当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
当中間会計期間における菓子・食品業界は、個人消費の改善とインバウンド需要の持ち直しによって、景気は緩やかな回復基調が続きました。一方で、コストの上昇により企業活動は引き続き厳しい状況となりました。
このような環境のもと、「手間ひまをいとわないおいしさのつくりこみ」と「あたらしい食の喜びと感動」を当社ならではの価値として軸に据え、2027年までの「中期経営計画-中村屋2027ビジョン-」で掲げる、量産品にも関わらずレストランや専門店で味わえるような高い品質の「食」を届けることに取り組みました。
具体的には、高い技術と豊富な経験をもつ従業員を「マイスター」として任命し、技術の継承・人材の育成に注力するとともに商品開発のスピードを上げる体制を整えました。
その上で、春や夏でも中華まんを食する機会を普及させるべく新商品を発売したほか、付加価値の高い菓子・レトルト商品の拡販によって市場創造にチャレンジしました。また、菓子のギフト市場の変化に対応し、主力商品のカジュアル化を進めてまいりました。さらに、新宿中村屋ビル開業10周年を記念した商品の開発・販売を通して、中村屋ブランドの発信にも取り組みました。一方、増加するコストへの対策として、商品の絞り込みや規格の見直しを図るとともに、一部商品について価格改定を実施しました。
以上のような営業活動の結果、当中間会計期間の売上高は、12,716,937千円 前年同期に対し2,203千円の増収となりました。
利益面では、効率化の推進とコスト削減を積極的に行ったことで、営業損失は1,856,813千円 前年同期に対し398,895千円の改善、経常損失は1,772,382千円 前年同期に対し407,921千円の改善、中間純損失は1,223,224千円 前年同期に対し360,891千円の改善となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
菓子類では、手軽に利用できるギフト商品の強化に向けてパッケージの見直しを行い、見映えと上質感を向上させました。同時に、「月の菓」をはじめとする主力商品の品質改良を行いました。また、焼菓子「月のしらべ」「あんバタパイ」を新発売し、品揃えを充実させました。夏のデザート類においても、主力の詰合せに加え、手頃な「夏いろか」を新発売することで、多様なギフト需要への対応を図りました。
日常使いのデイリー菓子類では、「ご褒美喫茶」シリーズの品質・パッケージの改良を行い、商品力を強化しました。また、テレビ番組に取り上げられ話題となった「逸品どら焼」に続く、「逸品カステラ」を新たに発売することで、素材や製法にこだわった付加価値の高い商品を充実させるほか、和菓子類の拡販に努めました。
中華まん類では、量販店販路において、電子レンジでそのまま温められる個包装タイプの「肉まん」「あんまん」などを積極的に訴求し、年間を通じた販売を目指しました。また、著名な料理家との共同開発で生まれた「担々肉まん」を期間限定で発売し、春夏期の需要喚起を図りました。コンビニエンスストア販路では、基本商品である「肉まん」「ピザまん」「ごまあんまん」「大入り豚まん」を改良発売しました。
新宿中村屋ビル地下1階「スイーツ&デリカBonna」では、「新宿カリーあられ」など定番商品が好調に推移しました。また、6月12日の「恋と革命のインドカリーの日」にあわせて、当社のスパイス技術と洋菓子を融合させた缶入りクッキーを新発売しました。
店舗展開では、キャラメルスイーツ専門店「CARAMEL MONDAY」において、季節限定商品を発売するとともに、羽田空港や高速道路サービスエリア、商業施設での催事出店を継続的に実施することで、土産需要への対応に取り組みました。
以上のような営業活動を行った結果、菓子事業全体の売上高は7,546,365千円、前年同期に対し247,128千円、3.2%の減収となったものの、営業損失は1,233,940千円、前年同期に対し196,071千円の改善となりました。
市販食品では、簡便さとともにおいしさに重点を置く消費者のニーズにあわせ、主要レトルト商品の品質向上を図り、売上拡大を目指しました。レトルトカレーでは、「インドカリー」シリーズの「バターチキン」を全面リニューアルし、拡販に取り組みました。また、本年2月に発売した「THE濃厚」シリーズは好調に推移し、関西エリアを中心に配荷を拡大しました。そのほか、「恋と革命のインドカリーの日」にあわせて「極める インドカリー」をスポット販売し、ブランド認知度の向上を図りました。中華レトルトでは、堅調な伸びを示している本格志向のレトルト麻婆豆腐市場において、シェアの獲得に向けて「本格四川」シリーズの「極み麻婆豆腐」を刷新しました。
業務用食品では、レストランで培った調理技術や手作り感を強みとして開発に取り組み、外食販路とあわせて中食・内食販路に向けた提案を強化しました。この結果、コンビニエンスストアチェーンへの弁当用カレーソースや、会員制倉庫型店舗へのスープなどの新商品が採用され、増収に貢献しました。また、PBレトルトカレー商品やミールキット用のソースなどの開発・提案を強化し、有望な新販路の開拓に努めました。
直営レストランでは、新宿中村屋ビル「カジュアルダイニングGranna」「レストラン&カフェManna」において、開業10周年を記念して調理技術を集結したオリジナルカリーを期間限定で販売し、スパイスを使ったインドの食文化をお楽しみいただくとともに、日頃のご愛顧への感謝を伝えました。「オリーブハウス」では春夏の時季にあわせたメニューを開発し、積極的な販売活動とお客様の満足度向上に努めることで、集客力を高めていきました。
以上のような営業活動を行った結果、食品事業全体の売上高は4,703,747千円、前年同期に対し125,781千円、2.7%の増収、営業利益は326,107千円、前年同期に対し77,828千円の増益となりました。
不動産賃貸事業では、商業ビル「新宿中村屋ビル」において快適で賑わいのある商業空間の提供に努め、満室稼働を維持しました。
また、武蔵工場(埼玉県入間市)の敷地の一部や、再開発に伴う旧東京事業所(東京都渋谷区)跡地から地代収入を得ることで、保有する土地を有効に活用しました。
以上のような営業活動を行った結果、売上高は466,826千円、前年同期に対し123,550千円、36.0%の増収、営業利益は242,622千円、前年同期に対し95,038千円の増益となりました。
当中間会計期間末における総資産は、売掛金の減少819,335千円、建物の減少234,440千円等がありましたが、商品及び製品の増加987,229千円、原材料及び貯蔵品の増加606,969千円等により、前事業年度末に比べ609,255千円増加し、44,126,783千円となりました。
負債は、繰延税金負債の減少622,215千円、退職給付引当金の減少348,304千円、賞与引当金の減少290,951千円等がありましたが、長期前受収益の増加3,317,047千円、短期借入金の増加400,000千円等により、前事業年度末に比べ2,328,844千円増加し、19,240,655千円となりました。
純資産は、中間純損失1,223,224千円等による利益剰余金の減少等により、前事業年度末に比べ1,719,590千円減少し、24,886,128千円となりました。
当中間会計期間末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ、35,689千円増加し、1,172,203千円となりました。
区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当中間会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、587,492千円の収入(前年同期は46,224千円の収入)となりました。これは主に、税引前中間純損失△1,779,800千円、棚卸資産の増加額△1,586,275千円等があったものの、長期前受収益の増加額3,317,047千円、減価償却費740,011千円等があったことによるものです。
当中間会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、559,802千円の支出(前年同期は407,228千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出△457,002千円等があったことによるものです。
当中間会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、8,016千円の収入(前年同期は646,171千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払額△346,401千円等があったものの、短期借入金の増加額400,000千円等があったことによるものです。
当中間会計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
当中間会計期間の研究開発費の総額は315,073千円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。