当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、基本理念として、以下の内容を掲げています。
1.技術は究極を目指し
2.競争と協調を尊び
3.技術注力企業として社会に貢献する
当社は、お客様が技術的に困られている部分に対して解決の手法を提供することで存在の価値を顕現してきました。技術的に困るということは一般に知られていない技術が必要であるということですから、その解決に向けては過去の手法を探すのではなく、問題の本質的な部分を検討することを特に重視して、その解決に向けて現段階で考えうる最良の技術要素を選択できることを意図しています。
一般的に解決しがたい問題は、当然当社にとっても難しい課題となりますが、社内では、時には競い合いながら、時には協力しながら課題に対峙していきます。
当社は、経済を支える“モノづくり”のなかで、モノづくりの源流である部品加工にこだわっていきます。そしてさまざまな分野で総合メーカーを支えられる企業となるために、先端技術と供給力を持つ「部品加工のリーディングカンパニー」を目指します。
(2)経営戦略等
当社は、「Innovation 2026」と称して、2023年8月期から2026年8月期を期間とする新たな中期事業計画を策定し、基本方針である「革新」をキーワードとしながら、生産手法や管理手法を革新することで永続できる企業を目指すことを目標としております。
中期事業計画の基本的な戦略は、構造的な需要増加に加え政治的な需要増加も見込まれることから、既存顧客の深掘と新規顧客の量産開始で、市場成長を超えるシェア拡大を図ってまいります。
なお、中期事業計画の策定については、当社の主な営業分野である半導体製造装置・FPD製造装置の市場環境の分析に新計画の目標と戦略を織込んだものでありますが、当中期事業計画に関する具体的な内容については2022年6月3日に開示いたしました「中期事業計画の策定及び中期事業計画説明会開催のお知らせ」、2023年10月6日に開示いたしました「2023年8月期決算 補足資料及び中期事業計画修正資料」及び2024年10月11日に開示いたしました「2024年8月期決算 補足資料及び中期事業計画修正資料」をご参照ください。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、中期事業計画「Innovation 2026」を通して、生産手法や管理手法の革新を計る指標として投下資本利益率であるROICを採用し重要な経営指標として位置付けており、同中期事業計画の期間中に資産ベース20%、負債ベース18%を目標としております。なお、当事業年度におけるROICは、資産ベース1.4%、負債ベース0.9%であります。
(4)経営環境
当社の経営環境は、当社の属している市場環境に左右される一面を有しています。主な販売分野である半導体とFPDの市場は景気変動に伴い大幅な需要の変動が起こります。これらの変動に対応するために、新分野の拡大を行うとともに固定費の抑制を主な対応策としております。新分野の拡大につきましては、通常の営業活動に加え、研究開発も積極的に進める方針です。また、固定費の抑制につきましては、需要の変動に対応するため、協力企業の育成と活用を行うことと、社内業務の切り分けと定型化を進め、有期雇用契約社員や派遣社員を活用する方針です。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①競争の激化と受注価格低下
当社の属する業界は中小の同業社が多く、厳しい競争のある業界です。参入障壁の低い案件は競争から価格は低下します。そのような業界のなかで、当社は参入障壁の高い真空パーツへ取り組み受注拡大を狙い、また、独創的な加工手法や徹底的に行う生産性改善手法によりコスト低減を続け市場価格の低下に先回りした対応をしております。しかしながら、保有する技術の陳腐化が進むことから今後も継続的に技術開発を行う必要があります。そのため、当社においてはR&Dの強化と人材育成に注力する方針です。
②「人」に対する取組み
当社は、人の持つ技術力や営業力が最も重要な強みであるため、強みを持つ人材の安定化と育成が重要な課題となっております。しかしながら、継続的に改善が進みながらも、高い能力を持つ人材に頼る部分が多く、時間外労働や休日出勤の偏りが生じております。このような状況から、多様な勤務形態を構成することで個々の負担を減らし、社員満足度の向上と人材の安定化を図り、長期的な人材育成プランを実現していく方針です。
③M&Aスキームの構築
当社は、新規分野の拡大や生産力の確保などの目的でM&Aを進める方針を持っておりますが、対象とする会社に未上場企業が想定されることから当該会社の連結ないし営業譲受のスキーム構築が課題となっております。
これは、一般的に中小規模の未上場企業において内部統制システムが構築されていないことや製造原価の把握が貧弱である場合があります。そのような企業に対し画一的な内部統制の構築や製造原価の把握を強いることは、場合によっては企業風土の破壊や生産性への悪影響を及ぼすことが懸念されます。管理体制の貧弱な企業に対して、どのような管理システムを構築するのか、また、企業風土と収益構造を維持したままでの製造原価把握システムの構築は、今後の中小製造業のM&Aにおいては重要な課題です。これらの課題に対して具体的な案件を進めながら、可能な限り汎用的スキームを構築していく方針です。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティの基本的な考え方
持続可能な社会は、事業の継続と成長に不可欠です。当社は、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指して、以下のサステナビリティ基本方針を定めました。具体的な課題を特定し、課題への取り組みとして施策を継続的に推進しております。
<サステナビリティ基本方針>
1.半導体製造装置やFPD製造装置への部品供給を通じて、情報社会を支える
2.持続可能な社会の実現を目指す
3.誰もが活躍できる環境を整える
4.健全な経営基盤を確立する
(2)サステナビリティ全般に関する「ガバナンス」と「リスク管理」
①ガバナンス
気候変動課題を含むサステナビリティに関する課題への取り組みは、取締役会の監督のもと、ESG委員会を中心に推進しております。これらの課題は中長期的な経営課題への取り組みとなるため、経営陣がメンバーとして参画し、経営へのインパクトを高めています。委員長を女性社外取締役が務めることで社外の知見を入れて、議論の活性化を図っています。また、従業員メンバーは全事業所及び幅広い部門から選任し、現場からの課題意識や意見を課題解決に反映する体制としております。
