第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当中間連結会計期間における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

 (1) 連結経営成績の状況

a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況

(a) 事業全体の状況

ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み

当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業を手がけ、「世界に最も必要とされる会社」になるというビジョンを掲げ企業価値の最大化に取り組んでいます。このため、取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、事業を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献しています。

当中間連結会計期間の国内景気は、地政学リスクの高まりやインフレによる先行き不透明感が続くなか、大企業の堅調な設備投資需要などにより緩やかな回復傾向にあります。一方、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、企業や行政のデジタル化は必要不可欠なものとなりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となり、さらに、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIの出現により、変革のスピードは加速しています。このような環境の下、情報・テクノロジー領域のさまざまな事業を展開する当社グループが果たすべき役割は、ますます重要性を増しています。

当社は2023年5月、3カ年の中期経営計画とともに、長期的に「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を目指すことを発表しました。これは、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持ったインフラを構築し、未来の多様なデジタルサービスを支える不可欠な存在となることを意図しています。そして、この長期ビジョンの実現に向け、本中期経営計画においては事業基盤を着実に再構築することを掲げています。すなわち、成長戦略「Beyond Carrier」を推進することにより通信料の値下げの影響からの回復に取り組み、この計画期間の最終年度である2026年3月期において、親会社の所有者に帰属する純利益を最高益となる5,350億円とすることを目指しています。成長戦略「Beyond Carrier」は、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指すものです。また、通信事業とそれらのグループ事業との連携を強化することを通じて、通信事業の競争力を高め、さらにグループ事業のサービス利用者数の拡大やユーザーエンゲージメントの向上などのシナジーの創出を推進します。

 


 

<経営環境に関する認識>

当社グループが認識している主な外部環境要因および対応は以下の通りです。

金利上昇

当社は長期有利子負債の9割程度について固定金利での借り入れを行っており、直ちに重要な影響はありません。(注1)

為替変動

当社の為替エクスポージャーは限定的ですが、よりリスクの低減を図るため、必要に応じて為替予約取引を利用しています。

 

 

 

<主な取り組み>

・当社は2024年8月の取締役会において、第2回社債型種類株式を発行することを決議しました。2023年11月に発行した第1回社債型種類株式と同じく、普通株式への転換権がない、累積配当ではあるものの当初設定された優先配当金以上の配当が行われない、議決権の希薄化が生じない設計となっており、普通株式の株主に配慮した形での自己資本の拡充が可能となります。調達資金は、生成AIを用いたサービスの実現、次世代社会インフラの構築など中長期的な企業価値の向上に資する成長投資資金として、その設備投資資金に充当していくことを想定しています。

・エンタープライズ事業では、当社は2024年9月に、当社グループのICTサービス中核会社であり当社の子会社であるSBテクノロジー㈱を完全子会社化するための株式併合を実施しました。SBテクノロジー㈱の完全子会社化により、同社の有するエンジニアやセキュリティ・クラウドサービスおよび当社の有する顧客基盤、エンジニア、ネットワークをはじめとするコミュニケーションサービス、AI/IoT/5G(注2)/デジタルマーケティングサービス等の経営資源を相互活用していきます。両社が一体となって、DX(注3)推進を課題と感じている顧客に対する効果的なITサービスを提供することが可能となり、ひいては国内ITサービス市場において競争優位性を維持・増進することができると考えています。

 

 

(注1) 長期有利子負債は、短期借入金およびIFRS第16号「リース」適用による影響を除いた有利子負債(銀行ローン・社債・リース負債・債権流動化)を指します。固定金利での借り入れは、固定金利および金利スワップ取引等により支払利息の固定化を行った一部の変動金利の借入金を含みます。

(注2) 5G(5th Generation)とは、第5世代移動通信システムのことを指します。

(注3) DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術の活用による新たな価値・体験の提供および社会の変革を指します。

 

 

ⅱ.連結経営成績の概況

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

売上高

29,338

31,521

2,183

7.4%

営業利益

5,144

5,859

715

13.9%

税引前利益

5,010

5,256

247

4.9%

 

法人所得税

△1,282

△1,319

△37

2.9%

純利益

3,728

3,938

210

5.6%

 

親会社の所有者

3,021

3,239

217

7.2%

 

非支配持分

707

699

△7

△1.0%

 

 

 

 

 

 

 

調整後EBITDA(注1)

8,907

9,364

458

5.1%

 

(注)  調整後EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費(固定資産除却損含む)+株式報酬費用±その他の調整項目。詳細は「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。

 

