【連結財務諸表注記】
1.報告企業
三菱ケミカルグループ株式会社(以下「当社」といいます。)は日本国に所在する企業であり、東京証券取引所プライム市場に上場しております。当社の登記している本社の住所は、ホームページ(https://www.mcgc.com/)で開示しております。当社グループの連結財務諸表は3月31日を期末日とし、当社及び子会社並びにその関連会社及び共同支配の取決めに対する持分により構成されております。当社グループは、主に「機能商品」、「素材」、「ヘルスケア」の3分野で事業を展開しており、その詳細は注記「4.事業セグメント」に記載しております。
なお、2022年7月1日より当社商号を、株式会社三菱ケミカルホールディングスから三菱ケミカルグループ株式会社へ変更いたしました。本注記においては、商号変更前の取引を含め、社名を「三菱ケミカルグループ㈱」で統一表記しております。
2.作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。当社は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たしていることから、同93条の規定を適用しております。
当社グループの連結財務諸表は、2023年6月27日に、代表執行役執行役社長 ジョンマーク・ギルソン及び執行役エグゼクティブバイスプレジデント最高財務責任者 中平優子によって承認されております。
当社グループの連結財務諸表は、注記「3.重要な会計方針」に記載している公正価値で測定する金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満を四捨五入して表示しております。
当社グループのIFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行う必要があります。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。
当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の判断、見積り及び仮定に関する主な情報は、以下のとおりです。
・非金融資産の減損(「12. のれん及び無形資産」、「13. 有形固定資産」、「14. 減損損失」)
・繰延税金資産の回収可能性(「10. 法人所得税」)
・確定給付制度債務の測定(「26. 退職給付」)
・金融商品の公正価値(「34. 金融商品」)
なお、当連結会計年度において見積りを行う上での特に重要な仮定は下記のとおりです。
(ロシア・ウクライナ情勢の影響に関する仮定)
ロシア・ウクライナ情勢については長期化の様相を呈しておりますが、現時点では事業上の直接的な影響は軽微であり、当連結会計年度末での会計上の見積りにおいては、当社グループ業績に重要な影響を及ぼすという仮定は置いておりません。
当社グループが当連結会計年度より適用している主な基準書及び解釈指針は、以下のとおりです。
当社グループは、当連結会計年度より「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール」(IAS第12号「法人所得税」の改訂)を適用しています。
本改訂は、OECDによるBEPSの第2の柱GloBE(グローバル・ミニマム課税)ルールを導入するために制定された又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税にIAS第12号が適用されることを明確化しました。しかし、企業に対し、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する繰延税金資産及び負債を認識及び開示しないことを要求する一時的な例外措置を定めています。
グローバル・ミニマム課税制度から生じる法人所得税については、IAS第12号で定められる例外措置を適用しており、これに関する繰延税金資産及び負債は認識及び開示しておりません。
なお、日本においては令和5年度税制改正において、グローバル・ミニマム課税に対応する法人税が創設され、それに係る規定(以下「グローバル・ミニマム課税制度」といいます。)を含めた税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第3号))(以下「改正法人税法」といいます。)が2023年3月28日に成立しました。改正法人税法では、BEPSのグローバル・ミニマム課税ルールのうち、所得合算ルール(IIR)が導入されており、2024年4月1日開始事業年度より、日本に所在する親会社の子会社等の税負担が最低税率(15%)に至るまで、日本に所在する親会社に対して追加で(トップアップ)課税されることになります。
(7) 未適用の新たな基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針のうち、適用が強制されないため当連結会計年度末において当社グループが早期適用していないもので、当社グループの連結財務諸表に重要な影響があるものはありません。
3.重要な会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループが投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、その企業を支配していると判断しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループで統一された会計方針に基づき、同じ決算日で作成された各グループ会社の財務諸表を用いております。子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。
投資先の連結は、当社グループが投資先に対する支配を獲得した日から開始し、投資先に対する支配を喪失した日に終了いたします。
連結会社間取引、並びに当該取引から発生した債権債務残高及び未実現損益は相殺消去しております。
支配の喪失を伴わない連結子会社に対する持分の変動があった場合には、資本取引として会計処理を行い、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。
支配を喪失した場合には、当社グループは残存する投資を支配を喪失した日の公正価値で測定し認識しております。支配の喪失から生じた利得及び損失は純損益として認識しております。
連結子会社の純資産に対する非支配持分は、当社グループの持分とは別個に識別しております。なお、連結子会社の包括利益は、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務及び営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配を有していない企業をいいます。通常、当社グループが議決権の20%から50%を保有する場合には、重要な影響力があると推定しております。当社グループが重要な影響力を有しているか否かの評価にあたり考慮するその他の要因には、取締役会への役員の派遣等があります。これらの要因が存在する場合には、当該企業に対する当社グループの投資が議決権の20%未満であったとしても、当社グループが重要な影響力を有することがあります。
当社グループは、関連会社に対する投資を、持分法を用いて会計処理しております。
持分法で会計処理されている投資は、取得時に取得原価で認識され、取得後の投資先の純資産の変動に対する当社グループの持分を調整して、連結財政状態計算書に計上しております。
連結損益計算書には投資先の業績に対する当社グループの持分を反映しております。投資先のその他の包括利益に認識される金額に変動がある場合には、当該変動に対する当社グループの持分はその他の包括利益で認識しております。
当社グループと投資先との間の取引から生じる未実現損益に対する当社グループの持分を消去するため、当社グループの連結財務諸表において調整を行っております。
投資先の財務諸表は、当社グループと同一の報告期間で作成し、投資先の会計方針を当社グループの会計方針と一致させるための調整を行っております。
投資先に対する重要な影響力を喪失した場合には、当社グループは残存する投資を重要な影響力を喪失した日の公正価値で測定し認識しております。重要な影響力の喪失から生じた利得及び損失は純損益として認識しております。
連結財務諸表の作成にあたり、現地法制度上又は株主間協定等で当社グループと異なる決算日が要請されていることにより決算日を統一することが実務上不可能であり、また、事業の特性やその他の実務上の要因によって当社グループの連結決算日をもって仮決算を行うことが実務上不可能な一部の投資先については12月31日に終了する会計年度の財務諸表を用いております。これらの投資先の決算日と連結決算日との間に生じた重要な取引又は事象については連結財務諸表に反映しております。
③ 共同支配の取決め
共同支配の取決めとは、関連性のある活動に係る意思決定について支配を共有している当事者の全会一致の合意を必要とする取決めをいいます。
ジョイント・ベンチャー(共同支配企業)とは、取決めに対する共同支配を有する当事者が、当該取決めの純資産に対する権利を有している場合の共同契約をいいます。
当社グループは、ジョイント・ベンチャーに対する持分を有する場合、当該持分を、持分法を用いて会計処理しております。
ジョイント・オペレーション(共同支配事業)とは、共同支配を有する当事者が共同支配の取決めに関連性のある資産に対する権利及び負債に対する義務を実質的に有している事業をいいます。
当社グループは、ジョイント・オペレーションに対する持分を有する場合、当該ジョイント・オペレーションに対する投資については、共同支配の営業活動から生じる資産、負債、収益及び費用のうち、当社グループの持分相当額のみを認識しております。当社グループ会社間取引、並びに当該取引から発生した債権債務残高及び未実現損益は相殺消去しております。
主たるジョイント・オペレーションとして、ザ・サウジ・メタクリレーツ社(持分割合50%・サウジアラビア)があります。同社はMMAモノマー、アクリル樹脂等の製造を行う会社です。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。
企業結合が生じた期の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、暫定的な金額の修正を行っております。
取得原価は、取得日の公正価値で測定された移転した対価及び被取得企業に対する非支配持分の金額の合計額として測定しております。
被取得企業に対する非支配持分は、企業結合ごとに、公正価値又は被取得企業の識別可能純資産の公正価値に対する非支配持分割合相当額のいずれかにより測定しております。
企業結合に伴って発生した取得関連コストは、当該コストが発生した期の費用として認識しております。
当社グループが事業を取得する場合、取得日における契約条件、経済状況及び関連する諸条件に基づき、取得資産及び引受負債の分類及び指定を行っております。また、取得した識別可能資産及び引受負債は、原則として、取得日の公正価値で測定しております。
企業結合が段階的に行われた場合、被取得企業に対する支配獲得前に保有していた持分を取得日に公正価値で再評価し、その評価差額は純損益として認識しております。取得日以前にその他の包括利益に計上されていた被取得企業の持分の金額は、取得企業がその持分を処分した場合と同じ方法で会計処理しております。
のれんは、移転した対価と非支配持分として認識された金額の総額が識別可能取得資産及び引受負債の純額を超過した額として測定しております。
移転した対価と非支配持分として認識された金額の総額が、識別可能取得資産及び引受負債の純額を下回る場合、その差額は純損益として認識しております。
当初認識後、企業結合で取得したのれんは償却せず、取得原価から減損損失累計額を控除した金額で計上しております。また、減損テストについては、毎年かつ減損の兆候が存在する場合はその都度、実施しております。
(3) 外貨換算
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しております。また、当社グループ内の各企業はそれぞれ独自の機能通貨を定めており、各企業の取引はその機能通貨により測定しております。
外貨建取引は、取引日における直物為替相場又はそれに近似するレートにより機能通貨に換算しております。
外貨建ての貨幣性資産及び負債は、期末日の直物為替相場により機能通貨に換算しております。当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。ただし、在外営業活動体(海外子会社等)に対する純投資のヘッジ手段として指定された金融商品、その他の包括利益を通じて測定される金融資産、及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
在外営業活動体の資産及び負債は期末日の直物為替相場により、収益及び費用は取引日の直物為替相場又はそれに近似するレートにより、それぞれ円貨に換算し、その換算差額はその他の包括利益として認識しております。
在外営業活動体が処分された場合には、当該在外営業活動体に関連する累積換算差額を処分した期の純損益として認識しております。
(4) 収益
当社グループは、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換で、権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する
当社グループは、4つの事業領域(「機能商品」、「ケミカルズ」、「産業ガス」及び「ヘルスケア」)において事業活動を行っており、国内外の顧客に多種多様な製品等の提供を行っております。
これらの事業における製品販売については、製品の引渡時点において、顧客が当該製品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断し、当該製品の引渡時点で収益を認識しております。
また、収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベート及び返品などを控除した金額で測定しております。
なお、製品の販売契約における対価は、製品に対する支配が顧客に移転した時点から概ね1年以内に回収しており、重要な金融要素は含んでおりません。
(5) 政府補助金
政府補助金は、当社グループが補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に公正価値で認識しております。
収益に関する政府補助金は、補助金で補償することを意図している関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に純損益として認識しております。
