第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 『Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題』」について、「Ⅲ.2025年3月期の計画」に関する記載を、次のとおり改定いたします。

 

Ⅲ.2025年3月期の計画

①2025年3月期の見通しについて

当中間連結会計期間において、昨今の為替変動により為替差損を計上いたしました。また、2019年に新規参入した中国LTS事業において新型コロナウイルス影響により事業環境に変化がみられ、当初想定した成長の実現が困難であると判断し戦略的に撤退を決定したため、関係会社整理損を特別損失に計上いたしました。これらの影響により2025年3月期の見通しは下記のとおりとなる見込みです。

単位:億円

(四捨五入)

2024年3月期実績

2025年3月期予想

(2024年5月10日公表値)

(2024年11月8日公表値)

売上高

2,370

2,410

2,410

EBITDA※1

168

310

310

営業利益

△40

100

100

経常利益

△72

95

85

当期利益

△76

70

50

ROE

△5.2%

4.9%

3.5%

ROIC※2

△1.2%

2.9%

2.9%

※1 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

※2 ROIC=NOPAT(営業利益-みなし法人税)/ 投下資本 [(純資産+有利子負債(リース債務含む)
+その他の固定負債)の期首・期末残高の平均]

 

②2025年3月期計画の骨子

本中期計画の最終年度にあたる2025年3月期について、「Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題 Ⅱ.中期計画「H.U. 2025 ~Hiyaku(飛躍) & United~」の概要」に記載のとおり、重要テーマに取り組んでまいります。

・LTS事業における収益性の改善

H.U. Bioness Complexを中心とした検査オペレーションの抜本的な効率化等による原価改善効果を発現させてまいります。また、株式会社メディパルホールディングスとの合弁会社である株式会社メディスケットによるシェアリング・ロジスティクスの推進により、集荷・物流に係るコスト最適化効果の発現を加速させてまいります。

・CDMO事業の強化

CDMO事業における中長期な需要拡大を見据え、パートナーとの開発を推進してまいります。

 

(2)経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況

①経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等により、経済活動は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、世界情勢の変動を背景とした原材料価格やエネルギー価格の高騰や為替相場における円の乱高下等、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制等、厳しい事業環境が継続しております。

このような環境の中、当社グループといたしましては、ベース事業の成長およびH.U. Bioness Complexを中心とした収益性改善によってアフターコロナに最適なコスト構造の構築に注力し、安定的に事業を継続するための経営基盤の強化に取り組んでおります。

これらの結果といたしまして、当中間連結会計期間の売上高は119,987百万円(前年同期比3.0%増)となりました。主な増収要因は検査・関連サービス事業の伸長です。

利益では、増収による増益に加えて、検査・関連サービス事業における収益性改善施策の効果が徐々に発現したことにより増益となりました。その結果、営業利益は956百万円(前年同期は営業損失1,569百万円)となりました。営業利益の増益があった一方、営業外費用として為替差損を計上したこと等により、経常損失は1,257百万円(前年同期は経常損失1,571百万円)となりました。また、特別利益として補償損失引当金戻入額、特別損失として関係会社整理損を計上したこと等により、親会社株主に帰属する中間純損失は821百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失1,822百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

イ.検査・関連サービス事業

売上では、新型コロナウイルス関連検査売上高が減少したものの、がんゲノムを始めとした遺伝子関連検査を含むベース事業が伸長したことにより増収となりました。これらの結果、売上高は76,518百万円(前年同期比5.8%増)となりました。利益では、ベース事業の増収による増益に加えて収益性改善施策の効果が徐々に発現したことにより、営業損失は2,892百万円(前年同期は営業損失6,190百万円)となりました。

 

ロ.臨床検査薬事業

売上では、海外におけるNeuro試薬の伸長および円安による為替の影響があったものの、主に新型コロナウイルス関連製品の売上高が減少したことにより減収となりました。これらの結果、売上高は29,019百万円(前年同期比4.0%減)となりました。利益では、主に新型コロナ関連売上高の減収による減益により、営業利益は5,481百万円(前年同期比19.5%減)となりました。

