当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当中間連結会計期間における日本経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の高まり等を背景に緩やかな回復基調が続きました。一方、ウクライナ情勢や中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まり、資源価格や原材料価格の高騰による物価上昇、円安の進行等の影響により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
また、国内の雇用情勢は9月の有効求人倍率(季節調整値)が1.24倍、完全失業率(季節調整値)が2.4%と、各雇用関連指標も依然として企業の人手不足を反映した結果となっております。
このような事業環境の中、当社グループでは既存事業のさらなる拡大とともに、新たなマーケットの開拓、グループ内での連携強化、M&Aによる事業領域の拡大等により、人材に関する顧客企業の課題解決をサポートし、他社との差別化や顧客満足度の向上に取り組んでおります。さらに、積極的な採用活動等、人材に関する投資による事業基盤の強化も進めております。
この結果、当中間連結会計期間における当社グループの売上高は17,145百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益は3,783百万円(同6.1%減)、経常利益は3,817百万円(同6.4%減)となりましたが、政策保有株式の縮減を図るため、保有する投資有価証券の一部を売却したことによる投資有価証券売却益713百万円を特別利益に計上したため、親会社株主に帰属する中間純利益は3,114百万円(同10.8%増)となりました。
なお、当中間連結会計期間より、事業内容をより適正に表示するため、従来「情報出版事業」としていた報告セグメントの名称を「地域情報サービス事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
各セグメントにおける売上高は外部顧客への売上高を記載しており、営業利益はセグメント間取引消去前の金額を記載しております。
(人材サービス事業)
1.人材紹介
人材紹介では、注力領域である建設や製薬、電気・機械、自動車、IT分野の各職種に加え、看護師や保育士の採用ニーズが旺盛でした。こうした中、新たな注力職種や看護師領域の成功報酬型求人事業における新規顧客開拓、求人企業及び転職希望者との面談強化、迅速かつ丁寧な対応等に継続して取り組みました。また、2024年5月に取得したキャリタス看護事業の事業資産を活かし、看護学生向けの就職サイト「看護roo!就活」をスタートさせたほか、リクルーティング事業と連携し「看護roo!就活合同説明会」を開催する等、看護学生向けのサービス拡充を進めました。さらに、「看護roo!」ブランドの更なる浸透や登録者獲得に向けたプロモーション強化の一環として6月のウェブCMを皮切りに、8月にTVCM、9月からは電車内の交通広告等、積極的な投資を行ったことで転職支援サービスとしての「看護roo!」のブランド認知が高まりました。これらの取り組みにより、人材紹介の業績は堅調に推移しました。
2.人材派遣・紹介予定派遣・業務請負等
人材派遣・紹介予定派遣・業務請負等では、看護師派遣について、新型コロナウイルス関連業務への派遣ニーズが収束し、通常のマーケットに戻る中、介護施設や病院への営業強化や派遣希望登録者の掘り起こし、面談強化に引き続き取り組みました。また、保育士派遣も、引き続き旺盛なニーズを背景に競合他社との登録者獲得競争が激化する中、運営サイトのユーザビリティ向上等による登録者獲得強化に努めました。これらの取り組みにより、看護師派遣及び保育士派遣を含め、人材派遣の業績は順調に拡大しました。
これらの結果、人材サービス事業の売上高は12,366百万円(前年同期比6.5%増)となりましたが、看護師領域への投資を積極的に行った影響等により、営業利益は3,357百万円(同11.7%減)となりました。
(リクルーティング事業)
リクルーティング事業では、幅広い業界・職種において採用ニーズが旺盛な状況の中、注力商品であるIndeed等のアグリゲーション型(特定の情報を複数のWebサイトから収集する検索エンジン型)求人サービスや、Indeedによる求人配信プラットフォームサービスIndeed PLUSの取り扱いが順調に拡大しました。一方、掲載課金型の中途採用向け正社員採用メディアやアルバイト・パート、派遣スタッフ採用メディアは、単独利用での広告効果が減退しております。こうした採用環境の変化を受けて、採用計画や手法の見直しを検討する企業も多く、新規顧客開拓の機会が増加する中、アグリゲーション型求人サービスやIndeed PLUSへの移行提案等の営業強化に取り組みました。
求人広告取り扱い以外のサービスにおいては、パートナー企業との営業連携強化に加え、Webプロモーションや人事担当者向けのセミナー及び動画配信等によるブランディング強化に取り組んだ結果、新卒採用のためのインターンシップや会社説明会のプログラム作成、社員研修等のコンサルティング領域の業績が拡大しました。また、人材サービス事業と連携し、「看護roo!就活合同説明会」開催に向けた出展先及び「看護roo!転職」の成果報酬型求人広告サービスの掲載先の開拓等にも注力しました。
この結果、リクルーティング事業の売上高は1,594百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は396百万円(同109.5%増)となりました。
(地域情報サービス事業)
地域情報サービス事業では、生活情報誌において、飲食店やショップ等の販促広告ニーズが堅調でした。一方、資材高騰や職人不足の影響による住宅価格の上昇、住宅ローン金利の引き上げに伴う住宅取得マインドの減退を背景に、住宅広告の出稿ニーズは縮小しました。求人広告においてもWebメディアへ移行する顧客が増えたことから生活情報誌全体としては減収となりました。こうした中、住宅領域では2024年9月に、石川、富山で開催した住宅イベント「家づくりナビフェスタ」が出展社数及び参加者数ともに過去最高を更新する等、好調でした。さらに、注力商品であるIndeed及びIndeed PLUSは新規顧客開拓に加え、生活情報誌から移行したい顧客の獲得にも努め、増収となりました。
また、各家庭に配布する折り込みチラシ等のポスティングサービスは、新潟エリアが業績を牽引し、増収となりました。
一方、「ココカラ。」ブランドで展開するコンサルティングサービスは、転職領域において、若手コンサルタントの育成強化やマッチングプロセスの見直し等が奏功し業績が改善しましたが、住宅領域が低調だったため、「ココカラ。」全体としてはほぼ横ばいとなりました。
