当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復してきました。一方で、欧米における高い金利水準の継続等による海外景気の下振れリスクや物価上昇、為替相場の変動等による影響を十分注視すべき状況が続いています。
建設業界においては、設備投資は堅調な企業収益等を背景に持ち直しの動きがみられ、住宅建設は分譲住宅を除いて概ね横ばいで推移しており、公共投資は関連予算の執行により堅調に推移しています。
このような状況の中、当社は、グループ全体が永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を、インフラ運営の上流から下流をワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」と定め、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な収益基盤」を確立し、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の実現に向けた取り組みを行ってきました。
なお、当社グループは、2024年3月期の通期決算より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用しています。また、前中間連結会計期間についても、IFRSベースに組み替えて比較分析を行っています。
当中間連結会計期間の経営成績は、売上高は前年同期比219億円(6.1%)増の3,807億円、事業利益は前年同期比91億円(38.6%)減の146億円となり、税引前中間利益は前年同期比114億円(47.0%)減の128億円となりました。また、親会社の所有者に帰属する中間利益については、前年同期比82億円(50.4%)減の81億円となりました。
※事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、当社の経常的な事業の業績を測る利益指標です。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(建築事業)
建築事業においては、売上高は前年同期比282億円(26.1%)増の1,366億円、セグメント利益は7億円(前年同期はセグメント損失20億円)となりました。
(土木事業)
土木事業においては、売上高は前年同期比168億円(20.4%)減の657億円、セグメント利益は前年同期比104億円(59.7%)減の70億円となりました。
(舗装事業)
舗装事業においては、売上高は前年同期比40億円(3.4%)増の1,230億円、セグメント利益は前年同期比6億円(9.0%)増の77億円となりました。
(機械事業)
機械事業においては、売上高は前年同期比6億円(3.1%)増の199億円、セグメント利益は前年同期比1億円(10.0%)増の11億円となりました。
(インフラ運営事業)
インフラ運営事業においては、売上高は前年同期比52億円(63.4%)増の135億円、セグメント損失は19億円(前年同期はセグメント損失2億円)となりました。
(その他)
その他の事業においては、売上高は前年同期比5億円(2.7%)増の218億円、セグメント損失は0億円(前年同期はセグメント利益6億円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当中間連結会計期間の資産は、営業債権及びその他の債権の減少などにより前連結会計年度末に比べ469億円(3.3%)減少し、1兆3,635億円となりました。負債は、社債及び借入金の減少などにより前連結会計年度末に比べ1,422億円(14.4%)減少し、8,491億円となりました。また資本は、第1回社債型種類株式を発行したことなどにより、前連結会計年度末に比べ953億円(22.7%)増加し、5,144億円となりました。なお、当該社債型種類株式の発行によって調達した資金については、全額を2024年8月末までに日本風力開発(株)の株式の取得(子会社化)に伴い金融機関から借り入れた借入金2,184億円の返済資金の一部に充当しています。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する持分は4,939億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の28.4%から36.2%となりました。
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債権及びその他の債権の回収による減少が580億円あったことなどにより402億円(前年同期は△6億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が240億円あったことなどにより△299億円(前年同期は△423億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少や株式の発行による収入などにより△66億円(前年同期は437億円)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間の残高は、前連結会計年度末の1,134億円から36億円増加し、1,170億円となりました。
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は2,122百万円であり、セグメントごとの研究開発活動の状況及び金額は以下のとおりです。なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。
(建築事業・土木事業及びインフラ運営事業)
子会社である前田建設工業(株)においては、「総合インフラサービス企業」への変革を目指し、生産性や品質の向上と社会課題の解決を目的とした研究開発を進めています。具体的には、自動化・省力化・DX、マネジメント、カーボンニュートラル分野に重点を置き、事業環境の変化に対応するための研究テーマの選定と経営資源の集中を図っています。
当中間期までの取り組みの成果として、高速道路の床版取替工事の効率化に貢献する新技術「ESCON TPジョイント」や建築物のライフサイクルにおける環境負荷評価システム「CO2-Scope」を開発し、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを行っています。また、設備老朽化への対応が急務となる導水路トンネルリニューアル工事の自動化機械の開発も進め、技能労働者不足への対応や生産性向上に努めています。さらに、画像生成AIにおける権利利用や収益創出のあるべき姿を実現するためのシステム開発を進めています。
当中間連結会計期間における研究開発費は1,150百万円となっています。
(舗装事業)
子会社である前田道路(株)においては、「新たな収益基盤と未来への投資を確立すること」を研究開発部門の使命と捉えており、競争力の促進を図るため、「脱炭素」、「生産性向上」、「道路包括管理」、「付加価値技術」を重点テーマとした研究開発に取り組んでいます。
脱炭素については、低炭素合材・路盤材、バイオ重油の活用促進に加え、アスファルトプラントの排気ガスに含まれるCO2をコンクリート再生路盤材に固定化するシステムの開発を継続しています。生産性向上については、舗装の施工現場や製品の製造現場において、各種デジタル技術を活用したDXの実現を進めています。道路包括管理においては、ビッグデータを活用した「次世代道路包括管理システム」の開発を継続し、また付加価値技術については、再生合材の製造方法や凍結抑制舗装など、既存技術の高度化を目指しています。
当中間連結会計期間における研究開発費は793百万円となっています。
(機械事業)
子会社である(株)前田製作所においては、製品ラインアップ拡充による販路拡大を目指し、自社主力製品であるクローラクレーンCC985S-3、CC1485S-3において、従来モデルより作業環境を向上させた新機種を市場投入しました。本製品は豊富なオプション設定による安全機能の充実も図っており、各種技術は特許の取得を予定しています。
新分野では、少子高齢化による労働人口減少の社会的課題への取り組みとして、機械の遠隔操作、自動運転に向けたデジタル要素技術開発等に取り組んでいます。
当中間連結会計期間における研究開発費は178百万円となっています。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。