<ESG委員会の構成と役割>
委員長 :社外取締役
メンバー:代表取締役社長、常勤取締役、従業員10名(幅広い部門から選任)
開催頻度:原則月1回
主な責務:1.サステナビリティに関する重要課題の特定と対応方針の策定
2.サステナビリティリスク・対策の特定と評価、対応策の審議
3.サステナビリティ目標の設定とKPIのモニタリング
<取締役会との連携>
・ESG委員会の議論内容を月次で取締役会に報告
・取締役会からのフィードバックと指示に基づき、戦略を適宜調整
このように、サステナビリティ課題に対して全社的な推進体制を整備し、経営層が積極的に関与する形でガバナンスを強化しております。
②リスク管理
ESG委員会は、気候関連を含むサステナビリティのリスク及び機会の管理を管掌しております。同委員会は全社的なリスク管理も担当し、サステナビリティ関連のリスク及び機会を組織全体の影響とともに評価及び管理しており、それぞれを短期・中期・長期の視点から、財務への影響度を定量的に評価しております。特に重要度が高いリスク及び戦略的に重要な機会については、対応策や実行計画を策定し、取締役会や関連部署と情報を共有しており、この対応の進捗状況はESG委員会によって継続的にモニタリングされております。リスク及び機会の評価は年に1回行われ、その結果は取締役会に報告され、必要な指示を受けております。
(3)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」
①戦略
当社は、半導体・FPDなどの先端産業を支える精密加工技術を基盤に顧客の厳しい要求に応える高度な技術力と安定した供給力を強みとしています。2030年に向けた長期ビジョンの実現と中期事業計画「Innovation2026」の達成に向けて、経営戦略及び財務目標と連動したサステナビリティ戦略を展開しています。
特に人材は当社の技術力と供給力を支える最重要の経営資源であり、優秀な技術者の育成・確保や製造人材のスキル向上を戦略的に進めています。これらの人的資本への投資を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。
a.人的資本経営への取り組み
<人材育成方針>
当社は人材に対する施策を最重要課題と位置付けております。
安定した事業継続のため、採用の強化と定着率の向上が不可欠であり、これらを達成するため、人材部門及び人材戦略委員会を設立し、組織体制の整備や施策の実施に取り組んでおります。
1.プログラマー育成の推進
主要な製造技術者に対し、オペレーションだけでなく、プログラマーとしての教育を行うことで量産品の試作やボリュームのある単品物についても短納期対応を可能としており、プログラマーの割合が多いことが当社の強みとなっております。
優秀なプログラマーの育成が競争優位性を高める重要な要素であると認識し、2030年8月期に100名まで増員することを目標としております。
2.多様化の推進
当社は、性別や国籍、障がいの有無にかかわらず、多様な個人のポテンシャルを最大限に引き出すことが将来の事業強化に繋がるとの考えから、全社での取り組みを強化しております。女性社外取締役を委員長とするESG委員会にて具体的な課題や対策の議論を行っており、すべての従業員が平等に活躍することができ、多様なキャリアの形成を可能とする環境の整備に取り組んでまいります。
3.マネジメント人材の育成
当社の持続的な成長を支えるためには、優れたマネジメントスキルを持つ人材の育成が不可欠であると認識しております。次世代リーダーの育成とマネジメント層の充実を目的として、実務を通じた育成を基礎に、階層別教育プログラムを整備し、コミュニケーションやチームビルディングに必要なスキルの構築に取り組んでまいります。
<社内環境整備方針>
当社は人の持つ技術力や営業力が最も重要な強みであるため、強みを持つ人材の安定化と育成が重要な課題となっております。中長期的な企業価値向上へむけて、社員それぞれの個性を活かし、誰もが活躍し、成長できる職場環境の整備に取り組んでまいります。
1.仕事と育児・介護の両立
仕事と育児・介護の両立を可能にする制度の充実を図り、育児や介護などのライフイベントに柔軟に対応できる職場環境づくりに取り組んでまいります。
2.働きやすさの改善
当社では女性会議等を通じて、ESG委員主導による働きやすさの改善活動を実行しています。今後従業員エンゲージメントサーベイの実施を予定しており、更なる社内環境整備の実現のために、現状や課題を把握し、働きやすさと仕事に対する充実感や満足感の向上に取り組んでまいります。
また、社員の健康維持と増進を目的とした社員食堂を設置予定としております。この社員食堂では食事のなかで従業員同士の会話が生まれ、人との距離を近づけることによる心の安定も期待しています。
[試作力強化による中長期的な収益力向上]
上記の人材育成方針に基づき、特に当社の競争力の源泉となる試作力の強化を重点的に進めています。
当社の中期事業計画「Innovation2026」達成に向けて、試作力の強化が重要な戦略となります。当社の受注プロセスにおいて、試作品の製造は最初の重要なステップとなります。プログラマーがお客様の図面・要求を基に製造方法を確立し試作品を製造、承認を経て本受注に繋がります。品質を担保しながら短納期で試作対応できる体制を構築することで、顧客満足度の向上と将来の安定的な収益基盤の確立を目指します。
プログラマーには高度な技術力と経験が必要なため、長期的な人材育成が不可欠です。当社では2030年の目指す姿の実現に向け、次の2つの試作力強化策を実行しています。
1.プログラマー育成プロジェクトによる教育体制の確立と人員増強
2.生産体制の最適化(高スキル人材の試作専任化、複数製品の同時開発に対応したチーム編成)
b.気候変動対応
当社は製造過程において、大量の電力を消費しています。また、主要顧客である半導体業界においても、気候変動対応は重要な経営課題となっています。このような事業環境に加え、社会の一員として持続可能な地球環境への貢献も重要な責務と認識しており、当社は気候変動課題を重要な経営課題として位置付け、2040年のネットゼロ実現を目指しています。
気候関連のリスク及び機会
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分類 |
リスク・機会 |
当社への影響 |
対応策 |
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移行 リスク |
政策・法規制リスク |
・炭素税導入による製造コスト上昇 ・環境関連の情報開示義務の厳格化 |
・自社発電比率の向上(2028年27%以上、2040年50%以上) ・環境情報開示体制の整備 |