資産に関する政府補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から控除しております。
(6) 借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とするような資産に関して、その資産の取得、建設又は製造に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化しております。なお、その他の借入コストはすべて、発生した期に費用として認識しております。
(7) 法人所得税
当期及び過去の期間に係る当期税金は、税務当局に対する納付(又は税務当局から還付)されると予想される額で算定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、期末日において制定され又は実質的に制定されているものを使用しております。
繰延税金は、期末日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との差額(一時差異)に対して、資産負債法を用いて計上しております。
原則として繰延税金負債はすべての将来加算一時差異について認識し、繰延税金資産は将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識しております。
ただし、例外として以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から生じる場合
・企業結合でない取引で、かつ取引時に会計上の利益にも課税所得(又は欠損金)にも影響を与えない取引における資産又は負債の当初認識から生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異に関して、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異に関して、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債の帳簿価額(未認識の繰延税金資産を含む。)については、期末日ごとに再検討を行っております。繰延税金資産及び負債は、期末日までに制定又は実質的に制定されている税率及び税法に基づいて、当該資産が実現する又は負債が決済される期の税率を見積もり、算定しております。
(8) 1株当り利益
基本的1株当り当期利益の金額は、当社の普通株主に帰属する当期利益を、その期の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当り当期利益の金額は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。
(9) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヵ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(10) 棚卸資産
棚卸資産の取得原価には、購入原価、加工費、及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のすべての原価を含めております。
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い額で測定しております。原価の算定にあたっては、主として加重平均法を使用しております。また、正味実現可能価額は、通常の事業過程における予想売価から、完成に要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除して算定しております。
(11) 売却目的で保有する資産及び非継続事業
非流動資産(又は処分グループ)の帳簿価額が、継続的使用よりも主として売却取引によって回収が見込まれる場合に、「売却目的で保有する資産」に分類しております。なお、1年以内に売却の可能性が非常に高く、かつ当該資産(又は処分グループ)が現在の状態で直ちに売却可能である場合にのみ、上記要件に該当するものとしております。売却目的保有に分類した非流動資産(又は処分グループ)については、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しております。
売却目的保有に分類した資産のうち有形固定資産及び無形資産については、減価償却又は償却を行っておりません。
非継続事業には、既に処分したか又は売却目的保有に分類した企業の構成単位が含まれており、当社グループの1つの事業を構成し、その1つの事業の処分の計画がある場合に認識しております。
(12) 有形固定資産
当社グループは、有形固定資産の測定に原価モデルを採用しております。
有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び原状回復費用、並びに資産計上の要件を満たす借入コストを含めております。
土地以外のすべての有形固定資産について、取得原価から期末日における残存価額を差引いた償却可能価額を、定額法により規則的に配分するよう減価償却を実施しております。
主な有形固定資産の見積耐用年数は、以下のとおりです。
(13) 無形資産
当社グループは、無形資産の測定に原価モデルを採用しております。
無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識に際し取得原価で測定し、企業結合において取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定しております。なお、内部創出の無形資産については、資産化の要件を満たす開発費用を除き、その支出額はすべて発生した期の費用として認識しております。
耐用年数を確定できる無形資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却し、減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施しております。耐用年数を確定できる無形資産の見積耐用年数及び償却方法は、年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
主な無形資産の見積耐用年数は、以下のとおりです。
耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産については、償却を行わず、毎年かつ減損の兆候が存在する場合はその都度、個別に又は各資金生成単位で減損テストを実施しております。
(14) 資産の減損
① 非金融資産の減損
当社グループは、期末日時点で資産に減損の可能性を示す兆候の有無を判定しております。減損の兆候がある場合、及び資産に年次の減損テストが必要な場合、当社グループはその資産の回収可能価額を見積もっております。資産の回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、個々の資産について回収可能価額を見積もることができない場合には、その資産の属する資金生成単位又は資金生成単位グループごとに回収可能価額を見積もっております。資金生成単位又は資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合、その資産について減損を認識し、回収可能価額まで評価減を行っております。使用価値の評価にあたっては、貨幣の時間価値及びその資産に特有のリスクについて現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いて、見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値を計算しております。なお、将来キャッシュ・フローの見積りにあたって利用する事業計画は原則として5年を限度とし、事業計画の予測の期間を超えた後の将来キャッシュ・フローは、個別の事情に応じた長期平均成長率をもとに算定しております。
処分コスト控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏付けられた適切な評価モデルを使用しております。
のれんは、取得日以降企業結合のシナジーによる便益が生じると期待される個々の資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。
のれん又は耐用年数を確定できない無形資産、及び未だ使用可能でない無形資産は、毎年かつ減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。
② 減損の戻入れ
のれん以外の資産に関しては、期末日時点で過年度に認識した減損損失について、その回収可能価額の算定に使用した想定事項に変更が生じた場合等、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が存在しているかどうかについて評価を行っております。そのような兆候が存在する場合は、当該資産、資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、当該資産、資金生成単位又は資金生成単位グループの帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却累計額控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。なお、減損損失の戻入れは、純損益として認識しております。
なお、のれんについては、減損損失の戻入れを行っておりません。
(15) リース
契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合に、リース取引を認識し、リース取引における使用権資産及びリース負債をリースの開始日に認識しております。契約がリースであるか否か、又はリースが含まれているか否かについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、契約の実質に基づき判断しております。
リース負債は、リース開始日におけるリース料総額の未決済分の割引現在価値として測定を行っております。使用権資産については、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務等のコストを加えた額で当初の測定を行っております。
リース料は、リース負債残高に対して一定の利子率となるように、金融費用とリース負債残高の返済部分とに配分しており、当該金融費用は純損益として認識しております。
使用権資産は、原資産の所有権がリース期間の終了時までに借手に移転する場合又は、使用権資産の取得原価が購入オプションを行使することを反映している場合には耐用年数で、それ以外の場合は耐用年数とリース期間のいずれか短い期間で、規則的に減価償却を行っております。
なお、リース期間が12ヵ月以内に終了するリース及び原資産が少額であるリースについて、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり規則的に費用として認識しております。
(16) 引当金
引当金は、当社グループが過去の事象の結果として現在の債務(法的又は推定的)を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しております。
貨幣の時間価値の影響に重要性がある場合には、債務を決済するために必要となると見込まれる支出の現在価値で測定しております。現在価値の算定には、貨幣の時間価値と負債に固有のリスクについての現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いております。
(17) 退職給付
当社グループは、従業員の退職給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を運営しております。
当社グループは、確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を、予測単位積増方式を使用して制度ごとに個別に算定しております。
割引率は、期末日時点の優良社債の利回りに基づき算定しております。
確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。
確定給付制度に係る負債又は資産の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識した後、直ちに利益剰余金に反映しております。また、過去勤務費用は、発生した期の費用として認識しております。
確定拠出制度に係る費用は、拠出した期の費用として認識しております。
(18) 資本
① 普通株式
普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、その支払対価を資本の控除項目として認識しております。
自己株式を処分した場合には、帳簿価額と処分時の対価の差額を資本剰余金として認識しております。
(19) 株式報酬
当社及び一部の子会社では、持分決済型の株式報酬制度を採用しております。
持分決済型の株式報酬制度では、受け取ったサービスを、付与した資本性金融商品の付与日における公正価値で測定しております。付与した資本性金融商品が直ちに確定する場合には、付与日において受け取ったサービスの全額を費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。付与した資本性金融商品が一定期間後に確定する場合には、付与日から権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。
(20) 金融商品
① 金融資産(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、営業債権をIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に基づき、履行義務を充足し対価に対する無条件の権利を取得した時点で当初認識しております。その他のすべての金融資産は、当社グループが当該金融資産の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
金融資産は、純損益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、償却原価で測定する金融資産に分類しております。当社グループは、当初認識においてその分類を決定しております。
負債性金融資産は、次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
