化を図ってまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度において、営業利益52百万円、経常利益75百万円、親会社株主に帰属する当期純利益73百万円を計上し、純資産額は1,171百万円となりました。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による本事業再生計画への影響が不透明であることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 今後、引き続き事業再生計画における施策を実行、新規事業の展開へ注力することで、継続企業の前提に関する重要事象等を解消できるものと考えており、したがって、継続企業の前提に関する不確実性は認められないものと判断し、「継続企業の前提に関する注記」は記載しておりません。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、売上高についての対前連結会計年度比(%)を記載しておりません。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、2019年9月27日に成立した事業再生ADR手続において同意を得た事業再生計画に基づいて、引き続き事業構造改革に取り組んでまいりました。

 各事業の運営状況は次のとおりであります。

 

 主力の書店事業については、引き続き厳しい経営環境の下、棚卸資産の評価の見直しによる商品評価損を計上していた商品の一部を安価での売却を進めてまいりました。また、二子玉川店及び新城駅店、R412店、グリーンコート店の大規模改装を行い、お客様からは高評価を得ており、好調に推移しております。また、不採算店舗におきましては、7店舗の閉店を行いました。

 

 新規事業として開始いたしました教育プラットフォーム事業では、プログラミング教室「プログラミング教育 HALLO powered by Playgram × やる気スイッチ TM」に加盟し、2022年1月にHALLO 文教堂 溝ノ口教室を開校、続いて2022年5月にHALLO 文教堂 R412校、2022年8月に3教室目、HALLO 文教堂 グリーンコート校を開校しました。ともに、順調に生徒を獲得し、進行しております。

 

 一方で、当社グループ全体といたしましては2022年8月31日に株主名簿が確定し、2021年8月31日の株主数と比較して約1.7万人の株主様が増加(約92%の増加)したことにより、株式事務代行手数料が増加しております。

 

 以上の結果、売上高は16,486百万円(前連結会計年度は18,782百万円)、営業利益は52百万円(前連結会計年度比85.7%減)、経常利益は75百万円(前連結会計年度比80.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は73百万円(前連結会計年度比80.0%減)となりました。

 なお、当社グループの報告セグメントは従来「販売業」及び「販売受託業」の2事業に区分して報告しておりましたが、当連結会計年度より、報告セグメントを「販売業」及び「教育プラットフォーム事業」の2区分に変更しております。教育プラットフォーム事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて422百万円減少して1,129百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 「営業活動によるキャッシュ・フロー」は主に、税金等調整前当期純利益の計上87百万円、棚卸資産の減少額151百万円、仕入債務の減少額171百万円、その他135百万円などの要因により、得られた資金は238百万円(前年同期は349百万円の収入)となりました。

 「投資活動によるキャッシュ・フロー」は主に、有形固定資産の取得による支出210百万円、差入保証金の回収による収入102百万円などの要因により、使用しました資金は178百万円(前年同期は30百万円の支出)となりました。

 「財務活動によるキャッシュ・フロー」は主に、短期借入金の純減額175百万円、長期借入金の返済による支出307百万円などの要因により、使用しました資金は482百万円(前年同期は353百万円の支出)となりました。

 

③仕入及び販売の実績

a. 仕入実績

事業部門別

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

 至 2022年8月31日)

仕入高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

書籍・雑誌等の販売業

 

 

 

書籍

5,319,244

46.0

87.2

雑誌

3,875,775

33.5

77.4

文具

949,208

8.2

88.6

その他※1

1,410,658

12.2

114.1

合計

11,554,887

100.0

86.1

(注)※1.「その他」は、CD・DVD、ホビー、図書カードほかであります。

2.セグメント情報は重要性が乏しいため記載を省略しております。

b. 販売実績

事業部門別

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

 至 2022年8月31日)

売上高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

書籍・雑誌等の販売業

 

 

 

小売

 

 

 

書籍

7,160,221

43.4

雑誌

5,445,045

33.0

文具

1,784,939

10.8

その他※2

2,001,194

12.1

小計

16,391,400

99.4

卸売※1

 

 

 

書籍・雑誌

16,269

0.1

その他※2

1,278

0.0

小計

17,547

0.1

その他※3

77,116

0.5

合計

16,486,065

100.0

(注)※1.卸売は、フランチャイジーに対するものであります。

※2.小売及び卸売の「その他」は、CD・DVD、ホビー、図書カードほかであります。

※3.「その他」は、出版社からの報奨金収入、教育プラットフォーム事業での授業料収入等であります。

4.セグメント情報は重要性が乏しいため記載を省略しております。

5.当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用しております。このため、前年同期比については記載しておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績の分析

