第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

当社は、前連結会計年度まで6期連続で営業損失を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、諸施策を実施していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日において当社が判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

当中間連結会計期間(2024年4月1日から2024年9月30日)における世界経済は、長引く国際情勢の緊迫化や資源価格高騰等、油断を許さない状況が続きました。また、当社が取引先を有する中国では、不動産投資の停滞や個人消費の冷え込み等、景気低迷の長期化となり、依然として不安定な経済要因が存在しております。

さらに、世界規模で進む気候変動問題に対しては、各国での脱炭素化社会の実現に向けた需要がますます拡大していく中、各企業におけるTCFDへの関心の高まりを受け、自動車業界やプラスチック業界への影響が注視されます。

我が国経済においては、企業の設備投資の持ち直しや、雇用・所得環境の改善とインバウンド需要拡大による消費回復を受け、景気は緩やかな回復傾向にある一方、エネルギーコストや輸送コストの上昇、為替相場の急変動等、継続して様々な経営課題が取り巻いております。

このような環境下、当社グループでは2024年6月に、2025年3月期から2027年3月期に係る新中期経営計画を公表いたしました。本中期経営計画では“未来の環境に貢献します”を長期ビジョンとして掲げ、今後はこれまでの多角化後の全事業の黒字化定着に重点を置きながら、コアとなる新規事業を推進し、「環境」「衛生」「高機能」の3つのソリューションを柱に持続可能な社会に貢献してまいります。

以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高768,658千円(前年同期比22.3%増)、営業損失35,309千円(前年同期は営業損失14,967千円)、経常損失38,888千円(前年同期は経常利益2,417千円)、親会社株主に帰属する中間純損失40,422千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益1,009千円)となりました。

 

当社個別決算につきましては、直前中間会計期間との比較で売上高が約2割伸長し営業損失が改善した一方で、為替の急変動により為替差損を計上した影響から経常損失は直前中間会計期間と同水準の結果となりました。

 

回次

第101期

下期中間会計期間

第102期

上期中間会計期間

直前会計期間比較

会計期間

自 2023年10月1日
至 2024年3月31日

自 2024年4月1日
至 2024年9月30日

売上高

(千円)

557,351

664,407

+107,056

(+19.2%)

営業損失(△)

(千円)

△36,388

△31,605

経常損失(△)

(千円)

△34,280

△34,446

 

 

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

なお、各セグメントの営業損失は、各事業に配分していない全社費用70,976千円を配分する前の金額であります。

 

(紡績事業)

当中間連結会計期間における当該事業の状況につきましては、前年同期と比較して生産数量は微減しているものの、生産銘柄の入れ替えにより平均単価が上昇したことで、売上高は増加しております。

主力のアラミド繊維製品においては、資材用途向けが海外他社との競合により受注減の傾向にあることから、需要が堅調かつ高単価な防護衣料用途向けをはじめとした官需用増産への転換を進め、生産量は前年同期(2023年4月~2023年9月)より2.8%増の240.3tとなりました。

一方で、それ以外の紡績糸については、主に販売先の生産状況停滞による影響から前年同期より生産量が減少し、高級インナー向け紡績糸は26.5t、ポリエステル等の他素材は28.1tに留まりました。

 この結果、紡績事業の当中間連結会計期間の業績は、売上高201,049千円(前年同期比3.6%増)、営業利益7,394千円(前年同期比36.2%減)となりました。

 

(テキスタイル事業)

当中間連結会計期間における販売状況につきましては、前連結事業年度から引き続き中東及び東アジア各マーケットにおけるコロナ禍からの回復が順調であり、受注状況は好調に推移した結果、大きく増収となりました。

出荷状況につきましては、委託加工先のスペース及び人手不足との兼ね合いによる染色作業や梱包作業の遅れへの懸念があったものの、成約済み契約の消化に注力し、足元における出荷は順調に進んでおります。

利益状況につきましても、国内仕入と海外販売に対する円安が寄与し、前年同期との比較で大幅な増益となりました。今後は、マーケットの状況変化や各経費の高騰に伴う委託加工賃の値上げ交渉等、先行き不透明な課題について慎重に判断しながら進めてまいります。

この結果、テキスタイル事業の当中間連結会計期間の業績は、売上高393,504千円(前年同期比52.4%増)、営業利益43,952千円(前年同期比98.6%増)となりました。

 

(ヘルスケア事業)

当中間連結会計期間における当該事業の状況につきましては、子会社である中部薬品工業の販売状況は順調に推移しており、特に「中薬たんきりのど飴」は新規にて大手ドラッグストアへ定番導入され売上を継続的に伸ばしております。また、新商品のウエハースサプリは、大手販売店薬剤売場での導入が進み、当初計画以上の売上を達成しております。一方、既存商品は大手ドラッグストアからの返品が発生しており、当中間連結会計期間における営業損益については、ほぼ予算通りの結果となりました。

