当中間連結会計期間において、以下の事象を除き、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
重要事象等
当社グループは、前連結会計年度において7期連続で営業損失及び重要な減損損失を、10期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当中間連結会計期間においても重要な営業損失及び親会社株主に帰属する中間純損失を計上しております。
これらの状況により、当社グループは、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当該状況を解消するため、当社グループは、全社的な事業構造改革として、設備利用効率の改善、資産規模の適正化による生産性向上、及びサプライチェーンの見直し等によるコストの更なる削減に取り組んでおります。
なお、当該状況を解消するための対応策の詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項」の(継続企業の前提に関する事項)をご参照ください。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当中間連結会計期間は、ディスプレイ業界における厳しい競争環境が継続していることに加え、エネルギー費の高止まり、及び部材費・加工費の更なる上昇により、依然として困難な事業環境が続きました。一方、地政学的緊張感が高まる中、特に自動車産業においてリスク低減に向けたサプライチェーンや生産拠点の見直しが顕在化し、ディスプレイ業界にも影響を及ぼし始めました。
こうした状況のもと、当社グループは成長戦略「METAGROWTH 2026」に基づき、引き続き収益性の抜本的改善を目指した事業ポートフォリオの変革を推進しました。本成長戦略においては、「世界初、世界一」の独自技術をベースとした「6つの成長ドライバー」を定め、これら成長分野の強化に取り組みました。成長ドライバーの1つである次世代OLED「eLEAP」は、茂原工場にて2025年3月期下期から量産開始を予定としています。さらに、上述の地政学的リスク回避の動きに伴い、新規ビジネスの受注や引き合いを獲得いたしました。また、収益性改善の一環としては、ディスプレイの高性能化への対応が限定的であるa-Si技術を採用する鳥取工場での生産を、2025年3月までに終了することを決定しており、生産終了に向けて製品の作り溜めを行いました。
当中間連結会計期間の売上高は、車載分野が前年同期比で増加した一方、撤退に向けて戦略的に縮小を進める液晶スマートフォン分野と、VR用ディスプレイの需要減があったスマートウォッチ・VR等分野において減少し、全体では14.2%減の102,913百万円となりました。一方、利益面では、茂原工場における液晶パネル生産能力の縮減により製造固定費を削減したことに加え、不採算事業や製品からの撤退を進めたことにより、EBITDA(注)はマイナス13,446百万円(前中間連結会計期間はマイナス18,096百万円)、営業損失は15,481百万円(前中間連結会計期間は21,441百万円の損失)となり、前年同期比で改善いたしました。経常損失は、支払利息1,788百万円の計上等により17,331百万円(前中間連結会計期間は19,113百万円の損失)となりました。また、旧東浦工場の売却に伴う固定資産売却益1,736百万円の計上等により、親会社株主に帰属する中間純損失は16,821百万円(前中間連結会計期間は28,707百万円の損失)となりました。なお、当中間連結会計期間の対米ドルの平均為替レートは152.8円でした。
(注)EBITDAは、営業利益(損失)に営業費用である減価償却費及びのれん償却額を加算して算出しています。
アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。
(車載(コア事業))
計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイからなり、コア事業と位置付ける当分野の当中間連結会計期間売上高は、64,583百万円(前年同期比2.4%増)となりました。全売上高に占める割合は、前中間連結会計期間の52.6%から62.8%に上昇しました。
低採算品を含む販売終了や一部製品の需要減がありましたが、新製品の販売及び円安影響により前年同期比増収となりました。
(スマートウォッチ・VR等(コア事業))
スマートウォッチやVR機器等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイのほか、特許収入等を含み、コア事業と位置付ける当分野の当中間連結会計期間売上高は、30,526百万円(前年同期比23.9%減)となりました。全売上高に占める割合は、前年同期の33.4%から29.7%に低下しました。
スマートウォッチ用OLEDディスプレイの売上は前中間連結会計期間とほぼ同水準となりましたが、主にVR用液晶ディスプレイの需要減により、前年同期比減収となりました。
(液晶スマートフォン(ノンコア事業))
ノンコア事業と位置付ける当分野の当中間連結会計期間売上高は、7,804百万円(前年同期比53.3%減)となりました。全売上高に占める割合は、前年同期の13.9%から7.6%に低下しました。
エンジニアリングリソース等の経営資源をコア事業の次世代製品へ集中させるため、戦略的に当分野の縮小を進めていることから前年同期比減収となりました。
なお、当社は、中国安徽省蕪湖市においてeLEAP事業の立ち上げを目指して、2023年9月に蕪湖経済技術開発区との間で覚書(MOU)を締結し、2024年10月末までの最終契約締結に向けて協力して取り組んでまいりましたが、10月下旬までに契約締結に至らなかったため、10月23日に同MOUを延長しないことを発表いたしました。しかしながら、当社は、eLEAP事業の立ち上げに向けて検討を継続するとともに、eLEAPに対する顧客の旺盛なニーズに対応すべく、eLEAPのグローバルエコシステム構築に引き続き取り組んでまいります。