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市場リスク |
・半導体業界全体のネットゼロ化による環境基準の厳格化 ・顧客企業のサプライチェーン全体での環境負荷低減要求 ・エネルギーコストの上昇 |
・製造プロセスの環境負荷低減 ・サプライチェーン全体での排出量削減 ・自社発電比率の向上(2028年27%以上、2040年50%以上) |
|
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技術リスク |
・低炭素技術への移行による既存設備の陳腐化 ・競合他社の環境技術革新による競争力低下 |
・省エネ設備への計画的な更新 ・AIやIoTを活用した製造プロセスの最適化 |
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評判リスク |
・環境対応の遅れによる企業評価の低下 ・ステークホルダーからの評価低下 |
・環境情報の積極的な開示 ・環境目標の設定と進捗管理 ・ステークホルダーとの対話強化 |
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物理 リスク |
急性リスク |
・台風・豪雨による設備被害や操業停止 ・サプライチェーンの寸断 |
・事業継続計画(BCP)の強化 ・設備補強 ・機動的な生産システムの構築 ・サプライチェーンの多様化 |
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慢性リスク |
・平均気温上昇による冷却需要の増加 ・従業員の健康への影響と生産性低下 |
・高効率の空調システムの導入 ・作業環境の改善 |
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機会 |
資源効率 |
・エネルギー効率の高い製造プロセス導入によるコスト削減 |
・空調及びポンプの高効率化 ・生産プロセスの効率化 |
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エネルギー減 |
・再生可能エネルギーの導入による環境負荷低減 ・エネルギーコストの安定化 |
・2028年までに自社発電再エネ比率27%以上 ・2040年までに50%以上を目指す |
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市場 |
・環境考慮による競争優位性の確保 ・顧客からの評価向上 |
・サプライチェーン全体でのGHG排出削減の取り組み ・顧客の環境要求への早期対応 |
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レジリエンス |
・気候変動対応による事業継続性の向上 ・サプライチェーンの多様化・強靭化による調達リスク低減 |
・事業継続計画(BCP)の強化 ・サプライチェーンの多様化 |
気候変動関連のリスクと機会への対応
当社は、2040年までのネットゼロ達成に向けて、以下の段階的な取り組みを継続して実施してまいります。
2024年8月期
・取締役会でのGHG削減計画の審議
・排出量削減計画の見直しと具体的施策の策定
2028年8月期までの取り組み
・全事業所への太陽光発電・蓄電池の前倒し導入(投資総額6.4億円)
・太陽光パネル設置容量3,400kW以上の達成
・蓄電池容量2,500kWhの整備
・自社発電比率27%以上の実現
2040年に向けた長期戦略
・再生可能エネルギーへの継続的投資
・自社発電再エネ比率50%以上の達成
・サプライチェーン全体でのGHG排出削減施策の展開
②指標と目標
a.人的資本経営への取り組み
当社は、上記の戦略において記載した事項について、次の指標を掲げており、目標・実績は以下の通りです。
なお、これらの指標と目標については毎月ESG委員会にてモニタリングを行っております。
その他、サステナビリティの具体的な取り組みについては「マルマエレポート2024」をご覧ください。(https://www.marumae.com/sus_report.html)
プログラマー育成の推進
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指標 |
目標 |
2023年8月期実績 |
2024年8月期実績 |
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71名 |
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多様化の推進
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指標 |
目標 |
2023年8月期実績 |
2024年8月期実績 |
|
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12.6% |
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10.2% |
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継続目標 |
2.86% |
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仕事と育児・介護の両立
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指標 |
目標 |
2023年8月期実績 |
2024年8月期実績 |
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100% |
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|
|
100% |
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働きやすさの改善
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指標 |
目標 |
2023年8月期実績 |
2024年8月期実績 |
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2025年までに12万円/年 |
95,332円 |
|
b.気候変動対応
気候変動関連の主要指標と目標値
1.GHG排出量
・基準年度(2024年度)の排出量を基準として設定
・2040年度までにネットゼロを達成