当中間連結会計期間の連結経営成績の概況は、以下の通りです。

(ⅰ) 売上高

当中間連結会計期間の売上高は、全報告セグメントで増収となり、前年同期比2,183億円(7.4%)増31,521億円となりました。ディストリビューション事業は法人向けICT関連商材、継続収入商材の堅調な増加などにより1,314億円(注)、コンシューマ事業は物販等売上およびモバイル売上の増加などにより471億円、エンタープライズ事業はデジタル化に伴うソリューション需要の増加などにより442億円、メディア・EC事業はメディア売上およびコマース売上の増加などにより356億円、ファイナンス事業はPayPay㈱およびPayPayカード㈱の成長などにより204億円、それぞれ増収となりました。

(注) AI計算基盤に係るセグメント間取引の影響を除く売上高の増加分は948億円です。

 

(ⅱ) 営業利益

当中間連結会計期間の営業利益は、全報告セグメントで増益となり、前年同期比715億円(13.9%)増5,859億円となりました。メディア・EC事業がLINEヤフーグループにおいて子会社の支配喪失に伴う利益を計上したことなどにより435億円の増益となったほか、ファイナンス事業が156億円、コンシューマ事業が125億円、エンタープライズ事業が104億円、ディストリビューション事業が27億円、それぞれ増益となりました。なお、PayPay㈱およびPayPayカード㈱の成長に伴い、2025年3月期第1四半期連結累計期間以降においてファイナンス事業のセグメント利益は黒字に転じています。

 

(ⅲ) 純利益

当中間連結会計期間の純利益は、前年同期比210億円(5.6%)増3,938億円となりました。これは主として、前年同期に計上したLINEヤフーグループが保有するWebtoon Entertainment Inc.に対する持分比率の変動に伴う持分変動利益の剥落、および持分法適用関連会社を対象とするプットオプションの評価損の計上があった一方、前述の通り、営業利益が大幅に増加したことによるものです。

 

(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益

当中間連結会計期間の親会社の所有者に帰属する純利益は、前年同期比217億円(7.2%)増3,239億円となりました。なお、非支配持分に帰属する純利益は、前年同期比7億円(1.0%)減699億円となりました。

 

(ⅴ) 調整後EBITDA

当中間連結会計期間の調整後EBITDAは、前年同期比458億円(5.1%)増9,364億円となりました。これは主として、営業利益が増加したことによるものです。

 

(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況

ⅰ.コンシューマ事業

<事業概要>

コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび「おうちでんき」などの電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。

 

<業績全般>

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

売上高

13,798

14,269

471

3.4%

営業費用(注1)

10,703

11,049

346

3.2%

 うち、減価償却費及び償却費

1,963

1,865

△98

△5.0%

セグメント利益

3,095

3,220

125

4.0%

 

(注)  2024年6月30日に終了した3カ月間より、「コンシューマ事業」に区分されていた一部の子会社を「その他」に移管しました。これに伴い、2023年9月30日に終了した6カ月間の数値を遡及修正しています。

(注1) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。

 

売上高の内訳

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

サービス売上

11,067

11,164

96

0.9%

 

モバイル

7,766

7,888

122

1.6%

 

ブロードバンド

2,010

2,029

18

0.9%

 

でんき

1,290

1,247

△43

△3.4%

物販等売上

2,731

3,105

374

13.7%

 

 

 

 

 

売上高合計

13,798

14,269

471

3.4%

 

(注) 2024年6月30日に終了した3カ月間より、「コンシューマ事業」に区分されていた一部の子会社を「その他」に移管したことに伴い、同社が含まれていた「ブロードバンド」について、2023年9月30日に終了した6カ月間の数値を遡及修正しています。

 

コンシューマ事業の売上高は、前年同期比471億円(3.4%)増14,269億円となりました。そのうち、サービス売上は前年同期比96億円(0.9%)増11,164億円となり、物販等売上は前年同期比374億円(13.7%)増3,105億円となりました。

サービス売上のうち、モバイルは前年同期比122億円(1.6%)増加しました。これは主として、スマートフォン契約数が「ワイモバイル」ブランドを中心に伸びたこと、および前年同期比で通信料の平均単価が改善したことによるものです。平均単価は、低価格の「ワイモバイル」ブランドのユーザー数が増加する一方で、2023年10月に導入した新料金プランの貢献などにより改善傾向にあります。当第2四半期連結会計期間では平均単価は前年同期比で小幅の増加となりました。なお、各四半期連結会計期間のモバイル売上(顧客獲得施策影響を除く)は、2024年3月期第3四半期以降、前年同期比で増収に転じています。

