当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
帝人グループは、当連結会計年度よりIFRSを適用しています。また、前中間連結会計期間及び前連結会計年度の財務数値についても、IFRSに組替えて比較分析を行っています。
なお、財務数値に係るIFRSと日本基準との差異については、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記「15.初度適用」」をご覧ください。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
1) 経営成績
帝人グループの当中間連結会計期間の経営成績は、売上収益が前年同期比で7.5%増の5,075億円となり、事業利益(注)は同62.7%増の186億円となりました。また、複合成形材料の北米事業の減損損失の計上等により営業損失は477億円(前年同期は18億円の営業利益)、親会社の所有者に帰属する中間損失は534億円(前年同期の親会社の所有者に帰属する中間損失は20億円)となりました。事業利益に関して、マテリアル事業領域では、収益性改善効果の追加発現や一部用途での販売量増加により増益となりました。また繊維・製品事業は、販売が好調に推移し増益となりました。ヘルスケア事業領域においては、薬価改定および在宅医療の消耗品コスト増などの影響により減益となりました。
(注)事業利益は、営業利益に持分法による投資損益を加算し、非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しています。
当中間連結会計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりです。なお、当中間連結会計期間より、システムの運用・開発・メンテナンス及び電子コミック配信サービス等を行う「IT」事業を非継続事業に分類しています。
◆マテリアル事業領域:樹脂および前期の生産制約の影響が解消したアラミドを中心に販売量が増加するとともに、複合成形材料での収益性改善効果の追加発現などが収益に貢献。一方、競争環境の激化による販売価格の低下、インフレに伴う労務費増加等の影響を受けました。
売上収益は2,345億円と前年同期比193億円の増収(9.0%増)、事業利益は17億円と前年同期比42億円の増益となりました。
アラミド事業分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、前期の火災影響や特殊補修部品の調達遅延などの生産制約が解消し、販売量が増加しました。一方、厳しい競合環境にある中国の光ファイバー向け用途でのシェア奪回のための価格対応や、高騰していた原燃料価格の低下と価格の安定化に伴う契約更新時の価格下げ圧力の影響により、販売価格が低下しました。また、インフレに伴う労務費高騰等の固定費増加影響を受け、前年同期比増収・減益となりました。
樹脂事業分野では、主力のポリカーボネート樹脂において、中国での低調な景気継続等により全般的には需要が低迷したものの、一部用途においてサプライチェーン上での在庫調整等の影響が一服し、販売量が増加しました。一方、需要が低迷する中、競争激化の影響から販売価格が低下し、スプレッドは若干低下しました。結果、前年同期比増収・増益となりました。
炭素繊維事業分野では、航空機向け用途で、サプライチェーン上での調達制約からの緩やかな回復により、販売は堅調に推移しました。一方、産業用途等では、サプライチェーンにおける在庫調整は解消傾向であるものの、顧客側での設備故障の影響などもあり、全体での販売量は前年同期並みとなりました。また、競争激化による汎用品を中心とした販売価格低下やインフレに伴う労務費高騰等の固定費増加の影響を受け、前年同期比微増収・減益となりました。
複合成形材料事業分野では、販売価格改定、コスト削減等の収益性改善効果の追加発現、IFRS適用に伴う固定資産減損による償却費減等により、前年同期比増収・増益となりました。
◆繊維・製品事業
売上収益は1,739億円と前年同期比151億円の増収(9.5%増)、事業利益は101億円と前年同期比26億円の増益(34.3%増)となりました。
衣料繊維は、北米や中国向けのテキスタイル・衣料品の販売が好調に推移し、国内向けも夏物を中心とした衣料品の販売好調が継続しました。産業資材では、水処理フィルター向けのポリエステル短繊維、人工皮革、テレビ通販での生活雑貨の販売が好調に推移しました。また、為替影響等により仕入れコストが上昇しましたが、生産効率改善や販売価格改定を進めました。
◆ヘルスケア事業領域:在宅医療機器はレンタル台数が堅調に推移し、医薬品「オスタバロ」は投薬期間制限解除に伴い販売量が拡大。一方で、薬価改定および在宅医療での消耗品コスト増などが収益に影響
売上収益は693億円と前年同期比14億円の減収(2.0%減)、事業利益は54億円と前年同期比37億円の減益(40.5%減)となりました。
医薬品分野では、長期収載品を中心に2024年4月の薬価改定が収益に影響しました。一方で、「ソマチュリン*1」や「ゼオマイン*2」が順調に販売量を拡大しました。また骨粗鬆症治療剤「オスタバロ」も2023年12月の投薬期間制限解除に伴い販売量が拡大しました。
*1 先端巨大症・下垂体性巨人症/甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍/膵・消化管神経内分泌腫瘍治療剤 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
