第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「“Entertainment in Real Life” エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく」というMissionを掲げ、それを実現するために、「最新のテクノロジーと、独創的なアイデアで“新しい体験”を届ける」というVisionを定めています。

 

 当社グループの行動指針は下記のとおりです。

・Try(挑戦)

 私たちは最新のテクノロジーや独創的なアイデアを実行するため、変化や失敗を恐れず、新しいことに挑戦します。

・Value(価値あるものづくり)

 私たちはまだ誰も知らない面白さ、新しい価値を独自の発想でつくりだします。安易に妥協せずユーザーさまの価値にこだわりぬきます。

・Believe(信じる心)

 新しい体験を生みだすには様々な困難が生じます。私たちはその困難に素直に正しく向き合い、自分とチームの力を信じて乗り越えます。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、収益性と資本効率の向上を図るため、ROE(自己資本当期純利益率)を経営指標として意識した経営を行ってまいります。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、業績のブレの少ない、安定した継続成長を実現すべく、多方面にわたるポートフォリオ戦略を推進してまいります。エンターテインメントと投資育成を軸として、適切なリソース配分と分散投資を行い、ポートフォリオの拡大に努めてまいります。

 

①エンターテインメント事業

イ.コンテンツポートフォリオ戦略

 エンターテインメント事業においては、ゲームを複数のジャンル・モチーフへと分散、またゲーム以外の様々なエンターテインメントカテゴリーへとサービスを分散させることで、多様なユーザーにリーチし、収益の安定化を図ってまいります。

 国内モバイルゲーム市場におきましては、引き続きユーザーとのエンゲージメントを高めることを意識し、コア層にも好まれる高度に作りこんだゲームや、若年層のみならず中高年層にも好まれるスポーツゲーム、他社IPを活用したゲームなど、幅広いジャンルで展開し、最適なコンテンツポートフォリオの構築を目指してまいります。

 

ロ.地域ポートフォリオ戦略

 エンターテインメントを「面白い」と感ずる尺度の差異、通信インフラや所得水準の差異など価値観や成長段階等が異なる地域に世界展開することで、多様なユーザーにリーチし、収益の安定化を図ってまいります。

 海外モバイルゲーム市場におきましては、当社が直接配信する方式、現地パートナー企業への委託配信による方式など、地域毎に最適な方式を選択することで、世界展開を目指しております。海外マーケティングや海外開発体制の強化を図り、ゆくゆくは、地域毎のユーザー特性を勘案した独自のサービスを開発・提供することで、より精緻な地域ポートフォリオの構築を目指してまいります。

 

ハ.デバイスポートフォリオ戦略

 技術の進歩や利用環境の変化を受けて次々と誕生する新しいデバイスやプラットフォームの将来性に注目し、即座に対応してゆくことで、多様なユーザーにリーチし、収益の安定化を図ってまいります。

 スマートフォン市場は引き続き拡大すると見込んでいますが、コンシューマー・VRなどの様々なデバイス向けサービスを展開し、最適なデバイスポートフォリオの構築を目指してまいります。

 

②投資育成事業

 国内外のIT関連・エンターテインメント企業等を対象に、シードからレイターまでオールステージで幅広く投資し、最適なポートフォリオの構築を目指してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①エンターテインメント事業

 イ.ユーザー数の拡大とユーザーエンゲージメントの強化

 当社グループが持続的に成長するためには、当社グループ及び当社グループのサービスの知名度を向上させ、新規ユーザーを継続的に獲得し、ユーザー数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのためには、効果的な広告宣伝活動等により当社グループの知名度を向上させること、また多種多様なサービスを開発し、より多くのユーザーに利用してもらえるような施策を積極的に実施することでユーザー数の拡大に努めてまいります。

 また、既存ユーザーについてもそのニーズを汲み取り質の高いサービスを提供し続けるとともに、様々な媒体

を活用しユーザーと対話することによりエンゲージメントを強化し、より長期的に当社グループのサービスを楽

しんでいただけるよう努めてまいります。

 

