1【提出理由】

当社は、2024年11月11日開催の当社取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2024年12月12日開催予定の当社臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

 

 

2【報告内容】

1.本株式併合の目的

2024年9月5日付で当社が公表した「当社親会社であるセコム株式会社、及び伊藤忠商事株式会社が出資するISフロンティアパートナーズ株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「本意見表明プレスリリース」といいます。)にてお知らせいたしましたとおり、当社の支配株主(親会社)であるセコム株式会社(以下「セコム」といいます。)及び伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」といいます。)は、当社の株主をセコム、及び伊藤忠商事がその発行済株式の全てを所有するISフロンティアパートナーズ株式会社(以下「ISフロンティアパートナーズ」といい、ISフロンティアパートナーズ及びセコムを総称して「公開買付者ら」といいます。)のみとし、当社の非公開化後においてセコム及びISフロンティアパートナーズが有する当社株式に係る議決権の比率をそれぞれ75%及び25%とするための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、2024年9月6日から2024年10月22日までの30営業日を公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)とする当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施し、その結果、本公開買付けの決済の開始日である2024年10月28日付で、セコムは当社株式10,797,741株(議決権所有割合(注1):75.01%)、ISフロンティアパートナーズは当社株式2,829,539株(議決権所有割合):19.66%)をそれぞれ所有するに至りました。

(注1)「議決権所有割合」は、当社が2024年11月7日に公表した「2025年3月期第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された、2024年9月30日現在の当社株式の発行済株式総数(14,418,025株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(23,220株)を控除した当社株式(14,394,805株)に係る議決権の数(143,948個)を分母として計算し、小数点以下第三位を四捨五入しております。

 

本意見表明プレスリリースにてお知らせしましたとおり、当社は、2023年12月8日に、セコム及び伊藤忠商事から、当社の株主をセコム及び伊藤忠商事又は伊藤忠商事以外の伊藤忠グループ(伊藤忠商事、その連結子会社189社及び関連会社75社(2024年6月30日現在)からなる企業グループを総称していいます。)の会社のみとしたい旨の共同提案書を受領いたしました。これを受け当社は、2023年12月下旬に、本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)の公正性その他の本取引の公正性を担保すべく、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに当社から独立した法務アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を、2023年12月下旬に公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)をそれぞれ選任するとともに、野村證券に対して当社株式の株式価値の算定を依頼いたしました。

また、当社は、当社がセコムの連結子会社であり、セコムとセコム以外の当社の株主との間で構造的な利益相反の問題が存在すること等に鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載のとおり、2023年12月22日に、本取引の提案を検討するための本特別委員会(下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「②当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」で定義します。以下同じです。)を設置しました。なお、本特別委員会の委員の構成その他具体的な諮問事項等については、下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「②当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。

さらに、当社は、下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性・公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けております。

 

上記の検討体制を構築した上で、当社は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向等を踏まえ、中村・角田・松本法律事務所、野村證券の助言を受けながら、セコム及び伊藤忠商事との間で複数回に亘る協議・検討を重ねた上で、本取引の妥当性について検討してまいりました。なお、以下の協議・検討過程においては、当社は、随時、本特別委員会に対して報告を行い、本特別委員会により事前に確認された対応方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づき、対応を行っております。

具体的には、当社は、2023年12月8日にセコム及び伊藤忠商事より初期的な提案を受領した後、セコム及び伊藤忠商事からの提案の内容等について確認・検討を行い、2023年12月22日に、セコム及び伊藤忠商事によるデュー・ディリジェンスを受け入れることとした旨を伝達しました。その後、当社は、2024年1月下旬から2024年4月上旬の期間にかけてセコム及び伊藤忠商事によるデュー・ディリジェンスを受け入れた上で、さらにセコム及び伊藤忠商事との協議・交渉を継続いたしました。具体的には、当社は、2024年8月7日に、セコム及び伊藤忠商事から、本公開買付価格を1,900円(提案実施日の前営業日である同月6日の株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場における当社株式の終値1,485円に対して27.95%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,824円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して4.17%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,835円に対して3.54%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,859円に対して2.21%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「第1回目提案書」といいます。)を受領しました。これに対して、当社及び本特別委員会からは、2024年8月8日、第1回目提案書における本公開買付価格は、当社の企業価値向上による将来的な株価上昇を期待する当社の少数株主が本取引について納得できる十分な水準ではなく、本源的な価値を反映した価格水準を下回るものであり、当社として初期的にも応募を推奨できる価格水準ではないとの結論に至り、再検討の要請を行いました。その後、当社は、2024年8月13日、セコム及び伊藤忠商事より、本公開買付価格を2,030円(提案実施日の前営業日である同月9日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,631円に対して24.46%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,795円に対して13.09%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,817円に対して11.72%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,853円に対して9.55%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「第2回目提案書」といいます。)を受領しました。これに対して、当社及び本特別委員会からは、2024年8月16日、第2回目提案書における本公開買付価格は、当社の企業価値向上による将来的な株価上昇を期待する当社の少数株主が本取引について納得できる十分な水準ではなく、本源的な価値を反映した価格水準を下回るものであり、当社として依然として応募を推奨できる価格水準ではないとの結論に至り、再検討の要請を行いました。さらに、当社及び本特別委員会は、2024年8月22日、当社は従来から決算説明会資料等において、当社が2023年8月7日に策定した「パスコグループ中期経営計画2023-2025」(以下「パスコ中期経営計画」といいます。)の遂行によりPBR1.0倍以上を目指すことを株主に対して表明しており、当社及び本特別委員会としては、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している旨の補足説明を行いました。その後、当社は、2024年8月26日、セコム及び伊藤忠商事より、改めて、本公開買付価格を2,075円(提案実施日の前営業日である同月23日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,613円に対して28.64%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,677円に対して23.73%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,772円に対して17.10%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,835円に対して13.08%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「第3回目提案書」といいます。)を受領しました。その後、当社及び本特別委員会は、2024年8月26日、第3回目提案書における本公開買付価格は、当社の株価推移及びプレミアム水準、当社の本源的価値並びに当社の1株当たり純資産についての当社及び本特別委員会としての考え(すなわち、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している点)に照らせば、依然として当社の少数株主に対して応募を推奨できる価格水準にはないとの結論に至ったことから、再検討の要請を行い、さらに2024年8月27日には、改めて、当社及び本特別委員会としては、PBR1.0倍という水準や1株当たり純資産の株価水準についても重視している旨の補足説明を行いました。その後、当社は、2024年8月28日、セコム及び伊藤忠商事より、改めて、本公開買付価格を2,095円(提案実施日の前営業日である同月27日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,671円に対して25.37%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,648円に対して27.12%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,766円に対して18.63%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,831円に対して14.42%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「第4回目提案書」といいます。)を受領いたしましたが、同日、当社及び本特別委員会より、第4回目提案書における本公開買付価格についても、依然として当社の少数株主に対して応募を推奨できる価格水準にはないとの結論に至ったことから、再検討の要請を行いました。さらに、当社は、2024年9月2日、セコム及び伊藤忠商事より、最終提案として、本公開買付価格を2,140円(提案実施日の前営業日である2024年8月30日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,711円に対し25.07%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,638円に対し30.65%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,759円に対し21.66%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,826円に対し17.20%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「本最終提案書」といいます。)を受領いたしました。その後、当社及び本特別委員会は、同じく2024年9月2日、本公開買付価格を2,140円とすることに応諾する旨の連絡を行い、当該本公開買付価格を前提に、当社として本取引に賛同し、当社の株主に本取引にかかる公開買付けへの応募を推奨する方向で進めたい旨の意向を示しました。以上のような協議・交渉を経て、セコム及び伊藤忠商事と当社は、本公開買付価格を2,140円とすることで合意に至りました。なお、当社及び本特別委員会としては、当社の少数株主に最大限配慮した価格水準を目指すという交渉上の観点から、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している旨をセコム及び伊藤忠商事に補足説明を行う等しつつ最大限の交渉を行ってきたところ、本最終提案書における本公開買付価格(2,140円)については、当社の直近四半期末である2024年6月30日時点の1株当たり連結純資産額(2,100円、小数点以下を四捨五入しております。)を上回っていることから、当社の直近の1株当たり純資産を超える価格水準となり、PBRの観点からも合理性が認められる価格水準であると判断いたしました。

