第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更があった事項は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

事業環境に関するリスク

・日本電信電話株式会社との業務提携について

日本電信電話株式会社は、その所有する当社株式の全てをディービー ピラミッド ホールディングス エルエルシー(DB Pyramid Holdings, LLC)(以下「公開買付者」といいます。)が実施した公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に応募し、その全てを公開買付者が取得することとなったため、2024 年 10 月 18 日(本公開買付けの決済の開始日)付で、当社の主要株主に該当しないこととなったものの、5G時代におけるインフラシェアリングモデルの推進に向けた重要な取引先であることに変わりはなく、従前からの業務提携を今後も継続する方針であります。

日本電信電話株式会社とは事業領域が異なりますが、将来的に両者のサービスまたは製品が競合する状況が生じた場合には、当社グループの事業展開や経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当社グループは、企業ビジョン「日本から、世界最先端のインフラシェアリングを。」のもと、従来は携帯キャリア各社単独で行われてきた携帯基地局関連インフラに係る装置、アンテナ、工事、構築物等の設備投資を当社で一本化し、各社へシェアリングする事業を国内外で展開しております。国内におけるインフラシェアリングのパイオニアとして、国内IBS事業(注1)、タワー事業(注2)の拡大をはかっております。

 国内IBS事業におきましては、4G IBS(新規)において、当中間連結会計期間に20物件への新規導入が完了し、累計導入済み物件数は424件となりました。また携帯キャリアが個別に導入した設備の更改に際し、当社の屋内インフラシェアリングを活用する4G IBS(リプレース)の取り組みにおいては、同期間に3物件への新規導入が完了し、累計導入済み物件数は49件となりました。更に、5G IBSにおきましては、同期間に6物件への新規導入が完了し、当累計導入済み物件数は130件となりました。これらの理由により、当中間連結会計期間における国内IBS事業の売上高は、前年同中間期比で増収となりました。

 海外IBS事業を展開するベトナムにおきましては、当中間連結会計期間に1物件への新規導入が完了し、累計導入済み物件数は244件に増加したこと等により、前年同中間期比で増収となりました。

 タワー事業におきましては、当中間連結会計期間においては、株式会社NTTドコモの通信鉄塔を中心に合計1,330基(全期間累計で7,089基)の移管が完了し、収益貢献が進んだ一方で、タワー本数の拡大に伴う減価償却費や固定資産税等の増加により前年同中間期比で営業費用が増加しました。

 以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高は7,704百万円(前年同中間期比61.2%増)、営業利益は241百万円(同43.7%減)、経常損失は主に鉄塔取得に伴う借入金の支払利息の計上により324百万円(前年同中間連結会計期間は195百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する中間純損失は407百万円(前年同中間連結会計期間は116百万円の親会社株主に帰属する中間純利益)となりました。

 なお、当社グループは通信インフラシェアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(注1)IBS事業

In-Building-Solutionの略称であり、商業施設やオフィスビル等の大型施設内のアンテナ、配線、中継装置等の携帯インフラを、当社が共用設備を用いて一本化し、携帯キャリアへシェアリングを行う事業のことをいいます。

(注2)タワー事業

屋外における鉄塔・コンクリート柱・ポール・アンテナ等の携帯インフラを当社が共用設備を用いて一本化し、携帯キャリアへシェアリングを行う事業のことをいいます。

 

(2)財政状態に関する説明

(資産)

 当中間連結会計期間末における資産合計は156,434百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,813百万円増加いたしました。これは主にタワー事業における鉄塔の取得に伴い、建物及び構築物が13,498百万円増加したこと等によるものであります。

