第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はない。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものである。

(1)財政状態及び経営成績の状況

①財政状態の状況

総資産は、前連結会計年度末に比べ9,981百万円減少し、176,351百万円となった。これは、主として機械装置及び運搬具が減少したことによる。負債は、前連結会計年度末に比べ2,341百万円減少し、145,743百万円となった。これは、主として支払手形及び買掛金が減少したことによる。純資産は、前連結会計年度末に比べ7,639百万円減少し、30,608百万円となった。これは、主として親会社株主に帰属する中間純損失の計上により利益剰余金が減少したことによる。

②経営成績の状況

当中間連結会計期間における国内経済は、半導体需要の緩やかな回復などにより、製造業に持ち直しの傾向が見られた。また、訪日客の増加に伴い、観光等の対人サービス業は期初から堅調に推移したが、夏場の自然災害による影響を受け、一部の需要にブレーキがかかった。先行きに関しては、海外における景気の停滞、中東などの地政学リスクの顕在化、為替相場の動向や利上げの影響、人手不足の懸念など、不透明な状況が続くことが見込まれる。

このような状況の下、当社グループは、前年度の厳しい業績を受け、赤字からの脱却を最優先の課題として、経費削減を始めとしたコストダウンなどの自助努力、価格改定、より付加価値の高い高機能製品の拡販による収益力の強化に取り組んできた。

このほか、食品包装用途や電子材料用途等の需要回復の影響もあり、当中間連結会計期間の売上高は前年同期比6.1%増収の、61,550百万円となった。

営業利益は、販売量増加の影響と価格改定・コストダウン施策の効果などにより、2,233百万円(前年同期は1,792百万円の営業損失)となった。また、前連結会計年度末と比較した円高の進行により外貨建資産の為替評価損を計上した結果、経常利益は1,151百万円(前年同期は88百万円の利益)となった。また、東南アジア地域での大幅な販売減少による収益性低下を反映して、連結子会社のP.T.EMBLEM ASIAが保有する固定資産に対して10,674百万円の減損損失を計上した結果、親会社株主に帰属する中間純損失は、9,842百万円(前年同期は409百万円の損失)となった。

事業セグメント別の経営成績は次のとおりである。

[高分子事業セグメント]

高分子事業セグメントでは、各分野・用途の市況が回復したことにより、販売が回復した。また、販売増に伴い生産量が増加し、製造コストが低減した。

フィルム事業では、包装分野では、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルムともに販売量が回復した。また、ハイバリアナイロンフィルム「エンブレムHG」の販売は引き続き好調であった。工業分野では、半導体市況の回復に伴い、シリコーンフリー離型フィルム「ユニピール」などの販売が回復した。また、原燃料価格の高騰を背景に、価格改定を行った。海外においては、販売戦略の見直しにより収益は改善したが、中国等の安価製品との販売競争が続いた影響で苦戦した。この結果、事業全体で増収増益となった。

樹脂事業では、エンジニアリングプラスチックは、自動車部品用途、電気電子部品用途等の販売が緩やかに回復した。機能樹脂は、変性ポリオレフィン樹脂エマルジョン「アローベース」が、水系接着剤用途で販売を伸ばした。各製品において価格改定を実施し、収益性が改善した。この結果、事業全体で増収増益となった。

以上の結果、高分子事業セグメントの売上高は28,101百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益は2,712百万円(前年同期は94百万円の利益)となった。

[機能資材事業セグメント]

機能資材事業セグメントでは、電子材料分野を中心に、幅広い用途分野で販売が回復した。販売量回復に伴い、生産量が増加し、製造コストが低減した。コストダウン及び各製品の価格改定の効果で収益性が回復した結果、増収増益となり、黒字に転換した。

活性炭繊維事業では、主力の浄水用途は、住宅着工件数減少などの影響を受け、販売が減少した。めっき液フィルター用途は、電子部品の需要回復に伴い販売が回復した。

ガラス繊維事業では、産業資材分野は、テント・シート等の建築資材用途を中心に販売は堅調であった。電子材料分野のICクロスは、ハイエンドメモリを中心に半導体パッケージ基板向け高機能ガラスクロスの販売が伸長した。

ガラスビーズ事業では、道路用途は猛暑や自然災害により道路工事が減少する中、海外製品との販売競争の結果、シェアが拡大し、販売が増加した。工業用途では高機能ガラスビーズの販売が伸長した。

不織布事業では、主要製品の販売増により収益性が改善し、赤字を大幅に縮小した。スパンボンド不織布は円安の効果により海外への輸出が伸長した。国内では土木用途や生活資材用途の販売が堅調であった。コットンスパンレースは、猛暑により汗拭きシートなどのスキンケア用途の販売が好調であった。

産業繊維事業では、主要製品の販売増により増収となり、価格改定の効果等で赤字を縮小した。ポリエステル高強力糸は低調であったが、ポリエステル短繊維はフィルター用途を中心に順調な販売となった。

以上の結果、機能資材事業セグメントの売上高は18,362百万円(前年同期比11.3%増)、営業利益は157百万円(前年同期は1,416百万円の損失)となった。

[繊維事業セグメント]

衣料繊維事業では、主力のユニフォーム分野の販売は、官需については堅調であったが、民需についてはやや回復は見られるも、全般的には低調であった。また、婦人服等の一般衣料分野、寝装分野及びスポーツ衣料分野では需要低迷が続いた影響で販売が減少した。グローバル事業は、デニム生地の輸出販売が回復した。産業資材事業は、建築土木分野が低調であった一方、電気電子用途の販売が好調で、全体での販売状況は横ばいであった。利益面では、円安の進行によるコストアップの影響が大きく、価格改定による効果をコストアップが上回った。

以上の結果、繊維事業セグメントは減収減益となり、売上高は15,049百万円(前年同期比2.8%減)、営業損失は574百万円(前年同期は445百万円の損失)となった。

[その他]

その他の事業では、売上高は37百万円(前年同期比37.9%増)、営業損失は35百万円(前年同期は42百万円の損失)となった。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,006百万円増加し、当中間連結会計期間末に13,193百万円となった。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少などにより、4,914百万円の資金の増加(前年同期は4,902百万円の資金の増加)となった。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴う支出などにより、1,940百万円の資金の減少(前年同期は3,134百万円の資金の減少)となった。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済などにより、218百万円の資金の減少(前年同期は29百万円の資金の増加)となった。

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はない。

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,628百万円である。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はない。