第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

  継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、前連結会計年度において2期連続で重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当中間連結会計期間においても重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する中間純損失を計上いたしました。また、当中間連結会計期間末において、手元資金と比べて短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の残高の水準が高いことから、当該借入金の返済が困難な状況にあります。

これらの状況により、当社グループは継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

このような状況に対し、当社グループでは、当該事象又は状況の解消に向けて、今後の事業方針として(A)高付加価値分野へのシフト、(B)技術力の更なる強化及び(C)価格改定による利幅の改善・製造コスト低減を掲げ、収益性の向上に取り組んでまいります。

(A)の高付加価値分野へのシフトについては、当社の技術優位性と品質・信頼性が活かせる高性能車載電池用銅箔や高速通信分野をターゲットにした高周波基板用銅箔に注力し、収益性の高い製品の販売比率向上を目指します。

(B)の技術力の更なる強化については、プロセス技術開発の推進を通じ、製品の更なる品質向上や生産効率改善によるコスト競争力確保に努めてまいります。また、並行して、今後の市場ニーズに適合する製品の開発も推進します。車載電池用銅箔においては、先進LIBや全固体電池等の次世代LIBの要求特性に適合した機械特性や表面処理に特徴を有する製品の開発及び市場投入、回路基板用銅箔においては、高速通信や高密度実装領域をターゲットとした製品の開発及び市場投入を継続的に進めます。

(C)の価格改定による利幅の改善・製造コスト低減については、適切なマージンを確保するべく、電力価格変動を販売価格に反映する範囲の拡大に継続して取り組むとともに、費用削減に加え、生産現場におけるDX・IoT化の効果刈り取りなどにより製造コスト低減を図ります。

更に、資金面では、前連結会計年度末において財務制限条項に抵触しておりますが、取引先金融機関から期限の利益等の喪失の権利行使をしないことについて同意を得ており、引き続き取引先金融機関と緊密な関係を維持し、継続的な支援をいただけるよう定期的に協議を行っております。また、取引先金融機関と債務の弁済に関する協議を継続しており、一時的な資金不足リスクに対応するために一部の金融機関との間でつなぎ融資契約を締結するなどの対応策の取組みを進めております。加えて、米国新工場のために保有していたLIB用銅箔製造設備等の資産について、主要株主であるテックス・テクノロジー株式会社(以下、「テックス社」)や技術支援契約締結先であるHindalco Industries Limited(以下、「Hindalco社」)との間で資産売却に向けた協議及び交渉を進めており、設備投資案件の厳選や抑制などの対応策の取組みも進めております。これらの対応策により、事業及び運転資金の安定的な確保と維持に努めて日本及び米国における事業の継続を図るとともに、財務体質の改善及び強化を図り、運転資本の充実のため、あらゆる資本政策の可能性についても検討しております。その取組みとして、2024年6月24日付でテックス社との間で資本業務提携契約を締結し、2024年7月10日に資本の払込(999百万円)を受けております。また、米国新工場建設を延期することとし、これに伴い2024年7月11日開催の当社の取締役会において米国新工場建設用地の返還を決定しております。そのうえで、2024年9月28日にHindalco社との間で技術支援契約を締結し、2024年10月11日に技術コンサルティング及び技術支援に伴う一時金(144百万円)を受け取っております。なお、同一時金の詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

しかしながら、現時点において、当社グループの対応策は実施途上にあり、中間連結決算日現在、対応策の多くが実現に至っておらず、依然として取組みを進めている状況にあります。今後の事業進捗や追加的な資金調達の状況、取引先金融機関との協議の状況、設備等の売却の状況、借入金の弁済や債務の支払の状況、日本及び米国における製造及び販売の状況等によっては、当社グループの資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 業績の状況

当中間連結会計期間における世界経済は、高インフレの落ち着きなどを背景に、底堅い成長を維持していますが、米国大統領選挙結果の政策運営に与える影響、ウクライナ戦争や中東情勢の緊迫化によるリスクの増大など、先行きは不透明となっております。

我が国経済においては、自動車の品質不正問題の影響が一巡し、賃上げの広がりや6月以降の定額減税による個人消費の増加、好調な企業業績と景況感を踏まえた底堅い設備投資などにより、景気は緩やかに持ち直しました。

リチウムイオン二次電池(LIB)分野においては、車載用LIBに関連する各国の政府補助金などの一部見直し、初期需要の一巡などが影響し、失速感があるものの、HEVは再評価されておりグローバルでの販売台数は好調です。回路基板分野においては、スマートフォンの販売台数は伸びがやや鈍化しているものの、AIサーバ市場は成長を続けております。

