第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更があった事項は、次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものである。

 また、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応したものである。

 

(2) 事業環境等に関するリスク

⑨ 品質管理リスク

前事業年度の有価証券報告書提出日現在において対応中であった、当局より舶用原動機メーカーに対して要請のあった環境・安全に関する規則遵守の徹底及び適切な業務運営に関する社内の体制の確認の結果、当社グループにおいて舶用原動機事業を行っている日立造船マリンエンジン㈱及び㈱アイメックスにおいて、舶用原動機の陸上運転記録に不適切な書き換えが行われていたことが判明した。本半期報告書提出日現在、当社グループから独立した中立かつ公正な外部有識者により構成される特別調査委員会を設置し、本件に関し透明性及び実効性を確保した調査を実施中である。

 

その他、「(3) 重要な訴訟等」に記載した、米国の裁判所で係属中であった保険金請求権確認訴訟について、2024年10月23日に、米国の土木建設会社JV、当社及び保険会社との間で和解契約を締結し、終結することとなった。なお、2019年10月4日に当該JVとの間で締結した和解契約に、本保険金請求権確認訴訟に関する合意条件が含まれていたが、当社は、これにより20百万ドル(約29億円)を受け取ることとなった。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものである。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間の経済情勢は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響等、海外景気の下振れが、国内景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に留意する必要がある。

 こうした中で、当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」のもと、既存事業の持続的成長、成長事業の創出・拡大、持続可能な経営の推進(企業価値向上)を基本方針として、各種重点施策を鋭意推進しているところである。

 以上のような取組みを進める中で、当中間連結会計期間の売上高は、主に環境部門の増加により、前中間連結会計期間を37,768百万円(16.3%)上回る269,960百万円となった。

 損益面では、営業利益は環境部門の改善により、前中間連結会計期間から2,047百万円(183.4%)上回る3,163百万円となった。営業利益は改善したものの、持分法による投資損失及び為替差損の計上等により、経常利益は前中間連結会計期間から1,270百万円(66.5%)悪化し639百万円となった。親会社株主に帰属する中間純損益は、前中間連結会計期間から1,490百万円悪化し1,139百万円の損失計上となった。

 セグメントごとの経営成績の概要は次のとおりである。

 

①環境

海外子会社の売上増加により、売上高は前中間連結会計期間に比べ30,250百万円(17.9%)増加の199,450百万円となった。また、国内建設工事の赤字縮小及び海外子会社の収益改善等により、セグメント利益は前中間連結会計期間から4,982百万円改善し、5,473百万円となった。

②機械・インフラ

インフラの減少等に伴い、売上高は前中間連結会計期間に比べ6,138百万円(15.0%)減少の34,687百万円となった。セグメント損益もインフラの収益悪化等により、前中間連結会計期間から1,938百万円(281.8%)悪化し、1,250百万円の損失計上となった。

③脱炭素化

風力発電及びプロセス機器の増加により、売上高は前中間連結会計期間に比べ12,852百万円(60.9%)増加の33,958百万円となったが、セグメント損失は脱炭素化の収益悪化等により、前中間連結会計期間から1,019百万円悪化し、1,280百万円となった。

 

④その他

売上高は前中間連結会計期間に比べ802百万円(75.6%)増加の1,864百万円となり、セグメント利益も前中間連結会計期間に比べ48百万円(25.6%)増加の240百万円となった。

 

  当社グループの事業の性質上、連結会計年度末に完成する工事の割合が大きく、売上高が連結会計年度末に集中することから、業績は季節的変動が大きくなる傾向がある。

 

  また、財政状態については次のとおりである。

①流動資産
前連結会計年度末の347,076百万円から72,529百万円(20.9%)減少し、274,546百万円となった。これは、主に売上債権の回収に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の減少等によるものである。

②固定資産
前連結会計年度末の186,475百万円から22,161百万円(11.9%)増加し、208,637百万円となった。これは、主にのれんの増加等によるものである。

