第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
  また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の分析

当中間連結会計期間における我が国経済は、雇用改善と名目賃金増加で個人消費が下げ止まり、設備投資意欲も底堅く推移したことに加えて、インバウンド需要も拡大したことから、緩やかに持ち直しています。今後も景気の回復傾向が続くことが見込まれる一方で、インフレに因る消費者マインドの低下、人手不足による供給制約など、景気の下振れリスクの懸念があります。

住宅業界においては、持ち家、分譲住宅の減少が続いており、2024年4月~9月の新設住宅着工戸数は、戸数412千戸(前年同期比0.8%減)、床面積31,610千㎡(同3.5%減)となりました。非住宅建築分野においても職人不足による停滞状態が続いており、2024年4月~9月の民間非居住建物着工数は、棟数29千棟(同4.6%減)、床面積17,972千㎡(同9.6%減)となりました。

このような環境の下、当社グループでは、 2023年度からスタートした第7次中期経営計画「技術を押出し、未来へワクワク(2023年度~2027年度)」に基づき、下記の3つの基本方針に則り具体的施策を実施しました。

 

・循環型ビジネス拡大

『バスパネルBTj』、『プラスッド ルーバーJF3050』、『フリーフロアーE-CP』についてSuMPO EPD(旧名称エコリーフ)を取得しました。これにより、製品ライフサイクルでの環境負荷を客観的に評価することが可能となり、GHG排出量表示の動き等への対応も容易となります。

当社とNAGASEグループの長瀬産業株式会社、株式会社キャプテックスは、リサイクル樹脂、リユース電池を使用した環境配慮型のスマートベンチを共同開発し、実証実験を開始しました。多様な企業とのイノベーションを通じて、新たな循環型ビジネスを一層加速してまいります。

 

・強靭な収益基盤構築

住宅建材では一部で落ち込みが見られたものの、断熱関連が好調に推移した他、自動車関連など住宅以外の分野においては、これまで取り組んで来た高付加価値化や技術の提案、PRなど市場へのスペックイン活動が奏功し、全体として売上は前年同期水準を確保いたしました。これらの分野は、今後も拡大を見込んでおり、引き続き取り組みを強化してまいります。

原価低減では、新基幹システムの稼働にともない、棚卸資産に関してより精度の高い情報が得られるようになったことから、評価の見積り方法を変更しています。これに伴い、一過性と捉えることができる費用が発生することとなりましたが、将来への成長に向けて財務基盤の更なる強化を図るものであり、今後も情報の精度を高めながら適正な在庫水準を維持してまいります。生産効率の改善では、作業工程の見直しを継続して実施しており、押出成形の標準化モデルラインが稼働するなど一定の成果が得られました。

 

・成長を後押しする組織づくり

第7次中期経営計画において、コーポレートガバナンス体制の強化を重要な経営課題と位置付けております。今期より社長交代およびCxO体制の導入を通じて新たな経営体制をスタートさせました。これにより、迅速かつ的確な意思決定を実現するため決裁権限の委譲や、社内規程の整備などを実施いたしました。

従業員一人ひとりの成長とエンゲージメントの向上を通じて、組織全体の活性化と競争力強化に取り組んでおります。その一環として、従業員が株主の皆様との一層の価値共有を進めるとともに中期経営計画の達成へ向けたインセンティブに寄与することを目的として、従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入いたしました。全従業員が長期的な企業価値の創造に向けて一体となって取り組む体制を整えてまいります。

また、将来のタレントマネジメントを見据えて人材情報のデータベース化を進めるとともに、従業員の適性やパフォーマンスに応じた配置を進めました。

 

以上により、当中間連結会計期間の売上高は196億12百万円と、前年同期に比べ0.2%の増収となりました。利益面につきましては、棚卸資産評価に係る見積りの変更により、棚卸資産評価減を1億47百万円計上し売上原価が増加した影響で、営業利益6億35百万円(前年同期比17.6%減)、経常利益7億円(同29.8%減)、親会社株主に帰属する中間純利益4億72百万円(同30.9%減)となりました。

なお、棚卸資産評価に係る見積りの変更の詳細は、「2.(4)中間連結財務諸表に関する注記事項(会計上の見積りの変更)」に記載のとおりです。

 

セグメント別の売上状況は、以下のとおりであります。

当中間連結会計期間より、従来の「建築資材」「産業資材」の2セグメントから、「建材事業」「CSE事業」「精密事業」「グローバル事業」の4セグメントおよび「その他」に変更しております。

この変更は、事業展開を踏まえた組織体制および経営資源配分等の意思決定プロセスの観点から、当社グループの経営実態をより適切に反映すると判断したことによるものです。

詳細は「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「2.報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。

また、報告セグメント変更後の配分方法による算定が困難であることから、前中間連結会計期間との比較はしておりません。

なお、各事業セグメントの概要は以下のとおりです。

建材事業

外装建材、内装建材、床関連材、システム建材等を開発・製造・販売しております。また建設工事設計施工の事業を営んでおります。

CSE事業(※)