2.再生可能エネルギー導入
・太陽光発電設備:3,400kW以上(2028年度)
・蓄電設備容量:2,500kWh(2028年度)
・自社発電比率:27%以上(2028年度)、50%以上(2040年度)
これらの目標達成に向けて、取締役会及びESG委員会による定期的なモニタリングと施策の見直しを実施します。
気候変動課題に関する詳細については、当社のウェブサイト上で公開されているTCFD(※)及びCDP質問書をご参照ください。
●サステナビリティページ:https://www.marumae.com/sustainability.html
また、温室効果ガス排出量の数値につきましては、以下のページをご参照ください。
●ESGデータ:https://www.marumae.com/sus_3.html
※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
当社の業績は多岐にわたる変動要因の影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)主要市場での需要の急激な変動について
当社は、主に半導体業界及びFPD業界を対象として、その生産ラインで用いられる各種生産設備部品の製造・販売を行っていますが、半導体業界におきましてシリコンサイクル、FPD業界におきましてクリスタルサイクルと呼ばれる業界特有の好不況の波が存在します。
当社におきましては、メーカーの設備投資動向に左右されない消耗品などの安定的な販売が見込める分野の受注に注力するなどの対策を行い、業績への影響を最小限にすべく努力しております。
しかしながら、これらの景気変動によって、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
最近5年間の売上高及び製品分野別売上高の推移は下表のとおりであります。
|
回次 |
第33期 |
第34期 |
第35期 |
第36期 |
第37期 |
||
|
決算年月 |
2020年8月 |
2021年8月 |
2022年8月 |
2023年8月 |
2024年8月 |
||
|
売上高(千円) |
4,388,522 |
5,369,639 |
8,585,027 |
6,868,463 |
4,749,003 |
||
|
|
精密部品事業小計 |
4,388,522 |
5,369,639 |
8,585,027 |
6,868,463 |
4,749,003 |
|
|
|
|
半導体製造装置関連部品(千円) |
3,202,930 |
4,221,291 |
6,382,368 |
4,534,063 |
3,558,923 |
|
|
|
FPD製造装置関連部品(千円) |
1,068,640 |
838,357 |
1,542,575 |
774,910 |
1,008,736 |
|
|
|
その他(千円) |
116,950 |
309,990 |
660,083 |
1,559,489 |
181,343 |
(注)1.財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、三優監査法人の監査を受けておりますが、製品分野別売上高については、当該監査を受けておりません。
2.第35期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、第35期以降の売上高及び製品別売上高については、当該会計基準等を適用した後の数値を記載しております。
(2)景気変動に関するリスクについて
当社の販売する各種生産設備部品は、日本国内で利用される製品だけでなく、顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も含まれています。そのため、日本の景気動向だけではなく、世界的な景気後退により大きな影響を受けることがあります。米中貿易摩擦の長期化、ロシアによるウクライナへの侵攻、環境問題、政治又は経済要因等、何らかの理由で国内外の景気が下振れした場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(3)特定の取引先への依存について
当事業年度の販売実績上位3社の構成比率は、59.3%(前期上位3社構成比率67.9%)と8.6ポイント減少しております。
これらの主要販売先との間では、今後も継続的な取引が見込まれることと、1社当たりの依存度を減らす方針に基づき新規の取引先拡大に向けた営業を展開しておりますが、何らかの要因でこれらの主要な販売先との取引が縮小した場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(4)価格競争について
当社の属する精密部品業界は、多数の同業他社がひしめく、非常に参入業者の多い厳しい競争のある業界です。それらの精密部品群のなかでも当社は、高付加価値部品を得意分野としております。
しかしながら、今後は他社との競争が激しくなり、価格の下落を加速させる可能性があります。あるいは、為替相場の変動によって海外の同業他社との競争力が落ちる可能性があります。
これら競争の激化により、価格競争力を維持できなくなった場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(5)人材確保について
当社の継続的な事業運営において、将来的なビジョンを見据えた上での人材確保・育成は必要不可欠なものと認識しております。当社は、新卒採用強化のほか、成果と連動した報酬制度や休日数の見直しを行い、働き方や価値観の多様化に対応した人事制度の構築や労働環境の整備に取り組んでおります。また、人材の育成については、各種資格の取得支援や各種研修・教育を実施しております。しかしながら、人材を適時確保できない場合や人材が大量に社外へ流出してしまった場合、あるいは育成等が計画どおり進まない場合には、必要な人材を確保することが困難となり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(6)原材料等の調達に関するリスクについて
当社は、アルミ等を原材料とした製品を製造しておりますが、円安・地政学リスク等により当社の使用する原材料価格が上昇しております。当社は、工程管理と原価削減の徹底を図り、複数の取引先と契約を結び安定的な調達・供給を心がけておりますが、予想以上の材料価格の急騰や長期にわたって高騰が続くことにより、原材料価格の高騰分をコスト削減などで吸収できず売価に転嫁できない場合等、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7)情報セキュリティに関するリスクについて