 

さらに、当社は、中村・角田・松本法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2024年9月4日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「②当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言並びに野村證券から2024年9月5日付で取得した株式価値算定書(以下「野村證券株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて当社の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。

 

以上の経緯の下で、当社は、2024年9月5日開催の当社取締役会において、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言並びに2024年9月5日付で野村證券から提出を受けた当社株式に係る野村證券株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討を行いました。

その結果、以下のとおり、当社としても、公開買付者らによる本取引を通じた当社の非公開化が当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。

 

当社及び当社の連結子会社8社、持分法適用関連会社1社(2024年9月5日現在)からなる企業グループ(以下「当社グループ」といいます。)は、本意見表明プレスリリース「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「②公開買付者らが本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営方針、経営理念及び経営ビジョンの下、航空測量会社として1953年の創業以来、技術力の向上と最新技術の導入・実用化に努め、常に未来を見据えた技術改革に取り組んでまいりました。

そうした中、2018年5月、「当社の技術で何ができるのか」から「社会の課題解決のために何をすべきなのか」へ発想を転換し、きめ細かな戦略を展開するため、「パスコグループ中期経営計画 2018-2022」を策定、「持続的な企業成長に向けた利益体質への変革」をテーマに、事業戦略の転換、将来への投資を実施することを定め取り組んでまいりました。その後、2019年12月に最初の感染者が報告された新型コロナウイルス感染症の影響による新たな社会様式への変化、2022年2月に開始されたウクライナ侵攻に端を発する資源価格上昇による物価高騰や円安等を背景とする民間企業や行政機関における業務効率化の必要性の高まり、自然災害の激甚化に伴う防災・減災対策や、公共インフラの老朽化対策のニーズの拡大等を背景として、持続可能な社会のために、民間企業や行政機関等のあらゆる組織においてAI・IoT・ICT等DX(注2)を活用した業務の効率化や省力化が推進され、地理空間情報技術が貢献できる事業領域は拡大しております。かかる中、当社は、2023年8月7日に公表したパスコ中期経営計画において、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」ことを基本方針とし、既存事業の拡大・生産効率や品質の向上を図る「深化」、市場領域の拡大を図るとともに、継続契約型サービス事業の充実を目指す「伸化」、及び新たな事業構造に向けた活動を継続的に行い、革新的な商品やサービスを創出する「新化」という「3つの“しんか”」を掲げ、地理空間情報事業の拡大・成長を目指しております。

当社の競争優位性としては、①測量事業における業界最高峰のデータ収集能力と処理能力を有していると考えていること、②全国全都道府県に営業支店を配置した地方自治体への営業力、③衛星データの権利保持と衛星管制技術により可能となる技術対応力、さらに、④測量業界における豊富なGIS(注3)システム開発能力と導入実績等が挙げられます。一方で、当社が今後更なる成長を目指す上では、(ア)経営環境の変化への対応、(イ)人材の確保・育成の2点が、対応を進めていく必要がある課題であると認識しております。(ア)については、当社の事業構造の性格上、国及び地方自治体の施策、法令等の制定・変更、そして公共事業の予算動向により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。また、(イ)については、当社の事業の継続と成長のためには、技術者を中心とする高度な専門能力や管理能力を有する人材の確保が必要不可欠でありますが、人口減少や成長産業との人材獲得競争等の影響により人材の量的・質的不足が生じる場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(注2)DX(Digital Transformation)とは、データやデジタル技術を活用し、新たなビジネスモデルの創出や既存ビジネスの変革を行うことを指します。

(注3)GISとは、地理空間情報システムの略であり、地理的な位置情報を収集、管理、分析、表示するためのシステムや技術を指します。

 

当社は、上記の当社グループを取り巻く経営環境を踏まえ、本取引を通じて当社が非公開化し、セコムと当社の少数株主との間の構造的な利益相反関係を解消し、セコム及び伊藤忠商事による当社グループへの更なる経営資源の投入を可能とすることで、機動的かつ着実な経営施策の実行を通じて、以下のようなシナジー創出を見込むことができ、当社の更なる企業価値向上に資するとの結論に至りました。

 

(ア) 「国内公共部門」の強化

国や地方自治体等を顧客とする「国内公共部門」は、民間・衛星事業を含む当社事業の基盤となる技術やノウハウが創出・蓄積されるとともに、2024年3月期における連結売上高の約9割を占める重要な部門となっております。当部門においては、高齢化・人口減少社会における社会インフラの維持管理や脱炭素に向けた取組み等が喫緊の社会的課題となっておりますが、当社と伊藤忠商事が連携し、相互の強みを活かすことで、当社が単独では実現が困難な、高度かつ広範なサービスを顧客へ提供することが可能となると考えております。特に、伊藤忠商事が実績を持つ官民連携によるインフラ包括管理事業や再生可能エネルギー関連事業(調査・計画)及び、当社として実績を持つ森林関連事業等幅広い事業において、強みを発揮することができると考えております。

 

(イ) 「国内民間部門」の拡大

伊藤忠商事は大手総合商社として、繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の各分野において国内民間企業と幅広いビジネスを展開しております。「国内民間部門」においては、伊藤忠商事の事業開発体制や上記の分野における国内民間企業への販売網を活かした、当社の民間企業向け主力商品である物流、マーケティング、不動産等の各種ソリューションやプロダクトの強化・拡販が期待できます。また、昨今、注目と期待が高まる宇宙関連ビジネスにおいては、伊藤忠商事との連携により、衛星データ活用領域の拡大やサービスの高度化等、事業の更なる拡大が考えられます。なお、衛星事業については、伊藤忠商事との連携により高度化・多様化したサービスを、当社の顧客である国や地方自治体等へ提供することで、「国内公共部門」の強化にも寄与すると考えております。

 

(ウ) 「海外部門」の発展

「海外部門」においては、世界61ヶ国・約90の拠点(2024年6月30日時点)を持つ伊藤忠商事の海外ネットワークを通じた、当社のエリアマーケティングやシステム開発をはじめとする「日系企業向けサービス」、資源探査・地盤変動監視・土地利用把握等の「衛星モニタリングサービス」、「先進運転支援システム(ADAS)事業の展開」等により、ASEANを中心とした販売拡大による事業の発展が想定されます。

 

(エ) 新規事業の創出

伊藤忠商事では、「ビジネス課題を起点としたDX」を基本思想に掲げ、出資先・協業先と「デジタル事業群」を形成されています。伊藤忠商事及びデジタル事業群の優れたテクノロジーやノウハウ、データ、システム開発体制や販売網、並びにサービス提供や協業の実績を活用し、スマートシティ関連事業や地理空間情報プラットフォーム事業、地理空間情報におけるAI活用等、地理空間情報をさらに高度に活用する新規サービスやプロダクトの創出が行えるものと考えております。さらに、生活消費関連にも強みを持つ伊藤忠商事の消費者接点を活かし、当社の地理空間情報技術と組み合わせることで、社会活動や消費行動をより忠実に反映した地理空間情報分析等の新規事業を展開することも可能と考えており、当社との協働によるシナジーを期待できると考えております。当社は、これまでもセコムと新規事業の創出に向けて協働してまいりましたが、本取引後においては、セコム、その連結子会社151社及び持分法適用関連会社17社(2024年3月31日現在)からなる企業グループ(以下「セコムグループ」といいます。)の顧客基盤を活用することで伊藤忠商事も含めた新規事業の創出・拡販につなげることができると考えております。また、伊藤忠商事の持つベンチャーキャピタルネットワークを活用した、新規ソリューション開発や獲得に資するM&A・事業提携の検討によって、インオーガニックな成長(注4)ができるものと考えます。

