当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、消費者物価の高騰により、今後個人消費が減退する懸念もあります
が、足元の労働需給の逼迫や、政府の政策的な後押しによって賃金上昇が進んでおり、積極的な財政支出と拡大基
調な設備投資にも支えられ、緩やかながらも回復基調にあると認識しております。その一方で、急激な為替相場の
変動や市中金利の上昇、エネルギー価格の高止まり、人手不足の深刻化等が、引き続き景気回復への阻害要因とな
っています。また、国際経済は、好調な米国経済と新興国の成長に支えられ、国や地域による強弱はあるものの、
緩やかに成長しております。しかしながら、米国大統領選挙後の米国の主要経済・貿易政策の大きな変更が生じる
懸念、ウクライナ、中東地域、アジア地域での地政学的リスクをはじめ、重要な経済政策方針の大きな転換が起こ
る可能性がある等、国際経済環境は、多種多様な不確実要因を抱えております。
国内のコンタクトレンズ市場におきましては、近視の低年齢化による近視人口の増加やコロナ禍後の社会経済活
動の活性化に伴い、コンタクトレンズの装用人口の増加が続いております。コンタクトレンズのタイプ別では、1
日使い捨てタイプへのシフトが継続しており、コンタクトレンズ使用者の年齢が上がるにつれ、遠近両用コンタク
トレンズが伸長中です。更に、就寝時に装用し、日中裸眼で視力矯正効果が得られるオルソケラトロジーレンズの
普及もコンタクトレンズ市場の成長を牽引しております。海外のコンタクトレンズ市場におきましても、世界的に
近視人口が増加していることから、今後も継続して成長していくと考えられます。中国本土は景気後退による市場
の一時的な停滞はあるものの、他のアジアの国や地域での近視人口の増加率は高く、可処分所得の向上が進むこと
で、高い市場の成長率が見込まれています。
このような状況の下、当社グループは、連結売上高500億円を達成し、世界のコンタクトレンズ市場でプレゼン
スを発揮するための生産基盤を確保することを目指しております。当社グループは、中期経営計画(2024年4月~
2027年3月)の初年度となる2025年3月期につきまして、「生産力の抜本的引き上げによる収益力の強化」「国内
外のマーケットに対応するサービスの強化と提供」「市場のニーズに合わせたモノづくり」「内部基盤の強化・人
材確保と育成」「SDGsの推進」「安定した株主還元」を企業目標達成にむけた成長戦略として取り組んでおりま
す。
当社では、「Pureシリーズ」の国内外用の乱視と遠近両用コンタクトレンズにおいて、当社の供給能力を超える
需要が継続した結果、在庫が逼迫し、2024年3月期第2四半期から、当該製品の納期の遅延が発生しており、残念
ながら完全な改善に至っておりません。安定した商品供給により成長する国内外の市場ニーズに応え、市場競争力
のある新商品の試作から量産に至る体制整備を確立することが、中期経営計画を達成する上で不可欠であると考え
ており、2024年4月竣工の2号棟別館の建設(700万枚/月の生産枚数)や、4号棟の新規建設着手等の施策を、
当社の鴻巣研究所において進めております。
具体的には、2024年3月期末における月間最大生産枚数は5,800万枚でありましたが、新設した2号棟別館につい
ては、2024年4月の竣工後、製造設備導入を順次進め、全ての機械装置の据え付けが2024年10月上旬に完了いたし
ました。これによりまして第3四半期以降は、月間最大生産枚数は6,500万枚へと引き上げられます。なお、2024
年11月に着工し、2027年3月期に稼働開始予定であります4号棟第一期計画につきましては、当初月間生産枚数
1,000万枚の増産を予定していましたが、安定した商品供給の確立と今後の成長戦略の実現に向け、当該月間生産
枚数を1,400万枚へ引き上げる計画へと、この度積極的に拡大変更いたしました。加えて、今後の拡張余地の増強
や製造製品の多様化への対応に向けて処理能力の強化や設備仕様等の見直しを行ったことにより、総投資予定額が
131億円から173億円へ増額することになりました。なお、4号棟第一期計画が完了することにより月間最大生産枚
数は7,900万枚まで引き上げられる予定です。4号棟第二期計画は、第一期計画の終了後着手する時期を特定します
が、スペースとしては、月間生産枚数が更に1,000万枚増加することができ、第二期計画完了時点では、総合計
8,900万枚の月間生産枚数まで、設備能力は拡張出来る予定です。今後とも、国内外のコンタクトレンズ市場でプ
