独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

2023年6月27日

三菱ケミカルグループ株式会社

取 締 役 会  御中

 

EY新日本有限責任監査法人

 

東  京  事  務  所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

中  村  和  臣

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

植  木  貴  幸

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

川  端  孝  祐

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

岡  部     誠

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている三菱ケミカルグループ株式会社の2022年4月1日から2023年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結財政状態計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、三菱ケミカルグループ株式会社及び連結子会社の2023年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

 

年次の減損テストが要求されるのれんの評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、2023年3月31日現在、連結財政状態計算書上、のれんを727,655百万円(資産合計の12.6%)計上している。また、連結財務諸表注記12.に関連する開示を行っており、のれんの資金生成単位(資金生成単位グループ)別内訳は、産業ガス事業523,921百万円、医薬品事業54,540百万円、MMA事業38,474百万円、その他110,720百万円である。

会社は、減損テストを実施するに当たり、のれんを含む資金生成単位グループにおける回収可能価額を使用価値により測定している。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値として算定しており、将来キャッシュ・フローは、経営者によって承認された5年を限度とする事業計画を基礎とし、その後の期間については、将来の不確実性を考慮して将来キャッシュ・フロー及び長期成長率を見積もっている。

使用価値の見積りにおける重要な仮定は、5年を限度とする事業計画を基礎とする将来キャッシュ・フローの見積り、割引率及び5年を超える期間の長期成長率である。また、事業計画は、主として売上収益の予測及び市場の成長率に影響を受ける。

のれんの減損テストで使用される使用価値の算定プロセスは複雑であり、使用価値の算定に重要な影響を及ぼす将来キャッシュ・フローの見積り及び5年を超える期間の長期成長率については、その事業が属する業界の市場動向に依存し、長期間の予測値であるため不確実性を伴う。また、将来キャッシュ・フローの見積り、割引率及び5年を超える期間の長期成長率は経営者の評価や判断に依存し、使用価値の算定結果並びに減損要否の判断に大きな影響を及ぼすことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、のれんの評価を検討するに当たり、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、使用価値の算定方法を検証した。使用価値の算定基礎のうち重要な仮定である将来キャッシュ・フローの見積り、割引率及び5年を超える期間の長期成長率に対して、主として以下の監査手続を実施した。

-将来キャッシュ・フローの見積り

・減損テストに使用されている将来キャッシュ・フローが経営者によって承認された5年を限度とする将来の事業計画に基づいて策定されていることを確かめるために、経営者によって承認された次年度の予算及び事業計画との整合性を検証した。

・将来の事業計画の見積プロセスの精度を評価するために、過年度における予算及び事業計画とそれらの実績を比較した。

・将来の事業計画の見積りに含まれる主要なインプット情報である売上収益の予測及び市場の成長率については、その合理性を確かめるために経営者と議論するとともに、市場予測及びアナリストによる同業他社の予測値等の外部データとの比較、類似企業との比較、又は過去実績からの趨勢分析を実施した。

-割引率

・割引率については、算定結果の合理性を評価するために、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、算定に使用されたインプット情報と利用可能な外部情報との整合性について検討した。

-5年を超える期間の長期成長率と見積りの不確実性への対応

・将来の不確実性が経営者により評価検討され、反映されていることを確かめるため、5年を超える期間の長期成長率については、市場の長期成長率から一定のリスクを反映させた経営者による不確実性の評価について検討した。

・使用価値と帳簿価額の差額に十分な余裕度がない資金生成単位グループについては、割引率を一定程度上げることによる追加的なリスクを加味した場合でも使用価値が帳簿価額を下回らないことを検証した。

 

 

 

 

医薬品に係る耐用年数を確定できない無形資産(ニューロダーム社買収により識別した仕掛研究開発費)の評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、2023年3月31日現在、連結財政状態計算書上、耐用年数を確定できない無形資産を63,127百万円(資産合計の1.0%)計上しており、連結財務諸表注記12.に関連する開示を行っている。

