当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績に関する説明
当中間連結会計期間におけるサイバー・セキュリティ業界は、引き続きランサムウェア攻撃によるサービスの停止や、個人情報等の漏えいが相次ぎました。直近では、業務委託先や管理システムの運営元がランサムウェア攻撃を受け、管理を委託していた顧客や従業員の情報が漏えいするといった事例も発生しており、サプライチェーン全体でサイバー・セキュリティ向上に取り組むことが求められています。また、近年のサイバー攻撃はビジネス化が進展しており、サイバー攻撃の代行サービスを利用したとして、国内でも逮捕者が出ています。こうした代行サービスや、マルウェアを作成できるクラウドサービスの提供者は年を追うごとに増加していると見られ、サイバー攻撃のリスクが高まっています。政府においては、国家安全保障戦略に明記された能動的サイバー防御の実現に向けた政策を取りまとめており、セキュリティ・クリアランス制度を活用した政府と基幹インフラ事業者間の情報共有の枠組みの創設や、電気通信事業者との協力や情報提供に向けた法整備、重大なサイバー攻撃の未然防止のため、サイバー対処能力の向上及び権限の強化などの政策が検討されており、サイバー安全保障の実現に向けた取り組みが一層加速しています。
このような環境の中、当中間連結会計期間の経営成績は以下のとおりとなりました。
○サイバー・セキュリティ事業
(ナショナルセキュリティセクター)
ナショナルセキュリティセクターにおきましては、国際情勢の緊張と比例してサイバー攻撃のリスクが高まっており、サイバー領域における安全保障は重要な課題となっています。我が国においては、防衛三文書によって示された防衛力の抜本的強化に向けた取り組みが急速に進んでおり、引き続き需要が拡大しています。当社グループにおいては、防衛産業及び関連組織向けにセキュリティ調査・研究案件を中心に実施した他、高度なスキルを持つ技術者の育成及び採用の強化など、ナショナルセキュリティセクターの中長期に渡る需要増加を取り込める体制構築を進めております。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の行う「先進的サイバー防御機能・分析能力強化」に関する研究開発を、一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアムより受託しておりますが、本格的な稼働は第3四半期からとなっております。
この結果、当中間連結会計期間におけるナショナルセキュリティセクターの売上高は217,578千円(前年同期比16.4%増)となりました。
(パブリックセクター)
パブリックセクターにおきましては、経済安全保障の実現に向けた各省庁の取り組みを背景に、セキュリティ調査・研究などの案件が大幅に増加しています。当社グループにおいては、NICTの推進する実証事業のサポートの他、官公庁を中心にセキュリティ調査・研究などサービス案件を実施しました。また、パブリックセクターに特化したチームによる販売活動や、官公庁や地方自治体への販売に強みを持つ販売パートナーとの連携強化による、OEM製品及びマネージドサービスの提供など販売拡大施策を進めております。
この結果、当中間連結会計期間におけるパブリックセクターの売上高は297,965千円(前年同期比18.5%増)となりました。
(プライベートセクター)
プライベートセクターにおきましては、引き続き戦略的販売パートナーとの連携強化を進めた結果、販売パートナーによる個人・小規模事業者向けのOEM製品の販売は好調に推移しています。セキュリティ・サービスにつきましては、エンジニアのリソースをナショナルセキュリティセクター及びパブリックセクターに集中するため受注を限定した影響により、売上高が減少しております。
この結果、当中間連結会計期間におけるプライベートセクターの売上高は288,455千円(前年同期比1.9%減)となりました。
○ソフトウェア開発・テスト事業
ソフトウェア開発・テスト事業におきましては、品質保証業務を中心に堅調に推移した他、将来的なサイバー・セキュリティ関連業務の提供に向けた人材の育成を進めております。
この結果、当中間連結会計期間におけるソフトウェア開発・テスト事業の売上高は240,357千円(前年同期比9.2%増)となりました。
その他、株式会社エヌ・エフ・ラボラトリーズにおきましては、案件増加に伴い人材の確保・育成を積極的に進めた結果人件費が増大しており、持分法による投資損失21,263千円(前年同期は持分法による投資利益6,018千円)を計上しております。
以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高1,044,356千円(前年同期比9.6%増)、営業損失13,944千円(前年同期は営業利益52,891千円)、経常損失28,859千円(前年同期は経常利益63,702千円)、親会社株主に帰属する中間純損失33,124千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益44,294千円)となりました。
なお、当社グループは事業拡大に向けてセキュリティエンジニアを中心に増員を進めているため、人件費が先行して発生している他、売上高に占めるセキュリティ・サービスの割合が増加しているため、売上高が下期に集中する傾向にありますが、期初の計画通りに進捗しております。
②財政状態に関する説明
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は2,169,617千円となり、前連結会計年度末に比べ629,789千円減少いたしました。主な減少要因は売上債権の回収による売掛金の減少524,526千円と契約資産の増加287,911千円による売掛金及び契約資産の減少236,614千円と現金及び預金の減少434,045千円等であります。主な増加要因は前払費用の増加23,908千円等であります。固定資産は1,001,594千円となり、前連結会計年度末に比べ419,926千円増加いたしました。主な増加要因は一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアムに対する基金の拠出による出資金の増加430,000千円等による投資その他の資産の増加414,675千円、有形固定資産の増加4,253千円であります。
この結果、総資産は、3,171,212千円となり、前連結会計年度末に比べ209,862千円減少いたしました。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は1,086,799千円となり、前連結会計年度末に比べ100,096千円減少いたしました。主な減少要因は未払法人税等の減少77,787千円、未払消費税等の減少53,506千円等であり、主な増加要因はセキュリティ・プロダクトにおける契約の増加等による契約負債の増加62,250千円等であります。固定負債は15,470千円となり、前連結会計年度末に比べ2,523千円増加いたしました。主な増加要因は資産除去債務の増加2,523千円であります。
この結果、負債合計は、1,102,270千円となり、前連結会計年度末に比べ97,573千円減少いたしました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は2,068,941千円となり、前連結会計年度末に比べ112,288千円減少いたしました。主な減少要因は親会社株主に帰属する中間純損失の計上による利益剰余金の減少33,124千円、剰余金の配当による利益剰余金の減少79,097千円によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ434,045千円減少し、1,644,686千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、94,400千円(前年同期は104,348千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失の計上28,859千円、減価償却費の計上12,727千円、売上債権及び契約資産の減少236,614千円、前払費用の増加23,908千円、未払消費税等の減少53,506千円、法人税等の支払額75,757千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、449,784千円(前年同期は11,903千円の支出)となりました。これは出資金の払込による支出430,000千円、有形固定資産の取得による支出3,508千円、無形固定資産の取得による支出14,918千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、78,660千円(前年同期は42千円の支出)となりました。これは配当金の支払額78,592千円、自己株式の取得による支出67千円によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、84,052千円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
当中間連結会計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更は
ありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、開発用パソコンの購入費用及び開発用ソフトウェアの購入費用の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらについては主に自己資金により対応しております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
なお、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は1,644,686千円となっており、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。
当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
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契約締結先 |
契約内容 |
契約期間 |
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一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアム |
「先進的サイバー防御機能・分析能力強化」に資する研究開発活動等 主な研究内容 サイバー空間の情報を収集・調査する状況把握力向上 サイバー攻撃から機器やシステムを守る防衛力向上 共通基盤の整備 |
令和6年7月11日から 令和8年3月31日まで (注) |
(注)なお、令和8年4月1日以降については、一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアムにおける、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のステージゲート審査通過後に委託契約が締結された場合、再契約を行う予定です。