当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載
した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
2024年4月1日~2024年9月30日(当中間連結会計期間)のわが国経済は、海外経済の回復ペースが鈍化する中で、鉱工業生産は概ね横ばいで推移し、企業収益も改善傾向にあります。しかし、企業の慎重な姿勢もあり設備投資の増加は緩やかなものにとどまっています。家計部門においては、賃上げが継続的に実施されているものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に中東での新たな地政学リスクも重なり歴史的な円安と物価高が継続しているため、実質賃金は低下傾向にあり個人消費は全体として低調な状態が続いています。当社グループが主に関わる旅行・観光市場においては、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行し急速な回復を見せた昨年に比べると緩やかではありますが、回復基調は継続しております。国境をまたぐ渡航においては、歴史的円安が追い風となってインバウンド市場が急拡大し、2024年8月には訪日外国人旅行者数が7か月連続で過去最高を記録しましたが、それに対しアウトバウンド市場の回復は依然として低調なものとなっております。
当社グループは、長期化したコロナ禍に対処するため、グループ事業の再編や主力の市販出版物事業における事業構造改革、DXによる業務の合理化及び効率化、グループ保有資産の有効活用などの施策を実施してまいりました。この結果、市場環境の回復とともに、前年度には2期連続で当期純利益の黒字化を実現することができました。コロナ禍がほぼ収束した昨年度以降は、特にDX推進や脱炭素社会への取り組みなどを、当社グループの経営理念「安心な暮らしと楽しい旅をサポートする企業」と軌を一にしたサステナビリティ戦略の一環として位置付けています。これを基本方針として、今後も既存事業の効率化、新規事業開発、業務提携による商品・サービス開発などに注力し、持続的成長を実現していく所存です。
当中間連結会計期間の売上高は、コロナ禍明けで市場が急回復した前年同期には及ばなかったものの引き続き旅行関連の市販出版物及び電子書籍・アプリを中心に売上が堅調に推移いたしました。売上高は2,756百万円となり前年同期に比べわずかながら66百万円(2.3%)減少いたしました(前年同期は2,822百万円)。損益面では、売上減少に伴う利益額の減少に加え、物価高騰の影響及び前年にはなかった事業所移転関連の費用が計上されたため、販売費及び一般管理費が前年より増加した結果、営業損失は112百万円となり、前年同期に比べ115百万円悪化いたしました(前年同期は3百万円の営業利益)。経常損失は、営業外費用において為替差損を計上したこと等により前年同期に比べ139百万円悪化し92百万円となりました(前年同期は47百万円の経常利益)。また、2024年8月5日に開示した「業績予想の修正に関するお知らせ」に記載の通り、特別利益において投資有価証券売却益を計上したこと等により、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期に比べ254百万円改善し、262百万円となりました(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益7百万円)。
当社グループのセグメント別の業績は以下の通りとなっております。
[メディア事業]
メディア事業では、市販出版物及び電子書籍・アプリの企画制作販売、雑誌広告・Web広告の販売、特注品の企画制作販売、出版物に由来するブランドや商標権の権利許諾等を行っております。
当中間連結会計期間において、コロナ禍明けで市場が急回復した昨年同期には及ばなかったものの、まっぷるマガジン等の国内主要観光地の旅行雑誌を中心に市販出版物の売上が堅調に推移し、読み放題サービスを含む電子書籍も順調に推移いたしました。市販出版物では、コロナ禍を経て数年ぶりとなる海外版の改訂版を含む旅行雑誌の拡充に加え、ご好評をいただいている「スッと頭に入る」シリーズからも新刊を発売いたしました。昨今の複雑な世界経済を幅広く解説する『地図でスッと頭に入る世界経済』や、真の「国力」とは何かがわかる『地図でスッと頭に入る世界の国力ランキング』、米国大統領選挙イヤーに合わせた改訂新版『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』、そしてシリーズ初の「偉人編」となる 『スッと頭に入る空海の教え』など、多彩なラインナップを取り揃えました。
この結果、メディア事業の売上高は1,974百万円となりました(前年同期は2,042百万円)。営業利益は41百万円となりました(前年同期は、営業利益156百万円)。
[ソリューション事業]
ソリューション事業では、当社グループのコアコンピタンスである地図・ガイドデータベースの販売、同データベースを活用したシステム製品やソリューションの販売等を行っております。
当中間連結会計期間において、引き続き景気動向に左右されにくい警察・消防等の官公庁向け受注獲得や民間企業向けストック型商材の契約更新に注力しております。
カーナビ関連では、スマホ無料ナビアプリ等の影響で市販PND市場が急速に縮小しているため、この減少分を補い新たな事業基盤とすべく業務用ナビの受注拡大に注力しておりますが、その中軸製品の最新版として積載量による道路制限を考慮した効率的なルート探索ができる『業務用カーナビSDK Ver.9.0』の提供を開始し、警察・消防向けや大手インフラ企業向けを中心に業務用ナビ関連の受注を着実に獲得しております。また、半導体市況の回復に伴い、業務用ナビとともに高精度自律航法を実現する提携先スマートGPS製品の受注も着実に増加しております。
