名称 AIフュージョンキャピタルグループ株式会社
所在地 東京都千代田区紀尾井町4番1号
普通株式
(1)本公開買付に関する意見の内容
当社は、2024年11月14日開催の取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに関して、賛同する旨の意見を表明するとともに、本公開買付けには買付予定数に上限が設定され、本公開買付け後も当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の上場が維持される予定であり、当社の株主の皆様としては本取引成立後も当社株式を所有するという選択肢をとることにも十分に合理性が認められることに鑑み、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、中立の立場を取り、当社の株主の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました。
上記取締役会決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員による決議及び監査役全員による異議のない旨の意見」をご参照ください。
(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由
本「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいて記載しております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、単独株式移転の方法により、2024年10月1日付けでフューチャーベンチャーキャピタル株式会社(以下「FVC」といいます。)の完全親会社として設立され、同日付けで株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」という。)スタンダード市場に上場したとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者及びFVCは、当社株式を所有していないとのことです。
公開買付者が2024年11月14日付けで公表した「株式会社ショーケースとの資本業務提携契約の締結、株式会社ショーケース株式(証券コード:3909)に対する公開買付けの開始及び第三者割当増資の引受けに関するお知らせ」によれば、公開買付者は、2024年11月14日開催の取締役会において、公開買付者及び当社との間で、同日付けで、資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」いいます。本資本業務提携契約については、下記「(7)本取引に係る重要な合意に関する事項」の「① 本資本業務提携契約」をご参照ください。)を当社との間で締結し、当社を公開買付者の連結子会社とすることを目的として、東京証券取引所スタンダード市場に上場している当社株式を対象とした公開買付けを実施し、本公開買付けが成立すること等を条件として、当社が実施する公開買付者を割当予定先とする当社株式1,612,900株(増資後所有割合(注1):18.81%)の第三者割当による新株式発行(注2)(以下「本第三者割当増資」といいます。また、本公開買付け及び本第三者割当増資を総称して、以下「本取引」といいます。)を引き受けることを決議したとのことです。
(注1) 「増資後所有割合」とは、①当社が2024年11月14日に提出した「2024年12月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2024年9月30日現在の当社の発行済株式総数(8,572,700株)に、②公開買付者が本第三者割当増資において引き受ける当社株式の数(1,612,900株)を加算した株式数(10,185,600株)から、③当社決算短信に記載された2024年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(1,612,900株)を控除した株式数(8,572,700株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、増資後所有割合の記載において同じです。
(注2) 「本第三者割当増資」は、当社が2024年11月14日に関東財務局長に提出した有価証券届出書(以下「当社有価証券届出書」といいます。)に記載のとおり、本公開買付けの成立等を条件に、公開買付者が第三者割当増資において引き受ける当社株式1,612,900株の発行、1株当たり発行価額を420円、発行総額を677,418,000円として実施される予定であり、公開買付者は、本公開買付けに係る決済開始日(2024年12月19日を予定しておりますが、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)が延長された場合には、延長後の決済開始日)の前営業日に払込みを行うことを予定しているとのことです。なお、本公開買付け及び本第三者割当増資を組み合わせることにより、本第三者割当増資において当社株式を引き受けた直後に公開買付者が有する議決権の割合が総株主の議決権の2分の1を超え、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第206条の2に基づく手続が必要となる場合、総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主が当社に対し本第三者割当増資に反対する旨通知した場合、株主総会の決議によって承認を受ける必要が生じます。この場合、公開買付期間の延長が必要になる可能性があり、また、仮に株主総会で本第三者割当増資が否決された場合であっても公開買付けの撤回事由とならない等の理由から、本取引の安定性が害され、かえって当社の株主の利益が損なわれることになると考え、本公開買付けに係る決済開始日より前に払込みを行うことにより、当社株式を引き受けた直後に公開買付者が有する議決権の割合が総株主の議決権の2分の1を超えないようにすることで、同条の形式的な適用を受けない形としているとのことです。また、本第三者割当増資の払込期間は、公開買付期間の末日の翌営業日である2024年12月13日から2025年1月14日までと定められておりますが、これは、公開買付期間が延長された場合には、上記払込みを行う日も延期されるためです。また、本第三者割当増資により調達する差引手取概算額648,918千円(発行総額677,418千円から、本第三者割当増資の発行諸費用の概算額28,500千円を差し引いた額になります。)の具体的な使途については、①運転資金の確保に108,918千円、②戦略的M&A等の投資資金に540,000千円を充当する予定です。
また、本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、2024年11月14日付けで、当社の創業者で第1位株主である森雅弘氏(所有株式数:1,538,300株、増資前所有割合(注3):22.10%、増資後所有割合:17.94%、以下「森氏」といいます。)及び当社の創業者で代表取締役会長かつ第2位株主である永田豊志氏(所有株式数:1,190,200株、増資前所有割合:17.10%、増資後所有割合:13.88%、以下「永田氏」といいます。)(以下、森氏及び永田氏を総称して、「本応募合意株主」といいます。)との間で、その所有する当社株式の全て(合計:2,728,500株、増資前所有割合:39.20%、増資後所有割合:31.83%)を本公開買付けに応募する旨の応募契約(以下「本応募契約」といいます。)を締結しているとのことです。本応募契約の概要につきましては、下記「(7)本取引に係る重要な合意に関する事項」の「② 本応募契約」をご参照ください。
(注3) 「増資前所有割合」とは、本第三者割当増資によって当社の発行する株式を公開買付者が引き受ける前の所有割合をいい、増資前所有割合は、①当社決算短信に記載された2024年9月30日現在の当社の発行済株式総数(8,572,700株)から、②当社決算短信に記載された2024年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(1,612,900株)を控除した株式数(6,959,800株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、増資前所有割合の記載において同じです。
公開買付者は、本取引により公開買付者が最終的に当社を連結子会社化すること(増資後所有割合を51.00%とすること)を目的としていること、本取引は当社株式の上場廃止を企図するものではなく、本公開買付けが成立し、かつ、本第三者割当増資の払込みが完了した場合においても、公開買付者及び当社は引き続き当社株式の上場を維持する方針であることから、本公開買付けにおいては、可能な限り多くの当社の少数株主の皆様に売却の機会を提供しつつ、仮に本公開買付けに当社が所有する自己株式を除く発行済株式総数の全ての応募があった場合においても増資後所有割合が51.00%となるよう、本公開買付けによる買付予定数の上限を2,759,100株(増資前所有割合:39.64%、増資後所有割合:32.18%)としているとのことです。
そのため、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の上限(2,759,100株)を超える場合は、その超える部分の全部又は一部の買付け等を行わないものとし、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)第27条の13第5項及び発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第38号。その後の改正を含みます。)第32条に規定するあん分比例の方式により、株券等の買付け等に係る受渡しその他の決済を行うとのことです。この場合、本応募合意株主は本公開買付け後も、当社株式を一部所有することになりますが、本応募合意株主によるその後の当社株式の所有方針について、公開買付者と本応募合意株主との間に特段の取決めはなく、公開買付者は本応募合意株主の所有方針については、森氏からは現在未定である旨、永田氏からは然るべきタイミングで売却する方針である旨を伺っているとのことです。
また、本第三者割当増資は、当社において約6.5億円の資金需要があることを考慮し、発行株式数を1,612,900株(増資後所有割合:18.81%)、1株当たり発行価格を420円とするものですが、公開買付者は、本取引後に増資後所有割合を51.00%とし、当社を連結子会社化することを企図しているため、本公開買付けの成立等を条件としてこれを行う予定とのことです。本第三者割当増資の概要につきましては、当社有価証券届出書及び下記「(7)本取引に係る重要な合意に関する事項」の「① 本資本業務提携契約」の「(ⅳ)本第三者割当増資に関する事項」をご参照ください。
また、公開買付者は、当社において上記のとおり資金需要があることから、当社の資金需要を充足させつつ、公開買付者が最終的に当社を連結子会社化するという目的を達成するため、公開買付けと第三者割当増資を組み合わせたスキームを採用しているとのことです。この点、公開買付者が本第三者割当増資により取得する予定の当社株式は1,612,900株であり、同株式に係る議決権の数は16,129個であるため、2024年9月30日現在の当社の発行済株式総数(8,572,700株)に対する比率は18.81%、2024年6月30日現在の議決権総数(69,566個)に対する比率は23.19%となり、当社株式に一定程度の希薄化が生じるとのことです。しかし、本第三者割当増資により当社の資金需要を充足するとともに、本資本業務提携契約の締結及びこれに基づく本公開買付けを実施することにより、両社グループの協業関係に基づくシナジーの最大化を図ることは、当社の株主価値の向上にも繋がると考えられることから、上記発行数量及び株式の希薄化の規模を踏まえても、本取引は、当社の株主価値向上に資すると考えているとのことです。
他方、本公開買付けにおいては、本第三者割当増資を念頭に、買付予定数の下限を、上限と同数の2,759,100株(増資前所有割合:39.64%、増資後所有割合:32.18%)としており、応募株券等の総数が買付予定数の下限(2,759,100株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。また、この場合には、本第三者割当増資の払込みの条件が満たされず、本第三者割当増資の払込みは行われないとのことです。
② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
公開買付者は、単独株式移転の方法により、2024年10月1日付けでFVCの完全親会社として設立され、同日付けで東京証券取引所スタンダード市場に上場したとのことです。
公開買付者の企業グループは、持株会社である公開買付者並びにその子会社であるFVC及びFVC Tohoku株式会社(以下「FVCT」といいます。)等(連結子会社:4社、持分法を適用した非連結子会社又は関連会社:40社。2024年11月14日現在)で構成され(以下「公開買付者グループ」といいます。ただし、公開買付者の設立前についてはFVC及びその子会社等により構成される企業グループを指します。)、2024年10月29日に開示した「中期経営計画(AI 革命 1.0)策定に関するお知らせ」にも記載のとおり、「AIを軸に日本の成長を支えるキャピタルグループを目指す」ことを経営理念に、「AIを活用した事業モデル変革を図る企業等への公開買付者グループによる自己投資事業」、「AIソリューションを提供する企業群に特化したファンドの組成及び従来からのベンチャー投資を行うファンド事業」、「上場企業への戦略投資とバリューアップ戦略の構築及び実行を行うPIPEs事業」、「これらに付随して派生する投資銀行事業」からなる4つの事業ドメインをコア領域と定め、シナジー効果を発揮しながら、それぞれが独立した事業として公開買付者グループの利益成長をドライブする事業体制の構築に向けて、FVC及びFVCTにおいて、主としてファンド事業を行う他、M&Aや直接投資にも取り組んでいるとのことです。
ファンド事業については、公開買付者グループは、FVC及びFVCTにおいて、国内各地に事業拠点4箇所(京都、東京、愛媛、岩手)を置き、投資事業組合(ファンド)の組成及びその管理・運営、投資事業組合の無限責任組合員となって投資先の選定及び育成支援を行っており、無限責任組合員は投資事業組合の組成に対して組成報酬、管理・運営に対して管理報酬、投資先の売却益に対しては成功報酬を得る収益構造となっているとのことです。
公開買付者グループが行うファンド事業には、①投資先のIPO等を目指すベンチャーファンドの組成、②地方創生をテーマとした地域の創業や事業承継に資するファンドの組成、③大企業がオープンイノベーションの手段等として組成するCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドの組成等があるとのことです。それぞれのファンドについては、以下のとおりとのことです。
ア.ベンチャーファンドとは、高リスクながら高リターンが期待できる新興企業やスタートアップに資金を提供するファンドとのことです。資本や経営の専門知識を提供し、企業の成長を支援することを主な目的とするとのことです。投資家から集めた資金は、企業が新しい製品開発や市場の拡大に必要な資金として活用されるとのことです。投資先がIPO等で成功すれば投資額の数倍のリターンが期待できるため、富裕層や機関投資家にとって魅力的な投資先となるとのことです。一般的にベンチャーキャピタルが組成するファンドはこのベンチャーファンドとなるとのことです。実績としては、2019年に「次の社会の創発を支援」、「ものづくり」、「ロボット」、「SDGs」等のテーマを有する「ロボットものづくりファンド」を組成しているとのことです。