この結果、地域情報サービス事業の売上高は1,280百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益は199百万円(同0.8%減)となりました。
(HRプラットフォーム事業)
HRプラットフォーム事業では、HR領域の課題解決や採用・育成に関するサービス、研修やセミナーに対する「日本の人事部」会員の関心やニーズが、依然として旺盛な状況です。こうした中、HRテック関連企業による広告出稿減少の影響もあり、「日本の人事部」関連サービスの広告収入は減少傾向となりました。一方、人事サービス企業のHRイベントへの出展ニーズは強く、2024年5月開催のオンライン人事イベント「HRカンファレンス2024-春-」、8月開催の人事責任者のリアルディスカッションイベント「HRラウンドテーブル」は、いずれも出展枠が完売する等、好調でした。また、今期より新たに開講した「CHRO養成塾」も想定以上の受講申込があり、順調なスタートを切ることができました。
この結果、HRプラットフォーム事業の売上高は618百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は302百万円(同4.0%増)となりました。
(海外事業)
海外事業において、米国では製造業を中心に幅広い分野で企業の採用ニーズが旺盛でした。こうした中、新規顧客開拓及び既存顧客との関係強化に加え、顧客管理体制の改善や拠点間の連携強化、求人企業や転職希望者との面談強化に向けた営業体制の見直しに取り組みました。メキシコにおいても転職マーケットは活況が続いており、通訳や翻訳の紹介が好調でした。また、営業職や技術系の職種では現地人材の採用ニーズも多く、こうしたニーズに対応すべく、面談対応のためのスペイン語人材の採用や更なる登録者獲得に向けた集客チャネルの拡大に取り組みました。これらの取り組みが奏功し、北中米における人材紹介、米国での人材派遣の業績は順調に拡大しました。
転職マーケットが依然として好調な英国では、日本語人材だけでなく現地人材の採用ニーズも高まってきております。こうした中、コンサルタントの採用及び育成強化、新規顧客開拓、マッチング精度向上のための顧客管理体制の改善に加え、現地人材の登録促進に向けたプロモーション強化や登録サイトの機能拡充にも取り組みました。また、オランダでは国内だけでなく、ドイツやフランスで開催されるビジネスイベントへの参加や営業活動を通じて新規顧客開拓に取り組みました。これらの取り組みにより、欧州における人材紹介、英国での人材派遣は増収となり、人材紹介においては欧州圏内における国際間の転職支援「クロスボーダーリクルートメント®」の業績も拡大しました。
中国では景気の悪化を背景に顧客企業による経費削減の動きが強まったことで、人事労務コンサルティングにおいては相談顧問サービスの更新、人事制度及び規程作成等の新規受注が進みませんでした。さらに、企業業績の悪化に伴う採用ニーズの低迷等、人材紹介サービスを取り巻く環境も厳しい状況が続いております。ベトナムでは景気の回復に伴い、新規進出に伴う企業の採用ニーズも増加傾向となっております。こうした中、既存顧客への営業強化とともに、新規進出企業の立ち上げメンバーの採用支援等を通じた新規顧客開拓にも注力しました。また、タイでは景気が回復傾向にあるものの、現地日系企業の採用ニーズは依然として欠員補充が中心という状況の中、管理職等の採用難易度の高い採用ニーズの開拓及び対応強化、それに向けたコンサルタントの採用と育成強化に取り組みました。これらの取り組みにより、アジアにおける人材紹介は増収となりましたが、中国での人事労務コンサルティングの業績は厳しい状況が続いております。
この結果、海外事業の売上高は1,285百万円(前年同期比54.9%増)、営業利益は204百万円(同28.9%増)となりました。
②財政状態
当中間連結会計期間末における総資産は24,353百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,310百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金、受取手形及び売掛金が増加したこと等によるものであります。
負債合計は5,886百万円となり、前連結会計年度末と比較して264百万円増加しました。主な要因は、未払金、賞与引当金が減少しましたが、未払法人税等が増加したこと等によるものであります。
純資産合計は18,467百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,046百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加であります。なお、自己資本比率は75.8%と前連結会計年度末と比較して1.3ポイント改善しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増減額は、法人税等の支払、配当金の支払等はありましたが、税金等調整前中間純利益の計上等により、前連結会計年度末と比較して1,672百万円資金が増加し、当中間連結会計期間末における残高は14,669百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前中間純利益の計上4,529百万円等により資金が増加し、賞与引当金の減少312百万円、売上債権の増加447百万円、法人税等の支払482百万円等により資金が減少したため、営業活動の結果獲得した資金は2,578百万円(前年同期比50.5%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形及び無形固定資産の取得による支出341百万円、事業譲受による支出260百万円等により資金が減少しましたが、投資有価証券の売却による収入738百万円等により資金が増加したため、投資活動の結果獲得した資金は121百万円(前年同期は237百万円の使用)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払1,082百万円等により資金が減少したため、財務活動の結果使用した資金は1,090百万円(前年同期比32.4%増)となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において締結した経営上の重要な契約等は、下記のとおりであります。
(事業譲受)
当社は、2024年4月12日開催の取締役会において、株式会社キャリタスが保有するキャリタス看護事業の譲受けについて決議し、同日付で事業譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。