また、次の条件がともに満たされる負債性金融資産は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。それ以外の負債性金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローの回収及び金融資産の売却を目的とした事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
資本性金融資産についてはトレーディング目的を除き、個々に純損益を通じて公正価値で測定するか、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するかを指定し、当該指定を継続的に適用しております。
金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、公正価値に、当該金融資産に直接帰属する取引コストを加算した金額で測定しております。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定しております。
(b) その他の金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定しております。
公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動額は、純損益若しくはその他の包括利益として認識しております。
資本性金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、公正価値の変動額はその他の包括利益として認識し、認識を中止した場合、あるいは公正価値が著しく下落した場合には利益剰余金に振り替えております。
(ⅲ)認識の中止
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産を譲渡し、ほとんどすべてのリスクと経済価値が移転した場合にのみ、金融資産の認識を中止しております。
当社グループがリスクと経済価値のほとんどすべてを移転しないが保持もせず、譲渡した金融資産に対する支配を保持している場合には、当社グループは、継続的関与の範囲で当該金融資産に対する留保持分及び関連して支払う可能性がある負債を認識しております。
(ⅳ)減損
当社グループは、金融資産及び金融保証契約の減損の認識にあたっては、期末日ごとに償却原価で測定する金融資産又は金融資産グループ若しくは金融保証契約に当初認識時点からの信用リスクの著しい増加があるかどうかに基づいております。
なお、償却原価で測定する金融資産又は金融資産グループについて、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12ヵ月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。ただし、営業債権については、当初から残存期間にわたる予想信用損失を認識しております。
当初認識時点から信用リスクの著しい増加があった場合には、残存期間にわたる予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。信用リスクが著しく増加しているか否かは、デフォルトリスクの変化に基づいて判断しており、デフォルトリスクに変化があるかどうかの判断にあたっては、主に延滞(期日超過情報)を考慮しております。
また、予想信用損失は、契約上受け取ることのできる金額と、過去の信用損失等に基づいて受取りが見込まれる金額との差額の割引現在価値に基づいて測定しております。
② 金融負債(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債と償却原価で測定する金融負債とに分類しております。当社グループは、当初認識においてその分類を決定しております。
当社グループは、すべての金融負債を公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、公正価値から当該金融負債に直接帰属する取引コストを控除した金額で測定しております。
(ⅱ)事後測定
金融負債の当初認識後は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、公正価値で測定しております。当初認識後、公正価値の変動の内、当社グループの信用リスクの変動に関連する部分はその他の包括利益として認識し、残額は純損益として認識しております。
(b) 償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失は、純損益として認識しております。
(ⅲ)認識の中止
金融負債は、義務の履行、免除又は失効並びに大幅に異なる条件による交換、又は大幅に異なる条件に変更した場合に認識を中止しております。
③ 複合金融商品
当社グループは、複合金融商品の負債部分を、資本への転換オプションがない類似の負債の公正価値により測定し、当初認識しております。資本部分は、当該複合金融商品全体の公正価値から負債部分の公正価値を控除した金額で測定し、当初認識しております。直接取引コストは負債部分と資本部分の当初の帳簿価額の比率に応じて配分しております。当初認識後は、複合金融商品の負債部分は実効金利法を用いた償却原価により測定しております。複合金融商品の資本部分については、当初認識後の再測定は行っておりません。
④ 金融商品の相殺
金融資産と金融負債は、認識した金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、かつ純額で決済するか又は資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で計上しております。
⑤ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替リスクや金利リスクをヘッジするために、それぞれ為替予約、金利スワップ契約等のデリバティブを利用しております。これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初測定し、その後も公正価値で再測定しております。
デリバティブの公正価値変動額は、純損益として認識しております。ただし、キャッシュ・フロー・ヘッジ及び在外営業活動体に対する純投資のヘッジの有効部分は、その他の包括利益として認識しております。
当社グループは、ヘッジ関係の開始時に、ヘッジ会計を適用しようとするヘッジ関係並びにヘッジを実施するにあたってのリスク管理目的及び戦略について、公式に指定及び文書化を行っております。当該文書は、具体的なヘッジ手段、ヘッジ対象となる項目又は取引並びにヘッジされるリスクの性質及びヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動に対するエクスポージャーを相殺する際のヘッジ手段の公正価値変動の有効性の評価方法(ヘッジ非有効部分の発生原因の分析及びヘッジ比率の決定方法を含む。)等を含めております。当社グループは、ヘッジ関係の指定時に及び継続的に、ヘッジ取引に利用したデリバティブがヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するために有効であるか評価しております。具体的には、ヘッジ対象とヘッジ手段との間の経済的関係が相殺をもたらす場合においてヘッジが有効であると判断しております。
ヘッジ会計に関する要件を満たすヘッジは、IFRS第9号「金融商品」に基づき以下のとおり分類し、会計処理を行っております。
(a) 公正価値ヘッジ
デリバティブの公正価値変動は、純損益として認識しております。ヘッジされるリスクに起因するヘッジ対象の公正価値変動については、ヘッジ対象の帳簿価額を修正し純損益として認識しております。
(b) キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち有効部分はその他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに純損益として認識しております。
その他の包括利益に計上したヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えております。ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益として認識している金額は、非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
予定取引の発生がもはや見込まれない場合には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益を純損益に振り替えております。ヘッジ手段が失効、売却、又は他のヘッジ手段への入替えや更新が行われずに終了又は行使された場合、若しくはリスク管理目的の変更等ヘッジ会計が中止された場合には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益は、予定取引が発生するまで引き続き資本に計上しております。
(c) 在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
在外営業活動体に対する純投資のヘッジについては、キャッシュ・フロー・ヘッジと同様の方法で会計処理しております。ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち、有効部分はその他の包括利益で認識し、非有効部分は純損益として認識しております。在外営業活動体の処分時には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益を純損益に振り替えております。
⑥ 金融商品の公正価値
期末日現在で活発な金融市場において取引されている金融商品の公正価値は、市場における公表価格又はディーラー価格を参照しております。
活発な市場が存在しない金融商品の公正価値は、適切な評価技法又は取引先金融機関から提示された価格を参照して算定しております。
4.事業セグメント
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。なお、報告にあたって事業セグメントの集約は行っておりません。
当社グループは、4つの事業領域、「機能商品」、「ケミカルズ」、「産業ガス」及び「ヘルスケア」を報告セグメントとしております。
各報告セグメントの事業内容は、以下のとおりです。
報告セグメントの会計方針は、注記「3.重要な会計方針」で記載している当社グループの会計方針と同一です。なお、セグメント間の取引は、主に市場実勢価格に基づいております。
(2) セグメント収益及び業績
当社グループの報告セグメントによる収益及び業績は、以下のとおりです。当社グループは、セグメント損益に基づき、セグメントの業績を評価しております。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、その主なものはエンジニアリング、運送及び倉庫業です。
2 セグメント損益の調整額には、各報告セグメントに配分していない全社費用△14,345百万円及びセグメント間消去取引△1,195百万円が含まれております。全社費用は、報告セグメントに帰属しない基礎的試験研究費等です。
また、セグメント資産の調整額には、各報告セグメントに配分していない全社資産106,607百万円及びセグメント間消去取引等△613,756百万円が含まれております。全社資産は、報告セグメントに帰属しない金融資産等です。
3 セグメント損益は、営業利益(又は損失)から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出したコア営業利益で表示しております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、その主なものはエンジニアリング、運送及び倉庫業です。
2 セグメント損益の調整額には、各報告セグメントに配分していない全社費用△14,537百万円及びセグメント間消去取引48百万円が含まれております。全社費用は、報告セグメントに帰属しない基礎的試験研究費等です。
また、セグメント資産の調整額には、各報告セグメントに配分していない全社資産179,663百万円及びセグメント間消去取引等△619,159百万円が含まれております。全社資産は、報告セグメントに帰属しない金融資産等です。
3 セグメント損益は、営業利益(又は損失)から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出したコア営業利益で表示しております。
4 多発性硬化症治療剤ジレニアのロイヤリティの一部の支払義務に関する仲裁手続きに入って以降、当該部分につきましてはIFRS第15号に従い売上収益の認識を行っていませんでしたが、仲裁判断の結果を受けて、当連結会計年度の第4四半期連結会計期間に売上収益125,883百万円を認識しております。詳細は、注記「5.売上収益」に記載のとおりです。
5 当連結会計年度より「その他」に含めていたキャッシュ・マネジメントシステム(CMS)等によるグループファイナンスの運営について「調整額」として表示する方法に見直しております。なお、前連結会計年度のセグメント情報についても、変更後の区分方法により作成しております。
セグメント損益から、税引前利益への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 事業譲渡益の詳細については、注記「8.その他の営業収益及びその他の営業費用」に記載しております。
2 減損損失の詳細については、注記「14.減損損失」に記載しております。
3 工場閉鎖関連損失引当金繰入額の詳細については、注記「27.引当金」に記載しております。
外部顧客からの売上収益及び非流動資産の地域別内訳は、以下のとおりです。
外部顧客からの売上収益
(注) 売上収益は、販売仕向先の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
非流動資産
(注) 非流動資産は、資産の所在地によっており、金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を含んでおりません。
売上収益の10%以上を占める単一の外部顧客が存在しないため、記載を省略しております。
5.売上収益
当社グループは、4つの事業領域(「機能商品」、「ケミカルズ」、「産業ガス」及び「ヘルスケア」)において幅広く海外に事業展開しており、販売仕向先の所在地により区分した売上収益を経営者に定期的に報告しております。販売仕向先の所在地により区分した売上収益と注記「4.事業セグメント」で記載しているセグメント売上収益との関連は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 金額は外部顧客からの売上収益で表示しております。
