当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を受け個人消費、また、好調な企業収益などを背景とした設備投資を起点に緩やかに回復いたしました。しかしながら、一方で、物価上昇による消費マインドの低下や円安、一部の業種におけるコスト増加による企業業績の悪化、中国経済の減速など、景気下振れ要因が多く見られます。収束を見通せないウクライナ情勢や中東情勢は景気の先行きに関する不透明感を濃くしております。
水産業界におきましては、地球的規模で地上からの供給に代わるタンパク質の供給源として、また、国内外において拡がる健康志向などから、養殖業を含む水産業、また、水産物に対する注目度は高まっております。しかしながら、海外で高まる水産物需要・わが国では地球温暖化が原因とも言われる不漁による魚価高騰、物流をはじめとする諸コスト増大など、当社を取り巻く経営環境はたいへん厳しい状況にあります。更に、2023年8月末より開始された東京電力福島第一原子力発電所処理水放出を発端とする、中国による日本産水産物禁輸措置長期化の影響が懸念されます。
このような経営環境の中、当社グループにおきましては、新たに策定した中期経営計画(2024-2026年度)の下、国内事業の着実な成長と海外事業の拡大をめざし、仕入、販売、海外、人財、財務、地球環境といった分野における基本戦略に取り組んでまいりました。
このような中、当中間連結会計期間における全店売上高が前年を上回りましたが、これは消費者の消費マインド、購買力が相応に高まったことを踏まえ、商品調達をはじめ諸コストの上昇を適切に売価に反映したこと、前年度出退店同数ながら、経営資源を効率的に活用できる最適な店舗ポートフォリオ(筋肉体質の店舗網)の構築を念頭に戦略的に出退店を行った効果が現れたものと考えております。
この間、小売事業で1店舗を出店し、当中間連結会計期間末の営業店舗数は93店舗となりました。
この結果、当社グループの当中間連結会計期間の売上高は170億98百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は5億54百万円(前年同期比21.0%増)、経常利益は9億76百万円(前年同期比27.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は6億59百万円(前年同期比22.5%増)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
①小売事業
小売事業では、新たなバイイングパワーの構築に力を注ぎ、魚種の豊富さや旬を意識した仕入れを行い、鮮魚専門店ならではのにぎわいのある売り場作りを実施いたしました。また、商品に付加価値をつけ差別化を図るとともに、特に生ネタ寿司の販売を強化いたしました。一方で、仕入・物流コストの増加に加え賃上げによる人件費の増加に対応するため、店舗ごとの新たな繁閑状況に応じた人員配置の下、作業オペレーションの統一化など運営の一 層の効率化、資材の絞り込みなど徹底したコスト削減に取り組むと共に、適正な売価の検討を行いました。また、いわゆる2024年問題に対応するため、配送ルートの組み換えや積載効率の向上による減車など配送コストの削減に取り組みました。
新店は、2024年7月に埼玉県道54号線沿いの「ロヂャース八潮店」内に「魚力市場八潮店」(埼玉県八潮市)を開店しております。
この結果、売上高は146億20百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は6億91百万円(前年同期比34.5%増)となりました。
②飲食事業
飲食事業では、社会活動・経済活動の正常化やインバウンド需要の高まりなどによる来店客数の増加が後押しとなり、売上高が前年度に比べ増加いたしました。また、2022年3月期より、各店について店舗運営を担当する店舗管理者とメニュー・調理を担当するシェフとの役割分担を明確化するなど店舗オペレーションの見直しや物流の合理化を含む構造改革に取り組んでおりますところ、一定の効果を上げております。これにより、粗利益額が増加し、人件費をはじめとする店舗運営コストを吸収することができました。
この結果、売上高は7億52百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益は5百万円(前年同期は営業損失9百万円)となりました。
③卸売事業
卸売事業では、子会社の魚力商事株式会社が、米国において既存取引先への販売、また、アジアにおいて新規取引先の開拓に取り組んでおりますところ、2023年5月に設立した合弁会社のCP-Uoriki Co.,Ltd.が、2024年9月までにバンコク市内を中心にタイ国内の大型ショッピングモールなどに鮮魚と寿司の小売店舗を15店舗オープンしたことから、これら店舗向けの輸出を伸ばしております。一方で、中国向けの販売は日本産水産物の禁輸措置の継続により回復せず、海外向け販売全体での売上高は前年に比べ減少いたしました。国内では飲食店舗向けの売上を伸ばしております。また、人件費や仕入・出荷に付帯する費用など販管費は増加いたしました。
この結果、売上高は16億90百万円(前年同期比11.8%減)、営業利益は9百万円(前年同期比87.0%減)となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は118億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億93百万円減少いたしました。これは主に売掛金が7億7百万円、現金及び預金が3億93百万円減少したことによるものであります。固定資産は89億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億11百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が4億99百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は208億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億82百万円減少いたしました。