当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド需要が底堅く継続する一方で、不安定な国際情勢による景気減速リスクに加え、為替の動向やエネルギー・原材料価格の高止まりによる物価上昇など、当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続きました。
このような状況のなか、快適な生活を支える価値を創出し続ける企業を目指し、イノベーション創出とグローバル貢献を果たすための事業構造の創造を進めるため、2024年度よりスタートした中期経営計画「CREATION 2026」を推進し、重点テーマである「事業ポートフォリオの再構築」「グローバル企業化」「人的資本経営」を実行し、「NICHIBAN GROUP 2030 VISION」実現に向けて取り組んでまいりました。
①事業ポートフォリオの再構築
・テープ事業セグメントの抜本的収益改善
・成長事業と新領域へ経営資源を重点配分
②グローバル企業化
・販売3拠点の成長追求
・2030年度グローバル比率30%実現に向けた機能拡充
・グループ全体のグローバル企業化の推進
③人的資本経営
・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進
・自己変革し成長する自律的人財の育成
・従業員の健康とエンゲージメントの向上
・新人事制度の導入
以上の取り組みを実施いたしました結果、
売上高は、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズを中心としたヘルスケアフィールドの売上拡大やテープ事業セグメントの価格改定の影響等により、前年同期比5.8%増の237億5千9百万円となりました。
営業利益は、売上高の増加等により、前年同期比121.8%増の11億7千4百万円となりました。
経常利益は、主に営業利益の増加により、前年同期比92.4%増の12億2千7百万円となりました。
親会社株主に帰属する中間純利益は、経常利益の増加の影響と、一部の新製品の上市の見通しが不透明となり開発中断を決定したことによる建設仮勘定に係る減損損失5千3百万円の影響により、前年同期比87.3%増の8億9百万円となりました。
当社グループのセグメントの概要は次のとおりです。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、当中間連結会計期間より、成長事業への経営資源の重点配分及び全社視点での事業戦略体制の見直しを目的に「事業戦略本部」を設置し、その傘下に、販路別に以下の営業統括部・本部を設置しております。
・顧客を機軸とした新たな営業推進体制の強化とブランド戦略の再構築のために、「コンシューマー営業統括本部」を設置し、ヘルスケア、EC、ステーショナリーの各営業担当管掌を管轄させております。
・より顧客に密着した営業活動を推進し、新規開発案件探索、顧客拡大のために、「医療材営業統括部」、「工業品営業統括部」を置いております。
・グローバル企業化実現に向けて、全社戦略との一貫性を高め、より積極的な事業活動を展開するために、「グローバル事業本部」を設置しております。
当社グループは、以上の営業担当管掌に、各子会社を加えた事業フィールドとして、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「ステーショナリーフィールド」、「医療材フィールド」、「工業品フィールド」及び「グローバルフィールド」を設定しております。
なお、2024年度よりスタートした中期経営計画「CREATION 2026」の策定にあたり、当社グループの事業展開、経営資源の配分及び経営管理体制の実態等の観点から、事業フィールド及び組織の一部見直しを行いました。その結果、前連結会計年度において「コンシューマー営業本部」傘下であった「ヘルスケア営業統括部」、「EC営業統括部」、「オフィスホーム営業統括部」を統合し、「コンシューマー営業統括本部」としました。また、「オフィスホームフィールド」を「ステーショナリーフィールド」と改称し、「海外フィールド」を「グローバルフィールド」と改称しました。
経営資源の配分の決定及び業績の評価については、取り扱う製品、商品の性質や、市場、製造方法の類似性に基づき、「メディカル事業」、「テープ事業」の単位で行っていることから、当社グループの事業セグメントとしては、「メディカル事業」、「テープ事業」と認識し、これを報告セグメントとしております。
「メディカル事業」、「テープ事業」セグメントと各事業フィールドとの関係は以下のとおりです。
なお、前中間連結会計期間の金額については、事業フィールド及び組織の見直し後の算定方法による金額に組替えて比較・分析しております。
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
メディカル事業
(ヘルスケアフィールド)
ドラッグストアを中心とした大衆薬市場におきましては、国内での行楽需要や堅実なインバウンド消費に支えられました。