2 売上収益は、そのほとんどが顧客との契約から認識した収益であり、その他の源泉から認識した収益に重 要性はありません。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 金額は外部顧客からの売上収益で表示しております。
2 売上収益は、そのほとんどが顧客との契約から認識した収益であり、その他の源泉から認識した収益に重 要性はありません。
機能商品セグメントにおいては、ポリマーズ&コンパウンズ事業(ポリマーズ及びコーティング・アディティブス)、フィルムズ&モールディングマテリアルズ事業(フィルムズ及びモールディングマテリアルズ)及びアドバンストソリューションズ事業(アメニティライフ及びインフォメーション・エレクトロニクス)を行っており、国内外の顧客に販売しております。主要な事業内容については、注記「4.事業セグメント」に記載しております。
製品販売については、製品の支配が顧客に移転したとき、すなわち、製品を顧客の指定した場所へ配送し引き渡した時点で、顧客に製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が移転するため、その時点で履行義務を充足したと判断し、収益を認識しております。これらの製品の販売による収益は、顧客との契約に係る取引価格で測定しております。
また、収益は顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベート及び返品などを控除した金額で測定しております。リベートなどの見積りは過去の実績などに基づく最頻値法を用いており、収益は重大な戻入れが発生しない可能性が非常に高い範囲でのみ認識しております。なお、製品の販売契約における対価は、履行義務の充足時点である製品の引き渡し後、概ね1年以内に受領しており、重要な金利要素は含んでおりません。
ケミカルズセグメントにおいては、MMA事業、石化事業及び炭素事業を行っており、国内外の顧客に販売しております。主要な事業内容については、注記「4.事業セグメント」に記載しております。
これらの事業の製品販売における履行義務を充足する時点、取引価格の算定及び支払条件等については、機能商品セグメントと同様です。
産業ガスセグメントにおいては、鉄鋼、化学、エレクトロニクス産業向けなどのガス事業及びステンレス魔法瓶など家庭用品の製造等の事業を行っており、国内外の顧客に販売しております。
これらの事業の製品販売における履行義務を充足する時点、取引価格の算定及び支払条件等については、機能商品セグメントと同様です。
ヘルスケアセグメントにおいては、医薬品事業(医療用医薬品の研究開発・製造)及びライフサイエンス事業(医薬原薬・中間体の製造)を行っており、国内外の顧客に販売しております。
これらの事業の製品販売における履行義務を充足する時点、取引価格の算定及び支払条件等については、機能商品セグメントと同様です。
また、医薬品事業におけるロイヤリティ等収入は、当社グループが第三者に製品の製造や販売、技術の使用等を認めた契約による収入です。契約一時金は、履行義務が一時点で充足される場合には、使用等を許諾した時点で収益を認識し、履行義務が一時点で充足されない場合には、繰延収益として計上し、履行義務の充足に従い一定期間にわたって収益を認識しております。マイルストンペイメントは、契約上のマイルストンが達成された時点で、重大な戻入れが発生しない可能性が非常に高い範囲でのみ収益を認識しております。ランニング・ロイヤリティは契約先の売上等を算定基礎として測定し、その発生時点を考慮して収益を認識しております。なお、ロイヤリティ等収入は、契約に基づく権利の確定時点から概ね1年以内に受領しており、重要な金利要素は含んでおりません。
ロイヤリティ等収入に関して、田辺三菱製薬㈱は、2019年2月にNovartis Pharma社(本社:スイス・バーゼル市)(以下「Novartis社」)から仲裁の申立てを受けました。Novartis社は同社に対して、1997年に同社と締結したライセンス契約(以下「本件契約」)の規定の一部は無効であり、Novartis社にはロイヤリティの一部の支払義務がないと主張しておりました。同社は、Novartis社が本件契約に従って支払うべきロイヤリティの全額を受領する権利があると主張し、仲裁において適切にこの権利を追求しました。当該仲裁手続に入ったことに伴い、ロイヤリティの一部について、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行わず、その他の非流動負債に計上しておりましたが、仲裁廷より本件契約の規定は全部有効であるとの判断が2023年2月になされた結果、当連結会計年度に売上収益125,883百万円を認識しております。
(2) 契約残高
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び負債は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
当社グループでは、主に進行中の工事に対する対価に対して契約資産を計上し、顧客からの前受金、繰延収益及び導出取引に伴う繰延収益に対して契約負債を計上しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、認識した収益のうち期首現在の契約負債残高に含まれていた金額は12,571百万円及び15,813百万円です。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の金額は12,067百万円及び139,487百万円です。
当連結会計年度における契約負債の重大な変動は、前連結会計年度末においてヘルスケアセグメントの製品供給に関連して受領していた前受金14,784百万円の一部が契約負債として認識するための要件を満たさなくなったためその他の負債の契約負債から同科目の他の負債項目へ振り替えたことによるものです。
前連結会計年度の契約資産及び契約負債、当連結会計年度の契約資産の残高に重大な変動はありません。
残存履行義務に配分した取引価格の総額及び収益の認識が見込まれる期間は以下のとおりです。なお、個別の予想契約期間が1年以内の取引は含みません。また、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
(単位:百万円)
前連結会計年度及び当連結会計年度において、顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産はありません。なお、認識すべき資産の償却期間が1年以内である場合には、実務上の便法を使用し、発生時に費用として認識しております。
6.従業員給付費用
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書上に含まれる従業員給付費用の合計額は、それぞれ635,577百万円及び682,400百万円であり、従業員給付費用には、給与、賞与、法定福利費及び退職給付に係る費用等を含めており、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「その他の営業収益及びその他の営業費用」に計上しております。
なお、特別退職金については「8.その他の営業収益及びその他の営業費用」、退職給付に係る費用については「26.退職給付」に記載のとおりです。
7.研究開発費
前連結会計年度及び当連結会計年度において、費用として認識した研究開発費は、それぞれ156,584百万円及び149,467百万円です。
前連結会計年度においてメディカゴ社(カナダ)が受け取った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防をめざした植物由来のウイルス様粒子(Virus Like Particle)ワクチン(開発番号:MT-2766)の開発に対する政府補助金については研究開発費から控除しております。
8.その他の営業収益及びその他の営業費用
その他の営業収益の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1 前連結会計年度には田辺三菱製薬㈱の加島事業所等の売却益が含まれており、当連結会計年度にはヘルスケアセグメントにおける無形資産の譲渡益が含まれております。
2 前連結会計年度の事業譲渡益60,838百万円は、三菱ケミカル㈱及び三菱ケミカルハイテクニカ㈱の結晶質アルミナ繊維事業の譲渡に係るものです。
その他の営業費用の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1 減損損失の詳細については、注記「14.減損損失」に記載しております。
2 当連結会計年度において、三菱ケミカル・ユーケー社(イギリス)のキャッセル工場におけるMMA関連製品の生産終了を決定したことに関連して減損損失39,251百万円、工場閉鎖関連損失引当金繰入額26,726百万円、特別退職金1,999百万円及びその他の関連損失720百万円を計上しております。なお、工場閉鎖関連損失引当金繰入額の詳細については、注記「27.引当金」に記載しております。
3 当連結会計年度において、VLPワクチンの商用化の断念及びメディカゴ社(カナダ)の事業から撤退し清算を進めることを決定したことに関連して減損損失47,358百万円、事業整理損失引当金繰入額4,495百万円、特別退職金3,805百万円及び事業整理損失1,776百万円を計上しております。
4 退職給付制度改定損の詳細については、注記「26.退職給付」に記載しております。
前連結会計年度において、結晶質アルミナ繊維事業の譲渡に関連して、事業譲渡益60,838百万円と併せて特別退職金1,330百万円、固定資産除却損1,121百万円、減損損失391百万円及びその他の関連損失379百万円を計上しております。
9.金融収益及び金融費用
金融収益の内訳は、以下のとおりです。
金融費用の内訳は、以下のとおりです。
10.法人所得税
(1) 繰延税金資産及び繰延税金負債
繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別内訳及び増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(注) その他には在外営業活動体の換算差額のほか、企業結合等に伴う増減が含まれております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1 その他には在外営業活動体の換算差額のほか、企業結合等に伴う増減が含まれております。
2 繰延税金資産の純損益として認識にはメディカゴ社(カナダ)の清算の決定に伴い同社への投資に関連する将来減算一時差異について繰延税金資産を認識したことにより計上した48,383百万円及び多発性硬化症治療剤ジレニアのロイヤリティにかかる仲裁判断の結果を受けて収益を認識し、将来減算一時差異が解消したことにより計上した△33,557百万円が含まれております。
なお、メディカゴ社の清算の詳細については注記「14.減損損失」に、仲裁判断の結果を受けた収益認識の詳細については注記「5.売上収益」に記載しております。
繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異及び繰越欠損金の一部又は全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来課税所得及びタックス・プランニングを考慮しております。また、将来の課税所得の見積りは、将来の事業計画を基礎としており、そこでの主要な仮定は、主に売上収益の予測です。認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び将来減算一時差異と繰越欠損金の解消が予測される期間における将来課税所得の予測に基づき、回収される可能性が高いと考えております。なお、これらの仮定は、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、将来の課税所得の結果が予測・仮定と異なる場合は繰延税金資産の回収可能性の評価が異なる可能性があります。
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の金額(所得ベース)は、以下のとおりです。
なお、上記に対応する未認識の繰延税金資産は、以下のとおりです。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除(所得ベース)の失効期限別の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、繰延税金負債を認識していない子会社等の未分配利益に関連する一時差異の合計額は、それぞれ1,354,648百万円及び1,397,268百万円です。
当社グループが一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な期間内で一時差異が解消しない可能性が高い場合には、当該一時差異に関連する繰延税金負債を認識しておりません。
(2) 法人所得税
法人所得税の内訳は、以下のとおりです。
(3) 実効税率の調整表
当社は、主に法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎とした法定実効税率は前連結会計年度及び当連結会計年度において、ともに30.6%です。なお、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されております。
法定実効税率と実際負担税率との差異について、原因となった主要な項目の内訳は、以下のとおりです。
11.1株当り当期利益
基本的及び希薄化後1株当り当期利益の算定上の基礎は、以下のとおりです。
(注) 基本的及び希薄化後1株当り当期利益の算定上、役員報酬BIP信託が保有する当社株式を、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
12.のれん及び無形資産
(1) 増減表
無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
取得原価
償却累計額及び減損損失累計額
帳簿価額
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
取得原価
償却累計額及び減損損失累計額
帳簿価額
前連結会計年度及び当連結会計年度において、重要な自己創設資産はありません。
無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
(2) 重要な無形資産
連結財政状態計算書に計上されている重要な無形資産は、以下のとおりです。