このような経営環境のなか、当社グループの車載電池用分野では、HEV向けが好調に推移する中、北米でのBEV市場低迷の影響で国内電池メーカー向け販売のうち輸出案件が伸び悩みました。一方で海外新規顧客向けLIB用銅箔の量産を開始しております。これにより売上高は6,675百万円となりました(前年同期比3.0%増)。回路基板用分野では、成熟製品市場における海外銅箔メーカーとの価格競争激化により売上高は2,135百万円(前年同期比1.7%増)に留まりました。

利益面におきましては、主に販売数量減や銅価格急騰の中「銅価スライド制」による一時的な損益悪化により、売上総利益以下の各段階利益は赤字となりました。また、これらの要因に加え、米国子会社へのグループ内貸付金に対する評価替えによる為替差損により経常損失が、米国新工場関連の減損損失や同工場建設延期により転活用の見込みがない一部の設備発注をキャンセルしたこと等に伴う臨時損失により親会社株主に帰属する中間純損失が拡大いたしました。

これらの結果、当中間連結会計期間における生産数量は全品種合計で4,006㌧(前年同期比8.6%減)、売上高は8,811百万円(前年同期比2.7%増)、営業損失は1,051百万円(前年同期は営業損失545百万円)、経常損失は1,465百万円(前年同期は経常損失147百万円)、親会社株主に帰属する中間純損失は5,091百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失402百万円)となりました。

 

※ 当社では、主要顧客との間で、銅の相場価格を基準として販売価格を決定する「銅価スライド制」を採用しております。銅価格が変動してから販売価格に反映するまでにタイムラグは生じるものの、基本的に販売価格に反映が可能です。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)
  当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて4,592百万円19.2%)減少し、19,316百万円となりました。流動資産は主に現金及び預金の減少1,718百万円、売掛金の減少121百万円、製品の減少24百万円、仕掛品の増加132百万円、原材料及び貯蔵品の増加244百万円により1,522百万円(17.7%)減少し、7,058百万円となりました。固定資産は主に機械装置及び運搬具の減少480百万円、建設仮勘定の減少2,476百万円により3,069百万円20.0%)減少し、12,257百万円となりました。

 

 (負債)
  当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて402百万円2.3%)減少し、16,780百万円となりました。流動負債は主に買掛金減少435百万円短期借入金増加800百万円1年内返済予定の長期借入金増加305百万円未払法人税等減少4百万円により441百万円(3.7%)増加し、12,326百万円となりました。固定負債は主に長期借入金減少833百万円により843百万円15.9%)減少し、4,454百万円となりました。

 

(純資産)
  当中間連結会計期間末の純資産は、第三者割当による新株式発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ499百万円増加、親会社株主に帰属する中間純損失5,091百万円為替換算調整勘定の減少9百万円、退職給付に係る調整累計額の減少88百万円により前連結会計年度末に比べて4,189百万円62.3%)減少し、2,535百万円となりました。 

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の28.1%から13.1%へと15.0ポイント下降いたしました。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,718百万円減少1,657百万円となりました。当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において営業活動の結果減少した資金は、1,416百万円となりました(前年同期は10百万円の増加)。これは主に税金等調整前中間純損失5,088百万円減価償却費593百万円、減損損失2,845百万円、臨時損失775百万円、売上債権の減少103百万円、仕入債務の減少423百万円、為替差損236百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において投資活動の結果減少した資金は、1,271百万円となりました(前年同期は1,503百万円の減少)。これは主に有形固定資産の取得による支出1,271百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において財務活動の結果増加した資金は、957百万円となりました(前年同期は189百万円の減少。これは主に短期借入金の増加額882百万円長期借入金の返済による支出333百万円株式の発行による収入985百万円通貨スワップ満了による支出557百万円によるものであります。

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等
  当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(7) 研究開発活動
 当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は93百万円であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携契約)

契約会社名

相手方の名称

相手先の

所在地

契約締結日

契約内容

日本電解

株式会社

テックス・テクノロジー株式会社

日本

2024年6月24日

① 第三者割当増資

② テックス・テクノロジー株式会社の銅箔製造設備の販路の拡大及び当社の銅箔製造販売事業の強化

 

 

(技術支援契約)

当社は、インドで銅カソード及び銅の棒線材料の製造事業等を行うHindalco Industries Limitedとの間で、2024年9月28日に技術支援契約を締結いたしました。

なお、詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。