レゼンスを発揮することを目標として、当社グループは、商品供給力の強化と生産・研究開発体制の整備に果敢に
取り組むことにより、引き続き市場競争力と企業価値の向上に努めてまいります。
また、当社グループの「今と将来」を表すために、2024年10月9日に新パーパス「まだみぬ、世界は、美しい」
の策定とコーポレートロゴの一新を行っております。新パーパスの策定の背景をご説明いたします。これまで多く
のお客様に商品への愛着を持っていただけるよう、ブランディングやマーケティングを積極的に行ってまいりまし
た。その結果「シード1dayPureシリーズ」をはじめとした商品に愛着を持っていただいているユーザーの方も多
く、一定の成果がありました。しかしながら、今後、海外展開や幅広い領域にブランド価値を広めていく中で、多
様なステークホルダーから共感され、選ばれることを目指して、今一度当社の存在意義を見つめ直し、新しいメッ
セージとしてパーパスを策定しております。パーパスには、お客さまにコンタクトレンズを通して、まだみぬ世界
へ期待を抱き、新たな世界や景色と出会っていただきたいという想いが込められており、当社は、多様な「みえ
る」喜びを創造できる社会の実現を目指すとともに、このような考えを社会に広くお伝えする活動を行ってまいり
ます。
国内における商品戦略としましては、主力商品である国産の「シード1dayPureシリーズ」の中でも、とりわけ
乱視、遠近両用コンタクトレンズといったスペシャリティレンズの販売に注力してまいります。また、2023年3月
期に市場に投入したシリコーンハイドロゲルレンズの2商品「シード1daySilfa(シルファ)」、「シード
AirGrade 1day UV W-Moisture(エアグレード ワンデー UV ダブルモイスチャー)」、近年、2週間交換ソフト
コンタクトレンズ市場においてシリコーンハイドロゲル素材が標準化していることから、2024年3月に新発売した
「シードAirGrade 2week UV W-Moisture(エアグレード ツーウィーク UV ダブルモイスチャー)」を上市し、同
一シリコン素材で1日使い捨てレンズと2週間交換ソフトレンズの双方を市場に提案しております。サークルレンズ
「シード Eye coffret 1day UV M」並びに、カラーコンタクトレンズ「ベルミー」においては、イメージキャラ
クターを俳優の福原遥さんに集約し、SNSを使った、メッセージ展開をしております。各種学会でのセミナー開催
等のアカデミックコミュニケーションを通じてオルソケラトロジーレンズ「ブレスオーコレクト®」の普及を拡大
し、シェア拡大を目指して販売を行っております。
海外市場では、「シード1dayPureシリーズ」を中心に、それぞれの市場特性に合わせて、サークル・カラーコ
ンタクトレンズ、「シード1daySilfa(シルファ)」、オルソケラトロジーレンズ、RGPレンズ、ケア用品等、プ
ロダクトミックスを多様化しております。特に、マレーシアやベトナムの海外市場においては、コンタクトレン
ズとは不可分の保湿性目薬も当社ブランドで展開する等、商品の多様化を進めております。
これらの事業活動の結果、当中間連結会計期間において、国内外のコンタクトレンズ需要は堅調に拡大を示しま
したが、設備増設をしているものの生産能力の現状の上限制約や、生産規模拡大の中での過程において「Pureシリ
ーズ」の製造における機械トラブル等が第2四半期に一時的に生じたことによる生産数量の伸び悩みにより、販売
活動が抑制され、売上高は16,828百万円(前年同期比5.5%増)にとどまりました。利益につきましては、生産数増
加による売上高増加の寄与はあったものの、生産混乱による一時的な原価率の上昇や、一部の輸入商品が円安の影
響を受け輸入価格が上昇したことが売上総利益へ影響を及ぼしました。販売費及び一般管理費におきましては、第
1四半期に一過性の費用として、本社移転に伴う費用が発生しております。また、人員増加・処遇改善に纏わる人
件費の増加や治験の進捗に伴う研究開発費の支払いが発生したことから、営業利益874百万円(前年同期比33.1%
減)、経常利益764百万円(前年同期比44.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は548百万円(前年同期比
33.7%減)となりました。2025年3月期第2四半期は、上半期に2号棟別館建設竣工、新本社竣工と移転、4号棟