(単位:億円)

 

2024年3月

2025年3月

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第1四半期

第2四半期

モバイル売上

3,846

3,920

3,748

3,704

3,923

3,965

うち、顧客獲得施策影響(注)

△183

△227

モバイル売上(顧客獲得施策影響を除く)

3,846

3,920

3,930

3,931

3,923

3,965

前年同期比

△58

△5

49

64

76

45

 

(注) 一部の顧客獲得施策はIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に基づき、モバイル売上から控除しています。

 

ブロードバンドは前年同期比18億円(0.9%)増加しました。これは主として、光回線サービス「SoftBank 光」契約数(注)が増加したことによるものです。

でんきは前年同期比43億円(3.4%)減少しました。これは主として、「おうちでんき」契約数が減少したことによるものです。

物販等売上の増加は、主として、販売端末の平均単価が増加したことによるものです。

営業費用は11,049億円となり、前年同期比で346億円(3.2%)増加しました。これは主として、スマートフォンなどの仕入原価、広告宣伝費や販売促進費などが増加したことによるものです。

上記の結果、セグメント利益は、前年同期比125億円(4.0%)増3,220億円となりました。

(注)「SoftBank Air」契約数を含みます。

 

ⅱ.エンタープライズ事業

<事業概要>

エンタープライズ事業では、法人のお客さまに対し、モバイル回線提供や携帯端末レンタルなどのモバイルサービス、固定電話やデータ通信などの固定通信サービス、データセンター、クラウド、セキュリティ、グローバル、AI、IoT、デジタルマーケティング等のソリューションサービスなど、多様な法人向けサービスを提供しています。

 

<業績全般>

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

売上高

4,016

4,458

442

11.0%

営業費用(注1)

3,176

3,514

338

10.6%

 うち、減価償却費及び償却費

779

816

37

4.7%

セグメント利益

840

944

104

12.4%

 

(注) 2024年6月30日に終了した3カ月間より、「その他」に区分されていたSBテクノロジー㈱およびサイバートラスト㈱等を「エンタープライズ事業」に移管しました。これに伴い、2023年9月30日に終了した6カ月間の数値を遡及修正しています。

(注1) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。

 

売上高の内訳

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

モバイル

1,542

1,561

19

1.2%

固定

873

849

△24

△2.8%

ソリューション等

1,602

2,049

447

27.9%

 

 

 

 

 

売上高合計

4,016

4,458

442

11.0%

 

(注) 2024年6月30日に終了した3カ月間より「エンタープライズ事業」に移管したSBテクノロジー㈱およびサイバートラスト㈱等の売上高は「ソリューション等」に含まれています。また、2024年6月30日に終了した3カ月間より事業の管理区分を見直し、「モバイル」および「固定」における一部商材を「ソリューション等」へ移管しました。これらに伴い、2023年9月30日に終了した6カ月間の「エンタープライズ事業」の売上高の内訳すべてを遡及修正しています。

 

エンタープライズ事業の売上高は、前年同期比442億円(11.0%)増4,458億円となりました。そのうち、モバイルは前年同期比19億円(1.2%)増1,561億円、固定は前年同期比24億円(2.8%)減849億円、ソリューション等は前年同期比447億円(27.9%)増2,049億円となりました。

モバイル売上の増加は、主として、通信売上および端末販売が増加したことによるものです。

固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数が減少したことによるものです。

ソリューション等売上の増加は、WeWork Japan合同会社の事業を承継したことに加え、企業のデジタル化需要をとらえ、クラウドサービス、IoTソリューション、セキュリティソリューションなどの売上が増加したこと、およびCubic Telecom Ltd.の子会社化の影響などによるものです。

営業費用は3,514億円となり、前年同期比で338億円(10.6%)増加しました。これは主として、前述のWeWork Japan合同会社の事業承継やCubic Telecom Ltd.の子会社化による影響、上記ソリューション等売上の増加に伴う原価の増加、および人件費が増加したことによるものです。

上記の結果、セグメント利益は、前年同期比104億円(12.4%)増944億円となりました。

 

ⅲ.ディストリビューション事業

<事業概要>

ディストリビューション事業は、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、クラウドサービス、AIを含めた先進テクノロジーを活用した商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、ソフトウエアやモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を行っています。

 

<業績全般>

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

売上高

2,993

4,307

1,314

43.9%

営業費用(注)

