当社グループは、前連結会計年度に親会社株主に帰属する当期純損失が46,452百万円となった結果、前連結会計年度末における連結純資産は2,705百万円となりましたが、当中間連結会計期間においては親会社株主に帰属する中間純利益4,208百万円を計上したことにより、当中間連結会計期間末における連結純資産は6,739百万円となりました。しかしながら、自己資本比率が6.4%と低い水準にあり、かつ、当社グループは2024年5月13日に公表しましたとおり事業再生計画を策定中であり、さらに資金面に関しては取引金融機関による継続的な支援が必要な状況であります。そのため、依然として、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。当社グループは当該状況を解消すべく、引き続き事業再生計画の策定を鋭意進め、業績改善施策の実行に取り組んでまいります。なお、事業再生計画の骨子と取り組んでいる業績改善施策は以下のとおりであります。
変化に挑戦する企業文化・意識改革を推し進め、当社の事業ポートフォリオを「循環型社会」「脱炭素」「環境問題対応の技術力」及び「顧客に認められる開発力」の観点から再構築し、新しい東邦亜鉛に向けて変化、成長する。
高コストな事業構造となっている亜鉛製錬事業は、現在取り組んでいるリサイクル原料比率の引き上げによる収支改善に留まらず、今後の事業のあり方をゼロベースで見直す。また、資源事業は、当社の財務体力の観点から継続することは難しく、保有鉱山の閉山や売却などにより早期に事業撤退する。
なお、豪州エンデバー鉱山についてはPolymetals Resources Ltd.の100%子会社であるCobar Metals Pty Ltd.と株式譲渡契約を締結し2024年7月末に取引が成立した。また、豪州ラスプ鉱山についてはBroken Hill Mines Pty Ltd.と株式譲渡契約を締結し2024年10月末に取引が成立した。
抜本的な事業ポートフォリオの再編を行い、新しい東邦亜鉛の柱として、国内トップシェアである鉛事業(リサイクル原料比率引き上げによる生産増強と銀等の副産物回収強化)、国内シェアトップクラスの亜鉛リサイクル事業(電炉ダストを原料とする酸化亜鉛の生産効率向上)から成る基盤事業に加え、世界トップシェアの機能材料事業(電解鉄)と市場拡大・新規案件獲得が期待される電子部材事業から成る成長事業に対して、経営資源を重点的にシフトし、成長と企業価値の向上を目指す。
新しい東邦亜鉛へと成長するために、徹底的なコスト削減、効率的資金運用、保有遊休資産売却による収益性改善、事業環境の変化に対応し的確な経営判断を可能とする組織体制の再整備とガバナンス体制の強化を行う。あわせて、強固な財務基盤への早期回復を目指し、資本性資金の導入も検討する。
資金面においては、当中間連結会計期間末において、現金及び預金13,437百万円を保有するとともに、取引金融機関と総額11,000百万円の貸出コミットメント契約(契約満了日2024年10月28日)を締結しております。なお、貸出コミットメント契約につきましては、2024年10月28日以降は、金融機関に対して再生計画策定に係る取組みの説明を実施することを条件に契約期間を1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月延長ができる契約となっており、最長2025年3月31日まで延長が可能であります。また、2024年4月に三菱UFJ銀行と新規に当座貸越枠5,000百万円の契約(契約満了日2024年10月28日)を締結しております。当座貸越枠につきましては、双方の意思に基づき都度1ヵ月の延長がされる契約となっており、最長2025年3月31日まで延長が可能であります。なお、貸出コミットメント契約及び三菱UFJ銀行の当座貸越枠についてはいずれも2024年10月28日に契約期間を1ヵ月延長いたしました。今後、契約期限の更新や更なる支援が必要となった場合に支援が得られるよう、金融機関と緊密な連携を続けてまいります。
しかしながら、継続企業の前提に関する重要な疑義を解消すべく取り組んでいる業績改善施策は実行途上にあり、事業再生計画も策定中であることから上記の施策による損益及び財務的な効果を十分に得ることができない可能性も考えられること、契約期限の更新や金融機関からの更なる追加支援が必要となった場合に備えた資金調達については未確定であることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
なお、中間連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間連結財務諸表に反映しておりません。
当中間連結会計期間において、豪州CBH Resources Ltd.の100%子会社であるCobar Operations Pty Ltd.及びEndeavor Operations Pty Ltd.は、全保有株式を譲渡したため、連結の範囲から除外しております。
当中間連結会計期間において、豪州Abra Mining Pty Ltd.は、2024年4月4日開催の同社取締役会において豪州会社法に基づく任意管理手続(Voluntary Administration)開始を決議したことに伴い、実質的な影響力がなくなったため、持分法適用の範囲から除外しております。
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日。以下「2022年改正会計基準」という。)等を当中間連結会計期間の期首から適用しております。
法人税等の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関する改正については、2022年改正会計基準第20-3項ただし書きに定める経過的な取扱い及び「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号 2022年10月28日。以下「2022年改正適用指針」という。)第65-2項(2)ただし書きに定める経過的な取扱いに従っております。なお、当該会計方針の変更による中間連結財務諸表への影響はありません。
