第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

 

2024年3月
中間期
(千円)

2025年3月
中間期
(千円)

増減率
(%)

売上高

18,669,500

19,906,168

6.6

営業利益

729,987

825,782

13.1

経常利益

792,304

809,327

2.1

親会社株主に帰属する中間純利益

又は中間純損失(△)

△436,669

455,095

 

 

当社のDHグループ事業を取り巻くエンターテインメントコンテンツ関連市場では、ゲームの海外同時展開の加速を背景に翻訳やマーケティングに関する需要が増加するとともに、動画・漫画アプリといったコンテンツの多様化に伴う新たなビジネスチャンスが拡大しています。一方、当社のAGESTグループ事業を取り巻くデジタル関連市場では、慢性的なIT人材不足により引き続きテスト工程のアウトソース需要が拡大するとともに、アジャイル開発の普及拡大等を背景に、開発の上流工程における品質向上やAIをはじめとする先端技術活用による効率化・精度向上への対応が求められています。

このような状況のもと当社では、DHグループ事業の目指す姿として“エンターテインメント業界のグローバル・クオリティ・パートナー”を、AGESTグループ事業の目指す姿として“先端品質技術を追求したグローバルNo.1のQAカンパニー”を掲げ、積極的に新たな挑戦を進めております。その一環として当社では、2023年5月にAGESTグループ事業の中核子会社である株式会社AGEST(以下、「AGEST」)の株式分配型スピンオフ及び上場(以下、「スピンオフ上場」)の準備開始について決議いたしました。これを受け、当期よりスピンオフ上場に向けた新たなマネジメント体制へと移行し、両事業それぞれの専門性や成長戦略に特化した事業運営を行うとともに、2025年内のスピンオフ上場を目指した準備を着実に進めております。

当中間連結会計期間は、DHグループ事業において、前期から取り組みを強化していた欧米言語をはじめとする翻訳・LQAの新規案件や、マーケティング支援の大型案件を獲得したことにより、成長ドライバーと位置付けるグローバル及びその他のサービスで2桁増収を達成いたしました。また、AGESTグループ事業においても、好況な事業環境を追い風に、単なるテストの代行だけではなく技術に特化した付加価値の高いQAソリューションの提供に努めることで、確実に新規案件を獲得いたしました。

以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は両事業とも堅調に推移し19,906,168千円(前年同期比6.6%増)、営業利益は825,782千円(前年同期比13.1%増)、経常利益は809,327千円(前年同期比2.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は455,095千円(前年同期は、親会社株主に帰属する中間純損失436,669千円)と増収増益を達成いたしました。

 

セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

なお、当中間連結会計期間の期首より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当中間連結会計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

2024年3月
中間期
(千円)

2025年3月
中間期
(千円)

増減率
(%)

売上高

18,669,500

19,906,168

6.6

DHグループ事業

11,379,860

12,170,799

7.0

AGESTグループ事業

7,639,723

7,925,835

3.7

調整額

△350,083

△190,466

営業利益又は営業損失(△)

729,987

825,782

13.1

DHグループ事業

748,467

832,294

11.2

AGESTグループ事業

△18,480

△6,512

 

なお、各セグメントの売上高については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しており、セグメント利益又は損失は営業利益又は営業損失(△)としております。

 

a DHグループ事業

当セグメントでは、主に、コンソールゲームやモバイルゲーム等の不具合を検出する国内デバッグサービスのほか、ゲームの翻訳・LQA(Linguistic Quality Assurance)、マーケティング支援、ゲーム開発支援、フリーランスエンジニアを活用したエンジニア派遣等を行うグローバル及びその他のサービスを提供しております。

当中間連結会計期間の国内デバッグサービスでは、新規タイトル開発を活発に行っているクライアントに経営リソースを集中させるなどの戦略的な営業活動に注力するとともに、引き続き当社独自の品質メソッドであるDHQ(Digital Hearts Quality)を推進しサービスの付加価値向上を図ることで、高いシェアの維持・拡大に努めてまいりました。一方、グローバル及びその他のサービスでは、国内及び海外のグループ会社間やアライアンスパートナーとの連携を強化することで、翻訳・LQA、マーケティング支援、音声収録等、タイトルのグローバル展開に必要なサービスをワンストップで提供できる体制の構築に努めてまいりました。また、株式会社ロゼッタと共同開発した独自のゲーム特化型AI翻訳エンジン「ELLA」を活用した付加価値の高いサービスの提供を開始するとともに、国内・中国・欧州で開催された各国最大規模のゲームイベントにて、「ELLA」のデモンストレーションをはじめとするマーケティング活動を強化することで、新たなビジネスチャンスの獲得に注力いたしました。
 以上の結果、当中間連結会計期間のDHグループ事業の売上高は12,170,799千円(前年同期比7.0%増)、セグメント利益は832,294千円(前年同期比11.2%増)と増収増益を達成いたしました。