ロ.ポートフォリオの拡大

  当社グループは経営戦略として、ユーザーの異なる事業を組み合わせたポートフォリオ戦略を実行し常に新しい領域に投資を行うことを掲げています。

  1本のヒットタイトルのみを提供するのではなく、ユーザーの属性等に合わせて、コンテンツ、エリア、デバイスのそれぞれにおいて、適切なリソース配分と分散投資を行い、ポートフォリオの拡大に努めてまいります。

 

ハ.サービスの安全性及び健全性の確保

 当社グループが提供する一部のサービスは、ユーザー同士がコミュニケーションをとることが可能であるため、ユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できるように、サービスの安全性及び健全性を確保する必要があります。当社グループはガイドラインを設け、サービスの安全性及び健全性の確保に努めてまいります。

 

ニ.システムの安定的な稼働

 当社グループのアプリ及びプラットフォームはウェブ上で運営されており、快適な状態でユーザーにサービスを提供するためにはシステムを安定的に稼働させ、問題が発生した場合には適時に解決する必要があると認識しております。

 そのため、システムを安定的に稼働させるための人員確保及びサーバ機器拡充に努めてまいります。

 

ホ.海外向けサービスについて

 当社グループはスマートフォンの特徴を生かして、今後も当社グループのサービスを海外で積極的に展開していくことを企図しております。

 さらなる海外事業の拡大と収益力強化に向け、地域ごとのユーザーの嗜好の把握や、地域ごとのユーザー特性を勘案した独自のサービス開発・提供を推進してまいります。

 

へ.新技術への対応

 当社グループが属する業界では技術革新が絶え間なく行われており、関連するマーケットも拡大しております。このような事業環境の下で当社グループが継続的に事業を拡大していくためには、様々な新技術に適時に対応していくことが必要であると認識し、継続的に対応を行ってまいります。

 

②投資育成事業

イ.良質なポートフォリオの構築

 当社グループは、安定的な利益貢献を目指し、IT関連・エンターテインメント企業等を対象とした投資を行っております。

 今後も魅力的な会社への分散投資を行い、投資先の状況に応じた適切なモニタリング・支援を実行することで、投資先の価値向上支援及びポートフォリオの健全性担保を推進してまいります。

 

③全般

イ.コーポレートブランド価値の向上

 当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、企業認知度の向上や企業イメージの確立が不可欠であると考えております。当社グループはステークホルダーに対する適切な情報開示と、積極的な広報活動及びサステナビリティへの取組などにより、当社グループのコーポレートブランド価値の向上を図ってまいります。

 

ロ.内部管理体制の強化とコーポレートガバナンスの充実

 当社グループはさらなる事業拡大、企業価値向上を目指すためには社会から信頼を得ることが不可欠であると考えております。そのために企業倫理・コンプライアンスに関し、全役職員が共通の認識を持ち、公正かつ的確な意思決定を行う風土を醸成することに加えて、健全性及び透明性のある管理体制の整備を行うことで、内部管理体制の強化及びコーポレートガバナンスの充実に努めてまいります。

 

ハ.組織の機動性の確保

 組織の規模拡大による機動性の低下等の弊害を排除するため、適切な人員配置、事業展開に応じた組織体制の整備により、意思決定の機動性確保を図ってまいります。

 

ニ.優秀な人材の確保及び育成

 当社グループは今後より一層の事業拡大のため、人材の確保及び育成を重要な課題と認識しております。当社グループのフィロソフィーと共鳴する優秀な人材を確保し、持続的な成長を支える人材を育成すべく採用活動及び研修活動を強化してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、フィロソフィー(Mission、Vision)の実現に向け、事業活動を通じて社会課題の解決を図り、人々の日常をより楽しく、より素晴らしいものにしていきたいと考えています。

サステナブルな社会の実現に向けて、SDGs達成における当社グループが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を、「社会・ステークホルダーからの期待」と「コロプラの発展に必要な3つの要素(人材・テクノロジー・事業環境)」の両軸から特定し、グループ全体で推進することにより、中長期的な企業価値向上を目指すとともにサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス、リスク管理、戦略と指標及び目標

