当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
(継続企業の前提に関する重要事象等)
当社グループは、前連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純損失が464億52百万円となった結果、前連結会計年度末における連結純資産は27億5百万円となりましたが、当中間連結会計期間においては親会社株主に帰属する中間純利益42億8百万円を計上したことにより、当中間連結会計期間末における連結純資産は67億39百万円となりました。しかしながら、自己資本比率が6.4%と低い水準にあり、かつ、当社グループは2024年5月13日に公表しましたとおり事業再生計画を策定中であり、さらに資金面に関しては取引金融機関による継続的な支援が必要な状況であります。そのため、依然として、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、引き続き事業再生計画の策定を鋭意進め、業績改善施策の実行に取り組んでまいります。なお、当該状況を解消するための対応策及び継続企業の前提に関する詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する注記)」をご参照ください。
当中間連結会計期間の連結業績は以下のとおりです。売上高は前年同期比で増収、営業利益・経常利益及び親会社株主に帰属する中間純利益ともに前年同期比で増益となりました。
(単位:百万円)
《経営環境》
当中間連結会計期間の当社グループを取り巻く事業環境は以下の通りです。
金属相場、特に亜鉛は、最大の消費国である中国の景気回復期待などから期初から上昇して推移し、期中は中国及び世界経済の先行き不透明感から弱含んで推移したものの、前年同期においては亜鉛相場は期初から大きく下落して推移したため、前年同期比では大幅高となりました。鉛については前年同期比で若干の下落、銀は大幅高となりました。
為替相場は、日米金利差を背景に円安ドル高基調が続きましたが、7月以降は国内の追加利上げや米国の利下げが行われ、期末にかけては大きく円高へと推移しました。なお、前年同期比では依然円安水準でありました。
販売面では、亜鉛製品は生産減による販売減となったものの、昨年12月より生産量が改善している鉛製品については、前年同期比で増販となりました。
《売上高》
当社グループの当中間連結会計期間の業績は、製錬事業においては、鉛製品の増販及び金属相場上昇や円安による販売価格の上昇があったものの、亜鉛製品や電気銀の減販及び市況変動リスクをヘッジするデリバティブ取引の影響により、前年同期並みとなりました。一方で、資源事業においては豪州ラスプ鉱山の増販により、また、環境・リサイクル事業においては亜鉛価格の上昇や円安による販売価格の上昇により、前年同期比で増収となりました。その結果、当社グループの売上高としては、前年同期比で増収となりました。
《利益》
損益面では、製錬事業においては主に金属相場上昇及び円安により損益改善となったこと、資源事業においては、前年同期は損失計上であったところ当期は損失が解消され利益となったこと、環境・リサイクル事業も亜鉛相場上昇などによる販売価格の上昇から増益となったことなどにより、前年同期比で増益となりました。
また、前年同期は、2024年末までの豪州ラスプ鉱山閉山を決定したことに伴う同鉱山の減損損失や中国関係会社の売却による関連損失などを特別損失として計上した一方、当期は、豪州エンデバー鉱山の譲渡に伴う関係会社株式売却益を特別利益として計上したことなどもあり、営業損益、経常損益、親会社株主に帰属する中間純損益ともに前年同期の損失から当期は利益へと転じ、前年同期比で増益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります(以下、各セグメントの売上高には、セグメント間売上高を含みます)。
(単位:百万円)
《亜鉛》
販売量は前年同期比で減販となったものの、亜鉛相場上昇と円安の影響が大きく前年同期比9%の増収となりました。
《鉛》
生産増により前年同期比で増販となったことに加え、円安の影響で国内販売価格が上昇したこともあり、前年同期比20%の増収となりました。
《銀》
生産減により前年同期比で減販となったものの、銀相場上昇と円安により前年同期比12%の増収となりました。
以上のほか、硫酸などその他の製品を合わせた当事業部門の業績は、売上高については、市況変動リスクをヘッジするデリバティブ取引の影響により、前年同期並みとなりました。
損益については、亜鉛製錬は、前年同期が亜鉛相場安と電力費や諸資材価格の高騰により損益悪化となったのに対して、当期は引き続き電力費や諸資材価格は高水準ではあるものの前年同期比では低減したことや亜鉛相場上昇と円安が損益改善に寄与しました。一方、鉛・銀製錬については、金属相場上昇と円安が損益良化に寄与したものの、銀製品の減産減販による影響や銅などの副産物収入が減少したことにより前年同期比では損益悪化となりました。結果として、経常利益は前年同期比48%の増益となりました。
なお、金属相場(月平均)及び為替相場(月平均)の推移は下表のとおりであります。
(単位:百万円)
主力製品の酸化亜鉛(主用途:タイヤ製造のための原料)は、亜鉛相場上昇と円安による増収と、電力費や諸資材価格も高止まりはしているものの前年同期比では低減となったことから、当事業部門の業績は、売上高は前年同期比20%の増収、経常利益は前年同期比731%の増益となりました。
(単位:百万円)
豪州CBH Resources Ltd.(以下、CBH社)が保有するラスプ鉱山においては、前年同期については、高品位鉱体の採掘が2024年度期初へ後ろ倒しとなったため粗鉱品位が低下し減産減販となったことから営業損失であったところ、当期については、前年同期比で歩留まりの改善となったことにより増産増販となったことや2023年11月の閉山決定に伴う固定資産の減損損失計上によって当期の減価償却負担が軽減されたことにより、営業利益となりました。
