文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
当中間会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更はありません。
(重要事象等について)
当社は、継続して営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。しかし、当社は財務基盤強化のため、2024年4月に第三者割当による新株式発行を行い、46百万円の資金調達を実行しました。その結果、当中間会計期間末において現金及び預金212百万円を保有し、かつ借入金は無く必要な運転資金を確保していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、財務諸表への注記は記載しておりません。
当社は、経常損益の継続的な黒字化と成長を実現するため、ネットワーク事業ではネットワークアプライアンスに集中的に経営資源を投入する方針で臨みます。これまでに培ったソフトウェアに関する知見と資産を活用して収益化に取り組むことに加えて、過年度に半導体不足により事業が停滞した経験を踏まえ、部材供給の制約のないソフトウェア・サービスを事業の柱として収益の安定化・向上を図るべく、事業転換を今後一層加速してまいります。
そこで、引き続き以下の課題に取り組んでまいります。
①自由で安全なコネクテッドワールドの実現
当社は、SDGsが採択される以前から環境問題に向き合いISO14001を取得し、その解決に向けて取り組んできました。当社の提供する省スペース、省電力の自社製品と、データ流通を実現する通信技術により、フィジカルワールドとサイバーワールドを結び付け、より利便性の高い社会の実現、より安全な社会の実現、より豊かなくらしづくりの実現に取り組んでまいります。
②ソフトウェア・サービス収益の強化と社会のデジタル化への対応
当社はこれまでのハードウェア中心の事業形態から、ソフトウェア・サービス中心の事業形態への転換を進めております。
マイクロサーバーに専用アプリケーションを搭載したネットワークアプライアンスは、サポートサービスも含めて顧客に長期間ご利用いただいており、これを収益向上の柱の一つと位置付けて開発と販売をさらに充実するとともに、当社ソフトウェアやサービスの強みを活かした収益強化策に取り組みます。
また、新領域であるWeb3事業においても、ソフトウェアやサービスの強みを活かした収益化に取り組みます。当社は2016年度からIoTの推進に向けたブロックチェーン技術への取り組みを開始し、2019年にIoT
データ伝送・交換基盤を発表し、2020年にブロックチェーンを利用したIoTデータ取引に関する特許を取得、2021年にはその特許を利用したIoTデータ取引基盤を発表しました。その後も慶應義塾大学SFC研究所と
IoTデータ交換の標準プロトコルの共同研究を行うなど、技術の開発に努めるとともに、2024年3月期には当社のWeb3技術を活用した輸出物流構築の実証事業に取り組み、所期の成果をあげました。
Web3にかかわる領域は、その分野が広範であるばかりか関係者が複雑化し事業規模が非常に大きくなることが予想されることから、当社が自ら事業を行うことに加え適切な事業の推進形態を整え、またそれぞれの分野に強みを持つ事業者とアライアンス戦略をとってまいります。
当社は、これらの施策により、拡大するネットワーク・IoT市場と社会のデジタル化への対応に取り組んでまいります。
③財務基盤の充実
当社は財務基盤の強化と手元資金流動性の確保を検討してまいりましたが、この解決のため、新株式の発行により2024年4月に46百万円の資金調達を行いました。当社は今後の事業形態の転換やそれによる事業拡大など必要に応じて資金調達を実施し、さらに財務基盤を充実・強化することを検討してまいります。
④社会への貢献
当社のパートナー戦略は、持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化するものであり、SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」を実現します。また、当社の技術力により、産業界におけるIoT化が促進されることから、産業と技術革新の基盤を創出することを実現します(SDGs目標9)。さらに、大型で電力を消費するサーバーに代替する製品として当社が製造販売する製品は小型かつ電力消費量低減を実現しており、製造者としての「つくる責任つかう責任」(SDGs目標12)を全うします。その他、当社の事業展開による教育現場やビル、都市などへの当社製品の導入により、顧客とともにカーボンニュートラルに取り組み、SDGsを実現し、社会に貢献してまいります。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当中間会計期間における我が国の景気は緩やかに上昇しました。しかし、この期間中に日経平均株価が大きく動き、また為替レートが円安から円高に向かうなど、経済環境の変動が見られました。海外では国際情勢の悪化による世界的な供給不足がある一方で、国内では物価の上昇が続くとともに人手不足による供給制約のリスクなど、依然として先行き不透明な状況が続いています。
当社は、インターネットの黎明期より培ってきたネットワーク技術を基盤として、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)事業に注力してきました。IoTは研究・実証の段階を終え、実運用が始まっており、今後も市場が拡大していくものと考えられます。また一方では、産業界全般にわたるデジタルトランス
フォーメーション(DX)が加速し、技術革新を新時代の競争力の源泉とした経済・社会システムの再構築への投資が各国で始まっています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大以来、その影響と世界的な半導体の供給不足、さらに原材料価格の高騰により、経済活動・企業活動には停滞が見られましたが、社会はネットワークでの接続を前提としたデジタル化による新しい社会環境に変化しつつあります。これは当社の強みであるネットワーク技術とIoT技術を展開する強い追い風となっております。
このような状況のもとで、当社は「自由で安全なコネクテッドワールドの実現」をミッションとして、コアコンピタンスであるオープンソースソフトウェアに関する知見やネットワーク技術と、これを基盤としたIoT技術を中核に事業を推進しております。IoT事業を含む現事業領域をネットワーク事業と位置付け、「Web3」(ブロックチェーン上で、暗号資産等のトークンを媒体として「価値の共創・保有・交換」を行う経済)への参入を目指す新規事業領域をWeb3事業と位置付けて、従来型のハードウェア中心の事業形態からソフトウェア・サービスを中心とする事業形態への転換を加速する戦略をとっております。