当社は事業全般において様々なコンピューターシステム及びITネットワークを活用しております。このため、ISO27001を取得するとともに、各種情報セキュリティ管理規程を定め、全ての役員及び従業員等に対する情報の取り扱いについて規範を定め、全社を対象にした情報セキュリティ委員会を立ち上げ組織的強化を図ることで、情報セキュリティの対策を実施しています。
しかしながら、人的ミス、機器の故障、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルス感染等により情報通信システムに不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、顧客データ等の情報流出等が生じた場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(8)部品製造技術等のノウハウについて
当社が有する部品製造技術のノウハウの一部は、CAD/CAM等のデータとして保管され、パスワードによるデータへのアクセス制限やデータ消失に備えたネットワークストレージへのバックアップなどを行っております。
また、複雑形状加工技術、工作機械制御技術及び新素材加工技術など業界の動向に対応した技術の開発及び獲得のため研修を行い技術力の維持・向上に努めております。
しかしながら、当社が有する部品製造ノウハウの流出又は消失が起こった場合や業界の動向に対応した技術の開発及び獲得が遅れた場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(9)当社製品に不具合が生じた場合について
当社は全生産拠点において国際品質規格であるISO9001を取得するとともに、社内において品質管理体制を確立しておりますが、種々の要因により不良品の発生の可能性があります。
当社製品に何らかの不具合が発生した場合には、当社及び当社の部品製造技術に対する信頼が著しく損なわれる可能性があり、また、設計上の欠陥、製造時の欠陥により、エンドユーザー等より製造物責任を追及される可能性があり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(10)研究開発(R&D)について
当社は自社事業の生産性向上と新技術開発及び新たな事業の創出などを目標としてR&D活動を実施しておりますが、活動が停滞した場合は、利益率の低下や投下資金の回収ができず、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(11)財産権等について
当社は、他社の特許権等の知的財産権を侵さないよう細心の注意を払い、受注と技術開発にあたっていますが、第三者の特許権等の知的財産権を侵害するとして損害賠償等の請求を受ける可能性があります。
また当社が所有している特許においては特許が侵されるリスクがあり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(12)今後の資金調達について
当社は、事業活動の拡大を図るための設備投資等の資金需要に対し、主に金融機関等から資金調達をしております。資金調達については、金融機関との間で信頼関係を築いており、今後も必要な資金につきましては、調達可能と考えておりますが、適切な時期に金融機関等からの資金調達ができない場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(13)今後の設備投資計画について
当社は、生産能力拡大のため継続的な設備投資を実施しておりますが、新たな設備が計画通りに稼働しない場合や想定通りの受注が取れないなど計画と乖離する場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(14)有利子負債依存度について
当社は、金融機関からの借入を中心に資金調達を行っており、一部の借り入れは変動金利であります。したがいまして、金融環境の変化等により借入金利が上昇した場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
最近3年間の有利子負債残高及び同残高の総資産に占める割合は下記のとおりであります。
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回次 |
第35期 |
第36期 |
第37期 |
||||
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決算年月 |
2022年8月 |
2023年8月 |
2024年8月 |
||||
|
残高 |
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
有利子負債残高合計 |
3,250,312 |
25.9 |
3,519,024 |
30.3 |
3,477,540 |
30.3 |
|
|
|
期末借入金残高 |
3,223,694 |
25.7 |
3,496,682 |
30.1 |
3,459,550 |
30.2 |
|
その他の有利子負債の残高 |
26,618 |
0.2 |
22,342 |
0.2 |
17,990 |
0.2 |
|
|
総資産額 |
12,552,945 |
100.0 |
11,612,024 |
100.0 |
11,464,215 |
100.0 |
|
(15)企業買収・資本提携・事業譲受(M&A)について
当社は、半導体分野やFPD分野を主な販売分野としておりますが、これらの分野は景気変動の幅が大きいことから、新しい分野への営業を拡大する目的と、既存分野での新しい顧客開拓や新技術獲得にむけてM&Aも選択肢として進める方針であります。しかしながら、M&Aによって財務バランスが崩れたり、取得した企業及び事業が期待通りの成果を上げられなかった場合は、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(16)減損会計について
当社は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として事業所単位を基本とした資産のグルーピングを行っております。
今後の市場環境の悪化等の要因により、当社の事業用資産が減損会計適用の検討対象となり、当社の事業所において営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスになった場合や、保有する固定資産の市場価格が著しく下落した場合など、固定資産の減損会計の適用により追加の特別損失や営業外費用の計上が必要となる可能性があります。
(17)見込生産について