イ.地方創生ファンドとは、主として地域金融機関や地方自治体が出資し、地域の活性化等を目的として組成されるファンドとのことです。出資された資金は、地域内の企業への投資に用いられ、新たな企業の創業を支援したり、既存の企業が事業を次の世代に継承するための支援を行うとのことです。これにより、地方の経済活動を活発化させ、地域全体の活性化に寄与しているとのことです。その結果として、地域における雇用機会の創出や、地元経済の発展につながる効果が期待されるとのことです。地方創生ファンドは、地方に根ざした資源や文化を活用し、持続可能な成長を実現するための重要なインフラといえ、地域社会の持続的な発展を後押しする役割を担っているとのことです。実績としては、「もりおか起業ファンド」、「おおさか創業ファンド」、「ふくしま夢の懸け橋ファンド」、「おおさか社会課題解決ファンド」、「京都市スタートアップ支援2号ファンド」など、36本のファンドを組成しているとのことです。
ウ.CVCファンドは、一般的なベンチャーキャピタルとは異なり、大企業が自社の成長戦略の一環として自ら資金を提供し、スタートアップや成長企業に対して投資を行う仕組みとのことです。これにより、大企業は新技術や革新的なビジネスモデルを取り入れやすくなり、市場での競争力を強化できるとのことです。また、スタートアップは資金支援を受けるだけでなく、大企業の資源やネットワークへのアクセスが可能になり、事業拡大のチャンスが広がるとのことです。CVCファンドは、投資先企業とのシナジー効果を生み出し、双方にとって利益をもたらすことを目指しているとのことです。このため、単なる資金提供にとどまらず、戦略的パートナーシップの構築が重視されるとのことです。実績としては、様々なセクターの企業様をパートナーに、10本のCVCファンドを組成しているとのことです。
公開買付者グループから提供された資料によると、公開買付者グループは、ファンド数42本(清算中のファンドも含みます。)、出資者数76社(名)、ファンド総額199億円(2024年9月30日時点)の運用をしており、特に、地方創生をテーマとしたファンドの組成に力を入れており、42ファンド中29ファンドが地方創生をテーマとしたファンドとなっております。また、同資料によると、ファンドの投資残高は333社85億円(2024年9月30日時点)となっており、27の都道府県の企業等(2024年9月30日時点)に投資しております。
M&A及び直接投資については、ファンド事業において管理・運営する投資事業組合と利益相反が生じないM&A案件及び直接投資案件に限り、投資事業組合の資金に頼らない公開買付者グループの自己勘定による地域企業のM&Aや直接投資に積極的に取り組んでおり、2024年7月には人材紹介フランチャイザー業を手掛けるTHE FREE AGENT LAB株式会社の株式を取得し、子会社化しているとのことです。なお、FVCが新たに持株会社である公開買付者を設立した理由は、FVCの従来のファンド運営事業と、M&Aや直接投資に関する事業を切り分けるために、ファンド運営を担う事業会社であるFVCと、その親会社であり、それ以外のM&Aや直接投資を行う持株会社である公開買付者を別会社とし、今後取得する予定のM&A先を子会社として保有する持株会社体制への移行が最適であると考えたことによるとのことです。このような持株会社化により、公開買付者グループでは、M&Aや直接投資について、これをFVCの従前からの地方創生ファンド運営とは切り分け、迅速かつ柔軟な経営判断ができる体制を構築するとともに、これらのセグメント毎の採算及び事業責任の明確化のほか、さらなるガバナンスの強化を図ることで、積極的に事業推進できる経営体制を構築したとのことです。今後、この体制のもとでAI関連事業及びIT技術、特にAIに特化したソリューションに関する技術(以下「AI関連技術」といいます。)を導入することで企業価値の増加が見込める事業のM&Aを積極的に進めていく予定とのことです。
一方、当社グループ(当社及びその連結子会社を総称していいます。以下同じです。)は、1996年に設立され、DX(デジタルトランスフォーメーション)を目的としたWebサイト最適化技術などを中心に、オンラインビジネスのコンバージョン率(成約率)の向上を実現するSaaS事業を展開しております。2015年3月19日に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、2016年12月21日に東京証券取引所市場第一部へ市場変更いたしました。そして、2022年4月4日には東京証券取引所スタンダード市場に移行いたしました。
現在はコアバリューを「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」として、ビジネスコンセプトを「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」に据え、様々なサービスを展開しております。具体的には、特許技術(国内外)を活用したクラウド型のWebサイト最適化サービス「ナビキャストシリーズ」、本人確認におけるなりすまし防止などのセキュリティ強化を目的とした「ProTech(プロテック)シリーズ」、企業と顧客をつなぐプラットフォーム「おもてなしSuite」や、企業のDX支援開発を行う「DXクラウド事業」を展開しております。このほかにも、オウンドメディア運用を行う「広告・メディア事業」、子会社の株式会社Showcase Capital(以下、「Showcase Capital」といいます。)が展開するスタートアップ支援事業を行う「投資関連事業」、子会社のReYuu Japan株式会社(東証スタンダード:9425、以下「ReYuu」といいます。)が展開する中古スマートフォン等の通信端末機器の販売・買取り・レンタルを行う「情報通信関連事業」の4事業を手掛けております。
ア.DXクラウド事業
ⅰ.ナビキャストシリーズ
「ナビキャストシリーズ」は、Webサイト最適化技術により企業の運営するWebサイトのコンバージョン率(成約率)を高めるクラウドサービスです。主力サービスである「フォームアシスト」は、EFO(Entry Form Optimization:入力フォーム最適化)市場で10年連続シェアNo.1(注1)を獲得し、金融機関を中心としたお客様に対して、ウェブ解析士の資格を有するコンサルタントによる改善効果の高い提案により、付加価値の高いサービスを提供しております。
(注1) 出典:ITR「ITR Market View:メール/Web/SNSマーケティング市場2024」入力フォーム最適化市場規模推移および予測(2014年~2023年度予測・売上金額)
ⅱ.ProTechシリーズ
「ProTechシリーズ」は、Webサイトにおける不正なログインやなりすまし、入力ミスによる機会損失などの防止やセキュリティ強化などに特化し、お客様のコンバージョン(成約)獲得のベネフィットを最大化するクラウドサービスです。オンライン本人確認/eKYC(electronic Know Your Customer)を実現するサービス「ProTech ID Checker(プロテックアイディーチェッカー)」は金融機関をはじめ、古物商、法律事務所、レンタルショップなど幅広い業界で、ご導入いただいております。2023年6月には、マイナンバーカードを本人確認に利用する公的個人認証サービス(JPKI:Japanese Public Key Infrastructure)機能である「ProTech マイナンバーIC認証」の提供を開始したほか、運転免許証をはじめとするあらゆる書類の文字情報をデータ化する「ProTech AI-OCR」の提供を開始しております。また、AIによる保険証の自動マスキングサービス「ProTech AI Masking」、なりすましや不正ログインをSMS(ショートメッセージサービス)認証で防止する「ProTech MFA by SMS」(MFA:Multi-Factor Authentication、多要素認証のこと)を提供しております。
ⅲ.おもてなしSuite
「おもてなしSuite」は、企業と顧客をつなぐあらゆるユーザーインターフェースをSaaSとして実現するプラットフォームです。AIによるチャット機能のほか、プログラミングなどの専門的な知識・技術がなくても簡単に入力フォームが作れるローコードフォーム作成機能を提供しております。フォーム作成機能においては、サイボウズ株式会社(東証プライム:4776、以下、「サイボウズ」といいます。)が提供する「kintone(キントーン)」との連携が可能です。当社はサイボウズオフィシャルパートナー(プロダクト、コンサルティング)に認定されており、kintoneをより使いやすくする機能も提供しております。kintoneの連携機能である「おもてなしSuite for kintone View」では、kintoneに入力されたデータをわかりやすく描画することが可能です。また、2024年10月に販売開始した「Associate AI Hub for kintone」は、自然言語インターフェース(NLUI:Natural-language user interface)を用いた音声認識で操作することで、まるでアシスタントに話しかけるようにしてkintoneのアプリを簡単に作成することができます。
ⅳ.クラウドインテグレーション事業部
各業界のリーディングカンパニーが持つ専門的な知識と、当社の持つSaaSプロダクト開発ノウハウを掛け合わせて、業界特化型DX支援開発を行っております。これまでに、広報・PR支援SaaS「PRオートメーション」の共同開発、消防設備点検報告書をデジタル化し、データベース化するクラウドシステム等の防災をDXする新たなVertical SaaS(注2)の開発、横浜銀行(神奈川県横浜市)をはじめとする金融機関とのDXの開発事業も手掛けており、ローンの審査でオンライン本人確認/eKYC等を活用し審査をDXするサービスの開発も行っております。
またDXクラウド事業内で「ショーケース LLM Labs」を立ち上げております。生成AIの急速な発展を受けて、大量のテキストデータによって学習するLLM(Large Language Model、大規模言語モデル)を活用した新規プロダクト開発、協業企業との概念実証、LLM導入コンサルティングを行う目的で立ち上げた社内プロジェクトで、先述の「Associate AI Hub for kintone」の開発のほか、複数企業との概念実証を実施しております。
(注2) 「Vertical SaaS」とは、特定の業界や分野に特化して設計されたソフトウェアサービスのことです。
イ.広告・メディア事業
ⅰ.広告関連サービス
広告関連サービスは、従来から提供してきた運用広告関連サービスに加え、顧客のニーズに合わせたSNS広告運用サービスを提供しております。
ⅱ.オウンドメディア運営
オウンドメディア運営は、スマートフォン、プログラミング、英会話など様々な商品・サービスを比較するメディア「ショーケース プラス」をはじめとする複数のメディアを運営しております。
ウ.投資関連事業
投資関連事業を手掛ける子会社であるShowcase Capitalは、スタートアップ起業家と事業会社やVC・CVCをオンラインでマッチングするプラットフォーム「SmartPitch(スマートピッチ)」等を通じて、スタートアップ・エコシステムの形成の一助となる活動に取り組んでおります。2024年11月14日現在、登録数はスタートアップ企業側が500社超、事業会社等の投資家側は240社を超えました。昨年度はオフラインイベントも開催し、年間で合計約300名の投資家・起業家が参加しました。また、2024年9月にはDX人材育成研修プログラムの支援事業を開始しております。
エ.情報通信関連事業
情報通信関連事業を手掛けるReYuuは、スマートフォン、タブレット、パソコン等の通信端末機器について、リユース品を中心として売買する事業を展開しております。これらの機器が不要となった消費者や国内外の法人企業から同端末機器を買取り、同社のモバイルリファビッシュセンターにおいて、商品査定、データの消去処理や外装のクリーニング等の処理を施した後、リユースモバイル端末として販売しております。同事業においては、リユースモバイル端末を国内のMVNO事業者や国内外の卸売業者、一般法人企業等へ向けて販売するとともに、自社運営サイト及び外部ECモールにおいて、個人向けのオンライン販売を実施しております。また、法人向け通信端末機器のレンタル等も行っております。法人向け通信端末機器のレンタルは、同社のリユース関連事業において買い取り、整備等を行った通信端末機器をレンタルし、その顧客からレンタル利用料を収受しております。
当社グループが事業展開する主要マーケットの一つである、国内デジタルマーケティング市場は、2020~2025年にCAGR(年平均成長率)7.2%の6,102億円(注3)と、当社の認識からして高い成長率が見込まれます。また、国内DX市場規模は、2030年には8兆350億円に拡大する見通しである一方(注4)、DXに「既に取り組んでいる」と回答した中小企業は2023年時点で14.6%であり(注5)、中小企業を中心としたDXには大きな伸びしろがあると考えております。
また、2023年に広く認知されたChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)により、AI関連市場が、当社の認識からして、大きく変化を遂げております。具体的には、LLMを活用した対話AIサービスは2027年度までに市場規模は約6,905億円に成長する見通しであり(注6)、現在も業界やサービスを問わず、その連携領域を広げています。
これらの事象を鑑みて、当社グループではAIを活用した自社サービスの機能開発を進める予定です。具体的には現場のユーザーが直接操作して日々の業務に取り込めることを目的とした、『誰でもカンタンに、スモールステップから始められるDX』を実現する手軽なAIソリューションの開発を目指しております。
(注3) 出典:IDC 国内デジタルマーケティング関連サービス市場 セグメント別/産業分野別予測、2020~2025年
(注4) 出典:富士キメラ総研『2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編』
(注5) 出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構『中小企業のDX推進に関する調査(2023年)』
(注6) 出典:株式会社シード・プランニング『2023年版 対話AIビジネスの現状と将来展望~ChatGPT・GPT-4を含む大規模言語モデル(LLM)がもたらす新市場~』
当社は、2024年5月に中期経営計画を策定し、2024年5月15日付けで「2024年12月期-2026年12月期中期経営計画説明資料」(以下「本中期経営計画」といいます。)を公表いたしました。本中期経営計画の中では、成長戦略として、当社サービスの中でも「ProTechシリーズ」と「おもてなしSuite」を販売注力商品と掲げ、売上拡大を企図しております。その背景として、本中期経営計画策定以前より売上基盤を築いてきた「ナビキャストシリーズ」について、その所属するEFO市場が成熟しつつあるうえ、市場規模そのものが約16億円程度であることに鑑み、当社として、今後より市場の大きな成長が期待できる「ProTechシリーズ」(注7:eKYC市場:2024年市場規模で約120億円)と「おもてなしSuite」(注8:ローコード開発市場:2025年市場規模で約1,000億円)の販売に注力していきたい意向が当社としてありました。「ナビキャストシリーズ」は金融機関での利用が多かったことを踏まえ、「ProTechシリーズ」と「おもてなしSuite」でも金融機関をコアターゲットとして販売していく方針を検討しておりました。国内でのマイナンバーカードの普及により、マイナンバーカードを用いた本人認証を行う機会が増えたことから「ProTechマイナンバーIC認証」の需要が拡大したほか、近年地方自治体での導入が増加しているkintoneとの連携が可能な「おもてなしSuite」の新機能が2023年6月に販売開始となったため、当社サービスの地方自治体・官公庁・地方金融機関の需要が拡大いたしました。これにより当初検討していたターゲット以外にも、地方自治体や地方金融機関への販売強化を目指していきたい意向がさらに強まったものの、東京都に拠点を構えていることから地方自治体や地方金融機関に対する販路の拡大に地理的な課題がありました。加えて、2024年11月14日に公表いたしました「減損損失の計上及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に記載の通り、2024年12月期において着地見込みを下方修正いたしました。DXクラウド事業において着実に顧客数を積み上げているものの、顧客単価の伸び率が想定の値に達してないことから、足元では本中期経営計画公表時点から予実の乖離が発生しておりました。これらの課題感から、特に需要の高まっている地方での認知拡大を目的とした地方営業人材の採用・育成や、地方企業・地方自治体に向けたマーケティング活動等を実施するべく、当社がターゲットとする地方自治体や地方金融機関とのネットワークを有する企業との業務提携及び資金調達に関して、検討を進めておりました。