ネットワーク事業については、ネットワークアプライアンス「EasyBlocks(イージーブロックス)リソース監視」を製品化しラインナップを強化するとともに、展示会への出展やオンラインセミナー、全国各都市での相談会開催など市場への浸透に注力しております。
Web3事業については、ブロックチェーンを利用したIoTのデータ流通に関する特許を既に複数件取得し、また、慶應義塾大学SFC研究所と共同でIoTシステムとブロックチェーン・システムを連動させるための現実的なプロトコルの研究を行いました。さらに、前事業年度に開始したWeb3の実証事業「日本酒輸出増プラットフォームモデル実証プロジェクト」について、引き続き発展・進化させた実証研究を続けるとともに、秋田県大仙市と花火産業の推進に関する連携協定を締結しデジタル技術を活用した取り組みを進めており、その初期段階としてスマートフォン用公式アプリケーション「大曲の花火」をリリースしました。
当中間会計期間は、IoTゲートウェイとネットワークアプライアンスを中心に増販に努めた結果、全体の売上高及び売上総利益は前年同期に対して大きく増加しました。
販売費及び一般管理費は、抑制的に運用しながらも、Web3事業の実証研究を継続したことにより前年同期に対して増加しました。また、前事業年度に実施した実証事業に対する農林水産省の補助金32百万円が交付され、これを営業外収益に計上しました。これにより当中間会計期間の経常利益は少額ながらも黒字となりました。
この結果、当中間会計期間の売上高は565百万円(前年同期比104百万円・22.5%増加)、営業損失は31百万円(前年同期は営業損失66百万円)、経常利益は0百万円(前年同期は経常損失66百万円)、中間純利益は0百万円(前年同期は中間純損失70百万円)となりました。
品目別の売上高動向につきましては、次のとおりであります。
(自社製品コンピューター)
IoTゲートウェイは既存案件の出荷が順調に推移し、また、ネットワークアプライアンスは積極的な営業活動により販売台数の増加、とりわけ高価格帯の製品出荷があったため、自社製品コンピューター全体の売上高は、309百万円(前年同期比96百万円・45.3%増加)と前年同期に対して大幅に増加しました。また、売上総利益率は34.2%(前年同期は36.5%)となりました。
(コンピューター関連商品)
前事業年度は、半導体部品の不足により遅延していた商品の入荷が再開されたためコンピューター関連商品のまとまった出荷がありましたが、当中間会計期間はそのような出荷の集中がなく、全体の売上高は前年同期を下回り95百万円(前年同期比36百万円・27.8%減少)となりました。また、売上総利益率は24.7%(前年同期は23.2%)となりました。
(サービス・その他)
ネットワークアプライアンスに関連するサービスと、ネットワーク関連商品のサービス売上が増加しました。この結果、サービス・その他全体の売上高は160百万円(前年同期比44百万円・37.8%増加)となりました。また、売上総利益率は54.7%(前年同期は59.7%)となりました。
なお、上記の各品目に含まれるIoT事業(ネットワークアプライアンス、IoTゲートウェイ、マイクロサーバー、サービス)の売上高は前年同期に比べて増加し、売上高は376百万円(前年同期比108百万円・40.3%増加)となりました。売上総利益は167百万円(前年同期比37百万円・29.1%増加)となり、売上総利益率は44.4%(前年同期は48.3%)となりました。
(2) 財政状態の状況
当中間会計期間末の資産につきましては、現金及び預金の増加54百万円、売掛金及び契約資産の増加31百万円、棚卸資産の減少59百万円等により前事業年度末に比べ22百万円増加し、668百万円となりました。
負債につきましては、買掛金の減少43百万円、前受金の増加18百万円等により前事業年度末に比べ24百万円減少し、264百万円となりました。
純資産につきましては、第三者割当増資による新株式発行等により前事業年度末に比べ47百万円増加し、403百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ54百万円増加し、212百万円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
補助金の受取額32百万円、棚卸資産の減少59百万円等の増加要因と、売上債権及び契約資産の増加31百万円、仕入債務の減少43百万円等の減少要因がありました結果、営業活動により獲得した資金は7百万円となりました。(前年同期は46百万円の獲得)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の増減はありませんでした。(前年同期は3百万円の使用)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株式の発行による収入により、財務活動により獲得した資金は46百万円となりました。(前年同期は資金の増減なし)
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当中間会計期間において、当社の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(5) 経営方針及び経営戦略
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針及び経営戦略について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当中間会計期間における研究開発費の総額は、35百万円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 生産、受注及び販売の実績
(自社製品コンピューター)
当中間会計期間の受注実績は、IoTゲートウェイの既存案件の大口受注及びネットワークアプライアンスの積極的な営業活動により323百万円(前年同期比113百万円・53.9%増加)となり、前年同期に比べ著しく増加しました。
(サービス・その他)
当中間会計期間の受注実績は、ネットワークアプライアンスに関連するサービス及びネットワーク関連商品のサポートサービスの増加により171百万円(前年同期比74百万円・75.9%増加)となり、前年同期に比べ著しく増加しました。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。