③負債
前連結会計年度末の364,647百万円から48,498百万円(13.3%)減少し、316,148百万円となった。これは、主に仕入債務の支払に伴う支払手形及び買掛金、電子記録債務及び未払費用の減少等によるものである。

④純資産
前連結会計年度末の168,946百万円から1,882百万円(1.1%)減少し、167,064百万円となった。これは、主に配当金の支払い及び親会社株主に帰属する中間純損失の計上等に伴う利益剰余金の減少によるものである。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出及び有利子負債の返済等による資金の使用が、売上債権の回収等による資金の獲得を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べて11,659百万円減少し、58,114百万円となった。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において営業活動によって獲得した資金は、前中間連結会計期間から27,064百万円(329.8%)増加し、35,270百万円となった。これは、前中間連結会計期間に比べ、売掛債権の回収額が増加したこと及び棚卸資産の取得に伴う支払が減少したこと等によるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において投資活動によって使用した資金は、前中間連結会計期間から10,198百万円(61.4%)増加し、26,805百万円となった。これは、前中間連結会計期間に比べ、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出があったこと等によるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において財務活動によって使用した資金は、前中間連結会計期間から17,290百万円(451.1%)増加し、21,123百万円となった。これは、前中間連結会計期間に比べ、有利子負債の返済額が増加したこと等によるものである。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上の課題は、次のとおりである。

2024年7月5日に公表したとおり、当社グループにおいて舶用原動機事業を行っている日立造船マリンエンジン㈱及び㈱アイメックスにおいて、舶用原動機の陸上運転記録に不適切な書き換えが行われていたことが判明した。本半期報告書提出日現在、当社グループから独立した中立かつ公正な外部有識者により構成される特別調査委員会を設置し、本件に関し透明性及び実効性を確保した調査を実施中である。当社グループは、特別調査委員会による調査に全面的に協力し、事実関係及び原因の究明を徹底するとともに業務運営体制の見直し等、再発防止及び信頼回復に全力で取り組んでいく。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費は、5,206百万円である。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況について重要な変更はない。

 

(6) 主要な設備

  前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、拡充、改修等の計画について、当中間連結会計期

間に著しい変更があったものは、次のとおりである。

 当社若狭事業所の鋳造工場増築工事の新設について、完了年月が2025年5月から2025年10月に変更になった。

 

(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当中間連結会計期間において、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性のある要因について重要な変更はない。

 

(8) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フロー

当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローについては、上記「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載している。

②有利子負債

当中間連結会計期間末の有利子負債は、前連結会計年度末の91,443百万円から17,193百万円減少し、74,249百万円となった。

③コミットメントライン

安定的な経常運転資金枠の確保及びマーケット環境の一時的な変化等不測の事態への対応手段確保のため、主要取引銀行との間で30,000百万円のコミットメントラインを設定している。なお、当中間連結会計期間末の借入実行残高はない。

 

(9) 経営戦略の現状と今後の方針

当社グループでは、基本理念「Kanadevia Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げている。「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標としており、また、その実現に向けたマイルストーンとして、「2030 Vision」では、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組むことを、2030年に目指す姿としている。

現在、「サステナブルビジョン」及び「2030 Vision」実現に向けた飛躍の第一歩として、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を策定し、「既存事業の持続的成長」、「成長事業の創出・拡大」、「持続可能な経営の推進(企業価値の向上)」の3つの基本方針に基づく具体的施策に鋭意取り組んでいる。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、契約期間を変更した契約は以下のとおりである。

なお、変更契約日は2024年9月30日である。

 

技術受入契約

契約会社名

契約の相手方

契約品目

契約内容

契約期間

国籍

名称

日立造船㈱

スイス

Hitachi Zosen Inova AG.(連結子会社)

塵芥焼却装置

1.産業財産権の実施権の設定

2.技術情報の提供

3.製造権及び販売権の許諾

2003年8月から

2026年9月まで

(注)上記契約については、2024年9月までの契約を2026年9月まで延長した。なお、日立造船㈱及びHitachi Zosen

Inova AG.は、2024年10月1日付で商号をそれぞれカナデビア㈱及びKanadevia Inova AG.に変更している。