当中間連結会計期間における、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当中間連結会計期間における当社グループを取り巻く環境は、個人消費の回復やインバウンド需要の持ち直しなどにより社会・経済活動は緩やかな回復基調となりました。一方で、先行きにつきましては、為替相場の急激な変動、長期化するウクライナ紛争や中東情勢などの地政学リスクが原燃料価格に与える影響、世界的な金融政策の変化及び中国経済の減速懸念など、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
このような状況下、当社グループは、生産性向上やコスト削減に取り組み、販売面では新製品の拡販に努めました。
また、当社グループでは、企業価値向上を図るべく「中期経営計画」(2023年3月~2025年3月期)基本方針に沿って、以下の取り組みを実施しました。
2024年4月1日付及び7月1日付で当社への子会社の統合、また、子会社間の統合のグループ組織再編を実行し、効率化を進めました。継続してグループの組織変革を進め、収益性向上とコーポレートガバナンスの強化を図ってまいります。また、老朽化が進行した高砂工場生産設備を停機し、生産効率の高いマシンへと集約することを決定、固定費削減と生産効率改善を進めてまいります。
新事業拡大に向けては、研究開発力や技術力を基に高付加価値製品を生み出し、今後も成長の源泉とすべく取り組んでいることについて、ステークホルダーの皆様にご理解を深めていただくため、2024年10月16日に研究開発IR説明会を実施致しました。
当社グループの持続的な成長と中長期的企業価値の向上に向け、また、社会に貢献することを目指して、気候変動が事業に与えるリスク・機会の両面に関して、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示を進めております。
生物多様性の維持・保全活動の取り組みが評価され、当社の福島県の村火社有林が環境省より、「自然共生サイト」に認定されました。当社は「生物多様性のための30by30アライアンス」にも参加しており、今後も環境価値を創出し持続可能な地球環境に貢献すべく取り組んでまいります。
環境配慮型商品の拡大では、紙袋用途での需要が堅調なクラフト紙やバリア紙の拡販に加えて、プラスチックフィルム不使用でリサイクルが可能な写真グレードのインクジェットメディアを開発いたしました。脱プラ・減プラ、安全かつ快適なグリーン社会の実現に貢献してまいります。
2023年4月に制定した「三菱製紙グループサステナビリティ基本方針」に則り、皆様からの信頼と共感を得ることを通して企業価値の向上を図ると共に、さまざまな社会的課題の解決につなげ、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。当社グループのサステナビリティ推進活動のあり方について、株主の皆様に実体験を通してご理解いただくため「三菱製紙 ニッシー・カッシーの森」制度での植樹体験を実施しました。また、全てのステークホルダーの皆様に当社グループの企業活動全般をご理解いただくため、統合報告書においてより詳細な情報開示を進めました。
当社グループでは昨年度に基幹システムを刷新しましたが、さらにデジタル化を推進し、業務効率化や作業安全の強化のみならず、企業価値向上に資するDXにも取り組んでまいります。
当中間連結会計期間の連結売上高は884億円(前中間連結会計期間比8.6%減)となりました。
損益面では、グループ組織再編による労務費削減等のコストダウン効果はあったものの、数量減少の影響・設備事故の影響により、連結営業利益は9億3千4百万円(前中間連結会計期間比53.2%減)、連結経常利益は4億5千万円(前中間連結会計期間比87.2%減)となりました。親会社株主に帰属する中間純損失は2億3千2百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りとなりました。
(単位:百万円)
(注)調整額は主として内部取引に係るものです。
感熱紙はPOS市場用途の需要取り込みにより販売数量、販売金額ともに前年を上回りました。情報用紙関連製品ではノーカーボン紙、PPC用紙は需要減少により販売数量、販売金額ともに前年を下回りました。
イメージング関連製品では、インクジェット関連で画像出力や印刷向け需要減少の影響により、販売数量、販売金額ともに前年を下回りました。
機能材関連製品では、蓄電デバイス用セパレータ、リライトメディア、ガラス繊維不織布の販売金額は前年を上回りました。また、テープ原紙は国内外向けともに堅調に推移し、販売数量、販売金額ともに前年を上回りました。一方で、水処理膜基材は顧客の品質要求の変化や中国市場における競争激化により販売金額は前年を下回りました。化粧板原紙は輸出向け需要減少が回復せず、販売数量、販売金額ともに前年を下回りました。