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債合計は99,033百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,870百万円増加いたしました。これは主に鉄塔の取得を目的とした借入に伴い、長期借入金(1年内返済予定を含む)が8,682百万円、短期借入金が1,227百万円増加したこと等によるものであります。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産合計は57,400百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,942百万円増加いたしました。これは主に合同会社JTOWER Infrastructure、合同会社JTOWER Infrastructure2、合同会社JTOWER Infrastructure3の優先出資に係る非支配株主持分が2,759百万円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は19.8%(前連結会計年度末は21.0%)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,387百万円減少し、24,463百万円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間において営業活動の結果得られた資金は2,622百万円(前年同中間期比44.7%増)となりました。これは主に、減価償却費3,245百万円の計上、契約負債の増加718百万円、利息の支払額573百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間において投資活動の結果使用した資金は21,354百万円(前年同中間期比55.3%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出△21,110百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間において財務活動の結果得られた資金は13,323百万円(前年同中間期比73.3%減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入13,248百万円、長期借入金の返済による支出4,565百万円、非支配株主からの払込みによる収入2,911百万円等によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 当社グループは、携帯キャリアのニーズに応える通信環境を整備するために、新たに割り当てられた周波数帯域に対応した共用装置の開発等を実施しております。当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(8)経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(9)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資本の財源

 当社グループの資金使途は、主に通信インフラシェアリング事業の設備導入に係る設備投資並びに販売費及び一般管理費等の営業活動に必要な運転資金であります。これらの資金需要に対する資金財源は、手持資金、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入、増資等により必要とする資金を調達しております。また、株式会社NTTドコモが保有する通信鉄塔の取得実行に伴い、新たにSPC(特別目的会社)である合同会社JTOWER Infrastrucuture、合同会社JTOWER Infrastrucuture2及び合同会社JTOWER Infrastrucuture3を活用したファイナンスストラクチャーにより、銀行等の金融機関からの長期借入などの資金調達を行っております。

 

②資金の流動性に関する分析

 短期的には月次での資金計画などにより資金管理に努めており、また、限度借入契約等により、当面の事業運営に必要な資金調達ができる体制を整えることで十分な流動性を確保しております。

また、今後の事業成長に伴う資金需要に対して機動的に資金調達を行うこととともに、「JTOWERの中長期展望」において、ネットレバレッジレシオ(ネットデット÷EBITDA)5―7倍を持続的な規律と位置づけ一定の財務規律を保った安定した運営を行っていきます。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

(KDDI株式会社との人口減少社会における持続可能な通信インフラの構築を目指した共同検討に関する覚書)

相手先の名称

契約締結日

契約期間

契約内容

株式会社KDDI

2024年7月19日

通信インフラの安定的な運用と効率的な維持管理に向けた共同検討

 当社とKDDI株式会社(以下、KDDI)は2024年7月19日、人口減少社会における持続可能な通信インフラの構築を目指した共同検討に関する覚書を締結しました。

両社は今後、通信インフラの安定的な運用と効率的な維持管理に向け協議を行います。屋内については、設備更改の時期を迎えたKDDI単独設備を、当社のシェアリング設備で更改する施策を検討します。屋外については、シェアリングによる通信鉄塔の中長期的な整理統合などの施策を検討します。屋内・屋外の施策の経済性や有効性について検証・評価し、本格展開実現を目指していきます。

 

(ディービー ピラミッド ホールディングス エルエルシーによる当社株券等に対する公開買付け)

当社は、2024年8月14日開催の当社取締役会において、ディービー ピラミッド ホールディングス エルエルシー(以下「公開買付者」といいます。)による当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)及び新株予約権に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に関して、賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨する旨、及び、新株予約権の所有者の皆様に対し、本公開買付けに応募するか否かについて新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議をいたしました。

なお、上記取締役会決議は、公開買付者が本公開買付け及びその後の一連の手続により当社を非公開化することを企図していること並びに当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。

2024年8月15日から実施しておりました本公開買付けが2024年10月10日をもって終了し、公開買付者より、本公開買付けの結果について、当社株式19,459,712株の応募があり、応募された当社株式の総数が買付予定数の下限(12,477,600株)以上となり、本公開買付けが成立した旨の報告を受けました。

この結果、本公開買付けの決済が2024年10月18日(本公開買付けの決済の開始日)付で行われ、当社の総株主の議決権に対する公開買付者の所有する議決権の割合が50%超となったため、公開買付者は当社の親会社に該当することとなりました。