また、CBH社を通じて40%を出資し持分法適用関連会社であったAbra Mining Pty Ltd.(以下、Abra)が操業するアブラ鉱山においては、前年同期より本格的に操業を開始したものの操業立ち上げ初期段階の要因により損失が先行したことで持分法による投資損失を計上しておりました。当期については、2024年4月におけるAbraの豪州会社法に基づく任意管理手続(Voluntary Administration)開始に伴い、前連結会計年度において同社株式簿価を全額減損処理し、実質的な影響力がなくなったため持分法適用の範囲から除外しております。したがって、当社グループとしては持分法による投資損益の計上を行わないため、差引きで増益となっております。
以上の結果、当事業部門の業績は、売上高は前年同期比65%の増収、経常損益は前年同期比42億34百万円増益の6億79百万円の黒字となりました。
(単位:百万円)
《電子部品》
電子部品事業は、販売比率の大きい車載・産業機器向け案件の需要減と在庫調整による販売不振のため、前年同期比で35%の減収となりました。
《電解鉄》
電解鉄事業は、産業機械用特殊鋼及び電子部品基板用鉄化合物の需要回復に鈍さが残るものの、航空機部材向け増勢傾向は第2四半期以降も衰えを見せず、加えて、自動車部材・民生用半導体部材向け販売が安定を取り戻しつつあることから、前年同期比33%の増収となりました。
以上のほか、プレーティング事業及び機器部品事業を合わせた当事業部門の業績は、電子部品事業における減収により、売上高は前年同期比10%の減収となったものの、電解鉄事業における増収増益とプレーティング事業での事業撤退前の駆け込み特需により、経常利益は前年同期比32%の増益となりました。
(単位:百万円)
防音建材事業、土木・建築・プラントエンジニアリング事業、運輸事業、環境分析事業等からなる当事業部門の業績は、事業撤退を決定した防音建材事業での減販による減収があったものの、土木・プラントエンジニアリング事業における大型案件受注と工事進捗や運輸事業におけるリサイクル原料等の扱い量増加により、売上高は前年同期比6%の増収となりました。一方、経常利益は、防音建材事業での減収減益や運輸事業での輸送コスト上昇などにより、前年同期比68%の減益となりました。
当中間連結会計期間末の総資産は、期末に鉱石調達の支払が集中したことから原料前渡金が増加したものの、売掛金や棚卸資産の減少や豪州エンデバー鉱山の譲渡や投資有価証券の売却による固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ30億14百万円減少し、1,054億21百万円となりました。
負債については、エンデバー鉱山の譲渡に伴う資産除去債務の減少や当社の持分法適用関連会社であったAbra Mining Pty Ltd.への債務保証について債権者に対して一部支払いを実施したことなどから、前連結会計年度末に比べ70億47百万円減少し、986億82百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する中間純利益42億8百万円を計上したことから前連結会計年度末に比べ40億33百万円増加し、67億39百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は6.4%となり、前連結会計年度末に比して、3.9ポイント改善しております。
当中間連結会計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ28百万円増加し、当中間連結会計期間末は134億37百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、16億43百万円の収入(前年同期は10億48百万円の支出)となりました。期末に鉱石調達の支払が集中したことで仕入債務の減少による支出が増加となったものの、税金等調整前中間純利益の計上や売掛金及び棚卸資産の減少による収入などにより、営業キャッシュ・フローは前年同期比で改善しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7億17百万円の支出(前年同期比51億49百万円の支出減)となりました。これは主に、国内設備の維持更新による支出と、投資有価証券の売却による収入によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは10億24百万円の支出(前年同期は119億77百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の約定返済によるものです。
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、144百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、豪州CBH Resources Ltd.の100%子会社でありラスプ鉱山操業子会社であるBroken Hill Operations Pty Ltd.の全保有株式を豪州Broken Hill Mines Pty Ltd.へ譲渡する契約を2024年7月に締結しました。
本契約は、2024年10月末を取引成立のための契約発効期限としておりましたが、2024年10月31日をもって契約発効したことから、同日、株式譲渡取引が成立しております。
これにより、2024年5月13日に公表しました現在策定中である事業再生計画とその業績改善施策に基づく資源事業からの早期撤退に向けて、大きな前進となります。
なお、本取引にかかる損益は、2025年3月期の連結決算において計上することになりますが、当社業績に与える影響は軽微であります。