 

ハ.ヘルスケア関連サービス事業

売上では、滅菌関連事業が伸長した結果、売上高は14,448百万円(前年同期比3.0%増)となりました。利益では、増収による増益および滅菌関連事業における収益性改善等により、営業利益は879百万円(前年同期比55.8%増)となりました。

 

②財政状態の状況

当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ521百万円増加し、291,371百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加7,070百万円および有形固定資産その他(純額)の増加5,392百万円があった一方、機械装置及び運搬具(純額)の減少6,857百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少1,928百万円、工具、器具及び備品(純額)の減少1,335百万円、建物及び構築物(純額)の減少1,211百万円および投資有価証券の減少1,130百万円があったためであります。

当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ6,946百万円増加し、155,290百万円となりました。その主な要因は、短期借入金の増加10,000百万円および固定負債その他の増加4,176百万円があった一方、未払金の減少5,851百万円および支払手形及び買掛金の減少1,215百万円があったためであります。

当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ6,424百万円減少し、136,080百万円となりました。その主な要因は、配当金の支払3,604百万円、為替換算調整勘定の減少2,403百万円および親会社株主に帰属する中間純損失821百万円があったためであります。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.3%減少し、46.7%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,070百万円増加し、47,017百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は6,668百万円(前年同期5,522百万円の獲得)となりました。その主な要因は、減価償却費9,942百万円、未払消費税等の増加額1,830百万円および売上債権及び契約資産の減少額1,032百万円があった一方、その他の流動負債の減少額1,925百万円、仕入債務の減少額1,789百万円および税金等調整前中間純損失1,571百万円があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は9,753百万円(前年同期7,272百万円の使用)となりました。その主な要因は、無形固定資産の取得による支出3,403百万円、子会社株式の条件付取得対価の支払額3,005百万円および有形固定資産の取得による支出2,368百万円があったためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は10,666百万円(前年同期6,055百万円の使用)となりました。その主な要因は、短期借入金の純増減額10,000百万円およびセール・アンド・リースバックによる収入6,396百万円があった一方、配当金の支払額3,597百万円およびファイナンス・リース債務の返済による支出2,130百万円があったためであります。

 

(3)株式会社の支配に関する基本方針について

当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則(2006年法務省令第12号)第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社取締役会は、当社株式の買付提案等を受け入れるかどうかは、最終的には、当社株主のみなさまの判断に委ねられるべきものであり、当社株主のみなさまが適切な判断を行うためには、当社株式の買付け等が行われようとする場合に、当社取締役会を通じ、当社株主のみなさまに十分な情報が提供される必要があると考えます。

そして、対価の妥当性等の諸条件、買付けが当社グループの経営に与える影響、買付者による当社グループの経営方針や事業計画の内容等について当社株主のみなさまに十分に把握していただく必要があると考えます。

しかし、当社株式の買付け等の提案の中には、会社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が会社の有する本来の企業価値・株主共同の利益に照らして不十分または不適切であるもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れをもたらすものも想定されます。

このような企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある不適切な大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えています。

当社は、2007年5月23日に開催された当社取締役会において、以上の内容を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針とすることを決定いたしました。

 

Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み

当社では、中期経営計画の着実な実行、安定的かつ継続的な株主還元、およびコーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じて、企業価値・株主共同の利益の向上に取組んでいます。以下に掲げるこれらの取組みは、上記Ⅰの基本方針の実現に資するものと考えています。なお、以下に掲げる取組みは、その内容から、株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことは、明らかであると考えています。

 

