第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは、当中間連結会計期間より中間連結財務諸表を作成しております。従いまして、前中間連結会計期間及び前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

 また、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 ①経営成績の状況

当中間連結会計期間においては、ロシアのウクライナ侵攻とイスラエルと周辺勢力の紛争が継続し、非常に不安定な政治状況が、引き続き世界経済に影響を与えました。ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナがロシア領に侵攻し、これまでとは状況が変化しました。また、2023年10月に始まったパレスチナとイスラエルの紛争は、場合によっては中東全体に波及する混乱になることも心配されております。しかし、これら紛争が世界経済に与える影響は予想よりもかなり少なく推移し、米国は好景気が継続しています。

米国では急速だった物価上昇が少し落ち着きを見せ、FRBはついに金利の引き下げを開始しました。また、日本では金利の引き上げが行われましたので、金利差が縮小したことを材料に、ドル円の為替レートは、1ドル150円台から140円を突破する水準まで上昇しました。この為替レートの変化によって、当社グループの輸出品の円価格は下落いたしました。

 

当社グループ製品の主要なビジネス分野であるLGD(Laboratory Grown Diamond:人工宝石)市場は、当中間連結会計期間において引き続き規模が拡大しており、ダイヤモンド宝石市場の20%を超えているとの報道もあります。この拡大が続けば、2035年には50%を超えるという事態も想定されます。それ以降は、真珠と同じようにダイヤモンド市場がLGDに置き換わっていく可能性があります。また、大型の宝石が製造できるようになり、宝石形状もバラエティーに富んできましたので、大型小売店のアソートの多様化により、消費者のLGDに対する需要増加が一層進んでいることから、今後は宝石市場の構造も変化することが考えられます。

当社グループはLGDビジネスの取り組みの中で、種結晶販売に偏重してきたことの反省に立ち、宝石の販売も行う方針といたしました。このために、エス・エフ・ディー株式会社(以下、「SFD」という。)を2024年1月に設立し、SFD India Private Limited(以下、「SFD India」という。)を2024年7月に設立いたしました。当社グループは高単価で高品質な大型の種結晶を有しているばかりでなく、大型のモザイク結晶も持っており、これらを使用することで大型原石が生産できると考えております。その大型原石を利用して、これまでにない形状の宝飾品の開発も可能と想定しております。SFD Indiaでは、種結晶販売と、宝石の加工を行うための準備を進めており、同社でのインドへの輸入が可能となればこれらの業務を開始いたします。

また、当社グループはこれまでにない新しい宝石デザインを実用化する計画で、その試作等の準備も進めております。

しかし、昨年初頭より始まった小型宝石の大幅な価格下落の影響が当中間連結会計期間において依然として残っており、天然ダイヤモンド宝石価格も低下しており、業界全体が影響を受ける形となりました。大幅な価格低下によって採算割れを起こしたと見られる一部の企業は倒産などの事業撤退に追い込まれ、一部は生産工場の操業を停止する事態になりました。特に小型宝石を製造していた企業は、この難しい状態が顕著に現れています。大手企業も例外ではなく、大手企業の米国LGD工場の操業停止や欧州企業の債務整理開始、といったニュースが飛び込んできております。

当社グループの主要種結晶ユーザーは主に小型宝石の生産を行っておりましたので、当中間連結会計期間において当社グループの種結晶受注は厳しい状況が続きました。インド市場においては、LGDメーカーが種結晶を自家生産する動きが拡大したことから、種結晶価格の低下が顕著となり、当社グループも価格情報を入手して、対応を進めてまいりました。また、一部のユーザーは採算が悪化した小型宝石から高価格の大型宝石へ軸足を移す動きが増加しております。当社グループは、その動きに対応するため、2023年11月には15x15mm種結晶(ブリリアントカットで10カラットの宝石生産が可能)を発売いたしました。当連結会計年度になって、この種結晶は各社からの引き合いが来ておりますが、生産数量は14x14mm以下の種結晶に比べて少なく、小型宝石用種結晶の需要減少による売上減少をカバーするには十分ではありませんでした。現在の状況からLGD製造企業の淘汰は早晩終わると見込まれ、その結果、価格下落も終息すると見込まれます。

このような状況下、当中間連結会計期間の種結晶売上は289,836千円となりました。

SFD Indiaは2024年7月に設立を完了しましたが、ビジネス開始に必要な認可等に時間を要し、当中間連結会計期間末時点では事業を開始するに至りませんでした。早期に事業を開始すべく準備を進めております。