*2 上肢・下肢痙縮治療剤 ゼオマイン®/Xeomin®は、Merz Pharma GmbH &Co, KGaA(独)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場において、検査数の増加に伴い新規処方件数の拡大が継続し、レンタル台数は堅調に増加しました。一方、新機台の投入台数や消耗品の使用量の増加に伴うコスト負担が増大しました。また、在宅酸素療法(HOT)市場では、全体としてはレンタル台数が微減となりましたが、2023年7月に上市した携帯型酸素濃縮装置新機種「ハイサンソポータブルαⅢ」は全国展開によりレンタル台数が増加しました。
◆その他(電池部材・メンブレン事業、再生医療・埋込医療機器事業等)
売上収益は299億円と前年同期比24億円の増収(8.6%増)、事業利益は55億円と前年同期比49億円の増益(949.3%増)となりました。
電池部材事業分野では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」が堅調であった前年同期を上回る好調な販売となりました。また、高機能メンブレン「ミライム」は、最先端の半導体用途向けの販売が伸長しました。
人工関節・吸収性骨接合材等の埋込医療機器事業は、販売量が堅調に推移しました。
再生医療事業では、(株)ジャパン・ティッシュエンジニアリングは概ね堅調に推移しました。
2) 財政状態
当中間連結会計期間末の資産合計は、減損損失等による有形固定資産、使用権資産及び無形資産の減少等により、前期末比558億円減少の11,708億円となりました。
負債合計は、社債及び借入金の増加等により、前期末比11億円増加の7,909億円となりました。
資本合計は、主要通貨に対する円高の進行により、在外営業活動体の換算差額が減少したほか、減損損失等による中間損失の計上等により、前期末比568億円減少の3,799億円となりました。
なお、当中間期末のBS換算レートは、143円/米ドル、159円/ユーロ、1.12米ドル/ユーロ(前期末151円/米ドル、163円/ユーロ、1.08米ドル/ユーロ)となっています。
3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、減損損失や減価償却費等の非資金性費用を除いた利益により、合計で232億円の収入(前期は203億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の実施等により、307億円の支出(前期は275億円の支出)となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたフリー・キャッシュ・フローは75億円の支出(前期は72億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や社債の償還による支出があった一方、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増加等により、347億円の収入(前期は172億円の収入)となりました。
これらに現金及び現金同等物に係る換算差額並びに売却目的で保有する資産に含まれる現金及び現金同等物の増減額を加えた結果、最終的な現金及び現金同等物の減少額は131億円となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、帝人グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 会社の支配に関する基本方針
当中間連結会計期間において、帝人グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(4) 会計上の見積り及びその仮定
帝人グループは、2023年4月1日を移行日として、当期からIFRSを適用しています。当中間連結会計期間において、重要性があると認識している会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」」に記載しています。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当社及び連結子会社の研究開発活動の金額は、149億円です。
なお、当中間連結会計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において締結した、経営上の重要な契約等は以下のとおりです。
(連結子会社の株式譲渡)
当社は、2024年5月13日付「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」で公表したとおり、事業ポートフォリオ変革に取り組んでいます。連結子会社であるインフォコム(株)(以下、インフォコム)につきましても、更なるグループシナジーの模索と同時に、あらゆる選択肢の検討を進めてきましたが、インフォコム株式の譲渡を実施することが、当社及びインフォコムの企業価値及び株主共同の利益の向上を図る上で最適であると判断し、2024年6月18日開催の取締役会において、ビー・エックス・ジェイ・シー・ツー・ホールディング(株)(以下、公開買付者)との間で下記の取引基本契約を締結しました。
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契約会社名 |
相手先 |
内容 |
契約時期 |
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帝人(株) (当社) |
ビー・エックス・ジェイ・シー・ツー・ホールディング(株) |
①公開買付者が実施する当社の連結子会社であるインフォコムの普通株式(以下、インフォコム株式)及び新株予約権に対する公開買付けに、当社が保有するインフォコム株式の全てを応募しないこと ②本公開買付け成立後に、インフォコムの株主を当社及び公開買付者のみとするための手続を実施すること ③インフォコムによる自己株式取得により、当社がその時点で保有するインフォコム株式の全てをインフォコムに譲渡すること等に関する取引基本契約 |
2024年6月18日 |