1)中期経営計画の実行を通じた企業価値・株主共同の利益の向上の取組み

当社グループを取り巻く事業環境は、高齢化や先端的医療の導入等による医療費の伸長が見込まれる中、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制により、国内臨床検査市場は今後も厳しい状況が継続するものと見込まれます。一方、医療費の抑制策が進む中、病院および病床再編に伴う在宅医療や予防医療のニーズの拡大、先進医療技術の向上やIT技術の進展など新たな成長の機会があり、事業環境の様相は刻々と変化しております。

また、新型コロナウイルス感染症流行以降、生活者の行動変容や患者様の受診抑制傾向からの回復鈍化等、足元の流動的な環境変化にも適切な対応が求められております。

一方、海外臨床検査市場においては、新興国を中心に成長しているものの先進国では社会保障費抑制による低成長が継続しております。また、各国の制度変更等による薬事関連コストが増加する等、厳しい事業環境が継続しております。

このような事業環境の中、当社は、将来の飛躍的かつ持続的な成長に向けて、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を2020年9月に策定いたしました。本中期計画の概要は、「(1)Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

2)安定的かつ継続的な株主還元を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み

当社では、将来の経営環境の変化とM&A・研究開発など将来の成長機会への投資に備え、必要な内部留保を充実させながら、配当を中心に株主のみなさまに安定的かつ継続的な利益還元を図っていくことを目標としています。

 

3)コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み

当社では2005年6月より委員会設置会社(現・指名委員会等設置会社)に移行し、監督と執行を明確に分離し、業務執行を迅速に展開できる執行体制を確立しております。コーポレート・ガバナンス体制の観点からは、取締役9名のうち7名の社外取締役を東京証券取引所の定めに基づく独立役員とし、法令に従って監査委員会、報酬委員会、指名委員会を設置してさらなる経営の透明性確保、公正性の向上を目指した取組みを継続しています。インセンティブ・報酬の観点からは、企業価値・株主共同の利益を向上させることを最重要課題と位置付け、執行役に対する業績連動型報酬制度を導入するとともに、業績との連関が高くない退職慰労金制度を廃止し、また株主のみなさまと執行役その他従業員の利益を共有化する目的から株式報酬制度を導入しております。これら執行役・取締役に対する報酬は有価証券報告書、事業報告にて開示しております。その他、株主総会の活性化および議決権行使の円滑化に向けた施策として、株主のみなさまが適切な議決権行使をしていただく時間を確保する目的から招集通知を株主総会の3週間以上前に発送するとともに、議決権電子行使の電子投票システムの導入やプラットフォームへの参加など、さまざまな施策を実施しています。さらに、株主総会の日程は、いわゆる株主総会集中日を回避して設定するとともに、当日ご出席いただけない株主のみなさまに対して、事前のご質問をお受けするとともにインターネットによるライブ配信を実施しています。また、これら適切なガバナンス体制の維持・強化の重要性から、内部統制システムの基本方針を定め、監査委員会による監査体制の強化、子会社・関連会社を含めた管理規程の整備を進め企業集団における業務の適正を確保するための体制を構築するなど、さらなる整備強化を進めております。

 

Ⅲ.上記の取組みが上記Ⅰの基本方針に沿うものであり、株主共同利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由

上記の取組みは、当社の財産を最大限に活用し、収益の維持・向上に必要な内部留保の確保と株主のみなさまへの利益還元の適正な配分を図り、また、適切なコーポレート・ガバナンス体制の維持・強化を図るものであり、当社の企業価値および株主共同の利益の向上に資するものであります。したがいまして、上記の取組みは、基本方針に沿うものであり、株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(4)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、5,187百万円であります。当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

グループ研究開発機能を強化しつつ、外部企業・研究機関との連携も進めることで、新たな医療・ヘルスケア関連技術および画期的な検査技術に関する研究開発を鋭意進めてまいります。

 

(5)主要な設備の状況

当中間連結会計期間における主要な設備の状況に重要な変更はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当中間連結会計期間における当社グループの資金調達方針については、重要な変更はありません。

なお、当中間連結会計期間末における総額20,000百万円のコミットメントラインの借入実行残高はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。