第2 【事業の状況】

 

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

本文の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

当中間連結会計期間における国内経済は、訪日外国人数の増加に伴うインバウンド需要の高まりに加え、大規模災害に伴う復興需要などの影響により、多くの地域において緩やかな回復ないし持ち直しの傾向が見られました。一方で、記録的な猛暑や台風による食品の価格高騰に加え、かねてからの資源価格や原材料価格、人件費の高騰によって物価高に拍車がかかり、消費者レベルでは生活費高騰など大きな打撃となっております。

こうした外的要因の影響によって、日本人出国者数は増加傾向にあるものの、いまだコロナ禍前の水準には至っておりません。また、世帯レベルの消費支出では「教育」「教養娯楽」が減少傾向にあるなど、個人での海外渡航やそのための英語学習への投資は、優先順位が上がりづらい状況が続いております。さらには、昨今のAIの爆発的な進化に伴い、翻訳ツールなどの精度は急激に高度化してきました。その結果、あえて「人が話す」ことの必要性や、英語学習に対する価値観そのものが本質的に変化する可能性も見込まれます。

 

しかしながら、日本では超少子高齢化による国内市場の縮小や労働人口減少が確実視されており、持続的な経済成長のためには、企業のグローバル展開や外国人材の積極採用が不可欠です。また、深刻なエンジニア不足などに直面している業界や企業では、部門や拠点単位で社内公用語を英語にする、フルリモートで海外在住の人材を採用するといったケースも増えています。

日本企業を取り巻く環境に多様な変化が起こるとしても、オフライン・オンラインを問わず人が集って働くビジネスシーンにおいて、コミュニケーションツールとしての英語が不要になることはありません。したがって、中長期的には、英語を使って国内外問わず活躍できる人材のニーズと連動し、英語学習ニーズもより一層高まっていくと想定されます。

 

当社グループのリスキリング事業では、主にビジネスパーソンに対して「英語を話せるようになる」という成果に繋がるサービスの提供を行っております。個人向けサービスは「レアジョブ英会話」を中心に、サービスやブランドの認知向上施策にも努め、サービスの拡大及び品質向上に取り組んでおります。特に、AIは当社サービスの進化を加速させる推進力でもあり、累計66万人以上の受験数を数えるAIスピーキングテスト「PROGOS®」の他、レッスンの復習を効率化させる「AIレッスンレポートβ」や、行政書士講座の記述式問題の解答に対して、AIが自動で採点・添削を行う「記述式問題 AI採点・添削システム」のβ版提供など、学習体験の向上や成果創出に向けてAIを積極活用し、他社差別化と競争力強化を図っております。

 

子ども・子育て支援事業では、学校向け・個人向けにオフライン及びオンラインの英語関連サービスの提供を行っております。2020年度からの学習指導要領改訂により、教育現場では外国語教育の抜本的な強化が図られました。「読む」「聞く」を中心とした従来の英語学習から、コミュニケーションツールとして英語を「話す」ことの重要度が高まっています。これに伴い、教育現場で外国語教育の授業を英語面でサポートするALT派遣に対するニーズも拡大しており、当社グループの主要サービスであるALT派遣も堅調に推移しております。さらなる事業拡大に向けては、営業活動の強化に加え、安定した講師供給に裏打ちされたサービス品質の安定が欠かせません。そこで、営業エリアの拡大と並行してフィリピンにおける講師ネットワークの活用の他、パキスタン政府と連携したALT供給体制を構築するなど、事業拡大の基盤づくりを図っております。

 

以上の結果、当社グループの当中間連結会計期間における売上高は4,812,363千円と前年同期比213,987千円△4.3%)の減収、EBITDAは379,293千円と同217,600千円(△36.5%)の減益、営業利益は221,928千円と同143,818千円△39.3%)の減益、経常利益は206,649千円と同147,885千円△41.7%)の減益親会社株主に帰属する中間純利益128,143千円と同248,576千円△66.0%)の減益となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

リスキリング事業

当中間連結会計期間において、法人向けサービス売上が増加したものの個人向けオンライン英会話サービスのユーザー数が伸び悩み、売上高は2,395,635千円と前年同期比219,254千円(△8.4%)の減収となりました。セグメント利益は、引き続き認知度向上を目的とした投資を行っていることから、195,178千円と同210,118千円(△51.8%)の減益となっております。