当社は、主として個別受注による受注生産を行っておりますが、近年顧客からの納期短縮要請が年々強まっており、受注のリードタイムより製造のリードタイムが長い製品については、顧客からの発注見込情報等により受注確度が高いと判断した場合に、材料の先行手配と見込生産を行っております。最終的に受注に至らない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(18)受注契約案件の採算性に関するリスクについて
受注契約案件のうち、期末時点で将来の損失が見込まれ、かつその損失を合理的に見積もることが可能なものについては、受注金額が帳簿価額に見積追加製造原価を加味した見込製造原価を下回る場合に当該差額について受注損失引当金を計上しております。また、見込生産している仕掛品については、受注見込金額から見積追加製造原価を控除した正味売却価額が帳簿価額を下回る場合に当該差額を棚卸評価損として計上しております。当社は、受注案件別に採算性を管理しており、低採算案件や原材料価格等の高騰により採算の悪化が見込まれるものについては、受注金額の交渉や製造工程の見直しによる製造原価の低減を行っておりますが、需要低迷による稼働率の低下が生じた場合は、製造原価の単価上昇により、不採算案件が増加し、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(19)繰延税金資産について
当社は、将来の課税所得に関する予測に基づき繰延税金資産の回収可能性の判断を行っていますが、将来の課税所得の予測が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産を減額することで、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(20)為替相場の変動について
当社の前事業年度の外貨建取引比率は2.7%、当事業年度の外貨建取引比率は4.4%となっております。
為替相場の変動状況によっては、販売時と入金時の為替相場の変動による損失の計上や、外貨建資産負債の為替換算差損の計上が起こるほか、当社顧客とその最終仕向国との間の為替変動による実質価格の変動が当社顧客の受注状況に影響を受ける可能性等、今後の当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(21)大規模災害等に係るリスクについて
当社の生産拠点は、鹿児島県出水市及び埼玉県朝霞市に所在しており、その主要設備の多くを鹿児島県出水市に所有しております。当該地区において風水害や地震等の自然災害が発生した場合や当社鹿児島県出水市内の事業所の30km圏内にある川内原子力発電所に災害等が発生した場合は、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(22)労働災害に係るリスクについて
当社の事業は、クレーン、フォークリフト、大型機械、ロボットの操作、製品溶接等の危険を伴う作業が含まれております。当社は、当該状況を踏まえて安全管理の徹底を図り、労働災害及び事故を未然に防ぐため業務遂行に際して細心の注意を払うように努めております。しかしながら、何らかの不測の事由から労働災害や重大な事故が発生した場合、労働災害及び事故に伴う補償問題が生じる可能性があるほか、社会的な信用及び販売先からの信用を失うことに繋がり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(23)土壌汚染等の環境リスクについて
当社が保有する出水事業所の一部の土地に土壌汚染対策法に定められた基準値を超える土壌汚染物質が存在しております。現時点においては対処不要の旨を県と確認しておりますが、汚染物質の対策等が必要になった場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(24)ESGに関するリスクについて
当社は、ESGへの取組を経営上の重要課題として認識し、2028年までに当社の全事業所のすべての屋根にパネルを設置し、蓄電池を導入するとともに、2030年までに限界利益当たりのCO₂排出量を5割以上(2021年比)削減し、2040年にはカーボンニュートラルを目指します。また、取締役の多様性を推進する方針等を打ち出すなど積極的に取り組んでおりますが、ESGへの取組が市場の期待に対し十分かつ適切でなかった場合、当社の事業価値や受注に影響を及ぼす可能性があります。
(25)業績予想の修正について
当社が上場する金融商品取引所の規則に基づいて公表する業績予想は、公表時点における入手可能な情報に基づき判断したものであります。したがいまして、国内外の経済環境が変化した場合や予想の前提となった条件等に変化があった場合は、業績予想を修正する可能性があります。
(26)配当政策について
当社は、株主に対する利益還元につきましては、重要な経営課題と認識しており、経営成績及び財務状況を勘案しつつ、配当による株主への利益還元に努める方針としております。今後につきましても会社業績の動向に応じて株主への利益還元に取り組む方針でありますが、当社の事業が計画通りに進展しない場合など、当社の業績が悪化した場合には、配当の実施をしない、あるいは予定していた配当額を減ずる可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、欧米における高い金利水準の継続など海外景気の下振れリスクがある一方、日本国内の雇用・所得環境が改善するなど、一部に足踏みが残るものの景気は緩やかに改善いたしました。
当社の主な販売分野である半導体分野におきましては、AI用途の需要拡大を背景にロジックファウンダリやDRAM向けの設備投資が活発に行われる一方、NAND向けやMPU向けの設備投資は停滞いたしました。また、中国向けの設備投資は活況が続きました。なお、半導体製造装置市場の改善が見られ始めるとともに、部品在庫の改善の動きも顕著になりました。
FPD分野におきましても、液晶向け設備投資の停滞が続く一方で、IT機器向けのG8 OLED設備投資が拡大し始めました。
このような市場環境のもと、半導体分野では上期は在庫調整の影響もあって受注の低迷が続きましたが、期末にかけては在庫調整の進展及び、新規顧客からの受注拡大に伴って受注は急改善しました。
FPD分野では、EBWを活用し、急拡大し始めたG8 OLED向けの受注を活発化いたしました。
その他分野におきましては、太陽電池製造装置部品の引き合いはありながらも受注には至りませんでした。