・2010年3月の当社による三菱レイヨン㈱(現 三菱ケミカル㈱)の株式取得により取得した「技術に係る無形資産」
帳簿価額は前連結会計年度10,926百万円、当連結会計年度8,786百万円であり、残存償却年数は2~6年です。
・2014年11月の当社による大陽日酸㈱(現 日本酸素ホールディングス㈱)の株式取得により取得した「顧客に係る無形資産」
帳簿価額は前連結会計年度21,450百万円、当連結会計年度19,346百万円であり、残存償却年数は5~10年です。
・2017年10月の田辺三菱製薬㈱によるニューロダーム社の買収により取得した「技術に係る無形資産」
帳簿価額は前連結会計年度50,058百万円、当連結会計年度54,614百万円であり、耐用年数を確定できない無形資産に分類しております。
・2018年12月の大陽日酸㈱(現 日本酸素ホールディングス㈱)による欧州事業の取得等により計上したニッポン・ガシズ・ユーロ・ホールディング社が保有する「顧客に係る無形資産」
帳簿価額は前連結会計年度188,326百万円、当連結会計年度188,773百万円であり、残存償却年数は主に25年です。
・2020年10月の三菱ケミカルアメリカ社によるジェレスト社の買収により取得した「技術に係る無形資産」
帳簿価額は前連結会計年度29,146百万円、当連結会計年度29,692百万円であり、残存償却年数は主に12年です。
・2022年9月の田辺三菱製薬㈱において、Eli Lilly and Companyに対して日本国内における医薬品の販売権許諾の対価を支払ったことにより計上した「技術に係る無形資産」
帳簿価額は当連結会計年度11,823百万円であり、残存償却年数は10年です。
(3) 耐用年数を確定できない無形資産
耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ66,695百万円及び63,127百万円です。主なものはヘルスケアセグメントの田辺三菱製薬㈱が2017年にニューロダーム社を買収した際に認識された仕掛研究開発費であり、「技術に係る無形資産」に含まれております。当該資産は研究開発の段階にあり、未だ規制当局の販売承認が得られていないもので使用可能な状態にないため、将来の経済的便益が流入する期間が予見可能でないと判断し、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産に分類しております。
当該資産については、減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に減損テストを実施しております。減損テストに際し、無形資産の回収可能価額は、使用価値により測定しております。
使用価値の算定にあたっては、経営者によって承認された事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を使用しております。事業計画は、過去の経験及び外部からの情報に基づいたものであり、原則として、合理的な理由がある場合を除き、5年を限度としており、主要な仮定は、規制当局の販売承認の取得の可能性、上市後の売上収益の予測及び割引率です。割引率については、税引前の加重平均資本コストを使用しており、前連結会計年度は6.5%~10.9%、当連結会計年度は8.2%~15.0%です。また、ニューロダーム社に係る仕掛研究開発費の年次の減損テストにおける割引率は、前連結会計年度は10.9%、当連結会計年度は15.0%です。なお、前連結会計年度は割引率が1.8%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性がありました。当連結会計年度は割引率が1.3%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。
これらの仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば回収可能価額の算定結果が異なる可能性があります。
また、耐用年数を確定できない無形資産について認識した減損損失は、注記「14. 減損損失」に記載のとおりです。
(4) のれん
資金生成単位(資金生成単位グループ)に配分されたのれんの帳簿価額は、以下のとおりです。
資金生成単位グループののれんの回収可能価額は、使用価値により測定しております。
使用価値は、過去の経験と外部からの情報を反映させて作成され、経営者によって承認された5年を限度とする事業計画を基礎とし、事業計画の予測の期間を超えた後(5年を超える期間)は、将来の不確実性を考慮し、成長率を0%と仮定して事業計画の最終年度のキャッシュ・フロー金額と同額で推移すると仮定しております。将来キャッシュ・フローの見積額は主として、売上収益の予測及び市場の成長率に影響を受けます。なお、主要な仮定は、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば回収可能価額の算定結果が異なる可能性があります。
回収可能価額の算定に利用している割引率は、以下のとおりです。
なお、製剤材料に配分されたのれんについて、前連結会計年度は割引率が0.4%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性がありました。当連結会計年度は割引率が1.9%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。
13.有形固定資産
(1) 増減表
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
取得原価
減価償却累計額及び減損損失累計額
(注) 1 建設仮勘定の個別取得には新規取得による増加額のほか、各有形固定資産科目への振替額(△)を含めた純額で表示しております。
2 振替には売却目的で保有する資産への振替が含まれております。
帳簿価額
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
取得原価
減価償却累計額及び減損損失累計額
(注) 1 建設仮勘定の個別取得には新規取得による増加額のほか、各有形固定資産科目への振替額(△)を含めた純額で表示しております。
2 振替には売却目的で保有する資産への振替が含まれております。
帳簿価額
前連結会計年度と当連結会計年度において、使用権資産の増加額は、それぞれ20,831百万円と26,926百万円です。
有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
建設中の有形固定資産に関する支出額は、建設仮勘定として記載しております。
(2) 使用権資産(リース資産)
有形固定資産に含まれる使用権資産の帳簿価額は、以下のとおりです。
14.減損損失
当社グループは、原則として、ビジネスユニットを基本として事業、製造工程、地域等の関連性に基づき資産のグルーピングを実施しております。なお、遊休資産については、個別資産別に減損損失の認識の判定を行っております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における減損損失は、以下のとおりです。減損損失は、連結損益計算書の「その他の営業費用」に含めております。
(減損損失)
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度において、耐用年数を確定できない無形資産にかかる減損損失がそれぞれ16,166百万円及び1,463百万円含まれております。
減損損失を認識した主な資産は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至2022年3月31日)
(有形固定資産及び無形資産)
1.蒸気タービン設備
三菱ケミカル・ユーケー社のキャッセル工場において建設中であった蒸気タービン設備の一部について、建設計画の中止を決定したことに伴い、当該設備(建設仮勘定)について帳簿価額全額を減額し、減損損失3,349百万円を計上いたしました。なお、回収可能価額は使用価値に基づいており、その価値を零としております。
2.変形性関節症治療薬の開発
変形性関節症の治療薬(MT-5547)について事業環境の変化を受けて事業計画を見直した結果、回収可能価額が帳簿価額を下回ったため、当該技術に係る無形資産(開発段階にある導入契約により取得した権利)の帳簿価額を回収可能価額923百万円まで減額し、減損損失15,797百万円を計上いたしました。当該技術に係る無形資産は、耐用年数を確定できない無形資産に分類しております。
なお、回収可能価額は、使用価値に基づき算定しております。使用価値の算定にあたって用いられた主な仮定は規制当局の販売承認の取得の可能性、上市後の売上収益の予測及び割引率であり、使用価値は、過去の経験及び外部からの情報に基づいて、製品の特許期間やライフサイクル等を考慮した5年超の計画期間に基づき算定しており、将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて算定しております。
また、割引率については、当該資金生成単位の税引前の加重平均資本コスト6.5%を使用しております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至2023年3月31日)
(有形固定資産及び無形資産)
(のれん)
1.三菱ケミカル・ユーケー社キャッセル工場のMMA生産設備
MMA事業を包括的に検討した結果、三菱ケミカル・ユーケー社のキャッセル工場におけるMMA関連製品の生産活動については、経済的持続性を維持できないとの結論に達したため、同工場におけるMMA関連製品の生産を終了することを決定しました。その結果、投資の回収が見込めなくなったため、当該工場設備について帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失39,251百万円(内、機械装置20,720百万円、その他18,531百万円)を計上しております。
なお、回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により測定しております。処分コスト控除後の公正価値は売却見込額、または売却が困難であるものについては零としており、公正価値ヒエラルキーはレベル3です。
2.メディカゴ社のワクチン製造設備及び同社の事業に関連するのれん
メディカゴ社は、植物由来ウイルス様粒子(Virus Like Particle、以下「VLP」)技術を用いた新規ワクチンの研究開発に特化したバイオ医薬品会社であり、2022年2月には新型コロナウイルス感染症の予防を適応として開発してきたVLPワクチンがカナダにおいて承認され、商用規模生産の移行に向け準備を進めておりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症を取り巻く環境は大きく変化しており、現状の新型コロナウイルスワクチンの世界的な需要及び市場環境と、商用規模生産の移行への同社の課題を包括的に検討した結果、当VLPワクチンの商用化を断念するという結論に至りました。また、同社が保有する開発品の今後の事業化においても、更なる投資を継続的に行うことが困難であると判断し、当該事業から撤退し清算を進めることを決定いたしました。その結果、投資の回収が見込めなくなったため、同社のワクチン製造設備及び同社の事業に関連するのれんについて帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失47,358百万円(内、建設仮勘定31,762百万円、のれん6,739百万円、その他8,857百万円)を計上しております。
回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により測定しております。処分コスト控除後の公正価値は売却見込額、または売却が困難であるものについては零としており、公正価値ヒエラルキーはレベル3です。
15.持分法で会計処理されている投資
投資の帳簿価額及び当期包括利益に対する持分取込額
個別に重要でない持分法で会計処理されているジョイント・ベンチャーに対する投資の帳簿価額は、以下のとおりです。
持分法で会計処理されているジョイント・ベンチャーの当期包括利益に対する持分取込額は、以下のとおりです。
個別に重要でない持分法で会計処理されている関連会社に対する投資の帳簿価額は、以下のとおりです。
持分法で会計処理されている関連会社の当期包括利益に対する持分取込額は、以下のとおりです。
16.その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は、以下のとおりです。
株式及び出資金は主にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性の金融資産、未収入金及び定期預金は主に償却原価で測定する金融資産、デリバティブ資産は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産(ヘッジ会計を適用しているものを除きます。)にそれぞれ分類しております。
また、その他には条件付対価契約に関する金融資産が含まれており、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性の金融資産の主な銘柄、及び公正価値は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
上記に加え、活発な市場における公表価格が入手できないその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性の金融資産を保有しており、主に化学工業関連銘柄、ヘルスケア関連銘柄及び産業ガス関連銘柄により構成されております。
化学工業関連銘柄における投資は、前連結会計年度末83,422百万円、当連結会計年度末69,807百万円です。ヘルスケア関連銘柄における投資は、前連結会計年度末8,602百万円、当連結会計年度末9,648百万円です。産業ガス関連銘柄における投資は、前連結会計年度末8,810百万円、当連結会計年度末9,437百万円です。
株式は主に取引・協業関係、金融取引関係の維持・強化等を目的として保有しているため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性の金融資産に指定しております。
保有資産の効率化及び有効活用を図るため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性の金融資産の売却(認識の中止)を行っております。売却時の公正価値及び売却に係る累積利得又は損失(税引前)は、以下のとおりです。その他の資本の構成要素として認識していた累積利得又は損失(税引後)は、売却時に利益剰余金に振り替えております。