(注7) 出典:eKYC市場規模 eKYC/当人認証ソリューション市場に関する調査を実施(2023年)
(注8) 出典:ローコード開発市場規模 ITR Market View:ローコード/ノーコード開発市場2024
FVCは、2024年5月14日、公開買付者を完全親会社とする持株会社体制への移行を決定し、FVCの既存ファンド事業とM&Aや直接投資を切り分けた運営体制を構築していく中で、M&Aや直接投資領域については今後市場のニーズが高まると予想されるAIを軸とした事業展開を検討していました。その一環として、AIに関連する事業会社との協業を模索していたところ、2024年5月22日に当社の元CFOが代表を務める株式会社東京コンサルティングファームより、当社の紹介を受けたとのことです。そして、2024年6月18日、当社からFVCに対し、公開買付者グループが有するファンド組成のノウハウと地域金融機関とのネットワークを活用して、当社が有するAI及びDX関連技術の導入を事業展開することを内容とする、業務提携の提案を行いました。これに対し、FVCは、持株会社化を進めるとともに、AI関連事業のM&A推進を検討している中で、当社から提案した業務提携に基づき協業することによって、公開買付者グループ及び当社グループの双方において、下記に記載する各シナジーが生じると判断し、2024年6月20日から、当社との業務提携に関する協議を進めてきたとのことです。
そのような中で、当社から、2024年7月4日、当社においては運転資金の確保等のための資金需要があるところ、当社が保有している自己株式1,612,900株を公開買付者に対して処分することで、公開買付者グループが当社株式を保有することを内容とする、資本業務提携についての提案を行いました。FVCはこれを積極的に検討し、当社とその条件についての交渉を進めておりました。その中で、2024年7月29日、当社の創業者で代表取締役会長かつ第2位株主である永田氏(所有株式数:1,190,200株、増資前所有割合:17.10%、増資後所有割合:13.88%)から、FVCに対し、公開買付者グループとの連携をより強化し、当社グループのより迅速な成長を実現する観点から、1株あたり600円であれば、所有株式(1,190,200株)を譲渡したいという提案があったとのことです。当該価格は、当該提案日の前営業日である2024年7月26日の当社株式の終値(298円)に101.34%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同じです。)の、同日を基準とする過去1ヶ月間における終値の単純平均値(302円)(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値について同じです。)に98.68%の、過去3ヶ月間における終値の単純平均値(302円)に98.68%の、過去6ヶ月間における終値の単純平均値(316円)に89.87%のプレミアムを付した価格とのことです。その後、交渉が進む中で、当社の創業者で第1位株主である森氏(所有株式数:1,538,300株、増資前所有割合:22.10%、増資後所有割合:17.94%)も、永田氏と同様の考えがある旨について当社に対して意向を表明し、当社は公開買付者に対して当該意向表明を受けた旨を伝達しました。
このような提案を受け、公開買付者グループは、譲渡価格についてはさらに検討する必要はあるとしても、当社との間で構築する資本業務提携関係をより強固なものとし、両社グループの協業関係に基づくシナジーの最大化を図る観点から、所有割合の過半数を得るべきとの考えに至ったとのことですが、本応募合意株主から保有株式の譲渡を受ける場合、その所有割合から公開買付けを実施する必要があったところ、資本業務提携関係の強化により見込まれる事業上のシナジーや公開買付けを実施する場合に想定される費用等を検討した結果、本公開買付けを実施することとなったとのことです。
また、その後、2024年9月11日、本公開買付けを実施する場合、当社における自己株式の処分においても本公開買付けに応募する方法による必要が生じるところ、公開買付者は、当社について、上場を維持しつつ連結子会社とすることを想定していることから、買付予定数には上限を設定する予定とのことでしたが、本応募合意株主の提案する譲渡価格に基づけば、本公開買付けがプレミアムを設定した公開買付価格によることが想定されていたことから、応募株券等の数の合計が買付予定数の上限を超えることが考えられ、その場合は、当社の自己株式の処分も含めた応募者からのあん分での買取りとなり、結果として当社が必要とする資金調達ができなくなる可能性を認識したとのことです。公開買付者が、2024年9月19日、以上の認識について当社に伝えたところ、当社からは、2024年9月20日、本第三者割当増資によって資金需要を満たす資金調達を確実に得られるようにするため、自己株式処分ではなく、新株式発行による第三者割当増資により、公開買付者が当社株式を取得する方法を採用したい旨の提案を行い、公開買付者としても、当該提案を採用することにしたとのことです。
上記経緯を踏まえ、公開買付者は、当社に対し、初回提案として、2024年10月3日付けで、(ⅰ)公開買付け及び第三者割当増資の手法により当社株式の過半数を取得すること、及び(ⅱ)本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)及び本第三者割当増資の払込金額は、1株につき470円とすること等を内容とする意向表明書を提出しました。当該価格は、当該提案日の前営業日である2024年10月2日の当社株式の終値295円に59.32%の、同日を基準とする過去1ヶ月間における終値の単純平均値284円に65.49%の、過去3ヶ月間における終値の単純平均値280円に67.86%の、過去6ヶ月間における終値の単純平均値295円に59.32%のプレミアムを付した価格です。公開買付者が、本公開買付価格及び第三者割当増資の払込金額について1株につき470円で当初の提案をした経緯は、当社の本中期経営計画に基づき古関耕造国際会計事務所において算定した株式価値評価を参照し、公開買付者の社内協議を経て決定したものとのことです。同日、公開買付者は、当社と面談を行い、当社に対して当該意向表明書の内容について説明しました。当社としても本取引を通じた公開買付者との協業により、当社の経営成績及び財政状態の改善、ひいては当社の中長期的な企業価値の向上に資する可能性があると判断したことから、公開買付者の考え方に賛同するとともに、2024年10月11日以降、本取引の実施及び本資本業務提携契約書の締結に向けた検討を開始しました。なお、当該意向表明書の内容からは明らかになっていない事項について、当社から公開買付者に対し、2024年10月4日付けで、(ⅰ)公開買付者の概要、(ⅱ)本取引の取引形態の概要、(ⅲ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、(ⅳ)本公開買付け後の経営方針、(ⅴ)本公開買付け後の当社株式の保有方針、(ⅵ)公開買付者において実施を予定する公正性担保措置の内容、及び(ⅶ)本公開買付けに係る重要な合意等を内容とする質問事項書を送付し、2024年10月11日に公開買付者から当社に対し回答しました。当該回答の概要については、以下のとおりです。
(ⅰ)公開買付者の概要
(a)公開買付者の基本的情報、(b)同日時点で公開買付者グループが当社株式を保有している事実や本取引までに取得する予定はないこと、(c)本取引の資金をFVCから調達予定であること等
(ⅱ)本取引の取引形態の概要
(a)本公開買付け及び本第三者割当増資の主要条件(買付価格は1株につき470円、対象となる株券等、普通株式、公開買付期間:2024年11月14日公表・20営業日、買付予定数の上限:2,759,100株、買付予定数の下限:2,759,100株)、(b)当社が上場を維持する理由は、これによりソリューションを提供する金融機関・地方自治体・企業等に対する信頼性・ブランド価値が維持され、当社の企業価値向上及び株主の共同利益の最大化につながると判断し、また、当社の企業価値を最大化させるために資金調達や組織再編の柔軟性を確保することも可能となると考えていること、(c)本取引以外に検討したスキームはないこと、(d)公開買付者グループ外の共同取得者は想定していないこと、(e)本取引のストラクチャーについて、公開買付者において同日時点で保留又は今後継続的に検討が必要となっている、重要な前提条件等はないこと等
(ⅲ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景
本項「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」と概要は同じであるため、同項の記載をご参照ください。
(ⅳ)本公開買付け後の経営方針
下記「④ 本公開買付け後の経営方針」と概要は同じであるため、同項の記載をご参照ください。
(ⅴ)本公開買付け後の当社株式の保有方針
増資後所有割合が51.00%となるよう当社株式を取得し、それを維持した状態での長期保有を考えていること
(ⅵ)公開買付者において実施を予定する公正性担保措置の内容
第三者機関から株式価値算定書の取得を予定していること
(ⅶ)本公開買付けに係る重要な合意
(a)大株主である本応募合意株主から応募意向の確認を得る予定であること、(b)本取引後の役職や処遇等について当社役職員との間で合意はなく、合意する予定もないこと
その後、上記回答を踏まえ、当社においても本取引の実施及び本資本業務提携契約書の締結に向けた検討を進めてまいりました。
上記交渉状況を踏まえ、公開買付者は、2024年10月上旬から下旬にかけて、両社合意のもとで、当社に対して、デュー・デリジェンスを行いました。具体的には、2024年10月上旬、公開買付者は、デュー・デリジェンスにおける法務アドバイザーとして晴海パートナーズ法律事務所に、デュー・デリジェンス以外の事項に関する法務アドバイザーとして祝田法律事務所に、財務アドバイザーとして古関耕造国際会計事務所に、また、第三者算定機関及び財務アドバイザーとして東京フィナンシャル・アドバイザーズ株式会社(以下「東京フィナンシャル・アドバイザーズ」といいます。)に打診をし、2024年10月上旬に選定し、公開買付者は、晴海パートナーズ法律事務所及び古関耕造国際会計事務所を通じて、法務及び財務の観点からのデュー・デリジェンスを実施しました。なお、各アドバイザーは、公開買付者、当社及び本応募合意株主から独立したアドバイザーとのことです。
以上の交渉及び検討の結果、公開買付者は、本取引により、当社との間の資本業務提携関係をより強固なものとし、両社グループの協業関係を構築することで、下記に記載のとおり、両社事業におけるシナジーが実現可能であるとの考えに至ったとのことです。
この点、公開買付者が当社に対して本公開買付価格及び第三者割当増資の払込金額について1株につき470円で提案した根拠は、当社の本中期経営計画に基づき古関耕造国際会計事務所において算定した株式価値評価を参照し、公開買付者の社内協議を経て決定したものであったとのことです。一方で、公開買付者が、2024年10月28日、当社から本中期経営計画から見直された当社の事業計画(2024年12月期から2026年12月期までの3期間。以下「本事業計画」といいます。)を受領したところ、本事業計画と本中期経営計画との間には乖離があり、具体的には、本事業計画の財務予測に係る数値が本中期経営計画上の数値を下回っていたとのことです。この点に関し、公開買付者としては、本中期経営計画は、DXクラウド事業では代理店販売を中心としたパートナー戦略における期待売上や高収益率を見込んでいたほか、広告・メディア事業にて2025年に開始予定の新規事業等の値が含まれており、積極的な成長戦略を前提とした意欲的な目標値として策定されたものであった一方、本事業計画の財務予測に係る数値は、上述の本中期経営計画策定時点からの事業環境の変化や足元の業況を踏まえて発生した予実差を踏まえ、現状に即した客観的且つ合理的な財務予測として策定されたものであり、これに伴い乖離が生じていることを認識したとのことです。そのため、公開買付者においては、財務デュー・デリジェンスの結果も踏まえ、より慎重に社内で再評価を行う必要があると判断したとのことです。そこで、公開買付者において、本事業計画および財務デュー・デリジェンスの結果を反映し、公正価値の範囲内であるディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)によるレンジを再検討した結果、本公開買付価格及び本第三者割当増資の払込金額は、420円が妥当であるとの結論に至ったとのことです。そこで、公開買付者は当社に対し、2024年10月31日、本公開買付価格及び第三者割当増資の払込金額を1株につき420円とする旨の再提案を提示したとのことです。
以上のとおり、本公開買付価格及び本第三者割当増資の払込金額については、公開買付者から当社に対し、資本業務提携によるシナジー及び本事業計画を踏まえて1株当たり420円を再提案し、この価格は第三者算定機関である東京フィナンシャル・アドバイザーズによる価格算定により裏付けを得ている価格であり、2024年10月31日の当社の普通株式の終値に対して42.86%のプレミアムを乗じた価格となります。
公開買付者の上記再提案に対して、当社は社内における検討を重ね、その結果、2024年11月12日、公開買付者は当社から、上記再提案を受け入れる方針である旨の回答を得たことから、公開買付者及び当社は、本資本業務提携契約を締結し、当社が公開買付価格を420円とする本公開買付けに賛同し、また、本第三者割当増資の払込金額を420円、発行株式数を1,612,900株とする方針について、最終合意に至りました。
公開買付者及び当社は、公開買付者グループ及び当社グループにおける資本業務提携関係・協業関係の構築に基づく、両社グループのシナジーとして、具体的には、以下の点を見込んでおります(以下、これらのシナジーを総称して「本件シナジー」といいます。)。
まず、公開買付者グループのファンド事業における、投資先企業に対する金融支援(資金提供)と経営伴走支援において、当社の持つAI関連技術は、重要な役割を果たすことが期待できるとのことです。すなわち、当社は、AI関連技術を駆使して、公開買付者グループの投資先企業のグループ内でのDXを推進し、投資先企業の属する各業界での競争優位性を強化することが可能とのことです。より具体的には、公開買付者グループの投資先企業において、当社のAI関連技術を用いることで、売上等各種データ分析・予測の高速化による意思決定迅速化、ルーティン業務の自動化、製造工程における無駄の排除、在庫管理や価格設定の最適化などの業務効率化や、顧客ニーズ・市場動向のAI分析による新製品・サービスの開発、個別最適化された製品・サービスの提供、個別最適化されたマーケティングによる顧客との関係深化などの事業モデルの革新が可能となり、マーケットインテリジェンス(注9)の強化を図り、投資先企業において市場ニーズに即応する製品やサービスの提供が可能となるとのことです。さらに、将来的に当社は、他社が他社の顧客に提供している既存ソリューションとの連携により、当社のAIソリューションがより最適化され、その魅力を増強し、公開買付者グループの投資先企業に対して最適なテクノロジーの実装を支援できる可能性もあると考えているとのことです。これらにより、公開買付者グループの投資先企業の顧客満足度の向上、新規顧客の獲得、既存顧客のロイヤルティ向上を実現でき、公開買付者グループの投資事業全体の価値を増大させることが見込まれるとのことです。公開買付者グループは、本公開買付けにより、以上のような当社のAI関連技術を組み込んだ新たなビジネスモデルを確立し、投資事業のバリューアップを実現することを企図しているとのことです。そして、公開買付者グループ全体の企業価値の向上と、公開買付者グループの投資先企業に対してAI関連技術を用いたソリューションを提供し、バリューアップさせていくという持続的な成長モデルを確立することができると考えているとのことです。