このような状況のなか、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズについては、国内需要拡大に向けて認知度向上のためにテレビCMやユーザー向けキャンペーン、試供品配布を含むPR活動を積極的に展開し、加えて前連結会計年度からの価格改定効果もあり、売上高は前年同期を大きく上回りました。その一方、鎮痛消炎剤“ロイヒ”シリーズについては、夏季シーズンのインバウンド需要が、大雨や地震などの自然災害による影響を受けて一時的に低迷し、売上高は前年同期を下回りました。
その結果、フィールド全体としての売上高は73億1千7百万円(前年同期比7.0%増)となりました。
(医療材フィールド)
医療機関向け医療材料市場におきましては、2024年4月より医師の働き方改革の制度が施行され、従来からの対面営業に加え、デジタルツールを活用して効率的な情報提供を実施しました。
このような状況のなか、極低刺激性テープ“スキナゲートTM”シリーズについては競合他社品の廃番に伴う切り替え採用が進展し、売上高は前年同期を上回りました。その一方、止血製品シリーズ“セサブリックTM”は前年同期のコロナワクチン接種需要が大きく減少した影響で、売上高は前年同期を下回りました。
その結果、フィールド全体としての売上高は28億3千2百万円(前年同期比4.5%減)となりました。
((メディカル事業に係る)ECフィールド)
EC市場におきましては、オンライン購買に対するWEBマーケティングの取り組みを強化してきたことにより、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズについての売上高は、前年同期を大きく上回りました。
その結果、フィールド全体としての売上高は5億4千1百万円(前年同期比29.5%増)となりました。
((メディカル事業に係る)グローバルフィールド)
グローバル市場におきましては、タイ・ドイツに続いて7月に開設した上海駐在員事務所を拠点に中国市場の調査を開始するなど積極的な取り組みを始めましたが、世界的な物価高や地政学リスクの高まりなどにより、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、主力製品である止血製品シリーズ“セサブリックTM”や高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズを中心に、販売代理店と協力して現地に密着した営業活動を展開してまいりました。止血製品シリーズ“セサブリックTM”は、中国、欧州での採用が増え伸長するとともに、“ケアリーヴTM”シリーズについては、前期の在庫調整が一巡し韓国、タイを中心に売上高は前年同期を大きく上回りました。
これらに加えて為替の円安影響もあり、フィールド全体としての売上高は11億1千6百万円(前年同期比72.6%増)となりました。
以上の結果、メディカル事業全体の売上高は、118億7百万円(前年同期比8.6%増)となりました。一方で、ヘルスケアフィールドにおけるテレビCM等のPR活動促進や、成長事業への経営資源の重点配分に伴いメディカル事業に係る人員が増加したこと等によって販売費及び一般管理費が増加したことにより、セグメント利益は31億2千万円(前年同期比7.8%増)となりました。
テープ事業
(ステーショナリーフィールド)
文具事務用品市場におきましては、DX化などで紙の消費が大きく減少し、オフィス需要が低迷する中、店頭からオンラインへの買い場の変化もあり厳しい販売環境となりました。
このような状況のなか、主要製品である「セロテープ®」については、価格改定を実施したことにより売上高は前年同期を上回りました。その一方、両面テープ「ナイスタックTM」については、オフィス需要の低迷と買い場の変化があり、売上高は前年同期を下回りました。
その結果、フィールド全体としての売上高は22億4千4百万円(前年同期比3.3%減)となりました。
(工業品フィールド)
産業用テープ市場におきましては、一部自動車メーカーの出荷停止の影響が和らいだことで新車の販売は改善しつつあるものの、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、主要製品の「セロテープ®」については価格改定を実施し、多くの企業や自治体に向けて天然素材を使用した環境配慮型製品であることを特設ホームページ等を通じて周知したことにより売上高は前年同期を上回りました。その一方、カートンテープについては、前連結会計年度の価格改定による駆け込み需要の反動により、売上高は前年同期を下回りました。
その結果、フィールド全体としての売上高は64億1千万円(前年同期比0.2%減)となりました。
((テープ事業に係る)ECフィールド)
EC市場におきましては、買い場の変化による需要回復の傾向が見られるなか、オンライン購買に対するWEBマーケティングを強化するとともに、「セロテープ®」については価格改定を実施したことにより売上高は前年同期を上回りました。
その結果、フィールド全体としての売上高は19億4千5百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
((テープ事業に係る)グローバルフィールド)