①ガバナンス

 サステナブルな社会を実現するために、環境問題への取組を重要課題と捉え、事業の推進と環境保全を両立する様々な施策に取り組んでいます。その中でも、SDGsにおける目標の一つである「気候変動」の要因とされる地球温暖化対策への取組を強化しております。

 代表取締役社長をサステナビリティ担当取締役に任命し、リスク対策委員会において気候変動を含むリスクへの対応を審議・検討し、その結果を取締役会に報告しております。取締役会は必要に応じて改善指示を実施し、監督を行っております。

 

②リスク管理

 代表取締役社長が委員長となり、全社的なリスクを一元的にマネジメントしているリスク対策委員会にて分析及びその対応策について議論を行います。そして、対応方針の策定を推進するとともに当該リスクを、定期的に取締役会に報告いたします。

 

③戦略と指標及び目標

 サステナビリティに関する取組のうち気候変動関連については、TCFD提言に基づいてシナリオ分析を実施し、リスクと機会の抽出、必要な対応の検討を行いました。当社グループの事業に与える影響について、ガバナンス、リスク管理の取組を通して把握、管理していくとともに、機会の獲得に取り組んでまいります。

 当社グループでは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、CO2排出量を算定いたしました。TCFD提言に基づく取組の詳細については当社ウェブサイト(https://colopl.co.jp/sustainability/environment/)をご参照ください。

 

 (2)人的資本に関する戦略と指標及び目標

 当社グループは「"Entertainment in Real Life" エンターテインメントで日常を楽しく、より素晴らしく」をMissionとし、過去にない"新しい体験"を届けるエンターテインメントの創造に日々挑戦しています。 多くの方に楽しんでいただける良質なエンターテインメントを作り、そして提供し続けるために安心して働ける環境づくり・ダイバーシティの推進・健康経営の推進などに取り組んでおります。

 全社員が安心して長く働くことができる職場環境を目指して、ワーク・ライフ・バランスなどを推進する様々な人事施策を実施しております。また、社員の成長やスキルアップを目的とした研修や支援をオンラインで実施しております。

 エンターテインメント企業である当社グループの持続的成長の実現には、様々な経験・技能・属性を持った多様な人材が不可欠であると認識しております。また、当社は各従業員の能力に基づいて人事評価を実施し、昇進昇格等の処遇を行っております。性別や国籍、入社方法による登用は行っておりませんが、女性・外国人・中途採用者など多様な人材が働きやすい環境を整えるべく、育児・介護、人材教育など様々な施策を用意し、ダイバーシティの推進に取り組んでおります。

 当社ではエンターテインメントを届ける企業として、従業員自身が余暇を楽しみ心身ともに健康であること・男女問わず従業員が長期的に活躍できる雇用環境を整備することを目標として設定しています。なお、当社グループに属する全ての会社では指標及び目標の設定が行われていないため、当社グループにおける記載が困難です。このため、次の指標に関する目標及び実績は、当社のものを記載しております。

指標

目標

実績

マネージャー(課長職)に占める女性労働者の割合

20%以上

9.2%

男性従業員の育児休業取得率

50%

89.5%

有給休暇の取得率

75%

79.9%

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの財政状態、経営成績等に与える影響の内容につきましては、合理的に予見することが困難であるものについては具体的には記載しておりません。なお、当社グループはリスク管理(リスクの特定、評価、対応策の策定)の実施により、以下のリスクに対してその発生可能性を一定水準まで低減していると考えております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)戦略と計画

①モバイル関連市場について

 当社グループは、スマートフォン等の高性能端末の普及に伴って、今後もモバイル関連市場が持続的な成長を続けていくと予想しております。

 しかしながら、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、市場の拡大が進んだ場合であっても、当社グループが同様のペースで順調に成長しない可能性があります。さらに、市場が成熟していないため、今後、大手企業による新規参入により市場シェアの構成が急激に変化することで、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②他社との競合について

