第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1) 業績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、緩やかな景気の回復が継続しました。一方で、世界的な金融引締めが進む中、海外景気の下振れが国内の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、金融資本市場の変動などの影響に十分注意する必要があります。

国内建設市場につきましては、公共事業投資は堅調に推移し、民間設備投資も持ち直しの動きが続いているものの、建設資材価格の高止まりや、労務需給の逼迫及び時間外労働の上限規制による供給面の制約の影響により、厳しい経営環境が続いています。今後も引き続き、建設資材価格、労務需給及び労務単価などの動向を注視していく必要があります。

このような状況下、当社グループの当中間連結会計期間における業績は、以下のとおりとなりました。

売上高につきましては、前年同期比で124億円減少し、2,183億円となりました。損益につきましては、2022年3月期から2024年3月期にかけて工事損失を計上している国内大型建築工事において、躯体工事完了に伴う追加・変更工事費の精算、仕上工事に係る仮設資機材や労務等の実績を踏まえた見直し、材料費や労務費の価格上昇、工程及び品質確保のため技術社員体制の見直しなどを踏まえ、工事完成までの全てのコストを改めて精査した結果、新たに工事損失引当金繰入額を含む約131億円の損失を追加計上することとなりました。このことから、営業損失は68億円(前年同期は営業利益88億円)となりました。また、為替相場の変動に伴う為替差損の計上などにより、経常損失は93億円(前年同期は経常利益84億円)、繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額の計上などにより、親会社株主に帰属する中間純損失は146億円(前年同期は純利益52億円となりました。

なお、上記工事損失計上による当連結会計年度末における課税所得の見直しにより、前連結会計年度末に計上した繰延税金資産44億円を取り崩し、同額を法人税等に計上しましたが、当該繰延税金資産については、当連結会計年度末において翌連結会計年度の課税所得見積額、将来減算一時差異のスケジューリング等により回収が見込まれる額をあらためて計上する予定です。

 

土木部門・建築部門それぞれのセグメント業績は以下のとおりです。なお、部門ごとのデータは内部売上高、又は振替高を含めて記載しています。

(土木部門)

売上高は前年同期比67億円減少976億円、売上総利益は前年同期比56億円減少108億円となりました。

(建築部門)

売上高は前年同期比63億円減少1,207億円、売上総損失46億円(前年同期は売上総利益54億円となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、未成工事受入金の増加等による資金の増加はあったものの、売上債権の増加、仕入債務の減少等により778億円の資金の減少(前年同期は227億円の資金の減少)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等による資金の減少はあったものの、定期預金の純減少等により、4億円の資金の増加(前年同期は99億円の資金の増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、剰余金の配当等による資金の減少はあったものの、運転資金の借入実行により、605億円の資金の増加(前年同期は75億円の資金の増加)となりました。

 

以上の結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ167億円減少し、730億円(前年同期末比159億円増加)となりました。

当社グループの運転資金の調達については、シンジケートローン方式による長期借入金をベースに、不足が生じる場合に短期借入金で賄っています。

資金の流動性については、手元の現金及び現金同等物に加え、金融機関との当座貸越契約及びコミットメントライン契約の締結により、必要な資金水準の維持とともに、緊急的な資金需要にも耐え得る、十分な資金の流動性を確保しているものと考えています。

 

(3) 財政状態の分析

(資産)

現金預金は前連結会計年度末比で195億円減少、投資その他の資産は前連結会計年度末比で22億円減少しましたが、受取手形・完成工事未収入金等は前連結会計年度末比で275億円増加、未成工事支出金等は前連結会計年度末比で69億円増加、その他流動資産は前連結会計年度末比で144億円増加しました。

以上の結果、当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末比で274億円増加し、4,390億円となりました。

 

(負債)

支払手形・工事未払金等及び電子記録債務を合計した支払債務につきましては、前連結会計年度末比で166億円減少、工事損失引当金は前連結会計年度末比で31億円減少、その他流動負債は前連結会計年度末比で119億円減少しましたが、短期借入金、社債及び長期借入金を合計した有利子負債残高につきましては、前連結会計年度末比で636億円増加、未成工事受入金は前連結会計年度末比で94億円増加しました。

以上の結果、当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末比で423億円増加し、3,767億円となりました。

 

(純資産)

株主資本は、親会社株主に帰属する中間純損失の計上146億円、剰余金の配当22億円等の結果、前連結会計年度末比で167億円減少しました。

その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末比で19億円増加しました。

以上の結果、当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末比で148億円減少し、623億円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の17.0%4.5ポイント低下12.5%となりました。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 当社施工の横浜市所在マンションの事案につきましては、2017年11月28日付にて、本件マンションの発注者の1社である三井不動産レジデンシャル株式会社(以下、「レジデンシャル社」といいます。)が、本件マンション全棟の建替え費用等の合計約459億円(その後2018年7月11日付にて約510億円に増額、2022年9月30日付にて約510億円から約506億円に減額)を当社並びに杭施工会社2社に対し求償する訴訟を提起していますが、レジデンシャル社の請求は、根拠、理由を欠くものであると考えており、引き続き裁判において、当社の主張を適切に展開してまいります

 

② 現在施工中の国内大型建築工事における度重なる損失発生につきましては、施工・品質管理体制の強化、本支店による施工全般に対する支援や技術的な指導、外部の有識者に参画いただいた調査委員会の提言を踏まえて策定した再発防止策の徹底により、更なる追加損失の発生を防止すべく全社を挙げて対応してまいりました。しかしながら今般、躯体工事完了に伴う追加・変更工事費の精算、仕上工事に係る仮設資機材や労務等の実績を踏まえた見直し、材料費や労務費の価格上昇、工程及び品質確保のため技術社員体制の見直しなどを踏まえ、工事完成までの全てのコストを改めて精査した結果、新たに損失が発生する事態となりました。

    なお、当該工事の現在の状況としましては、躯体工事は概ね完了し、内装仕上工事や外構工事などの付帯工事を中心に施工中です。2025年8月の竣工に向けて、修正後の工程通りに進捗しています。工事は既に8割近く進捗しており、今後発生見込の仕上工事等に係る工事原価につきましても、仕入先や協力会社等からの見積に基づいて精査を行ったことを踏まえ、今般の見直しによって、竣工までのコストは概ね確定しているものと判断しています。当該工事の完成に向けた対応に加えて、建築事業全般の業績改善施策である施工体制逼迫の改善と現場支援体制の再構築、受注プロセスにおけるガバナンス強化と最適な受注ポートフォリオの構築、利益を重視した目標管理の徹底の3点を確実に実施し、業績の回復、信頼の回復、企業価値の向上をはかってまいります。

 

(5) 研究開発費

当中間連結会計期間における研究開発費は720百万円です。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。