 

(注4)インオーガニックな成長とは、他社との資本・業務提携や他社の買収(M&A)等を通じた非連続な成長を指します。

 

(オ) 中長期的な成長戦略の実行及び意思決定の迅速化

これまで当社は上場会社として、当社の少数株主の利益を尊重し、当社としての独立性の確保に努めてまいりました。このため、セコムの経営資源を共通活用することについては、セコムと少数株主との利益相反及び独立性確保の懸念が存在しておりました。本取引後においては、そのようなセコムと少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避しつつ、中長期的な成長の観点から必要なセコム及び伊藤忠商事との連携及び経営資源の効率的活用、積極的な投資を迅速かつ円滑に行うことを通じて、当社を含むセコムグループの中長期的な企業価値向上を図ることができると考えております。

 

(カ) 上場維持コスト及び関連する業務負担軽減

当社株式の上場廃止により、コーポレートガバナンス・コード等への対応を含めた近時の上場維持に係る業務負担や、有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用に代表される上場維持に要する費用の削減が見込まれます。また、本取引を通じて、更なる事業成長への経営資源集中を図ることが可能になると考えております。

 

なお、当社が本取引を通じて非公開化されることによるデメリットとして、上場企業としてのブランド力低下に伴う取引先その他のステークホルダーへの影響や従業員のモチベーション低下の可能性が考えられますが、セコム及び伊藤忠商事は、いずれも上場会社であり高い社会的信用及び認知度を有していることから、当社が本取引を通じて非公開化されることが、当社の社会的信用や社員のモチベーションに悪影響を与える可能性は低いと考えております。また、セコム及び伊藤忠商事としては、当社の経営体制等については、今後、当社との間で協議していく方針であること、本公開買付け後において当社従業員の現行の雇用・処遇を維持する方針であること等を踏まえ、当社としては、当社が本取引を通じて非公開化されることは、当社グループの取引先、従業員、その他のステークホルダーにおいて受け入れられると考えております。

 

また、当社は、以下の点等から、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。

 

(ア) 本公開買付価格は、下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「④当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている野村證券による当社株式に係る株式価値算定結果において、市場株価平均法による算定結果の上限を上回っており、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果の範囲内であること。

 

(イ) 本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年9月4日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値の1,629円に対して31.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円に対して32.26%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円に対して22.15%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円に対して17.45%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、当該プレミアム水準は、2021年以降に公表され、かつ、2024年9月4日までに成立した、親会社による国内の上場子会社の非公開化を企図した公開買付けの事例40件(プレミアム水準の平均値は、公表日の前営業日が43.19%、直近1ヶ月間が45.19%、直近3ヶ月間が42.92%、直近6ヶ月間が40.52%であり、プレミアム水準の中央値は、公表日の前営業日が44.28%、直近1ヶ月間が44.01%、直近3ヶ月間が42.79%、直近6ヶ月間が40.91%。)と比較すると、同種案件と比較して若干劣るプレミアム水準と言わざるを得ないものの、プレミアム水準は個別案件の多様な要因によって変動するため、同種案件との単純比較のみに依拠して当否を評価することは適切でないと考えられること。

 

(ウ)  下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が講じられており、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること。

 

(エ)  当該措置が講じられた上で、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した本特別委員会の実質的な関与の下、セコム及び伊藤忠商事との間で真摯かつ継続的に協議・交渉を重ねた結果として提案された価格であること。

 

(オ)  当社における独立した本特別委員会から取得した本答申書において、下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「②当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性は確保されていると判断されていること。

 

加えて、下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑦本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保」に記載のとおり、当社は、セコム及び伊藤忠商事が当社との間で、当社が公開買付者ら以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととしていること、及び、公開買付期間について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日としていること等に鑑みれば、本取引に係る本公開買付価格以外の取引条件についても、本公開買付けの公正性の担保に配慮したものであり、妥当なものであると考えております。

以上より、当社は、2024年9月5日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。

なお、上記当社取締役会における決議の方法は、下記「3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑥当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

その後、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者らは、当社株式の全て(ただし、公開買付者らが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかったことから、当社は、本意見表明プレスリリースにおいてお知らせしていたとおり、公開買付者らからの要請を受け、2024年11月11日付の当社取締役会決議により、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者らのみとするために、下記「2.本株式併合の割合」に記載のとおり、当社株式3,599,247株を1株に併合する本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決定いたしました。

なお、本株式併合により、セコム以外の株主の皆様の所有する株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。

 

2.本株式併合の割合

当社株式について、3,599,247株を1株の割合で併合いたします。

 

3.会社法第234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠

(1)1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由

上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、セコム以外の株主の皆様が所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を売却し、その売却により得られた代金を株主の皆様に対して、その端数に応じて交付します。

当該売却について、当社は、本株式併合が、当社の株主を公開買付者らのみとすることを目的とする本取引の一環として行われるものであること、当社株式が2025年1月7日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられることに鑑み、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じとします。)第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得てISフロンティアパートナーズ(公開買付者)に売却することを予定しております。

この場合の売却額は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合は、本株式併合の効力発生日前日である2025年1月8日の当社の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様が所有する当社株式の数に、本公開買付価格と同額である2,140円を乗じた金額に相当する金銭を、株主の皆様に交付できるような価格に設定する予定です。ただし、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあります。

 

② 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者の氏名又は名称

ISフロンティアパートナーズ株式会社

 
③ 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性

ISフロンティアパートナーズ(公開買付者)は、本公開買付けが成立した場合、伊藤忠トレジャリー株式会社から77億円を限度とする借入れ(以下「本融資」といいます。)を行うこと、及び伊藤忠商事から4億円を限度とする出資(以下「本出資」といいます。)を受けることにより本公開買付けに係る決済に要する資金を賄うことを予定していたところ、当社は、公開買付者らが2024年9月6日に提出した本公開買付けに係る公開買付届出書並びに本融資に関する融資証明書及び本出資に関する出資証明書を確認することにより、ISフロンティアパートナーズ(公開買付者)の資金確保の方法を確認しております。

また、伊藤忠商事によれば、ISフロンティアパートナーズ(公開買付者)による本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の取得に係る代金の支払いについても、これらの資金から賄うことを予定しており、当該支払いに支障を及ぼす可能性のある事象は発生しておらず、今後発生する可能性も現在認識していないとのことです。

以上により、当社は、ISフロンティアパートナーズ(公開買付者)による1株に満たない端数の合計数に相当する当社株式の取得に係る代金の支払のための資金を確保する方法は相当であると判断しております。

 

④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み

当社は、本株式併合の効力発生後、2025年1月下旬を目途に会社法第235条第2項が準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を売却することについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動し得ますが、当社は、当該裁判所の許可を得て、2025年2月中旬を目途に当社株式を売却し、その後、当該売却によって得られた代金を株主の皆様に交付するために必要な準備を行った上で、2025年3月下旬を目途に、当該売却代金を株主の皆様に交付することを見込んでおります。

当社は、本株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に要する期間を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主の皆様への交付が行われるものと判断しております。

なお、当該売却代金は、本株式併合の効力発生日の前日である2025年1月8日時点の当社の最終の株主名簿に記載又は記録された各株主の皆様に対し、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付する予定です。

 

(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠

端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額は、上記「(1)1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」の「① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由」に記載のとおり、本株式併合の効力発生日の前日である2025年1月8日時点の当社の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様が所有する当社株式の数に、本公開買付価格と同額である2,140円を乗じた金額となる予定です。