 当社グループは、位置情報を利用した特色あるサービスの提供やリッチで表現力豊かな本格派ゲームアプリの提供、カスタマーサポートの充実等に取り組み、競争力の向上を図っております。

 しかしながら、当社グループと同様にインターネットや携帯電話で位置情報を利用したアプリやスマートフォンに特化したアプリ等のサービスを提供している企業や新規参入企業との競争激化により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③技術革新への対応について

 当社グループは、インターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい業界となっております。また、ハード面においては、スマートフォンの高性能化が進んでいるほか、ブロックチェーン・AI・XR/メタバースなど新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。

 「最新のテクノロジー」と「独創的なアイデア」を形にするため、当社グループはエンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備やスマートフォン・ブロックチェーン・AI・XR/メタバース等に関する技術・知見・ノウハウの取得に注力しております。

 しかしながら、係る知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また、技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このような場合には、当社グループの技術力低下、それに伴うサービスの質の低下、そして競争力の低下を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④海外向けサービスについて

 当社グループは、海外マーケティング等を図り、今後も当社グループのサービスを海外で積極的に展開していくことを企図しております。

 しかし、海外においてはユーザーの嗜好や法令等が本邦と大きく異なることがあり、当社グループの想定どおりに事業展開できない可能性があります。

 

⑤M&A等(企業買収等)にかかるリスク

 当社グループは、将来の成長可能性の拡大に寄与すると判断する場合には、M&A等の投融資を実行し、企業規模の拡大に取り組む方針であります。

 M&A等の投融資の実施に当たっては、対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスク検討をしておりますが、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査によっても把握できなかった問題が生じた場合や、事業展開が計画通りに進まない場合、投下資本の回収が困難になる等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、M&A等により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、当該事業固有のリスク要因が加わる可能性があります。

 

⑥投資育成事業にかかるリスク

 当社グループは成長戦略の一環として、国内外のIT関連・エンターテインメント企業等を対象に投資をしております。

 投資にあたっては、対象企業の財務内容等の詳細な事前審査を行い、十分にリスク検討しておりますが、投資先企業の事業が計画通りに進捗せず、業績の悪化や株価の動向によっては投資が回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、その活動にあたっては、国内外の種々の法的規制(会社法・独占禁止法・租税法・金融商品取引法・投資事業有限責任組合契約に関する法律・外国為替管理法・財務会計関連法規等)を受けることとなります。管理部門はこれらの法的規制について情報を収集し適切な対応に努めてまいりますが、法的規制が及ぶことにより当社グループの活動が制限される場合及びこれらの規制との関係で費用が増加する場合があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦コーポレートブランドの毀損リスク

 当社グループは、コーポレートブランド価値の維持及び強化がユーザーの信頼確保、ユーザー基盤の拡大、利用の促進に重要であると考え、ステークホルダーに対する適切な情報開示と積極的な広報活動及びサステナビリティへの取組みなどを行っております。

 しかしながら、当社グループに関する否定的な評判・評価が世間に流布される場合等には、当社グループのブランド価値が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)業務運営

①ゲームアプリの企画・開発及び運営について

 当社グループは、様々なゲームアプリの企画・開発・運営及びプラットフォームの運営を行っております。当社グループのゲームアプリのダウンロード数、プラットフォームの会員数、入会者数は着実に増加しており、ユーザーから一定の評価を得ていると認識しております。しかしながら、当サービスにおいてはユーザーの嗜好の移り変わりが激しく、ユーザーニーズの的確な把握やニーズに対応するコンテンツの導入が、何らかの要因により困難となった場合には、ユーザーへの訴求力の低下等から当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②GameFiサービスの企画及び運営について

 当社グループは、ブロックチェーン技術または暗号資産、NFTを活用したGameFi(GameとFinanceを組み合わせた用語)などのサービスを展開していくことを企図しております。