グローバル市場におきましては、タイ・ドイツに続いて7月に開設した上海駐在員事務所を拠点に中国市場の調査を開始するなど、積極的な取り組みを行いましたが、世界的な物価高や地政学リスクの高まりなどにより、依然として先行きが不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、アジアと欧州を重点地域として、製品戦略を展開してまいりました。「PanfixTMセルローステープ」については、香港やインドネシア市場に展開し、前連結会計年度の価格改定による駆け込み需要の影響が一巡するなど需要は順調に推移いたしました。和紙マスキングテープについては、欧州や中国市場に焦点を当て、販売チャネルの構築や製品育成に注力し、特に欧州市場で伸長し、売上高は前年同期を上回りました。
これらに加えて為替の円安影響もあり、フィールド全体としての売上高は13億5千1百万円(前年同期比29.7%増)となりました。
以上の結果、テープ事業全体の売上高は119億5千1百万円(前年同期比3.1%増)となりました。また、前連結会計年度から継続して進めてきた価格改定の影響等により、セグメント利益は3億9千3百万円(前年同期は1億2千4百万円のセグメント損失)となりました。
調整額
報告セグメントに帰属しない一般管理費の計上等により、営業利益と報告セグメントの利益の合計額との調整額が△23億3千9百万円(前年同期は△22億4千1百万円)となりました。
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ11億6千4百万円減少し、668億7千5百万円となりました。流動資産は3億4百万円の減少、固定資産は8億5千9百万円の減少となりました。
流動資産の減少は、売掛債権の回収が進み、売掛債権が11億4千4百万円減少した一方で現金及び預金が6億1千1百万円増加したことや、棚卸資産が3億5千万円増加したこと、未収還付法人税等が1億3千7百万円減少したこと等によるものです。なお、未収還付法人税等は流動資産のその他に計上されております。
固定資産の減少は、減価償却費が投資額を上回り、有形固定資産が9億6千9百万円減少したこと等によるものです。
負債は、前連結会計年度末と比べ13億9百万円減少し、250億2千7百万円となりました。流動負債は12億1千5百万円の減少、固定負債は9千4百万円の減少となりました。
流動負債の減少は、下請代金支払遅延等防止法の一部見直しに伴い下請け業者への手形等の支払いサイトを短縮した影響等により電子記録債務が8億8千6百万円減少したこと、設備投資代金の支払いにより未払金が2億2千6百万円、営業外電子記録債務が2億4千1百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
純資産は前連結会計年度末と比べ1億4千4百万円増加し、418億4千8百万円となりました。これは、配当金の支払いがあったものの親会社株主に帰属する中間純利益がそれを上回った結果、利益剰余金が9千7百万円増加したこと、加えて為替換算調整勘定が6千1百万円増加したこと等によるものです。
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ8億1千1百万円(6.2%)増加し、138億6千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、22億7千4百万円の収入(前中間連結会計期間は12億4百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益11億7千3百万円の計上、減価償却費15億5千1百万円の計上、売上債権の増減額11億4千4百万円の減少、仕入債務の増減額9億9千4百万円の減少等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、7億4千9百万円の支出(前中間連結会計期間は23億3千万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5億7千万円があったこと、2025年度に予定している本社及び東京オフィスの移転に係る差入保証金の差入による支出3億5千5百万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、7億2千6百万円の支出(前中間連結会計期間は7億5千万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額7億1千万円等の支出があったことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報の記載について重要な変更はありません。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更を行っております。
詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項」の(会計上の見積りの変更)(有形固定資産の耐用年数と資産除去債務の見積りの変更)をご参照ください。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、新たに認識したものはありません。
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は6億2千3百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、前年同期比で、生産、受注および販売の実績に著しい増減はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。