2,858

4,145

1,287

45.0%

 うち、減価償却費及び償却費

21

22

1

2.5%

セグメント利益

135

162

27

19.9%

 

(注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。

 

ディストリビューション事業の売上高は、前年同期比1,314億円(43.9%)増4,307億円となりました。これは主として、法人向けのICT関連の商材や注力しているクラウドやSaaSなどの継続収入商材の堅調な伸長、AI計算基盤に係るセグメント間取引(注)の影響、およびサポートが終了するWindows 10からの移行に伴うPC売上の増加によるものです。

営業費用は4,145億円となり、前年同期比で1,287億円(45.0%)増加しました。これは主として、売上高の増加に伴い売上原価が増加したことによるものです。

上記の結果、セグメント利益は、前年同期比27億円(19.9%)増162億円となりました。

(注) SB C&S㈱が、NVIDIAから仕入れたAI計算基盤をソフトバンク㈱へ売却したことに伴う、「その他」への売上高です。

 

ⅳ.メディア・EC事業

<事業概要>

メディア・EC事業は、メディアおよびコマースを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。メディア領域においては、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」での広告関連サービス、コマース領域においては「Yahoo!ショッピング」、「ZOZOTOWN」などのオンラインショッピングサービスや「Yahoo!オークション」などのリユースサービス、戦略領域においては、メディア・コマースに次ぐ新たな収益の柱となるよう取り組んでいるFinTechサービス等の提供を行っています。

 

<業績全般>

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

売上高

7,778

8,134

356

4.6%

営業費用(注)

6,688

6,609

△79

△1.2%

 うち、減価償却費及び償却費

827

816

△11

△1.3%

セグメント利益

1,090

1,525

435

39.9%

 

(注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。

 

売上高の内訳

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

メディア

3,410

3,557

148

4.3%

コマース

3,934

4,069

135

3.4%

戦略

400

478

77

19.3%

その他

34

30

△4

△12.5%

 

 

 

 

 

売上高合計

7,778

8,134

356

4.6%

 

(注) 2023年12月31日に終了した3カ月間において、Zホールディングス㈱ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編に伴い、一部のサービスについて管理区分間で移管しました。これに伴い、2023年9月30日に終了した6カ月間におけるメディア・EC事業の売上高の内訳すべてを遡及修正しています。

 

メディア・EC事業の売上高は、前年同期比356億円(4.6%)増8,134億円となりました。そのうち、メディアは前年同期比148億円(4.3%)増3,557億円、コマースは前年同期比135億円(3.4%)増4,069億円、戦略は前年同期比77億円(19.3%)増478億円、その他は前年同期比4億円(12.5%)減30億円となりました。

メディア売上の増加は、主として、アカウント広告の増収によるものです。

コマース売上の増加は、主として、ZOZOグループ(㈱ZOZOおよび子会社)やアスクルグループ(アスクル㈱および子会社)における取扱高が増加したことによるものです。

戦略売上の増加は、主として、FinTech領域の売上が増加したことによるものです。

営業費用は6,609億円となり、前年同期比で79億円(1.2%)減少しました。これは主として、販促費やセキュリティ対策費用等の増加があった一方、IPX Corporation、LINE NEXT Corporation、バリューコマース㈱のそれぞれにつき子会社の支配喪失に伴う利益を計上したことによるものです。

上記の結果、セグメント利益は前年同期比435億円(39.9%)増1,525億円となりました。

 

ⅴ.ファイナンス事業

<事業概要>

ファイナンス事業では、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービス、加盟店のマーケティングソリューションの開発・提供、資産運用などの金融サービス、およびクレジットカード・電子マネー・QRコードなど多様化する決済を一括で提供する決済代行サービスなどを提供しています。

 

<業績全般>

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

 

2023年

2024年

増減

増減率

売上高

1,095

1,298

204

18.6%

営業費用(注)

1,114

1,162

48

4.3%

 うち、減価償却費及び償却費

103

111

8

7.8%

セグメント利益

△20

136

156

 

(注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。

 

ファイナンス事業の売上高は、前年同期比204億円(18.6%)増1,298億円となりました。これは主として、決済取扱高の拡大などを背景としたPayPay㈱およびPayPayカード㈱の成長によるものです。

営業費用は1,162億円となり、前年同期比で48億円(4.3%)増加しました。これは主として、前述の通りPayPay㈱およびPayPayカード㈱の決済取扱高の拡大により、ポイント還元などに係る販売促進費が増加したことによるものです。

上記の結果、セグメント利益は、前年同期比156億円増136億円となり、黒字化しました。

 