着工準備等の、極めて大きな設備投資が重なったことに加え、各種の販売費及び一般管理費も増加しており、前期
対比で大幅な減益となりましたが、当初よりそれらを相応に踏まえた予算組みをしております。下半期には、生産
状況の改善が期待できるため、当初予算計画の軌道に近づく予定であります。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(コンタクトレンズ・ケア用品)
国内のコンタクトレンズ販売につきましては、引き続き国産の「シード1dayPureシリーズ」を中心とし、2つの異なるベクトルを持つシリコーンハイドロゲルレンズや特に市場の伸長が最も見込まれる遠近両用コンタクトレンズ等の高付加価値商品の拡販に注力してまいりました。「シード1dayPureシリーズ」につきましては、需要は増大しているものの、2024年3月期第2四半期以降に継続しております国内外向け乱視用と遠近両用における納期遅延による販売機会の喪失が重く、前年同期比3.2%増加に留まりました。就寝時に装用し日中裸眼で視力矯正効果が得られるオルソケラトロジーレンズにつきましては、前年同期比22.2%増と大きく伸長いたしました。サークル・カラーコンタクトレンズにおきましては、SNSを活用した販売促進を展開しましたが、販売チャネルの多様化と競合商品の増加の影響もあり、前年同期比1.2%減となりました。
ケア用品につきましては、オルソケラトロジーレンズ関連のケア用品が増加したため、前年同期比2.8%増となりました。
海外へのコンタクトレンズ輸出につきましては、アジア・欧州共に販売の回復傾向が見られ前年同期比21.6%増となりましたが、在庫水準の適正化途上であり、各国からのバックオーダーの解消には至らず、販売機会が生かし切れておりません。
その結果、セグメント全体の売上高は16,761百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益1,589百万円(前年同期比15.8%減)となりました。
(その他)
その他につきましては、眼内レンズの売上が増加した結果、売上高は67百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益は3百万円(前年同期営業損失4百万円)となりました。
(2)財政状態に関する説明
資産、負債及び純資産の状況
当中間連結会計期間末における資産の残高は、51,558百万円となり、前連結会計年度末から1,983百万円増加い
たしました。主な要因としては、新本社ビルや鴻巣研究所2号棟別館の竣工、また鴻巣研究所2号棟別館への新規
設備の導入により有形固定資産が増加したことが挙げられます。負債につきましては、33,672百万円となり、前連結会計年度末から1,748百万円増加しております。主な要因としては新本社ビル建設に伴う長期借入金の増加や鴻巣研究所2号棟別館への新規設備導入によるリース債務の増加が挙げられます。純資産につきましては17,885百万円となり、前連結会計年度末から234百万円増加しております。主な要因としては、利益剰余金が増加したことが挙げられます。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、8,153百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、1,750百万円(前年同期3,078百万円の増加)となりました。税金等調整前中間純利益の計上763百万円や減価償却費の計上1,606百万円により資金が増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、3,257百万円(前年同期1,741百万円の減少)となりました。これは主に、鴻巣研究所の新規設備導入等に関する有形固定資産の取得3,452百万円が要因となっています。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、175百万円(前年同期615百万円の減少)となりました。資金減少の主な要因は長期借入金の返済1,169百万円や短期借入金の純減少額1,050百万円、リース債務の返済651百万円です。一方、資金増加の主な要因は長期借入金の借入3,150百万円です。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,079百万円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。