②資産、負債及び純資産の状況
当中間連結会計期間における資産合計は、前期末(2024年3月31日)比26,837百万円減少の197,152百万円となりました。これは、未収入金5,866百万円の減少、売掛金5,855百万円の減少、旧東浦工場の売却等による建物及び構築物5,326百万円の減少等によるものです。
負債合計は、前期末比8,486百万円減少し、129,841百万円となりました。これは主に、短期借入金10,500百万円の増加、買掛金10,981百万円、契約損失引当金3,235百万円の減少等によるものです。
純資産合計は、前期末比18,350百万円減少し、67,310百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純損失の計上による利益剰余金16,821百万円の減少によるものです。
上記の結果、自己資本比率は34.0%となり、前期末に比べて4.1ポイント減少しました。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は23,682百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,042百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、16,544百万円の支出(前中間連結会計期間は8,296百万円の支出)となりました。これは、主に税金等調整前中間純損失16,262百万円、仕入債務の減少による支出10,116百万円(前中間連結会計期間は3,095百万円の収入)があった一方、未収入金の減少による収入5,829百万円(前中間連結会計期間は3,762百万円の支出)及び売上債権の減少による収入4,919百万円(前中間連結会計期間は11,647百万円の収入)によるものです。前中間連結会計期間との比較では、主に仕入債務の減少により、支出の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,160百万円の収入(前中間連結会計期間は9,684百万円の支出)となりました。これは、主に固定資産の取得による支出3,218百万円の一方、旧東浦工場を含む固定資産の売却による収入5,939百万円があったこと等によるものです。前中間連結会計期間との比較では、固定資産の売却による収入の増加により、収入に転じました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、10,296百万円の収入(前中間連結会計期間は19,600百万円の収入)となりました。これは、短期借入による収入10,500百万円、リース債務の返済による支出203百万円によるものです。前中間連結会計期間との比較では、主に短期借入による収入の減少により、収入の減少となりました。
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は6,041百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(いちごトラストとのSHORT-TERM LOAN AGREEMENTの締結)
当社は、2024年5月13日開催の取締役会の決議に基づき、いちごトラストとの間で2024年7月30日付、同年8月29日付、同年9月27日付SHORT-TERM LOAN AGREEMENTを締結し、新規借入を実施しました。これによりいちごトラストからの借入残高は440億円となりました。借入の概要は下記のとおりです。
※2024年10月30日付でSHORT-TERM LOAN AGREEMENTを締結し、35億円の追加借入を実施しております。
(注1) 2024年10月22日付でAMENDMENT TO SHORT-TERM LOAN AGREEMENTを締結し、返済期限を2025年1月31日に変更いたしました。
(いちごトラストとのAMENDMENT TO SHORT-TERM LOAN AGREEMENTの締結)
当社は、2023年5月30日及び2023年11月10日開催の取締役会の決議に基づき、いちごトラストとの間で締結した①2023年5月30日付、②同年6月28日付、③同年7月28日付、④同年8月17日付、⑤同年10月30日付、⑥2024年1月30日付及び⑦同年2月28日付SHORT-TERM LOAN AGREEMENTに関し、いちごトラストとの間で借入金の返済期限変更について、③⑤⑥について2024年7月23日付、①④⑦について2024年8月26日付、及び②について2024年9月25日付AMENDMENT TO SHORT-TERM LOAN AGREEMENTを締結いたしました。AMENDMENT TO SHORT-TERM LOAN AGREEMENT締結後の借入の概要は下記のとおりです。
(注1) 2024年10月22日付でAMENDMENT TO SHORT-TERM LOAN AGREEMENTを締結し、返済期限を2025年1月31日に変更いたしました。
(HKC JAPAN 株式会社との製造委託契約の締結)
当社は2024年9月12日開催の取締役会の決議に基づき、2024年9月19日付でHKC JAPAN 株式会社との間で液晶ディスプレイの製造に関する製造委託契約及び製造委託に関する覚書を締結いたしました。
なお、当該製造委託の実行にあたっては、製造委託に関する計画への双方の合意を前提としており、現在HKC JAPAN 株式会社と協議中であります。