独立監査人の監査報告書

 

 

 

2024年11月14日

日東工器株式会社

 

 

 

 

取締役会 御中

 

 

 

EY新日本有限責任監査法人

 

 

東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

板谷 秀穂

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

佐伯  麻里

 

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている日東工器株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、日東工器株式会社及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

栃木日東工器株式会社における棚卸資産残高の過大計上に関する修正処理の妥当性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社及び連結子会社は、迅速流体継手、機械工具、リニア駆動ポンプ、建築機器の各セグメントにおいて、幅広い産業向けの製品を開発・製造・販売をしている。

 会社の連結子会社である栃木日東工器株式会社(以下「本件子会社」という。)において、本件子会社の棚卸資産の額に不自然な増加があることを認識したことを契機に社内調査を行った結果、会社は、2024年8月下旬に、本件子会社における棚卸資産の過大計上とこれに伴う売上原価の過少計上の疑義を認識した。これを受け、会社は2024年9月12日、特別調査委員会を設置し、事実関係の調査、本件に類似する事象の有無の調査をおこなった。その結果判明した事実が財務諸表に与える影響の調査、本件の原因分析及び再発防止策の提言、類似する事象の有無の調査が実施された。会社は、2024年11月1日に受領した調査報告書の内容を確認した結果、本件子会社において、棚卸資産が過大に計上される不適切な会計処理があったことが判明したため、過年度の決算を修正すべきと判断している。

 このため、会社は、調査報告書の内容を踏まえ、不適切な会計処理により計上された棚卸資産について、総平均単価及び棚卸資産評価額の再計算を実施し、棚卸資産の残高を算定し、2022年3月期から2024年3月期の連結財務諸表、並びに2023年3月期と2024年3月期の各四半期連結財務諸表を修正し、これらの連結財務諸表を含む有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を2024年11月14日に提出している。

 当監査法人は、本件子会社において行われた不正の事実関係を把握や連結財務諸表に与える影響を慎重に検討する必要があり、これらの検討を行うためには、不正調査に関する専門的な知識及び慎重な判断が必要であることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

 当監査法人は、本件子会社における棚卸資産の残高の過大計上に関する修正処理の妥当性について、主として以下の手続を実施した。

 (1)特別調査委員会の調査報告書の利用可能性の検討

 特別調査委員会の調査手続、調査結果及びその根拠の妥当性を評価し、調査報告書の利用可能性を評価するために以下を実施した。

・ 特別調査委員会について、調査委員の能力及び客観性を評価した。

・ 特別調査委員会と調査手法、事実関係の認識及び調査の結論についてコミュニケーションを行った。

・ 会社の経営者及び監査役に調査報告書の内容についてヒアリングを実施した。

・ 本事案の事実関係を把握するために、特別調査委員会が実施した関係者に対するヒアリング議事録、調査資料及び関連証憑を閲覧した。

・ デジタル・フォレンジック調査について、当監査法人の内部の不正調査の専門家を利用し、調査対象の適切性、キーワードの妥当性、検出された重要事項とその対応結果を評価した。

・ 本事案と類似する事象が発生していないと特別調査委員会が判断した根拠について、調査資料や分析を閲覧した。

 

 (2)本件子会社の棚卸資産についての検討

 修正後の本件子会社の棚卸資産残高の妥当性を検証するために、主として以下の手続を実施した。

・ 棚卸資産の再計算の適切性を評価するために、会社が行った基幹システムによる再計算のロジックについて、当監査法人内部のIT専門家を関与させ検証した。

・ サンプリングにより抽出した在庫品目について総平均単価の正確性を検証するとともに、基幹システムにより出力された在庫明細等の残高と会計帳簿の一致を確認した。

 

 (3)連結財務諸表の修正に関する検討

・ 特別調査委員会の調査結果に基づき、必要な修正処理が連結財務諸表に反映されていることを検証した。

 

 

 

売上高の実在性及び期間帰属

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社及び連結子会社は、迅速流体継手、機械工具、リニア駆動ポンプ、建築機器の各セグメントにおいて、幅広い産業向けの製品を開発・製造・販売をしている。

 各セグメントにおける製品は、注文1件当たりの金額は大きくないが、売上高全体を構成する取引件数が多い。また、製品の多くは、長年に渡り継続的かつ安定的に取引を行っている代理店網を通じて販売されており、取引を行う代理店等は多く、売価やリベート等の取引条件も個別に決定される。さらに、【注記事項】(収益認識関係)2に記載の通り、期末日時点で確定していない値引は過去のデータ等に基づき、リベート等は契約等に基づき見積りを行っている。

 以上より、当監査法人は、売上高全体の金額的重要性や、少額かつ多様な製品を多数の代理店等に販売するという取引の性質から、売上高の実在性及び期間帰属が当連結会計年度において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 当監査法人は、金額が少額である多数の取引から構成される売上高の実在性及び期間帰属を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

・ 売上計上に係る取引条件を理解するために、主要な代理店との契約を閲覧し、売価やリベート等の決定条件等を把握するとともに、経営管理者への質問及び売上データの分析を実施した。

・ 売上高全体に対して、セグメント毎の月次分析や利益率分析、顧客別の増減分析並びに売掛金残高及び入金額との相関分析等の分析を実施した。

・ 上記の取引条件の理解及び売上高の分析を踏まえて、期中及び期末日付近の取引における売上計上の根拠証憑(入金証憑、出荷証憑)、リベート等に関する根拠証憑(代理店との合意資料、支払証憑等)との突合は、サンプリングの抽出基準を通常より低く設定することにより、突合対象となる件数を増加させて実施した。

・ 基幹システムを通さずに手作業で起票される売上仕訳等、通例ではない仕訳の分析と根拠証憑との突合を実施した。

・ 連結子会社の監査人と継続的なコミュニケーションを行い、当該監査人が実施した監査手続の範囲等を検討した。

・ 期末日における値引等の見積額と期末日後に確定した値引等の実績額を比較した。

 

その他の事項

 有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。なお、当監査法人は、訂正前の連結財務諸表に対して2024年6月25日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書の訂正報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の訂正後の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、当連結会計年度の会社及び子会社の訂正前の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。当連結会計年度の有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書に関する監査証明業務に基づく報酬の額は確定していないため、2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表に対する監査報告書に記載する。

 

 

利害関係

 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。