第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 社会・経済活動の正常化が進み景気は緩やかな回復を見せる一方で、ウクライナ・中東情勢をめぐる国際情勢の緊迫化の長期化により資源・エネルギー価格が高止まりし、為替相場が不安定な値動きになるなど、社会・経済情勢は依然として不透明な状況が続いています。

 IT投資需要は旺盛な状況が続いており、クラウド基盤のさらなる活用や急速な進化を遂げる生成AIの利用拡大など、業務効率化や生産性向上を目的としたデジタル投資への意欲は力強さを見せています。

 また、デジタル活用が社会・事業基盤へと浸透していくなか、身代金要求型攻撃など巧妙化するサイバー脅威はより深刻化しており、大企業グループでさえ重大な被害に遭遇するだけでなく、委託先企業が被害に遇うことで、多くの企業や団体が情報搾取等の被害を受ける事件が頻発しています。加えて、セキュリティ製品の欠陥により、社会インフラを担う多くの重要企業が業務停止に追い込まれるなど、運用面の信頼性、確からしさへの課題も浮き彫りになりました。サイバーセキュリティは、重要インフラ事業者の対策を含めて経済安全保障の要にもなりつつあるなど、デジタル社会の基幹産業として位置づけられるものとなっています。

 

 当社は、このようにデジタル活用が一層進展し、サイバー脅威が従来にも増して深刻化していくなか、2024年度を起点とする3ヵ年の中期経営計画(2024-2026年度)を策定しました。既存事業の連続的な成長とともに、自動化・AIを活かした対応や総合サービス力による対応などセキュリティ事業を軸とした中長期的な施策に取り組むことで、新たな価値創造の着実な推進を目指しています。

 

 当中間連結会計期間の売上高は、セキュリティソリューションサービス事業(SSS事業)は製品販売や診断サービスなどが拡大し、またシステムインテグレーションサービス事業(SIS事業)は開発サービスやHW/SW販売などが伸長したことにより、26,408百万円(前年同期比16.6%増)となりました。利益面では、来期以降の中長期的な利益貢献に向けた本社平河町オフィスの契約更改に伴う一時費用の計上はあったものの、営業利益は352百万円(同11.8%増)、経常利益は持分法による投資利益の増加もあり、406百万円(同57.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は263百万円(同88.5%増)となりました。

 なお、当社グループの事業の特徴として、特にセキュリティ事業の売上の計上が第4四半期連結会計期間に著しく偏り、中間連結会計期間の業績は低い水準となる傾向があります。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

①セキュリティソリューションサービス事業(SSS事業)

 セキュリティコンサルティングサービスは、緊急対応サービス案件の減少はあったものの、体制・対策強化に向けてコンサルティング案件や教育・訓練サービス案件が増加したことなどにより、売上高は1,632百万円(前年同期比0.6%増)となりました。

 セキュリティ診断サービスは、主力のWebアプリケーション診断サービスやプラットフォーム診断サービスが好調に推移したほか、潜在的な脅威を調査するペネトレーションテスト案件が拡大したことなどにより、売上高は1,329百万円(同33.6%増)となりました。

 セキュリティ運用監視サービスは、特定企業向けに高度な対策を行う個別監視サービスや内部不正監視サービスなどが伸長したことにより、売上高は3,365百万円(同10.4%増)となりました。

 セキュリティ製品販売は、サービス妨害型攻撃にも対応したWebセキュリティ対策向け製品や、潜在的な脅威情報を収集・分析する製品などが拡大したことなどにより、売上高は4,270百万円(同13.1%増)となりました。

 セキュリティ保守サービスは、クラウド対応製品の拡大等で需要が縮小している影響はあるものの、新規案件の獲得とともに、既存案件等が伸長したことにより、売上高は472百万円(同41.7%増)となりました。

 この結果、SSS事業の売上高は11,070百万円(同13.3%増)、セグメント利益は、人員増強等の体制強化を進めたことにより、394百万円(同29.3%減)となりました。

 

②システムインテグレーションサービス事業(SIS事業)

 主力ビジネスである開発サービスは、大手銀行向けをはじめ、公共関連や製造業向けに案件が拡大したことにより、売上高は9,553百万円(前年同期比11.3%増)となりました。

 HW/SW販売は、クラウドサービスの拡大等で需要は縮小しているものの、大型案件の獲得等により大幅に拡大し、売上高は2,506百万円(同81.8%増)となりました。

 IT保守サービスは、更新案件等が堅調に推移したことにより、売上高は1,783百万円(同2.4%増)となりました。

 ソリューションサービスは、サイバーセキュリティ対策にも寄与するクラウドソリューション製品の販売が大きく拡大したことにより、売上高は1,495百万円(同27.2%増)となりました。

 この結果、SIS事業の売上高は15,338百万円(同19.1%増)、セグメント利益は2,281百万円(同37.1%増)となりました。

 

(財政状態の状況)

 当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ98百万円減少し、23,671百万円となりました。変動は主に現金及び預金の減少1,746百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少967百万円、商品の増加1,458百万円、仕掛品の増加637百万円、流動資産「その他」に含まれる前払費用の増加336百万円等によります。

 負債は、前連結会計年度末に比べ218百万円増加し、8,584百万円となりました。変動は主に買掛金の減少291百万円、未払法人税等の減少340百万円、流動負債「その他」に含まれる契約負債の増加1,033百万円等によります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ317百万円減少し、15,087百万円となりました。変動は主に期末配当などによる利益剰余金の減少170百万円等によります。この結果、自己資本比率は63.7%となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,748百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,746百万円の減少となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、995百万円となりました。これは主に税金等調整前中間純利益406百万円に減価償却費503百万円、のれん償却額36百万円、売上債権の減少額966百万円、棚卸資産の増加額2,093百万円、法人税等の支払額433百万円等を反映したものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、312百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出113百万円、ソフトウエアの取得による支出149百万円等を反映したものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、433百万円となりました。これは主に配当金の支払額433百万円等を反映したものであります。

 

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループが定めている「経営方針・経営戦略等」について重要な変更はありません。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループが「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、229百万円であります。

 なお、研究開発活動の金額は、特定のセグメントに帰属しない全社費用として、報告セグメントには含まれておりません。

 また、当中間連結会計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は次のとおりであります。

 AI技術などに関する研究開発を加速するため、2024年4月1日付でサイバーセキュリティプラットフォーム開発統括部 AI技術部・企画部を新設し、下記に示す技術研究開発に取り組んでおります。

・セキュリティプロダクトへのAI技術の適用に関する下記の研究

 - セキュリティ運用の自動化及び効率化

 - ユーザの不正行動検知

 - サイバーセキュリティ脅威検知

・各種プロダクト開発業務へのAI活用支援

・生成AIや多変量時系列データなど最新AI技術に関する研究調査

・セキュリティサービスのプロダクト開発

 なお、サイバー・グリッド・ジャパンと新規事業開発における研究開発活動に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。