 

(2) 連結財政状態の状況

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

2024年

3月31日

2024年

9月30日

増減

増減率

 

流動資産

52,680

48,274

△4,406

△8.4%

 

非流動資産

102,539

106,420

3,881

3.8%

資産合計

155,219

154,694

△525

△0.3%

 

流動負債

70,853

65,220

△5,633

△7.9%

 

非流動負債

45,010

49,609

4,599

10.2%

負債合計

115,863

114,829

△1,033

△0.9%

資本合計

39,356

39,865

508

1.3%

 

 

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

2023年

2024年

増減

設備投資(注1)

3,092

3,596

503

 

うち、コンシューマ事業およびエンタープライズ事業の設備投資(注2)

1,300

1,374

74

 

(注1) 設備投資は検収ベースでの記載です。

(注2) コンシューマ事業およびエンタープライズ事業の設備投資は、レンタル端末への投資額、他事業者との共用設備投資(他事業者負担額)およびIFRS第16号「リース」適用による影響は除きます。

 

(資産)

当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末から525億円(0.3%)減少し、154,694億円となりました。これは主として、銀行事業の有価証券の増加1,060億円、その他の金融資産の増加1,028億円、使用権資産の増加931億円、有形固定資産の増加689億円があった一方で、現金及び現金同等物の減少3,323億円、営業債権及びその他の債権の減少913億円があったことによるものです。なお、使用権資産の増加は、WeWork Japan合同会社の事業承継の影響によるものであり、承継した不動産賃貸借契約の定める将来の施設利用権を資産として認識したものです。

 

(負債)

当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末から1,033億円(0.9%)減少し、114,829億円となりました。これは主として、銀行事業の預金の増加748億円があった一方で、営業債務及びその他の債務の減少1,380億円、有利子負債の減少577億円があったことによるものです。有利子負債は、WeWork Japan合同会社の事業承継に伴いリース負債を計上したことによる増加があったものの、ソフトバンク㈱等において各種借入の約定弁済をしたことなどにより減少となりました。

 

(資本)

当中間連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末から508億円(1.3%)増加し、39,865億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は1,425億円増加しました。これは主として、剰余金の配当による減少2,037億円があった一方で、当中間連結会計期間の純利益の計上による増加3,239億円があったことによるものです。

 

(設備投資)

当中間連結会計期間の設備投資は、前年同期比503億円増3,596億円となりました。これは主として、AI計算基盤への投資を行ったこと、ネットワークの品質改善に係る設備投資が増加したこと、およびLINEヤフーグループの設備投資が増加したことによるものです。

 

(3) 連結キャッシュ・フローの状況

(単位:億円)

 

9月30日に終了した6カ月間

 

 

2023年

2024年

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

5,870

7,090

1,220

投資活動によるキャッシュ・フロー

△5,022

△5,026

△4

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,413

△5,668

△4,254

現金及び現金同等物の期末残高

20,113

16,606

△3,507

フリー・キャッシュ・フロー(注1)

848

2,064

1,216

調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)(注1、2)

2,504

3,065

560

プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー(注1、3)

2,504

3,552

1,047

 

(注1) フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)、プライマリー・フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。

(注2) 調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額-同返済額)+Aホールディングス㈱からの受取配当+PayPay証券㈱への出資-LINEヤフーグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フロー。なお、LINEヤフーグループ、PayPay等にはAホールディングス㈱、LINEヤフー㈱および子会社(LINEヤフーグループ)、Bホールディングス㈱、PayPay㈱、PayPayカード㈱、PayPay証券㈱などを含みます。

(注3) プライマリー・フリー・キャッシュ・フローは、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)に、長期性の成長投資として支出した金額を足し戻した指標です。なお、長期性の成長投資はAI計算基盤への投資を含みます。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは7,090億円の収入となり、前年同期比では1,220億円の収入増加となりました。これは主として、EBITDAが増加し、法人所得税の支出の減少や還付の増加があったことによるものです。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは5,026億円の支出となり、前年同期比では4億円の支出増加となりました。これは主として、投資の売却または償還による収入が増加し、銀行事業における投資有価証券の売買に伴う支出が減少した一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出の増加があったことによるものです。

なお、この投資活動によるキャッシュ・フローには、長期性の成長投資に係る支出487億円が含まれています。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは5,668億円の支出となりました。これは、銀行借入・リース・社債・債権流動化などの資金調達による収入が10,323億円あった一方で、借入金の約定弁済・配当金支払・子会社株式の取得などの支出が15,991億円あったことによるものです。