次に、種結晶以外の製品の状況を説明します。基板及びウエハにつきましては、当連結会計年度初めから内外の企業、研究機関から多くの引き合いが来ていました。特に、国内のダイヤモンドデバイスベンチャー企業や大学から、各種の基板及びウエハの受注を獲得しました。例年、基板及びウエハは下期に受注及び売上が多くなりますが、当連結会計年度は上期から好調な受注状況でありました。この要因として、世界各国でダイヤモンドデバイスの実用化に向けた開発支援策が始まったことが挙げられます。特に米国ではダイヤモンドデバイスの実用化に向けて、ウエハの開発にも資金が投じられていることから、各研究機関が活発に開発を行っているためと考えられます。

当社は創立当初からダイヤモンドデバイスの開発に資する各種基板、ウエハを出荷してきました。2024年3月期においては、2023年8月にボロンを高濃度含有させた低抵抗自立基板を発売しました。当中間連結会計期間においては、2024年9月に、それまでは7x7mmが最大サイズであった低抵抗自立基板について、13x13mmまでの大型基板を商品化いたしました。

このような積極的な対応により、基板及びウエハの当中間連結会計期間の売上は124,596千円となりました。その他、光学系及びヒートシンクの当中間連結会計期間の売上は6,180千円、工具素材の当中間連結会計期間の売上は16,006千円となりました。

 

種結晶の受注が大幅に減少する中、支出を抑えるべく生産設備の一部休止を含む費用削減策を講じてきました。電力費の節減のために、成長装置の一部も休止しましたが、原石の開発を進めるため当中間連結会計期間においては、フル稼働に近い状況で推移しました。

種結晶は2024年3月期に需要の減少や、輸出貿易管理令改定の影響で多くのキャンセルがあり、製品在庫が積み上がっておりました。当連結会計年度においても、種結晶価格の低下が進みましたので収益性が悪化しました。さらに、当中間連結会計期間において、製作後一定期間を経過した素材等について、種結晶価格の低下の影響により評価損を計上しました。

種結晶価格の低下による製品在庫の収益性の悪化及び素材等についての評価損の計上は、キャッシュアウトとはならないので、当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローの状況と、当中間連結会計期間の親会社株主に帰属する中間純損失の間に、大きな乖離が生じる結果となりました。

また、SFDやSFD Indiaが事業を開始するために、当社グループとして人材を採用し、業務を進めてきました。しかし、海外現地法人が複数となり、さらに増員が必要と考えております。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高436,619千円、営業損失は546,835千円、経常損失は572,638千円、親会社株主に帰属する中間純損失は576,053千円となりました。また、当中間連結会計期間の製品種類別の売上高は、種結晶が289,836千円、基板及びウエハは124,596千円、光学系及びヒートシンクは6,180千円、工具素材は16,006千円となりました。

なお、当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。

 

②財政状態の状況

 (資産)

 当中間連結会計期間末における流動資産は1,768,003千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金が678,839千円、製品が282,489千円、仕掛品が570,793千円となっております。固定資産は3,127,917千円となりました。その主な内訳は、有形固定資産が3,061,463千円となっております。

 この結果、総資産は4,895,921千円となりました。

 

 (負債)

 当中間連結会計期間末における流動負債は238,782千円となりました。その主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金が73,548千円、買掛金が4,898千円となっております。固定負債は248,965千円となっております。その主な内訳は、長期借入金が114,630千円、資産除去債務が104,019千円となっております。

 この結果、負債合計は487,748千円となりました。

 

 (純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産は4,408,173千円となりました。その主な内訳は、資本金が1,562,206千円、資本剰余金が2,091,806千円、利益剰余金が746,668千円となっております。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は678,839千円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動の結果使用した資金は159,769千円となりました。主な獲得要因として減価償却費が228,972千円及び棚卸資産の減少額が133,380千円あったものの、主な使用要因として税金等調整前中間純損失が574,426千円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における投資活動の結果使用した資金は9,753千円となりました。これは有形固定資産の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における財務活動の結果獲得した資金は68,774千円となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が44,047千円あった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入が104,590千円あったこと等によるものであります。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当社グループの研究開発活動は、(ⅰ)生産技術に関する研究開発、(ⅱ)新製品に関する研究開発、(ⅲ)製造装置及び方法に関する研究開発の3つのカテゴリーにおいて、優先順位を考慮して実施しております。

 開発テーマは審査会を経て選定され、年度計画の下で開発作業を行っています。また、半期単位で開発報告会を開催して、進捗状況を社内に周知しています。

 

 当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、200,302千円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に大きな変更はありませんが、ウエハ開発及び宝石原石の開発について積極的に推進しております。

 

(6)主要な設備

当中間連結会計期間において、主要な設備及び主要な設備計画等の著しい変動はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。