主なものは、連結子会社である田辺三菱製薬株式会社が2017年10月にニューロダーム社買収により計上したパーキンソン病の治療薬に関する仕掛研究開発費であり、帳簿価額は54,614百万円(資産合計の0.9%)である。なお、当該仕掛研究開発費について年次の減損テストを実施した結果、減損は生じていない。

仕掛研究開発費は研究開発の段階にあり、未だ規制当局の販売承認が得られていないもので使用可能な状態にないため、会社は将来の経済的便益が流入する期間が予見可能でないと判断し、耐用年数を確定できない無形資産に分類している。そのため、会社は当該資産の償却を行わず、毎年かつ減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施している。

会社は、減損テストを実施するに当たり、当該無形資産の回収可能価額を使用価値により測定している。使用価値は見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値として算定しており、見積りにおいての重要な仮定は、規制当局による販売承認の可能性、上市後の売上収益の予測及び割引率である。

医薬品業界における開発段階にあるパイプラインについての将来見込みは不確実性が高く、使用価値の算定に重要な影響を及ぼす規制当局による販売承認の可能性、上市後の売上収益の予測及び割引率といった見積り要素は多岐に亘り複雑であり、経営者の評価や判断によって使用価値の算定結果並びに減損要否の判断と損失計上額は大きく影響を受けることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、仕掛研究開発費の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

-評価方法

・当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、使用価値の算定における評価方法を検証した。

-規制当局による販売承認の可能性

・製品開発の進展状況及び成功確率を組み合わせた将来予測に関して経営者及び担当部門責任者と議論し、医薬品業界における研究開発の各段階における成功確率に関する過去実績を考慮して、評価した。

-上市後の売上収益の予測

・経営者が見積りキャッシュ・フローに織り込んだ主要なインプット情報の合理性を評価するため、製品の販売単価、販売数量、他社の競合品の開発状況を加味したマーケットシェアに関して、算定ロジックや前提条件について理解し、事業環境の変化に照らして前年度の見積りからの変更を検討するとともに、各種数値について関連資料を閲覧し見積りの根拠を評価した。特に、販売数量の予測については、外部機関が実施した市場調査の報告内容を閲覧し、比較を行った。また、経営者と議論し、取締役会への報告資料を閲覧した。

-割引率

・割引率については、算定結果の合理性を評価するために、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、算定に使用されたインプット情報と利用可能な外部情報との整合性について検討した。

-見積りの不確実性への対応

・規制当局による販売承認の可能性、及び上市後の売上収益の予測に関して考慮したリスク要因を経営者及び部門責任者へのヒアリングにより特定し、経営者による不確実性の評価について検討した。

・割引率を一定程度上げることによる追加的なリスクを加味した場合でも使用価値が帳簿価額を下回らないことを検証した。

 

 

 

 

経営方針の重要施策遂行に伴い生じた事業再編に関連する損失
(キャッセル工場におけるMMA関連製品の生産終了及びメディカゴ社の事業撤退と清算)

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、2021年12月に2025年度までの期間を対象とする経営方針「Forging the future 未来を拓く」を公表し、2023年2月には当該方針に基づく今後の実行計画と財務目標のアップデートを公表している。経営方針は企業価値を最大化させるための戦略として、①市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオ、②グループ全体におけるコスト構造改革、③分離・再編し、独立化を進める事業、④スリム化、デジタル化、エンパワーメント、⑤戦略的なキャピタルアロケーションという5つの重要施策から構成されている。

当該経営方針に基づき経済的持続性や競争優位性の観点から様々な実行計画が遂行されているが、当連結会計年度の連結財務諸表に与える影響が大きい事象として、グループ全体におけるコスト構造改革に関連し、主に以下の2つの意思決定を行い、関連損失を当連結会計年度の連結損益計算書に計上している(連結財務諸表注記8、14、27)。