(単位:百万円)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性の金融資産について、認識された受取配当金は以下のとおりです。
(単位:百万円)
17.その他の資産
その他の資産の内訳は、以下のとおりです。
(注) 詳細は、注記「5.売上収益」に記載のとおりです。
18.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、棚卸資産のうち、正味実現可能価額で評価した金額は、それぞれ86,174百万円及び125,244百万円です。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、費用として認識した棚卸資産の評価減の金額は、それぞれ5,783百万円及び11,378百万円です。
19.営業債権
営業債権の内訳は、以下のとおりです。
営業債権は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
20.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、以下のとおりです。
21.売却目的で保有する資産
売却目的で保有する資産及びそれに直接関連する負債の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年3月31日)
前連結会計年度末において売却目的で保有する資産とそれに直接関連する負債のうち、主なものは以下のとおりです。
・当社グループが保有している政策保有株式
当社グループでは政策保有株式について継続的に保有意義の検証を行っており、検証の結果、保有意義が乏しいため売却を決定した株式のうち、前連結会計年度末において1年以内に売却予定の株式を売却目的保有に分類しております。当該株式は主に上場株式であり、公正価値ヒエラルキーはレベル1です。
なお、前連結会計年度末において売却目的保有に分類した政策保有株式は、当連結会計年度末時点において概ね売却を完了しております。
前連結会計年度末において、売却目的で保有する資産に関連するその他の資本の構成要素は、3,594百万円です。
当連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度末において売却目的で保有する資産とそれに直接関連する負債のうち、主なものは以下のとおりです。
①機能商品セグメントにおける持分法で会計処理されていたジョイント・ベンチャー(三菱エンジニアリングプラスチックス㈱)への投資
2022年2月に、ポートフォリオ改革の一環として、上記株式の一部譲渡を意思決定したことにより、当連結会計年度の第1四半期連結会計期間の末日から1年以内の売却が見込まれることから、譲渡予定の株式について持分法の適用を中止し、売却目的保有に分類しております。
なお、売却費用控除後の公正価値(売却予定価額)が帳簿価額を上回っているため、当該資産は帳簿価額で測定しております。
本譲渡は2023年4月に完了しております。
②機能商品セグメントにおける連結子会社である三菱ケミカルアグリドリーム㈱に係るもの
2023年3月に、ポートフォリオ改革の一環として、当社グループが保有する三菱ケミカルアグリドリーム㈱の全株式を譲渡する株式譲渡契約を締結したことにより、同社が保有する資産及び負債を売却目的保有に分類したものです。
なお、売却費用控除後の公正価値(売却予定価額)が帳簿価額を上回っているため、当該資産及び負債は帳簿価額により測定しております。
本譲渡は2023年9月を目途に売却を完了する予定です。
③その他セグメントにおける連結子会社であるアルファテック・ソリューションズ㈱に係るもの
2023年2月に、システム基盤の強化及び合理化の一環として、当社グループが保有するアルファテック・ソリューションズ㈱の全株式を譲渡する株式譲渡契約を締結したことにより、同社が保有する資産及び負債を売却目的保有に分類したものです。
なお、売却費用控除後の公正価値(売却予定価額)が帳簿価額を上回っているため、当該資産及び負債は帳簿価額により測定しております。
本譲渡は2023年4月に完了しております。
④当社グループが保有している政策保有株式
当社グループでは政策保有株式について継続的に保有意義の検証を行っており、検証の結果、保有意義が乏しいため売却を決定した株式のうち、当連結会計年度末において1年以内に売却予定の株式を売却目的保有に分類しております。当該株式は主に上場株式であり、公正価値ヒエラルキーはレベル1です。
当連結会計年度末において、売却目的で保有する資産に関連するその他の資本の構成要素は、4,428百万円です。
22.資本
(1) 資本金及び自己株式
授権株式数及び発行済株式数は、以下のとおりです。
(単位:千株)
株式は、すべて無額面の普通株式です。発行済株式は全額払込済みです。
自己株式の株式数の期中における増減は、以下のとおりです。
(単位:千株)
(注) 1 前連結会計年度における自己株式の株式数の増加は、単元未満株式の買取34千株によるものです。
当連結会計年度における自己株式の株式数の増加は、単元未満株式の買取29千株によるものです。
2 前連結会計年度における自己株式の株式数の減少は、株式報酬としての譲渡制限付株式交付による払出428千株、ストック・オプション行使による払出109千株、役員報酬BIP信託からの株式交付161千株、単元未満株式の売却2千株によるものです。
当連結会計年度における自己株式の株式数の減少は、株式報酬としての譲渡制限付株式交付による払出344千株、ストック・オプション行使による払出273千株、役員報酬BIP信託からの株式交付420千株、単元未満株式の売却1千株によるものです。
3 役員報酬BIP信託が保有する当社株式を含めて表示しております。
前連結会計年度末 2,833千株 当連結会計年度末 2,413千株
(2) 資本剰余金及び利益剰余金
資本剰余金は、資本取引から生じた金額のうち資本金に含まれない金額であり、資本準備金とその他の資本剰余金により構成されております。利益剰余金は、利益準備金とその他の利益剰余金により構成されております。
日本の会社法では、株式の発行に対しての払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本準備金に組み入れることが規定されております。資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
複合金融商品の資本要素として、転換社債型新株予約権付社債の発行時に資本要素として分類された金額が、その他の資本剰余金に計上されております。
また、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されております。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当することができ、また株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
(3) その他の資本の構成要素
その他の資本の構成要素は、以下のとおりです。
(その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の評価差額です。
(確定給付制度の再測定)
確定給付制度の再測定は、期首時点の数理計算上の仮定と実際の結果との差異による影響額及び数理計算上の仮定の変更による影響額です。これについては、発生時にその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から利益剰余金に直ちに振り替えております。
(在外営業活動体の換算差額)
外貨建てで作成された在外営業活動体の財務諸表を連結する際に発生した換算差額及び純投資ヘッジとして指定されたヘッジ手段に係る利得又は損失のうち、ヘッジ有効部分の累計額です。
(キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の純変動の有効部分)
キャッシュ・フロー・ヘッジに係るヘッジ手段の公正価値の変動から生じた利得又は損失のうち、ヘッジ有効部分の累計額です。
23.配当
配当金の支払額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(注) 2021年5月19日及び2021年11月2日の取締役会決議による配当金の総額には、役員報酬BIP信託が保有する当社株式(付与済の累積ポイント数に相当する株式を除きます。)に対する配当金がそれぞれ33百万円及び39百万円含まれております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 2022年5月19日及び2022年11月8日の取締役会決議による配当金の総額には、役員報酬BIP信託が保有する当社株式(付与済の累積ポイント数に相当する株式を除きます。)に対する配当金がそれぞれ39百万円及び35百万円含まれております。
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が当連結会計年度末後となるものは、以下のとおりです。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 配当金の総額には、役員報酬BIP信託が保有する当社株式(付与済の累積ポイント数に相当する株式を除きます。)に対する配当金35百万円が含まれております。
24.その他の包括利益
その他の包括利益の各項目の期中の変動額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
25.株式に基づく報酬
当社は、株主価値の共有及びサステナブルな企業価値・株主価値の向上を意識づけること等を目的として、以下の株式報酬制度を導入しております。
1 ストック・オプション制度
当社は、執行役(2015年3月期までは、社外取締役を除く取締役。以下同じ。)及び執行役員に対し、各事業年度の会社業績及び執行役又は執行役員(いずれも退任者を含みます。)の業務執行の状況、貢献度等を勘案し、報酬委員会の決議等に基づき、業績報酬として、株式報酬型ストック・オプションを付与しております。
当社が発行するストック・オプションは、すべて持分決済型株式報酬です。権利確定条件はありません。行使期間は主に付与日から20年であり、原則として、当社並びに当社の子会社の取締役、執行役、執行役員及び監査役のいずれの地位をも喪失した日の1年後の応当日の翌日から5年間に限り行使することができます。
なお、2020年3月期以降、新規に株式報酬型ストック・オプションの付与は行わないこととしております。
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度において、付与及び失効はありません。
ストック・オプションの権利行使価格は、すべて1株当り1円です。
期中に権利行使されたストック・オプションの行使日における加重平均株価は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ864.0円及び732.9円です。
期末時点で未行使のストック・オプションの加重平均残存契約年数は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ6.7年及び5.9年です。
(1) 株式報酬制度の内容
当社及び一部の子会社は、2019年3月期より、当社の執行役(2021年3月期まで)及び執行役員(国内非居住者を除きます。以下同じ。)並びに一部の子会社の代表取締役社長、執行役員を兼務する取締役及び執行役員(国内非居住者を除きます。当社の執行役及び執行役員と併せて、以下「業務執行役員」といいます。)を対象に、業績連動型株式報酬制度を導入しております。
本制度は、当社の中期経営計画の対象となる期間に対応した連続する5事業年度(当初は2019年3月期から2021年3月期の3事業年度。)を対象として、各事業年度の会社業績目標等の達成度の評価に基づき、各業務執行役員の役位に応じた数のポイントを毎期付与し、業務執行役員の退任後算定される当該累積ポイント数に相当する当社株式(1ポイントは当社株式1株とします。)等を役員報酬として交付等するインセンティブプランです。
本制度では、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託を用いています。当社及び一部の子会社が拠出する金員を原資として当社株式が本信託を通じて取得され、本信託を通じて業務執行役員に当社普通株式等が交付等されます。
本制度は、持分決済型の株式報酬として会計処理しております。
なお、本制度は、株式報酬制度の見直しに伴い、翌連結会計年度以降ポイント付与を行わないことといたしました。
(2) 期中に付与されたポイント数及びポイントの加重平均公正価値
期中に付与されたポイント数及びポイントの加重平均公正価値は、以下のとおりです。なお、ポイントの付与日における公正価値は、付与日の株価に近似していることから、付与日の株価を使用しております。
本制度に係る費用計上額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ216百万円及び32百万円であり、連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」並びに「売上原価」に計上しております。
3 譲渡制限付株式報酬制度
当社は、2021年3月期より、当社の執行役等を対象とする譲渡制限付株式報酬制度を導入しております。
本制度では、本制度の目的、当社の業績、各対象者の職責の範囲その他諸般の事情を勘案した基準額をもとに決定した数の普通株式を交付します。当該普通株式は、交付日から翌年3月31日の間、継続して当社又は当社子会社の取締役、執行役又は執行役員(以下「当社役員等」といいます。)の地位にあることを条件として、当社役員等を退任した時に譲渡制限が解除されます。
また、上記の他に当社執行役社長の就任時(2022年3月期)にサインオン・ボーナスとして、譲渡制限付株式を交付しました。当該譲渡制限付株式は、就任後3年間の各事業年度終了時において3分の1ずつ譲渡制限が解除されるものです。但し、譲渡制限が解除される前に当社執行役社長を退任した場合、譲渡制限未解除の株式については、当社が無償取得します。
本制度は、持分決済型の株式報酬として会計処理しております。
期中に付与された株式数及び株式の加重平均公正価値は、以下のとおりです。なお、株式の付与日における公正価値は、付与日の株価に近似していることから、付与日の株価を使用しております。
(3) 株式に基づく報酬費用