本公開買付価格(2,140円)が、(ア)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「④当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている野村證券による当社株式に係る株式価値算定結果において、市場株価平均法による算定結果の上限を上回っており、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法による算定結果の範囲内であること、(イ)本公開買付けの公表日の前営業日である2024年9月4日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値の1,629円に対して31.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円に対して32.26%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円に対して22.15%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円に対して17.45%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、当該プレミアム水準は、2021年以降に公表され、かつ、2024年9月4日までに成立した、親会社による国内の上場子会社の非公開化を企図した公開買付けの事例40件(プレミアム水準の平均値は、公表日の前営業日が43.19%、直近1ヶ月間が45.19%、直近3ヶ月間が42.92%、直近6ヶ月間が40.52%であり、プレミアム水準の中央値は、公表日の前営業日が44.28%、直近1ヶ月間が44.01%、直近3ヶ月間が42.79%、直近6ヶ月間が40.91%。)と比較すると、同種案件と比較して若干劣るプレミアム水準と言わざるを得ないものの、プレミアム水準は個別案件の多様な要因によって変動するため、同種案件との単純比較のみに依拠して当否を評価することは適切でないと考えられること、(ウ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が講じられており、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(エ)当該措置が講じられた上で、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した本特別委員会の実質的な関与の下、セコム及び伊藤忠商事との間で真摯かつ継続的に協議・交渉を重ねた結果として提案された価格であること並びに(オ)当社における独立した本特別委員会から取得した本答申書において、下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「②当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性は確保されていると判断されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本公開買付けについて、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断しました。

また、当社は2024年9月5日開催の当社取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をした後、本臨時株主総会の招集を決議した2024年11月11日開催の取締役会の開催時点に至るまでに、本公開買付価格に関する当社の判断の基礎となる諸条件に重大な変更が生じていないことを確認しております。

以上より、当社は、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。

 

(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置

本株式併合は、本取引の一環として、本公開買付け後のいわゆる二段階買収の二段階目の手続として行われるものであるところ、本意見表明プレスリリース「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事は、当社が公表日時点において、セコムの連結子会社であり、本公開買付けを含む本取引が当社における支配株主との重要な取引等に該当し、また、セコムとセコム以外の当社の株主との間に構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。

なお、本意見表明プレスリリース「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に記載のとおり、セコムは、公表日時点において、当社株式を10,316,800株(当時の所有割合(注5):71.66%)所有していたため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性もあると考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定していないとのことですが、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事において、以下の①から⑦の措置を実施していることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。また、以下の記載のうち、公開買付者らにおいて実施した措置等については、公開買付者らから受けた説明に基づくものです。

 

(注5)「当時の所有割合」とは、当社が2024年8月8日に公表した「2025年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された、2024年6月30日現在の当社株式の発行済株式総数(14,418,025株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(22,039株)を控除した当社株式(14,395,986株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。

 

① 公開買付者らにおける独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

セコムは、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに当社から独立した第三者算定機関であるEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下「EY」といいます。)に対して、当社株式の価値算定を依頼したとのことです。なお、EYは公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。

EYは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり、採用すべき算定手法を検討の上、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、将来の事業活動の状況を価値算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の価値算定を行い、セコムは、EYから2024年9月4日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(EY)」といいます。)を取得したとのことです(注6)。

本株式価値算定書(EY)によると、採用した算定手法及び当該算定手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの価値の範囲は、それぞれ以下のとおりとのことです。

 

市場株価法 :1,618円から1,822円

DCF法  :1,982円から2,561円

 

市場株価法においては、2024年9月4日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値1,629円、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円及び同過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円を基に、当社株式1株当たりの価値の範囲を1,618円から1,822円と算定しているとのことです。

DCF法では、当社より提示された2025年3月期から2029年3月期までの事業計画を基礎とし、直近までの業績の動向、公開買付者らが2024年1月下旬から2024年4月上旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、2024年5月上旬から同月下旬にかけて実施した追加的なデュー・ディリジェンスの結果及び一般に公開された情報等の諸要素を考慮してセコムが修正を加えた当社の将来の財務予測に基づき、当社が2025年3月期第2四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引くことにより、当社株式1株当たりの価値の範囲を1,982円から2,561円と算定しているとのことです。なお、DCF法で前提とした財務予測においては、大幅な増減益が見込まれている事業年度はないとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であったため、反映していないとのことです。

 

(注6)EYは、当社株式の価値算定に際して、当社又はセコムから提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていないとのことです。また、当社及びその関係会社の資産又は負債(偶発債務を含みます。)について、個別の各資産、各負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っていないとのことです。加えて、当社の財務予測についてはセコムの経営陣による現時点で可能な最善の予測と判断に基づき合理的に検討又は修正されたことを前提としているとのことです。EYの価値算定は、2024年9月4日現在までに入手可能な上記情報等と経済条件を前提としたものであるとのことです。

 

伊藤忠商事は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに当社から独立した第三者算定機関である株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)に対して、当社株式の価値算定を依頼したとのことです。なお、KPMGは公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。

KPMGは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり、採用すべき算定手法を検討の上、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の価値算定を行い、伊藤忠商事は、KPMGから2024年9月4日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(KPMG)」といいます。)を取得したとのことです(注7)。

本株式価値算定書(KPMG)によると、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりとのことです。

 

市場株価法 :1,618円から1,822円

DCF法  :2,087円から2,679円

 

市場株価法においては、2024年9月4日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値1,629円、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円及び同過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を1,618円から1,822円と算定しているとのことです。

DCF法では、当社より提示された2025年3月期から2029年3月期までの事業計画を基礎とし、直近までの業績の動向、公開買付者らが2024年1月下旬から2024年4月上旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、2024年5月上旬から同月下旬にかけて実施した追加的なデュー・ディリジェンスの結果及び一般に公開された情報等の諸要素を考慮して伊藤忠商事が修正を加えた当社の将来の財務予測に基づき、当社が2025年3月期第2四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引くことにより、当社株式1株当たりの価値の範囲を2,087円から2,679円と算定しているとのことです。なお、DCF法で前提とした事業計画においては、大幅な増減益が見込まれている事業年度はないとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であったため、反映していないとのことです。

 

(注7)KPMGは、当社株式の価値算定に際して、当社又は伊藤忠商事から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていないとのことです。また、当社及びその関係会社の資産又は負債(偶発債務を含みます。)について、個別の各資産、各負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っていないとのことです。加えて、当社の財務予測については伊藤忠商事の経営陣による現時点で可能な最善の予測と判断に基づき合理的に検討又は修正されたことを前提としているとのことです。KPMGの価値算定は、2024年9月4日現在までに入手可能な上記情報等と経済条件を前提としたものであるとのことです。

 

セコム及び伊藤忠商事は、EY及びKPMGから2024年9月4日にそれぞれ取得した本株式価値算定書(EY)及び本株式価値算定書(KPMG)の算定結果に加え、2024年1月下旬から2024年4月上旬までの期間において、当社に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果及び2024年5月上旬から同月下旬にかけて実施した追加的なデュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等も踏まえ、2024年9月5日付で、本公開買付価格を2,140円とすることを決定したとのことです。

本公開買付価格2,140円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年9月4日の当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値1,629円に対して31.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円に対して32.26%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円に対して22.15%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円に対して17.45%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

 

② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

(ⅰ) 設置等の経緯

当社は、2023年12月22日、当社がセコムの連結子会社であり、本取引が支配株主との重要な取引等に該当することを踏まえ、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保する観点から、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事からの独立性が高い外部の有識者を含む委員によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)(本特別委員会の委員としては、社外有識者の後藤高志氏(弁護士、潮見坂綜合法律事務所)、及び当社の独立社外取締役の高村守氏並びに当社の独立社外取締役の中里孝之氏を選定しております。)を設置いたしました。

そして、当社は、本特別委員会に対して、(ア)本取引の目的は正当性・合理性を有するか(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、(イ)本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか、(ウ)本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされているか、(エ)上記(ア)から(ウ)までのほか、本取引についての決定(当社が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決定することを含む。)が当社の少数株主にとって不利益なものでないと考えられるか、(オ)当社取締役会が本公開買付けに賛同し当社の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことの是非(総称して、以下「本諮問事項」といいます。)について諮問しました。