また、連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の連結財務諸表における取扱いの見直しに関連する改正については、2022年改正適用指針を当中間連結会計期間の期首から適用しております。当該会計方針の変更は、遡及適用され、前中間連結会計期間及び前連結会計年度については遡及適用後の中間連結財務諸表及び連結財務諸表となっております。なお、当該会計方針の変更による前中間連結会計期間の中間連結財務諸表及び前連結会計年度の連結財務諸表への影響はありません。
1.保証債務
次の関係会社について、金融機関等からの借入に対し債務保証を行っております。
※2.債権流動化に伴う買戻し義務
3.偶発債務
(1) 非鉄スラグ
当社安中製錬所が過去に出荷した非鉄スラグ製品の一部において、土壌汚染対策法の土壌環境基準を超過した製品があること並びに当社の管理不足により不適切な使用・混入がなされた可能性のあることが、調査の結果判明いたしました。今後も、当該製品を回収、撤去するための費用負担が発生する可能性がありますが、現時点では中間連結財務諸表に与える影響額を合理的に見積もることは困難であります。
(2) 親会社完工保証
当社の持分法適用関連会社であったAbra Mining Pty Ltd.(以下、Abra)は2024年4月4日開催の同社取締役会において、豪州会社法に基づく任意管理手続(Voluntary Administration)開始を決議しました。Abraはアブラ鉱山開発資金として資源系金融機関であるTaurus Mining Finance Fund No.2 L.P.(以下、Taurus)と融資契約を締結しております。当該契約において、親会社完工保証として鉱山開発の完工日までの期間における融資残高と、同期間における契約当初に想定された金額から超過した資本的支出(以下、コストオーバーラン)に対する支払について、当社と親会社であるGalena Mining Ltd.は出資比率に応じて個別に保証しております。このうち、前者については前連結会計年度末において債務保証損失引当金5,008百万円を計上済みであります。一方、後者については今後費用負担が発生する可能性がありますが、現時点では中間連結財務諸表に与える影響額を合理的に見積もることは困難であります。
(追加情報)
2024年6月28日に当社とTaurus、Abraの3社間において上記融資契約に規定された債務の支払と義務免除に関する契約を締結しました。これにより、鉱山開発の完工日までの期間における融資残高に係る当社の債務保証相当額についてTaurusに対して2回に分けて支払うことで合意し、同日に第1回目として2,416百万円の支払を行い債務保証損失引当金の取崩等を行いました。また、同契約では、親会社完工保証の取扱いについて、以下のとおり合意しております。
① 第2回の支払は2024年11月29日までに行われ、当該支払まではTaurus及びAbraは親会社完工保証に基づく請求を当社に対して行わないこと
② 上記の支払を完了することにより、Taurusに対する親会社完工保証(コストオーバーランを含む)の義務は完全に消滅し、Taurusは当社に対していかなる請求も行わないこと
③ Abraに対するコストオーバーランの支払についての保証義務は残るものの、仮に今後同社から当該費用の支払請求が行われた場合においても、当社グループが既に実施している同社に対する貸付金及び資金繰り支援として行っていた精鉱の代金に係る前渡金を上限として相殺されること
なお、当社グループは、当該貸付金及び前渡金に関しては全額貸倒引当金3,708百万円を計上しております。
これらに伴い、前連結会計年度末において計上した債務保証損失引当金については、第1回支払後の残額を中間連結貸借対照表の流動負債「その他(未払金)」へ振替えており、当中間連結会計期間末において同契約に基づき流動負債「その他(未払金)」に計上した金額は2,819百万円であります。
4.貸出コミットメント契約
当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行10行と貸出コミットメント契約を締結しております。この契約に基づく当中間連結会計期間末の借入未実行残高は次のとおりであります。
上記の貸出コミットメント契約については、財務制限条項が付されており、下記の条項に抵触した場合、本契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。
・2024年9月に終了する中間期の末日における借入人の連結の貸借対照表における純資産の部の金額を、0円以上に維持すること。
なお、貸出コミットメント契約の更新については、中間連結財務諸表「注記事項(継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。
※ 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額は次のとおりであります。
※ 現金及び現金同等物の中間期末残高と中間連結貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係は下記のとおりであります。
Ⅰ 前中間連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
配当支払金額
Ⅱ 当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
配当支払金額
該当事項はありません。
【セグメント情報】
Ⅰ 前中間連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
(注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、防音建材、土木・建築・プラントエンジニアリング、運輸、環境分析等を含んでおります。
2.セグメント利益の調整額△186百万円には、セグメント間取引消去△1百万円、各報告セグメントに配分していない全社費用△185百万円が含まれております。全社費用は主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
3.セグメント利益又は損失は、中間連結損益計算書の経常損失と調整を行っております。
2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報