次に、当社側からの観点では、当社においては、高度なAI関連技術を持つ一方で、そのようなAI関連技術を用いた新規開発製品について事業として黒字化できていないという点を見れば、自社サービスを、それを必要とする顧客に届けるための営業体制の構築が経営上の課題であるといえます。この点、公開買付者グループがこれまで培ってきた地方金融機関や地方自治体、CVCパートナーとのネットワークを活用することで、当社のDXソリューションである金融機関向けの本人確認/eKYCサービスや地方自治体の入力フォーム最適化といった製品を、幅広い市場へと迅速に横展開することが可能となります。すなわち、既に信頼関係のある公開買付者グループの顧客基盤を当社に紹介し、当社における営業活動に活用することで、当社において当該顧客基盤のニーズをタイムリーに吸い上げ、当社のサービスについて当該顧客基盤への導入プロセスを円滑に進めることが可能となり、顧客のDXニーズに即応する新しい商材への発展を促進することが期待できます。さらに、公開買付者グループの豊富な企業投資経験とハンズオン経営支援のノウハウは、当社の新しい営業領域を切り開くための強力な基盤となります。具体的には、レンタカー業界や旅行業界での国際免許証やパスポートの認証市場、補助金申請プロセスの認証ソリューションといった事業分野において、公開買付者グループの顧客や投資先に対し当社の技術的価値を提供することで、当社の販路が拡大される一方、公開買付者グループの顧客や投資先のサービス向上や業務改善につながるといったシナジーが考えられます。また、公開買付者グループの投資先である医療やエネルギー、モビリティ分野の企業と連携し、当社の商材を活用した新規市場の開拓と販路構築を進めることも可能です。中期的には、AI関連技術の重要性が増す中で、公開買付者グループが注力しているAI領域のネットワークを最大限に活用し、当社の専門技術との統合、例えば、AIを活用した顧客データの高度解析によるマーケティング戦略の最適化や、AI駆動型の業務プロセスの自動化など、新たなビジネスモデルの変革を推進します。このような取り組みにより、公開買付者グループ全体の競争力を強化し、新しい付加価値を創出していくことが期待できると考えられます。
一方で、ディスシナジーについては、公開買付者グループから当社グループの競業企業への投資が、競業企業側から回避され、困難になることが想定されます。もっとも、そのような競業企業は限定される上、本取引後、公開買付者グループにおいてAI事業及びDX事業を行うことで、これら事業において高いシナジーの期待される競業企業への投資がかえって促進される可能性もあることから、このようなディスシナジーが生じる可能性は低く、ディスシナジーが生じた場合であっても極めて限定的であると考えているとのことです。また、当社グループのサービスが公開買付者グループの競業企業から回避される可能性もディスシナジーとしては想定されますが、市場全体から見ればそのような競業企業は限定的であり、このようなディスシナジーは、生じたとしても極めて限定的なものであると考えているとのことです。
(注9) 「マーケットインテリジェンス」とは、企業が、市場での競争力を強化するために、市場環境や競合、顧客の動向、トレンドなど、外部環境に関する情報を収集、分析し、ビジネス戦略や意思決定に役立てるプロセスのことをいいます。
③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の当社の経営成績及び財政状態に鑑み、2024年5月上旬から他社との協業による経営成績及び財政状態の改善を模索すべく、協業先となり得る公開買付者ともう1社の候補者について検討を行ってまいりました。そのような中、2024年5月22日に当社の元CFOが代表を務める株式会社東京コンサルティングファームより、AIに関連する事業会社との協業を模索しているFVCの紹介を受けたことにより、協議先となり得る候補者として同社の存在を認識するに至り、2024年6月18日には、当社からFVCに対し、公開買付者グループが有するファンド組成のノウハウと地域金融機関とのネットワークを活用して、当社が有するAI及びDX関連技術の導入を事業展開することを内容とする業務提携の提案を行い、以降、複数回に亘り協業や資本業務提携に関する協議を重ねてまいりました。その後、当社は公開買付者から2024年10月3日付けで、(ⅰ)公開買付け及び第三者割当増資の手法により当社株式の過半数を取得すること、及び(ⅱ)本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付価格及び第三者割当増資の払込金額は、1株につき470円とすること等を内容とする意向表明書を受領しました。同日、当社は公開買付者と面談を行い、公開買付者から当該意向表明書の内容について説明を受け、当社としても、本取引を通じた公開買付者との協業により、当社の経営成績及び財政状態の改善、ひいては当社の中長期的な企業価値の向上に資する可能性があると判断したことから、公開買付者の考え方に賛同すると共に、2024年10月初旬以降、本取引の実施及び本資本業務提携契約書の締結に向けた検討を開始いたしました。なお、当該意向表明書の内容からは明らかになっていない事項について、当社から公開買付者に対し、2024年10月4日付けで、(ⅰ)公開買付者の概要、(ⅱ)本取引の取引形態の概要、(ⅲ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、(ⅳ)本公開買付け後の経営方針、(ⅴ)本公開買付け後の当社株式の保有方針、(ⅵ)公開買付者において実施を予定する公正性担保措置の内容、及び(ⅶ)本公開買付けに係る重要な合意等を内容とする質問事項書を送付し、2024年10月11日に公開買付者から上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり回答を受領いたしました。その後、当該回答を踏まえ、当社においても本取引の実施及び本資本業務提携契約書の締結に向けた検討を進めてまいりました。
公開買付者は、本公開買付けの実現可能性の精査のため、2024年10月上旬から下旬にかけて当社に対するデュー・デリジェンスを実施するとともに、両社は、本取引に係る協議及び検討を継続してまいりましたが、公開買付者による当社の連結子会社化に向けた方法として、当社の少数株主に売却の機会を提供することが可能である本公開買付けと、当社の財務基礎を悪化させることなく当社の資金調達需要を満たすことが可能である本第三者割当増資を組み合わせることで、少数株主の売却機会の確保及び資金調達需要の双方に配慮することが可能であると考えられたことから、当社は、本公開買付けと本第三者割当増資を組み合わせることが望ましいとの結論に至りました。加えて、当社は、公開買付者との間で、当社の独自の企業文化や経営の自主性を維持することが、当社の持続的な発展により企業価値を向上させていくために非常に重要であることから、当社の経営の自主性や独自の企業文化を維持しつつも、当社を連結子会社化することにより、公開買付者と当社との間で安定的かつ強固な関係を構築し、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の本件シナジーを実現させることが、当社の企業価値向上に資するとの共通認識に至りました。
なお、当社は、本取引及び本資本業務提携の実施に向けた詳細な協議及び検討の過程で、下記「(3)算定に関する事項」及び「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者、本応募合意株主及び当社のいずれからも独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者評価機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)を2024年9月下旬に選定し、プルータス・コンサルティングに対し、当社株式の価値算定を依頼し、プルータス・コンサルティングから株式価値算定書を取得するとともに、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者、本応募合意株主及び当社のいずれからも独立した法務アドバイザーとして三浦法律事務所を2024年9月下旬に選定し、同事務所から法的助言を得ました。
公開買付価格については、当社は、2024年10月3日、公開買付者より、本公開買付価格を470円とする旨の提案を受けました。当該価格は、当該提案日の前営業日である2024年10月2日の当社株式の終値295円に59.32%の、同日を基準とする過去1ヶ月間における終値の単純平均値284円に65.49%の、過去3ヶ月間における終値の単純平均値280円に67.86%の、過去6ヶ月間における終値の単純平均値295円に59.32%のプレミアムを付した価格です。これに対して、当社は、同日に、当該提案の株価水準であれば当該提案がなされた時点において問題は無く、本取引の詳細な検討をさらに進めることができるとの初期的な感触を抱きました。
その後、公開買付者から、実施されたデュー・デリジェンス及び第三者算定機関である東京フィナンシャル・アドバイザーズの価格算定の結果も踏まえ、2024年10月31日に、本公開買付価格及び本第三者割当増資の払込金額を420円とする旨の提案を受けました。当該価格は、当該提案日の前営業日である2024年10月30日の当社株式の終値287円に46.34%の、同日を基準とする過去1ヶ月間における終値の単純平均値294円に42.86%の、過去3ヶ月間における終値の単純平均値278円に51.08%の、過去6ヶ月間における終値の単純平均値290円に44.83%のプレミアムを付した価格とのことです。そして、同年11月11日に、当該提案の内容を補足する趣旨で「提案価格の見直し経緯について」と題する書面(以下「本補足書面」といいます。)につき公開買付者から提出を受け、本補足書面には、本事業計画を精査した結果、当初の評価で前提としていた本中期経営計画と乖離があることが判明し、具体的には、当社の売上高や粗利益の減少に伴い、営業利益が大幅に下方修正されている状況や財務デュー・デリジェンスの結果も踏まえ、より慎重に再評価を行う必要があると公開買付者において判断した結果、420円への提案価格の見直しがなされた旨記載されていました。これに対して、当社は更に詳細な検討を行った結果、第三者評価機関であるプルータス・コンサルティングから取得した当社株式の試算結果や、2019年6月28日から2024年8月31日までに公表された、国内上場企業を対象に連結子会社化を目的とする、買付予定数に上限が設定された他社株公開買付けの事例32件におけるプレミアム水準(公表前営業日の終値に対して平均値24.94%、過去1ヵ月間の平均終値に対して平均値25.86%、過去3ヵ月間の平均終値に対して平均値26.04%及び過去6ヵ月間の平均終値に対して平均値27.05%)に照らしても、当社株式の売却を希望する当社の少数株主にとって妥当な価格での売却機会が確保されていると評価できること(なお、応募株券等の総数が買付予定数の上限を超え、あん分比例の方式による決済が行われる可能性があるものの、かかる場合であっても、当社株式の売却を希望する当社の少数株主は、保有する当社株式の一部については本公開買付けにおいて売却することが可能であり、また、本公開買付けにおいて売却することができなかった残りの当社株式についても、公開買付者が本取引後も引き続き当社株式の上場を維持する方針であることから、引き続き売却を希望する場合には、東京証券取引所スタンダード市場で売却する機会があり、他方で保有を継続する場合には、本件シナジーの実現により当社の企業価値が向上することによる利益を享受する機会があること)、及び公開買付者が本取引後も当社株式の上場を維持する方針であり、当社株式の売却を希望しない当社の少数株主にとっては本取引後も当社株式を継続して所有するという選択肢をとることができ、中長期的には、本件シナジーの実現により当社の企業価値が向上することで、本第三者割当増資による株式の希薄化による不利益を上回る利益が期待できると考えられることから、少数株主の利益保護に十分留意されていると判断し、2024年11月12日、最終的な意思決定は2024年11月14日開催予定の当社取締役会での決議によることを前提として、本公開買付価格を420円とすることで応諾する旨を書面で公開買付者に回答しました。
また、本第三者割当増資の払込金額について、当社は、市場株価に対してディスカウントした払込金額になると、当社株式の希薄化の程度が高まり、当社の市場株価が下落するリスクが高まる懸念もあることに加え、本公開買付けの買付予定数には上限(2,759,100株)が設定されているところ、一般論として、部分買付けの場合には、本公開買付価格に不満があっても、本公開買付けに応募しなければ上記のリスクが実現した場合に不利益を被ると考え、本公開買付けに応募する必要があると考える少数株主が存在する可能性も懸念されるため、かかる当社の少数株主による懸念の可能性を低減する必要があると考えるに至りました。2024年10月3日に公開買付者から当社に対して、本第三者割当増資の払込金額を本公開買付価格と同額である470円とするとの提案があり、これに対して、当社は、同日に、当該提案の株価水準であれば同日における当社株式の終値(298円)に対してディスカウントした払込金額でないことから問題は無く、本取引の詳細な検討をさらに進めることができるとの初期的な感触を抱きました。その後、上記のとおり、公開買付者から、2024年10月31日に、本第三者割当増資の払込金額を420円とする旨の提案を受けました。これに対して、当社は、当該払込金額であってもなお当社の少数株主による懸念の可能性が低減されていると判断し、2024年11月12日、最終的な意思決定は2024年11月14日開催予定の当社取締役会での決議によることを前提として、本第三者割当増資の払込金額を420円とすることで応諾する旨を書面で公開買付者に回答しました。以上の協議・交渉を踏まえ、当社及び公開買付者は、2024年11月12日、本公開買付価格及び本第三者割当増資の払込金額を420円とし、また、本第三者割当増資による発行株式数について、当社の具体的な資金需要等を考慮の上で、1,612,900株とする方針で最終的な合意をいたしました。
これらの検討の結果、当社は、以下のとおり、本取引により当社が公開買付者の連結子会社となり、公開買付者と協業体制を構築することで、公開買付者が有する地方金融機関や地方自治体等のネットワークのリソースや、当社が有するDXノウハウやDXを実現するためのAI及びSaaS開発ノウハウの共有によるシナジーの創出に取り組んでいくことで当社の中長期的な企業価値の向上に資すると判断し、2024年11月14日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同することといたしました。
当社は、上記の両社グループを取り巻く事業環境を考慮すると、以下のような施策を実施することにより本件シナジー(上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」参照)が実現可能であり、ひいては両社グループのより一層の企業価値向上を図ることができると考えております。一方で、ディスシナジーとして、単体で会社運営する際に比して意思決定スピードが鈍る可能性が挙げられたものの、連結子会社化によるシナジーのほうが大きいという両社の判断から、本公開買付けに賛同することとしました。
ア.地方企業や地方自治体のDX推進、地方創生