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、依然として厳しい状況にある中、ワクチン接種等の対策により段階的な経済活動の再開とともに回復の途上にありますが、国内外の感染症の動向、またロシア・ウクライナ情勢や円安などに起因した資源価格の高騰等の影響により、先行きは不透明な状況が続いております。

 出版流通業界におきましては、前連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、巣ごもり需要により売上は好調に推移しておりました。しかしながら、国内の新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、行動制限も徐々に緩和され外食・娯楽・旅行関連業が回復の兆しを見せるなど消費行動が外出再開へ向かい、2021年8月頃から需要は減退し業況は悪化に転じております。また、個人の消費支出の動向としては、エネルギー価格や食料品価格の高騰により生活必需品に圧迫され、教養娯楽使用品への支出は減少し、厳しい業績推移が続いております。

 このような状況下において、当社グループにおきましては、2019年9月27日に成立した事業再生ADR手続において同意を得た事業再生計画に基づいて、引き続き事業構造改革に取り組んでまいりました。

 各事業の運営状況は次のとおりであります。

 

 主力の書店事業については、引き続き厳しい経営環境の下、棚卸資産の評価の見直しによる商品評価損を計上していた商品の一部を安価での売却を進めてまいりました。また、二子玉川店及び新城駅店、R412店、グリーンコート店の大規模改装を行い、お客様からは高評価を得ており、好調に推移しております。また、不採算店舗におきましては、7店舗の閉店を行いました。

 

 新規事業として開始いたしました教育プラットフォーム事業では、プログラミング教室「プログラミング教育HALLO powered by Playgram × やる気スイッチ TM」に加盟し、2022年1月にHALLO 文教堂 溝ノ口教室を開校、続いて2022年5月にHALLO 文教堂 R412校、2022年8月に3教室目、HALLO 文教堂 グリーンコート校を開校しました。ともに、順調に生徒を獲得し、進行しております。

 

 一方で、当社グループ全体といたしましては2022年8月31日に株主名簿が確定し、2021年8月31日の株主数と比較して約1.7万人の株主様が増加(約92%の増加)したことにより、株式事務代行手数料が増加しております。

 

 これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、書店事業における消費行動の変化による落込みが大きく、総じて引き続き厳しい業績で推移し、売上高は16,486百万円(前連結会計年度は18,782百万円)となりました。また、営業利益においては、減収に加えて、資源価格の高騰による運賃、光熱費の増加、株主数増加に伴う諸経費の増加により、営業利益は52百万円(前連結会計年度比85.7%減)、経常利益は75百万円(前連結会計年度比80.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は73百万円(前連結会計年度比80.0%減)となりました。

 

 b.財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末における資産合計は、10,127百万円となり、前連結会計年度末に比べて672百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金が422百万円、商品が151百万円減少したことなどによるものです。

 

(負債の部)

 負債合計は8,955百万円となり、前連結会計年度末に比べて745百万円減少いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金が171百万円、短期借入金が175百万円、長期借入金(1年内返済予定分を含む)が307百万円減少したことなどによるものです。

 

(純資産の部)

 純資産合計は1,171百万円となり、前連結会計年度末に比べて73百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が73百万円増加したことなどによるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 a.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、棚卸資産の減少による収入、仕入債務の減少による支出、有形固定資産の取得による支出、短期借入金の純減額及び長期借入金の返済による支出等の影響を受けております。

 また、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況に関しましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要の主なものは、店頭での販売による商品の仕入及び店舗運営に係る販売費及び一般管理費等であります。また、設備資金需要の主なものは、既存店の改装に係る固定資産の購入によるものであります。

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入により資金調達することとしております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関する会計上の見積りに与える影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) 株式会社丸善ジュンク堂書店との業務提携

 当社は2009年12月24日開催の取締役会において、株式会社丸善ジュンク堂書店との間で業務提携を行うことについて決議を行い業務提携契約を締結いたしました。

業務提携の内容

 当社及び株式会社丸善ジュンク堂書店は、それぞれが保有する経営ノウハウ(店舗運営力、店舗開発力、システム・ITに関するノウハウ、物流機能、ブランド力、技術力など)を共有化し、また、協働での新規サービス等新業態、新企画の開発を行う等の協業体制を構築することによって、両社の発展に寄与することを目的として、業務提携を行うことに合意いたしました。具体的な提携の範囲は以下のとおりです。

