第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動等、または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当社グループは、前連結会計年度より従来の日本基準に替えてIFRS会計基準を適用しており、前中間連結会計期間の数値もIFRS会計基準に組み替えて比較分析を行っております。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しに足踏みが見られるものの、雇用・所得環境が改善する中で緩やかに回復しております。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東地域を巡る情勢などの影響などに対しても注視していく必要があります。

このような状況の中、主要需要先である自動車関連の特殊鋼受注は、中国などにおける販売不振および認証不正問題による自動車の生産減少の影響により前年同期比で減少しました。産業機械関連の特殊鋼受注は、回復に一部足踏みの動きも見られますが、ステンレス鋼の受注に関しては前年同期比で増加しました。半導体関連需要は、持ち直しの動きも見られるものの、本格的な回復局面のタイミングは来期以降と考えており、その動向を引き続き注視してまいります。なお、自由鍛造品については、航空機産業や重電での需要が堅調であることに加えて、掘削関連の製造認定拡大に伴い、受注が大幅に増加しました。

主要原材料である鉄屑価格は、価格水準としては高位であるものの第2四半期以降は弱含んでおります。また、ニッケル価格は、一時的に供給懸念により上昇しましたが、その後、弱含んで推移しております。原油・LNG市況は引き続き高値で推移したことにより、電力などのエネルギーコストも高位で推移しました。全般的に原燃料価格は高位であり、徹底したコスト削減および販売価格への反映に継続して取り組み、適正マージン確保に努めております。

なお、当中間連結会計期間において、清算手続き中の中国磁石子会社で発生した20億88百万円の追加費用を営業利益に含めて計上しております。

この結果、当中間連結会計期間の連結経営成績は、売上収益は前年同期比37億96百万円減収の2,834億39百万円、営業利益は前年同期比5億63百万円増益の182億58百万円、税引前中間利益は前年同期比6億34百万円増益の196億8百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比3億94百万円増益の121億52百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

特殊鋼鋼材

構造用鋼においては、中国における日系自動車販売不振および認証不正問題の影響で需要が減少したことにより前年同期比で数量が減少しました。また、工具鋼に関しては、中国など東アジアにおける需要低迷が継続したこと、国内においても需要回復が遅れていることにより、前年同期比で数量は減少しました。

この結果、当中間連結会計期間における特殊鋼鋼材の売上収益は、売上数量が減少したことにより前年同期比2.9%減少の1,054億78百万円、営業利益は、前年同期比1億40百万円減益の61億12百万円となりました。

 

機能材料・磁性材料

ステンレス鋼においては、産業機械関連の需要回復に一部足踏みの動きがみられるものの、データセンター用のHDD(ハードディスクドライブ)需要の増加などにより、前年同期比で数量は増加しました。高合金は電機・電子関連向け需要が回復しており、数量が増加しました。磁石製品は、産業機械関連向け需要などの減少により、売上収益は前年同期比で減少しました。チタン製品においては、医療関連など足元で一部在庫調整はあるものの円安の影響もあり、売上収益は前年同期比で増加しました。

この結果、当中間連結会計期間における機能材料・磁性材料の売上収益は、ステンレス鋼を中心に売上数量が増加したものの、ニッケル市況が前年対比で下落したことにより、前年同期比2.2%減少の1,001億16百万円となりました。営業利益は、清算手続き中の中国磁石子会社において20億88百万円の追加費用を計上したことにより、前年同期比93百万円増益の50億81百万円となりました。

 

自動車部品・産業機械部品

エンジンバルブ部品は北米などにおける需要の増加を受け、売上収益は増加しました。精密鋳造品はターボ関連製品の需要が増加しました。型鍛造品はトラック需要の減少などにより、前年同期比で数量は減少しました。一方、自由鍛造品は、航空機需要、重電で堅調に推移していることに加え、掘削関連の製造認定拡大により受注が大幅に増加したことで、売上収益は前年同期比で増加しました。

この結果、当中間連結会計期間における自動車部品・産業機械部品の売上収益は、自由鍛造品の売上収益増加により前年同期比5.2%増加の537億34百万円、営業利益は前年同期比16億19百万円増益の48億29百万円となりました。

 

エンジニアリング

自動車向け熱処理設備の工事進捗差などにより、当中間連結会計期間におけるエンジニアリングの売上収益は前年同期比3.8%減少の105億87百万円、営業利益は前年同期比1億89百万円減益の8億9百万円となりました。

 

流通・サービス

当中間連結会計期間における流通・サービスの売上収益は前年同期比4.6%減少の135億22百万円、営業利益は前年同期比7億96百万円減益の14億28百万円となりました。

 

当社グループの当中間連結会計期間末の総資産は、前期末に比べ53億17百万円増加し7,940億51百万円となりました。総資産の増加の主な内訳は、棚卸資産の増加141億93百万円、現金及び現金同等物の増加132億55百万円であり、減少の主な内訳は、営業債権及びその他の債権の減少235億32百万円であります。

総資産の増減の主な要因は、下記のとおりであります。

・棚卸資産は、主として販売先の在庫調整の影響を受け増加しております。

・現金及び現金同等物の増加、営業債権及びその他の債権の減少は、主として前連結会計年度において期末日が金融機関の休日であった影響によります。

また、当社グループの当中間連結会計期間末の非支配持分を含めた資本は、前期末に比べ49億27百万円増加し4,622億40百万円となりました。資本の増加の主な内訳と要因は、親会社の所有者に帰属する中間利益121億52百万円の計上等による利益剰余金の増加66億18百万円であります。

この結果、当中間連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は53.3%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ132億55百万円増加し、592億64百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、201億89百万円(前年同期は130億96百万円の資金の増加)となりました。増加の主な内訳は、税引前中間利益196億8百万円、営業債権及びその他の債権の減少234億円であり、減少の主な内訳は、法人所得税の支払額152億78百万円、棚卸資産の増加142億62百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、209億30百万円(前年同期は149億58百万円の資金の減少)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産、無形資産及び投資不動産の取得による支出202億21百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、144億84百万円(前年同期は140億86百万円の資金の減少)となりました。収入の主な内訳は、短期借入金の増加229億2百万円、コマーシャル・ペーパーの増加110億円であり、支出の主な内訳は、借入金の返済による支出218億82百万円であります。

 

当社グループでは、原材料およびエネルギー価格の高位継続や高付加価値品の拡大により運転資金が高止まりしていることから、原燃料コストに応じた販売価格の改定を進めるとともに、生産リードタイム短縮による棚卸資産の削減や原価低減活動、固定費等の圧縮を推し進め、安定的なキャッシュ・フローを創出するよう事業活動を続けてまいります。設備投資資金は長期借入金や社債により、運転資金は短期借入金により安定的に調達することを基本方針としております。また、手元流動性の適正レベルは時々の環境を考慮し、弾力的に運営してまいります。

 

(3) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は32億23百万円であります。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。