費用面につきましては、市場の停滞が長引いたことから第3四半期まで設備投資と人員採用を抑制したこと、及び受注残の増加に伴う棚卸の増加があったことによって製造費用は低減されました。また、稼働率の改善に伴い受注損失引当金及び棚卸評価損が46百万円減少いたしました。なお、2024年9月12日に公表いたしました見通しに対して、10百万円程度税金費用が増加いたしました。これは決算作業で繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、スケジューリング不能なものについて取崩しが発生したことに加え、税効果会計適用後の法人税等の負担率が法定実効税率を上回ったことが要因です。
これらの結果、当事業年度の業績は、売上高が4,749百万円(前年同期比30.9%減)、営業利益は156百万円(前年同期比81.8%減)、経常利益は42百万円(前年同期比94.6%減)、当期純利益は19百万円(前年同期比97.2%減)となりました。
なお、当社は精密部品事業のみの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
②財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて147百万円減少し、11,464百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて123百万円増加し、5,572百万円となりました。これは主に売上高増加に伴う売掛金の増加(前事業年度末差451百万円増)、電子記録債権の増加(同157百万円増)、棚卸資産の増加(同13百万円増)等によるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べて271百万円減少し、5,891百万円となりました。これは主に機械及び装置の減少(同632百万円減)、建物の減少(同90百万円減)、建設仮勘定の増加(同427百万円増)等によるものであります。
(負債)
当事業年度の負債総額は、前事業年度末に比べて162百万円増加し、4,300百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて182百万円増加し、1,348百万円となりました。これは主に未払金の増加(136百万円増)、買掛金の増加(同86百万円増)前受金の減少(同58百万円減)等によるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて20百万円減少し、2,952百万円となりました。これは主に長期借入金の減少(同26百万円減)、退職給付引当金の増加(同10百万円増)等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて310百万円減少し、7,163百万円となりました。
これは主に、配当金354百万円の支払いに対し、当期純利益19百万円の計上により利益剰余金が334百万円減少、自己株式の処分等により17百万円増加したことによるものであり、この結果、自己資本比率の割合は62.5%(前事業年度は64.4%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,028百万円となり、前事業年度末と比較して468百万円減少しております。
主な要因は、営業活動によって獲得した431百万円のキャッシュ・フロー及び、有形固定資産の取得等を行った投資活動によって支出した504百万円のキャッシュ・フロー並びに長期借入金の返済等の財務活動により支出した395百万円のキャッシュ・フローによるものであります。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、431百万円(前年同期は2,252百万円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益42百万円、減価償却費948百万円を計上したこと、売上債権の増加による資金の減少609百万円、棚卸資産の増加による資金の減少13百万円、その他流動資産の増加122百万円、法人税等の支払額154百万円、仕入債務の増加86百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、504百万円(前年同期は1,489百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出500百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、395百万円(前年同期は286百万円の使用)となりました。これは長期借入れによる収入600百万円、長期借入金の返済による支出637百万円、配当金の支払額353百万円等によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
|
2020年 8月期 |
2021年 8月期 |
2022年 8月期 |
2023年 8月期 |
2024年 8月期 |
|
自己資本比率(%) |
64.2 |
64.9 |
58.1 |
64.4 |
62.5 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
127.4 |
263.3 |
209.2 |
196.7 |
170.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
2.0 |
2.2 |
1.5 |
1.6 |
8.1 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
66.3 |
65.2 |
108.8 |
95.6 |
18.6 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。
2.キャッシュ・フローは、営業活動キャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
④生産、受注及び販売の実績
当社は、精密部品事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載に代えて製品分野別に記載しております。
a.生産実績
当事業年度の生産実績を製品分野別に示すと、次のとおりであります。
|
製品分野別の名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
半導体製造装置関連部品 |
3,641,856 |
79.2 |
|
FPD製造装置関連部品 |
1,011,686 |
130.6 |
|
その他 |
41,902 |
3.0 |
|
合計 |
4,695,445 |
69.6 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を製品分野別に示すと、次のとおりであります。