ドイツ事業は、フレンスブルク工場売却に伴い、販売数量、販売金額ともに前年を下回りました。
この結果、機能商品事業は減収減益となりました。
情報用紙関連製品では、感熱紙はさらにPOS市場用途の拡販を促進させ、PPC用紙のFSC認証紙製品などの環境配慮型高付加価値品の拡大により収益の安定化を図ってまいります。
イメージング関連製品では、大型ポスター・ラベル用途や産業用インクジェット用紙の増販、アジア新興国向けへの拡販に取り組んでまいります。
機能材関連製品では、水処理膜基材において顧客の要求品質に着実に応え、シェアの拡大に取り組むとともに、成長分野である工業用途及び海水淡水化プラント用途の需要獲得に取り組んでまいります。蓄電デバイス用セパレータはコンデンサ市場向けの拡販に向け取り組んでまいります。テープ原紙は海外向けの増販に今後も注力し、化粧板原紙や壁紙用裏打紙では銘柄別バランスの最適化、生産効率の改善等により収益の安定化を図ってまいります。
ドイツ事業は、さらなる事業構造改革を推進し、収益の安定化を図ってまいります。
当社グループである三菱製紙エンジニアリング株式会社で製造した耐熱プレスボード製品に関して、測定データの一部改ざん、及び所定の検査の一部を実施せずに出荷していた事実が判明しました。当件について特別調査委員会を設置し、事案の全容解明、原因分析及び再発防止を進めております。
印刷用紙では、輸出は円安の市場環境下で販売数量が伸長し増収となりましたが、国内市場は需要の減少傾向が継続しており、販売金額は前年に対し減少しました。
市販パルプにつきましては、海外市況の回復に伴い輸出向け販売を拡大した結果、販売数量、販売金額ともに前年を上回りました。
この結果、紙素材事業は減収減益となりました。
現在取り組んでいる製品価格改定の浸透に加え、印刷用紙に関しては需要動向に応じた生産体制最適化と在庫水準適正化の取り組みを継続するとともに、市販パルプでは市況の動向を踏まえ拡販に注力してまいります。
包装紙では環境意識の高まりを背景に国内外問わず脱プラ・減プラ需要が旺盛で、当社クラフトコート紙は印刷性が高く評価され採用実績を積み重ねており、ラインアップを拡充して増販してまいります。さらに八戸・北上両工場のシナジー効果発現とコストダウン追求により生産体制の効率化に取り組み、事業基盤を一層強固にしてまいります。
当中間連結会計期間末の資産は、現金及び預金、売掛金等の減少により前連結会計年度末に比べ137億2千9百万円減少し、2,216億5千万円となりました。
負債は、借入金や支払手形及び買掛金等の減少等により前連結会計年度末に比べ123億5千9百万円減少し、1,320億6千5百万円となりました。
純資産は、退職給付に係る調整累計額や利益剰余金の減少等により前連結会計年度末に比べ13億6千9百万円減少し、895億8千4百万円となりました。
自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント増加し、40.4%となりました。
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ51億7千7百万円減少し、48億3千2百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、前中間連結会計期間に比べ43億8千6百万円減少し、18億3千5百万円となりました。
収入の主な内訳は、売上債権の減少86億6千2百万円などです。
前中間連結会計期間に比べ営業活動の結果得られた資金が減少した主な要因は、税金等調整前中間純利益の減少や仕入債務の増減によるものです。
投資活動の結果使用した資金は、前中間連結会計期間に比べ30百万円増加し、12億6千5百万円となりました。
前中間連結会計期間に比べ投資活動の結果使用した資金が増加した主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
財務活動の結果使用した資金は、前中間連結会計期間に比べ43億9百万円増加し、57億2千8百万円となりました。
これは主に借入金の返済によるものです。
当中間連結会計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は2億7千7百万円であります。
当中間連結会計期間において、連結会社の従業員数に著しい増減はありません。
当中間会計期間において、提出会社の従業員数が316名増加しておりますが、主として機能商品事業に属するKJ特殊紙株式会社の吸収合併によるものです。
当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい増減はありません。
当中間連結会計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等は行われておりません。