 

子ども・子育て支援事業

当中間連結会計期間において、子ども向けオンライン英会話サービスは苦戦しているもののALT派遣サービスが堅調に推移したことから、売上高は2,416,727千円と前年同期比5,267千円(0.2%)の増収となりました。セグメント利益は、子ども向けオンライン英会話サービスの講師供給体制を見直した結果、150,955千円と同16,651千円(12.4%)の増益となっております。

 

また、当社グループのEBITDAは営業利益+減価償却費+のれん償却額で算出しております。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当中間連結会計期間末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比べ192,895千円減少し、6,063,470千円となりました。これは主に、デリバティブ債権57,597千円のれん42,556千円現金及び預金39,856千円減少したことによるものであります。

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債につきましては、前連結会計年度末と比べ136,225千円減少し、4,286,518千円となりました。これは主に、長期借入金165,684千円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産につきましては、前連結会計年度末と比べ56,670千円減少し、1,776,951千円となりました。これは主に、繰延ヘッジ損益83,868千円減少したことによるものであります。  

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は前連結会計年度末より39,856千円減少し、2,624,268千円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において営業活動により得られた資金は、287,605千円(前年同期は581,745千円の収入)となりました。

これは主に、税金等調整前中間純利益225,353千円減価償却費114,808千円計上したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において投資活動により支出した資金は、39,213千円(前年同期は401,014千円の収入)となりました。

これは主に、無形固定資産の取得による支出30,314千円を計上したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において財務活動により支出した資金は、294,552千円(前年同期は186,166千円の支出)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出165,684千円配当金の支払額122,529千円を計上したことによるものであります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題についての重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

該当事項はありません。

 

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありませんが、当中間連結会計期間末から半期報告書を提出する日までに、以下の経営上の重要な契約を締結しております。

 

(資本業務提携契約の締結)

 当社は、2024年11月8日開催の取締役会において、株式会社学研ホールディングス(以下、「学研HD」という。)との間で、資本業務提携契約を締結すること(以下、「本提携」という。)を決議し、同日付で締結いたしました。

 また、本提携に伴い、当社の主要株主である三井物産株式会社(以下、「三井物産」という。)が、学研HDとの間で株式譲渡契約を同日付で締結し、三井物産が保有する当社普通株式1,828,100株(議決権割合 19.23%)を、同契約に基づき2024年11月13日付で学研HDに対して市場外の相対取引により譲渡すること(以下、「本株式譲渡」という。)に合意いたしました。本株式譲渡に伴い、2024年11月13日付で主要株主が異動しております。本提携に係る資本業務提携契約の概要は、次のとおりであります。

 

1.本提携の背景と目的

 当社グループは「Chances for everyone, everywhere.」をグループビジョンに掲げ、世の中の人々が、それぞれの能力を発揮し、活躍できる世の中の実現を目指し、オンライン英会話サービスを主軸としたリスキリング事業、及び外国語指導助手(以下、「ALT」という。)の人材派遣を主軸とした子ども・子育て支援事業を展開しております。

 本提携先の学研HDは、「私たち学研グループは すべての人が心ゆたかに生きることを願い 今日の感動・満足・安心と 明日への夢・希望を提供します」をグループ理念として、教室・学習塾運営、出版及び園・学校支援をはじめとする教育事業並びに高齢者住宅事業をはじめとする医療福祉事業を展開するグループの持株会社です。同社は、1947年の設立以来、学習塾の運営や教科用図書の制作・販売等、教育業界において多岐に渡り事業を展開し、顧客の支持を獲得して78年に亘る長い歴史を築き上げてきました。

 創業より培ったオンライン学習に関する知見・ノウハウを有する当社グループと、教育業界における豊富な知見と実績を有する学研HDとの業務提携は、当社グループがより広い学びのサービスを提供するEdTechカンパニーとして更なる事業成長・事業拡大を図るうえでの大きな原動力になると考えております。当社は、本提携を通じて、語学学習や資格取得などの領域におけるオンライン学習サービスのコンテンツ拡充のみならず、新たな学習領域・新たな顧客獲得を視野に入れた両社の事業拡大に資する取り組みを加速させていきます。