|
製品分野別の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
半導体製造装置関連部品 |
3,794,254 |
113.4 |
894,712 |
135.7 |
|
FPD製造装置関連部品 |
1,314,810 |
172.6 |
739,610 |
170.6 |
|
その他 |
88,347 |
8.3 |
54,584 |
670.6 |
|
合計 |
5,197,411 |
100.6 |
1,688,908 |
153.4 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を製品分野別に示すと、次のとおりであります。
|
製品分野別の名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
半導体製造装置関連部品 |
3,558,923 |
78.5 |
|
FPD製造装置関連部品 |
1,008,736 |
130.2 |
|
その他 |
181,343 |
11.6 |
|
合計 |
4,749,003 |
69.1 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2022年9月1日 至 2023年8月31日) |
当事業年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日本発条株式会社 |
2,104,807 |
30.6 |
1,365,601 |
28.8 |
|
東京エレクトロン宮城株式会社 |
1,202,309 |
17.5 |
768,397 |
16.2 |
|
東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ株式会社 |
- |
- |
681,316 |
14.3 |
|
コアテクノロジー株式会社 |
1,355,126 |
19.7 |
- |
- |
2.主な相手先別の販売実績のうち、各事業年度における当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
3.最近2事業年度の主な輸出先、輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。
( )内は総販売実績に対する輸出高の割合であります。
|
輸出先 |
前事業年度 (自 2022年9月1日 至 2023年8月31日) |
当事業年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
シンガポール |
107,223 |
92.2 |
73,665 |
44.1 |
|
アメリカ |
9,113 |
7.8 |
93,190 |
55.9 |
|
合計 |
116,337 (1.7%) |
100.0 |
166,855 (3.5%) |
100.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等は、売上高が4,749百万円であり、前年同期比で30.9%減少しました。これは、半導体分野において市場環境の低迷に伴う装置部品の在庫調整が続いたことや、FPD分野において中国向けのG6 OLED(有機EL)投資はあったものの、G10.5液晶パネル投資がなく市場が停滞したことが要因です。また、営業利益は156百万円で、前年同期比81.8%減少しました。これは、工場稼働の低下による製造単価の上昇や新規設備の未稼働資産に対する減価償却費が発生したことなどから労務費や減価償却費の比率が高どまりしたことによるものです。これらの結果、当期純利益は19百万円となり、前年同期比で97.2%減少しました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、今後の柔軟な設備投資や事業取得、あるいは急激な市況変動にそなえるため、一定水準の手元流動性を確保しておく方針を持っております。そのため、手元資金に余裕があっても設備投資の一部には金融機関からの借入を充てるなどの方策をとっております。また、設備投資に対しては償却期間に見合った長期借入金を充当し、日常発生する運転資金には自己資金及び短期借入金を充てる方針を持っております。
該当事項はありません。
当社の研究開発活動は、先端技術分野である半導体及びFPDにおける技術革新への対応を目的とした精密部品製造技術の研究開発、将来の新規事業に向けた製品の研究開発、業務効率化を目的とした社内基幹システム開発・DX推進の3つを進めております。
なお、当社の研究開発活動の主な内容は以下のとおりです。
①半導体製造装置関連部品及びFPD製造装置関連部品における新製品の試作提案、既存製品製造の高効率化研究や高精度加工の基礎技術研究
高効率化研究や高精度加工基礎技術研究のより効率的な業務の遂行を目指すため、2022年4月に技術課を新設しました。出水事業所技術課R&Dグループにおいて、最新鋭の工作機械を使用し研究活動を行っております。研究開発は17名体制で行っており、既存のマシニングセンタ及びNC旋盤のほぼ全般を扱える技術者です。
②新事業分野への参入としてリハビリ装置の研究開発
新規事業分野における研究開発は開発部開発課技術開発グループにおいて、研究開発は7名体制で行っております。
なお、リハビリ装置の研究開発は、2022年5月より鹿児島大学余永名誉教授と技術顧問契約を締結し、共同研究を行っております。この技術顧問契約の期間は複数年に及んでおります。
リハビリ装置…脳卒中の後遺症等による片麻痺に対して有効とされる促通反復療法を省力化・ロボット化するためのリハビリ装置を、鹿児島大学の独自の特許技術などを用いて実用化する研究開発を行い、装置の製品化を目指しております。現在は、一般使用者への販売を想定し、量産化を目的とした機能、構造設計変更、評価試験を行っております。
③各種システムの開発と構築
当社の開発部開発課情報システムグループにおいて、生産管理システム、工程管理システム、販売・購買管理システム、在庫管理システム、勤怠管理システムなど社内で必要とする各種システム構築と運用を行っております。あわせて、ネットワーク、サーバー、クラウド、セキュリティ等の情報インフラ構築やDX推進を行い、作業効率や生産性の向上を推進しております。研究開発は7名体制で行っております。
研究開発全体について、引き続き既存分野への研究開発を進めると同時に、システムの開発や改善により効率的な業務遂行を図るほか、新事業分野への参入を目指した研究開発を行っております。なお、当事業年度の研究開発費の総額は