 

d.現金及び現金同等物の期末残高

a.~c.ほかの結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比3,507億円減16,606億円となりました。

 

e.プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー

当中間連結会計期間のプライマリー・フリー・キャッシュ・フローは3,552億円の収入となり、前年同期比では1,047億円の収入の増加となりました。これは主として、当中間連結会計期間にAホールディングス㈱が実施した、LINEヤフー㈱株式の売却に伴う手取金にかかる当社への配当金があったことによるものです。

 

(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標

当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。

 

a.調整後EBITDA

調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」、「株式報酬費用」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、要約中間連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。

当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。

 

営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。

(単位:億円)

 

 

2023年9月30日に
終了した6カ月間

 

2024年9月30日に
終了した6カ月間

営業利益

 

5,144

 

5,859

(加算)減価償却費及び償却費(注)

 

3,781

 

3,742

(加算)株式報酬費用

 

112

 

124

(加算(△は減算))その他の調整項目:
子会社の支配喪失に伴う利益

 

△41

 

△390

(加算(△は減算))その他の調整項目:

減損損失

 

16

 

29

(加算(△は減算))その他の調整項目:

事業譲渡益

 

△105

 

調整後EBITDA

 

8,907

 

9,364

 

 

 

 

 

 

(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 (4) 要約中間連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2023年9月30日に終了した6カ月間3,717億円 2024年9月30日に終了した6カ月間3,673億円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2023年9月30日に終了した6カ月間64億円 2024年9月30日に終了した6カ月間70億円)が含まれています。

 

 

b.フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)、およびプライマリー・フリー・キャッシュ・フロー

フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。

調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)は、フリー・キャッシュ・フローから端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算するとともに、Aホールディングス㈱からの受取配当を加算し、LINEヤフーグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フローを除くなどして計算される指標です。

プライマリー・フリー・キャッシュ・フローは、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)から中長期的な成長に資するAI計算基盤の構築などの戦略投資を除いた指標であり、主として当社および当社の完全子会社での既存事業における継続的な資金創出能力すなわち債務返済能力や配当金の支払い能力を評価するために有用な指標であると考えています。

なお、連結キャッシュ・フロー計算書上、割賦債権流動化による資金調達額および返済額は、財務活動によるキャッシュ・フローに含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。従って、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)およびプライマリー・フリー・キャッシュ・フローの算出の過程において、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算しています。

フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)、プライマリー・フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。

(単位:億円)

 

 

2023年9月30日に
終了した6カ月間

 

2024年9月30日に
終了した6カ月間

営業活動によるキャッシュ・フロー

 

5,870

 

7,090

投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1)

 

△3,172

 

△3,468

投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2)

 

△1,849

 

△1,558

フリー・キャッシュ・フロー

 

848

 

2,064

割賦債権の流動化による影響

 

189

 

256

割賦債権流動化取引:調達額(注3)

 

2,126

 

2,109

割賦債権流動化取引:返済額(注3)

 

△1,936

 

△1,852

LINEヤフーグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フローによる影響(注4)

 

1,481

 

△132

その他(注5)

 

△14

 

877

調整後フリー・キャッシュ・フロー

(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)

 

2,504

 

3,065

長期性の成長投資(注6)

 

 

△487

プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー

 

2,504

 

3,552

 

 

 

 

 

 

(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、要約中間連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。

(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、要約中間連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」、「子会社の支配喪失による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。

(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として要約中間連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。なお、割賦債権流動化取引のうち、短期間で調達および返済を行う取引については純額表示しています。

(注4) LINEヤフーグループ、PayPay等にはAホールディングス㈱、LINEヤフー㈱および子会社(LINEヤフーグループ)、Bホールディングス㈱、PayPay㈱、PayPayカード㈱、PayPay証券㈱などを含みます。

(注5) Aホールディングス㈱からの受取配当(当中間連結会計期間に同社が実施したLINEヤフー㈱株式の売却に伴う、当社への当該手取金の配当を含みます)、PayPay証券㈱への出資などを含みます。

(注6) AI計算基盤への投資を含みます。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当中間連結会計期間において、新たに生じた「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」についての重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は31,745百万円です。主にAI、HAPS(注)、広告関連サービスやアプリ等の研究開発活動に係るものです。

(注)HAPS(High Altitude Platform Station)とは、成層圏を長期間飛び続ける無人航空機を通信基地局のように運用し広域エリアに通信サービスを提供するシステムの総称です。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。