「資源」セグメントにおいて、豪州CBH社が運営しているラスプ鉱山の今後の中長期事業計画を慎重に検討した結果、次期主力となる鉱体開発の経済性は低く、同鉱体開発を前提とする同鉱山の中長期事業計画は事業性を見込めないとの結論に至り、2024年末までにラスプ鉱山を閉山することを意思決定しました。これに伴い、資源事業(ラスプ鉱山)に係る資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。当該減損損失の計上額は、当中間連結会計期間において19,562百万円であります。
Ⅱ 当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
(注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、防音建材、土木・建築・プラントエンジニアリング、運輸、環境分析等を含んでおります。
2.セグメント利益の調整額△459百万円には、セグメント間取引消去△15百万円、各報告セグメントに配分していない全社費用△443百万円が含まれております。全社費用は主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
3.セグメント利益は、中間連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。
事業分離
(連結子会社の譲渡)
当社は、2024年7月31日付で連結子会社である豪州CBH Resources Ltd.の100%子会社でありエンデバー鉱山操業子会社であるCobar Operations Pty Ltd.及びEndeavor Operations Pty Ltd.の全保有株式を譲渡いたしました。
Cobar Metals Pty Ltd.(豪州証券取引所の上場会社であるPolymetals Resources Ltd.の100%子会社)
当社の資源事業(エンデバー鉱山)
(3) 事業分離を行った主な理由
豪州エンデバー鉱山については、鉱山ポートフォリオの見直しの一環として2020年初から休山に移行しておりました。今回の譲渡により、当社は、現在差し入れている環境保証を譲渡後も引き続き2年間継続しますが、譲渡時点に差し入れている環境保証の金額が上限となり、本取引によって同鉱山の管理義務及び閉山時に当社自らが実質的に原状回復を行う義務自体から解放され、将来の追加負担の可能性を抑制することができることになります。また、2024年5月13日に公表しました現在策定中の事業再生計画とその業績改善施策に基づく、資源事業からの早期撤退方針に資するものであることから、本取引を実施いたしました。
なお、エンデバー鉱山は新しいパートナーの下で再開発が行われることになります。
(4) 事業分離日
2024年7月31日(みなし譲渡日:2024年7月1日)
(5) 法的形式を含むその他取引の概要に関する事項
受取対価を分離先企業の親会社であるPolymetals Resources Ltd.の株式とする株式譲渡(なお、本株式の受領によって同社は当社の関係会社には該当いたしません。)
関係会社株式売却益 1,973百万円
(2) 移転した事業に係る資産及び負債の適正な帳簿価額並びにその主な内訳
移転した資源事業に関する投資は清算されたものとみて、移転したことにより受け取った対価となる財の時価と、移転した事業に係る株主資本相当額との差額を移転損益として認識しております。
資源セグメント
(収益認識関係)
前中間連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、防音建材、土木・建築・プラントエンジニアリング、運輸、環境分析等を含んでおります。
2.その他の収益は、「金融商品に関する会計基準」に基づくデリバティブ取引により生じる収益等が含まれております。
当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、防音建材、土木・建築・プラントエンジニアリング、運輸、環境分析等を含んでおります。
2.その他の収益は、「金融商品に関する会計基準」に基づくデリバティブ取引により生じる収益等が含まれております。
1株当たり中間純利益又は1株当たり中間純損失及び算定上の基礎は、以下のとおりであります。
(注)1.前中間連結会計期間の潜在株式調整後1株当たり中間純利益については、1株当たり中間純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2.当中間連結会計期間の潜在株式調整後1株当たり中間純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
当社は、2024年9月24日に締結した貸出コミットメント契約(総額11,000百万円)が2024年10月28日に満期を迎えたことに伴い、契約期間を1ヵ月延長いたしました。
また、当社は、2024年4月23日に締結した当座貸越枠(総額5,000百万円)が2024年10月28日に満期を迎えたことに伴い、契約期間を1ヵ月延長いたしました。
2024年10月31日(取引成立日)
2.当該事象の内容
豪州ニューサウスウェールズ州にあるラスプ鉱山について、同鉱山権益等を保有する当社の連結子会社である豪州CBH Resources Ltd.(以下、CBH社)の100%子会社(Broken Hill Operations Pty Ltd.)の株式を譲渡する契約を、豪州Broken Hill Mines Pty Ltd.(以下、BHM社)と2024年7月に締結しましたが、2024年10月31日をもって契約発効となったことから、同日、株式譲渡取引が成立いたしました。
本取引の成立により、当社及びCBH社は、ラスプ鉱山に関するすべての権利及び義務をBHM社に譲渡することになり、同鉱山を自ら閉山する場合の原状回復義務に伴う将来の追加費用負担から解放されることになります。また、BHM社の運営の下で、ラスプ鉱山は新規鉱体の開発を進めるとともに既存の鉱山設備を活用して操業を継続していく計画としており、従業員の雇用も維持されることになります。
3.当該事象の連結損益に与える影響
当該事象にかかる損益は、2025年3月期の連結決算において計上されることとなりますが、連結損益に与える影響は軽微であります。