本制度に係る費用計上額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において267百万円及び321百万円であり、連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」に計上しております。
4 パフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)
当社は、前連結会計年度より、当社の執行役等を対象にPSUを導入しています。当社PSUは、3年間の当社の株主総利回り(TSR)の評価に基づき、当社株式を交付するか否か、及び交付する場合の株式数が決定される制度です。TSRの評価においては、インデックス(JPX日経インデックス400(配当込))成長率との比較及びピアグループ(当社と売上高や時価総額等が同規模の国内外の化学、ヘルスケア企業)における順位に基づき、評価係数(0%~200%)を決定します。交付する場合、当該評価係数を役位別の基準株式数に乗じて各対象者への交付株式数を決定することとなります。なお、対象期間中(3年間)継続して当社の執行役又は執行役員いずれかの地位にあることを株式交付の条件としております。
本制度は、持分決済型の株式報酬として会計処理しております。
期中に付与された基準株式数及び株式の加重平均公正価値は、以下のとおりです。なお、実際の交付株式数は、基準株式数の0%から200%の間で変動します。また、付与日における公正価値は、モンテカルロ・シミュレーションを用いて算定しております。
(注) 基準株式数には退任者分(前連結会計年度9千株、当連結会計年度37千株)が含まれております。
モンテカルロ・シミュレーションに使用した主な基礎数値(当社株式に係るもの)は、以下のとおりです。
(注) 付与日から対象期間終了日までの期間に対応する直前期間の株価実績に基づき算定しております。
(3) 株式に基づく報酬費用
本制度に係る費用計上額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ52百万円及び111百万円であり、連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」に計上しております。
26.退職給付
当社の連結子会社は、退職一時金制度と退職年金制度を設けております。退職年金制度は、確定給付型の制度と、確定拠出型の制度を採用又は併用しており、加えて一部の連結子会社は厚生年金基金制度に加入しております。確定給付型の年金制度には規約型年金制度と基金型年金制度があります。
(1) 確定給付制度
当社の連結子会社の確定給付制度のうち、主なものはキャッシュバランス型年金制度です。
キャッシュバランス型年金制度における給付額は、勤続年数、在職中の成果・貢献を踏まえたポイント等の諸条件に基づき設定しております。運用利回りは10年国債利回り等を考慮して決定しております。
キャッシュバランス型年金制度は、確定給付企業年金法等の法令に従い、当社の連結子会社、又は当社の連結子会社と法的に分離された企業年金基金により運営されております。当社の連結子会社、又は年金基金の理事会及び年金運用受託機関は、制度加入者の利益を最優先にして行動することが法令により求められており、所定の方針に基づき制度資産の運用を行う責任を負っております。
キャッシュバランス型年金制度のうち、規約型年金制度は厚生局の認可を得ている年金規約に基づき実施しております。積立金の管理及び運用に関しては、信託銀行等の運用受託機関との契約において、受託者の注意義務や損害賠償等につき定めております。
キャッシュバランス型年金制度のうち、基金型年金制度は企業年金基金によって実施されております。当該基金の理事は、基金のために忠実にその職務を遂行し、積立金の管理及び運用に関する基金の業務についてその任務を怠ったときは、基金に対して連帯して損害賠償責任を負います。
国内の一部の連結子会社は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、退職給付制度のうち退職年金制度を確定給付企業年金から確定拠出年金へ移行すること、及び60歳から65歳への定年延長についての規約改正を行うことを決定しました。これらの決定に伴う退職給付制度改定損益及び過去勤務費用は、制度改定を決定した連結会計年度に認識しております。また、確定拠出年金への移行に伴う確定給付制度債務及び制度資産の減少は、制度移行した連結会計年度に認識しております。
確定給付制度の連結財政状態計算書上の金額は、以下のとおりです。
確定給付制度に関して、連結損益計算書上、費用として認識した金額は、以下のとおりです。
確定給付制度債務の現在価値に係る変動は、以下のとおりです。
制度資産の公正価値に係る変動は、以下のとおりです。
確定給付制度債務の現在価値の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、以下のとおりです。
主要な数理計算上の仮定である割引率が変動した場合、確定給付制度債務の現在価値は前連結会計年度末及び当連結会計年度末において以下のとおり変動します。この感応度分析は、分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としております。
(注) 割引率は、給付が見込まれる期間に近似した満期を有する優良社債の利回りを参照して決定しているため、合理的に考えうる割引率の下限を0%として、感応度を分析しております。
制度資産の公正価値は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
当社の連結子会社は、年金給付金及び一時金等の支払いを将来にわたり確実に行うに十分な資産を確保するため、許容されるリスクの範囲内で、必要とされる総合収益を確保し、中長期的な拠出負担の軽減と給付のための財源の積立を図っております。
目標とする収益率を達成するために、中長期的な観点に基づいた政策的資産構成割合を定め、定期的に見直し、想定したリスクのもとでリターンを極大化するよう努めております。
確定給付制度への拠出は、給付に関する必要な費用にあてるため、標準掛金及び特別掛金を拠出しております。
掛金については、法令の定め等に従い、将来にわたり年金財政の均衡を保つことができるよう定期的に財政再計算を実施して定めております。財政再計算では、掛金の設定に係る各種基礎率(予定死亡率、予定脱退率、予定利率等)を見直し、掛金の妥当性を検証しております。
翌連結会計年度において、5,528百万円を掛金として制度資産へ拠出する予定です。
当社の連結子会社は、従業員の退職等に際して、割増退職金を支払う場合があります。
当社の一部の国内連結子会社は、退職給付信託を設定しております。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における確定給付債務の加重平均デュレーションは、それぞれ11.1年及び10.3年です。
(2) 確定拠出制度及び公的制度
確定拠出制度及び公的制度において費用として認識した金額は、以下のとおりです。
27.引当金
引当金の内訳及び増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注)1 三菱ケミカル・ユーケー社(イギリス)のキャッセル工場におけるMMA関連製品の生産終了を決定したことに関連して計上した工場閉鎖関連損失引当金繰入額及び特別退職金が含まれており、その期中増加額の主な内容は、購買契約解除に伴う違約金及び契約義務履行の費用等の契約上のコミットメントにかかる損失並びに工場の撤去にかかる費用です。なお、当該生産終了の詳細については、注記「14.減損損失」に記載しております。
2 メディカゴ社(カナダ)の清算を決定したことに関連して計上した事業整理損失引当金繰入額及び特別退職金が含まれております。なお、当該清算の詳細については、注記「14.減損損失」に記載しております。
3 前連結会計年度において「その他」に含めていた「工場閉鎖関連損失引当金」は、金額的重要性が高まったため、当連結会計年度より独立掲記することとし、前連結会計年度においても組替えて表示しております。
また、前連結会計年度において、独立掲記していた「環境対策引当金」は、金額的重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「その他」に含めて開示することとし、前連結会計年度においても組替えて表示しております。
資産除去債務
当社グループが使用する賃借不動産に対する原状回復義務等に備えて、過去の実績に基づき将来支払うと見込まれる金額を計上しております。これらの費用は主に1年以上経過した後に支払われることが見込まれておりますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
訴訟損失等引当金
訴訟における今後の和解金等の支払いや将来発生する可能性のある支出に備えるため、当該支出見積額を計上しております。主な訴訟損失等引当金は、以下のとおりです。
(1) HIV訴訟健康管理手当等引当金
HIV感染被害損害賠償請求訴訟における今後の発症者健康管理手当の支払いに備えて、将来支出すべき見積額を計上しております。
1996年3月締結の和解に関する確認書に基づき、和解に至ったエイズ発症患者を対象に現在までの支給実績を基準として算出した将来支出すべき見積額の現在価値相当額を計上しております。
(2) スモン訴訟健康管理手当等引当金
スモン訴訟における和解成立原告に対する健康管理手当及び介護費用の生涯支払見込額を計上しております。
(3) HCV訴訟損失引当金
HCV(C型肝炎ウイルス)感染被害による損害賠償請求訴訟の解決に向け公布・施行された「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」に基づき、将来発生する損失に備えて、給付金支給対象者及び給付金額等の見積りを基準として、当社の負担に帰する見積額を計上しております。
工場閉鎖関連損失引当金
工場の閉鎖を決定したことに伴い、関連する損失に備えるため、当該損失見積額を計上しております。これらの費用の支払時期は工場閉鎖に向けた計画の進捗状況により影響を受けます。
28.社債及び借入金
社債及び借入金の内訳は、以下のとおりです。
社債及び借入金は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
前連結会計年度末における短期借入金及び長期借入金の平均利率は、それぞれ0.721%及び0.983%です。
当連結会計年度末における短期借入金及び長期借入金の平均利率は、それぞれ2.684%及び1.882%です。
長期借入金の返済期限は、2023年から2059年です。
営業債権の譲渡により生じた借入金は、金融資産の認識の中止の要件を満たさない営業債権の譲渡に関連する負債です。
連結子会社営業債権の譲渡により生じた借入金は、連結子会社に対する営業債権の譲渡に関連する負債です。
社債の内訳は、以下のとおりです。
(注) *1:当社の発行しているものです。
*2:当社の連結子会社である日本酸素ホールディングス㈱の発行しているものです。
*3:当社の連結子会社である日本酸素ホールディングス㈱の発行しているものです。なお、2019年1月29日の翌日から2024年1月29日までは固定利率、2024年1月29日の翌日以降は変動利率(2024年1月30日に金利のステップアップが発生)です。
*4:当社の連結子会社である日本酸素ホールディングス㈱の発行しているものです。なお、2019年1月29日の翌日から2029年1月29日までは固定利率、2029年1月29日の翌日以降は変動利率(2029年1月30日に金利のステップアップが発生)です。
担保に供している資産及び担保付債務は、以下のとおりです。
担保に供している資産
担保付債務
29.財務活動に係る負債の調整表
財務活動に係る負債の増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(注) 1年内返済及び償還予定の残高を含んでおります。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1年内返済及び償還予定の残高を含んでおります。
30.その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は、以下のとおりです。
その他の金融負債は、主に償却原価で測定する金融負債に分類しております。
31.リース取引
(1) リース取引に関連する損益及びキャッシュ・アウトフロー
リース取引に関連する損益及びキャッシュ・アウトフローは、以下のとおりです。
(2) リース取引に関連する追加の情報
当社グループのリース活動の多くは不動産リースであり、主にオフィス及び工場用地として土地と建物をリースしております。これらのリースには、事業上の柔軟性を確保するため、延長オプション及び解約オプションが付されているものがあり、当社グループは、当該延長オプションを行使する(若しくは解約オプションを行使しない)ことが合理的に確実であるかどうかを判断した上で、リース期間を決定しております。
なお、当社グループのリ-ス活動において、リースにより課されている制限又は特約や、セール・アンド・リースバック取引に重要なものはありません。
32.その他の負債
その他の負債の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1 売上収益以外に係るものです。
2 前連結会計年度において、ロイヤリティの一部の入金について売上収益の認識を行わず負債に計上している金額が含まれております。詳細は、注記「5.売上収益」に記載のとおりです。なお、上記ロイヤリティに係る仮受金の当連結会計年度における減少額は、連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動によるキャッシュ・フローにおけるその他に含めて表示しております。
3 当連結会計年度において、契約負債から振り替えた金額が含まれております。詳細は、注記「5.売上収益」に記載のとおりです。
33.営業債務
営業債務は、以下のとおりです。
営業債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
34.金融商品
当社グループは、経営方針「Forging the future 未来を拓く」のもと、加速度的に変化する事業環境や社会ニーズに適応し、来る低炭素社会における成長性と収益性の最大化を図ってまいります。財務目標のうち資本管理に関連する指標は以下のとおりです。
(注)1 親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均)
2 ネット有利子負債(*1)/親会社の所有者に帰属する持分(期末)
(*1)ネット有利子負債=有利子負債-(現金及び現金同等物+手元資金運用額(*2))