現在日本全体の課題のひとつとして少子高齢化がありますが、地方においてはその傾向がより顕著であり、都市部への人口流出による労働力不足も発生しているため、生産性の向上が急がれています。一方で地方企業はDXが都市部に比べて遅れていると言われており、生産性向上に貢献するITやAIの活用がうまくなされていない現状があるものと認識しております。この理由として、「DXに取組むための知識や情報が不足している」「DXの戦略立案や統括を行う人材が不足している」等の回答が挙げられております(注10)。
(注10) 出典:ITR「ITR Market View:メール/Web/SNSマーケティング市場2024」入力フォーム最適化市場規模推移および予測(2014年~2023年度予測・売上金額)
公開買付者はベンチャーキャピタルとして、全国の将来成長が見込めると考えられる有望企業に投資しており、また、全国各地の金融機関や地方自治体とも連携しているとのことですが、当社は、このような地方の有望企業や地方自治体が今後も継続して発展していくには、業務効率化やDXを進めていく必要があると認識しております。
当社は10年以上EFO市場でシェアNo.1(独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」より引用)の「ナビキャストシリーズ」を通じたマーケティングのDX・UI/UX改善ノウハウがあります。また実際に、オンライン本人確認/eKYCツール「ProTech ID Checker」や、企業と顧客をつなぐプラットフォーム「おもてなしSuite」を通じて、地方の金融機関や地方自治体をDXした事例がすでに存在しております。更に、DXクラウド事業のクラウドインテグレーション事業部では、当社のSaaS開発力を活かした業界特化のバーティカルSaaSを開発しており、各業界のリーディングカンパニーの知見を融合したDX開発支援サービスを展開しています。具体的には株式会社横浜銀行(神奈川県横浜市)と共同で、目的別ローンの「契約内容確認システム」の共同開発を行ったほか、株式会社プラップジャパン(東証スタンダード:2449)の子会社であるプラップノード株式会社との広報×DX SaaS「PRオートメーション」の開発、ビルメンテナンス・防災事業を手掛ける株式会社WAVE1(東京都杉並区)との防災×DX SaaSなど多数のサービス開発経験があります。これらの実績を踏まえ、当社では上記の課題に関して、『誰でもカンタンに、スモールステップから始められるDX』を推進できるようなサービスを軸に展開しており、簡便な操作性でITやDXの専門知識がなくても解決策を提案できると考えております。
さらに、当社グループでは中古スマートフォンの販売やレンタルを手掛けるReYuuを通じて、DXに必要不可欠な端末の調達も行うことが可能です。昨今では小売店における注文や会計にスマートフォンやタブレットを用いるケースも増えてきており、当社グループ全体ではSaaSやAIの提供等のソフト面でのDX支援以外にも、端末の調達を通じてハード面でのDXを支援することが可能です。
公開買付者の持つ地方の有望企業や金融機関・地方自治体のネットワークと、当社グループの持つソフト・ハード両面でのDX支援の実績やノウハウをかけ合わせて、地方創生が達成できるよう努めてまいります。
イ.AIのプロダクトと研究開発リソースの共同利用
公開買付者は2024年10月1日に持株会社として設立されたとのことです。社名に掲げるAIに関して、同社は成長市場であると捉えており、LLM(ChatGPTをはじめとした大規模言語モデル)をはじめとして今後も継続的に発展が期待できる領域であると考えこの社名にしていること、また、AIを活用することで作業の効率化や革新的なアイディアの実現が可能になると考えており、これは公開買付者の出資する地方有望企業や金融機関・地方自治体等、同社のネットワーク上の企業が成長する上で重要だと認識しているとのことと同様に、当社においてもAIを活用したプロダクトは成長を牽引する重要な役割であると考えております。特に『誰でもカンタンに、スモールステップから始められるDX』を実現するために、現場のユーザーが直接操作して日々の業務に取り込んでいけるような手軽なAIソリューションの開発を検討しております。
当社では2023年5月に「ショーケースLLM Labs」という組織を立ち上げました。協業企業や顧客とのコラボレーションにより、業務プロセスを改善するAIソリューションの提案や、新たなビジネスモデルの概念実証を行うことを目的として設立いたしました。2024年10月には、ショーケースLLM Labsがサイボウズの提供する「kintone」向けのAIアシスタントサービス「Associate AI Hub for kintone」を販売開始いたしました。音声操作を用いてkintone上にアプリを作成するAIアシスタント機能のため、PCやkintoneの使い方がわからなくても操作が可能となっております。
このように、AIは成長市場かつDXを牽引できる要因であると考えられる一方、市場にはAIを扱える人材が少なくまだ多くの企業でAIを扱うことには課題があります。この課題に対して、当社が開発したAIソリューションの導入を推進していくほか、企業とのコラボレーションによる概念実証を推進していき、AIのノウハウ提供や人材交流を深め、日本全体のDXに寄与していきたいと考えております。
ウ.スタートアップ・地方有望企業の支援
公開買付者グループは1998年創業のベンチャーキャピタルとして、京都市を拠点として地方の有望企業を中心に未上場企業への投資を行い、スタートアップ企業の活躍支援を行ってきており、日本各地でファンドを組成し、各地域に根ざした企業や地方自治体との地方創生の取り組みを行っているとのことと同様に、当社では2017年にCVCであるShowcase Capitalを設立し、スタートアップ企業として上場を達成した自身の経験を基に、スタートアップ投資や支援を実行してまいりました。加えて2020年からは新事業として、スタートアップと投資家・事業会社をピッチ動画でマッチングするプラットフォーム「SmartPitch」の提供を開始いたしました。2024年11月14日現在において登録スタートアップは500社以上、投資家・事業会社は240社以上であり、オフライン・オンラインでのイベント開催実績は計60回に及んでいます。
特に地方に拠点を置くスタートアップは都市部のスタートアップと比較して認知度の拡大の観点で課題を感じているほか、投資家が都心に集中しているために接点が生まれづらいという課題を抱えているものと認識しております。SmartPitchでは拠点にかかわらずプラットフォームを通じて様々な投資家との交流を作れるため、この「不」を解決できると当社としては考えております。また共催イベントを開催することで、公開買付者の持つ地方有望企業や金融機関のネットワークを中心にマッチング支援を行うことで、スタートアップ・エコシステムへの貢献を目指してまいります。
エ.M&Aによる事業の拡大
公開買付者は中期経営計画の軸の一つにM&Aを掲げており、金融とシナジーのある企業のM&Aの実行により、ホールディングスカンパニーとして『金融総合サービス事業』を発展させる方針を示しているとのことと同様に、当社としても、当社グループの企業価値向上のためには、連続的な非連続な成長が有効的であると考えております。
また、公開買付者はベンチャーキャピタル事業を生業としていることから、M&Aにおける投資判断やデュー・デリジェンスの知見はグループ拡大の上で非常に有効的なものであると考えており、ベンチャーキャピタルとして様々な地域・事業領域における有望企業のソーシング活動を行っていることから、当社が単独でM&A活動に勤しむよりも一層効果的に当社並びに当社グループとのシナジーの見込める企業との接点が獲得できるものと考えております。当社としても既存事業を成長させることに加え、M&Aやアライアンスを成長のエンジンであると捉えており、成長を考える上で財務基盤の強化と財務の柔軟性を確保するため、戦略的M&A等の投資資金を拡充することを予定しております。当社では2022年1月にリユーススマホの販売やレンタル事業を手掛けるReYuuを子会社化いたしましたが、引き続きM&Aを事業成長の柱として考えております。今後もグループ全体の企業価値向上を目指し、連続的な非連続な成長を実現するため、M&Aやアライアンスに積極的に取り組んでまいります。
以上より、当社は、2024年11月[14]日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、本公開買付けには買付予定数に上限(2,759,100株)が設定され、本公開買付け後も当社株式の上場が維持される予定であり、当社の少数株主の皆様としては本取引成立後も当社株式を所有するという選択肢をとることにも十分に合理性が認められることに鑑み、当社の少数株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、中立の立場を取り、当社の少数株主の皆様のご判断に委ねること、公開買付者との間で本資本業務提携契約を締結すること及び本第三者割当増資を実施することを決議いたしました。
なお、上記当社取締役会の決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員による決議及び監査役全員による異議のない旨の意見」をご参照ください。
④ 本公開買付け後の経営方針
公開買付者は、本取引成立後の当社の経営方針について、当社の経営の自主性を維持・尊重することを基本としつつ、本取引後の当社の経営方針の詳細については、本公開買付け成立後、以下の事項を中心に、当社と協議の上で決定していくことを予定しているとのことです。
(ⅰ)テクノロジーの統合と開発
・AI技術の強化:当社のAI関連技術を軸に、DX技術の開発を推進します。特に金融機関向けのeKYCシステムや入力フォーム最適化などの既存ソリューションをさらに改善し、新たなソリューションも開発するとのことです。
・AIとデータ分析の活用:顧客データ解析を基にパーソナライズされたサービスを提供するための、新しいAIアルゴリズムの開発に注力します。これにより、取引先企業のマーケティング戦略強化や顧客体験の向上を図るとのことです。
(ⅱ)市場拡大とネットワーク強化
・全国的な顧客基盤の強化:公開買付者グループが持つ全国の金融機関、地方自治体、CVCパートナーとのネットワークを活用し、当社のソリューションをこれらの潜在顧客に積極的に提案し、これにより短期間で市場シェアの拡大を図るとのことです。
・新規市場への進出:公開買付者グループの投資先やパートナー企業のネットワークを活かして、医療、エネルギー、モビリティなどの新しい市場に進出し、これらの領域でAIやDXソリューションの導入を促進するとのことです。
(ⅲ)営業戦略と顧客対応
・セールスチームと顧客サポートの強化:公開買付者グループと当社グループとの間に、合同チームを組成し、共通のセールス戦略を策定することで、顧客のニーズに迅速に応えるためのサポート体制を強化するとのことです。
・カスタマーエンゲージメントの強化:定期的なワークショップやセミナーを通じて、顧客企業との関係を深め、フィードバックを反映したソリューション改良や新規開発を行うとのことです。
(ⅳ)組織構造と文化の統合
・チームビルディングと文化融合:公開買付者グループと当社グループ間の文化と価値観を共有するための組織的な取り組みを進め、プロジェクトを通じて融合を図り、シナジー効果を最大化するとのことです。
(ⅴ)中長期戦略
・持続可能な成長モデルの構築:長期的には、公開買付者グループと当社グループは、共同して「AIを活用した新たな事業モデルの構築」をテーマに、継続的な研究開発を行い、新技術の導入と市場変化への柔軟な対応を図るとのことです。
・グローバル展開の検討:国内市場での成功を基盤として、アジア市場など国際的な展開も視野に入れ、成長機会を広げていくとのことです。
公開買付者は、当社、当社の取締役及び監査役との間では、本公開買付け後の役員就任については何らの合意も行っていないとのことです。公開買付者による当社の連結子会社化後の経営体制につきましては、当社の取締役会の過半数の取締役を公開買付者の役職員及び公開買付者が指名する人材の中から派遣することを基本方針としつつ、その詳細については、本公開買付け成立後に当社と協議しながら、当社経営陣の意向も尊重した上で決定していく予定とのことです。
なお、現時点において、公開買付者と当社の合併は予定しておらず、また、完全子会社化についても予定していないとのことです。
(3)算定に関する事項
① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社並びに本応募合意株主から独立した第三者算定機関として東京フィナンシャル・アドバイザーズに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、東京フィナンシャル・アドバイザーズは、公開買付者、当社及び本応募合意株主から独立した第三者算定機関であり、公開買付者、当社及び本応募合意株主の関連当事者には該当せず、本取引に関して公開買付者、当社及び本応募合意株主との利益相反に係る重要な利害関係を有していないとのことです。
東京フィナンシャル・アドバイザーズは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討のうえ、将来の事業活動を評価に反映するためにDCF法等の各手法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、公開買付者は、東京フィナンシャル・アドバイザーズから2024年11月13日付けで当社株式の株式価値に関する株式価値算定書(以下「公開買付者株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。また、公開買付者は、東京フィナンシャル・アドバイザーズから本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
東京フィナンシャル・アドバイザーズによる当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。
市場株価法 :288円から349円
DCF法 :357円から436円
類似会社比較法:154円から543円
市場株価法では、算定基準日を2024年11月13日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の算定基準日の終値349円、同日までの過去1ヶ月間(2024年10月15日から2024年11月13日まで)の終値の単純平均値306円、同日までの過去3ヶ月間(2024年8月14日から2024年11月13日まで)の終値の単純平均値288円及び同日までの過去6ヶ月間(2024年5月14日から2024年11月13日まで)の終値の単純平均値291円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を288円から349円と算定しているとのことです。
DCF法では、当社から提供を受けた事業計画書(2024年12月期から2026年12月期までの3年分)に基づき、営業利益(EBIT)から営業利益ベースでの法人税を控除した税引後営業利益(NOPLAT)に減価償却費の増減を加算したものをフリー・キャッシュ・フローとして定義しているとのことです。当該事業計画については、大幅な増益を見込んでいる事業年度が含まれており、具体的には、当社が想定する以下の成長戦略のもと、2024年12月期から2026年12月期までを拡大期としております。
・販売注力商品は「おもてなしSuite」と「ProTech ID Checker」
・kintoneとのセット販売により、高単価なエンタープライズ顧客を開拓
・LLM Labsや金融DX支援開発など、既存の実績と新しい技術を組み合わせたニーズの掘り起こし
・当社サービスに連携するSaaSツールの導入支援等を実施し、開発~運用までワンストップで提供
本事業計画の経営数値目標を参考に、直近までの業績の動向、公開買付者が2024年10月上旬から2024年10月下旬の間に当社に対して行ったデュー・デリジェンスの結果、想定されるシナジー、一般に公開された情報等の諸要素を考慮して公開買付者において調整を行った当社の将来の収益予想に基づき、当社が2024年12月期第3四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引くことにより、当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を、357円から436円までと算定しているとのことです。