 

b AGESTグループ事業

当セグメントでは、主に、エンタープライズシステムの不具合を検出するシステムテスト、脆弱性診断等のセキュリティテスト、ERPの導入支援等を行うQAソリューションのほか、ソフトウェアやネットワークの監視・攻撃検知・対策を行うSOC(Security Operation Center)運営、システムの保守・運用支援等を行うITサービス及びその他のサービスを提供しております。

当中間連結会計期間においては、引き続きAGESTを中心にハイスキルエンジニアの採用・育成に注力いたしました。また、AGESTの付加価値領域と位置付ける“シフトレフト”及び“シフトライト”領域における事業拡大を推進するとともに、テスト工程におけるAI活用を本格化するなど技術に特化したソリューションの拡充に努めることで、“テック”企業としてのブランド構築や競合他社との差別化を図ってまいりました。さらに、「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」に出資企業として参画するなど、サイバーセキュリティ分野の強化を進めてまいりました。
 また、当第1四半期(4月~6月)に特定案件のクライアント側の計画見直しに伴い収益性が一時的に低下したことを受け、成長投資と安定的な利益創出のバランスを考慮した事業運営に注力することで、当第2四半期(7月~9月)以降の収益性の改善に努めてまいりました。
 以上の結果、当中間連結会計期間のAGESTグループ事業の売上高は7,925,835千円(前年同期比3.7%増)となりました。この増収の影響により利益面でも増益を達成したものの、当第1四半期(4月~6月)に発生した特定案件のクライアント側の計画見直しに伴う収益性の低下の影響が大きく、セグメント損失6,512千円(前年同期は、セグメント損失18,480千円)となりました。

 

② 財政状態の分析

(資産)

流動資産の残高は13,528,233千円となり、前連結会計年度末における流動資産13,526,669千円に対し、1,564千円の増加(前期比0.0%増)となりました。

これは、主として現金及び預金が71,548千円、その他流動資産が230,166千円増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が304,289千円減少したこと等によるものであります。

固定資産の残高は7,635,133千円となり、前連結会計年度末における固定資産7,576,426千円に対し、58,707千円の増加(前期比0.8%増)となりました。

これは、主として投資有価証券が127,645千円、その他無形固定資産が55,013千円増加したものの、のれんが120,274千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債)

流動負債の残高は11,722,185千円となり、前連結会計年度末における流動負債12,026,419千円に対し、304,234千円の減少(前期比2.5%減)となりました。

これは、主として短期借入金が335,072千円減少したこと等によるものであります。

固定負債の残高は223,305千円となり、前連結会計年度末における固定負債224,314千円に対し、1,009千円の減少(前期比0.4%減)となりました。

 

(純資産)

純資産の残高は9,217,877千円となり、前連結会計年度末における純資産8,852,361千円に対し、365,515千円の増加(前期比4.1%増)となりました。

これは、主として親会社株主に帰属する中間純利益455,095千円、為替換算調整勘定が205,273千円増加したものの、配当により利益剰余金が233,896千円減少したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、6,930,124千円となり、前中間連結会計期間における資金6,997,259千円に対し、67,134千円の減少となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は1,257,845千円の収入(前年同期は1,156,308千円の収入)となりました。

これは、主として法人税等の支払額309,522千円、未払費用の減少額226,023千円等の資金減少項目に対し、税金等調整前中間純利益838,967千円、減価償却費254,515千円、のれん償却額233,885千円、売上債権の減少額492,349千円等の資金増加項目が上回ったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は714,990千円(前年同期は592,406千円の支出)となりました。

これは、主として投資有価証券の取得による支出216,000千円、有形固定資産の取得による支出196,810千円、子会社株式の条件付取得対価の支払額155,798千円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、支出した資金は612,289千円(前年同期は200,382千円の支出)となりました。

これは、主として短期借入金による支出335,072千円、配当金の支払額233,227千円等によるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

事業の特性上、該当事項はありません。

 

b 受注実績

当中間連結会計期間における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(千円)

前年同期比
(%)

受注残高
(千円)

前年同期比
(%)

DHグループ事業

クリエイティブ

665,276

109.9

145,190

67.8

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.「DHグループ事業」に含まれるクリエイティブ以外の当社グループの事業は、受注から役務提供までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しています。

 

c 販売実績

当中間連結会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

区分

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

至 2024年9月30日)

金額(千円)

前年同期増減率(%)

DHグループ事業

12,170,799

7.0

AGESTグループ事業

7,925,835

3.7

調整額

△190,466

合計

19,906,168

6.6

 

(注) 調整額は、セグメント間の内部取引に係る消去額であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。