当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(経営成績の状況)
当中間連結会計期間のわが国を含む世界経済は、景気の緩やかな回復が続くことが期待される一方、中国経済の停滞や中東およびウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引き締めに伴う影響等が懸念され、先行きが不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループは、「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」に加えて、事業環境の変化等を踏まえ、『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』を新たに策定し、取り組んでいます。
当社グループの当中間連結会計期間は、機能製品事業のリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂の売上げが減少し、前年同期比で減収減益となりました。
売上収益は前年同期比7.7%減の816億41百万円、営業利益は前年同期比23.9%減の69億59百万円、税引前中間利益は前年同期比24.5%減の74億43百万円、中間利益は前年同期比16.1%減の57億32百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比16.9%減の56億51百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)営業損益の調整額には、報告セグメントに配分していないその他の収支が含まれております。詳細は、要約中間連結財務諸表注記「5.セグメント情報」に記載しております。
① 機能製品事業
機能樹脂分野では、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂やPPS樹脂およびシェールオイル・ガス掘削用途向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。
炭素製品分野では、球状活性炭の売上げは増加しましたが、高温炉用断熱材の売上げが減少したことから、この分野での売上げは前年同期並みとなり、営業利益は減少しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比16.1%減の285億44百万円となり、営業利益は前年同期比58.8%減の11億66百万円となりました。
② 化学製品事業
農薬・医薬分野では、農業・園芸用殺菌剤および慢性腎不全用剤「クレメジン」の売上げが減少したことから、この分野での売上げは減少しましたが、原材料価格の下落等により営業利益は増加しました。
工業薬品分野では、無機および有機薬品類の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比5.2%減の162億8百万円となり、営業利益は前年同期比7.1%減の6億97百万円となりました。
③ 樹脂製品事業
コンシューマー・グッズ分野では、フッ化ビニリデン釣糸「シーガー」の売上げが増加しましたが、家庭用ラップ「NEWクレラップ」の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。
業務用食品包装材分野では、売上げ、営業利益はともに前年同期並みとなりました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比2.8%減の227億98百万円となり、営業利益は前年同期比8.3%減の39億53百万円となりました。
④ 建設関連事業
民間工事は減少しましたが、公共工事が増加したことにより、売上げは前年同期並みとなり、営業利益は増加しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期並みの53億26百万円となり、営業利益は前年同期比99.0%増の4億12百万円となりました。
⑤ その他関連事業
環境事業では、産業廃棄物処分の増加により、売上げ、営業利益はともに増加しました。
その他の事業では、売上げ、営業利益はともに前年同期並みとなりました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比2.2%増の87億64百万円となり、営業利益は前年同期比13.3%増の12億22百万円となりました。
(財政状態の状況)
当中間期末の資産合計につきましては、前期末比44億94百万円増の3,351億25百万円となりました。流動資産は、現金及び現金同等物が増加した一方で、営業債権及びその他の債権ならびに棚卸資産が減少したこと等により、前期末比71億6百万円減の1,127億93百万円となりました。非流動資産は、主にフッ化ビニリデン樹脂生産設備増強工事に伴い有形固定資産が増加したこと等により、前期末比116億1百万円増の2,223億31百万円となりました。
負債合計につきましては、前期末比99億45百万円増の1,174億27百万円となりました。これは、営業債務及びその他の債務が減少した一方で、有利子負債が社債の発行等により前期末比147億51百万円増の696億56百万円となったこと等によるものです。
資本合計につきましては、前期末比54億50百万円減の2,176億98百万円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する中間利益を56億51百万円計上した一方で、自己株式の取得を73億15百万円、剰余金の配当を23億85百万円実施したこと等によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローは240億84百万円の収入となり、前年同期に比べ168億57百万円収入が増加しました。これは、営業債権及びその他の債権の減少による収入が増加したこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは207億80百万円の支出となり、前年同期に比べ132億8百万円支出が増加しました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が増加したこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは前年同期34億25百万円の支出から43億97百万円の収入となりました。これは、前年同期に発生した長期借入れによる収入が当中間連結会計期間に発生しなかった一方、社債の発行による収入が発生したこと等によるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当中間期末残高は、前期末に比べ71億87百万円増加し303億18百万円となりました。
昨今の電気自動車(BEVおよびPHEV)の需要は、景気の悪化による割高感やインフラ整備の遅れなどもあり、各自動車メーカーの想定を大幅に下回っております。また、電気自動車の中でも、電池積載量がBEVより少ないPHEVが選好される傾向があり、車載用大型リチウムイオン二次電池の需要は当初想定を下回っております。
電池メーカー各社は、競争激化により収益性が低下しており、設備投資の延期や製品/原料在庫水準の引下げを行っているため、当社のリチウムイオン二次電池用バインダーとして使われているフッ化ビニリデン樹脂についても、需要の停滞が継続しております。電気自動車が高い成長軌道に戻るには当初想定よりも時間がかかる見込みであることから、この減収減益要因に対して、その他既存事業の拡大、および当社グループ全体での一層のコスト削減等の施策を実施しております。
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は3,079百万円です。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等は行われておりません。