また、当社取締役会は2023年12月22日に、本特別委員会の設置にあたり、(ア)本特別委員会は、諮問事項の検討にあたって、必要に応じ、財務若しくは法務等に関する独自のアドバイザーを選任できるほか(この場合の費用は当社が負担する。)、当社の財務若しくは法務等に関するアドバイザーを指名し若しくは承認(事後承認を含む。)することができ、当社のアドバイザーの独立性及び専門性に問題がないことを確認した場合には、当社のアドバイザーに対して専門的助言を求めることができること、(イ)本取引に関する当社取締役会の意思決定は本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当社取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、(ウ)本特別委員会に対して、適切な判断を確保するために、当社の取締役、従業員その他特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求める権限を付与すること、(エ)本特別委員会に対して、本取引の取引条件等に関する当社による交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて自ら直接交渉を行う権限を付与すること、(オ)その他、本特別委員会が本取引に関する検討及び判断に際して必要と認める事項について権限を付与することを決議しております。

 

(ⅱ) 検討の経緯

本特別委員会は、2024年1月17日より2024年9月4日まで合計14回開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行っております。

具体的には、本特別委員会は、まず、2024年1月17日に、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券、並びに当社の法務アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所について、その独立性及び専門性等に問題がないことを確認しております。

さらに、本特別委員会は、下記「⑤当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認しております。

また、本特別委員会は、当社事業計画について、当社からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認し、承認しております。

本特別委員会は、当社から、本取引の目的や意義、当社事業に対する影響等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を実施し、セコム及び伊藤忠商事に対して質問事項を提示し、セコム及び伊藤忠商事に対して、本取引を実施する背景・目的、本取引後の当社の経営方針・ガバナンス等、本取引の手続・条件等について、本特別委員会においてセコム及び伊藤忠商事から直接説明を受け、質疑応答を行っております。

 

(ⅲ) 判断内容

本特別委員会は、上記の協議及び検討の内容を踏まえ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行った結果、2024年9月4日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の本答申書を提出しております。

 

(a) 答申の内容

・本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有する。
・本取引の条件(本公開買付価格を含む。)には公正性・妥当性が確保されている。
・本取引において、公正な手続を通じて当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされている。
・本取引についての決定(当社が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決定することを含む。以下同じ。)は当社の少数株主にとって不利益なものでない。
・当社取締役会が本公開買付けに賛同し当社の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことは相当である。
 

(b) 答申の理由

ⅰ.本取引の目的は正当性・合理性を有するか(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む)

(当社の事業環境及び経営課題)

・新型コロナウイルス感染症の影響による新たな社会様式への変化、2022年2月に開始されたウクライナ侵攻に端を発する資源価格上昇による物価高騰や円安等を背景とする民間企業や行政機関における業務効率化の必要性の高まり、自然災害の激甚化に伴う防災・減災対策や、公共インフラの老朽化対策のニーズの拡大等を背景として、持続可能な社会のために、民間企業や行政機関等のあらゆる組織においてAI・IoT・ICT等DXを活用した業務の効率化や省力化が推進され、地理空間情報技術が貢献できる事業領域は拡大している。

・このような事業環境下において当社は、2023年8月7日に2024年3月期から2026年3月期の3ヶ年を計画年度とするパスコ中期経営計画を公表した。パスコ中期経営計画では、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」ことを基本方針とし、後記の「3つの“しんか”」を掲げ、地理空間情報事業の拡大・成長を目指している。また当社は、パスコ中期経営計画の最終年度である2026年3月期の数値目標として、連結売上高600億円以上、連結営業利益率8.0%以上及びROE(自己資本利益率)10.0%以上を掲げた。

・パスコ中期経営計画の初年度である2024年3月期の連結売上高及び連結営業利益は、国内民間部門における車両搭載型レーザーによる測量業務等の減少、人員増及び賃上げの影響に伴う人件費の増加に起因して前期対比で減収減益となったものの、前述したパスコ中期経営計画の数値目標は達成している状況にある。このような状況下において当社は、引き続きパスコ中期経営計画の最終年度における数値目標を維持するとともに、2024年3月期におけるPBRが1.0倍未満であることを踏まえ、パスコ中期経営計画の確実な遂行によりPBR1.0倍以上を目指す旨を公表した。

・一方で当社は、当社が今後更なる成長を目指す上での経営課題として、(ア)経営環境の変化への対応、(イ)人材の確保・育成の2点を認識している。具体的には、(ア)については、当社の事業構造の性格上、国及び地方自治体の施策、法令等の制定・変更、そして公共事業の予算動向により、当社の経営成績が影響を受ける可能性がある。また、(イ)については、当社の事業の継続と成長のためには、技術者を中心とする高度な専門能力や管理能力を有する人材の確保が必要不可欠であるところ、人口減少や成長産業との人材獲得競争等の影響により人材の量的・質的不足が生じる場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性がある。

・上述した当社の経営課題については、セコム及び伊藤忠商事も概ね同様の認識を有している。

(本取引のメリット及びデメリット)

・国や地方自治体等を顧客とする「国内公共部門」は、民間・衛星事業を含む当社事業の基盤となる技術やノウハウが創出・蓄積されるとともに、2024年3月期における連結売上高の約9割を占める重要な部門となっている。当部門においては、高齢化・人口減少社会における社会インフラの維持管理や脱炭素に向けた取り組み等が喫緊の社会的課題であるところ、当社と伊藤忠商事が連携し、相互の強みを活かすことで、当社が単独では実現が困難な、高度かつ広範なサービスを顧客へ提供することが可能となる。特に、伊藤忠商事が実績を持つ官民連携によるインフラ包括管理事業や再生可能エネルギー関連事業(調査・計画)及び、当社として実績を持つ森林関連事業等幅広い事業において、強みを発揮することができる。この点、連結売上高の約9割を占める「国内公共部門」の強化は、パスコ中期経営計画において掲げる「既存事業の革新・強化」と「継続契約型サービスによる持続可能な事業の拡大」の中核をなす、当社の重要な経営課題の一つである。したがって、伊藤忠商事との提携により「国内公共部門」の強化に関するシナジーが創出され、もって当社の更なる企業価値向上に資するとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

・伊藤忠商事は大手総合商社として、繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の各分野において国内民間企業と幅広いビジネスを展開している。「国内民間部門」においては、伊藤忠商事の事業開発体制や上記の分野における国内民間企業への販売網を活かした、当社の民間企業向け主力商品である物流、マーケティング、不動産等の各種ソリューションやプロダクトの強化・拡販が期待できる。また、昨今、注目と期待が高まる宇宙関連ビジネスにおいては、伊藤忠商事との連携により、衛星データ活用領域の拡大やサービスの高度化等、事業の更なる拡大が考えられる。なお、衛星事業については、伊藤忠商事との連携により高度化・多様化したサービスを、当社の顧客である国や地方自治体等へ提供することで、「国内公共部門」の強化にも寄与する。この点、国内民間部門の収益拡大は、我が国の政策や予算に左右される「国内公共部門」に収益が偏重している当社の重要な経営課題の一つである。また、当該施策は、当社がパスコ中期経営計画において掲げた「継続契約型サービスによる持続可能な事業の拡大」に含まれる「新たに当社の存在意義を発揮できる市場領域の拡大」とも整合的である。したがって、伊藤忠商事との提携により「国内民間部門」の拡大に関するシナジーが創出され、もって当社の更なる企業価値向上に資するとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

・「海外部門」においては、世界61ヶ国・約90の拠点(2024年6月30日時点)を持つ伊藤忠商事の海外ネットワークを通じた、当社のエリアマーケティングやシステム開発をはじめとする「日系企業向けサービス」、資源探査・地盤変動監視・土地利用把握等の「衛星モニタリングサービス」、「先進運転支援システム(ADAS)事業の展開」等により、ASEANを中心とした販売拡大による事業の発展が想定される。この点、海外部門の収益拡大は、我が国の政策や予算に左右される「国内公共部門」に収益が偏重している当社の重要な経営課題の一つである。また、当該施策は、当社がパスコ中期経営計画において掲げた「継続契約型サービスによる持続可能な事業の拡大」に含まれる「新たに当社の存在意義を発揮できる市場領域の拡大」とも整合的である。したがって、伊藤忠商事との提携により「海外部門」の発展に関するシナジーが創出され、もって当社の更なる企業価値向上に資するとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