1.店舗事業領域

①相互店舗の出店・退店の調整

②相互の販売データ活用及び販元へのデータ提供

③人材交流及び共同研修等を通じた店舗運営ノウハウの共有

④洋書、文具、専門書、ホビー等に関する商品調達力等の各自の強みの、相互店舗への応用・展開

⑤顧客注文に対する商品の相互融通

⑥POSシステムの連携及び共同開発

⑦共同催事の開催

2.外商関連領域

①店舗在庫を活用した外商顧客の相互店舗利用のスキーム化

3.その他

①共用カードの開発
②システム開発の一本化、共同化
③ネット会社の提携
④相互の関連会社との取引推進その他連携強化
⑤在庫棚卸業務の共同化

 

(2) 大日本印刷株式会社との業務提携

 当社及び大日本印刷株式会社は、提携関係の一環として、大日本印刷株式会社又は大日本印刷株式会社の子会社もしくは関連会社各社と当社グループ各社との間で次の業務提携を推進してまいります。

業務提携の内容

1.honto会員の獲得施策等

2.購買情報の利用

3.相互送客施策

4.商品・サービス開発

 

(3) 日本出版販売株式会社との業務提携

 当社は2016年9月13日開催の取締役会において、日本出版販売株式会社との間で業務提携を行うことについて決議を行い業務提携契約を締結いたしました。

業務提携の内容

 本業務提携は、両社の本業である書籍・雑誌の販売をより効率的に行うために複合商品の共同研究を進め、経営効率に優れた書店モデルを造るなど新企画の開発を行う等の協力体制を構築することによって、両社の発展に寄与することを目的としたものです。

 具体的な業務提携の内容は以下のとおりです。

1.文具・雑貨をはじめとする複合商品の共同研究

2.アニメ関連商品等のオリジナル商品・PB商品の共同開発及び展開

3.既存書店を利用した新たな業態の開発

4.販売データの活用・共有化及びシステム整備

 

(4) 日本出版販売株式会社との取引基本契約及び再販売価格維持契約

 連結子会社である株式会社文教堂は、主要仕入先である日本出版販売株式会社と継続した取引を行うことを目的とし、取引基本契約を締結しております。このほか、独占禁止法第24条の2の規定に基づき、再販売価格維持契約を締結しており、その要旨は次のとおりであります。

1.出版物の定価販売を維持するため、日本出版販売株式会社(乙)が出版業者(甲)と締結した契約に基づき、乙と株式会社文教堂(丙)の間に本契約を締結する。

2.丙は甲又は乙より仕入れ又は委託を受けた出版物を販売するにあたっては、甲の指定する定価を厳守し、割引または割引に類する行為をしない。

3.乙は出版物を直接需要者に販売しない。

(5) フランチャイズ契約

 連結子会社である株式会社文教堂は、出店先地域社会との協調、地元への貢献を図ることを基本方針として、地元店とのフランチャイズ契約を締結しております。

 フランチャイズ契約の要旨は次のとおりであります。

契約の目的

株式会社文教堂(甲)がフランチャイジー(乙)に対して、甲が使用している商標・CI等及び経営のノウハウを用いて、同一とみられる企業イメージのもとに営業を行う権利を与え、乙はその代償として一定の対価を支払い、甲の指導と援助のもとに継続して営業を行い、相互の繁栄を図ることを目的とする。

商品の仕入

乙は甲より商品を仕入れるものとする。

商品取引価格

甲の仕入価格に一定料率のロイヤリティーを加えた価格とする。

契約期間

3年間契約。ただし、期間満了の6ヶ月前までに申出のない時は自動延長されるものとする。

 

(6) 株式会社YPスイッチとのフランチャイズ契約

 連結子会社である株式会社文教堂は、株式会社YPスイッチとの間でフランチャイズ契約を締結いたしました。契約の概要は次のとおりであります。

契約会社名

株式会社文教堂(連結子会社)

相手先の名称

株式会社YPスイッチ(フランチャイザー)

契約の概要

株式会社YPスイッチが保有する商標の使用許諾並びに経営ノウハウ及び商材の提供。

契約期間

契約日から2年。以後1年ごとの自動更新。

ロイヤリティ

定額もしくは、毎月の売上高の一定料率、いずれか高い金額。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。