類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の株式価値を分析し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を154円から543円と算定しているとのことです。
公開買付者は、公開買付者において2024年10月上旬から2024年10月下旬の間に実施した当社に対するデュー・デリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向、本公開買付けに対する応募の見通し、及び、DCF法による算定結果の範囲内に収まっていること等を総合的に勘案し、当社及び本応募合意株主との協議・交渉の結果等も踏まえ、本第三者割当増資の払込金額により本応募合意株主が応募することの合意を得られた価格として、最終的に2024年11月14日の取締役会において、本公開買付価格を1株当たり420円とすることを決議したとのことです。
本公開買付価格(420円)は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年11月13日の当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値349円に対して20.34%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値306円に対して37.25%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値288円に対して45.83%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値291円に対して44.33%のプレミアムを加味した価格となります。また、本公開買付価格(420円)は、本書提出日の前営業日である同月14日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値397円に対して5.79%のプレミアムを加味した価格となります。
(注) 東京フィナンシャル・アドバイザーズは、当社普通株式の株式価値の算定に際し、公開買付者及び当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、すべて正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて公開買付者及び当社の財務予測に関する情報については、公開買付者及び当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。東京フィナンシャル・アドバイザーズの算定は、2024年11月13日までの上記情報を反映したものであります。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付価格(420円)を決定するにあたり、公開買付者、本応募合意株主及び当社のいずれからも独立した第三者算定機関として、プルータス・コンサルティングに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年11月13日に、当社株式の株式価値に関する株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)を取得いたしました。なお、プルータス・コンサルティングは、公開買付者、本応募合意株主及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、プルータス・コンサルティングから本公開買付価格(420円)の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、本取引に係るプルータス・コンサルティングに対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
(ⅱ)算定の概要
プルータス・コンサルティングは、当社株式の価値算定にあたり必要となる情報を収集・検討するため、当社の経営陣から事業の現状及び将来の見通し等の情報を取得して説明を受け、それらの情報を踏まえて、当社株式の価値算定を行っています。プルータス・コンサルティングは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、市場株価法、類似会社比較法及びDCF法を採用して、当社株式の価値を算定しております。
プルータス・コンサルティングが上記の手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価法:288円から349円
DCF法 :389円から445円
市場株価法では、2024年11月13日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値349円、過去1ヶ月間の終値単純平均値306円、過去3ヶ月間の終値単純平均値288円及び過去6ヶ月間の終値単純平均値291円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を288円から349円と算定しております。
DCF法では、本事業計画、直近までの業績動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮した、当社が生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を389円から445円と算定しております。
なお、プルータス・コンサルティングがDCF法に用いた本事業計画においては、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、事業計画期間(2024年12月期から2026年12月期までの3期間)において、マイナンバーカードを用いて本人認証を行う「ProTechマイナンバーIC認証」をはじめとした「ProTechシリーズ」と、成長が期待できるノーコード・ローコード開発市場に属する「おもてなしSuite」のkintone連携機能やAIアシスタント機能「Associate AI Hub for kintone」の販売開始により、地方自治体や地方金融機関を中心に需要が拡大していること、またDX支援開発を手掛けるクラウドインテグレーション事業において、金融機関の開発案件の横展開による売上拡大を理由とし、2025年12月期について対2024年12月比で大幅な増益(営業利益142百万円、164.32%増)、2026年12月期においては、対2025年12月比で更なる大幅な増益(営業利益500百万円、253.36%増)を見込んでおります。
また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、プルータス・コンサルティングがDCF法に用いた本事業計画には加味されておりません。本事業計画の財務予測に係る数値は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社が2024年5月15日付けで公表した2024年12月期を初年度とする中期経営計画上の数値を下回っておりますが、当該中期経営計画は、積極的な成長戦略を前提とした意欲的な目標値として策定されたものです。具体的には、当該中期経営計画においては、DXクラウド事業では代理店販売を中心としたパートナー戦略における期待売上や高収益率を見込んでいたほか、広告・メディア事業にて2025年に開始予定の新規事業等の値が含まれております。これに対して、本事業計画の財務予測に係る数値は、中期経営計画策定時点からの事業環境の変化や足元の業況から予実差が発生しておりましたが、本事業計画は、これらを勘案しより現状に即した客観的且つ合理的な財務予測に基づいて策定されたものであり、本事業計画の財務予測に係る数値に基づき本公開買付価格の妥当性を検討することが適切であると判断いたしました。
プルータス・コンサルティングは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
(4)本取引後の当社の株券等の取得予定
公開買付者は、当社を連結子会社化することを目的として本取引を実施するものであり、また、当社株式の上場を維持する方針であることから、本取引によりその目的を達成した場合には、本取引後に当社株式を追加で取得することは現時点で予定していないとのことです。
(5)上場廃止となる見込み及びその理由
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場していますが、本公開買付けは当社株式の上場廃止を企図するものではなく、公開買付者は、買付予定数の上限を2,759,100株(増資前所有割合:39.64%、増資後所有割合:32.18%。また、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けが成立し、かつ、本第三者割当増資の払込みが完了した場合においても、本取引後において公開買付者が所有することとなる当社株式の合計数の増資後所有割合は最大で51.00%)と設定しているところ、2024年6月30日現在の当社株式の流通株式比率は49%となっているため、本取引完了後においても、当社株式の東京証券取引所スタンダード市場への上場は維持される見込みです。
また、本取引完了後において、上場廃止基準に抵触する見込みはございません。なお、公開買付者及び当社との間で2024年11月14日付けで締結した本資本業務提携契約においては、当社が上場廃止基準に該当する可能性のある行為又は上場廃止の申請を決定し又は実施しようとする場合には、公開買付者に対して事前にその内容を通知し、公開買付者との間で誠実に協議を行うことと規定しております。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置
公開買付者は、本書提出日現在において、当社株式を所有しておらず、本公開買付けは支配株主による取引には該当しません。また、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することは予定されず、本公開買付け含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト取引にも該当いたしません。もっとも、公開買付者及び当社は、本公開買付価格を含む本取引の公正性を担保し、当社の少数株主の皆様の利益を保護する観点から、以下の措置を講じております。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格(420円)を決定するにあたり、公開買付者、当社及び本応募合意株主から独立した第三者算定機関としてフィナンシャル・アドバイザーである東京フィナンシャル・アドバイザーズに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。東京フィナンシャル・アドバイザーズは、公開買付者、当社及び本応募合意株主の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。なお、公開買付者は、本取引に際して実施されている本公開買付価格の公正性を担保するための他の措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、本「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」をご参照ください。)を総合的に考慮し、かつ当社との協議・交渉を経て本公開買付価格(420円)を判断・決定していることを踏まえ、東京フィナンシャル・アドバイザーズから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
公開買付者が2024年11月13日付けで東京フィナンシャル・アドバイザーズから取得した公開買付者株式価値算定書の概要については、上記「(3)算定に関する事項」の「① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、公開買付者、本応募合意株主及び当社のいずれからも独立した第三者算定機関として、プルータス・コンサルティングに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年11月13日に、当社株式価値算定書を取得いたしました。
当社がプルータス・コンサルティングから取得した当社株式価値算定書の詳細については、上記「(3)算定に関する事項」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(ⅱ)算定の概要」をご参照ください。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、公開買付者、本応募合意株主及び当社のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして三浦法律事務所を選任し、本取引に対する当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。なお、三浦法律事務所は、公開買付者、本応募合意株主及び当社の関連当事者に該当せず、本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。また、三浦法律事務所に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間対価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
④ 本第三者割当増資の必要性及び相当性に関する意見書の取得
当社は、本第三者割当増資においては、希薄化率が25%以上となることは見込まれていないものの、これに近い相当程度の希薄化が見込まれており、かつ、本第三者割当増資と本公開買付けとを組み合わせることによって公開買付者が当社の支配株主となることに鑑み、東京証券取引所の有価証券上場規定第432条第1号に基づき、当社の経営者から一定程度独立したものによる本第三者割当増資の必要性及び相当性に関する意見の入手を目的として、当社の独立役員である社外取締役の矢部芳一氏、中原裕幸氏、佐藤香織氏、及び社外監査役の南方美千雄氏、東目拓也氏から、本第三者割当増資の必要性及び相当性に関する意見書を2024年11月14日付けで取得しました。当該意見書の概要は以下のとおりです。
(本第三者委員会の意見の概要)
第1 意見の内容
本第三者割当増資について、必要性及び相当性が認められると思料する。
第2 意見の理由
1 本第三者割当増資の必要性について
当社によれば、当社グループは、DXを目的としたWebサイト最適化技術などを中心に、オンラインビジネスのコンバージョン率(成約率)の向上を実現するSaaS事業を展開しているとのことである。そして、DXクラウド事業のSaaS販売においては、地方自治体・官公庁・地方金融機関の需要が拡大し、地方自治体や地方金融機関への販売強化を目指していきたい意向がさらに強まったものの、東京都に拠点を構えていることから地方自治体や地方金融機関に対する販路の拡大に地理的な課題があるとのことである。また、DXクラウド事業において着実に顧客数を積み上げているものの、顧客単価の伸び率が想定の値に達してないことから、足元では中期経営計画を公表した2024年5月15日時点から予実の乖離が発生しているとのことである。当社は、これらの課題感から、特に需要の高まっている地方での認知拡大を目的とした地方営業人材の採用・育成や、地方企業・地方自治体に向けたマーケティング活動等を実施するべく、当社がターゲットとする地方自治体や地方金融機関とのネットワークを有する企業との業務提携及び資金調達に関して、検討を進めていたとのことである。