・伊藤忠商事では、「ビジネス課題を起点としたDX」を基本思想に掲げ、出資先・協業先と「デジタル事業群」を形成している。伊藤忠商事及びデジタル事業群の優れたテクノロジーやノウハウ、データ、開発体制や販売網、並びにサービス提供や協業の実績を活用し、スマートシティ関連事業や地理空間情報プラットフォーム事業、地理空間情報におけるAI活用等、地理空間情報をさらに高度に活用する新規サービスやプロダクトの創出が行える。さらに、生活消費関連にも強みを持つ伊藤忠商事の消費者接点を活かし、当社の地理空間情報技術と組み合わせることで、社会活動や消費者行動をより忠実に反映した地理的空間情報分析等の新規事業を展開することも可能であり、当社との協働によるシナジーを期待できる。当社は、これまでもセコムと新規事業の創出に向けて協働してきたが、本取引後においてはセコムグループの顧客基盤を活用することで伊藤忠商事も含めた新規事業の創出・拡販につなげることができる。また、伊藤忠商事の持つベンチャーキャピタルネットワークを活用した、新規ソリューション開発や獲得に資するM&A・事業提携の検討によって、インオーガニックな成長ができる。この点、パスコ中期経営計画において「多様性による新たな事業創造」を掲げ、革新的な商品やサービスの創出を目指しているとおり、新規事業の創出は当社の重要な経営課題の一つである。したがって、伊藤忠商事との提携により新規事業の創出に関するシナジーが創出され、もって当社の更なる企業価値向上に資するとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

・これまで当社は上場会社として、当社の少数株主の利益を尊重し、当社としての独立性の確保に努めてきた。このため、セコムの経営資源を共通活用することについては、セコムと当社の少数株主との利益相反及び独立性確保の懸念が存在した。本取引後においては、そのようなセコムと当社の少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避しつつ、中長期的な成長の観点から必要なセコム及び伊藤忠商事との連携及び経営資源の効率的活用、積極的な投資を迅速かつ円滑に行うことを通じて、当社を含むセコムグループの中長期的な企業価値向上を図ることができる。この点、セコムとは1999年8月から一定の資本関係があり、事業協力関係の下、経営情報の交換や人事面の交流、財務面の支援等を通じて競争力の強化を図ってきたが、親子上場の状態に起因してセコムによる経営資源の積極的な投入や経営基盤の活用には一定の制約があった。また、一般論としても非公開化によって中長期的な視座から迅速な意思決定が可能となり得る。したがって、本取引を通じて当社の株主をセコムと伊藤忠商事のみとすることが当社の企業価値向上に資するとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

・当社株式の上場廃止により、コーポレートガバナンス・コード等への対応を含めた近時の上場維持に係る業務負担や、有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用に代表される上場維持に要する費用の削減が見込まれる。また、本取引を通じて、更なる事業成長への経営資源集中を図ることが可能になる。この点、本特別委員会が確認したところによれば相応の金額の費用削減が見込まれるため、これにより当社の企業価値向上に資するとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

・以上のとおり、上記の各施策は、前述した当社の経営課題を的確に捉えており、パスコ中期経営計画とも整合的である。加えて、セコム及び伊藤忠商事が想定している本取引のシナジー効果(既存事業の強化、新規取組み・ソリューションの開発・販売支援、及び利益相反回避による当社の利益最大化)の内容とも一致している。また、セコム及び伊藤忠商事の事業内容・経営方針・実績等を踏まえると、これら施策の実現可能性を否定するに足る事情もない。

・以上からすれば、本取引を通じて当社が非公開化し、セコムと当社の少数株主との間の構造的な利益相反関係を解消し、セコム及び伊藤忠商事による当社グループへの更なる経営資源の投入を可能とすることで、機動的かつ着実な経営施策の実行を通じて、既述のシナジー創出を見込むことができ、当社の更なる企業価値向上に資するとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

・上場廃止や資本構成の変更に伴う一般的なデメリットとして、①主要取引先・外注仕入先の離脱、②ブランド力・与信の低下、③公募増資等の資金調達手段の限定、④役職員の離脱やモラール・ダウン、新規採用力・中途採用力の低下、⑤ガバナンス体制の弱体化、⑥許認可や公共入札資格等の取り直し、⑦競争法に基づく制限(問題解消措置等)を想定し得る。もっとも当社によれば、上記の各デメリットは存在しないか又は僅少であり、本取引によるデメリットは、それを上回るメリットによって十分に補い得るとのことである。前述のデメリットについて現実に相応の具体的な検討がなされており、その検討内容に特段不合理な点は認められない。その検討結果によれば、少なくとも前述したメリットを明らかに上回るデメリットが本取引によって生じるとは認められない。

・なお、当社の企業価値向上の観点において、本取引に優る有効な代替手段が存在すると認めるに足る事情は見当たらない。

・以上から、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有する。

 

ⅱ.本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか

(公開買付者らとの取引条件に関する協議・交渉過程)

・本取引においては、当社と公開買付者らの間で本公開買付価格に関する交渉が複数回行われた。

・本特別委員会は、本公開買付価格に関する公開買付者らとの交渉が開始される前の委員会において、ファイナンシャル・アドバイザーである野村證券から、価値算定の基本的な考え方と交渉方針を聴取した。本特別委員会は交渉過程においても、当社及び野村證券から、公開買付者らの提案内容及び論拠、当該提案に対する当社の評価及び対応方針について報告を受け、各委員会において、委員会としての意見を述べた。

・本特別委員会は、以下に詳述する理由から、純資産価額も重視して交渉することを要請した。

(a) 理論的に純資産価額は継続価値を現す金額ではなく、価格の妥当性を検証する際、一義的には本源的価値を現すDCF法の算定レンジに収まることが重要である。

(b) 当社株式は市場流動性に乏しく、過去の出来高実績を見ても、当社の少数株主は簿価純資産相当額をもって市場売却する機会に乏しいとも言える。これは裏を返せば、簿価純資産相当額であっても当社の少数株主には売却の利益があると評価する余地も皆無ではない。

(c) しかしながら本件では、以下に述べる当社固有の事情も考慮する必要がある。

(ア)当社は、2024年5月13日付決算説明会資料において、2024年3月期から2026年3月期の3ヶ年を計画年度とするパスコ中期経営計画の確実な遂行によりPBR1.0倍以上を目指す旨を公表した。また当社は、パスコ中期経営計画を「将来の飛躍に向けた真の価値を再構築する期間」と位置付け、2027年3月期以降の期間を飛躍期とする旨も公表している。更に言えば、計画初年度である2024年3月期実績値を見ると、パスコ中期経営計画の最終年度である2026年3月期の数値目標(連結売上高600億円以上、連結営業利益率8.0%以上)を既に達成している。以上からすれば、野村證券株式価値算定書の前提とされた事業計画の計画年度中(2025年3月期から2029年3月期の5年間)において、PBR1倍以上となり、かつ、2026年3月期までに実施する積極投資の成果が2027年3月期以降の数値に反映される可能性が低いとは言えない。

(イ)当社の事業内容と過去の業績実績からすると、当社の純資産額は時間の経過とともに堅調に積み上がっていくことが予想される。

(ウ)当社の収益構造は下期偏重であるため、第1四半期実績のみ公表されている足許の当社株価は当社のファンダメンタルズを反映していないとの見方もできる。

(エ)以上のことからすると、当社の少数株主の中には「現状のままでも、近い将来に当社株価は(将来積み上がるであろう)純資産額と同水準まで引き上がるだろう」と期待する者も含まれると想定される。