当連結会計年度の見込みにつきましては、のど飴関連を中心に新商品が加わり売上・営業損益共に前事業年度を上回ることが予想されます。2024年中には、初めての「機能性表示食品」として新製品(ダイエットフルーツティー)をリリースする予定です。さらに、新たな商材となる防犯防災セキュリティー管理システムの販売につきましては、2024年8月下旬より本格的に営業を開始しており、販売状況は順調に推移しております。

この結果、ヘルスケア事業の当中間連結会計期間の業績は、売上高65,542千円(前年同期比5.8%増)、営業損失1,826千円(前年同期は3,935千円の営業利益)となりました。

 

(リサイクル事業)

当中間連結会計期間における当該事業の業績につきましては、国内を中心にリサイクル市場の需要動向は回復傾向にあり、出荷数量は順調に推移しておりますが、一時的な機械トラブルによる生産数量の低下がありました。

この結果、リサイクル事業の当中間連結会計期間の業績は、売上高108,562千円(前年同期比5.1%減)、営業損失13,752千円(前年同期は10,729千円の営業利益)となりました。

 

(2)財政状態の分析

 

(資産)

総資産は前連結会計年度末より60,876千円増加し1,918,345千円となりました。これは主に、新株予約権の行使による払込等により現金及び預金が63,540千円増加し279,643千円になった一方で、当中間連結会計期間末日での出荷未了により商品及び製品が12,270千円増加し140,894千円に、前払済みの原材料および商材が入荷したことで前渡金が19,126千円減少し26,648千円になった影響であります

(負債)

負債は前連結会計年度末より15,224千円減少し943,227千円となりました。これは主に、借入金返済と新規借入契約により、1年内返済を含む長期借入金が3,476千円減少し107,225千円に、諸税金の納付により未払法人税等が27,188千円減少し8,296千円に、震災による消費税の中間納付猶予手続により未払消費税等が17,754千円増加し31,589千円になった影響であります。

(純資産)

純資産は前連結会計年度末より76,101千円増加し975,118千円となりました。これは主に、新株予約権の行使により資本金が56,020千円増加し1,279,468千円に、資本準備金が56,020千円増加し578,063千円に、親会社株主に帰属する中間純損失を計上したことにより、利益剰余金が40,422千円減少し△1,313,770千円になった影響であります。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、279,643千円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

当中間連結会計期間における営業活動による資金は37,408千円の減少(前中間連結会計期間は26,579千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失△38,348千円を計上した一方で、棚卸資産の増加△12,559千円、前渡金の減少19,126千円、未払消費税等の増加17,754千円があったことに加え、法人税の支払△24,664千円があったことによるものであります

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

中間連結会計期間における投資活動による資金は4,341千円の減少(前中間連結会計期間は4,124千円の減少)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出△4,575千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

中間連結会計期間における財務活動による資金は107,654千円の増加(前中間連結会計期間は58,617千円の減少)となりました。これは主に、新株予約権の行使による収入111,295千円があったことに加え、長期借入れによる収入10,000千円と長期借入金の返済による支出△13,116千円があったことによるものであります

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発費の総額は3,744千円であります。

紡績事業について、取引先企業とともに生産品種の拡大等に取り組み、販売費及び一般管理費に3,744千円を計上しております。

テキスタイル事業、ヘルスケア事業及びリサイクル事業については、研究開発費の計上はありません。

 

 

(6)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策

1「事業等のリスク」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象に対応すべく、以下の対応策を実施しております。

 

① 紡績事業及びテキスタイル事業の強化

紡績事業は、取引先との連携強化、研究開発の迅速化により高機能繊維の開発及び生産効率の改善をより一層図るとともに、利益率の向上を目指します

テキスタイル事業は、グレード及び加工場の多様化による販売強化に取り組み、利益の最大化を図ります

② ヘルスケア事業のポートフォリオ変更

ヘルスケア事業は、新規商材である防犯防災セキュリティー管理システムの販売強化、連結子会社である中部薬品工業を中核としたオーラルケア用品や健康補助食品の開発強化に取り組みます

③リサイクル事業の強化

リサイクル事業は、営業人材確保による原材料の仕入強化及び製造設備の拡充による取扱い可能品目の多様化によって事業を強化していき、売上と利益の拡大を図ります

④ キャッシュ・フローの改善

運転資金面では、金融機関からの当座貸越契約により調達した資金を活用しているものの、新規設備や商品仕入の先行投資のため、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローは継続してマイナスの状態にあります。引き続き、投資の早期収益化に努めてまいります。なお、2023年1月17日に第三者割当による新株及び新株予約権の発行を決議し、同年2月7日に発行価額の払込を受け、2023年8月から2024年7月にかけて全ての新株予約権が行使されており、今後の資金的余裕は担保しております

 

これらの対応策を進めていくことにより、当中間連結会計期間末において継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約の決定又は締結等は行われておりません。