 サービスの展開に際しては、会計・税務・法務・ビジネス等に関する詳細な事前調査を行うことでリスクの低減に努めておりますが、事前に想定されなかった事象が発生した場合、既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定などの法的規制が行われた場合や当社グループの暗号資産がテロ資金供与及びマネー・ロンダリングに利用された場合には、当社グループの事業が著しく制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、ウォレットに暗号資産を保管します。様々なセキュリティ対策を講じておりますが、不正アクセスや秘密鍵の盗難等によりウォレットに保管された暗号資産が流出し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③システムに関するリスク

 当社グループの事業は、携帯電話やPC、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークやシステムに全面的に依存しております。当社グループは、適切なセキュリティ手段の構築、データセンター等へのサーバの設置、クラウドサービスの利用等の対策を行っております。

 しかしながら、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)、当社グループの運営する各サイトへのアクセスの急激な増加、データセンターへの電力供給やクラウドサービスの停止等の予測不可能な要因によってコンピュータ・システムがダウンした場合や、コンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、これらの要因により売上集計に関わるシステム処理が想定通りに機能せず、当社グループの適切な財務報告体制に影響を及ぼす可能性があります。

 

④Apple Inc. 及び Google Inc.の動向について

 現状において、当社グループの売上に関しスマートフォン専用ゲームアプリサービスの比率が高いことから、Apple Inc.及びGoogle Inc.の2プラットフォーマーへの収益依存が大きくなっております。

 しかしながら、これらプラットフォーマーの事業戦略の転換や動向によっては、手数料率の変動等何らかの要因により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤版権が関与するサービスについて

 当社グループでは、第三者が権利を保有するキャラクター等の使用料を支払いゲームアプリに導入する場合があります。このようなキャラクター等を利用したアプリの売上が当社グループの想定を大きく下回った場合や他社に比べ有力なキャラクター等の導入ができなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥自然災害、事故等について

 当社グループでは、自然災害、事故や大規模な感染症の発生等に備え、定期的なバックアップ、稼働状況の常時監視、在宅勤務の導入等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループ所在地近辺において大地震等の自然災害が発生した場合など、当社グループ設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦気候変動について

 世界的な気候変動への対策により、再生可能エネルギーへの転換が進展し炭素税や関連規制が導入された場合や環境意識の高まりによる行動変容・価値観の変化に当社グループの事業が対応できない場合、気候変動を起因とする大規模な自然災害や感染症等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)組織・ガバナンス

①人的資源について

 当社グループは、自社プラットフォームの運営、また自社コンテンツの開発・提供を行い、急速に事業領域を拡大してまいりましたが、今後のさらなる業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、技術開発、広告マーケティング、管理部門等、当社グループ内の各部門において、一層の人員増強が必要になると考えられます。

 しかしながら、事業規模の拡大に応じた当社グループ内における人材育成や外部からの人材登用等が計画どおりに進まない場合や、当社グループの予想を大幅に上回るような社員の流出、有能な人材の流出が生じた場合には、競争力の低下や一層の業容拡大の制約要因となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②内部管理体制について

 当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらには健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。

 当社グループでは内部管理体制の充実に努めておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③情報管理体制について

 当社グループは、ユーザーのメールアドレスその他重要な情報を取り扱っているため、情報セキュリティ方針を策定し、役職員に対し情報セキュリティに関する教育研修を実施し、また、ISO27001の認証を取得するなど、情報管理体制の強化に積極的に取り組んでおります。しかしながら、何らかの理由で重要な情報が外部に漏洩した場合には、当事者への賠償と当社グループに対する社会的信頼の失墜、さらなる情報管理体制構築のための支出等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④特定人物への依存について

 当社の創業者であり代表取締役会長 チーフクリエイターである馬場功淳は、モバイルコンテンツをはじめとするインターネット及び携帯電話・スマートフォンにおけるサービスの開発技術及びそれらに関する豊富な経験と知識を有しており、技術的判断、経営方針や事業戦略の決定、遂行において極めて重要な役割を果たしております。

 当社グループでは、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図るとともに、社長交代を含む経営体制の変更を実施し、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。

 しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)コンプライアンス

①サービスの安全性及び健全性に関するリスク

 当社グループが提供する一部のサービスは、不特定多数の個人会員が、各会員間において独自にコミュニケーションを取ることを前提としております。当社グループは、健全なコミュニティを育成するため、利用規約において社会的問題へと発展する可能性のある不適切な利用の禁止を明示しております。また、当社グループはユーザー等のモニタリングを常時行っており、規約に違反したユーザーに対しては、改善の要請や退会等の措置を講じるよう努めております。さらに、適切なサービス利用を促進させるためにコンテンツを利用する上でのマナーや注意事項等をより一層明確に表示し、モニタリング・システム等の強化やサイト・パトロール等のための人員体制の増強など、システム面、人員面双方において監視体制を大幅に強化し、健全性維持の取り組みを継続しております。

 しかしながら、急速に会員数が拡大しているコンテンツにおいては、会員によるコンテンツ内の行為を完全に把握することは困難となり、会員の不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合に、利用規約の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、レピュテーション・リスクを伴って当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 なお、事業規模の拡大に伴い、サービスの健全性の維持、向上のために必要な対策を継続して講じていく方針でありますが、これに伴うシステム対応や体制強化の遅延等が生じた場合や、対応のための費用が想定以上に増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 またオンラインゲーム業界においては、ゲーム内のアイテム等を、オークションサイト等で売買するというリアル・マネー・トレード(RMT)(注)という行為が一部ユーザーにより行われております。当社グループのサービスにおいても、ゲームをより楽しいものにするためにゲーム内のアイテムをユーザー同士で交換できる機能を設けておりますが、ごく一部のユーザーがオークションサイトに出品しています。当社グループでは、利用規約でRMTの禁止を明確に表記しており、またオークションサイトの適時監視も行い、さらに当社グループの「安全性・健全性に関するガイドライン」で、違反者に対しては強制退会をさせる等厳正な対策を講じる方針であることを明確にしております。

 しかしながら、当社グループに関連するRMTが大規模に発生、拡大した場合には、当社グループサービスの信頼性が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)リアル・マネー・トレード(RMT)とは、オンライン上のキャラクター、アイテム、ゲーム内仮想通貨等を、現実の通貨で売買する行為をいいます。

 

②知的財産権に関するリスク

 当社グループは、運営するサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払っております。

 しかしながら、今後当社グループが属する事業分野において第三者の権利が成立した場合は、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があり、また当社グループの知的財産が侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

③インターネットに関連する法的規制について

 当社グループが運営するサービスにおいて、ユーザーの個人情報に関し「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。加えて、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」では、他人のID、パスワードの無断使用の禁止等が定められております。さらに、「特定商取引に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により、一定の広告・宣伝メールの送信にあたっては、法定事項の表示義務等を負う場合があります。そのほか、当社グループは、「電気通信事業法」における電気通信事業者として同法の適用を受けております。

 また、当社グループが提供する一部のサービスにおいてSNS(注)機能を提供しておりますが、これはユーザー間の健全なコミュニケーションを前提としたサービスであり、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に定義される「インターネット異性紹介事業」には該当しないものと認識しております。さらには、2009年4月に施行された「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」では、携帯電話事業者等によるフィルタリング・サービス提供義務等が定められており、当社グループは前項に記載のとおりサービスの健全性維持の取り組み強化を継続して実施しております。また、スマートフォンネイティブゲームの一部サービスにおいて利用されている有料の「仮想通貨」について「資金決済に関する法律」が適用され、当社グループは関東財務局への登録を行い、同法、府令等の関連法令を遵守し業務を行っております。

 なお、当社グループは上記各種法的規制等について積極的に対応しておりますが、不測の事態により、万が一当該規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化され、もしくは新たな法令等が定められ当社グループの事業が制約を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とは、メールや掲示板などを利用し、人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型の会員制のサービスです。

 