(1)三菱ケミカル・ユーケー社のキャッセル工場におけるMMA関連製品の生産終了

グループ全体におけるコスト構造改革を進める一環として生産の効率化を図る中でMMA事業を包括的に検討した結果、キャッセル工場におけるMMA関連製品の生産活動については経済的持続性を維持できないとの結論に達し、生産終了を決定している。その結果、投資回収が見込めなくなったため、当該工場設備について帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失39,251百万円(内、機械装置20,720百万円、その他18,531百万円)を計上するとともに、工場閉鎖関連損失引当金繰入額26,726百万円、特別退職金1,999百万円及びその他の関連損失720百万円を計上している。

 

当監査法人は、以下の事業再編に関連する損失計上の妥当性を検討するに当たり、構成単位の監査人を関与させて、主として以下の監査手続を実施した。

(1)三菱ケミカル・ユーケー社のキャッセル工場におけるMMA関連製品の生産終了

①関連設備の減損損失

・計上された減損損失の金額が多額であることからその金額の妥当性を検討するために減損対象とされるべき資産の特定と網羅性についての検証を実施した。具体的には、会社が作成した減損検討資料について、経営者への質問を実施するとともに、固定資産台帳との突合を行った。減損対象とされた資産の範囲については、キャッセル工場に直接関連するMMA事業の資産との整合性を検討するとともに、他事業資産などの含まれるべきでない資産については除外されていることを検証した。

②工場閉鎖関連損失引当金繰入額

・閉鎖及び撤去に関連して将来年度に発生が見込まれる費用について、各項目の負債性の有無と当連結会計年度末時点における引当要否についての検討を実施した。具体的には、会社が作成した工場閉鎖関連損失引当金繰入額の一覧表を閲覧し、各項目の性質と内容、及び算定根拠について質問するとともに、当該内容について契約や事実関係を踏まえIAS第37号に照らして負債性の有無を検証した。当連結会計年度末時点における引当金計上要否の検討に際しては、網羅性の観点に加え、将来年度に認識すべき費用である不利な契約に該当しない将来の営業費用などが含まれていないことについても検証した。

・当該引当金繰入額の主な内容は購買契約解除に伴う違約金及び契約義務履行の費用等の契約上のコミットメントにかかる損失並びに工場の撤去にかかる費用である。契約上のコミットメントにかかる損失についての網羅性及び金額の妥当性を検討するために、関連する契約一覧を閲覧し、調達部門のリーダー及び法務部門に質問を行った。また、関連する契約書の閲覧や契約確認手続を実施するとともに、会社の計算シートの妥当性を検証し、再計算を実施した。

・工場の撤去にかかる費用については、金額の妥当性を検討するために、各項目の計算シートの妥当性を検証するとともに、再計算を実施した。再計算の実施にあたっては、閉鎖及び撤去に関する最新の実行計画を閲覧し、閉鎖及び撤去完了までに見込まれる期間や算定基礎数値についての質問の実施、及び関連証憑との整合性を検証した。

 

 

 

 

(2)メディカゴ社の事業撤退と清算

新型コロナウイルス感染症の予防を適応として開発してきたVLPワクチンがカナダにおいて承認され、商用規模生産の移行に向け準備を進めていたが、新型コロナウイルス感染症を取り巻く環境は大きく変化し、現状の世界的な需要及び市場環境と、商用規模生産の移行への課題を包括的に検討した結果、VLPワクチンの商用化を断念するとの結論に達している。また、ヘルスケアの事業再構築の観点からも、更なる投資を継続的に行うことが困難であると判断し、メディカゴ社の事業から撤退し、清算を進めることを決定している。その結果、投資回収が見込めなくなったため、メディカゴ社のワクチン製造設備及び当該事業に関連するのれんについて帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失47,358百万円(内、建設仮勘定31,762百万円、のれん6,739百万円、その他8,857百万円)を計上するとともに、事業整理損失引当金繰入額4,495百万円、特別退職金3,805百万円及び事業整理損失1,776百万円を計上している。

