第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当社グループは「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」、「日本発の世界的なテクノロジー企業となり、日本とアジアに貢献する」という2つのPurpose(企業の存在意義)を実現するために、当社グループの長期的な高成長を目指しています。

当中間連結会計期間における日本経済は、雇用等の改善により景気には緩やかな回復の動きが見られた一方で、長期化したウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰、世界的な金融引き締め等を背景とした世界経済の減速懸念や物価高による内需の低迷など、経営環境の先行きは依然として不透明な状況が続いています。

当社グループを取り巻く事業環境については、「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(※1)によれば、インターネット広告媒体費は2024年も堅調に推移し、前年比108.4%の2兆9,124億円になると予想されており、社会のデジタル化を背景に今後も継続して拡大することが見込まれます。

また、当社グループが事業領域を拡大しているSaaS市場は、企業の働き方や業務プロセスなどのDX(※2)推進により、その活動領域を拡大しており、2027年度には2兆990億円(※3)に拡大すると見込まれています。特にOpenAI社が開発・公開した大規模言語モデルを用いた高度な対話型AIであるChatGPTの普及により、AI技術が様々な分野で注目を集め、AIを業務改善に活用している企業も増えてきており、この需要の高まりは今後も加速していくと考えております。

このような事業環境のもと、当社グループはマーケティング領域のDXを推進するテクノロジー・AI企業として、祖業である広告プラットフォーム事業で培った高い技術開発力及び経営ノウハウを活用し、マーケティングSaaS事業・AI事業及び新設したデジタルPR事業へ積極的に投資・開発を進めることで、マーケティング業界だけでなく、様々な業界や産業にサービスを提供し、お客様のさらなる事業拡大に貢献していきます。

今後も日本発のテクノロジー企業として、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて取り組んでまいります。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

なお、当中間連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しております。 詳細は、「第4 経理の状況 要約中間連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載のとおりです。

 

・広告プラットフォーム事業

広告プラットフォーム事業では、Webサイトやスマートフォンアプリ上において、各閲覧者に最適な広告を瞬時に選択し表示する技術(アドテクノロジー)を活用し、インターネットメディアや広告主の広告収益や効果を最大化するプラットフォームを提供しています。広告プラットフォーム事業は、下期に収益が拡大する傾向がありますが、当中間連結会計期間においても前年同中間期比で成長しており、特に祖業であるサプライサイドビジネスが業績を牽引しています。

この結果、同事業の売上収益は、2,277百万円(前年同中間期比15.0%増)となり、セグメント利益は1,078百万円(前年同中間期比11.3%増)となりました。

 

 

・デジタルPR事業

デジタルPR事業は、当中間連結会計期間に新設されたセグメントで、今年7月に連結子会社となったソーシャルワイヤー株式会社が運営するニュースワイヤー、インフルエンサーPR、クリッピング、リスクチェックの各事業を包括しています。ニュースワイヤーは、企業の情報発信を支援するプレスリリース配信代行サービスを提供し、「@Press」や「NEWSCAST」を展開しています。インフルエンサーPR事業では、広告代理店やクライアントからの依頼を受け、Instagramを中心としたSNSのインフルエンサーをキャスティングし、商品PRを実施する「Find Model」を提供しています。クリッピング事業は、メディアから顧客が必要な記事を精査し、選別・報告する「@クリッピング」を展開しています。リスクチェックは、WEBニュースや新聞記事を用いて取引先の反社勢力との関係性や不祥事情報を確認する「RISK EYES」を提供しています。これらのプロダクトは、当社グループのマーケティングバリューチェーンを強化し、総合的なワンプラットフォーム構造の確立を加速します

この結果、同事業の売上収益は、707百万円(前年同中間期比-%)となり、セグメント利益は202百万円(前年同中間期比-%)となりました。

 

