当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当社グループを取り巻く事業環境は、政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に係る業務領域が落ち着きを見せている一方、「デジタル田園都市国家構想」や「Project PLATEAU(プラトー)」などの3次元データの活用推進が活発化し、当社グループが保有する技術やノウハウなどを発揮する事業領域が拡大しております。
このような事業環境のなか、2023年8月に策定した「パスコグループ中期経営計画2023-2025」達成のため、経営基盤の強化と社会基盤の構築に向けた事業の拡大・成長への進化を進めております。
また、「地球をはかり、未来を創る ~人と自然の共生にむけて~」を経営ビジョンに掲げ、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したESG(Environment:環境/Social:社会/Governance:企業統治)に配慮した経営のもと、空間情報事業を通して持続可能な開発目標(SDGs)の幅広い目標達成を目指しております。
(具体的な活動)
「パスコグループ中期経営計画2023-2025」の2年目となる当期も、基本方針である「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」のもと、「経営の真価計画」と「事業の進化計画」の活動を精力的に進めております。
「経営の真価計画」については、公正・公平な業務姿勢の徹底への取り組みとして、コンプライアンスをはじめとする教育研修などを実施しております。また、ステークホルダーの皆様との信頼構築に向けた活動として、デジタル時代の市場環境に沿ったWeb戦略による、企業の情報発信と事業PRの強化を着実に進めております。
「事業の進化計画」については、生産効率や品質の向上を図るため、生成AIの全社利用を開始いたしました。また、「Project PLATEAU」をはじめとする3次元データの活用推進に向けて、様々なデータ整備やツール開発を行っております。さらに、様々な社会課題の解決を支援する取り組みとして、実証実験や各サービスの充実を図りました。具体的には、衛星画像とAIを活用した家屋異動判読業務の効率化・省人化を目指す実証、森林施業分野での3次元データ活用を促進するシステム販売、物流分野の課題解決に向けた配車計画システムの機能強化やエリアマーケティングソリューションの機能拡充などを実施いたしました。
当社の技術を活用したこれらの取り組みは、省庁・自治体・企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進や働き方改革などを後押しするものです。これら活動の結果、国土交通省「JAPAN コンストラクション国際賞(国土交通大臣表彰)」の先駆的事業活動部門での受賞、一般社団法人全日本建設技術協会「全建賞」の受賞など、社会からも評価をいただくことができました。
さらに、空間情報事業者の使命としては、7月から9月にかけて発生した大雨・台風災害の状況把握に努め、二次災害の予防と迅速な復旧活動計画の策定などを支援する情報を、当社ホームページに掲載するとともに、関係機関などへ提供いたしました。
各部門の活動の状況につきましては、以下の通りです。
国内公共部門においては、「デジタル田園都市国家構想」にもとづくデジタル基盤整備とその活用のニーズが依然として高く、当社の計測技術・デジタル技術を発揮できる領域が拡大しております。
国内民間部門においては、物流、不動産、小売・サービス分野などの課題解決に向けた空間情報サービスの充実を図っております。
海外部門においては、引き続き、開発途上国や新興国向けの政府開発援助(ODA)のほか、民間企業へのサービス提供を行っております。
(経営成績)
受注高および売上高、営業利益等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する季節的変動があります。
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)
前連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)
受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)
(注) 1 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当中間連結会計期間の外国為替相場の変動を反映させたものであります。
<国内部門>(公共部門・民間部門)
国内公共部門の受注高は、各種台帳整備およびデータ化等の関連業務において複数年契約の大型案件の受注があったことにより前年同期比606百万円増加(前年同期比1.6%増)の37,602百万円となりました。売上高は、前連結会計年度末受注残高および当期受注高に、各種台帳整備およびデータ化等の関連業務の複数年契約の大型案件が含まれており、生産活動は来期以降の納期に向け進捗する影響により、前年同期比711百万円減少(同3.7%減)の18,291百万円となりました。受注残高は前年同期比4,270百万円増加(同11.8%増)の40,613百万円となりました。
国内民間部門の受注高は、前年同期比199百万円増加(同14.0%増)の1,625百万円となりました。売上高は、前年同期比221百万円減少(同9.5%減)の2,102百万円となりました。受注残高は前年同期比786百万円減少(同17.3%減)の3,764百万円となりました。
この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前年同期比806百万円増加(同2.1%増)の39,228百万円、売上高は前年同期比932百万円減少(同4.4%減)の20,394百万円、受注残高は前年同期比3,484百万円増加(同8.5%増)の44,378百万円となりました。
<海外部門>
海外部門の受注高は、3次元地図データ整備業務が好調であったため前年同期比140百万円増加(同13.4%増)の1,194百万円となりました。売上高は、前年同期比70百万円増加(同6.4%増)の1,169百万円、受注残高は前年同期比336百万円減少(同27.5%減)の886百万円となりました。
この結果、受注高合計は前年同期比947百万円増加(同2.4%増)の40,422百万円、売上高は前年同期比862百万円減少(同3.8%減)の21,563百万円、受注残高は前年同期比3,147百万円増加(同7.5%増)の45,264百万円となりました。
利益面につきましては、売上総利益は、売上高の減少および原価率の上昇により、前年同期比881百万円減益(同22.4%減)の3,053百万円となりました。
営業損益は、賃上げ実施に伴う人件費増加の影響等で販売費及び一般管理費が前年同期比290百万円増加(同4.9%増)、および売上総利益の減益により前年同期比1,172百万円減少し、3,182百万円の営業損失となりました。
経常損益は、営業損益の減益、および公開買付けに伴うアドバイザリー費用の計上により前年同期比1,488百万円減少し、3,419百万円の経常損失となりました。
税金等調整前中間純損益は、前年同期に先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げ失敗による受取損害保険金1,625百万円を計上したこと、および経常損益の減益により前年同期比2,964百万円減少の3,310百万円の税金等調整前中間純損失となりました。
親会社株主に帰属する中間純損益は、税金等調整前中間純損益が減益となりましたが、法人税等調整額を利益方向に1,015百万円計上したことから、前年同期比2,047百万円減少の2,366百万円の親会社株主に帰属する中間純損失となりました。
(財政状態の状況)
当社グループは、納品後の入金が年度明けの4、5月に集中することから、「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」が年度末にかけて増加していき、第1四半期で減少する傾向があります。「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」の推移を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計期間
前連結会計年度
当中間連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より25,193百万円減少し48,928百万円となりました。また、負債合計は前期末より22,028百万円減少し19,220百万円となりました。その主な要因は、当中間連結会計期間に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済したことによるもので、「受取手形、売掛金及び契約資産」が20,804百万円減少、「短期借入金」が16,900百万円減少となりました。
純資産合計は、前期末より3,164百万円減少し29,707百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する中間純損失2,366百万円、剰余金の配当719百万円により減少となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前期末に比べ6,153百万円減少し、13,576百万円となりました。
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、13,313百万円の資金の増加(前年同期は16,312百万円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、売上債権及び契約資産の減少21,228百万円、減価償却費952百万円です。主な資金の減少要因は、仕入債務の減少1,979百万円、預り金の減少786百万円です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、840百万円の資金の減少(前年同期は1,312百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、有形固定資産および無形固定資産の取得による支出847百万円です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、18,711百万円の資金の減少(前年同期は19,965百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、短期借入金の返済16,900百万円です。
当中間連結会計期間において事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
当中間連結会計期間における研究開発費の実績額は148百万円であります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。