また、持株会社である公開買付者並びにその子会社であるFVC及びFVCT等は、「AIを軸に日本の成長を支えるキャピタルグループを目指す」ことを経営理念に、「AIを活用した事業モデル変革を図る企業等への公開買付者グループによる自己投資事業」、「AIソリューションを提供する企業群に特化したファンドの組成及び従来からのベンチャー投資を行うファンド事業」、「上場企業への戦略投資とバリューアップ戦略の構築及び実行を行うPIPEs事業」、「これらに付随して派生する投資銀行事業」からなる4つの事業ドメインをコア領域と定め、シナジー効果を発揮しながら、それぞれが独立した事業として公開買付者グループの利益成長をドライブする事業体制の構築に向けて、FVC及びFVCTにおいて、主としてファンド事業を行う他、M&Aや直接投資にも取り組んでいるとのことである。さらに、AI関連事業及びAI関連技術(IT技術、特にAIに特化したソリューションに関する技術)を導入することで企業価値の増加が見込める事業のM&Aを積極的に進めていく予定とのことである。
当社は、このような状況の下、両社グループの置かれている事業環境を踏まえ、2024年6月中旬から両社グループの提携について、公開買付者グループとの協議を開始したとのことである。当社との交渉及び検討の結果、公開買付者は、本取引により、当社との間の資本業務提携関係をより強固なものとし、両社グループの協業関係を構築することで、両社事業におけるシナジーが実現可能であるとの考えに至ったとのことである。
そして、当社によれば、公開買付者及び当社グループは、公開買付者グループ及び当社グループにおける資本業務提携関係・協業関係の構築に基づく、両社グループのシナジーとして、以下の点を見込んでいるとのことである。まず、公開買付者グループとしては、当社の持つAI関連技術を駆使することにより、公開買付者グループの投資先企業のDXを推進し、投資先企業の属する各業界での競争優位性を強化することが可能であるとのことである。さらに、将来的に当社は、他社が他社の顧客に提供している既存ソリューションとの連携により、当社のAIソリューションがより最適化され、その魅力を増強し、公開買付者グループの投資先企業に対して最適なテクノロジーの実装を支援することが可能とのことである。
次に、当社側からの観点では、当社が高度なAI関連技術を持つ一方で、そのようなAI関連技術を用いた新規開発製品について事業として黒字化できていないという点から、自社サービスを、それを必要とする顧客に届けるための営業体制の構築が経営上の課題であるとのことである。この点、公開買付者グループがこれまで培ってきた全国の金融機関や地方自治体、CVCパートナーとのネットワークを活用することで、当社のDXソリューションである金融機関向けの本人確認/eKYCサービスや地方自治体の入力フォーム最適化といった製品を、幅広い市場へと迅速に横展開することが可能となるとのことである。さらに、公開買付者グループの豊富な企業投資経験とハンズオン経営支援のノウハウは、当社の新しい営業領域を切り開くための強力な基盤となるとのことである。
一方で、ディスシナジーについては、公開買付者グループから当社グループの競業企業への投資が、競業企業側から回避され、困難になることが想定されるとのことである。もっとも、そのような競業企業は限定される上、本取引後、公開買付者グループにおいてAI事業及びDX事業を行うことで、これら事業において高いシナジーの期待される競業企業への投資がかえって促進される可能性もあることから、このようなディスシナジーが生じる可能性は低く、ディスシナジーが生じた場合であっても、極めて限定的であると考えているとのことである。また、当社グループのサービスが公開買付者グループの競業企業から回避される可能性もディスシナジーとしては想定されるが、市場全体から見ればそのような競業企業は限定的であり、このようなディスシナジーは、生じたとしても極めて限定的なものであると考えているとのことである。
これらの検討の結果、当社は、本取引により当社が公開買付者の連結子会社となり、公開買付者と協業体制を構築することで、公開買付者及び当社が有するリソースやノウハウの共有によるシナジーの創出に取り組んでいくことで当社の中長期的な企業価値の向上に資すると判断したとのことである。
また、当社によれば、本取引の実施を通じた当社と公開買付者の資本業務提携で考えられるシナジーとして、地方企業や地方自治体への当社サービスの販売を通じたDX支援が挙げられるとのことである。しかし、当社は現時点では東京に拠点を置いており、地方企業や地方自治体への認知度は相対的に低いと感じているため、まずは認知拡大を目的としたマーケティングと営業に注力していく予定であり、そのための運転資金の確保が必要とのことである。また、当社としても既存事業を成長させることに加え、M&Aやアライアンスを成長のエンジンであると捉えており、成長を考えるうえで財務基盤の強化と財務の柔軟性を確保するため、戦略的M&A等の投資資金が必要とのことである。以上の背景から、当社は、本取引の一環として、本第三者割当増資を行うこととしたとのことである。
当社から受けた説明及び当社から受領した関連資料を総合的に検討した結果、以上の説明に不合理な点はなく、当社の置かれている事業環境等を踏まえれば、本第三者割当増資を含む本取引の実施を通じた当社と公開買付者の資本業務提携については、当社の企業価値の向上に寄与するものであると認められ、また、①運転資金の確保、②戦略的M&Aの実施という本第三者割当増資の資金使途については、具体性及び合理性が認められると思料する。
以上より、本第三者割当増資には必要性が認められると思料する。
2 本第三者割当増資の相当性について
ア 本第三者割当増資という手段の相当性について
当社によると、本第三者割当増資は、公開買付者による当社の連結子会社化を目的とした本取引の一環として行われるものとのことである。公開買付者との資本業務提携を推進し、当社の企業価値向上を図るための諸施策を実施するための資金調達の方法として、公募増資や株主割当増資ではなく、公開買付者を割当先とした第三者割当増資は合理的である。
また、MSワラントを含めた新株予約権の発行については、新株予約権の行使がなされるまで資金調達ができず、資金調達の時期や金額が不確定であるため、資金調達の確実性の観点から妥当ではないと認められる。さらに、新株予約権付社債の発行については、発行時に資金調達ができるものの、新株予約権の行使がなされない場合には社債を償還する必要があるため財務基盤強化を図る観点から妥当ではないと認められ、また、新株予約権付社債のうちいわゆるMSCBの発行については、今後の当社の株価変動によって潜在株式数が変動し、生じる希薄化の規模が予想できないだけでなく、公開買付者が取得する株式数も転換まで確定しないこととなるため、既存株主に対する影響や本取引の目的の観点から妥当ではないと認められる。
さらに、普通社債の発行や金融機関からの借入れ等の負債性資金による調達については、金利コスト等の増大を招くこととなり、また、財務基盤強化を図る観点からも妥当ではないと認められる。
以上を踏まえれば、他の資金調達手段と比較しても、本第三者割当増資という調達手段には相当性が認められると思料する。
イ 発行条件について
日本証券業協会「第三者割当増資の取扱いに関する指針」では、「払込金額は、株式の発行に係る取締役会決議の直前日の価額(直前日における売買がない場合は、当該直前日からさかのぼった直近日の価額)に0.9を乗じた額以上の価額であること。」と規定されている。この点、本第三者割当増資発行価額(420円)は、本第三者割当増資に係る当社取締役会決議日(2024年11月14日)の直前取引日である2024年11月13日の東京証券取引所における当社株式の終値を上回る金額であるため、同指針に従った払込金額であると言える。したがって、本第三者割当増資の発行条件は有利発行には該当しないものと思料し、本第三者割当増資の払込金額には相当性が認められるといえる。
ウ 割当予定先について
当社は、当社株式の上場を維持することによって当社の経営の自主性や独自の企業文化を維持しつつも、公開買付者が本取引の実施を通じて、当社を連結子会社化し、公開買付者と当社との間で安定的かつ強固な関係を構築し、(ⅰ)地方企業や地方自治体のDX推進、地方創生、(ⅱ)AIのプロダクトと研究開発リソースの共同利用、(ⅲ)スタートアップ・地方有望企業の支援、(ⅳ)M&Aによる事業の拡大といった施策を実施することで、両社グループのシナジーを実現させることが、当社の企業価値向上に資するとの判断に至ったことから、公開買付者を割当先に選定したとのことである。
当社は公開買付者より、当社を事業の柱のひとつとして捉えているため中長期的に保有する方針である旨の意向を口頭及び書面にて当社の代表取締役社長が確認したとのことである。
また、当社は、公開買付者の払込みに要する財産の存在について、公開買付者から、公開買付者の子会社であるFVCからの借入れにより充当する旨を確認しているとのことである。当社は、公開買付者より、公開買付者がFVCより、貸付金の限度額を40億円とする限度付金銭消費貸借契約を入手し、その貸付期間、貸付形態、返済方法、貸付実行条件等を検討し、当該融資が2024年11月14日までに実行が可能であり、公開買付者及びFVCの間において当該融資を実行するために支障となる重要な条件等がないことを確認しているとのことである。当該限度付金銭消費貸借契約は、公開買付者が単独株式移転の方法により、2024年10月1日付けでFVCの完全親会社として設立され、本第三者割当増資の払い込み及び本公開買付けに必要な金額を保有していないことから、本第三者割当増資に係る払込金額及び本公開買付けに要する資金を含む公開買付者における資金需要に応じるために締結されたものであり、限度額の範囲において、公開買付者はFVCから都度借入れを行う予定である旨確認しているとのことである。そして、FVCが近畿財務局長に提出している「2024年3月期の有価証券報告書(2024年6月21日提出)」に記載されている連結財務諸表により、公開買付者が本第三者割当増資の払込みに要する十分な現預金その他の流動資産(現金及び預金:3,758百万円、流動資産合計:3,942百万円)を保有していることを確認しており、その後かかる財務内容が大きく悪化したことを懸念させる事情も認められず、本第三者割当増資に係る払込みの確実性に問題はないものと判断しているとのことであり、当該判断に不合理な点は見当たらない。
加えて、公開買付者は、東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、会社の履歴、役員、主要株主等について公開買付者の有価証券届出書等において公表しているとのことである。また、公開買付者が東京証券取引所に提出した2024年10月1日付け「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」のうち「Ⅳ内部統制システム等に関する事項」の「2.反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備状況」において、反社会的勢力との関係を全て遮断することを基本方針とし、これを実現するために、社内において統括部署を設置し、研修や会議の実施、情報収集、弁護士や警察等の外部の専門機関との連携を整備している等の表明をしており、公開買付者及びその役員は反社会的勢力とは関係がないものと判断しているとのことである。さらに、当社は、2024年11月14日付けで公開買付者との間で締結する資本業務提携契約において、割当予定先である公開買付者から、反社会的勢力ではなく、又は反社会的勢力と何らかの関係を有していない旨の表明及び保証を受けているのとのことであり、当該判断に不合理な点は見当たらない。
以上より、公開買付者を本第三者割当増資の割当予定先として選定することには相当性が認められる。
エ 増資金額の相当性について
当社は、①運転資金の確保、②戦略的M&A等の投資資金の確保のため、648,918千円の資金調達が必要であるところ、本第三者割当増資による発行諸費用を除いた調達金額は、当該金額と同額である。そうすると、本第三者割当増資による調達金額は、必要性に応じた出資とみることができ、徒らに既存株主の株式の希薄化を生じさせるものではないと思料される。
オ 既存株主への影響について
当社の説明によると、本第三者割当増資により公開買付者に対して割り当てられる当社新株式の数は1,612,900株であり、同株式に係る議決権の数は合計16,129個であるため、本第三者割当増資前の当社の発行済株式総数6,959,800株(2024年9月30日現在の当社の発行済株式総数(8,572,700株)から、2024年11月14日に提出した「2024年12月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された2024年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(1,612,900株)を控除した株式数)に対する比率は23.17%、2024年6月30日の当社の議決権総数69,566個に対する比率は23.19%となり、当社株式に一定程度の希薄化が生じ、株価下落のリスクが生じ得る。
しかしながら、かかる希薄化は、公開買付者が当社の連結子会社化に必要な当社株式の取得の一部を本公開買付けによって行うことにより、当社による本資金使途のための資金調達に必要な限度に留められており、公開買付者が当社の連結子会社化に必要な当社株式の取得の全部を第三者割当増資で行う場合に比して、生じ得る希薄化及び株価下落のリスクの程度は小さい。また、当社が資金調達をすることにより、本第三者割当増資により当社が認識している当社の成長の為に必要となる新規事業に遂行及び経営課題の解決に資するとともに、本公開買付け及び本第三者割当増資を通じて公開買付者の連結子会社となることによって、中長期的には、上記の希薄化を上回る当社の企業価値及び株主価値の向上につながるものと考えられるため、当社の企業価値及び株主価値の向上に資することとなる。そのため、本第三者割当増資により生じ得る希薄化及び株価下落のリスクを考慮しても、当社株主は、当社の企業価値及び株主価値の向上により、それを上回るシナジーを享受できると考えられる。
以上より、本第三者割当増資に係る株式の発行数量及び希薄化の規模は合理的であると思料する。
以上より、本第三者割当増資には相当性が認められる。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員による決議及び監査役全員による異議のない旨の意見
当社は、プルータス・コンサルティングから取得した当社株式価値算定書、プルータス・コンサルティングからの財務的見地からの助言、三浦法律事務所からの法的助言を踏まえつつ、本公開買付けの諸条件について、慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2024年11月[14]日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、本公開買付けには買付予定数に上限が設定され、本公開買付け後も当社株式の上場が維持される予定であり、当社の少数株主の皆様としては本取引成立後も当社株式を所有するという選択肢をとることにも十分に合理性が認められることに鑑み、当社の少数株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、中立の立場を取り、当社の少数株主の皆様のご判断に委ねること、公開買付者との間で本資本業務提携契約を締結すること及び本第三者割当増資を実施することを決議しました。上記当社取締役会決議においては、取締役6名のうち、永田氏を除く利害関係を有しない取締役5名全員が参加し、参加した取締役5名の全員の一致により決議しました。なお、当社の取締役のうち、永田氏は本応募契約を締結するため、取締役会における審議及び決議が本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、上記当社取締役会における審議及び決議には参加しておらず、また当社の立場において、本公開買付けに関する公開買付者との協議及び交渉に参加しておりません。また、当社の監査役3名全員が上記当社取締役会に出席し、出席した監査役の全員が上記決議につき、異議がない旨の意見を述べております。
(7)本取引に係る重要な合意に関する事項