・本件では野村證券による算定の中間報告時点からDCF法のうち永久成長率法のレンジがマルチプル法のレンジを上回る結果となっていた。このため本特別委員会は、野村證券に当該差異が生じる背景等について確認した上で、永久成長率法レンジとインプライドマルチプルの関係や過去のマルチプル推移との相関関係も確認しつつ交渉方針を検討した。

・本公開買付価格は大多数の当社の少数株主に損失を生じさせない金額とすることが望ましく、かつ、当社株主には長期保有株主が多いと推定されることから、過去長期の最高価格や出来高分析も踏まえて交渉することを要請した。

・以上の結果、本公開買付価格は、公開買付者らの当初提案(1,900円)から現に引き上がった。

(野村證券株式価値算定書の算定結果との関係等)

・野村證券は、我が国の株式価値評価分野において多数の実績を有する大手事業者であり、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておらず、独立性が認められる。

・野村證券が採用した各算定方法は、いずれも継続企業価値の算定方法として一般に妥当とされている方法である。各種の算定方法はそれぞれ優れた点を持つと同時に様々な問題点も有しており、相互に問題点を補完する関係にあることから、複数の算定方法によって多面的に分析することは有用であると考えられる。従って、上記各方式を併用することにより合理性が高められるものと考える。

・野村證券による各算定方法における算定過程(その前提とされた財務予測や前提条件等を含む。)も合理的なものと認められる。特に重要なDCF法の前提とされた事業計画について付言すると、以下のとおりである。

(ア)当社株式の評価に際してフリー・キャッシュ・フロー算定に用いられた2025年3月期から2029年3月期までの5ヶ年を対象とする事業計画(以下「本事業計画」という。)は、本取引の検討開始後、約1ヶ月の作成期間を費やして作成された。本事業計画は当社の部門長級役職員によって作成されており、その作成過程に公開買付者ら及び伊藤忠商事の関係者は関与していない。

(イ)なお、当社がパスコ中期経営計画を「将来の飛躍に向けた真の価値を再構築する期間」と位置付け、2027年3月期以降の期間を飛躍期としていることからすると、2027年3月期以降の数値はやや保守的な印象も受ける。もっとも当社によれば、売上高の9割を占める国内公共部門の礎となっている「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(令和2年12月11日閣議決定)」が令和7年度(2025年度)をもって終了するため予算が減少する可能性があること、地方自治体の財政状態が厳しいこと等を踏まえ、国内公共部門のオーガニック成長は微減と見込んだ上で、新規事業の収益により挽回するシナリオを想定している。この結果、パスコ中期経営計画の数値目標はパスコ中期経営計画の計画年度中に達成する数値となっており、かつ、2027年3月期以降も堅調に成長する数値となっており、当該シナリオを積極的に否定すべき事情も見当たらない。

(ウ)以上のことからすると、本事業計画は本取引の検討開始後に策定されたものであるものの、①本事業計画を恣意的に悲観的な収益予測としたことを窺わせる事情及び②本事業計画が合理的な根拠を欠く収益予測であってその実現可能性を疑わせるような事情は、いずれも認められない。

・本公開買付価格は、野村證券株式価値算定書の算定結果において市場株価平均法レンジの上限を上回り、かつ、類似会社比較法及びDCF法の各レンジに収まる水準となっている。野村證券株式価値算定書における評価レンジ内の特定価格をもって「本取引を行わなくても実現可能な価値」と評価することは困難である。もっとも、野村證券株式価値算定書の算定結果を是とすることは可能であるから、上記の水準である事実は、本公開買付価格に「本取引を行わなくても実現可能な価値」のみならず「想定される本取引による企業価値増加効果」も織り込まれていることを推認させる。

(同種の案件において一般に付与されるプレミアム水準との関係)

・2019年6月以降に公表された本取引の類似案件におけるプレミアム水準との比較について見ると、同種案件と比較して若干劣るプレミアム水準と言わざるを得ないが、プレミアムは個別案件の多様な要因によって変動するため、同種案件との単純比較のみに依拠して当否を評価することは適切でない。

(過去の最高価格・出来高分析との関係)

・野村證券による過去1年間から10年間における価格帯別売買高分析によれば、本公開買付価格であれば、92%を超える数の当社株主の理論上の取得価格を上回ると試算されている。また、本公開買付価格は、過去1年間の最高値(2,075円)を上回る金額である。これらの事情は、本公開買付価格が大多数の当社の少数株主に損失を生じさせない水準であることを推認させる。

(スキームその他の取引条件の妥当性)

・金銭は流動性が高く投資回収の方法として妥当であるため、対価を金銭とすること自体が当社の少数株主の不利益となる理由はない。

・また、公開買付者らのうちISフロンティアパートナーズは非上場のSPCであるから、換価不能なSPC株式を対価とすることが当社の少数株主の利益に沿わないことは論を俟たない。更には、流動性の高いセコム及び/又は伊藤忠商事の上場株式を対価とする方法も一応考え得るが、そもそも2社の上場株式を対価とする組織再編等は実現不能又は困難である。また、当社事業とセコム及び伊藤忠商事の事業内容は大きく異なるため、当社に投資している当社の少数株主にとって、株式対価の組織再編により両社株式の交付が好ましいとも限らない。

・なお、本取引では、本公開買付価格と本スクイーズアウト手続(本意見表明プレスリリース「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載されている、当社の株主を公開買付者らのみとするための一連の手続をいう。以下同じとする。)の対価額を同額とすることが想定されている。

・よって、当社の少数株主に本公開買付け及び本スクイーズアウト手続により現金を交付する本取引の買収方法及び対価は、当社の少数株主にとって不利益ではないため、妥当性が認められる。

・以上から、本公開買付価格は当社の少数株主が享受すべき利益が確保された妥当な価格であるから、本公開買付けは、当社の株主に対して、適切なプレミアムを付した価格での合理的な株式の売却の機会を提供するものであり、本取引の条件の妥当性が確保されている。

 

ⅲ.本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされているか

(本特別委員会の設置)

・独立性及び諮問事項の検討に十分な能力を有する委員により構成される本特別委員会は、本取引の検討当初に設置され、当社アドバイザーの助言も得つつ、当社及び当社アドバイザーから必要に応じて非公開情報を含む重要な情報を適時に入手した上で検討を行い、適時に取引条件の交渉経緯について報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行っており、有効に機能した。

・本特別委員会の組成決議において、①本特別委員会が本公開買付けの実施又は取引条件が妥当でないと判断した場合には本公開買付けに賛同しないこと、及び②当社の取締役会における本取引に関する意思決定は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこととする旨が予め決議されている。

(独立した外部専門家からの専門的助言等の取得)

・当社は、本取引の初期段階から、独立性を有する野村證券及び中村・角田・松本法律事務所の専門的助言を取得している。

(他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック))

・本取引に際して、いわゆる積極的なマーケット・チェックは実施されていない。もっとも、支配株主による買収の場合、そもそもマーケット・チェックが公正性担保措置として機能する場面は限定的であり、実施する意義が乏しい場合が多いと考えられている。これに加えて本件では、セコムに当社株式を売却する意向がないことからすれば、例外的にマーケット・チェックが機能し得るケースに当たると認めるに足る例外的な事情は存在しない。

・本公開買付けにおける公開買付期間は、金融商品取引法が定める最短の期間である20営業日を超える30営業日である。更に当社は、公開買付者ら及び伊藤忠商事との間で、当社が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っていない。

・以上を踏まえると、株主に対して本公開買付けへの応募の是非を検討する十分な熟慮期間が付与され、かつ、対抗的な買付の機会は客観的に確保されていると考えられる。

(マジョリティ・オブ・マイノリティ条件)

・本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件は設定されない。

・しかるに、本取引では充実した他の公正性担保措置が講じられていること、及び同条件を設定した場合には、比較的少数の株式を取得することによって本取引を妨害することが可能となり、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さないとも考え得ることからすると、本取引においてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定は不要と思料する。

(当社内における意思決定プロセス)