主に住宅設備、車輛分野でユーザーからの受注によるOEM製品・ODM製品等を開発・製造・販売しております。

精密事業

反射防止付樹脂シートを主とする機能性コーティング製品を開発・製造・販売しております。

グローバル事業

海外市場向けの外装建材、内装建材等を開発・製造・販売しております。

 

 

(※)CSE事業:CSEとは、Customer Satisfaction & Expectation の頭文字をとった造語であり、専門知識と技術力を駆使したセールスエンジニアリングで顧客のニーズや期待を上回る価値を提供し、顧客満足度と信頼度の向上を目指します。

 

セグメントの名称

売  上  高

金 額(百万円)

構成比(%)

建材事業

12,673

64.6

CSE事業

4,975

25.4

精密事業

772

3.9

グローバル事業

1,748

8.9

報告セグメント計

20,169

102.8

その他

37

0.2

(調整額)

△594

△3.0

合 計

19,612

100.0

 

           (注)1.調整額は、セグメント間取引消去によるものであります。

 

 

 〔建材事業〕

住宅分野では、新築、リフォーム問わず求められる高断熱化に対応した高性能断熱材『フェノバボード』や加工拠点を拡大した高断熱内窓『メルツエン』が堅調に推移しました。一方で、持ち家・分譲戸建の大幅着工減という市場環境から、汎用品は売上が減少しました。

非住宅分野ではプロモーションを強化した結果、工場・倉庫向け商品群『PLANTOOL』が好調な伸びを示しました。

 

〔CSE事業〕

CSE事業においても新設住宅着工の低迷により建築資材系OEM品が伸び悩みました。一方で、住設資材系OEM品の採用数が増加したこと、また、バスやトラックといった大型車輛向け部材や、業務用冷蔵庫向け部材、事務機器部材といった産業資材が好調に受注を確保し、売上増に寄与しました。

 

〔精密事業〕

精密事業では、主力の車載向け部材が自動車の減産や中国市場の販売不振を受け、低調に推移しました。非車載向け部材はこれまでのエンジニアリングセールスが結実し、売上を大きく伸ばしました。

 

〔グローバル事業〕

グローバル事業では、米国現法のブランド製品が伸び悩み、また、日本向け建材ビジネスの比率が高いベトナム・タイの各現法も、日本市場の需要低迷を受け低調に終わったことなどが影響し、総じて弱含みで推移しました。このような中、ASEAN地域での建材販路拡大に向け、販売チャネル構築に向けた活動を推進しました。

 

② 財政状態の分析

(資産)

当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ14億94百万円(前期末比2.8%)減少し、525億81百万円となりました。主な増減要因としましては、流動資産では、現金及び預金が20億22百万円増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が16億3百万円減少、また電子記録債権が8億78百万円減少したことなどにより、8億79百万円(同2.5%)の減少となりました。

固定資産では、投資有価証券が6億5百万円減少したことや有形固定資産が64百万円減少したことにより、6億15百万円(同3.3%)の減少となりました。

 

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べ16億54百万円(前期末比9.8%)減少し、152億61百万円となりました。主な増減要因としましては、流動負債では、支払手形及び買掛金が10億24百万円減少したことや、賞与引当金が1億14百万円減少したことなどにより、15億17百万円(同10.7%)の減少となりました。固定負債では、繰延税金負債が86百万円減少、またリース債務が50百万円減少するなど、1億37百万円(同5.1%)の減少となりました。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ1億59百万円(前期末比0.4%)増加し、373億21百万円となりました。その他有価証券評価差額金が2億2百万円減少した一方で、利益剰余金が1億57百万円増加、また為替換算調整勘定が1億53百万円増加したことなどによるものです。この結果、株主資本合計は330億13百万円、自己資本は364億27百万円となり、自己資本比率は69.3%となりました。

 

 

 (単位:百万円)

 

 

前連結会計年度末

当中間連結会計期間末

増減額

 

流 動 資 産

35,303

34,424

△879

 

固 定 資 産

18,773

18,158

△615

資  産  合  計

54,076

52,581

△1,494

 

流 動 負 債

14,229

12,712

△1,517

 

固 定 負 債

2,685

2,548

△137

負  債  合  計

16,914

15,261

△1,654

純 資 産 合  計

37,162

37,321

159

 

 

③ キャッシュ・フローの分析

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ20億22百万円(前期末比18.0%)増加し、132億25百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況及びその主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権及び契約資産の減少額25億3百万円、税金等調整前中間純利益6億84百万円、減価償却費6億48百万円などの増加要因に対し、仕入債務の減少額10億31百万円、法人税等の支払額2億35百万円などの減少要因により合計26億3百万円のプラスとなりました。前年同期比では30億58百万円増加しました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資計画に基づく機械設備等の取得による支出3億68百万円、無形固定資産の取得による支出49百万円などの減少要因に対し、投資有価証券の売却による収入3億3百万円などの増加要因により合計1億14百万円のマイナスとなりました。前年同期比では2億20百万円改善しました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出3億9百万円およびリース債務の返済による支出1億77百万円などにより、合計5億25百万円のマイナスとなりました。前年同期比では70百万円減少しました。

 

 

(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において重要な変更はありません。

 

(3) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、473百万円です。研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結はありません。