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は32億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億67百万円減少いたしました。これは主にその他に含まれる未払金が1億74百万円、未払法人税等が1億57百万円減少したことによるものであります。固定負債は3億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ5百万円減少いたしました。これは主に退職給付に係る負債が3百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は35億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億72百万円減少いたしました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は172億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ9百万円減少いたしました。これは主に利益剰余金が2億68百万円増加したものの、その他有価証券評価差額金が2億88百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は82.8%(前連結会計年度末は80.6%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、86億96百万円となり、前連結会計年度末と比較して3億93百万円の減少となりました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、6億96百万円の収入(前年同期は6億86百万円の収入)となりました。主なプラス要因は、税金等調整前中間純利益9億61百万円であり、主なマイナス要因は、投資有価証券売却益2億56百万円であります。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、6億94百万円の支出(前年同期は7億67百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、投資有価証券の売却による収入17億74百万円であり、主なマイナス要因は、投資有価証券の取得による支出24億32百万円であります。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、3億90百万円の支出(前年同期は3億34百万円の支出)となりました。主な要因は、配当金の支払額3億90百万円であります。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
該当事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社では鮮魚等の小売事業が売上高、営業利益において重要な部分を占めておりますが、各店舗への集客が経営成績に重要な影響を与えます。供給量の減少、代替品(肉類)へのシフト、嗜好の変化などによる魚食の減少、魚資源の枯渇化の進行、海外における魚食普及やわが国における地球温暖化が原因とも言われる不漁による魚価の高騰、物流をはじめとする諸コストの増大など、経営環境は厳しさを増しております。このような中、食品スーパー、コンビニエンスストア、ネット販売など異業態を含む競争に打ち勝つため、これまで以上に、鮮魚専門店ならではのノウハウや知見を活かし、「旬の生」商品の強化など顧客のニーズに対応した商品開発や品揃えに注力し活気ある売り場を提供するとともに、サービスレベルの向上を図ることが重要であります。また、売上原価の削減も重要な課題でありますが、当社は豊洲市場を拠点にチルド物流及び冷凍物流を一本化しており、当連結会計年度においてもルートを組み換え減車し配送コストを削減するなど努力を継続しております。このようなバイイングパワーに裏打ちされた仕入力、効率的な物流力がこの課題に対応するための力となっております。他方、パート・アルバイト社員はじめ人手不足の深刻化から際限なく出店を行える環境ではないため、出店先との交渉、既存店舗からの退店を含め、限られた経営資源を効率的に活用できる最適な店舗ポートフォリオ(筋肉体質の店舗網)の構築が重要であります。前年度において出退店同数ながら、経営資源を効率的に活用できる最適な店舗ポートフォリオの構築を念頭に戦略的に出退店を行ったことが、利益の底上げにつながっており、本年度も継続して取り組んでまいります。また、長年に亘り培ってきた各メーカーや生産者、豊洲市場の卸売業者、配送業者との強いリレーションを活かしサプライチェーンの維持、商品の調達に万全を期してまいります。そのうえで、バイイングパワー・情報力を活かした有利な仕入条件の獲得、物流体制の見直しをはじめ原価低減のための努力を行ってまいります。
(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金需要)
当社グループの運転資金需要の主なものは、当社グループ販売商品の購入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。
営業費用の主なものは、人件費、店舗賃借料及び店舗運営に関わる費用(テナント経費・水道光熱費・販売促進費等)であります。
設備資金需要のうち主なものは、小売事業、飲食事業の新規店舗・改装店舗に関わる店舗内装・空調・衛生厨房設備等の販売拠点の拡充・整備によるものと、全社的なIT活用推進を図るための、本社・店舗間のネットワーク構築やセキュリティ対策等のシステム投資であります。
(財務政策)
当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金でまかなう事を基本方針としております。
従いまして、無借金経営政策を継続しておりますが、借入枠につきましては、金融機関2行との間に合計6億円の当座貸越契約を締結し、不測の事態に備えております。
当社グループは、健全な財務状態を継続しつつ、営業活動により得られるキャッシュ・フローから、成長を維持するための将来必要な資金を調達することが可能と考えております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。