・以上のような複数の公正性担保措置が講じられた上で、当社内においても、本取引の検討・交渉等は、初期の段階から一定の利害関係を有し得る取締役等を除外して実施された。

・セコムの従業員を兼務している当社取締役の宮本和久氏及び神山潔氏、セコムの従業員を兼務している当社監査役の柳内清孝氏及び曽我部貢作氏、並びにセコムの従業員を兼務していた当社の元監査役である龍口敦氏は、利益相反の疑いを回避するため、本取引に関する取締役会における審議に一切参加しておらず、また、当社の立場において、本取引に関して、セコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉に一切参加していない。

(一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上)

・当社の本取引に関する開示予定文書において、本特別委員会、野村證券株式価値算定書及び本取引の実施に至るプロセスや交渉経緯等について、当社の少数株主の適切な判断に資する充実した情報が分かり易く開示されているものと思料する。

(強圧性の排除)

・本スクイーズアウト手続は株式併合により実行される。当該スキームの実施過程において、株主には会社法第182条の4及び第182条の5の規定により価格決定の申立てを行う権利がそれぞれ認められ、かつ、開示予定文書にその旨が明示的に開示されている。さらに、開示予定文書の該当箇所では、本スクイーズアウト手続は本公開買付け終了後速やかに行われること、本スクイーズアウト手続において当社の少数株主に対して交付される金銭は本公開買付価格と同一の価格とすることが予定されている旨も開示されている。

・以上から、本取引においては、公正な手続を通じて当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。

 

ⅳ.本取引についての決定が当社の少数株主にとって不利益なものでないと考えられるか

以上検討したとおり、①本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有すること、②本公開買付価格は当社の少数株主が享受すべき利益が確保された妥当な価格であるから、本公開買付けは、当社の株主に対して、適切なプレミアムを付した価格での合理的な株式の売却の機会を提供するものであり、本取引の条件の妥当性が確保されていること、③本取引においては、公正な手続を通じて当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると認められることから、本取引についての決定が当社の少数株主にとって不利益なものでないと思料する。

 

ⅴ.当社取締役会が本公開買付けに賛同し当社の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことの是非

上記ⅳと同様の理由により、当社の取締役会が、本公開買付けに賛同し、当社の株主に対して応募を推奨する旨の意見表明を行うことは相当であると思料する。

 

③ 当社における独立した法律事務所からの助言の取得

当社は、本公開買付けに係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した法務アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。

なお、中村・角田・松本法律事務所は、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事の関連当事者には該当せず、本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。中村・角田・松本法律事務所に対する報酬には、本取引の公表や成立を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会において、中村・角田・松本法律事務所の独立性に問題がないことが確認されております。

 

④ 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅰ) 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者らとの関係

当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、当社並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年9月5日付で、野村證券から野村證券株式価値算定書を取得しました。

なお、当社は、当社及び公開買付者らにおいて本公開買付価格の公正性及び本取引の公正性を担保するための措置等を実施していることを踏まえ、本公開買付価格を含む本取引の公正性が担保されていると考えた結果、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

なお、本取引に係る野村證券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により野村證券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

本特別委員会は、第1回の本特別委員会において、野村證券の独立性に問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザーとして承認しております。

 

(ii) 当社株式に係る算定の概要

 野村證券は、本公開買付けにおいて、複数の算定手法の中から当社の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価平均法を、比較可能な類似上場会社が存在し、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定手法として用いて、当社の株式価値の算定を行い、当社は野村證券から2024年9月5日付で野村證券株式価値算定書を取得しております(注8)。

 野村證券株式価値算定書において、上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

 

市場株価平均法:1,618円から1,822円

類似会社比較法:2,077円から2,433円

DCF法    :1,770円から3,316円

 

 市場株価平均法では、2024年9月4日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日の終値1,629円、直近5営業日の終値の単純平均値1,689円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,618円から1,822円と算定しております。

 

 類似会社比較法では、当社と類似性があると判断される類似上場会社としてアジア航測株式会社を選定した上で、企業価値に対する営業利益の倍率、償却前営業利益(以下「EBITDA」といいます。)の倍率(以下「EBITDAマルチプル」といいます。)、時価総額に対する純利益倍率、及び時価総額に対する株主資本倍率を用いて、当社株式の株式価値算定を行い、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,077円から2,433円と算定しております。

 DCF法では、当社事業計画を基に、2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業見通しにおける収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,770円から3,316円と算定しております。なお、割引率は7.25%から8.25%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法及びマルチプル法を採用し、永久成長率は-0.25%から0.25%、EBITDAマルチプルは3.5倍から5.5倍として当社株式の1株当たり株式価値を算定しております。

 野村證券がDCF法の算定の前提とした当社事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。当該財務予測においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度はないものの、フリー・キャッシュ・フローの大幅な変動を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2026年3月期において、増収に伴う運転資本の増加や基幹システムの再構築等に係る設備投資の増加が見込まれていることにより、フリー・キャッシュ・フローの大幅な減少が見込まれております。また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、以下の財務予測には加味しておりません。

(単位:百万円)

 

2025年

3月期

2026年

3月期

2027年

3月期

2028年

3月期

2029年

3月期

売上高

60,000

60,500

62,000

63,000

64,000

営業利益

4,620

4,818

5,117

5,518

6,019

EBITDA

6,961

7,673

8,189

8,812

9,524

フリー・キャッシュ・フロー

3,599

2,216

2,835

3,581

4,144

 

 

(注8)野村證券は、当社株式の株式価値の算定に際して、公開情報及び当社から提供を受けた一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。当社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。当社事業計画については、当社の経営陣により現時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。野村證券の算定は、2024年9月4日までに野村證券が入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、野村證券の算定は、当社の取締役会が当社株式の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。

 

⑤ 当社における独立した検討体制の構築

本意見表明プレスリリース「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「④当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2023年12月8日に、セコム及び伊藤忠商事から、本取引について初期的な提案を受けた後、本取引に関する検討(当社株式の価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びにセコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉を行うプロジェクトチームを設置し、そのメンバーは、セコムグループ(当社グループを除く。)各社の役職員を兼務していない当社の役職員のみから構成されるものとし、かかる取扱いを継続しております。

また、かかる取扱いを含めて、当社の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の確認を得ております。

 

⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見

当社は、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言並びに2024年9月5日付で取得した野村證券株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2024年9月4日付の本答申書において示された判断内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて当社の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議を行いました。

その結果、本意見表明プレスリリース「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「④当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社取締役会は、2024年9月5日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計9名のうち、宮本和久氏、神山潔氏を除く7名)の全員一致で、本取引に賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。なお、上記取締役会には、当社の監査役4名のうち、柳内清孝氏、曽我部貢作氏を除く2名全員が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。

上記の当社取締役会においては、当社の取締役9名のうち、宮本和久氏及び神山潔氏はセコムの従業員を兼務していることから、利益相反の疑いを回避するため、上記取締役会における審議及び決議に一切参加しておらず、また、当社の立場において、本取引に関して、セコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉に一切参加しておりません。また、当社の監査役4名のうち、柳内清孝氏及び曽我部貢作氏はセコムの従業員を兼務していることから、利益相反の疑いを回避するため、上記取締役会における審議に一切参加しておらず、また、当社の立場において、本取引に関して、セコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉に一切参加しておりません。なお、2024年6月21日付で龍口敦氏(セコムの従業員を兼務していた当社の元監査役)が、監査役を退任しておりますが、利益相反の疑いを回避するため、当社の立場において、本取引に関して、セコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉に一切参加しておりません。

 

⑦ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

セコム及び伊藤忠商事と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。また、公開買付者らは、公開買付期間について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日としているとのことです。公開買付者らは、公開買付期間を法令に定められた最短期間と比較して長期間に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者ら以外にも当社株式の買付け等を行う機会を確保し、本公開買付価格の公正性を担保することを企図しているとのことです。

 

4.本株式併合がその効力を生ずる日

2025年1月9日

以 上