(*2)手元資金運用額は、当社グループが余剰資金の運用目的で保有する現金同等物以外の譲渡性預金・有価証券等です。
当社グループは、幅広い分野にわたり、様々な国や地域で事業活動を行う過程で財務上のリスクに晒されております。当該リスクを低減又は回避するために、一定の方針等に基づきリスク管理を行っております。また、デリバティブ取引については限度額を実需の範囲とする方針であり、投機目的の取引は行わないこととしております。なお、デリバティブ取引については、取引権限や限度額等を定めた社内規程に基づき、定期的に所管の役員に契約残高、公正価値等を報告しております。
当社グループの事業活動から生ずる債権である営業債権等は、顧客の信用リスクに晒されております。また、当社グループの保有する有価証券に関しては発行体の信用リスクに晒されております。さらに、当社グループが財務上のリスクをヘッジする目的で行っているデリバティブ取引については、取引相手である金融機関の信用リスクに晒されております。
当社グループは、債権管理規定に従い、営業債権及び長期貸付金について、主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況の悪化による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。債券は、主に格付の高い債券のみを対象にしているため、信用リスクは僅少です。デリバティブ取引の利用にあたっては、相手方の契約不履行に係る信用リスクを極小化するために、信用度の高い金融機関等に限っております。なお、特段の管理を有する信用リスクの過度の集中はありません。
当社グループは、各連結会計年度末において個別に重要な金融資産は回収不能な金額、個別に重要でない金融資産は、過去の実績率等に基づく金額により減損損失を計上するために、貸倒引当金を使用しております。当該金融資産に係る貸倒引当金は、連結財政状態計算書上、「営業債権」及び「その他の金融資産」に含まれております。
全期間の予想損失に等しい金額で測定した貸倒引当金の増減は、以下のとおりです。
なお、貸付金等にかかる12か月予想信用損失と全期間の予想信用損失に重要な相違はありません。
(単位:百万円)
金融資産の信用リスクに係る最大エクスポージャーは、連結財政状態計算書に表示されている減損後の帳簿価額です。
当社グループは、一部の顧客に対する債権の担保として、不動産や有価証券等を保有しております。
金融保証契約の信用リスクに係る最大エクスポージャーは、注記「38.偶発負債」に記載の保証債務等の金額です。
当社グループの営業債務や借入金等については、流動性リスクに晒されております。当社グループでは、資金繰計画を作成するなどの方法により管理し、複数の金融機関とのコミットメント・ラインの設定により、流動性を確保しております。
金融負債(デリバティブ金融商品を含む)の期日別残高は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
なお、金融保証契約については、上記に含まれておりません。金融保証契約は、その履行請求に基づき支払義務が発生します。履行請求に基づく最大金額は、注記「38.偶発負債」に記載の保証債務等の金額です。
コミットメント・ライン総額及び借入実行残高は、以下のとおりです。
上記に加え、複数の金融機関との間のアンコミットメントベースの当座借越契約、コマーシャル・ペーパー発行枠及び国内社債発行登録枠等の確保により資金調達手段の多様化を図り、十分な流動性の確保を行っております。
当社グループのグローバルな事業展開から生じる外貨建ての債権債務は、為替の変動リスクに晒されております。当社グループは、外貨建ての営業債権債務や借入金及び貸付金について、必要に応じ為替予約や通貨スワップを利用してヘッジしております。
また、当社グループの在外営業活動体に対する純投資は、為替の変動リスクに晒されており、当社グループは、必要に応じて外貨建借入金を利用してヘッジしております。
当社グループが連結会計年度末において保有する外貨建金融商品において、連結会計年度末日の為替レートが、米ドル、ユーロに対してそれぞれ1%円高となった場合に、連結損益計算書の税引前利益に与える影響は、以下のとおりです。
この分析は、為替リスクの各エクスポージャーに1%を乗じて算定し、各為替レートの変動が他の変数(他の通貨の為替レート、金利等)に与える影響はないものと仮定しております。
(単位:百万円)
当社グループの金利リスクは、現金同等物等とのネット後の有利子負債から生じます。当社グループが発行する借入金及び社債は、営業取引や設備投資に必要な資金の調達を目的としたものであり、このうち一部は、変動金利であるため金利の変動リスクに晒されております。当社グループは、当該リスクをデリバティブ取引(金利スワップ取引等)を利用してヘッジしております。
当社グループが連結会計年度末において保有する金融商品において、金利が100ベーシス・ポイント上昇した場合の、連結損益計算書の税引前利益に与える影響は、以下のとおりです。
金利変動の影響を受ける金融商品を対象としており、為替変動の影響等その他の要因は一定であることを前提としております。
(単位:百万円)
金利指標改革の影響
当社グループは、金利指標改革の動向の調査及び影響の評価を行ったうえで対応方針を定め、LIBORを参照している借入契約及び金利スワップ契約について代替的な金利指標への移行を進めておりますが、当連結会計年度末時点では一部の米ドルでの借入契約及び金利スワップ契約において代替的な金利指標への移行が完了しておりません。
当社グループにおける金利スワップ契約は主に変動金利の受取と固定金利の支払を交換するものです。当連結会計年度末において代替的な金利指標への移行が完了していない金利スワップ契約について、当社グループはヘッジ対象である借入契約と同等の代替的な金利指標へ移行する契約の変更に合意することを目指しております。
当社グループは、金利指標改革に伴う不確実性が終了するまで、IFRS第9号を引き続き適用し、ヘッジ会計を継続いたします。またこの不確実性は、代替的な金利指標へ移行する契約の内容が確定するまで継続すると想定しております。
当社グループが当連結会計年度末現在において、まだ代替的な金利指標へ移行を完了しておらず金利指標改革の影響を受ける借入契約の帳簿価額は37,561百万円、金利スワップ契約のヘッジ対象となっている借入金の帳簿価額は55,274百万円です。
当社グループの保有する有価証券等は、市場価格の変動リスクに晒されております。
当社グループは、有価証券等について、定期的に公正価値や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
金融商品の公正価値ヒエラルキーは、レベル1からレベル3までを以下のように分類しております。
レベル1:同一の資産又は負債の活発な市場における無調整の公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接又は間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:重要な観察可能な市場データに基づかないインプットを含む、評価技法から算出された公正価値
金融商品の公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、四半期連結会計期間の末日ごとに判断しております。
前連結会計年度において、一部の投資先が取引所に上場したことにより、保有している株式についてレベル3からレベル1への振替を行っております。また、前連結会計年度の第2四半期連結会計期間末において、PHCホールディングス株式会社の取引所への上場が決定されたことにより、保有している株式についてレベル3からレベル2へ振替を行いました。その後、同社株式が取引所に上場したことにより、前連結会計年度の第3四半期連結会計期間末において保有している株式についてレベル2からレベル1へ振替を行っております。
当連結会計年度の第1四半期連結会計期間末において、一部の投資先がTOKYO PRO Marketへ上場したことにより、保有している株式についてレベル3からレベル2へ振替を行っております。当該市場での取引頻度は低く活発な市場における相場価格とは認められないため、レベル2に分類しております。
上記以外にレベル間の振替はありません。
公正価値で測定している金融資産及び金融負債は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
レベル1に分類される市場性のある株式の公正価値は、同一の資産又は負債の活発な市場における無調整の公表価格によっております。
レベル2に分類される株式の公正価値は、活発ではない市場における同一又は類似の資産又は負債に関する相場価格や新規上場に伴う公開価格等を用いて算定しております。
レベル3に分類される活発な市場における公表価格が入手できない非上場株式及び出資金の公正価値は、合理的に入手可能なインプットにより、類似企業比較法又はその他の適切な評価技法を用いて算定しております。なお、必要に応じて一定の非流動性ディスカウント等を加味しております。
レベル3に分類される条件付対価契約に関する金融資産の公正価値は、主に結晶質アルミナ繊維事業の譲渡に伴い認識した金融資産であり、その公正価値は、当該事業の将来の業績等を考慮し、ブラックショールズモデルを使用した計算モデルを基礎として算定しております。
デリバティブ資産及びデリバティブ負債
レベル2に分類されるデリバティブ資産及びデリバティブ負債の公正価値は、取引先金融機関から提示された価格又は為替レート及び金利等の観察可能なインプットに基づき算定しております。
レベル3に分類される金融商品は、適切な権限者に承認された公正価値測定に係る評価方法を含む評価方針及び手続に従い、評価者が各対象金融商品の評価方法を決定し、公正価値を算定しております。その結果は適切な権限者がレビュー及び承認しております。
レベル3に分類された金融商品の増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1.連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に含まれております。
2.一部の投資先が取引所に上場(上場の決定を含みます。)したことによるものです。
② 償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定している金融資産及び金融負債の帳簿価額と公正価値は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
償却原価で測定する金融資産及び金融負債については、長期借入金及び社債を除いて、公正価値は帳簿価額と合理的に近似しております。
レベル2に分類される長期借入金の公正価値は、元利金の合計額を、新規に同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値に基づき算定しております。
レベル2に分類される社債の公正価値は、市場価格に基づき算定しております。
当社グループは営業債権の一部について、第三者である金融機関によって組成された事業体に譲渡しております。当該事業体はそれらの金融機関が事業の一環として運営しており、当社グループ以外の顧客からも多額の資産を買い取るため、当該事業体の総資産に占める当社グループが譲渡した営業債権の割合は小さく、当該事業体が抱えるリスクへのエクスポージャーの評価に対する当社グループの関連性は低くなっております。
金融資産の認識の中止の要件を満たさずに譲渡した営業債権は引き続き「営業債権」に含めて、また、当該譲渡対価は借入金として「社債及び借入金」に含めて連結財政状態計算書に表示しております。前連結会計年度及び当連結会計年度における残高は、営業債権が9,057百万円及び4,814百万円、借入金が18,773百万円及び7,911百万円です。これらの差額は、営業債権譲渡に係る留保部分及び営業債権の回収と借入金返済の期間差により発生しております。
当該営業債権は、手形の振出人又は債務者が支払不履行となった場合に、当社グループに支払義務の全部又は一部が遡求されることから、当社グループが譲渡資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを保持していると判定されたものです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、全体が認識の中止となる営業債権の譲渡から生じた費用は、それぞれ345百万円及び388百万円です。
ヘッジ手段の契約額等の期日別分析は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
為替予約取引等の主な予約レート及び金利スワップ取引等の主な支払利率は、以下のとおりです。
ヘッジ手段に指定された項目に関する金額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
ヘッジ対象に指定された項目に関する金額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
キャッシュ・フロー・ヘッジ及び在外営業活動体に対する純投資ヘッジの詳細は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
ヘッジ手段に指定されなかった項目に関する金額は、以下のとおりです。
35.子会社
当連結会計年度末における主要な子会社の状況は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において重要な非支配持分のある子会社は、以下のとおりです。
当該子会社の非支配持分に配分された当期利益及び非支配持分に支払った配当は、以下のとおりです。
当該子会社の非支配持分の累積額は、以下のとおりです。
日本酸素ホールディングス㈱の要約財務情報は、以下のとおりです。なお、要約財務情報は連結会社間の消去前の金額に、企業結合時に認識されたのれん等の金額を調整したものです。
36.関連当事者
主要な関連当事者との取引は、以下のとおりです。物品及びサービスの販売のうち、主な取引は製品の販売であり、物品及びサービスの購入のうち、主な取引は原材料の購入です。関連当事者との取引は、主に独立第三者間取引と同様の条件で行われております。
上記の取引から生じた主要な関連当事者に対する債権及び債務は、以下のとおりです。
当社グループの主要な経営幹部に対する報酬は、以下のとおりです。
37.コミットメント
有形固定資産及び無形資産の取得に係るコミットメントは、以下のとおりです。
(単位:百万円)
38.偶発負債
保証債務等
ジョイント・ベンチャー、関連会社及び一般取引先等の金融機関からの借入金について行っている保証及び保証類似行為は、以下のとおりです。
(単位:百万円)