④アプリに関連する法的規制等について

 当社グループが属するモバイルインターネット業界において、過度な射幸心の誘発等について一部のメディアから問題が提起されております。近年では、「コンプリートガチャ」(注)と呼ばれる課金方法が不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に違反するとの見解が2012年7月に消費者庁より示されました。これに関して当社グループは既に対応策を導入しており、当社グループのサービスには大きな影響を与えていないと認識しております。

 法令を遵守したサービスを提供することは当然でありますが、今後も変化する可能性がある社会的要請については、サービスを提供する企業として自主的に対処・対応し、業界の健全性・発展性を損なうことのないよう努めていくべきであると考えております。

 しかしながら、今後、社会情勢の変化によって、既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等、法的規制が行われた場合には、当社グループの事業が著しく制約を受け、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(注)コンプリートガチャとは、ランダムに入手するアイテムやカードを一定枚数揃えることで稀少なアイテムやカードを入手できるシステムをいいます。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社の経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。))の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、「“Entertainment in Real Life” エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく」をMissionとし、エンターテインメントを通じ、人々の何気ない日常をより豊かにすることを目指しております。エンターテインメント事業では、ユーザーとのエンゲージメントを高めることを意識した既存タイトルの運営及び新規タイトルの開発に注力してまいりました。投資育成事業では、主に国内外のIT関連・エンターテインメント企業等を対象とした投資を行ってまいりました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高30,806百万円(前連結会計年度比5.3%減)、営業利益2,648百万円(同38.5%減)、経常利益3,066百万円(同46.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,746百万円(同27.7%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

a.エンターテインメント事業

 エンターテインメント事業は、主にスマートフォン向けゲームの開発・運営を行っております。

 当連結会計年度において、売上の多くを占めるスマートフォン向けゲームでは、新規タイトル「白猫GOLF」、「MONSTER UNIVERSE」及び「とらべる島のにゃんこ」の配信を開始しました。既存タイトルにおいては、他社IPタイトル「ドラゴンクエストウォーク(企画・制作:株式会社スクウェア・エニックス、開発:当社)」が好調に推移し、当社グループの連結業績に貢献しました。また、自社IPタイトル「白猫プロジェクト」及び「アリス・ギア・アイギス」が人気IPとのコラボイベントを実施するなど、ユーザーとのエンゲージメントを高めるサービス提供を行ってまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は29,914百万円(前連結会計年度比6.0%減)、営業利益は3,320百万円(同28.8%減)となりました。

 

b.投資育成事業

 投資育成事業は、主にIT関連・エンターテインメント企業等を対象とした投資を行っております。

 当連結会計年度において、当社グループ出資ファンドにおける営業投資有価証券の売却等による収益が発生しました。また、保有する営業投資有価証券の一部について減損処理を行いました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は891百万円(前連結会計年度比23.1%増)、営業損失は674百万円(前連結会計年度は353百万円の営業損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,253百万円増加し、58,167百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,159百万円の増加(前連結会計年度は3,637百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,066百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは8,237百万円の増加(前連結会計年度は593百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入10,000百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは2,567百万円の減少(前連結会計年度は2,538百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額2,567百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループの受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

エンターテインメント事業

29,914

△6.0

投資育成事業

891

23.1

連結売上高

30,806

△5.3

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社スクウェア・エニックス

9,846

30.3

10,399

33.8

Apple Inc. ※

7,959

24.5

7,228

23.5

Google Inc. ※

4,919

15.1

4,548

14.8

※相手先は決済代行事業者であり、ユーザーからの代金回収を代行しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 ②財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は74,658百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,258百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が2,369百万円、営業投資有価証券が584百万円減少したことによるものであります。

 また、固定資産は6,805百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,442百万円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が1,360百万円増加したことによるものであります。

 以上の結果、総資産は81,464百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,816百万円減少いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は4,283百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,411百万円減少いたしました。これは主に、未払法人税等が1,587百万円減少したことによるものであります。

 また、固定負債は1,121百万円となり、前連結会計年度末に比べ110百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金負債が89百万円増加したことによるものであります。

 以上の結果、負債合計は5,404百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,301百万円減少いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は76,060百万円となり、前連結会計年度末に比べ515百万円減少いたしまし