・マーケティングSaaS事業

マーケティングSaaS事業では、「GENIEE Marketing Cloud」のプロダクトとして、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「GENIEE SFA/CRM」、マーケティングオートメーション「GENIEE MA」、チャット接客ツール「GENIEE CHAT」、サイト内検索「GENIEE SEARCH」、広告効果測定「CATS」などのサービスを展開しています。特に、SFA/CRMおよびCHATにおいてMRR(※4)がそれぞれ順調に増進しています。また、当社には多くのエンジニアが所属しており、高い開発力を強みとしています。そのため、受託開発による受注も売上収益に貢献しています。

この結果、同事業の売上収益は、1,723百万円(前年同中間期比35.0%増)となり、セグメント利益は151百万円(前年同中間期比37.6%増)となりました。

 

・海外事業

海外事業では、インターネットメディア向けの「GENIEE SSP」、広告主/広告代理店向けの「GENIEE DSP」及びインターネットメディアのディスプレイ広告収益の向上サービスを提供する完全子会社のZelto,Inc.(以下、Zelto)を展開しています。主要先進国における短期的なリセッションによる広告需要の減退に際し、当社事業とZelto事業の統合及び当社グループの海外事業展開を加速させるべく、PMI(※5)を当社主導で進め、業績拡大を図っています。また、当社グループ内でのプロダクトのクロスセルやサーバー入れ替えなどの原価削減施策を実施し収益性を高めています。

この結果、同事業の売上収益は、709百万円(前年同中間期比16.0%増)となり、セグメント利益は138百万円(前年同中間期比15.2%増)となりました。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上収益5,121百万円(前年同中間期比36.3%増)、営業利益は1,567百万円(前年同中間期比77.2%増)、税引前中間利益は1,498百万円(前年同中間期比115.8%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は1,339百万円(前年同中間期比110.5%増)となりました。

 

※1.株式会社 CARTA COMMUNICATIONS(CCI)/株式会社電通 /株式会社電通デジタル /株式会社セプテーニ

   ・ホールディングス調べ

※2.デジタルトランスフォーメーションの略称。

※3.出典元:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2023年版」

※4.Monthly Recurring Revenueの略称。

※5.ポスト・マージャー・インテグレーションの略称。

 

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間末における資産は、22,426百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,229百万円増加しました。主な要因は、現金及び現金同等物の増加407百万円、営業債権及びその他の債権の増加446百万円使用権資産の増加1,179百万円です。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における負債は、14,833百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,926百万円増加しました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の増加736百万円、借入金の増加1,160百万円、リース負債の増加1,221百万円、その他の金融負債(非流動)の減少618百万円です。

 

(資本)

当中間連結会計期間末における資本は、7,592百万円となり、前連結会計年度末に比べ302百万円増加しました。主な要因は、増資による資本金及び資本剰余金の増加4,000百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益の計上による利益剰余金の増加1,339百万円、自己株式の取得4,926百万円です。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、2,902百万円となり、前連結会計年度末から407百万円増加しました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,271百万円の収入(前年同中間期は151百万円の収入)となりました。主な要因は、税引前中間利益1,498百万円減価償却費及び償却費554百万円その他の収益1,105百万円、営業債務及びその他の債務の増加額840百万円、法人所得税の支払額又は還付額による減少額209百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、411百万円の支出(前年同中間期は295百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出169百万円無形資産の取得による支出482百万円連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入271百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、384百万円の支出(前年同中間期は457百万円の支出)となりました。主な要因は、株式の発行による収入3,919百万円長期借入れによる収入1,850百万円長期借入金の返済による支出937百万円自己株式の取得による支出4,945百万円です。

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

(第三者割当増資引受による連結子会社化)

当社は、2024年4月25日開催の取締役会において、ソーシャルワイヤー株式会社との間での資本業務提携及びソーシャルワイヤー株式会社が実施する第三者割当増資により発行される株式を引き受けることを決議し、2024年7月1日をもって同社は当社の連結子会社となり、また特定子会社に該当します。

詳細は、「第4 経理の状況 要約中間連結財務諸表注記 7.企業結合」に記載のとおりです。