 

2.業務提携の内容

当社グループと学研HDは、この度の本提携を通じて、以下の内容で具体的な検討を進めてまいります。

 

(1)学校教育市場における協業

 当社グループは、2015年4月より学校・教育機関向け事業を開始しております。また、2023年4月よりK12事業領域の拡大を目的に、ALT派遣事業を主たる事業とする株式会社ボーダーリンクを子会社化することでALT派遣市場に参入し、きめ細やかな対応により教育現場のニーズに応え、業界2位にまでシェアを拡大しております。学研HDにおいては、これまでも教科用図書や模擬試験などを通じて学校教育市場のニーズに応えてまいりました。さらに2018年には東京都教育庁との官民連携事業である体験型英語学習施設『TOKYO GLOBAL GATEWAY』を開設、2024年9月には株式会社桐原書店がグループインし、学校向け英語教材市場にも参入いたしました。両社が本提携を通じて、学校教育市場における営業の相互協力、学校向けアセスメントの開発・販売強化を検討してまいります。

 

(2)オンライン英語事業

 個人向けオンライン英語領域においては、当社グループは大人向けに「レアジョブ英会話」、子ども向けに「リップルキッズパーク」「ボーダーリンク英会話」を提供し、学研HDの子会社である株式会社Glatsが「kimini英会話」というブランドでサービスを提供しております。

 まず、個人向けオンライン英語事業においては、両社が本提携を通じて、顧客基盤の拡大、顧客の接続、講師オペレーションの合理化・適正化を検討してまいります。

 次に、法人を対象とした研修領域においては、当社グループは子会社である株式会社プロゴスがグローバル人材育成のソリューションを提供しており、学研HDにおいては、同社の子会社である株式会社TOASUが、1960年以降、社員研修サービスを提供しております。両社が本提携を通じて、企業研修における営業の相互協力、アセスメントの開発・販売強化を検討してまいります。

 

(3)資格事業の共同開発・運営の検討

 当社グループは、2021年12月より司法試験予備試験や行政書士試験などの合格を効率的にサポートするオンライン予備校「資格スクエア」を提供しております。学研HDにおいては、同社の中期経営計画「Gakken2025」でリカレント・リスキリング分野への参入を掲げており、株式会社Gakken LEAPが、ファイナンシャルプランナー資格や宅建士の効率的な合格を目指す学習サービス・プラットフォーム「Shikaku Pass」を開始しております。両社が本提携を通じて、リスキリング市場におけるリーディングカンパニーを目指すべく、共同開発・運営の可能性を検討してまいります。

 

(4)教育のデジタル化に向けた共同開発、人材融合の開始

 当社グループでは、オンライン英会話レッスンのプラットフォームやAIを活用したレッスンサポート機能、ALT派遣事業の管理システム、AI英語スピーキングテスト「PROGOS®」の開発を行うなど、業界でも高い開発力を有しております。学研HDにおいては、「Gakken2025」で教育分野におけるDXの強化を掲げており、株式会社Gakken LEAPがエンジニア直接雇用によるグループ全体のプロダクト開発を、株式会社Glatsがオンライン英語プラットフォームの自社開発を進めております。両社が本提携を通じて、英語のみならず、多言語・他教科を対象とした新たなデジタルプロダクトの開発可能性や、人材交流を通じたあるべき開発体制の検討など、人材の融合施策を検討してまいります。

 

3.資本提携の内容

 当社の主要株主である三井物産が、学研HDとの間で株式譲渡契約を2024年11月8日付で締結し、三井物産が保有する当社普通株式1,828,100株(議決権割合 19.23%)を、同契約に基づき2024年11月13日付で学研HDに対して市場外の相対取引により譲渡されました。

 なお、本提携の一環として、学研HDによる当社株式の追加取得や取締役の派遣等についても今後協議を行っていく予定であり、議決権比率で20%を超える株式の追加取得、または学研HDの指名する取締役の受入等について決議をした場合、学研HDは当社のその他の関係会社に該当することとなります。