① 本資本業務提携契約
公開買付者は、2024年11月14日付けで当社との間で本資本業務提携契約を締結しました。本資本業務提携契約の概要は以下のとおりです。
(ⅰ)目的
公開買付者が本公開買付けを実施することによって、公開買付者が当社を連結子会社とした上で、公開買付者及び当社が保有する経営資源を相互に有効活用することで事業規模の拡大及び業務効率の向上を図り、両社の企業価値の最大化を図ることを目的とする。
(ⅱ)資本提携の方法
公開買付者は、本第三者割当により当社から普通株式1,612,900株の割当を受けるとともに、本公開買付けを実施し、普通株式を取得することにより、当社を公開買付者の連結子会社とすることにより、資本提携を実施する。
(ⅲ)本公開買付けに関する事項
(a)公開買付者は、本書記載の内容にて、本公開買付けを実施する。
(b)当社は、本資本業務提携契約締結日において、本公開買付けに賛同する旨の取締役会決議(以下「本賛同決議」という。)を行い、その内容(出席取締役全員(特別利害関係取締役又はそれに準じる取締役(永田氏を含む。)を除く。)の賛成によるものであり、かつ出席監査役全員の異議がない旨の意見を得たものである旨を含む。)を公表する。
(ⅳ)本第三者割当増資に関する事項
(a)当社は、本資本業務提携契約締結日において、大要以下の各号に掲げる条件で本第三者割当増資を行う旨の取締役会決議を行い、その内容を上場規程に従い公表するとともに、法令等に従い、本第三者割当増資に係る有価証券届出書を提出する。
(1)募集株式の種類及び数 :当社株式 1,612,900株
(2)払込期間 :2024年12月13日から2025年1月14日まで
(3)払込金額 :当社株式1株につき420円
(4)払込金額の総額 :677,418,000円
(5)増加する資本金の額 :338,709,000円
(6)増加する資本準備金の額:338,709,000円
(7)割当方法 :第三者割当の方法により公開買付者に割り当てる。
(b)公開買付者は、1,612,900株の当社株式について払込みを行う。ただし、払込期間の開始日において、(ア)当社の表明保証事項が重要な点において真実かつ正確であること、(イ)本第三者割当増資に係る有価証券届出書の効力が発生し、かつ、その効力が停止していないこと、(ウ)本公開買付けが成立していること、及び(エ)本第三者割当増資を制限又は禁止する旨のいかなる法令等又は司法・行政機関等の判断等も存在しないことを条件とする。ただし、公開買付者は、当該条件の全部又は一部を放棄することができる。
(c)当社は、本第三者割当増資を行う場合、本第三者割当増資の払込みの完了後、当社が保有する自己株式1,612,900株について速やかに消却を行う。
(ⅴ)業務提携の内容に関する事項
公開買付者及び当社は、主として以下を内容とする業務提携を行う。
(ⅰ)公開買付者及び当社それぞれが強みを持つ、DX関連技術の開発と導入、相互の商品、ブランド、及び事業の展開
(ⅱ)経営管理機能の共有、グループ間の顧客の連携
(ⅲ)その他公開買付者及び当社が合意した事項
(ⅵ)連結子会社化・上場の維持
(a)当社は、本取引後に、公開買付者が保有する当社株式に係る議決権割合が40%を下回った場合又は下回ることが合理的に予見される場合(但し、公開買付者が、自ら当社株式を売却したこと又は売却することを予定していることによる結果である場合、及び公開買付者の事前の承諾を受けて新株等の発行を行った結果若しくは(ⅷ)に記載された事由により、公開買付者の持株比率が40%を下回った場合を除く。)には、公開買付者が求めた場合には、公開買付者が保有する当社株式に係る議決権割合が40%以上となるように合理的かつ友好的な措置を採るものとし、公開買付者はこれに必要な合理的かつ友好的措置を採るよう協力するものとする。
(b)当社は、本取引によって公開買付者が保有する当社株式に係る議決権割合が50.1%以上となったにもかかわらず、本取引後、公開買付者が保有する当社株式に係る議決権割合が50.1%を下回った場合、又は下回ることが合理的に予見される場合(但し、公開買付者が、自ら当社株式を売却したこと又は売却することを予定していることによる結果である場合、及び公開買付者の事前の承諾を受けて新株等の発行を行った結果若しくは(ⅷ)に記載された事由により、公開買付者の持株比率が50.1%を下回った場合を除く。)には、公開買付者が保有する当社株式に係る議決権割合が50.1%以上となるように合理的かつ友好的な措置を採るものとし、公開買付者はこれに必要な合理的かつ友好的措置を採るよう協力するものとする。
(c)公開買付者及び当社は、当社の東京証券取引所スタンダード市場への普通株式の上場を維持することを確認し、当社が上場市場の変更を希望する場合は、両当事者において事前に協議をするものとし、必要に応じて公開買付者は当該協議で決定した株主構成及び持分比率を達成することができるよう、最大限努力する。また、両当事者は、当社が他の証券取引所に上場をするにあたり、本資本業務提携契約の内容が支障になるとの指摘が日本取引所自主規制法人等からあった場合、本資本業務提携契約の見直しについて前向きに協議する。
(ⅶ)誓約事項等
当社は以下の事項を誓約する。
(a)当社は、本資本業務提携契約の締結後速やかに、本賛同決議を公開買付者が合理的に満足する内容により公表する。
(b)当社は、公開買付者が本公開買付けを開始した場合、本公開買付けの開始日において、本賛同決議の内容と同趣旨の意見表明報告書を金融商品取引法に従って管轄財務局に提出する。
(c)当社は、本公開買付けに係る公開買付期間が満了するまでの間、本賛同決議を維持し、これを撤回又は変更する取締役会決議を行わない。但し、下記(f)の但書に規定する場合にはこの限りではない。
(d)当社は、本資本業務提携契約締結日から本公開買付けに係る決済開始日までに、未公表の重要事実等が存在する場合、直ちに公表する。
(e)当社は、本資本業務提携契約締結日から本公開買付けに係る決済日までの間、本取引及び本資本業務提携契約と抵触し若しくは本取引及び本資本業務提携契約の実行を困難にする第三者との取引に関し、合意若しくはかかる合意に向けた申込み、申込みの誘引、勧誘、協議、交渉若しくは情報提供を行ってはならない。
(f)当社は、本資本業務提携契約締結日から公開買付期間が満了するまでの間に、対抗公開買付けが開始された場合、対抗公開買付けに対して反対の意見を表明する。但し、当社の取締役会が、対抗公開買付けが、本公開買付けと比較して、より当社の企業価値又は株主共同の利益に資すると合理的に判断した場合はこの限りでない。
(g)当社は、本資本業務提携契約締結日から本公開買付けに係る決済日までの間、現在行っている事業に関し、善良なる管理者の注意をもって、かつ、通常の業務の範囲内において従前の事業に従事し、会計記録及び会計帳簿を管理する。
(h)当社は、本取引に先立ち、司法・行政機関等による許認可が必要であれば取得する。
(i)当社は、本資本業務提携契約締結日後、当社又は当社の子会社の株式等の発行等を行う場合には、公開買付者の事前の書面による同意を取得するものとし、又は、当社の子会社をして公開買付者の事前の書面による同意を取得させる。
(ⅷ)事前協議事項等
当社は、以下の各号に記載する事項につき自ら、又は、当社の子会社であるShowcase Capital及びReYuuにおける実施を決定又は承認する場合には、事前に公開買付者に通知し、又は子会社をして通知させ、その上で、公開買付者との間で誠実に協議し、又は子会社をして誠実に協議させる。公開買付者は、当該協議において当社の独立性に十分配慮するものとする。
(a)組織再編
(b)定款等の変更
(c)株式併合、株式分割、株式無償割当又は新株予約権無償割当
(d)資本減少、準備金減少、社債発行、1案件に対する5億円(但し、本取引の完了後に初めて開催される当社の株主総会が終了するまでは、3000万円)以上の金融機関からの借入、その他の資金調達又は担保提供
(e)自己株式の取得又は剰余金の配当
(f)合弁契約その他経営に重大な影響を及ぼす契約の締結又は変更
(g)法的倒産手続開始の申立て
(h)発行する株式についての上場廃止
(i)3000万円を超える設備投資、開発及び資産の譲渡
(j)有価証券上場規程等に従って適時開示が必要となる新規事業の開始又は既存の事業の全部若しくは重要な一部の中止又は終了、知的財産権の譲渡・処分等
(k)本資本業務提携契約と同一又は類似の目的を有する契約等(投資契約、出資契約、株主間契約等を含むがこれらに限られない。)の締結、変更、解除又は終了(但し、本取引の完了後に初めて開催される当社の株主総会が終了するまでの期間に限る。)
(l)役員の解任、解職又は解雇
(m)他の会社の株式又は持分の過半数の取得又は譲渡
(n)その他当社の経営に重大な影響を及ぼす事項
(ⅸ)当社株式のロックアップ
(a)公開買付者は、本資本業務提携契約の有効期間中は、本第三者割当増資及び本公開買付けにより取得した当社株式の保有を継続するものとする。
(b)公開買付者は、本資本業務提携契約が終了した場合その他本資本業務提携契約の定めにより当社株式の処分が認められる場合において、取引所金融商品市場内外にかかわらず、その保有する当社の普通株式を当社の事業と同様の事業を営む一定の者に譲渡その他の処分をする場合には、当社に対する事前の通知を行い、誠実に協議するものとする。
(ⅹ)終了事由
公開買付者又は当社は、(a)相手方の表明保証が重要な点において真実又は正確でなかった場合、(b)相手方が本資本業務提携契約上の重要な点につき義務違反があった場合、(c)相手方につき、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始その他これらに類する倒産手続開始の申立てがなされた場合等の一定の事由が生じた場合、本資本業務提携契約を解除することができる。
また、当社が公開買付者の連結子会社でなくなった場合には、公開買付者及び当社は本資本業務提携契約の内容の見直しにつき協議を行う。また、公開買付者の当社株式に係る議決権保有割合が[20]%未満となった場合又は当社が公開買付者の持分法適用会社ではなくなった場合、自動的に本資本業務提携契約は終了するものとする。
② 本応募契約
公開買付者は、2024年11月14日付けで、森氏(所有株式数:1,538,300株、増資前所有割合:22.10%、増資後所有割合:17.94%)及び永田氏(所有株式数:1,190,200株、増資前所有割合:17.10%、増資後所有割合:13.88%)との間で、本応募契約を締結しました。本応募契約の概要は以下のとおりとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者と本応募合意株主との間で、本応募契約以外に、本取引に係る合意は存在せず、本応募合意株主が応募する当社株式に係る対価の支払以外に、本取引に関して公開買付者から本応募合意株主に対して供与される利益は存在しないとのことです。
本応募契約においては、本応募合意株主は、自らが所有する応募合意株式について、本公開買付けに応募し、かつ、これを撤回せず、当該応募により成立する応募対象の株式の買付け等に係る契約を解除しないことを合意しているとのことです。この点含め、本応募契約において、公開買付者と本応募合意株主は、概要以下の事項について合意しているとのことです。なお、本応募契約について、応募の前提条件はないとのことです。
(ⅰ)本公開買付けの実施
応募株券等の総数が買付予定数の下限に達しない場合には、応募株券等の全部について買付け等は行わない。また、応募株券等の総数が買付予定数の上限を超える場合には、その超える部分の全部又は一部の買付け等を行わないものとし、金融商品取引法第27条の13第5項及び発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令第32条に規定するあん分比例の方式により、株券等の買付け等に係る受渡しその他の決済を行う(各応募株券等の数に1単元(100株)未満の株数の部分がある場合、あん分比例の方式により計算される買付株数は各応募株券等の数を上限とする。)。
公開買付者は、本公開買付けの開始後において、適用法令の許容する範囲内で本公開買付けの条件を変更でき、また、撤回事由(①金融商品取引法施行令第14条第1項第1号イ乃至ヌ及びワ乃至ツ、第3号イ乃至チ及びヌ(当社が過去に提出した法定開示書類について、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事実の記載が欠けていることが判明した場合及び当社の重要な子会社に同号イ乃至チに掲げる事実のいずれかが発生した場合を含む。)並びに②同条第2項第3号乃至第6号に定める事由、のいずれかが生じた場合)のいずれかが生じた場合には、適用法令に従って本公開買付けを撤回することができる。
(ⅱ)本応募合意株主による応募等
本応募合意株主は、公開買付者が本公開買付けを開始した場合には、本応募契約に定めるところに従い、本応募合意株主が保有する当社株式(森氏について1,538,300株、永田氏について1,190,200株、以下「応募対象株式」という。)について、いかなる担保権(先取特権、質権、抵当権及び譲渡担保権その他の担保権)、請求権その他の負担・誓約(応募対象株式の議決権の行使に係る負担・制約を含む。)も存在しない状態で本公開買付けに応募(以下「本応募」という。)するものとし、かつ、本応募を撤回せず、本応募の結果成立した応募対象株式の買付けに係る契約を解除しないものとする。なお、本応募合意株主は、本公開買付けが成立した場合であっても、公開買付者が応募対象株式の一部の買付け等を行わない可能性があることを確認し、これに一切異議を述べない。
(ⅲ)表明保証
本応募合意株主は、公開買付者に対し、本応募契約締結日、本公開買付けの開始日、本応募の実行日及び本公開買付けの決済日において、(a)本応募合意株主が日本国内に住所を有する自然人であること(但し、森氏に限る。)、(b)本応募契約の締結及び履行につき権利能力及び行為能力を有していること、(c)反社会的勢力との関係の不存在、(d)本応募株式を全て適法かつ有効に所有していること、(e)本応募合意株主は、当社に係る業務等に関する重要事実で未公表のもの(本公開買付けに関する事実を除く)を認識していないことについて、真実かつ正確であることを表明し、かつ保証する。
(ⅳ)誓約事項
本応募合意株主は、本応募契約締結日後、本公開買付けに係る決済日までの間、応募対象株式の譲渡、担保設定その他の処分、又は当社株式若しくは当社株式に係る権利の取得、提供若しくは譲渡(空売りを含む。)を行わず、また、第三者との間で、本公開買付けに競合し又は本公開買付けによる当社株式の買付けを実質的に不可能とする取引(当社による第三者との間の合併・株式交換・会社分割等の組織再編行為を含む。)に関する提案、勧誘、協議、交渉又は情報提供を行わない。
(ⅴ)補償等
本応募合意株主は、公開買付者に対し、表明及び保証の違反又は本応募契約に基づく本応募合意株主の義務の違反に起因又は関連して公開買付者が被った損害、損失又は費用(合理的な弁護士費用を含む。)を相当因果関係の範囲内で賠償又は補償する。
(ⅵ)解除
公開買付者は、本公開買付けの開始日までに、(a)本応募合意株主による表明及び保証が重要な点において真実かつ正確でないことが判明した場合、(b)本応募契約に基づき本応募合意株主が履行又は遵守すべき義務が重要な点において履行又は遵守されていない場合又は(c)本応募合意株主について法的倒産手続が開始された場合には、本応募合意株主に事前に書面で通知することにより本応募契約を解除することができる。
公開買付価格以外に、本応募合意株主に付与される利益は特段なく、他に合意はありません。
|
氏名 |
役職名 |
所有株式数(株) |
議決権の数(個) |
|
永田 豊志 |
代表取締役会長 |
1,190,200 |
11,902 |
|
中村 浩一郎 |
取締役 |
772 |
7 |
|
矢部 芳一 |
取締役(社外) |
9,500 |
95 |
|
出口 晃 |
常勤監査役 |
2,300 |
23 |
|
南方 美千雄 |
監査役(社外) |
6,000 |
60 |
|
計 |
― |
1,208,772 |
12,087 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。