 

上記2つの事象において、会社の意思決定に伴い生じた主な関連損失は、資産の減損と工場閉鎖及び事業整理に伴う損失引当金繰入額である。資産の減損については、回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により測定しており、処分コスト控除後の公正価値は売却見込額、または売却が困難であるものについては零としている。工場閉鎖関連損失引当金及び事業整理損失引当金は、工場閉鎖や清算に伴い将来年度に発生する費用のうち、当連結会計年度に認識すべき金額を見積り計上している。

キャッセル工場におけるACH法を製法としたMMA関連製品の工場設備は閉鎖及び撤去予定であることから、資産の処分見込みと回収可能価額の見積りについて不確実性は高くない。しかしながら、その閉鎖及び撤去において発生が見込まれる費用は多岐にわたり、工場閉鎖までに時間を要し金額も多額となる性質を有していることから、工場閉鎖関連損失引当金の見積りは不確実性が高いと考えられる。一方で、メディカゴ社については、VLPワクチン商用化前であることから、当該事業の撤退と清算から発生が見込まれる費用の項目は限定的であり、事業整理損失引当金の見積りの不確実性は高くないが、建設途上の製造設備を中心とした資産の処分見込みと回収可能価額の見積りは不確実性が高いと考えられる。

 

 

(2)メディカゴ社の事業撤退と清算

①関連設備及び当該事業に関連するのれんの減損損失

・事業撤退による清算のため、減損対象とした資産の範囲について、メディカゴ社が計上する全ての固定資産が対象とされていることを検証するために、固定資産台帳との突合を行った。のれんについては当該意思決定が関連する資金生成単位に及ぼす影響を考慮し、減損対象となるのれんの範囲、金額についての妥当性を検証した。

・関連設備について、会社は、期末日時点及び期末日後における直近の資産処分見込みの状況を勘案して、回収可能価額まで帳簿価額を減額している。当該金額の妥当性を検討するために、直近の資産処分見込みの状況について経営者への質問を実施するとともに、当該状況に照らして最も合理的と考えられる資産の処分方法に対応する関連証憑を閲覧し、当該証憑に記載されている前提条件と金額について内容を検証した。また、他に考慮すべき事実がないことについて、経営者への質問を実施した。

②事業整理損失引当金繰入額

・メディカゴ社の事業は商用化前の段階であり当該事業の撤退と清算から発生が見込まれる費用は項目、金額ともに限定的ではあるが、当連結会計年度に認識すべき費用が他にないかという網羅性の観点から検討を実施した。具体的には、清算に至る最新の実行計画、及び清算までの期間に発生が見込まれる費用一覧を閲覧し、各項目の内容について経営者への質問を実施し、費用認識時期についての監査人の理解との整合性を検証した。

・当連結会計年度末時点における引当要否と金額の妥当性を検討するために、会社が作成した事業整理損失引当金繰入額の一覧表を閲覧し、各項目の性質と内容、及び算定根拠について経営者への質問を実施した。また、当該内容について契約や事実関係を踏まえIAS第37号に照らして負債性の有無を検証し、再計算を実施した。

 

 

 

 

経営方針「Forging the future 未来を拓く」は会社が進める変革の根幹であり、その遂行状況と当該事象が連結財務諸表に及ぼす影響については、監査人として非常に関心が高く注目している領域である。中でも上記の事象については、経営方針を推し進める上で当連結会計年度になされた重要な意思決定であるとともに、関連損失の影響額も大きく、それぞれの事象に内在する特性から見積りの不確実性が高い項目が含まれ、また、見積りに使用される重要な仮定に対する経営者の評価や判断によって、連結財務諸表に対して重要な影響を及ぼすことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 

 

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任

経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、三菱ケミカルグループ株式会社の2023年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、三菱ケミカルグループ株式会社が2023年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者及び監査委員会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 

※1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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