円安で急拡大するインバウンド市場に向けては、観光DX関連の受注拡大にも注力しており、市販製品においては、オープンデータを活用し管理・分析業務に役立つ新機能を搭載したパソコン用地図ソフトの最新版『スーパーマップル・デジタル25』を発売いたしました。
この結果、ソリューション事業の売上高は686百万円となりました(前年同期は720百万円)。営業損失は181百万円となりました(前年同期は、営業損失161百万円)。
[販売代理事業]
販売代理事業では、顧客となる官公庁等がデータ制作等の業務委託を行う際に、当社が当該業務委託の契約窓口となり、当該取引の手数料収入を得る事業を行っております。
当中間連結会計期間において、顧客先より引き続き業務委託案件を受注しております。
この結果、販売代理事業の売上高は、54百万円となりました(前年同期は23百万円)。営業利益は36百万円となりました(前年同期は営業利益8百万円)。
[その他事業]
その他事業では、当社グループが保有する土地建物等の有形固定資産について外部取引先に向けて譲渡または貸与する不動産事業を行っております。
当中間連結会計期間において、その他事業は予定通り実施しております。当社が保有する有形固定資産の外部貸与エリアを拡張していることで売上は増加しております。
この結果、その他事業の売上高は41百万円となりました(前年同期は36百万円)。営業利益は13百万円となりました(前年同期は営業利益14百万円)。
(2)財政状態の分析
当中間連結会計期間末における総資産は、18,154百万円となり、前連結会計年度末に比べ724百万円(3.8%)減少いたしました。この主な要因は、現金及び預金が711百万円、投資有価証券が253百万円増加した一方で、売掛金が836百万円、流動資産その他が435百万円、投資その他の資産その他が409百万円減少したことであります。負債合計は、5,298百万円となり、前連結会計年度末に比べ890百万円(14.4%)減少いたしました。この主な要因は、返金負債が96百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が110百万円、短期借入金が130百万円、未払法人税等が232百万円、流動負債その他が488百万円減少したことであります。純資産においては、2024年5月15日に「資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分に関するお知らせ」にて開示した一連の会計処理手続きを実施したことにより、前連結会計年度末に比べ資本金が5,141百万円減少した一方で、資本剰余金が2,023百万円、利益剰余金が親会社株主に帰属する中間純利益の計上も合わせて3,288百万円増加しております。これにより純資産合計は165百万円(1.3%)増加し、12,856百万円となりました。
この結果、自己資本比率は70.8%と3.6ポイント上昇しております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における連結ベースの現金及び現金同等物の残高は、6,625百万円となり、前連結会計年度末と比較して348百万円の増加となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,020百万円となり、前年同期と比較して682百万円の増加となりました。
これは主に、税金等調整前中間純利益が313百万円となり、前年同期と比べ266百万円増加したことに加え、売上債権の減少額が699百万円減少した一方で、有価証券及び投資有価証券売却損益が406百万円の増加、法人税等の支払額が248百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は451百万円となり、前年同期と比べ375百万円増加しました。
これは主に、定期預金の預入による支出が379百万円であったこと、有形固定資産の取得による支出が102百万円、投資有価証券の取得による支出が311百万円それぞれ増加した一方で、投資有価証券の売却による収入が418百万円の収入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は219百万円となり、前年同期が使用した資金がなかったことにより219百万円増加しました。
これは主に、短期借入金の純増減額が130百万円、配当金の支払額89百万円がそれぞれあったことによるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。
(7) 研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、0百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの運転資金需要のうち主なものは製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要で主なものは、データベースやソフトウェア等の固定資産取得及び当社事業戦略に沿った提携先や当社事業との相乗効果が見込まれる事業会社への出資または取得(M&A)によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は内部資金及び銀行等金融機関からの借入や社債発行を基本としております。
なお、当中間会計期間の末日における有利子負債の残高は640百万円となっております。また、当中間会計期間の末日における現金及び現金同等物の残高は6,625百万円となっております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。