た。これは主に、その他有価証券評価差額金が95百万円、為替換算調整勘定162百万円が増加したものの、配当金の支払いに伴い利益剰余金が817百万円減少したことによるものであります。

 

 ③経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、一部既存タイトルにおける配信期間の長期化に伴う減収により、前連結会計年度に比べ5.3%減の30,806百万円となりました。

 

(売上原価及び売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は、PF手数料減少等により、前連結会計年度に比べ4.8%減の21,614百万円となりました。また、売上総利益は前連結会計年度に比べ6.6%減の9,192百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、新作における広告宣伝費の増額等により、前連結会計年度に比べ18.4%増の6,543百万円となりました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ38.5%減の2,648百万円となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は、為替差益の減少等により、前連結会計年度に比べ50.2%減の926百万円となりました。営業外費用は、デリバティブ運用損の計上等により、前連結会計年度に比べ16.0%増の508百万円となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ46.5%減の3,066百万円となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ27.7%減の1,746百万円となりました。

 

④キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、市場の成長速度、他社との競争力、技術革新への対応度合い、コンテンツの健全性の確保、ネットワーク災害、コンプライアンスと内部管理体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは、エンターテインメントや投資育成を軸としたポートフォリオの拡大、優秀な人材の採用、新規事業の開拓、魅力あるサービスの開発、有力企業との提携、海外への展開、セキュリティ対策等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。

 

⑥経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。

 そのために、当社グループでは、戦略面及び組織面の課題を整理し、各課題に対し、適切かつ効果的な対応を行ってまいります。

 

⑦資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金・設備資金については、主に自己資金により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は58,167百万円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。

 

⑧経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、収益性と資本効率性の向上を図るため、ROE(自己資本当期純利益率)を経営指標として意識した経営を行っておりますが、当社グループを取り巻く事業環境は短期的な変化が激しく、適正かつ合理的な業績見通しの算出が困難であることから、具体的な数値目標は設定しておりません。当連結会計年度のROEは2.3%(前連結会計年度比0.9ポイント減)となりました。

 当社グループは、継続的なROE向上のために、収益力強化が重要な課題だと考えております。特に新規タイトルの継続したリリースと既存タイトルの長期的な運用により、リリース年度ごとの売上高を積み上げていくことで、売上高の安定的な成長を達成するとともに、余剰資金については、健全なバランスシートをもとに、連結業績、DOE(純資産配当率)、キャッシュ・フロー及び資本の効率性を総合的に勘案して安定的かつ継続的な配当を実施することで、収益性と資本効率性を高め、ROEの継続的な向上を目指します。

 新規タイトルについては、自社IPタイトルと他社IPタイトルをバランスよくリリースすることで、自社IPで中長期的な競争力を育てつつ、他社IPの持つ集客力や収益性も積極的に活用してまいります。既存タイトルについては、TVCMやオンライン動画プラットフォームのプロモーションに加え、グッズの製作、リアルイベント等を実施することでユーザーとのエンゲージメントを高めるサービス運用を行ってまいります。

 

決算年月

2021年9月期

2022年9月期

2023年9月期

売上高(百万円)

37,125

32,541

30,806

営業利益(百万円)

6,320

4,310

2,648

ROE(自己資本当期純利益率)(%)

4.0

3.2

2.3

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)スマートフォン・タブレット端末向けアプリプラットフォーム運営事業者との契約

相手方の名称

相手先の

所在地

契約の名称

契約期間

契約内容

Apple Inc.

米国

Apple Developer Program License Agreement

1年間

(1年毎の自動更新)

iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

Google Inc.

米国

Google Play デベロッパー販売/配布契約書

定めなし

Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

 

6【研究開発活動】

 当社グループは「最新のテクノロジーと、独創的なアイデアで“新しい体験”を届ける」というVisionを掲げ、エンターテインメント事業において新規タイトルの開発と並行し、新しいユーザー体験を実現するための新技術の研究等を行っております。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,480百万円であります。